南スーダン、ポジュル族の伝統的な通過儀礼
私は、ジェンで衛生促進員を務めています。今回、南スーダンの首都ジュバ郡の北東に位置するティジョル地区で生活している、ポジュル部族についてお話します。
ポジュル部族は複数の氏族にわかれています。その大多数がラニャ郡に居住する一方、少数ではあるものの、ジュバ郡の北東ティジョル地区にもいます。
ジュバ郡に住むポジュル族は、ヤングワラ族、ムンダリ族、そしてジュバ郡で多数を占めるバリ族の各部族と接して暮らしています。
ボジュル部族は伝統的な信仰を崇拝し、若者は成人になる通過儀礼を経験します。儀式を経て成人と認められると、氏族の長老たちと交流を図ったり、長老と共に貢献をしたり、また長老と会話をすることが許されます。さらに、男性の結婚に一番ふさわしい女性を男性と男性の両親が決めた後で、その女性と結婚をする資格を獲得できます。
この通過儀礼は通常、18歳から45歳くらいまでの男性が対象となります。儀式の期間中彼らは、3か月90日間の間、裸で過ごします。コミュニティ内で通常行われている家畜の放牧や狩猟などに従事します。他の男性たちと異なる点は、裸で過ごして、通過儀礼が終わるまで屋内で就寝しないということです。
儀式に参加した者だけが結婚をする資格を認められ、この伝統は、先祖代々からこの氏族たちの間で受け継がれてきています。この通過儀礼は、各氏族の長老によって、下記の写真のように、宣言されます。
【飲用水の容器(ティジョル地区)】
ティジョル地区内には、約1,000から1,500世帯のポジュル族が生活しています。南スーダンにおける一世帯当たりの人数が6人とすると、人口ベースで6,000人から9,000人がジュバ郡のティジョル地区に生活していると推定されます。そのうち2013年に通過儀礼に参加した男性は、98人でした。途中で3人が亡くなりましたが、95人が無事に儀式を通過しました。
長老の話によると、南スーダンがスーダンから分離独立を果たした後に近代化が進んだため、若者が自由に移動できるようになり、以前と比ベて儀式に参加する若者が減少してしまったとのことです。
この部族は生活に最低限必要な数の牛を飼育する一方、ヤギを飼育し生活の糧としています。こうやって家畜を飼育することで、婚姻時の結納金や学校教育費、そして医療費を捻出していました。医療に関しては、特に患者の症状が重く約50マイル(75km)も遠く離れた首都ジュバへ搬送が必要なときの費用にもなりました。
私がそこの部族の長老とこの通過儀礼について話をしているとき、周りの若者たちは私に対して敵意を抱いているように見えました。
彼らはよく、先述のムンダリ族と見間違えられることがあります。それは、この部族出身を意味するために顔に刻まれた線の模様がムンダリ部族の模様と似ているからです。
ポジュル族の若者たちは、とても体格がよく、敵とは槍、場合によっては素手でも容赦なく勇敢に戦える戦士です。彼らは一見敵意を感じさせますが、実際には、初対面の訪問者を傷つけるようなことはありません。実際、長老がこの伝統について私に語ってくれたことからもそれがわかりました。
本原稿は簡単な紹介ではありますが、ご笑覧いただけましたら幸いです。
マリアムング・M・モーゼス
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