スーダンの遊牧民
スーダンでは、「給料を(お金で)もらうよりも、牛をもらったほうがいい」と言われることがあります。なぜなら、お金は友だちや家族に少しずつ分けるとすぐになくなってしまいますが、牛はバーベキューでもしない限り、分割されることがなく、財産として持ち続けることができるからです。スーダンのある部族の人々は、牛を崇拝しており、額に牛の角の形に傷跡をつけます。彼らの多くは無数の牛を放牧しながらスーダンの広大な大地を移動する、遊牧民です。彼らは子牛を育て、それらを売ることで生計を立てます。また、牛乳や、時には家畜の血すらも、遊牧生活を送る人々の栄養源になります。
このような人々は移動を続けているため、コミュニティに属するのがむずかしいこともあります。たとえば、学校の勉強以外のこと、たとえば牧畜の技術を学びたい人にも教育の機会を提供することは重要ですが、学校は彼らのように移動式ではありません。
ある人は、ジェンが学校建設現場で使っているコンクリート・ミキサー車をとても気に入り、
「建設の仕事の期間中は家族と牛を学校の近くに置いておく」と宣言しました。
「そうすれば、コンクリート・ミキサーのようなテクノロジーをもっと学ぶことができる」と言います。
ほかのある家族は、伝統を大切にしますが、読み書きを身につけることも重んじており、授業がある間は子どもたちを学校の近くに住む親戚の家に預けています。そして学校が休みになると子どもたちは両親のところへ帰り、遊牧民の技術を身につけます。学校建設の事業に携わりながら、遊牧をする人々の教育観がさまざまにうかがえて、興味深い経験でした。
ちなみに私たちが事業を行う上での「ちょっと困ったこと」は、牛たちで道路が渋滞することです!
プロジェクト・オフィサー/フィリップ