あるお葬式
今朝は、午前中から事務所の隣の民家から太鼓の音と人々の歌声が絶えない。お祭りかなとも思えるにぎやかさであるが、実はお葬式が行われている。
隣の民家に住む男性が、亡くなった。先日南スーダンのルンベク(Rumbek)という地方にて、バイクで走行中に何者かに攻撃され、袋叩きに会った。そして、そのままスーダン共和国の首都、ハルツームに運ばれたが、ほどなくして亡くなってしまったそうである。彼の遺体がジュバに戻ってきてから土葬するまでの間、親戚や地元の人は祈りを捧げ、歌を歌い続ける。スーダンのお葬式は、歌と太鼓と人々の祈りが夜を通し行われ、土葬を行うスタイルが多い。
現地の知人に聞いたところ、この亡くなった男性はジュバからルンベクの途中にあるムンドゥリ(Mundri)という地方のモロ族の出身だったそうである。一方ルンベクはディンカ人が多い地域である。彼女曰く「ディンカ人は、あなたがお金を持っていたら、あなたを殺してでも、そのお金を奪っていくわよ」という。もちろん、そんな一般化は全く正しくはない。ただ、彼女の中でのディンカ人に対するイメージが、このような事件でも、当たり前のように当てはめられて理解されたということが気になった。
スーダン共和国は約20年間の戦争を2005年和平合意で終止符を打った。北と南は戦争を止め、平和が戻りつつある。実際に2005年以降の難民/帰還民の帰還数は膨大で2007年12月末のUNHCR調べでは199万人が帰還したことになっている。一方、長期にわたる紛争は、民族や部族間の戦闘も同時に起こしていたために、南と北の戦いだけではなかった。平和になった今も、異なる部族はそれぞれの思いを持って復興を歩んでいるのだと実感した。