2015年3月 5日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って- <第2回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その1

 スリランカ政府軍とLTTEの紛争が2006年後半に激化し、最大13万人のタミール人が国内避難民になりました。東部での紛争が2007年7月に終結した後、2008年11月までに帰還が公式に完了しました。  

 その間、2004年12月の大津波と2006年の紛争の二重災害を被った東部バティカロア県で、2007年6月から帰還民たちの自立に向け、栄養・保健衛生活動、カウンセリングや漁業組合復興にむけたワークショップなどを実施しました。

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 また、農業用井戸の建設や給水ポンプ等の供与・農業技術訓練を通して農業収入が安定し、井戸管理委員会・運営委員会や農協の形成を通して、協力して自分たちの生活を改善していく力を身に付けていけることを目指しました。その成果を確認できた2014年2月末日までに東部での最後のアンパラ県での自立支援事業を終えました。

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【この続きは4月に掲載します。ぜひまたご覧ください】



Sri lanka

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

3月 5, 2015 心のケア支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援生計回復事業 |

2015年2月 5日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って- <第1回>

 2004年12月末日からおよそ10年間で、多くの支援者の皆さま(※)からおおよそ6億2千万円のご支援をいただき、20万人以上の人々の生活をサポートする事ができました。

【南部での津波被災者への支援での3年間】
 2004年12月に発生した津波で、3万人以上の人々が亡くなりました。JENは津波が起きた翌日にスタッフを派遣し、ハンバントタ県の仮設住宅に移り住む予定の世帯に対して、緊急に必要な日用品の配布を開始しました。  
津波により家族、家、家財だけでなく、収入源を失い、厳しい生活を送る被災者が、新しい技術を身に付け前向きな力を取り戻せるように、職業訓練(ココナッツロープ作り、漁網、野菜菜園など)や児童への課外活動を通したグループカウンセリングなどを行いました。

 3年間で3万3千人以上被災者の生活を立て直す一歩を後押しする事が可能になり、2007年12月末日までに南部での最後の自立支援事業を終えました。

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【この続きは3月に掲載します。ぜひお待ちください】

(※)味の素様、外務省、花王様、損保ジャパン様、ジャパンプラットフォーム様、JHP学校を作る会様、Chabo!様、フェリシモ様、三井住友スマイルハート様、郵便貯金・簡易生命保険管理機構様、読売光と愛の事業団様、その他個人でご寄附を頂いた大勢の皆様



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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Sri lanka

2月 5, 2015 心のケア緊急支援支援物資配布生計回復事業津波被害支援 |

2013年8月22日 (木)

【スリランカ東部】現在進行中の東部事業の様子

日本の外務省と皆さまからのご支援により東部バティカロアで現在行っている支援活動をご紹介します。

東部では、①農業給水支援として農業用井戸建設と給水ポンプの配布、②井戸管理委員会の立ち上げとコミュニティ強化のためのワークショップを開催し、生計の向上・安定の支援を行っています。

私が訪れた7月は、井戸建設の真最中でした。

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井戸掘りは写真のように重機を使って行います。水量が豊かな井戸建設を目的に掘っているため、当然、水が湧き出てきます。この水が厄介で、土と同時に水も掻き出さなければなりません。

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通常、工事前に予め地質調査を行い、水が出てきそうな地点に絞り込んで掘り始めます。ですが、中には少し掘っただけで大量の水が湧き出てしまい、井戸としては掘り進められないものも出てきます。

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東部の地質は硬い岩盤を含んでいるため、岩を砕きながら掘り進めます。1台の重機でシャベルからドリルに部品交換して掘削し、岩が砕けたらシャベルに部品交換して掻き出す、の繰り返しなので、ただ掘るよりも時間がかかってしまうのです。

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10M近く掘り進めて、十分な量の水が湧き出ることを確認できると、井戸としての形づくりとなる石工作業が始まります。この石工作業では、レンガを底まで運び~セメントを作成し~レンガを組み上げる作業は、すべて手作業です。井戸なので湧き出る水を吸い上げながらの作業となります。

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写真は井戸の底での石工作業ですが、10Mの深さがあるので途中は、足のつかない場所で数本の板を渡しての作業となります。

現地総務経理担当 那須田

8月 22, 2013 心のケア事務所・スタッフ文化、生活、習慣東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2009年10月29日 (木)

【東部】自立を後押しするために

091029_20091027_livelihood_2_kick_o  東部バティカロア県での帰還民支援では、井戸を掘削する村の選定、村の経済的・社会的状況の詳しいデータ収集、関連する行政との調整など、順調にプロジェクトが進んでいます。対象とする村での本格的な活動をはじめるにあたって、スタッフ全員で事業目的や、目的達成のためのアプローチの仕方などを再確認・共有するためのワークショップを開催しました。

 ジェンの事業は、ものの配布や建設だけに終始するのではなく、コミュニティの強化と自立を後押しすることを目指しています。コミュニティの自立を後押しできるかどうかは、事業にかかわるスタッフの手腕とビジョンの共有にかかっていると考えているため、しつこいかもしれない・・・と思うほど、事業目的や成果のイメージをスタッフ全員で共有するようにしています。

 このワークショップも、国際スタッフや現地スタッフのマネージャーが一方的に話すのではなく、スタッフひとりひとりに考えを話してもらえるように工夫しました。また、小グループにわかれ、3年後に、現在、支援している村がどうなっているかを具体的にイメージしてもらい、それを発表してもらいました。

 各グループとも、3年後のイメージを絵に描きましたが、そこには収穫されたたくさんの野菜をマーケットで売る様子、住民のコミュニティが活発に活動している様子、住民が協力して平和に暮らしている様子などが描かれていました。

 このセッションでもっとも印象的だったのは、どのグループもとても楽しそうに作業をしていたことです。もちろんこれは「ジェンのスタッフによる成果のイメージ」であって、事業参加者に押しつけるものではありません。事業対象者自らが私たちと同じように、わくわくしながら自分たちの村の3年後のポジティブな変化を具体的に思い描けるよう、サポートするのが私たちの役割です。

 「今日は事業についての明確なアイディアを、スタッフ全員で共有できました。今度はこのようなことを事業参加者である村の人々と一緒にしたい」と、現地スタッフのマネージャーがワークショップを締めくくってくれました。
(プログラム・オフィサー 山中嶋 美智)

10月 29, 2009 心のケア東部帰還民支援 |

2009年4月 2日 (木)

日本大使館の視察

090402_20090304_vahaneri_eoj_monito  日本政府ならびに皆さまからのご支援で、東部バティカロア県での帰還民再定住支援事業を行っています。先日、在スリランカ日本大使館の担当者が、キラン郡の事業地を視察されました。

 ジェンが支援する農家の畑や、農業トレーニングの様子、同じくジェンの支援を受けた漁師が魚を捕っている灌漑湖などを見学されました。また、ジェンのフィールドオフィス(事業地にある事務所)で、「心のケア」活動で子どもたちが描いた絵を見ていただきました。

 担当の方から

「ジェンのスタッフは、支援を受ける人々との間に信頼関係をしっかり構築しているのですね」

と、おほめいただきました。

 支援を受ける人々の一番近くで多くの時間を過ごしながら行うジェンの「支える支援」は、ジェンがもっとも大切にしていることです。これからも、この姿勢を守りながら活動を続けていきたいと思います。

4月 2, 2009 心のケア東部帰還民支援 |

2009年3月 5日 (木)

とうもろこしの収穫

090305_spme_maize_seeds_preservedmu   東部バティカロア県キラン郡での帰還民生活再建支援では、人々が生業である伝統的な農業に滞りなく復帰できるよう、支援してきました。

 昨年11月に配布したトウモロコシとピーナッツの種は、雨不足などの問題もありましたが、なんとか収穫のシーズンを迎えることができました。例年よりも1ヵ月ほど遅い収穫となりましたが、黄金色のトウモロコシを前に、人々の顔に喜びの表情が溢れました。

 収穫物の中から、来シーズン用の種を選びます。種用のトウモロコシは皮をむいて干し、両端を除いた真ん中の部分を種用に保存します。両端は、粒が小さかったりして種には向かないからです。この両端の部分は、粉にひいてミルクをかけて食べるそうです。090305_maize_2

 余すことなく、ものを大切にする人々の姿に、思わず背筋が伸びる思いでした。

昨年、好評いただきました~母の日のお花がスリランカのお母さんの野菜の種に~ジェンの「スマイルシーズ」今年も実施決定!

くわしくは、こちら

3月 5, 2009 心のケア東部帰還民支援農業支援 |

2009年2月 5日 (木)

気丈なお母さんの紛争の傷跡

090205_mofa_chabo_20090129_koolavar  クラビチェナイ村のサンタナピレさんは、ジェンの事業で結成した管理委員会(支援地の住民による支援受け入れの組織)のリーダーです。集会やワークショップのときにはいつも目を輝かせて一生懸命話を聞き、とても活発で、頼もしいおかあさん、という印象でした。

 しかし先日、カウンセリングを担当する心理学専門家に同行して彼女の家を訪問したとき、これまで知らなかった一面を見ました。

 サンタナピレさんには、5人の子どもがいました。息子の1人は政府軍の攻撃で亡くなり、娘も別の戦闘に巻き込まれて亡くなりました。さらに、このような状況が耐えられなくなったサンタナピレさんのだんなさんも自殺してしまいました。

 涙を流しながら、過去に起こったできごとについて話してくれたサンタナピレさん。村の人々の近くで活動しているJENスタッフを信頼し、心を開いてくれたのです。

 精神的な傷があまりにも大きく、引きこもりがちになっていた時期もあったそうですが、今は,孫の面倒を見ながら、生活を再建しようと一生懸命です。簡素な家ながらも室内は清潔に整えられていて、彼女が自分で作ったというヤシの葉のゴザや、バスケットがありました。JENが配布した種で育てたとうもろこしやピーナッツも、ほかのどこの家よりも元気に育っています。

 辛い過去を抱えながらも、明るく前向きに生きているサンタナピレさんの姿に、訪問したスタッフ一同、心を揺さぶられました。そして、このように非常に厳しい状況の中で、必死に自立していこうとしている人々の尊い努力を支援していきたいと、決意を新たにしました。

2月 5, 2009 心のケア文化、生活、習慣政治、経済、治安 |

2008年12月 4日 (木)

予行練習のススメ

20081204research_training_3_low  ジェンは支援活動を行うにあたって、さまざまな調査を行います。現地の住民のニーズを特定して優先度を決める調査、事業を実施する前に支援地の状況を知るための事前調査、そして事業後に行う評価のための調査などです。数字で測れるものではなく、質的な状況を知るための調査は特に難しく、調査者のスキルによって得られる情報に差が出てきてしまいます。

 調査の質を向上させるため、行う直前に内部でトレーニングを行いました。経験豊富なスタッフが村人役になり、実際に調査を行う若手のスタッフが質問をし、他のスタッフがその様子を観察して、よかった点や改善したほうがよい点を話し合うのです。

 村人役のスタッフの演技力と貫録(?)は、なかなかのもの。「実際の場面をリアルに想像できたので、とてもためになった」と、若手スタッフも話していました。支援を受ける人のいちばん近くまで行くスタッフの働きは、事業成功の要です。さまざまなバックグラウンドを持つスタッフが最大限に能力を発揮できるよう、これからもサポートしていきたいと思います。

12月 4, 2008 心のケア事務所・スタッフ |

2008年9月25日 (木)

技術の継承

20080925_panis_fishnet_making2  ワカライ郡ではこの4月まで行っていた帰還民支援事業から引き続き、漁業協同組合に対する支援も行ってきました。ジェンは今回の事業の中で2回にわたり、支援している漁協に対して漁網の材料を提供しました。前の事業では漁網製作の職業訓練を行いましたが、そのときの訓練参加者がほかの組合員に編み方を教え、しっかりと技術を継承している姿が見られました。

 また、漁協リーダーを対象にしたワークショップでは、マイクロクレジットの仕組みについての講習などを行いました。その知識を活動に活かしている漁協もありました。

 特に漁協は外からの支援に慣れ、支援してもらうのが当たり前のような雰囲気がある印象が強かったため、このような姿を見ることができたことは、大きな喜びでした。

JENはスリランカのお母さんを応援しています。

スマイルシーズ観察日記は、こちら

9月 25, 2008 心のケア |

2008年9月11日 (木)

絵本を通じた心のケア

20080911picture_371  子ども達への活動で、屋内ではお絵かきやゲームと共に読書や読み聞かせが行なっています。写真にあるような箱には絵本が30冊入っています。この地域は町から遠く離れていて、子ども達は絵本を手にする機会がほとんどありません。近くの学校や図書館には本や新聞はあっても、絵本まではありません。

 子どもたちは夕方のひと時を、思い思いに本や絵本を読んだり、ジェンのスタッフによる読み聞かせを聞いたり、詩を朗読したり楽しんでいます。大人たちも仕事帰りにちょっと立ち寄って、子どもたちの楽しげな様子を見ては、その平和な時を楽しんでいます。20080911picture_374

 この絵本と本箱は、日本人女性が代表を務めるスランガニ基金というスリランカのNGOから購入しました。このように、ジェンは現地のリソースを十分に活用しながら、人々が楽しくなるような支援をこれからも考えていきます。

JENはスリランカのお母さんを応援しています。

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くわしくは
こちら



皆さんのお気持ちを、その温かさそのままに、
      JENが確実にお届けします。

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9月 11, 2008 心のケア |

2008年8月28日 (木)

心のケア

200808212art_therapy_2  長年にわたる紛争と津波で何度も避難生活を経験したワカライ郡の人々の心を癒すため、心理学の専門家を派遣し、カウンセリングを行っています。

 まずは、カウンセリングを最も必要としている人を特定します。特定にはいろいろな方法が使われますが、今回はグループに分かれて、心に浮かぶものを絵に描いてもらうというグループワークを行いました。20080821art_therapy_2

 たとえばこの人(写真)は、空爆で逃げ出す村人たちを描いています。そのほかにも津波の絵、津波で倒れた椰子の木や家の絵を描いている人もいました。このように普通の会話ではなかなか表に出てこない、辛かった体験がぽろっと絵として現われることがあるそうです。

 このようなグループワークで、心のケアの必要があると判断された人には、心理学専門家がカウンセリングを行います。

JENはスリランカのお母さんを応援しています。

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8月 28, 2008 心のケア |

2008年8月12日 (火)

変化の兆し

20080626  スリランカのワカライ郡で、帰還民の栄養・健康状態の改善を目指すとともに、心理学者とソーシャル・ワーカーを派遣し、心のケアを行っています。
大人に対してはカウンセリングを、子どもに対しては課外活動を通した心のケアを。
毎夕、6歳から13歳までの子どもたちが集まり、伝統的なゲーム、スポーツ、お絵描きや読書などに取り組んでいます。
はじめは子どもたちがいくつかのグループにわかれて争ったりしていましたが、今では連帯感が高まり、歳の違う子どもたちが互いを尊重しあって活動するようになりました。

スリランカは一般的に教育熱心な国ですが、ワカライ郡は長い間反政府勢力の支配下にあり、その後も津波や紛争で避難生活を余儀なくされていたため、学校に通えなかった子どもが多くいました。
しかし、現在は内外からの支援により住宅を始め基本的なインフラが整備されつつあり、子どもたちは徐々に学校へ戻り始めています。

住民の生活環境の回復に加え、ジェンが行ってきたカウンセリングのなかで、両親へ教育の重要性を説いてきたことも大きな効果があったと思われます。
こうした子どもたちをとりまく環境の変化は、未だ復興の途上にあるとはいえ、未来への希望を感じる大きな一歩です。

JENはスリランカのお母さんを応援しています。

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8月 12, 2008 心のケア |

2008年7月31日 (木)

1年後。。。

080729__low  先日、津波被災地の南部ハンバントタを訪問する機会がありました。昨年9月に完了した元事業地の村を訪問して、家庭菜園のその後を視察することが目的でした。

 結果は、写真のとおり。村人たちはしっかりと家庭菜園を続けていました。JENが配布したバナナの株はすくすくと成長し、株分けした第2のバナナが既に育っていました。培った技術を使って、今や多くの苗を育てあげ、収入を得ている人もいます。事業前には庭いじりさえしたことのなかった人が、庭いっぱいに菜園を広げていました。080729__low_2 

 物を配る事業と違い、家庭菜園は、参加者がその意義を分かった上で手間暇かけて続けていなければ、事業後までその姿かたちを残すことはできません。東部バティカロアで現在行っている家庭菜園も、ぜひこのように人々の手で育っていってくれればと願っています。

スリランカのお母さんたちが挑む、野菜栽培事業。

スマイルシーズ(*)観察日記」もご覧ください。

7月 31, 2008 心のケア |

2008年7月17日 (木)

持続可能な料理教室

0708__low  ワカライ郡では、前回ご紹介した家庭菜園と並行して、栄養・衛生に関するレクチャーを行っています。野菜作りと栄養ためのレクチャーをセットにすることで、事業参加者が、得た知識をすぐに実践できるようになります。このアプローチによって、それぞれを別々に行うよりも、より高い効果が期待できるので、現地の行政や、事業参加者からも高い評価をいただいています。
 

 さて先日、栄養教育の目玉(?)、「お料理教室」を各村で開催しました。この教室では、ジェンのインストラクターが、低コストでできる栄養バランスのとれた料理の調理を実演しました。参加者のひとりである3人の子どものお母さんは、

「いままで栄養のバランスを気にせず食事を用意していたけど、この教室で、どういう食事で栄養バランスが取れるのかよくわかった。これからもバランスの取れた食事作りを続けていきたい」と話してくれました。

スリランカのお母さんたちが挑む、野菜栽培事業。

スマイルシーズ(*)観察日記」もご覧ください。

7月 17, 2008 心のケア |

2008年7月 3日 (木)

協働作業で心のケア

080701  家庭菜園プロジェクトでは、時々、事業参加者が、他の参加者の家庭菜園を訪れます。そこで、作業を手伝いながらトレーニングするのです。ところが、ある村で、特定の家に行くのを拒む、ということがありました。

 ワカライ郡は長らく紛争状態であったために、村の隣人同士がお互いに不信感をもっていることがあります。そこで、ジェンのソーシャル・ワーカーと心理学専門家が働きかけて、コミュニティ内で話し合いを行いました。人々の間の不信感が軽減し、お互いの家を行き来できるようになりました。

 今、この村では、みんなが楽しげに協働作業をしている姿が見られます。苦しいことや喜びを分かち合うことで、コミュニティ内での信頼関係、連帯感が強まっていきます。

 ジェンの家庭菜園プロジェクトは、野菜を栽培して栄養を改善したり、家計を助けたりするだけでなく、人の心を癒し、信頼関係を築くことにも貢献しています。

スリランカのお母さんたちが挑む、野菜栽培事業。

スマイルシーズ(*)観察日記」もご覧ください。

(*)2008年5月、母の日にブーケを送り、スリランカのお母さんへ野菜の種や苗を送ろう!というプロジェクト。

7月 3, 2008 心のケア文化、生活、習慣 |

2008年4月10日 (木)

400人の明るさ

080407_khataravery_14feb08  東部バティカロア県での魚網製作の職業訓練と心理カウンセリングが、3月末で終了しました。ジャパンプラットフォームとの協力により、昨年の11月から紛争被災者を対象に実施してきた事業です。この事業期間中に、10ヶ所の漁協において、各漁協40人に対し2ヶ月間、計400人を対象に行いました。

住民が帰還して1年も経っておらず、未だに厳しい生活が続く中で、技術を提供する支援は、当初住民に理解されにくく、現金や物資を求める人々もいました。しかし、各漁協で行われた終了式では、受益者から、2ヶ月間に渡って指導があったことに対する感謝の意が述べられ、今後はこの技術を使って生活を向上させたいという意欲が示されました。080407_panichchankeny_south_14feb08

また、紛争や津波による家族との死別や家庭内の問題などで引きこもりがちになっていた住民も、近所の人たちと一緒に訓練を受けました。そして、専門家からカウンセリングを受ける事によって、徐々にかつての明るさを取り戻すようになりました。

4月 10, 2008 心のケア漁業支援 |

2008年2月28日 (木)

こころへの支援

080226 バティカロア県では紛争被災者への支援事業の一環として、地域住民に心理カウンセリングを行なっています。

その方法は、ソーシャルワーカーと呼ばれる現地職員が、漁網製作訓練への参加者を観察し、話しかけることによって、元気がない人、戦争の恐怖が忘れられない人、また家庭内の問題を抱えている人などを見つけます。その後、心理学の専門家が、その人から個別に話しを聞いたり、家族で話し合う機会を設けたりしながら、心の悩みに対応していきます。

1月には、ソーシャルワーカーたちが楽器を持ち寄って、ミュージック・セラピーを行ないました。音楽により人々の心が和み、精神的な苦痛が和らぐものです。080226_2

心理カウンセリングとは、すぐには効果が出にくく時間のかかる活動です。しかし、長年に亘る紛争や津波の被害を受けた人々が元の生活を取り戻すためには非常に重要な支援です。ジェンのスタッフはこのような課題にも、一丸となりしっかり取り組んでいます。

2月 28, 2008 心のケア |

2007年8月30日 (木)

スリランカ東部での事業開始

P6220116   JENはジャパン・プラットフォームの資金協力により、スリランカ東部のバティカロア県で、紛争被災者に対する支援事業を開始致します。この地は、昨年夏以降にスリランカ政府軍とタミール人の武装組織であるLTTEが激しい戦闘を行った場所で、16万もの人々が生活の場を奪われ国内避難民となっています。

 紛争が収束に向かった今年の春以降、約10万の人々が元の村に帰還しました。しかし、2004年暮れのインド洋津波の被害を受けた場所もあります。紛争と津波、ふたつの大きな被害によって、人々は生活基盤や生計の手段を失われました。

 今回の事業では、県内北部、ワカライ地区の漁民を対象に、紛争で失われた漁船の配布、魚網作りの職業訓練、漁業協同組合の活性化、心理カウンセリングなどを実施する予定です。Kokuvil2_idp_camp4

 まずは事務所の設立、現地職員の雇用、行政との事業実施合意書締結などの事務手続きから始まりますが、10月中旬以降は活動を軌道に乗せて行く予定です。

8月 30, 2007 心のケア魚網作り緊急支援 |

2007年7月19日 (木)

トレーニング終了

 6月27日、JENのハンバントタ県での職業訓練が幕を閉じ、JENスタッフと村人たち合同で終業式を行ないました。

 簡単な挨拶の中で、JENスタッフが村人に尋ねます。

「訓練を終えて、以前よりも前向きな気持ちになれましたか?」

シンハラ語に訳され、事業参加者たちにその意味が伝わると、次々に手が上がりました。

JENの事業は、職業訓練を通して生計回復を促すだけではありません。同じ被災経験を持つ人たちとの共同作業や、必要に応じてカウンセリングを行ないながら自立心や人生への希望を取り戻すことも重視しています。その効果が、参加者のまっすぐ上げられた手、終業を喜ぶ拍手と笑顔にあらわれていました。

ハンバントタ県での支援はこれで一段落ですが、JENはこれからもスリランカでの活動を継続していきます。一人でも多くの方に支援の手が届くよう、これからも皆さんのご協力をよろしくお願いします。

7月 19, 2007 心のケア |

2007年7月 5日 (木)

癒される日がくることを

Mofa2_p3_cfv_270607_end_fntraining13  6月27日、職業訓練の第三期が終業式を迎えました。事業地4村のひとつで終業式を終えた後、車に向かった時のことです。

 道を挟んだ隣村の男性が、何やら叫んでいました。すると、通訳を介して男性の状況が明らかになりました。この男性は津波被災で子ども2人を失い、家屋、船・漁の道具など生計手段を全て失ったそうです。さらに話を聞くと、強いアルコールの匂いと共に、止め処ない憤りと痛みが溢れていました。隣の村は支援を受け、自分の村が除かれたと言いました。

 JENは公平中立を期すため、各村の規模・被災程度・人口構成・被災前後の経済状況の変化など、多くの要素から支援対象の村を決定します。この男性の村は、調査の結果、支援対象から外れていたのです。

 道路を挟んだ村で活発に行なわれる職業訓練。にぎやかな空間。楽しそうな人びとの声と笑顔。そこで男性が抱いたのは、やり場のない不満と怒りでした。

 私たちには、静かに男性の話を聞き、自分たちの力不足についてただ謝罪するだけでした。私たちの判断が生んだ周囲の影響に、多くを学んだ瞬間でした。「JENが、男性の望む物資を与えたとしても、津波が残した傷跡を癒すことはできない」と。

7月 5, 2007 心のケア |

2007年4月12日 (木)

新たな津波被災者支援事業を開始しました

Att00009  4月から、味の素株式会社様の「『食と健康』国際協力支援プログラム」のご支援により、ハンバントタ県の津波被災者を対象にした、野菜栽培を通した栄養・健康改善支援の事業が始まりました。この事業は4月から11月の末までの間に、3ヶ所で合計90人の被災者の方々に対して行われます。

 最初の実施場所として選ばれたのは、再定住地区であるサボラガムワ村です。地区全体68世帯の中から、女性世帯主や収入が少ない家庭など30人が参加しています。参加者のほとんどは女性で、午前と午後15人ずつに分かれ、1日2時間の野菜栽培の講義と実施トレーニング、そして1時間の栄養・健康に関する講義を週5回受けることになります。

 参加者のほとんどが野菜栽培の経験がありません。しかし、新しい挑戦に目を輝かせながら講師の説明に耳を傾けています。JENは彼女たちが積極的に事業に参加していけるように後押ししていきます。

4月 12, 2007 心のケア |

2007年3月22日 (木)

悪童の村

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ある漁網指導員の話。

「初日、私が訓練を終え、村を出ようと車に乗り込むと、少年たちが『町まで乗せて』と頼んできました。彼らだけを特別扱いできなかったため断ると、『もう来るな!!』と言われてしまいました。」

彼以外の他のスタッフからも次々と、同様の意見が寄せられました。

とあるJEN事業村での事です。

心理学の専門家の分析によれば、

①漁師である彼らの父親は家を空けがちで、厳しいしつけを知らずに育った、

②アルコール依存の父親が、意味もなく暴力を振るうので、子どもたちも情緒不安・根強い不信感がある

彼らのこうした態度は、①、②が原因のようです。

そんな彼らに対しJENスタッフが心掛けてきたのは、子どもたちの中に入って話を聞き、彼らの態度をとがめるのではなく、一人の人間として個性を尊重し、子ども扱いしないといった基本的な事でした。

そして約1月後、「悪童の村」に何が起こったでしょうか…?

放課後の課外活動では、開始時間前に子どもたちが集まり、指導員の到着を待っているそうです。

ひとたび信頼関係ができあがると、彼らは元の「明るく開放的な少年たち」に戻り、今では家庭でのトラブル、進学・就職などへの不安、被災のトラウマなどを相談してくれるようになりました。

JENスタッフは、心のケアを一番に考えて子どもたちと向き合い、今では子どもたちのよき相談相手となりました。

3月 22, 2007 心のケア文化、生活、習慣 |

2007年3月 8日 (木)

ボーダーを越えて

Jpf_2207  現在JENが野菜栽培を実施している、マルガンプラ/メッツェラナ再定住地域には、被災者が異なる地域から移住してきたこともあって、村人間であまり交流がありませんでした。出身地毎にかたまり派閥ができていたのです。訓練開始当初もその仲間意識に阻まれて、ソーシャルワーカーの勧める、受講生全員が混然となっての作業がし辛い雰囲気がありました。

 しかし暑い屋外の作業で共に鋤を振るい、共に水を運んで、相互扶助の精神が芽生えると、家庭問題や子どもについて、また苦労話など、村人の間で会話が弾むようになりました。そしてそこには、派閥を超えた助け合いを促す、ソーシャルワーカーの何気ない「後押し」があったのです。

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3月 8, 2007 心のケア |

2007年2月22日 (木)

再定住地での職業訓練、はじまる

2007214  現在、日本政府の支援で実施している津波被災者への生活再建自立事業において、2月5日から、新たに4ヶ所の再定住地でトレーニングが始まりました。これから2ヶ月の間、合計320人に対し、魚網作りと野菜栽培の職業訓練、児童活動、心理カウンセリングを組み合わせた事業を行います。  事業地を訪問したところ、ある再定住地では、住民の中で最も活発な女性がコミュニティー・ワ-カーとして選ばれ、住民のまとめ役として奔走していました。  また別の場所では、子どもの野外活動に適切な土地がなかったため、住民が協力して地ならしや雑草の伐採などの整地作業を行いました。住民の中には、魚網作りや野菜栽培を始めて行うという人も多いですが、皆、訓練の初日からインストラクターの説明に熱心に聞き入っていました。  被災者がこの場所に移動した直後は、住居以外には何もなかったそうですが、徐々に電気、水道が引かれ、小さな店もできて、生活環境が整ってきました。この事業で住民が技術を身につけ、収入を向上させ、生活の改善につながることを願っています。

2月 22, 2007 心のケア |

2007年1月18日 (木)

あの津波から2年、その4

Photo_42  2006年10月から日本政府の支援により実施している、津波被災者への生活再建自立事業の対象12村のうち、4村での活動が終了し、1月11日に各村で事業終了式が行われました。

参加者からは、

「過去に野菜の種や苗木を配布するだけの団体はあったが、JENは2ヶ月間に渡って農業指導と講義を行ってくれたので、作物を育てる知識と技術が身についた」「津波で家族や財産を失ったショックからアルコール依存症になっていたが、カウンセリングを受け、野菜作りに励むことで、立ち直る事ができた」

という声があがりました。

 この4つの村の住民は、2005年の春から2006年初めにかけて近隣の各村から移動してきました。Photo_43

 出身地が異なる人々が集まった再定住地においても、事業を通じて住民同士が仲良くなり、協力して生活していく体制が築きあげられています。

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1月 18, 2007 心のケア農業支援生計回復事業 |

2007年1月11日 (木)

あの津波から2年、その3

Photo_30   2005年の4月から9月まで生活改善事業を実施したスリヤワラナ村を、年末に久しぶりに訪問しました。

現地の人々はJENの事をよく覚えてくれていて、早速自分たちで作ったココナツロープやマットを見せてくれました。人々は、現在も農作業の合間にココナツの繊維からロープを作る作業を続けていて、3人がかりで40メートルのロープを一日で作り、約200ルピー(約220円)の収入を得ることもあるそうです。

 その一方で、2週間前の大雨による農地や家屋の被害を語る村人もいました。一見、ただの大雨による被害のようですが、実は2年前の津波によって海岸線に自然に出来ていた堤防が崩れ、海水が簡単に村に入るようになってしまったのです。Photo_31

この地方では、多くの人が住んでいた村を離れ、再定住地に移住しました。しかしこの村のリ-ダー、ネランジャニ・ラタナヤクさんは、「まだ津波の被害は残り、収入も十分ではないが、この村で頑張って生きていく」と力強く語っていました。

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1月 11, 2007 心のケア生計回復事業 |

2006年12月14日 (木)

あの津波から2年、その1

~もうすぐクリスマス~

Photo_16  もうすぐクリスマスがやってきます。しかし、スリランカの沿岸地域の人々にとっては25日のクリスマスよりも大切な日があります。それは2004年12月26日、津波により沿岸地域で多くの尊い命が奪われた日です。

 村の家々の玄関には黄色いココナツの葉が飾られています。それは、その家で追悼行事が行われるサインです。今年も年末に向けて、ハンバントタ県では、クリスマスのイルミネーションではなく、津波被災者追悼のためのココナツの葉が村を飾っています。

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12月 14, 2006 心のケア |

2006年11月23日 (木)

事業に関わる人びと

061108n  日本政府の支援による津波被災者への生活再建支援事業がついに始まりました。今回も経験豊富なスリランカの専門家であるソーシャルワーカー、インストラクター、心理学専門家と共に津波被災者への職業訓練を通した心のケアを行っていきます。

 事業村で活動を開始する前に、スタッフへのトレーニングを実施しました。そこではJENやJENの事業について学ぶと共に、社会心理事業へかかわり方やカウンセリングについての指導を行いました。指導を行った心理学専門家は「主役は自分たちではなく、あくまで人々の持つ力を最大限に引き出すのが私たちの仕事です」と語りました。

 

 職業訓練開始日前日、スリランカ大使館の担当官が事業村を訪れ、津波被災者の激励をしてくださいました。

「日本の税金が確かにスリランカの人々のために使われ、そして何より人々やコミュニティーに日本のNGOが受け入れられている姿を確認することができてうれしいです」というコメントを頂きました。

 

JENの事業はJENスタッフの力だけでは成功しません。このようにたくさんの人々の協力や支援を受けて、スリランカの人々と共に活動を行っています。

11月 23, 2006 心のケア |

2006年10月26日 (木)

津波被災者への更なる支援開始

このたび、日本政府の支援により、ハンバントタ県内の津波被災者を対象にした生活再建支援事業を更に拡大して実施することになりました。

 事業の開始にあたり、10月23日、在スリランカ大使館荒木大使、ハンバントタ県副知事の立会いの下で署名式が行われ、そのときの様子はスリランカ全国紙、インターネット、テレビニュースで報道されました。

Web_2

 新しい事業では、津波後に被災者が移り住んだ再定住地区と呼ばれる地域にて職業訓練(魚網作り、野菜栽培)を実施し、同時にグループカウンセリングを通して「心のケア」を行います。

 被災した人たちは、新しい土地に移り住んだものの、津波により生計手段を失った人が多く、未だに苦しい生活を余儀なくされています。職業訓練を通じて、収入創出につながる技術を身につけ、更に訓練中に実施されるグループカウンセリングにより心の傷を回復し、人々の再定住地区での生活再建を後押しします。また、子ども達にも、課外活動を通じて、「心のケア」を行います。

 さらに、地元出身のコミュニティーワーカーを育て、地域の委員会を活性化させることによってコミュニティーの強化も促します。

 津波直後から培ってきた人材とノウハウを活かして、JENはこれからもハンバントタの津波復興支援を積極的に続けます。

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10月 26, 2006 心のケア |

2006年8月31日 (木)

JEN、スリランカ政府から表彰

12_6  JENがスリランカ政府、農業開発省からハンバントタでの津波復興支援の功労を称えられ、表彰されました。

 授賞式では国際NGOとローカルNGOを合わせて25団体に賞が贈られました。津波から1年8ヶ月が経ち、ハンバントタで津波支援を実施した団体のほとんどが去っていきました。その中で、JENは緊急時だけでなく、人々が精神的にも経済的にも自立していける後押しをするため、現在も活動を続けています。 23_4

 JENの息の長い支援と、現地のニーズに合った支援は、地元の政府から注目を浴び、栄誉ある賞を受賞することができました。授賞式の次の日には、農業開発賞の職員が実際にJENの野菜栽培の事業地を訪問し、身の回りのものを利用した環境に優しい有機栽培農業の指導に感銘を受けていました。

 今後もJENは、地元政府との関係も構築しながら、持続可能性のある復興支援を続けていきます。

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8月 31, 2006 心のケア事務所・スタッフ支援物資配布 |

2006年7月20日 (木)

津波被災児童アートワークショップ

1_33  三井住友海上火災スマイルハートクラブ様のご支援により、JEN/子供地球基金協働プロジェクトとして6月18日~22日にかけてアートワークショップを開催しました。このアートワークショップはJENが「心のケア」活動を行った14村の被災児童計157名を対象に行いました。

 津波による生活の変化で精神的なストレスを感じている子どもたちは、大きなキャンバスに好きな色で好きなものをのびのびと描くことで、束の間、津波の辛い記憶を忘れ、ストレスを発散させることができました。

 また、同じ津波を経験した他の村の子と協力し、1枚の絵を創り上げることで、子どもたちの間にチームワークが生まれました。皆で完成させた絵は、1人では決して生み出せない個性豊かな、色とりどりの模様や色で構成されており、出来上がった絵の美しさに子どもたちも興奮の声を上げていました。2_23

 他の村の子どもとの協力でできた世界で1枚の絵は、友情とチームワークの証としてそれぞれの地域の学校に展示されました。

(写真:JEN/子供地球基金 協働プロジェクト)

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7月 20, 2006 心のケア |

2006年4月27日 (木)

ソーシャルワーカー

1_7  JENは現在、以前に活動を実施した32の村の中から更なるケアを必要とする津波被災者を対象に『心のケア』フォローアップ事業を行っています。事業を実施するうえで欠かせない存在がソーシャルワーカー。2_6

 ソーシャルワーカーは村々を定期的に訪問し、各村出身のコミュニティーワーカーの指導や、カウンセリング活動を行っています。ソーシャルワーカーのウペカ・イランティさんからのメッセージです。 

  『事業を始めた当時、村の人々は金銭的なサポートを期待しており、心のケアの重要性を知ってもらうことに苦労しました。しかし次第に自分たちの抱える問題を理解し、前向き思考を取り戻すようになりました。JENの事業を通して、私自身も多くのことを学び、津波被災者共々成長することができました。』
 
 今日も彼女は美しいサリーを身につけ、夕暮れ時のグラウンドで子どもたちと一緒にクリケットをしながら『心のケア』を行っています。

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4月 27, 2006 心のケア事務所・スタッフ |

2006年3月30日 (木)

絵本「稲むらの火」で学ぶ

1  株式会社損保ジャパン様のご支援により、JENはハンバントタ県津波被災村の子どもたちを対象に、津波防災ワークショップを行っています。このワークショップでは『稲むらの火』絵本を使い、津波が起こる原因と、津波がやってきた時の避難の方法、自分だけで避難するのではなく他の人にも声をかけるなど・・・を学んでいます。2

 ワークショップに参加した14歳の男の子、シェハン君からのメッセージです。「僕が住む、マダカティヤ村にも津波がやってきました。津波の日のことは今でも忘れられず、今でも多くの人々が大きな波に飲まれていく怖い夢を見ます。『稲むらの火』を読んで、主人公のおじいさんが自分の財産を捨ててまで村人を救う姿に感動しました。自分のことだけを考えるのではなく人を思う気持ちを忘れずに生きていきたいです。」

株式会社損保ジャパン様のHPは⇒こちら

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3月 30, 2006 心のケア | | コメント (0)

2006年3月16日 (木)

癒されない心の傷

123  JENはこれまでハンバントタ県の32の村で、津波に遭った人たちに心のケア活動を行っています。魚網作り、野菜栽培などの活動を通して行うカウンセリングは好評で、1~2ヶ月という短い間でも、被災した人たちが津波の傷を癒すのに大きな効果をあげてきました。

 しかし、中には津波による精神的なダメージが特に大きく、活動終了後も更なるケアを必要とする被災者の人たちもいます。JENはこうした人たちを対象に、『心のケア』フォローアップ事業を始めました。フォローアップ活動では、ソーシャル・ワーカー以外に、村出身のコミュニティーワーカーを中心に、村の人たちが主体となり活動を行います。

 2月27日、津波被災村から選ばれた15人のコミュニティーワーカーを対象に、事前研修を行いました。自身も津波の被害を受けたというコミュニティーワーカーたちは、活動参加に大変意欲的で、研修中も活発な意見が交わされました。

 3月上旬より、村との協力によるカウンセリング活動を開始します。未だ津波による辛い気持ちを抱える人たちが心の傷を癒し、新しい生活を始めていけるよう更なるサポート行っていきます。

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3月 16, 2006 心のケア | | コメント (0)

2006年3月 9日 (木)

野菜の成長がもたらすもの

5  JENが野菜栽培を行った村では、トレーニング終了後も参加者の人たちが栽培を続けています。6月にトレーニングを終えたミリジャウィラ村では自分たちで育てた野菜を売って収入を得ている参加者もいます。 3

 ナスは1kg45ルピー(日本円で約40円)、唐辛子は1kg80ルピー(日本円で約70円)で売れるそうです。今はナスのシーズンなので、ある女性参加者は一日最低4kg売り、日々の収入につなげています。その他トマト、オクラといった野菜に加え、ココナッツ、マンゴーといった木の苗も育てています。

4  トレーニング当初30cmほどだったココナッツの苗が、7ヶ月たった今では150cmほどに生長していました。『野菜の成長を見ていると心が癒されます』とトレーニング参加者は語ります。ココナッツの実がなる頃には、津波被災者の辛い心の傷が少しでも回復していることを祈るばかりです。

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3月 9, 2006 心のケア農業支援 | | コメント (0)

2006年2月 2日 (木)

感謝を詩にのせて

P1090003_thumb  野菜作りを実施しているバタアタ村から、美しい詩が届きました。

 スリランカでは自分の気持ちを詩で伝える文化があります。今でも若い男女が恋の始まりには詩を詠いあいます。

 バタアタ村の人たちは、JENへの感謝の思いを詩に綴って送ってくれました。題名は“Humanity”(現地語でミニスカマ)。人間らしさ、博愛の意味です。

 

 突然の津波は私たちからすべてを奪っていった。
 私たちが何をしたというのだ?
 突然の波で私たちは着のみ着のままになった。
 そして生きる力も失った。
 しかし、JENは私たちに手を差し伸べた。
 私たちに生を取り戻してくれた。
 私たちはもう二度と崩れたりはしない。
 強さが私たちの生命という船の舵を取っている限り。
 私たちは幸せな未来を探している。

P1090002_thumb  津波後、家族や家屋を失い、生きる力を失いかけていた人々が多くいました。波がすべてをさらった後、JENの支援は、津波被災者に未来への希望を運び込むことができました。

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2月 2, 2006 心のケア | | コメント (0)

2006年1月19日 (木)

津波から1年経って

1_6_thumb  2005年12月26日。津波から1年が経ったその日、JENの事業地南部ハンバントタ県でも、さまざまな追悼式典が行われました。また、津波犠牲者の冥福を祈るため、道沿いには白いろうそくが並べられ、あかりが灯されました。多くかけがえない命と幸せな生活を奪い去った津波は、1年たった今も人々の生活に深い傷跡を残しています。

 魚網作り活動に参加するジャヤティラカさん(46歳)は津波で妻を亡くしました。

 『妻は海岸沿いの朝市に出かけているときに、津波に遭いました。海岸に戻ってきて一日かけて、彼女の死体をあちこち探し回りました。やっと見つけた彼女の体は鉄パイプに巻きつけられていました。

 1年たった今も、あの時の気持ちははっきり覚えています。一生忘れられないと思います。その後、ずっと気がふさいでいましたが、JENの活動に参加して、少しずつ寂しい気持ちがまぎれるようになりました。新しい魚網技術を学ぶことができて、とても感謝しています。』

 津波の被害を乗り越え、新しい生活を築いていくにはまだまだ長い時間が必要です。スリランカの人々の生活再建は始まったばかりです。JENは2006年も、こうした被災者の人たちが、一日も早く元の生活を取り戻せるよう支援を続けて行きます。

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1月 19, 2006 心のケア | | コメント (0)

2005年12月 8日 (木)

受験勉強のあいまに

s3  スリランカは教育熱心な国です。厳しい受験戦争があるので、どの親も必死でお金を工面し、子どもを塾に通わせようとします。放課後も塾に行ったり、家で宿題をする子どもが多く、友だちと外で遊ぶ機会はなかなかありません。JENの活動では、そんな子どもたちが、束の間勉強や津波のつらい記憶を忘れ、仲間とクリケットやバレーボールで遊び、汗を流す機会を提供しています。s2

 ここグルポクナ村でも、津波被害にあった子どもたちが、毎日JENの活動を楽しみに広場へとやってきます。どしゃぶりの日でさえ、学校が終わると、60名ほどの子どもたちがいそいそと集まってきます。そんな時は、お寺などの屋内で歌や踊り、お絵かきなどのレクリエーション活動を行います。勉強で忙しいスリランカの子どもたちにとって、JENの活動は仲間と一緒に遊べるまたとない息抜きの場となっています。

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12月 8, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年11月10日 (木)

男性に好評なカウンセリング

2  JENは職業訓練活動を終える際に、各村に活動についてのアンケート用紙を配ります。その際、面白い共通点を見つけることができます。

 「魚網作り」の村は、参加者の多くが男性ですが、「ココナッツ・ロープ作り」は参加者のほとんどが女性です。多くの場合、魚網作りの村の男性は一番面白かった活動内容として「カウンセリング」をあげます。これに対して、女性は「ロープを使ったマット作りの作業」など、作業の内容に参加する面白さをあげる人が多いのです。

 スリランカの男性、特に漁師は、自分の辛い気持ちを表現したり、人に打ち明けたりすることはほとんどないそうです。そうはいえ、津波で家族や家を失い、辛い気持ちを抱いていることには変わりがありません。魚網作り参加者のアンケートには、「カウンセリングを通して、初めて自分の気持ちを吐露することができ、気持ちが軽くなった」という感謝の声が多く寄せられています。

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11月 10, 2005 心のケア魚網作り | | コメント (0)

2005年11月 3日 (木)

1人で泣く

1  津波被災者は、不便な避難生活、急激に落ち込んだ経済状態、今後の生活不安からストレスがたまり、いらいらや落ち込みがすすんでいます。

 同様に、子どもたちも、津波のショックとそれに伴う生活の急激な変化に戸惑い、フラストレーションを抱えています。子どもは自分の気持ちをうまく言葉で表現できない分、よりきめ細かいケアが必要となります。

 津波で父親を亡くしたある少女は、「自分が父を思い出して泣くと母も泣き出して辛くなる。だから、夜寝るときにだけこっそりとわからないように泣くようににしている」と、ソーシャル・ワーカーに打ち明けました。

 ソーシャル・ワーカーは、家族や友達にいえない子どもの思いや悩みを引き出し、ケアを与える重要な役目を果たしています。

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11月 3, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年10月27日 (木)

村の連帯

1 津波被害により、被災者の人たちが失ったのは、家族、家、仕事、収入だけではありません。これまで村の中にあった連帯や結びつきまで失ってしまった村が少なくありません。

 津波直後、被災者達は辛い気持ちを分かち合い、助け合いながら避難キャンプでの共同生活を送りました。しかし、その後、支援団体や政府からの支援物資の分配を巡り、被災者の間で不信感、妬みが生まれるようになりました。数に限りがあるため、支援物資が村人全員に届くことはまれです。支援物資が届いても、一部の強いグループばかりがいつも物資を独占してしまい、弱いグループの人達が何ももらえないというケースも多くあります。

2  JENは、村の連帯や人間関係を損なうことがないよう配慮して支援活動を行っています。支援活動を実施する際は、まず村の中に委員会を立ち上げ、住民の話し合いのもとで公平に参加者が選ばれるよう気を配っています。
 JENの活動(共同作業とグループカウンセリング)により、被災者間にあった不信感が払拭され、失いかけていた村の連帯を取り戻すことができたという声が届いています。

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10月 27, 2005 心のケア文化、生活、習慣 | | コメント (0)

2005年10月 3日 (月)

現地で高い評価を受ける「心のケア」事業

2  日本政府の支援を受け、ハンバントタ県16の津波被災村の大人、子ども計1,100人を対象とした生活再建支援事業を開始しました。実施にあたり、9月30日、在スリランカ大使館須田大使、社会福祉省次官、ハンバントタ県知事立会いの下で署名式が行われ、新聞(紙面、インターネット上)、テレビニュース、インターネットでも全国的に報道されました。

4月よりJENが行ってきた職業訓練を通した「心のケア」事業は現地で高く評価されています。そしてより多くの人々のニーズに答えるため、今回の事業がスタートしました。

JENのこれまでの経験を生かし、未だ津波の傷が癒えず、先の見えない今後の生活に不安を抱える人々を、生計の立て直しと心のケアの両面から支援していきます。

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10月 3, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年9月29日 (木)

JENの活動がスリランカ全国紙に掲載!

a  

  JENのスリランカの事業が、ハンバントタの全国紙(9月20日付ディバイナ新聞)に掲載されました。

    

                                  ~記事要約~
 「JENがハンバントタで実施している心のケアに重点をおいた職業訓練事業は、スリランカソーシャルワーカー協会と協力して実施しており、地域の人材を活用した新しい手法を使っている。
 シシラサガマ村では、野菜菜園に必要な道具が提供され、40家族が野菜菜園事業に参加している。麻袋に土と堆肥を入れ、その麻袋に野菜を栽培するという、最小限の水を使ってできる画期的な栽培方法である。また、ポリエチレン製の袋を苗床として使いトマト、ナスビ、とうがらしなどを栽培している。

 ココナッツ・ロープ作りでは、各村でクラス毎に30の村人が参加している。参加者らは自分たちで作ったココナッツ・ロープからマットなどの製品を作っており、今後販路を拡大していくことを期待している。
 漁村では、ロブスター漁の魚網支援をしており、この事業では魚網を直接支給するのではなく、魚網を作ることから始めている。

 参加者の1人プレマダサ(T.M.Premadasa)さんにインタビュー、『魚網も何もかも津波で流されてしまい、とても落ち込んでしまった。政府から支給される5,000ルピー(日本円で約5,500円)の支援金以外何も支援がなかった。JENがこの村で支援活動をしてくれたおかげで、5,000ルピー以上の支援を受けることができた。3人1組となって魚網を作り、魚網を完成し、今はこの網を使って4人の仲間と漁に出ている。JENが私たちの村で支援してくれたことで、みな将来に希望を持つことができるようになった。』

 スリランカソーシャルワーカー協会メンバーも現場レベルで事業に参加しており、JENのスタッフ共に地元のコミュニティーと密接な関係を築いている。今後も協会と協力体制のもと、事業を実施していく予定である。」

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9月 29, 2005 心のケア魚網作り | | コメント (0)

2005年9月 8日 (木)

忘れられた村

050907_02   ココナッツロープ作りを行っている村の1つにモラカティヤーラ村があります。この村の受益者は、津波で家が壊れ、混乱のさなか、出来たばかりの公共アパートに避難し、そのままそこに住みつくことになりました。正式に登録した居住者でないため、政府や支援助団体からの支援が十分行き届いておらず、いわば「忘れられた」村でした。

 JENが訪れた時も、「ある団体が、ボートと網を全員にくれると約束したのに、その後何の音沙汰もない」、「外国の団体は来ても写真だけとって帰っていく」と支援団体や政府の支援へ強い不満、不信感をあらわにしていました。公共アパートといっても、4畳半ほどの狭い部屋が2つに台所だけ。ここで一家5人が半年以上の避難生活を続ければ、プライバシーのなさ、新しい家にいつ移れるのかわからない不安、ストレスでいらいらが募ります。

 事業開始当初は、人々は険しい表情をしていて、黙々と作業を行っていました。日々の作業とグループカウンセリングを通して、少しずつ表情が生き生きし、あちこちから笑い声が聞こえるようになって来ました。不便な避難生活のストレスを忘れ、仲間と共に作業するひと時が、前向きな力を取り戻すための確実な一歩となっています。

 

9月 8, 2005 心のケア漁業支援 | | コメント (0)

2005年8月18日 (木)

村対抗バレーボール大会

050817_02  JENは職業訓練活動の他、津波被害を受けた子どものためのスポーツ活動を行っています。この活動に参加する子どもの希望で、先日、事業村8ヶ村対抗バレーボール大会が実現しました。試合は男女別で行われ、村の人々も応援に駆けつけ、白熱した戦いが繰り広げられました。子どもたちは、この日を目標に日々練習に励んだそうです。勝った村のチームも、そうでない村のチームも、束の間津波のことを忘れて、さわやかな汗を流しました。


 ハンバントタは横に長くのびた県で、村の子どもたちはなかなか他の村の子どもと交流する機会がありません。「こんなわくわくする行事に参加するのは津波後初めて」、「遠くはなれた他の被災村の子どもと会えてとても嬉しかった。よい思い出ができた」、「またぜひ来年もやってほしい」、と喜びの声が子どもから多くきかれました。

※このバレーボール大会は”the good!”の皆様からのご寄付により開催されました。温かいご支援ありがとうございました。

8月 18, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年8月 4日 (木)

津波から半年以上経って・・・

050803_02  津波から半年経ちましたが、被害にあった人々の深い喪失感、悲しみ・・・は未だ癒えておらず、今後の生活不安が大きくなっています。JENが支援をしているハンバントタでも、「仮設住宅での不便な生活が長引き、イライラが募り、小さなことですぐに妻と言い合いになってしまう」、「津波後、子どものききわけが悪く、言うことをきいてくれなくなって困っている」、「夜、良く眠れない」、「今は、政府からの食糧支援に頼っているが、収入がないため、今後の生活が不安でならない」といった声があげられています。

 JENは職業訓練と同時にカウンセリングを行うことで、こうした人々の持つやり場のない不安やストレスを吐き出す機会を与えます。ソーシャルワーカー、心理学専門家は人々の話を聞き、こうしたストレスにどのように対処すればよいか、実際的なアドバイスを与えます。カウンセリングに参加したことで、「前向きな気持ちになれた」、「津波後、増えていたアルコール摂取量が減った」、「家族とコミュニケーションがうまくとれるようになった」、という声が上がっています。

8月 4, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年7月28日 (木)

折り紙

050727_02  先日、JENの支援者の方々が事業地のハンバントタ、キリンダ村を訪問されました。事業見学だけではなく、子どもたちへ文房具のご寄付、そしてまた日本の折り紙を紹介されました。

 1枚の紙から立体的な形ができる折り紙に子どもたちは興味津々!そしてみんな喜んではじめての折り紙に挑戦していました。この地域ではムスリムの子どもたちが多く、特にムスリムの女の子たちはあまり外で遊ぶ習慣がありません。 もしかしたら、室内でできる折り紙はキリンダ村の女の子たちの間で流行するかもしれません?!

7月 28, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年7月 7日 (木)

カロムゲーム

050713-01  子どものためのリクリエーション活動では、バレーボールやクリケットなど屋外でするスポーツの他に、カロムゲームという屋内で行うものもあります。

050713-02  カロムゲームとは、バックギャモンに似たスリランカでよく遊ばれているゲームです。特に、あまり外で遊ぶ習慣のないモスリムの女の子たちの間で、屋内でできるカロムゲームは好評です。こうした女の子たちも少しずつ元気を取り戻しています。

7月 7, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年6月23日 (木)

子どもたちの心のケア

050622_01   津波で家族を失い、被害の惨状(数多くの死体)を目にするなど、子どもたちも大きな精神的ショックを受けました。JENが活動を行っている被災地では、子どもたちが、波・水への恐怖により海沿いにある学校に行けなくなる、原因不明の微熱が続く、無口になり家に閉じこもり不登校がちになるなど、さまざまな問題があがっています。しかし、こうした子どもたちへの心のケアはまだ十分行き届いているとはいえません。

 JENはこうした子どもたちがつらい記憶、心の傷を癒す一助となるよう、スポーツを通した心のケアを行っています。子どもたちは毎日放課後、インストラクターの指導のもとで、バレーボール、クリケットなどのスポーツを通して、仲間と体を動かし汗を流します。

 ソーシャルワーカーが、子どもたちの様子を見守り、声をかけ、彼らの話に耳を傾けます。家に閉じこもりがちで、ソーシャルワーカーが付き添わないと、遊びに来なかった子どもたちも、徐々に元気を取り戻し、今では積極的に活動に参加してくれるようになりました。

6月 23, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年6月16日 (木)

悲しみを乗り越えて

050615  JENの職業訓練活動には、年齢、バックグランドの違ったさまざまな人たちが参加しています。人々は一緒に悲しみを乗り越え、新しい生活に向かって歩みはじめています。

 『ココナッツ・ロープ作り』に参加したクスマワティさん(44歳)
 「津波で夫そして職を失い、4人の子どもを抱えこれからどうしたらよいか途方にくれていました。夫を失った悲しみと今後の生活への不安とで、精神的につらく苦しく、ふさぎ込む日が続いていました。しかし、JENの『ココナッツ・ロープ作り』に参加し、参加者のみんなと毎日顔をあわせ、おしゃべりをしながら一緒に作業をすることで、苦しかった気持ちが少しずつですが、和らいでいます。今後は、ココナッツ・ローブでマットやほうきなどを作り収入を得て、少しずつ、自分自身で生計を立てられるようになればいいなと思っています。」

6月 16, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年5月26日 (木)

心のケアプロジェクト

050525  JENが現在行っている職業訓練、子どものスポーツの各活動には、インストラクターと共にソーシャル・ワーカーが配置されています。

 ソーシャル・ワーカーは、活動中の子どもを含めたJENの事業に参加した人々の様子を観察し、声をかけ、人々の悩み、心の声に耳を傾けます。毎日同じ時間を過ごすことで、人々は次第にソーシャル・ワーカーに心を開くようになってきています。はじめは黙々と作業を行い、他の人に話をすることもなかった人々が、今では津波のこと、家族のことさまざまなソーシャル・ワーカーに相談をするようになりました。特に、心のケアが必要と認められたケースについては、現地心理学専門家チームが、それぞれの家庭を訪れ、個別、家族カウンセリングを行っています。

 マスカウンセリングと呼ばれる集団でのカウンセリングも行っています。マスカウンセリングは、歌や、ロールプレイなどさまざまな手法を使って行われます。リラックスしたアットホームな雰囲気の中で行われ、心理学専門家が、さまざまな質問を投げかけ、それに参加者が答えるという参加型アプローチがとられます。「心が軽くなった」、「津波のつらい記憶を少しずつだが受け入れられることができるようになった」という声が届いています。

 また、ぜひ自分の家族にもこのカウンセリングを行ってほしいという要望もあがっています。心理学専門家からも、津波の被害を受けた人々に対する、こうした心のケアを広く進めていくことの必要性が指摘されています。

5月 26, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年3月31日 (木)

『心のケア』に重点をおいた生活再建事業

050331  南部ハンバントタでの配布事業が終了し、『心のケア』に重点をおいた生活再建事業を開始しました。この事業では、(1)ココナッツロープ作り、(2)手編み魚網作り、(3)小規模野菜菜園、(4)児童課外活動の4つの活動を通して心のケアを行います。各活動には技術指導のインストラクターとソーシャルワーカー/カウンセラーを1名ずつ派遣し、技術の指導を通して、グループカウンセリングを行います。

 新しい技術を学ぶと同時に、津波の被害や失ったものに対する悲しみを、他の被災者と語り合い共有することで、心の傷を癒します。新しい技術を学び、生活に必要な物を作り出すことで、自信と前向きな力の回復にもつながります。また、作製したロープや魚網などは、仕事を再開したり、収入に結びつき、生活再建の一歩になります。

3月 31, 2005 心のケア | | コメント (0)

2005年1月27日 (木)

被災地で感じる人々の人生

050127_01  コロンボから南部ハンバントタに向かう沿岸道路には、まだまだ津波の恐ろしさを物語る風景が続いています。破壊された建物が生々しく残り、その隙間にビニールテントや地面に刺した枝にビニールシートをかけただけの手製テントが建っています。

 イスラムの祝祭日にあたる21日は、本来ならお祝いが行われるはずでした。ハンバントッタはスリランカでは少数派のムスリムが多い地域ですが、「今年は祝う気分にはなれない」と避難所にいた人々が悲しそうに言っていました。

 ここのモスクは半分破壊されていましたが、人々は仮の建物で毎日5回、お祈りをしているそうです。この避難所はハンバントッタの海岸近くにあり、津波以前にその土地に住んでいた人々が、また同じ土地に住む、とテント生活を始めています。しかし彼らが同じ土地に引き続き住めるかどうかは、今後の政府の土地・住居再建政策にかかっており、その保証はありません。

 避難キャンプで、イラクでの出稼ぎから戻ってきたばかりという男性に会いました。バグダッドの米軍基地でドライバーとして働き、戻ってきたら津波で奥さんと子供、家を失ったとのこと。イラクで活動を続けるJENにとって、バグダッドで外国人が米軍と働くということの危険性は十分理解できます。苦労を重ねて家族の元にやっと帰ってきたのに、家族やせっかく貯めたお金で手に入れた家を失ってしまった... その心の傷の大きさは、想像するだけでも心が痛みます。被災者一人一人がそれぞれに異なる人生を背負って生きていることを改めて痛感し、今後きめ細かい支援が継続して行われる必要性を強く感じています。

1月 27, 2005 心のケア | | コメント (0)