2017年12月21日 (木)

14年間の全スリランカプログラムが終了

 JENスリランカ事務所は、2017年12月をもってスリランカでの活動を終了します。まだスリランカ内紛が続いていた2004年の津波被害支援から実に14年間という長い期間、皆さまに支えられて無事この時を迎えることができました。

 津波や洪水被害の緊急支援から紛争避難民の帰還支援まで、さまざまなプロジェクトを通し、スリランカの人びとの自立、そして開発へ向けて努力を続けてきました。それは、スリランカのプロジェクト参加者による積極的な参加、スリランカ政府の協力、現地スタッフの根気、そしてJENのサポーターの皆さまからの応援なしでは到底なしえなかったことでした。

 すべてが順調にいったわけではありません。スタッフ同士どのようにプロジェクト参加者の自立を促すことができるか、ぶつかることもありました。JENの目指す自立支援のあり方についてスリランカ政府と話し合いを重ねることもありました。貧困の苦しみや気候変化からくる不安で、参加者のモチベーションが上がらないこともありました。それでも、皆で励まし合い、最大限の努力をすることで、活動の成果を発揮してきました。

【話し合いをするJENスタッフたち】
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 スリランカでの気候変動は今後も続いていくと予想されています。今後また災害が起こったとしても、ともに学び、習得した知識を生かして困難に立ち向かっていくことを願っています。

 改めて、皆さまの14年間にわたるご支援、本当にありがとうございました。

【スリランカ・キリノッチ事務所、コロンボ事務所スタッフ一同】
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12月 21, 2017 緊急支援事務所・スタッフ生計回復事業帰還民支援 |

2017年1月19日 (木)

2017年は干ばつの年



みなさんは「災害」と聞くと何を思い浮かべますか?地震、洪水、津波、土砂崩れなど色々とありますが、干ばつを一例にあげる方は、日本にどれ位いらっしゃるでしょうか。

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【乾ききった大地。大規模干ばつが懸念される】

干ばつとは、雨が降らないことから長期的な水不足に陥る状態のことを言います。地震や津波などと違い、干ばつは目に見えないところで静かに起こりはじめ、食糧不足や水・衛生問題などを引き起こすことで、貧困で苦しむ人びとが増えることがあり、「サイレントキラー」と呼ばれています。スリランカでも過去10年に干ばつが9回起きており、約31万人の人が被害を受けています。農業を営む人びとにとって、水不足は死活問題です。

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【枯れた貯水池。平年は水が道路近くまでたまるはず】

スリランカでは季節風の影響で、マハ(9月から3月)とヤラ(5月から8月)といわれる2回の大きな収穫期があり、スリランカ国内で消費されるお米の大半はその時に収穫されます。特に雨季にかかるマハ収穫期では、多くの農家が雨水を使い大規模な農業を営むのですが、今年は雨がほとんど降っていないため作物の多くに被害が出ており、乾季での干ばつが懸念されています。

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【水路へ続くパイプにも水が届かず】

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【枯れた水路と枯れつつある田んぼ】

そのような背景の中でJENは2017年、干ばつ対策を含む減災・防災能力強化支援をスリランカで行っていく予定です。今までの事業で貧困層を脱した人びとが、災害によって再度貧困に陥らないよう、各家庭やコミュニティ内の自助能力を高めていくことを目標とし、スタッフ一同頑張ります。

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1月 19, 2017 生計回復事業帰還民支援 |

2016年12月 1日 (木)

野良犬成長記



スリランカの生活で欠かせないのは動物の存在です。農家の多い北部では、酪農や養鶏のため水牛、牛、ヤギやニワトリなどがいたるところに見られます。その中でもほぼすべての世帯に共通して飼われているのが犬です。

内戦で壊滅状態となった北部では、復興した今でも窓やドアのない家が多く、敷地も塀で囲われていないため、番犬の存在はとても重要です。ただ日本と違い、ほとんどの犬が去勢や避妊を行わないで放し飼いにされているため、野良犬があふれかえっているのも現状です。北部で動物シェルターも野良犬のケアを行う施設もなく、野良犬は外に落ちているゴミを漁って生きていくしかありません。

JENのスリランカ事務所ではここ数週間、事務所の前にやってきた生後1~2ヶ月の子犬を4匹保護し、里親探しをしながらスタッフの自費で育成をしています。それぞれ親犬がおらず、食料不足と不衛生な環境で生きていたため回虫とノミにたかられ皮膚病を患っていたのが、1か月で見違える姿になりました。この子犬たちが安定した家に引き取られるまでの一時的な預かりになりますが、それぞれ性格の違う子犬たちが育っていくのを見守るのが楽しい毎日です。


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【兄妹犬の「モモ」(左)と「お兄ちゃん」(右)】

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【3番目に事務所に来た「ヒメ」(右)と新入りの「クロマロ」。クロマロは現地スタッフに引き取られる予定で、ヒメは日本へ行く準備を始めています】

先週、一番初めに事務所にたどり着いた兄妹犬2匹を、JENが支援をしたアナイヴィルンタン行政地区で、JEN事業に参加されているスプラマニヤムさんに引き取っていただく事になりました。スプラマニヤムさんは、井戸が完成し今年から農業による収入もあがるため、子犬たちを責任もって育てることができると話してくれました。

このご家族はスリランカ中部のキャンディの出身で、1970年代に政府による迫害のため北部のキリノッチに移り住みました。内戦中、2009年に一時期ワウニア県に避難したあと、翌年の2010年にアナイヴィルンタンに戻ってきたという事です。内戦で家を失い、当初は土とココナツの葉で作った家に住んでいたそうです。今では政府の支援で家も立ち、ヤギ3頭とニワトリを飼う事ができています。また、今回の井戸建設の支援で農業も本格的に始められ、大きな収入向上が期待されます。今後も、この家庭の発展とともに子犬たちが健康に育つのを楽しみにしているJENスリランカ事務所です


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【スプラマニヤム家では「トミー」と「パピー」と名付けられ、元気に暮らしています】

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【JENが支援した井戸と共に】

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12月 1, 2016 事務所・スタッフ帰還民支援 |

2016年10月20日 (木)

フォードとタンバハマムコミュニティセンター建設



JENはコミュニティ強化支援の一環で、農業協同組合や村落開発委員会などコミュニティ内で活躍するグループが活動できるコミュニティセンターを建設しています。「地域の建物は地域の人たちで」という理念のもと、建設は業者を雇わず、土台から屋根まで全て地域の村落開発委員会の人びとによって行われています。

10月4日、このタンバハマムコミュニティセンター建設を支援しているフォード・モーターの社員ボランティア数名が Global Month of Caring というプログラムのもと、コロンボからキリノッチに赴き、建設を手伝ってくれました。この日の作業は建物の土台が完了した後の埋め戻しというもので、24平方メートルに延々と砂と土を運ぶものでした。

コミュニティセンターを建設しているタンバハマム地区のヴァナンカーニノース村は昨年の暮れに軍から解放され、今年の初めに帰還民の再定住がはじまったので、木もあまりなく、建物設備も整っていない場所です。一日のほとんどをエアコンの効いた部屋の中で過ごす社員の方々にとって、灼熱の太陽の下での力仕事はかなり大変だったようです。



【作業前の集合写真】
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【余ったブロックと取り除き土台の準備をするフォードとJENスタッフ】
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【この様に、砂をバケツや手押し車に入れて建物中まで運びます】
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建設の合間にJENが行っている井戸建設の訪問を通し、コミュニティの方々とも交流しました。タンバハマム地区は最近政府からシェルター支援が入りブロックで作られた家が建ち始めていますが、未だトタンやヤシの葉で作られた簡易シェルターに住む家庭も多く、水もJENの農業用井戸建設が始まる前は15世帯が2基の井戸と2つの水タンクを共有していました。

大都市コロンボとはかけ離れたタンバハマム地区の現状を見て、フォード・モーターの社員の方々は同じ国とは思えないと話していました。また、限られた資源を使ってたくましく生活をするタンバハマム地区の方々に刺激を受け、支援の必要性を実感したと話していました。

このような機会を通して、北部の現状だけではなく、その歴史や美しさ、またホスピタリティ溢れる人びとの様子などを今後も広めることが出来れば嬉しいです。



【コミュニティの方が作ってくれたお昼ご飯をよそうJENスタッフ】
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【埋め戻しの完了した建物。これだけでも1日かかりました!】
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10月 20, 2016 帰還民支援 |

2016年8月 4日 (木)

井戸建設が始まりました!

 スリランカでは、7月から活動の一つである井戸建設が始まりました。

 農業用水へのアクセスが限られており、現在では天水農業しかできない地域の方々にとって、農業用の井戸は年間を通して農業を営むために必要不可欠です。
JENはこれから2か月間、93世帯を対象に45基の井戸を建設する予定です。

 井戸建設は10メートルの穴を掘り、下からブロックを積み上げるようにできあがるので、地中での作業がほとんどとなります。
 今回対象とする地域は地下水の水量が多く、雨が降ると建設現場が地下水で覆われてしまい、頻繁な排水をしながらの作業となるため、建設が大変困難になります。
 そのため、JENではスリランカ北部で雨期が始まる10月までには建設を終わらせる計画をたてています。

 井戸の建設には、掘削、石工、プラスタリング、水量テストなどの主要なステップがあります。現在では業者が着工しているほとんどの井戸で掘削が完了しました。掘削はパワーショベルという重機を使い行われますが、途中数メートルの所でパワーショベルでは壊せない岩盤にあたることもしばしばあります。そういう時はジャンボブレーカーを使い、固い岩盤を壊しながら掘削を行います。

【パワーショベルによる掘削作業】
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 農業用の井戸を待ちに待っていた地域の方々は、井戸の完成と共に農業を始められるよう、小さな苗床をつくり始めていました。掘削が終了した段階で、これから井戸が作られる穴からは大量の水が確保できるので、バケツとロープを使い自力で水をくみ上げる人の姿も見られました。
 このように意欲のある方々がいち早く農業を開始できるよう、JENは引き続き業者のモニタリングを通し、井戸建設を進めていきます。

【井戸完成と共に農業が始められるよう、今から苗床の準備をしています】
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【掘削が完了した穴から水をくみ上げる人】
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【次の段階である石工作業に使うブロックも全て手作り】
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【数か月後にはこの土地が野菜であふれかえっていることを願って】
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8月 4, 2016 農業支援井戸建設・修復帰還民支援 |