2016年3月 3日 (木)

東部バティカロアの視察

 JENは2月26日、2010~2012年にかけて東部バティカロア県で行った農業生計回復支援の視察を、ドナーである日本大使館の方と共に行いました。

 バティカロアは主要都市のコロンボから約320キロに位置する海に面した県です。2006年後半より再度激化した紛争の最終激戦にもなったことでも知られており、一時期は県内で8万人以上の避難民が発生していました。JENはここで、2年間で552世帯を対象に69基の農業用井戸を建設し、地域の人々で構成される井戸管理員会を立ち上げ、組織強化のためのワークショップや野菜・苗の配布を通して、所得の低い地域を対象に生計回復支援を行いました。

 視察で5か所の井戸を訪問し、10世帯ほどの家族とヒアリングをした結果、訪問したほとんどの世帯で農業による収入が大幅に増加していること、井戸管理委員会が井戸やポンプのメンテナンスを定期的に行っていることなどがわかりました。事業前は月収1,000~1,500ルピーだった家庭が、自身の農家で採れた野菜や果物を売ることによって月に20,000から40,000ルピーにまで収入を上げることができていました。(1,000ルピー=約785円)

 また、基本的な混作を行う家庭の他、コミュニティ内で育てる作物を分担し収入を分け合うなど、ワークショップの学びが活かされている様子も見られました。さらに、井戸をJENの事業参加者だけではなくコミュニティの方々に開放していたり、井戸からパイプを繋げ約1キロの水供給ラインを作るなど、独自の工夫を凝らすコミュニティもありました。

 各世帯に収入増加によって得られたことを聞くと、土地を買い農地を拡大させた家庭が多く、他にも畑を耕したり農作物をマーケットへ持っていくためのトラクターを購入したり、新しいポンプを購入するなど、支援が継続的な効果をもたらしている事もわかりました。また、生計が回復したことにより子どもたちを学校に通わせることができたなど、波及効果も見られました。

 生計回復支援は成果が見られるまで数年はかかる事業ですが、バティカロアの方々のようにJENが提供した井戸や農業に関する知識を用い、独自で効果を増大させることによって経済的な自立につながるよう、今後も支援をしていきます。

【採れたてのオクラ】
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【乾季でも十分な水量を持つ井戸】
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【地域の人々にヒアリングを行うJENスタッフ】
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【簡易的な水供給パイプライン】
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3月 3, 2016 東部帰還民支援農業支援井戸管理委員会生計回復事業 |

2016年1月 7日 (木)

フォローアップが大事!

 あけましておめでとうございます。
 スリランカ人の大多数を占めるシンハラ人とタミル人の新年は4月14日ですので、スリランカ事務所では師走の雰囲気は一切なく年末を迎えました。
 そんな中、2015年を振り返り、残りの事業期間3か月の間にするべきことを確認するため、北部事業に関わる全スタッフが参加するオールスタッフミーティングを12月30日に開きました。

 井戸建設、ワークショップ、農業用アイテムの配布といくつか活動が残っていますが、残りの期間は今まで実施してきた支援を受け取った方々が有効活用できるように、しっかりフォローアップしていくことに力を入れよう、と気持ちを新たにしました。

 たとえば、設立した井戸管理委員会や農業協同組合の活動が継続されているか、配布した種苗を効率よく栽培できているか、農業訓練・マーケティングワークショップで学んだ内容を有効利用できているか、などを確認していきます。もし上手くいっていない、困っている世帯やグループがいたら、スタッフが随時アドバイスをするなどしてサポートしていきます。

 モノを配布、ワークショップを開催、井戸を建設、組合を設立。それだけでは支援は終わりません。むしろ、その後のサポートをいかに丁寧に、そして効果的に行うかで、JENが実施した支援の成功度合いが決まってくると考えています。

 残り3か月、スタッフ一丸となり、より良い支援を提供すべく、尽力いたします。

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現地事業担当
西田亜理沙



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1月 7, 2016 事務所・スタッフ農業支援北部帰還民支援井戸管理委員会 |

2015年5月14日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第4回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3

 北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。

 また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。

 今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

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 北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。

 10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。




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5月 14, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復井戸管理委員会 |

2014年11月 6日 (木)

コミュニティ強化ワークショップ

 農業用井戸や農業器具を住民の間でうまく共有してもらうために、井戸管理委員会を設立しています。 
 いきなり井戸管理委員会、と言っても現地の人たちにはピンとこないので、コミュニティの意義を理解してもらうためにワークショップを開いています。
 
 ワークショップでは、

- ステークホルダとは?
- リーダーシップとは?
- コミュニティで意見の衝突が発生したら?
- コミュニティでトラブルが発生したら?

 をテーマとして取り扱い、コミュニティをうまく運営するためのヒントを得てもらいます。

 そのワークショップを10月28日、11月4日、11月5日に開催しました。
 講師には大学でも教鞭を取っている現地コンサルタントを迎えました。

 まずは、参加者の緊張をほぐすためにアイスブレークをします。それも信頼感を高めるために、目をつむり隣と手をつないで移動したり、ちょっとしたチーム形式のゲームにしたりしています。
 特に、2地域合同で開催した回では、初めは地域で完全に分かれて座っていたのが、ワークショップが進むにつれて、会話も増えてきました。

【アイスブレーク】
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 その後もグループワークを中心として参加者の集中力が途切れることなく、知識が身につけられるように工夫を加えています。

【グループワーク】
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 次は11月中旬に農業技術ワークショップを開催します。

 現地総務経理担当 那須田


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11月 6, 2014 井戸管理委員会 |

2014年5月22日 (木)

新事業の開始

 2月28日をもちまして、北部ムライティブ県と東部アンパラ県での事業が無事完了いたしました。ご支援くださった支援者の皆様、日本政府には、感謝を申し上げます。

 3月からは、支援者の皆様と、日本政府の協力を得て、北部ムライティブ県とキリノッチ県での事業を開始しました。

これまでの経験を生かし、

 農業生計回復支援として、
①農業給水支援:48基の農業用井戸建設と給水ポンプ・井戸保護フェンスの配布
②生産性向上支援:コンポスト作成や有機農薬作成などの農業技術ワークショップの開催と種・苗・農業器具の配布
③収入向上支援:生産物から効率よく収入を得るためのマーケティングをテーマとしてワークショップの開催

 コミュニティ再生支援として、
①井戸管理委員会の形成:4世帯(井戸2基)で構成する24の井戸管理委員会を設立し、給水設備と共有農具の共同管理を通してコミュニティ活動の意義やリーダーシップの取り方を身に着けるワークショップを開催する
②農業協同組合形成:5つの農業協同組合を形成することで組合化による収入向上を目指す

を実施します。

 今回より、前回まで事業を行っていたムライティブ県プドゥクリルプ郡に加え、同県オッディスダン郡、キリノッチ県パッチラパライ郡で事業を展開することとなりました。

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 それぞれの地域にはもちろん選んだ理由があります。

・ムライティブ県プドゥクリルプ郡:悪路のために支援が行き届かず、未だ取り残されてしまっている
・ムライティブ県オッディスダン郡:ムライティブ県の中で最も戦闘の激しい地域であったたため、支援ニーズが高い
・キリノッチ県パッチラパライ郡 :2012年に再定住が行われたばかりの地域で、まだ支援が届いていない

 次回以降、各地域について順番にご紹介します。

 現地総務経理担当 那須田 智生

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5月 22, 2014 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸管理委員会 |