2016年8月18日 (木)

井戸建設の難しさ

 こんにちは、私はJENスリランカでサポーターをしている首藤です。スリランカに来て約1ヶ月がたち、暑い気候や食事にも慣れてきました。

 さて、スリランカでは今期の井戸建設が始まっています。

 井戸建設でまず直面するのが、工事中の地下水流入の問題です。これは、雨が地下から湧き出るもので、排水しながら掘削作業をしなければならなくなります。こうした事態を避けるため、乾季に工事を進めるようにしています。また、乾季でも地下水位の高さやスコールの影響で水がたまることがあるため、人手や機械により排水をしながら作業を進めます。

次に直面するのが、地質の問題です。地面が固い場合には地表から機械で一気に掘削してからブロックを積み上げる掘削方式が、地面が柔らかい場合には井戸の周囲の壁を建設しながら掘り下げ、井戸自体を少しずつ落としていくステップダウン方式がとられています。

【ブロックを積み上げながら掘り下げるステップダウン方式】
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 先日、後者の方法がとられていた地域で、水平が崩れた状態で井戸が下がり亀裂が入ってしまうという事件が発生しました。
 これは、雨季前に工事を終わらせるため速度や効率を重視した結果起きてしまったと考えられますが、他の地域では同じ工程でも問題なく建設が進んでおり、井戸建設がいかに環境に左右されるかを実感しています。

【ステップダウンの最中にできてしいまったひび割れ】
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 これに対し、JENの技術担当者と業者の話し合いの結果、井戸の土台に振動を与えずに周囲を均等に掘り進め、時間をかけて水平を保ちながら井戸の土台を落としていけるよう、人力による掘削手法を試しました。その結果、亀裂なく建設を進められたため、この地域では全13基を機械ではなく人力で掘削することにしました。

【ひびの入ってしまった井戸について、建設業者と解決策を話し合っている様子】
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【人力で井戸を掘り下げている様子】
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 水の利用が限られている地域で農業を順調に行うためには、井戸は必要不可欠です。
 その建設のため、手作業で掘削を進めていかなければならないというのは、誤解を恐れずに言えばかなり原始的な響きがあります。しかし、これは現場で最善の手段を協議のうえ選択したものであり、望ましいものであると思います。

 今後は問題なく建設が進むことを願うばかりですが、今回のように技術者と建設業者とで知恵を出し合い、協力をしながら井戸建設を進めていけば、地域の人びとに問題なく井戸を提供できると感じています。

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8月 18, 2016 井戸建設・修復 |

2016年8月 4日 (木)

井戸建設が始まりました!

 スリランカでは、7月から活動の一つである井戸建設が始まりました。

 農業用水へのアクセスが限られており、現在では天水農業しかできない地域の方々にとって、農業用の井戸は年間を通して農業を営むために必要不可欠です。
JENはこれから2か月間、93世帯を対象に45基の井戸を建設する予定です。

 井戸建設は10メートルの穴を掘り、下からブロックを積み上げるようにできあがるので、地中での作業がほとんどとなります。
 今回対象とする地域は地下水の水量が多く、雨が降ると建設現場が地下水で覆われてしまい、頻繁な排水をしながらの作業となるため、建設が大変困難になります。
 そのため、JENではスリランカ北部で雨期が始まる10月までには建設を終わらせる計画をたてています。

 井戸の建設には、掘削、石工、プラスタリング、水量テストなどの主要なステップがあります。現在では業者が着工しているほとんどの井戸で掘削が完了しました。掘削はパワーショベルという重機を使い行われますが、途中数メートルの所でパワーショベルでは壊せない岩盤にあたることもしばしばあります。そういう時はジャンボブレーカーを使い、固い岩盤を壊しながら掘削を行います。

【パワーショベルによる掘削作業】
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 農業用の井戸を待ちに待っていた地域の方々は、井戸の完成と共に農業を始められるよう、小さな苗床をつくり始めていました。掘削が終了した段階で、これから井戸が作られる穴からは大量の水が確保できるので、バケツとロープを使い自力で水をくみ上げる人の姿も見られました。
 このように意欲のある方々がいち早く農業を開始できるよう、JENは引き続き業者のモニタリングを通し、井戸建設を進めていきます。

【井戸完成と共に農業が始められるよう、今から苗床の準備をしています】
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【掘削が完了した穴から水をくみ上げる人】
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【次の段階である石工作業に使うブロックも全て手作り】
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【数か月後にはこの土地が野菜であふれかえっていることを願って】
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8月 4, 2016 農業支援井戸建設・修復帰還民支援 |

2015年12月10日 (木)

大使の視察

 少し前の話になってしまいますが、11月3日に、在スリランカ日本国大使館の菅沼大使と大使夫人が、JENの事業地を訪問されました。

 現在、北部ムライティブ県とキリノッチ県で行っている帰還民のための活動は、支援者の皆さまと日本政府の協力を得て行っています。

 2015年6月に着任された菅沼大使に、実際にどのような活動をしているのか見ていただくとても良い機会となりました。

 今回はキリノッチ県で設立・運営サポートを実施している「農業協同組合の製粉センター」および「完成して間もない井戸」の状況をご紹介し、さらに組合メンバーとお話ししていただきました。
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 製粉機でどのような加工品ができるか説明しました。
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 大使ご一行を歓迎すべく集まった組合メンバーが、製粉機センターの外で話を聞いています。
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 完成したばかりの井戸を見ていただいたりし、
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 大使夫人は井戸の大きさに驚かれていました。

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 最後に、菅沼大使より激励の言葉をいただき、組合メンバーと共に記念撮影をしました。
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 現地事業担当
 西田亜理沙

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12月 10, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2015年11月 5日 (木)

長い困難の中で家族を守る(後編)

 マリーニさんの話は続きます。

「私は農業関係で働いたことがあるので、ある程度の経験はありますが、井戸がないため農業を続けることができませんでした。しかし、今回のJENの支援によって小規模な農業を始められるので、私の生活は大きく変わることになると思うととても楽しみです。

 井戸建設の最初の掘削工事が始まり、完成が待ち遠しくてなりません。まず家族のための家庭菜園を始めたいです。そして、もしうまくいったら、作った野菜を売って収入を増やしていきたいです。
 
 娘たちは、井戸ができて体を洗うために出かける必要がなくなることを待ち望んでいます。そういった外出は安全上問題があるため、長い間心配の種でしたから」

「私は井戸の立派な持ち主になります」
 とマリーニさんは力強く言いました。

「JENと、このプロジェクトに携わっているスタッフの方には感謝の言葉しかありません。JENは私たちがとても長い間直面してきた根本的な問題を理解し、私の村の立場の弱い人々に必要な時宜を得た支援を提供してくれました。

 また、このプロジェクトの実施に必要な資金の面でJENを支援してくれたすべての人々にも感謝したいと思います。

 水へのアクセスは、人々の生活になくてはならないものです。JENの温かい支援に私たちの心を打たれました。これからずっと、この井戸から水を汲むたびに、この支援のことを思い出すでしょう」

 と楽しそうにマリーニさんは話してくれました。

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 フィールドオフィサー
 T.サレンダー

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11月 5, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2015年10月15日 (木)

長い困難の中で家族を守る(前編)

 JENのスタッフです、と私が彼女に自己紹介をすると、オッディスダン郡タチャダンバン村のクマール・マリーニさんの目は輝きました。
「家族を養うために長い間困難と闘ってきましたが、今私は希望にあふれています。JENの事業に参加して、日々の生計向上をもたらす資産を持つと同時に、小規模農業による収入を得ることが可能になるからです」
 と彼女は言いました。

【マリーニさんと山羊】
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「私は43歳で、16歳と14歳の娘がいます。私の夫は、20年以上にわたった残酷な戦争の犠牲になり、私たちの生活は一瞬にして破壊されました。
 2000年に夫が亡くなったことは私にとって想像を絶する悲劇で、私の人生も終わったと思いました。でも、その後も何とか頑張って生きてきたのは、2人の小さい娘を育てなければならないという責任感のためだけでした。

 夫の死からの15年間、娘たちを食べさせ、できるだけのことをしてやるために奮闘してきました。私は道路工事や水田での農作業を手伝う日雇い労働者です。これらの仕事はいつもあるわけではありません。私が稼ぐお金は日々の家族の食事を作り、小さな娘たちに最低限の必需品を与えるのにかろうじて足りる程度のものです。このような日雇い労働以外には収入の手段はありません。
 ただし、収入につながる唯一の蓄えとして2匹の山羊を飼っています。

 JENの2015年度プロジェクトの対象者に選ばれたとき、私は本当に救われたと思いました。女性世帯主の世帯として認定され、小規模農業を始めるための農業用井戸を供与される、と伝えられました。飲み水を近くの共同井戸から汲んでくるのに大変苦労していたので、自分の井戸を持てると聞いて本当にワクワクしました。娘たちも共同井戸で体を洗うのを嫌がっていましたので、井戸の供与は私たちの生活にとって素晴らしいサポートになります。

 また、このプロジェクトの別の要素として、「共有」という考え方があります。井戸は私と隣人の二つの家族で共有し、どちらの家族にも便利なように、両方の家の真ん中の場所に建設するということで合意しました。

 私はJEN主催のワークショップにも出席しました。そこでは一貫して、お互いに助け合うこと、共通の目標を持って達成を目指すことが話されました。これらはお互いが生き延びるため、社会生活上の重要なことだと思います。このワークショップのおかげで私の知識はさらに向上しました。隣人と井戸を共有しながら、きちんとした社会生活を送ることを楽しみにしています」

(次回に続きます)
 
 フィールドオフィサー
 T.サレンダー

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10月 15, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2015年9月17日 (木)

ステップダウン方式による井戸建設

 生計回復支援といってもどうやって「生計」を「回復」するの?
 そのような疑問に今回はお応えしようと思います。

 JENが支援している帰還民の方々が住むのは農業地域です。紛争前は農業を営んでいる世帯が多かったのです。しかし避難している間に土地は荒廃し、農具や給水設備は略奪されました。帰還した後は、雨季はどうにか小規模に農業を営むことができるけれど、乾季の間はいつ仕事がなくなるか分からない日雇い労働をするしかない。そんな方々に対し、JENは農業を1年通して続け、安定した収入を得られるように支援をしています。

 その主な支援の一つが、農業用井戸の建設です。井戸水さえあれば、雨が全く降らない乾季の間でも農業を続けられるからです。では、皆さんは、井戸の作り方をご存じでしょうか。

 方法は複数ありますが、今回は中でも特殊なものをご紹介します。
 その名も「ステップダウン方式」です。

 通常の方法は、掘削機を用いて7.5mを一気に掘り、下からコンクリートブロックを積み上げ、内側と外側にしっくい塗りをし、仕上げに壁と井戸の隙間を埋め、完成です。
 これに対し「ステップダウン方式」の手順は少し異なります。

①湧水が出てくるまで2~5メートルを掘削機か手作業で掘ります。
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②ベースリングビーム(土台)を設置します。
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③ブロックを1、2メートル積み上げます
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④しっくい塗りをします。
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⑤ブロックの重さで井戸が沈むのを待ちます。
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⑥1、2メートル沈んだら、またブロックの積み上げとしっくい塗りを繰り返し、定めた深さまで井戸建設が進んだら、仕上げて完成です。
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【ステップダウンのイメージ図】
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 では、なぜこのような少し特殊な方法を採用しているのでしょうか。

 それはキリノッチ県の事業地が海に近いからです。土壌が砂や粘土を多く含んでいてやわらかく、一気に掘り進めてしまうと、壁がすぐに崩壊してしまうのです。このステップダウン方式で建設すれば、砂土の中に井戸が勝手に静かに沈んでいきますので、壁が崩れるリスクは少なくなります。

 7月末より始まった井戸建設も中盤に差し掛かってきました。地域の方々は「毎日30分以上かけて遠く井戸から何度も水を運ばなくてすむようになる」「いつでも土地に水をやれるようになる」「井戸を持っていない近所の世帯にも水を共有できる」と、完成が待ち遠しいようです。

 雨季に突入する11月より前に、全ての井戸の建設を終わらせたいと思います。

 現地事業担当
 西田亜理沙

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9月 17, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復生計回復事業 |

2015年8月 6日 (木)

事業地オスィヤマライ行政地区での初の事業参加者向けミーティング

 7月7日、JENはオスィヤマライ行政地区にて、事業参加者のサポートとして、初のミーティングを開催しました。
 JENからは事務所長代理、プログラムオフィサー、コミュニティーワーカー、フィールドオフィサーが参加しました。関係者は、事業参加者はもちろんのこと、事業参加者選定委員会のメンバー、住民組織のリーダーらが参加しました。
 
 会議の主な目的は、JENスタッフと事業参加者がお互いを知るとともに、事業内容を説明し、生じた疑問点を明らかにすることです。JENは、事業参加者は生計回復支援事業の内容について十分に知ることができるよう、丁寧に説明する事を心掛けました。

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 事業参加者は井戸のサイズを大きくすることを要望しました。乾季の野菜栽培に強い関心があるためです。加えて、雨季が終わる前に建設作業が完了することや、ワークショップへの参加を熱望していました。
 
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 事業参加者は、生計回復支援について理解を示してくれ、また、私たちの井戸管理委員会や農業協同組合の形成に関するアイディアに賛成してくれました。理由は、集団での作業は自分たちの絆を深め、収入の向上を支えるということを皆知っているからです。
 そのうえで、いくつかの意見が出されました。常設の水源や衛生的な建設物といった基本的な設備が整った食品加工センターの建設がいいという人もいました。コミュニティ強化支援での計画の際に自分たちの意見を取り入れてほしいという意見もありました。さらに、井戸建設にあたっては、作業質を確保するためにも、日雇いの労働者として現地の人材も含めてほしいという要望もありました。

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(Photo8)

 また、農業協同組合形成後、少なくとも3か月はフォローアップを行ってほしいと言う要望もありました。私たちも、農業協同組合の運営が軌道に乗るまでの期間をサポートすることは重要だと考えています。 
 地域の人々は非常にJENの活動に興味をもっており、事業について定期的に話し合いを持ちたいと話していました。事業参加者と良好な関係を築く第一歩となった、と感じました。

 オスィヤマライ担当 フィールドオフィサー
 アダイカラン


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8月 6, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2015年5月14日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第4回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3

 北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。

 また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。

 今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

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 北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。

 10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。




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5月 14, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復井戸管理委員会 |

2015年4月 2日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第3回>

 
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その2

 2009年5月、26年続いた紛争が終結した後、北部では最大28万人以上の国内避難民が北部難民キャンプから帰還を開始しました。これを受け、JENは同年6月以降、深刻な水不足の状態にあるワウニア県の難民キャンプにて、給水活動を通して生活に必要な水を確保できるよう支援しました。
 
 

 同時に、帰還先で必要な緊急支援物資(衛生キット、シェルターキット、補完食糧)を配布しました。また、荒廃した地域に帰還した住民が水源を確保し自立した生活を再開できるよう、地域をムライティブ県へ広げ、引き続き仮設住宅とトイレの建設、井戸修復・清掃や農具の配布などを行いました。

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【この続きは5月に掲載します。ぜひまたご覧ください】


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【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。

イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。

くわしくはこちら

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4月 2, 2015 支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援井戸建設・修復生計回復事業 |

2015年3月19日 (木)

井戸用給水ポンプの配布

 JENスリランカでは今、スリランカ北部のムラティブ県で38箇所、キリノッチ県で10箇所の井戸の建設を進めています。

【JENの建設している農業用井戸。深さ10mまで掘り進めます】
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【建設途中の井戸】
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 スリランカ北部は、10~3月が雨季、5~9月が乾季と言われていますが、ここ最近は乾季が始まるのが早くなっているのか、今年は1月からほぼ毎日晴天が続いています。乾季になると、井戸の水位が低くなります。すると、重いバケツを10m近く引っ張り上げる事になり、くみ上げるだけでも、重労働になってしまいます。

 そこで、JENは井戸ポンプ↓の配布を行っています。
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 今回は、3月4日にムラティブ県3か所で行った井戸ポンプ配布の様子をご紹介したいと思います。

 地域の集会所につくと…

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 すでに女性たちが私たちの到着を待っていてくれました。

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 2世帯~4世帯に1基の井戸を建設しているこの地域。
井戸を一緒に使うグループごとに、ポンプとホースをお渡しします。

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 12mのホースとポンプを受け取ったお母さん。嬉しそう。

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 自転車の荷台に乗せて、お家まで運びます。

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 この地区では、時に500m~1km以上も離れた共同井戸から水を運ぶことが常です。
日常に使う水だけではなく、農作物への水やりにも必要な為、1日に数10回も往復する事になり、家族で分担しても、その拘束時間は1日に5~6時間にも上ります。また、女性やお年寄りにとっては重労働で負担も大きくなります。

 また乾季には、その共同井戸が干上がってしまって、農地を縮小せざるを得なくなることもしばしばです。JENは、農業井戸を建設することでその拘束時間を減らし、十分な水を供給することで地域の人びとの農作物の収穫量を増やし、収入に結び付くようこれからも支援を続けていきます。

 おまけ。

【集会所のすぐ隣にある村の中の商店。真ん中はお店のお母さん。
 お野菜や、石鹸、飲み物、アイスキャンディーなんかも売っています】
 (手前の白い発砲スチロールの箱に入っています)
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【この商店で売っていた野菜】
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 地域の人たちが作った野菜はこんなところで売られていたりもします。



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3月 19, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2014年10月23日 (木)

地域の方へのインタビュー<キリノッチ編>

 私はイタベル村に以前から住んでいました。7人の子どもがいますが、娘の1人は19歳の時に強制的に武装グループへ参加させられて、紛争中に亡くなってしまいました。娘が1人、衣料工場で働いているのが唯一の安定した収入で、あとは夫が日雇い労働で収入を得ています。生活のニーズを満たすほどの収入は得られていません。

 この村は紛争から直接的に被害を受けており、ほとんどのものが破壊されてしまいました。家や共用の建物、排水設備、大きな木さえも。私たちは2004年から2012年まで避難していました。私たちが帰ってきたときには村は墓地の様になっていました。

 私たちはいつも現在の生活や、どのように収入を得てどのようにやりくりするかについて考えています。これが唯一の生きていく方法であり、平和をもたらすものと考えているからです。必要なものは隣人には頼りません。一生懸命働いて努力することが幸福へのビジョンだと信じているからです。

 農業協同組合については今のところ多くのアイデアを持っているわけではありませんが、グループとして働くことは時間を節約し、新たなアイデアを共有し、地域を発展させることができるものだと期待しています。  

【インタビューに答えてくれた方と家族】

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10月 23, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2014年10月 9日 (木)

地域の方へのインタビュー<ムライティブ編>

 私は4人の子どもと夫と共にタチャダンバン地区に住んでいます。子どものうち、2人は障がいを持っており、1人は日雇い労働に従事し、もう1人は学校に通っています。井戸は持っていませんが、日々の食事のために小さな家庭菜園で野菜を栽培しています。水は近所の人から分けてもらい、バケツにくんで運んでいます。

 1997年から2000年の間、国内避難民キャンプで過ごしていました。2000年に自分の家に帰ってきたときには家は完全に壊れており、畑は地雷原となっていました。未だに大きな穴が敷地内に残っています。その後、2008年から再び紛争のために土地を離れ、2010年に帰ってくることができました。

 私が家庭菜園に関心を持っていることを考慮に入れて、JENは私を支援対象者に選んでくれました。直接、私たちの生活の様子を確認した上で、選んでくれたのです。JENのサポートによって私たち家族が前向きになれることを願っています。農業用井戸ができて、自分で家庭菜園ができることを想像するとハッピーな気分になれます。もし、家庭菜園から収入を得ることができるようになったら、家を建て直したいと思います。

 農業協同組合の設立も、私たちの村にとって経済的、文化的、社会的な手助けになると感じています。協同組合の機能は、将来的に村で子どもたちが大きなスケールでビジネスをする助けになると思います。

 日本の人たちとJENが、私たちの生活の手助けをしてくれていることにあらためて感謝します。

【地域の方とJENスタッフ】
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10月 9, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2014年6月19日 (木)

ムライティブ県オッディスダン郡での支援

 本年度の事業地である、ムライティブ県オッディスダン郡(Mullativu District,Oddusuddan Divisional Secretary)の様子をご紹介したいと思います。

【北部州全体から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】
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【ムライティブ県から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】
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 オッディスダン郡は2009年の紛争終結の翌年2010年に、そこに住む人たちの帰還が始まった地域です。しかしながら、ムライティブ県で最も戦闘が激しかった地域でもあり、十分な支援が行き届いておらず、未だほとんどの人たちが仮設シェルターに住み続けています。

【藁とトタンでできた仮設シェルター】
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【仮設シェルターの側面】
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 この地域の80%の人たちが家庭菜園で生計を立てていますが、雨水に頼っているため、野菜栽培ができない期間は日雇い労働で収入を得ています。
 そのため平均月収は、スリランカ政府が定めた貧困ライン3,774ルピー(約2,800円)(2013年8月時点)に対して、約1,500ルピー(約1,200円)と大きく下回っており、生計を立てるための支援を必要としています。
 さらに、25%の世帯主が女性という状況でもあります。

 井戸を持っているのは地域の10%程度の世帯にすぎません。ほとんどの世帯は飲料水を共用井戸から得ているため、農業を行うための大量の水をその井戸から取水するわけにはいきません。その共用井戸も壊れてしまっていたり、枯れてしまったりしており、水不足が深刻となっています。

【枯れかけてしまっている井戸】
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 この地域に農業用井戸を建設することにより、農業収入の増加が促進されるだけではなく、共用の飲料用井戸との棲み分けができることで飲料水確保の競争が軽減されることが期待できます。

 現地総務経理担当 那須田 智生



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6月 19, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2014年4月10日 (木)

農業協同組合

 これまで農業用井戸建設やワークショップの様子をご紹介してきましたが、JENは農業協同組合の設立の支援も行っています。

 農業協同組合は農業用井戸を管理する井戸管理委員会のリーダーで構成し、1世帯では解決が難しい問題や新しいチャレンジに対して協力して取り組む仕掛けとして設立します。
 とは言え、協同組合と言っても抽象的であるため、具体的なテーマとして共同コンポスト作業場を設置し、その運営を基盤として協同組合を強化することにしました。
 コンポスト作業場の設置に当たって、コンポストの材料を集めるためのトラクター、コンポストの材料を効率よく粉砕するための裁断機、作業するための機材、それらを保管するための倉庫を農業協同組合に提供しました。

【提供したトラクター】
140409_tractor

【材料を粉砕する裁断機】
140409_chopper

【建設した倉庫】
140409_hut

 コンポストの作成は農業ワークショップを通して技術を伝え、各世帯で実践しているため、住民がよく知っています。そのため、コミュニティ強化のミソである組合運営に注力できると考えました。
その工夫もあってか、住民の間で議論が活発になり、「コンポストが大量に生産できるようになったら、農業局にブランド登録して売ろう」、「共同コンポスト作業場の倉庫を収穫した野菜の販売所としても使ってみよう」といった意見がから出ています。

【共同コンポスト場の様子】
140409_compost_yard_2

 そして迎えた開所(?)式は住民総出で準備が行われました。開所式は、住民が地元の子どもたちで構成された楽隊と共に敷地に行進して入場することから始まります。そして、コンポストの材料を裁断するデモンストレーションを行いました。その際に現地行政機関の担当官の人から「各世帯から材料が集められて裁断されることによって、蚊の繁殖場所が減って、デング熱対策にもなるね」と、新たな知見を得ることができました。

【開所式の様子。普段にはないデコレーションがされています】
140409_ceremony

【子供たちによる楽隊】
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【材料裁断のデモンストレーション】
140409_demo

住民のあまりの気合いにひるんでしまうほどでしたが、同時に農業協同組合の発展も期待できると感じる一日でした。

 現地総務経理担当 那須田智生

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

4月 10, 2014 井戸建設・修復 |

2014年3月27日 (木)

自分たちで工夫

 2013年12月のことです。

  井戸の建設が完了した後には、その井戸を利用する住民で構成した井戸管理委員会に対して、給水ポンプとホースを配布しています。その井戸の利用状況を確認しに行きました。

ところが、驚いたことにほとんどの住民は給水ポンプを利用していませんでした。

それもそのはず、受益者の方曰く、
「雨季は農作物を育てる水は雨から得られるので、給水ポンプを使うほどの水量はまだいらない。雨が降らなくなったら使い始める」
とのことでした。
 その代わりに自分たちで滑車を設置して足りない分を手作業で汲み、ポンプを動かすための燃料代を節約していました。滑車は手作りで、使えなくなった電気メーターやバイクの歯車を流用しています。

【滑車が設置された井戸】

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 このようにJENの支援をさらに自分たちで工夫して活用している様子を見ることができ、うれしく思います。

  また、井戸は2世帯で1基を共有しますが、やはり、よいと思えることは積極的に真似しあうようで、滑車を設置したお向かいさんも必ず滑車が設置されていました。

 このような機会から隣人同士の信頼関係を取り戻し、村全体、地域全体へ信頼感が戻ることを切に願います。

【お向かいさんも真似します】
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3月 27, 2014 井戸建設・修復 |

2014年2月27日 (木)

現地の方へのインタビュー その5(東部)

 私はテルックコービル地区のユンパラカラッチという村で生まれ育ちました。私には妻と一人娘がいます。
 
 私たちは紛争の影響を受けて村を離れ、親戚の家に身を寄せていました。実のところ、私たちは再定住が行われる前に、自分たちの意思で2011年に村に戻ってきました。しかし、何も残っていませんでした。家も水もありません。乾季の間は収入が得られないので、年に4、5か月は生計を立てるために、他の場所を転々としていました。

 JENのおかげで長年求めていた水を得ることができるようになり、うれしく思います。井戸が完成する前は2km先の井戸まで水汲みに行かなければならなかったので、井戸の水位が常に十分にあることを確認する度に、喜びがこみ上げてきます。
 そして、井戸だけではなく、安心した生活が送れるように、住民組織化やリーダシップのスキル研修、コンポスト製造などの農業技術研修を受けることができました。

 得た知識を活用して、農作物の生産量を増やし、不安のない生活を送ることが私の夢です。

【現地の方と、インタビューをするJENスタッフ】
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2月 27, 2014 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2013年9月19日 (木)

北部事業視察のご報告

 北部事業の様子をご紹介したいと思います。

 北部でも東部と同様に、支援者の皆さまからのご寄付および、外務省の資金協力のもと、
① 農業給水支援として農業用井戸建設と給水ポンプの配布、② 井戸管理委員会の立ち上げとコミュニティ強化のためのワークショップ を開催し、生計の向上・安定の支援を行っていますが、東部とは違った難しさがあります。

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 井戸建設の上での違いは地質です。
 東部の地質は硬い岩盤を含んでいるためドリルを使いながら掘っていますが、北部ではそれが不要です。ただ逆に柔らかい土壌であるため、掘った周囲が崩れてしまう問題が度々発生しています。

【崩れてしまった井戸】
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 また、井戸をコミュニティで共同管理するように勧めていますが、住民が井戸の共有に対して抵抗感があるようで、井戸を設置した土地の所有者が「今日は十分な水が湧き出ていない」と言ったりして占有してしまうことを懸念していました。
 そこで、井戸を共有する世帯の土地の境界上に設置し、共有する世帯同士、遠慮なく井戸を利用できる環境を整えつつ、共有に対して理解してもらえるように話し合っています。
 
活動に参加する人びととのコミュニケーションは、井戸を建設する村から選出したコミュニティワーカーが中心に行っています。自分の村出身者が主体となって調整していることも、コミュニティ強化のひとつとなっています。

【コミュニティワーカーたち】
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 スリランカ事務所 総務経理担当 那須田



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9月 19, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2013年9月 5日 (木)

北部:雨と農業井戸建設へのチャレンジ

 ムラティブ県のプドゥクリルプ郡、ビシュワマドゥ サウスおよびイースト地区では今、生計支援に向けた事業で農業井戸を建設中です。 

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 およそ2分の1エーカーの土地を所有している低所得者世帯にとって、一年を通して水はとても重要です。深さ25フィート・直径12フィートの井戸の建設に向けて、掘削が開始されています。

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 今年前半の豪雨のために地面の水位が上がり、困難に直面しました。水を吸い上げる作業に時間を取られ、より高い馬力の給水ポンプを使用しなくてはいけなくなるという状況に陥りました。業者は協力的で、この地域の人々を助けたいという思いから、余計にかかった費用をカバーしてくれたケースもありました。

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 私たちは日々いろいろな問題に直面し、その対応にチャレンジしています。 それを見ている住民たちは私たちにとても感謝してくれています。

 テクニカルオフィサー ケーサバン



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9月 5, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2013年8月22日 (木)

【スリランカ東部】現在進行中の東部事業の様子

日本の外務省と皆さまからのご支援により東部バティカロアで現在行っている支援活動をご紹介します。

東部では、①農業給水支援として農業用井戸建設と給水ポンプの配布、②井戸管理委員会の立ち上げとコミュニティ強化のためのワークショップを開催し、生計の向上・安定の支援を行っています。

私が訪れた7月は、井戸建設の真最中でした。

0822__excavation

井戸掘りは写真のように重機を使って行います。水量が豊かな井戸建設を目的に掘っているため、当然、水が湧き出てきます。この水が厄介で、土と同時に水も掻き出さなければなりません。

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通常、工事前に予め地質調査を行い、水が出てきそうな地点に絞り込んで掘り始めます。ですが、中には少し掘っただけで大量の水が湧き出てしまい、井戸としては掘り進められないものも出てきます。

0822__drill

東部の地質は硬い岩盤を含んでいるため、岩を砕きながら掘り進めます。1台の重機でシャベルからドリルに部品交換して掘削し、岩が砕けたらシャベルに部品交換して掻き出す、の繰り返しなので、ただ掘るよりも時間がかかってしまうのです。

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10M近く掘り進めて、十分な量の水が湧き出ることを確認できると、井戸としての形づくりとなる石工作業が始まります。この石工作業では、レンガを底まで運び~セメントを作成し~レンガを組み上げる作業は、すべて手作業です。井戸なので湧き出る水を吸い上げながらの作業となります。

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写真は井戸の底での石工作業ですが、10Mの深さがあるので途中は、足のつかない場所で数本の板を渡しての作業となります。

現地総務経理担当 那須田

8月 22, 2013 心のケア事務所・スタッフ文化、生活、習慣東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2013年8月 8日 (木)

東部事業の視察

 本部スリランカ事業担当から現地総務経理担当となりました那須田です。
 赴任にあたり、事業地の視察をしましたので、その様子をご紹介したいと思います。

 こちらは2011年に東部バティカロアで行った農業用井戸の建設のその後の様子です。

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 建設から2年が経過しましたが、なんと給水ポンプが増設されていました!
井戸ができたことで農地を拡張することができ、さらに農地を広げるためにポンプを購入したとのことです。
 今ではくみ上げた水を貯めておく貯水タンクも建設し、井戸の水が枯れてしまっても水を使えるような工夫もしています。
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 コンポストの利用や水が行き渡りやすくなるような耕し方など、ワークショップで行った農業実習の内容も実践されていました。

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 また、ワークショップで行った帳簿付けもしっかり継続されていました。

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 収入が増えたことで、自分たちでさらに収入を得る手段を導入するサイクルが出来上がっていました。井戸ができる前は500~2000ルピー(日本円で約400~1500円相当)だった月収が、5000~10000ルピー(4000~8000円相当)にまで増えたそうです。
 2年でここまで変わるものなのですね。

 現地総務経理担当 那須田



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8月 8, 2013 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2013年7月11日 (木)

北部帰還民へのJENの支援活動 - 現地スタッフの視点

 スリランカは南アジアの真珠と呼ばれてきました。なぜなら、インド洋に浮かぶ海に囲まれたこの国の位置は、世界の中で経済的にも戦略的にも大変重要だからです。(その昔は、東西貿易の拠点でもありました)

 しかし、30年間におよぶ内戦によって、経済と民族のまとまりが損なわれてしまいました。停戦から4年、現在は、少しずつですが経済的な安定を取り戻そうとしています。

 JENは、インド洋津波による被害の直後2005年1月に、南部ハンバントタ県で活動を始めました。
2007年には東部に活動地を移し、30年間におよぶ内戦が終了した2009年には、その支援活動を北部までに拡大しました。

 北部では国内避難民キャンプへの緊急支援を、その後の2010~2012年の間、帰還民の生活再建の支援を行っています。

 2013年は、帰還民の自立を促進するため、北部の返還された地域であるムラティブ県プドゥクリルプ郡ヴィスワマドゥ南地区と東地区で、農業を基盤とした生活再建支援を開始しました。この地域は30年前は野菜の産地として有名でしたが、戦争によって人々の有形資産だけでなく、農業を営むための精神力も破壊されてしまいました。

 JENは共に働く小さなグループを組織することで、心の復興をもたらすための支援を行っています。年間を通して水を供給するための農業用の井戸を建設し、併せて農機具の配布も行い、自信を持って自立した農業を再開できるようなサポートを行っています。農業の新しい技術のトレーニングや、知識習得のサポートも行っています。

              【農業用井戸の建設準備】
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         【ヴィスワマドゥ東地区の人々】
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 プロジェクト開始の時点では、グループで機材を共有することが政府機関や現地団体に歓迎されていませんでした。戦争によって、帰還民の間で猜疑心や争いが生じていたためです。
 
 しかし、これをチャレンジと捉えて取り組んだ結果、コミュニティ活動の実現に成功しました。北部での活動の実績が評価され、他機関にモデルケースとして紹介、推薦されることもしばしばです。帰還民のみなさんのあいだでも好評です。

       【現地の人々とのコミュニケーション】130711_discussuing_with_benificia_3








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7月 11, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年12月20日 (木)

【北部】JPFによる事業モニタリング

 11月8~9日、スリランカ北部ワウニア県でJENが過去に実施した事業と、ムラティブ県で現在実施している事業について、ジャパンプラットフォーム(JPF)のモニタリングが実施されました。 

 1日目は、2010年6月から12月までワウニア県ワウニア・ノース郡で実施された、230基の井戸修復と426基の井戸清掃事業の視察です。事業終了時にJENから井戸管理委員会に供与された給水ポンプや清掃用具が現在も有効に利用されていることを確認しました。清掃用具は1年以上使用されたため、買い替えも行われています。井戸は管理委員会によって維持管理され、小さな修理の場合は修理業者ではなく、コミュニティ主導の井戸管理委員会や村落開発協会が行います。事業終了から2年が経過した現在も、委員会メンバーが井戸状況などを確認するため、住民の家を訪問しています。

 ワウニア・ノース郡では住民の帰還から既に2年が過ぎています。そのため、各地で仮設住居ではなく、恒久住宅の建設がスタートしており、これまでの経験を評価された井戸管理委員会のリーダー全員が、住宅建設委員会のリーダーにも任命されています。今後の井戸修復・清掃についてはこの委員会内でも話し合いが行われるとのことです。JENの事業で培ったリーダーシップを別の委員会でも発揮しているというポジティブな成果を見ることができました。

 
 2日目は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡で2012年7月から行っている事業のモニタリングです。13地区で442基の井戸修復と清掃、13基のポンプ式井戸建設が実施中です。

【写真:地図に記載されたポンプ式井戸の位置を説明しているJENスタッフ】
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【写真:ポンプ式井戸建設のため、地中100フィートまで(約30メートル)掘削中】
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 作業中は外に押し出された泥が頻繁に空中に吹き上げられ、みんな泥だらけになりますが、この繰り返しによって中の水が浄化されます。

【写真:ポンプ式井戸掘削のようす】
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 井戸管理委員会の女性リーダー、トーフィークさんにお話しを伺ったところ、「修復・清掃された井戸水をいろいろな用途で近隣の10世帯と共有しています。と話してくれました。

【写真:女性の水浴び用に仕切りは残しています】

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「私の娘は、夜遅い時間に離れた通り沿いの共同井戸で暗闇のなかで沐浴を行う際に、不安な思いをすることがありました。夫は紛争で足と胃に障がいを抱えているので、沐浴も大変でした。今ではそういう心配もなくなり安心です。 
 何よりも、水汲みの際、紛争前の平和だった頃のように、近隣の住民と楽しく会話をできるようになりました。近隣の住民にも感謝してもらえて、本当に嬉しいです。それだけではありません。委員会のリーダーとして、他の住民から村の状況や帰還後の女性が直面する悩みなどいろいろ相談を受けるようになりました。だんだんと、自分に自信が持てるようになりました」と話してくれました。
 

 井戸修復・清掃後、水の問題が解決されただけでなく、住民が話し合う機会がそこで持てるようになり、住民が抱える共通の問題を協力し合って解決しようという助け合いの関係ができた、と、トーフィークさんは言います。こうして生活の中で平和を実感し、誰もがいつでも水汲みをできるように、玄関の柵を開けたままにしているそうです。

【トーフィークさん宅の井戸水を飲む近隣の子どもたち】
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12月 20, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年11月29日 (木)

スリランカ出張レポート~前編・北部~

 本部でスリランカ事業管理を担当しております、上田と申します。10月に現地視察へ行ってきました!
今回は前編、後編に分けて、出張レポートをお届けします。

 スリランカを地図で見ると、小さな島のように思えるのですが、意外に広大で、北海道の8割ほどの面積があります。移動が予想以上に大変でした。

 中心都市コロンボから北へ車で約6時間、まずは北部ムラティブ県プドゥクリルプ郡、マリタインパットゥ郡を訪問しました。20年以上にわたった紛争の傷跡はまだ色濃く、あちこちでボロボロに壊された家屋が放置されています。

 ここで驚いたのが、至る所に物品が散乱していること。よくよく見るとバケツやプラスチック製品、トタン屋根など、生活に必要なものばかりです。
現地スタッフによれば、紛争時、急いでキャンプに避難させられた住民はすべての家財道具を持つことができず、多くの物品を自分の土地に埋めて逃げたそうです。それらが時間の経過とともに露出したり、帰還した住民が掘り出し始めたりして、散乱している模様。たしかに、土を掘り起こしている家族を多く見かけました。

【いろいろなものが散乱しています】
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【破壊されたままの家屋】
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 住民が最近帰還を許されるようになった地区では、ぽつりぽつりと家が建っています。家といっても非常に簡素で、木の骨組みに、国連機関から供与されたトタンやビニールシートをかぶせたような粗末な小屋に、何人もの家族が居住しています。

 紛争が終結して3年以上が経過し、多くの住民はある程度落ち着いた暮らしを送っているのだろうと想像していましたが、現実はまったく異なり、地域によって差はあるものの、いまだに水、シェルター、食料といった緊急支援が必要とされる状況でした。

【このような小屋で避難民が生活しています】
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【近隣に井戸がなく、現在もまだ給水車から水が供給される地区もあります】
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 村で出会った25歳の女性に話を聞いたところ、彼女は今年8月に帰還したばかり。現在妊娠7か月ですが、ムラティブ県の病院は住民の帰還後にようやく稼働を始めたため設備が整っておらず、バスで6時間かけて、さらに北部のジャフナ県の病院で出産するとのこと。保健分野においても課題は山積みです。

【インタビューした女性】
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【8月に帰還した家族。帰ってきたのはうれしいが、今後が心配と話していました】
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 北部では帰還民を支援するため、紛争中に破壊された井戸の修復、清掃事業を実施しています。現地ではコミュニティワーカー(CW)や住民が協力して井戸修復・清掃に携わっていることがよくわかりました。

 JENの井戸は細部にまでこだわっています。例えば、井戸内の清掃をより安全にできるよう、修復の際、ブロックで突起をつくり、階段のように井戸の底に下りていくことができます。たいていの井戸ではロープのみで下降しなければなりませんが、「足がかり」があることで、迅速かつ安全に下りることができます。

【井戸について話し合う、コミュニティワーカーとJENスタッフ】
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【井戸内に設置した突起状のブロックとロープで下りる様子を見せてくれました】
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(東部編へ続く)

11月 29, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年10月11日 (木)

北部:戻ってきたけれど 2

(前回からの続き)

 住む場所や食べ物以外に必要なのが水になります。洗濯や入浴用の水は、唯一使用可能だった一井戸を清掃したうえで使用していました。しかし、乾期の為10日程で水が尽きてしまいました。

 飲料用には、国連機関が水タンクを3つ設置しました。50から70世帯での共有なので、一日一世帯当たり3.5から5L得られる計算になります。しかし、地方行政が担うことになっている水の補給は、財政上の理由からなされておらず、人々は約2㎞離れた隣の地区まで水を汲みに行かなくてはならない状況です。

 観光や高い経済成長率で知られる近年のスリランカですが、今も内戦時の影響下にある人々がいることを覚えていて頂けましたら幸いです。

 JENは5基の手押しポンプ式の管井戸(読み方:「くだいど」もしくは「かんいど」)を建設し、帰還した人々への水供給を支援していきます。

(本事業は支援者の皆様とジャパン・プラットフォームのご協力により実施しています。)

10月 11, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年8月 2日 (木)

北部:昨年修復した井戸と住民の方々にお会いしました

 2011年1月から6月にかけワウニア県ワウニア郡で修復・清掃を行った井戸と、その後の人々の様子をモニタリングしました。修復した井戸は406基にもなるのでごく限られた範囲でしたが、井戸が人々暮らしを支えている様子が確認できましたので、ここで一例をご紹介しますね。


Photo
 こちらの男性は2010年10月にこの地に帰還しました。
修復された井戸から水を引き、政府から購入した種を使ってピーナッツを広く栽培しています。収穫したピーナッツは政府に適正レートで販売されます。市場で収穫物を販売すると買いたたかれてしまうため、個人農家では難しいそうです。


 ちょうど収穫シーズンだったので、倉庫にはピーナッツが山積みでした。
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【ピーナッツがふかふかのベッドになるくらい収穫されていました】
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 本事業は支援者の皆様とJPFの助成により実施しました。ジェンは現在も同助成をうけ、北部ムラティブ県で活動を続けております。

8月 2, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年7月19日 (木)

東部:農業用井戸建設現場をのぞいてみませんか

 といってもバーチャルな世界でのご案内です。2月下旬より東部バティカロア県三郡(地図内6郡のうち上から2番目と下の2つが事業地)で始まった事業ですが、現在農業用井戸の建設中です。

【バティカロア県地図】
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 幅3メートル、深さ9メートルがジェンの建設している農業用井戸の標準サイズですが、後の石工作業用に幅は少し広めに掘ります。

 掘削後、湧水量を測定し十分な水量が確認されたら石工作業に移ります。
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 ブロックを積み上げ(割れて小さくなったブロックも隙間を埋めるのに活用されます。)、
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 途中鉄のワイヤーで補強をし、
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 ようやく地上に達しました。
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 この後井戸壁をセメントで塗り固め、井戸幅以上に掘った部分を埋立て、井戸清掃をして完成です。スムーズにいけばここまで約2週間の工程になります。

 

(本事業は支援者の皆様と外務省の協力を得て実施しています。)

7月 19, 2012 東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年6月21日 (木)

北部:質の高い支援を行うには

 戦火を逃れ国内を避難していた人々は、家や財産など全てを失ってしまっていることが多々あります。そういった人々を支える私たちJENの仕事は、常に質の高いものであることを追及しています。

 井戸修復を開始する前には、業者や地元から採用したコミュニティ・ワーカー(CW、 過去の支援速報を参照下さい:2010年9月9日、2010年9月22日、2011年9月29日)、修復した井戸の維持管理を担う井戸管理委員会(WMC)のメンバーへ、何故JENは「仕事の質」を求めるのか、何に基づき「質」をはかるのかといった事を共有する時間を設けます。
特に建設の専門家でないCWやWMCへは、JENの技術系スタッフが教材を作りレクチャーを行います。

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 修復作業が開始すると、JENの技術系スタッフだけでなく、フィールド・オフィサーやCWも全体の進捗に加え、セメント・ブロックを作る際の砂・セメント・メタルの比率など「質」を落とさぬよう細かく作業を確認します。

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 こうして完成した井戸は地元の人々の手に引き渡されます。しかし、JENはここで引き揚げません。6か月後最後の品質調査を行います。この時に万が一建設工程が原因で生じた欠陥があった際は、再度その部分を修復します。

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これが私たちの追及する質の高い支援です。

6月 21, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年6月 7日 (木)

【東部】給油価格の高騰と農業井戸建設の進捗

 2009年に紛争が終わり、平和も戻りつつある中、スリランカでは今年2月からの原油価格高騰の影響で、ありとあらゆる物価が上がり、人々の生活を苦しめています。 

 一方、東部バティカロア県では未だ水資源の確保という基本的な課題が残されていますが、外務省および日本のサポーターの皆様のおかげで、プロジェクトは3年目に入りました。

 5月14日よりバティカロア県ウェラウェリ郡から掘削作業を開始しました。一般的にバティカロア海岸沿いでは3メートルも掘れば水が湧き出てきますが、この地域ではおおよそ9メートルの深さまで掘る必要性があります。写真はキラン郡クドゥミマレ地区(トッピガラ地域と呼ばれ、東部の最後の紛争地域であり、LTTEの拠点であった)で、5月17日に開始された掘削をJENスタッフがモニタリングしている様子です。
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 この写真はウェラウェリ郡での掘削の様子です。削岩機を用いています。
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5月211日からは水量調査を実施しています。写真はキラン郡での調査の様子です。
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 石工の材料の価格の変動で、再度業者との交渉が発生し難航していましたが、5月30日からはウェラウェリ郡での石工作業も開始されました。
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 現在JENバティカロア事務所は、10月以降の第一雨季を前に全31基の石工作業をなんとか終わらせようと奮闘中です。今後も皆様からの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

6月 7, 2012 東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年5月10日 (木)

川を越えるのも一苦労

 ジェンは現在、ムラティブ県にあるデビプラムという沿岸の村で井戸修復・清掃を行っています。

 村には川が流れ、人々は内戦前からある鉄筋の橋を使い行き来していました。しかし一夜にしてこの橋が無くなってしまいました。内戦後この辺りでは、壊れた車や自転車等々が山の様に放置されていて、こういった物を集めお金に換えている人がいるのですが、どうやらこの橋もそういった人に持ち去られてしまった様です。

 村の人々は木の板を渡し、橋の代わりとして使用するようになりました。小学生の時体育館に平均台はありませんでしたか?まさにこの板は平均台程の幅しかありません。慣れないジェン・スタッフは、怖がってためらっていました。しかし、ジェンの支援を必要としている人々は川の向こう側です。川を越えない訳にはいきません。

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 狭いところをバランスを保ちつつ歩く練習をし、今ではカメラに目線を送る余裕が出来る程になりました。

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5月 10, 2012 事務所・スタッフ井戸建設・修復 |

2012年4月19日 (木)

東部:プロジェクト完了から3カ月を経て

 昨年12月末に完了した東部事業で農業井戸やコミュニティ強化のワークショップを受講した方の、今の声をお届けします。

 キラン郡ヴァッダヴァン村 Maheswaryさん(30歳女性)
 2エーカーの土地で7つの野菜を育てています。

 昨年習った自家製有機肥料を使っているお陰でよく育ち、市場での売れ行きも良くなりました。
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 この収入で小さなお店を開いたり、家畜を育てたりするようになりました。
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 さらには、貯蓄までできるようになり本当に嬉しいです。

 この大きな大きな農業用井戸を得た今の私たちには、今後どんなことでも乗り越えていける自信があります。

4月 19, 2012 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2012年4月 5日 (木)

【北部】JPFモニタリングチームの訪問

 3月28日、ジャパンプラットフォームのモニタリングチームがプロジェクトサイトを訪問し、ジェンスタッフも同行しました。

 午前中は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡テビプラム地区で今年1月に開始された、井戸修理および井戸清掃事業のモニタリングです。この地域は、最後の紛争地域で最も被害を受けたプドゥクリルプ郡19地区のひとつです。 
下の写真は、テビプラム地区の共同建物がある一角を借り、業者が砂とセメントを使ってセメントブロックを成型する様子を説明しているところです(1日1000個単位で成型)。

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 下の写真は、井戸修復中、セメントブロックを井戸底にゆっくり降ろしているところです。
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 接着のためのセメントを用いて、どんどんブロックを積み上げています。
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住民を訪ねるためには紛争時に使用された塹壕跡や、相手側の攻撃を防ぐために用いられた土盛りの細いコブの上を慎重に車で通らなければならず、苦労してようやくたどり着きました。いくつかの世帯でモニタリングがなされた後

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 昨年12月に完了したムラティブ県プドゥクリルプ郡でのトイレ付き仮設住宅建設および井戸修復・清掃の事業地を視察。
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 住民の了承を得て、家の中でお話を伺い、建設後のトイレを見せていただきました。
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 スリランカは4月中旬がお正月にあたりますが、その前後に第二雨季が訪れます。雨で事業地へのアクセスが困難になる前に石工作業を終わらせようと、JENワウニア事務所は現在奮闘中です。今後も皆様からの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

4月 5, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年2月 9日 (木)

北部:新しい事業が始まりました

 スリランカでは、内戦で国内避難民となった人々の再定住を年内に完了させることを目標としています。
 その重要地域の一つとして掲げられているムラティブ県プドゥクリルプ郡で、ジェンは1月1日から新しい事業を開始しました。

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 ここは昨年6月に帰還が始まったばかりの地域です。
内戦前は農業や漁業が盛んでしたが、現在土地には遺棄物の山があり、政府から海へ出ることは禁止されています。

 帰還した人々はENREP(Emergency Northen Recovery Project)という、共同の場所の片付けや、砂や砂利を使用して道を舗装する45日間の事業に参加し、日当を稼いでいます。

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 写真にある井戸はそれぞれ内戦中に掘られたものですが、地上部分にあったはずの井戸壁はなくなり、子どもやお年寄りにとって落下のおそれがある、安全面に欠けるものとなってしまいました。

 また、この井戸は現在は飲料用には使用できない為、片道1~1.5km離れた場所まで少なくとも1日に4回は水くみに行かなくてはなりません。
 スリランカ軍によって清掃された飲料用の共同井戸はこの地域に6基あるのですが、ここに暮らすのが750世帯(1月16日現在)だということを考えると、とても十分な数とは言えない状況です。

 ジェンは戦時中に破壊された井戸の修復と清掃を行い、ここに帰還した人々の生活再建をサポートしていきます。

2月 9, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |