私の父と伯父の足跡(Part.2)
メレス 一家の記録
なぜなら、エリトリアで暮らす人は近年、遠くで暮らす家族のための仕送りで苦しんでいたからです。私も同様に、少ない収入を親戚に送ることで、48歳になる3番目の弟がジュバに来る資金を得られるまでになったのです。
弟は、危険を承知で不法に国境を越え、幸運にもジュバで最も大きいホテルに勤めることができました。それから、メレス一家は今までにないほど経済的に豊かになりました。このとき、不法移住により自分の母国に帰ることができず、外国で暮らす大変さを実感しました。
今、この経験から思い出すのは父と伯父がエチオピアへ移住した時のことです。貧困に苦しむ彼らが唯一持っていた財産は、村人の強い愛と互いに協力するという心でした。しかし、貧しさから父はエチオピアへ行き、自分と弟の両方の家族を養い始めました。ついにはそれも困難になり、エリトリアが独立を果たして国外退去となるまで40年以上暮らしていたエチオピアに、二人の家族を連れ戻すという決断を下しました。
私の父や伯父の話と繋がりがあるという点で、歴史は繰り返されているといえるかもしれません。近いうちに、自分たちの意思で本国に戻れるようになることを、祈っています。