2015年5月 1日 (金)

月刊スリランカ ー10年間の支援を振り返ってー<第4回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3

 北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。
 
 また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。
 
 今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

150205_20120529

 北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。
10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

Sri lanka

5月 1, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援漁業支援 |

2009年3月19日 (木)

漁協へのカヌー配布

090319_mofa_20090305_vahaneri__cano  東部バティカロア県キラン郡の灌漑湖で漁をする漁業協同組合(以下、漁協)に、漁業用カヌーと漁網を配布しました。紛争で避難している間に漁具を失ってしまったことに加え、再定住後に組合員の数が増えたことから、カヌーがとても必要とされていました。

 配布に先立ち、ワークショップを実施しました。漁協共有の財産であるカヌーを公平に使用する方法を決めました。また、漁協からのカヌー貸出しの際に発生する収支を記録する大切さやその方法について学びました。

 そして配布式では、キラン郡長や関係行政の方々にご出席いただき、皆さんの前でカヌーを漁協に渡しました。090319_monitoring_canoe_usagemulliw

配布式の翌日、早速、カヌーを使っている組合員の姿を見ることができました。「夕方、暗くなる前の4時過ぎにカヌーで湖の沖へ出て網を仕掛け、翌朝、網を回収し魚を採っています。カヌーをもらってから、毎日漁をするようになりました。昨日は1.5キロの魚が獲れましたよ。」ちょうど網を仕掛けに出かけるところだった組合の人が、話してくれました。

今年もスマイルシーズが始まります。ぜひ皆さんもご参加ください!

くわしくは、こちらSmile_seeds_horisontal_yell_2

3月 19, 2009 東部帰還民支援漁業支援 |

2009年1月22日 (木)

コミュニティの再生

090122_mofa_chabo_20090120_fcs_ws_4  キラン郡の帰還地にある、ワハネリ湖の漁業協同組合に対する支援のためのワークショップを開催しました。この地域にはふたつの漁協があります。ひとつはもとあった漁協から帰還後に分かれて独立した漁協、もうひとつは、過去の避難生活のたびに活動が中断し、現在うまく機能していない漁協です。

 参加者たちを小さなグループに分けます。最初に共同作業でパズルを完成させ、団結することの強みを確認します。そしてワークショップが始まりました。

 ワークショップ経験が豊富な講師が、このようなグループ活動を交えるのです。参加者たちをうまく惹きつけながら、漁協の機能、マネージメント人員の役割と責任、資金管理の方法などについての講義を行いました。
講義を聴く参加者たちは、真剣そのもの。「今日学んだことを活かして、漁協を再生・発展させていきたい」と話してくれました。

 紛争では、建物や生計手段が失われてしまうという物理的な被害に加え、コミュニティの機能が失われてしまうという、目に見えにくい被害も起こります。住民ひとりひとりが、自信を持って地域社会を再生・発展させていけるように「支える支援」を続けていきたいと考えています。

1月 22, 2009 東部帰還民支援漁業支援 |

2008年4月10日 (木)

400人の明るさ

080407_khataravery_14feb08  東部バティカロア県での魚網製作の職業訓練と心理カウンセリングが、3月末で終了しました。ジャパンプラットフォームとの協力により、昨年の11月から紛争被災者を対象に実施してきた事業です。この事業期間中に、10ヶ所の漁協において、各漁協40人に対し2ヶ月間、計400人を対象に行いました。

住民が帰還して1年も経っておらず、未だに厳しい生活が続く中で、技術を提供する支援は、当初住民に理解されにくく、現金や物資を求める人々もいました。しかし、各漁協で行われた終了式では、受益者から、2ヶ月間に渡って指導があったことに対する感謝の意が述べられ、今後はこの技術を使って生活を向上させたいという意欲が示されました。080407_panichchankeny_south_14feb08

また、紛争や津波による家族との死別や家庭内の問題などで引きこもりがちになっていた住民も、近所の人たちと一緒に訓練を受けました。そして、専門家からカウンセリングを受ける事によって、徐々にかつての明るさを取り戻すようになりました。

4月 10, 2008 心のケア漁業支援 |

2008年3月27日 (木)

力を合わせる海の民

Vaharai_5_fcs_meeting  ジェンが東部バティカロア県にて実施している、漁民に対する支援活動。この活動は漁業協同組合(漁協)を受け入れ機関としているので、円滑な活動には漁協の協力が欠かせません。

 この地域の漁協は、80年代から90年代にかけて設立されましたが、昨年までは、津波や戦闘のためにほとんど機能していませんでした。戦闘が終結し住民が帰還して1年、組合会合が月に1回程度開かれるようになりました。話し合いの内容は、軍や行政の新しい規則にどう対応するか、ジェンなどの支援団体とどう協力するかなど。参加者は、全組合員の5割から2割程度と少ないですが、今後は話し合った内容を行動に移していくことが期待されます。

(写真:漁協の会合)

3月 27, 2008 漁業支援 |

2008年2月14日 (木)

ボートの使用開始

P2140039  バティカロア県では昨年12月、漁業協同組合への支援の一環としてエンジン付2人乗りボートが配布されました。現在、そのボートが使用され始めています。使用方法について、ほとんどの漁協ではボートを組合員に貸し出し、獲れた魚介類の売り上げの中から燃料代を引いた利益を、漁協とボート使用者2名で3等分しています。

 今は、エビ漁がシーズンで、、多い時には1日10キロ以上のエビが取れ、5,000円以上の売り上げになります。このような日は、漁民1人あたりの利益が1日1,500円以上にもなり、彼らの生活向上の貴重な収入になっています。P2140020

 しかし、日によってはエビが1~2キロしか取れず、燃料代を引くと赤字になることも。また、1月は雨が多かったので、1週間以上漁にいけない時もありました。更に、網を持っていない漁民は網元に網を借り、売り上げの中から借り賃を支払っています。

 このように、お金を稼ぐことには苦労がつきものですが、少しずつとはいえ、支援活動の効果が出てきました。今後も、漁協に貯まった資金をどのように活用していくかなど、漁協の更なる活性化にむけてサポートしていきます。P2140042

2月 14, 2008 漁業支援 |

2005年12月22日 (木)

お金より大切なもの

1  11月19日から24日までの4泊6日(機内2泊)の日程で、スリランカへのスタディツアーを実施し、全国から8名の方々が参加して下さいました。

 マーウェラ村でココナッツ・ロープ作りに参加したアヌラ・マラニさん(40歳)は、ツアー参加者にJENの事業について次のように話してくれました。

 『JENの支援は直接お金をもらえるわけではありませんが、JENの事業がとても好きです。ワークショップで仲間と一緒にロープやマットを作ることで、将来のことを少しずつ考えられるようになりました。トレーニングで習得したココナッツ・ロープ作りの技術はお金のようにすぐに消えてしまうことはありません。ロープやマットを作り市場で売って、自分で収入を得ることができるのです。生活は楽ではありませんが、少しずつがんばっていこうと思います。

  今回、日本の皆さんが、遠方から津波被災者である私たちのことを忘れず、会いに来て下さったことをとても嬉しく思っています。』

アサヒコム「国際支援の現場から」好評連載中!

歳末募金のご協力をお願いいたします

 

12月 22, 2005 事務所・スタッフ漁業支援 | | コメント (0)

2005年9月 8日 (木)

忘れられた村

050907_02   ココナッツロープ作りを行っている村の1つにモラカティヤーラ村があります。この村の受益者は、津波で家が壊れ、混乱のさなか、出来たばかりの公共アパートに避難し、そのままそこに住みつくことになりました。正式に登録した居住者でないため、政府や支援助団体からの支援が十分行き届いておらず、いわば「忘れられた」村でした。

 JENが訪れた時も、「ある団体が、ボートと網を全員にくれると約束したのに、その後何の音沙汰もない」、「外国の団体は来ても写真だけとって帰っていく」と支援団体や政府の支援へ強い不満、不信感をあらわにしていました。公共アパートといっても、4畳半ほどの狭い部屋が2つに台所だけ。ここで一家5人が半年以上の避難生活を続ければ、プライバシーのなさ、新しい家にいつ移れるのかわからない不安、ストレスでいらいらが募ります。

 事業開始当初は、人々は険しい表情をしていて、黙々と作業を行っていました。日々の作業とグループカウンセリングを通して、少しずつ表情が生き生きし、あちこちから笑い声が聞こえるようになって来ました。不便な避難生活のストレスを忘れ、仲間と共に作業するひと時が、前向きな力を取り戻すための確実な一歩となっています。

 

9月 8, 2005 心のケア漁業支援 | | コメント (0)

2005年5月19日 (木)

ロブスターが獲れました!

050518_01  津波の被害にあった人々の多くは漁業で生計を立てていました。こうした人々は津波により家族や家ばかりでなく、ボートや魚網も失ったため、収入源を絶たれてしまいました。

 JENが現在行っている心のケア活動の1つに、津波被害にあった漁師の人々を対象にした魚網作りの職業訓練があります。

 先日、魚網作りの事業地のカラマティヤ村で、インストラクターの指導により初めてのロブスター漁の魚網が完成しました。津波後、一日も早く海に戻って漁を再開したいと願っていた参加者は、この魚網で実際にロブスターが捕れるかどうか試してみたいとのこと。そこでその日の夜、早速仲間たちと漁に出かけました。結果、翌日7匹のロブスターが獲れました! 緑色で大きいこのイセエビは1匹1,500Rs(約1,400円)で売れるそうです。

 自分たちで完成させた魚網で漁ができた喜びが、皆さんのこぼれる笑顔から伝わってきます。

5月 19, 2005 漁業支援 | | コメント (0)