2017年6月15日 (木)
長い避難生活を終えて
スリランカ北部ムハマライ地区では未だに内戦中に埋められた地雷が多く残っています。国連の掲げた、2020年までにスリランカの地雷を撤去する事業 (Mine Free
Sri Lanka 2020)に向け、地雷撤去を専門とするいくつかのNGOが撤去作業を進めています。しかし、一歩間違えると大変危険な作業には長い時間が必要となります。
つい最近、JENスタッフは、地雷撤去が終わり解放されたヴァンボドゥカーニ地区へ事業の調査をしに行きました。木もない砂の平地には簡易シェルターがポツポツと建っています。
内戦で全てを失い、十数年と長引く避難生活ではなかなか安定した生活が築けないため、新規解放地区に戻ってくる家族は貧困家庭がほとんどです。スリランカ政府から再定住のために供与されるのは生活用水の公共の井戸、一家につき5000ルピー(約3600円)の支援金と1か月分の食糧(約2150円分)です。
あとはNGOの支援で農地にフェンスを張りめぐらせたり、井戸を得たり、簡易シェルターを建てたりするのみです。生活の基盤が作られていない中で仕事を探し、生きていくのは大変困難です。その上、家から50メートル先には撤去されない地雷のある大地が広がります。皆さんは自分の庭から「地雷注意!」の看板が見える生活を想像できるでしょうか。
【解放されたばかりの地区】
【地雷の注意看板(写真ではハッキリ見えませんが、木の下辺りにあります)】
そのような地雷源が広がる環境下でも、共有の井戸から確保できる水を使い、早速農業を始めている家庭が数軒ありました。限りある水を効率的に使う方法を考え、少しでも家族のために野菜を育て、近隣の人びとと協力し合いながら一歩一歩生活の再建をしていく。そんな人びとの強さをサポートしていければと願っています。
【わずかな水を使い育てられている野菜】
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
6月 15, 2017 政治、経済、治安北部帰還民支援 | Permalink
2016年10月 6日 (木)
ムラティブ県にて農業ワークショップを開催しました
JENは現在の農業生計回復支援プロジェクトの一環で、帰還民がより効果的な農業を行うことができるよう農業の技術強化を行っています。今年は9月26日に、農業局の協力のもと、ムラティブ県の支援活動に参加する人びと38世帯を対象に、農業ワークショップを開催しました。
ワークショップでは有機農業や養蜂、キノコの栽培などの座学に加え、農業局のモデルファームで有機コンポストや、北部で栽培されている植物を用いた肥料や有機殺虫剤の作り方を指導しました。農薬を使った農業が拡大しているスリランカでは、農薬が流れ出た水を飲み肝臓病を患う人が増えてきています。そのような流れで、今回のワークショップでは有機栽培を取り上げることによって、より持続可能性の高い農業の仕方が指導できたと思います。また、北部の農業局では、ナス、オクラ、スイカや落花生などの従来の野菜に加え、キノコの栽培に力を入れ始めています。他の野菜より高く売れるキノコは、生計回復支援に適していますが、多くの農家にとってはキノコの栽培は初めての試みとなります。そのため、農業局がキノコの胞子などを安値で提供し、栽培の指導を行うプログラムも紹介されました。
【有機農業のレクチャーをする農業局のインストラクター】
有機コンポストの実演では、参加者自らがインストラクターの指示に従ってコンポストを作っていきました。まずは仕切られた場所にワラを敷き、土をかぶせます。その上から水をまき、枯れたバナナの木をかぶせた上にまたワラを敷き、牛糞を溶かした水をまきます。牛糞の匂いのする水をまく場面では参加者の中にも躊躇する姿が見られました。その作業を何度か繰り返した後に、全体を数週間寝かせコンポストが完成します。
【1.ワラに土をかけ、土台を作ります】
【2.土にまんべんなく水をかけ、湿度をあげます。】
【3.牛糞の入った水をかける作業はあまり好まれませんでした…】
【4.その上にバナナなどの葉をかぶせます。】
【5.何層も土や葉やワラを重ね、コンポストの準備ができます。】
暑い中、外での演習であり参加者は疲れた様子でしたが、充実したワークショップになったのではないかと思います。
【ワークショップが成功し、ご満悦なJENスタッフ】
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
10月 6, 2016 北部帰還民支援 | Permalink
2016年9月23日 (金)
ヤングファーマーズソサエティの登録
JENは2015年のプロジェクトでムライティブ県オスィヤマライ地区にて新たに農協を発足しました。この農協は、内戦後再定住した元避難民のコミュニティ再建を促すために設立されたものです。前期事業ではこの農協にドライフード生産機や供与し、建設した農業用井戸の水を使用して作られた農作物を農協でドライフードにし、販売をすることで農協自体の収入も増やすことを意図としています。
農協を行政に登録し、地域市民組織として認めてもらうにはとても長い時間がかかります。昨年の6月にヤングファーマーズソサエティ(以下YFS)としての登録手続きを始めたオスィヤマライ地区の農協も、つい先月やっと正式な登録書が引き渡されました。
YFSとして登録されるには農協の管理委員が全員35歳以下でないといけません。JENが支援をしている地域の方たちは年配の世帯主が多いため、まずは若い世代の中から農業とコミュニティ強化に興味があり、地域の中でリーダーシップをとっていける若者たちを選んでもらいました。
その後、農協のメンバー全員で、農協を使いどのような加工物を作っていきたいかを協議しました。事業参加者は色々な加工製品の需要、マーケットの有無、価格設定などを考慮し、オスィヤマライ地区ではドライフードの生産を行う事に決めました。このように事業参加者を最初から巻き込んだ活動をすることが、JENがいなくなった後も彼らが継続して加工製品を作っていけることにつながります。
YFSとして登録されるには様々な条件があります。まずは定期的な会合をすることです。
YFSメンバー全員が協働でコミュニティ作りをしていけるよう、毎月一度は全メンバーが集まり、ドライフード生産に関する課題や解決策などを話し合い、それを議事録に記載します。
次に、各メンバーから決まった額の会費を徴収し、YFSが管理をする銀行口座にいれないといけません。登録の最終段階では、県農業局の農業専門家によるYFSの視察があり、それが終了すると書類が農業局に引き渡されます。それからは正式な承認がおりるまで数か月待つこともあります。
JENはこれまでにも7地区で農協を設立してきました。2013年に支援をしたヴィシュワマドゥイーストとヴィシュワマドゥウェストのではコンポストの製造を行っており、コンポストの販売や組合費の積み立てなどから農協の収入も増え、コミュニティ強化の一端を担っています。
【オスィヤマライ地区農協メンバーたち】

【YFS登録書】

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
9月 23, 2016 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2016年9月 1日 (木)
コミュニティ強化支援ワークショップの開催
JENが現在行っている事業では、井戸建設というハード面の支援に加え、内戦で避難を余儀なくされたために壊れてしまったコミュニティの強化支援も行っています。
内戦終結後に再定住する際に、多くの人びとは元のコミュニティではないところに戻るため、JENの事業に参加する人びとも、一から信頼関係を築いていかなければなりません。
コミュニティが団結し、お互いが協力して自分たちの生活を改善していく力を身につけられるよう、JENは8月23日、24日に事業参加者全員を対象としたコミュニティ強化ワークショップを行いました。
【ワークショップの概要を参加者に説明するJENスタッフ】
今回のワークショップの目標は、リーダーシップの取り方やコミュニティでの目標設定、またチームでの問題解決策の練り方などを中心に、コミュニティ活動の基盤を作ることでした。
チームビルディングなどのトレーニングを多数行ってきた経験豊富な講師2名を招き、ゲームや寸劇などのアクティビティを交え、人びとが積極的に参加できるよう工夫がなされました。
【トレーナーの話を熱心に聞き入る参加者たち】
最初のセッションでは、参加者がいくつかのグループに分かれて身近に起きる問題や既存の解決策などを話し合い、どのようなスキルや知識が必要なのかを発表し合いました。
また、ステークホルダー分析を通し、コミュニティ内で色々な問題が起きた時に、どの機関に相談すればいいのかなどを協議しました。
ケーススタディも、身近な問題を取り上げることによって、実際に使える知識を伝えられたかと思います。
【寸劇を通してコミュニティ内の問題を解決する様子】
最終セッションでは、参加者一人一人から事業後に井戸が完成し、収入が上がることによって見える、将来への希望やビジョンを発表してもらいました。
農業による収入向上はもちろん、参加者によっては、増えたお金を使ってお店を開きたい、家畜を買い酪農へもビジネスを広げたいなど、大きな夢を語ってくれました。
【参加者一人一人に将来のビジョンを聞くトレーナー】
本事業では、コミュニティ強化支援を基盤とし、これから農業協同組合を形成していきます。今回のワークショップが強い組織作りにつながり、より大きな成果をもたらすことを願っています。
【ムライティブ県の参加者たち】
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
9月 1, 2016 北部帰還民支援 | Permalink
2016年7月21日 (木)
出張地スリランカより
今回は、東京本部のスリランカ担当が、過去の事業も含めて建設した農業用井戸や農業協同組合の活動の視察を行いましたので、その様子や感じたことをお伝えします。
7月3日に日本を発ち、スリランカの空の玄関口であるバンダーヤナーラカ国際空港に到着しました。空港からコロンボ市内へは34キロありますが、今は高速道路を利用することができ、車だと45分ほどで市内に到着します。
2009年に内戦が終結してから、スリランカは急速に経済発展を遂げています。特にコロンボではホテル建設が進んでいて、沿岸部では建設中の多くの高層ビルを目にしました。
一方で、農村部では発展から取り残されており、都市部と農村部の格差が広がっています。特にJENの事業地であるスリランカ北部のキリノッチ県とムライティブ県は内戦の激戦地だったこともあり、多くの方々が自分の住んでいる土地から逃れるなど、不安定な生活をしていました。
内戦が終わり、以前住んでいた土地に帰還しても、内戦により農業用の設備が破壊されたため、農業で生計を立てていた家庭の多くは今でも大変な生活を強いられています。
JENはこれに対応するため、農業による帰還民生計回復とコミュニティ再生支援事業を長期にわたり実施しています。今回の視察にて事業参加者の方々が自分で農業を営めるようになった姿に直接ふれ、効果を実感することができました。
【JENスリランカ事務所本部の最寄り駅であるキリノッチ駅】

コロンボから大きく揺れる列車に乗ること7時間、JENのスリランカ事務所本部の最寄り駅に到着。途中、軽食や昼食の販売も行われているので、スリランカの食を堪能できます。
【内戦で爆撃されたキリノッチ市内にある貯水槽】

市内には、このようにまだ内戦の痕跡が垣間見られる場所もあります。こんな大きな貯水槽が破壊されるほどの威力の爆弾が使われていたと思うと、ぞっとします。
【農業協同組合のメンバー】

2014年事業で設立したムライティブ県の農協にて。組合長がリーダーシップを発揮し、継続的に運営されています。内戦が激化することにより、彼らは戦火を逃れるために国内避難民となりましたが、現在は地元に戻り、生計回復に取り組んでいます。訪問中、彼らを始め、支援をしたコミュニティのたくましさを感じました。
【マンゴーを切っている様子】

農協に設置された食料乾燥機にて、自宅で採れた農作物やフルーツを乾燥させ、ドライフードを作っています。少しずつですが、販売により収入も得られるようになっています。
【パパイヤのドライフルーツ】

試食させていただきました。甘味が凝縮されてとっても美味しかったです!
【昨年度の事業で建設した農業用の井戸】

2世帯が共有して使用しています。訪問時に収穫した野菜の一部をプレゼントしてくれました!
【訪問時、農協の方々にいただいた野菜や果物】

事業地を訪問する度に、農協の方々に収穫されたばかりのカボチャ、ピーナッツ、パパイヤ、なすなどをいただきました。今回の訪問を通し、スリランカの方々が持つホスピタリティ精神に感動しました。
今回、初めてスリランカの事業地を訪問し、長期にわたる内戦により心の傷を負いながらも必死に生活していこうとする姿を目の当たりにし、JENの支援の意義を再確認しました。
また、まだまだ苦しい生活を送りながらも日本からの訪問者に温かく接し、お土産までいただくなど、本当に心の温かい人たちなんだな、と感じました。また、現地の習慣や考えを知り、私自身も日々の生活を見直すきっかけとなりました。もてなしの精神を持つ彼らは、これからのスリランカの社会を支えていく存在になると実感しました。
そんなスリランカの方々を支援するプロジェクトを日本から支えるべく、引き続き日々の業務に励んで参ります!コミュニティ強化事業はまだまだ続きますので、みなさまも長い目でご支援いただけると嬉しいです。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
7月 21, 2016 事務所・スタッフ農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2016年6月23日 (木)
スリランカの乾季対策

皆さんは上の写真が何だかわかりますか?
日本では見かけないこのセメントの壺は、スリランカで使われている雨水採取タンク(Rainwater harvesting tank)といい、乾季に使う時のために雨水を溜めておくタンクです。大きさも5,000リットルから30,000リットルまでと様々で、種類も上の写真のようなカボチャ型の壺から半分か全体的に地中に埋まっている種類のものなど色々あります。
雨水採取タンクで溜められた水は飲料用や洗濯用など日常的に使用し、農業用に使うこともできます。
スリランカでは、古くから雨水を人工的に作った貯水湖に溜める習慣はあるものの、家庭での雨水採取タンクの導入は比較的最近のことでした。今では農村地域を中心に数万個ほどのタンクが使用されています。
屋根から雨どいを伝って落ちた雨をこのタンクの中に貯蔵することで、乾季の水不足の時でも家族に必要な水を確保できるという、ローテクながらも画期的な構造になっています。
スリランカは雨の多い国というイメージがありますが、北部では年間降水量が1,200ミリと東京の降水量よりも低いため、このような貯水・節水計画は死活問題です。
雨水を飲むなんて本当に大丈夫?と思うかもしれませんが、空気のきれいなスリランカの農村地帯に降る雨はあまり汚染されておらず、日常使用には問題がないそうです。家庭によっては塩素処理をすることもあります。
乾季には安全な水へのアクセスを可能とし、雨季には洪水を起こりにくくするという利点ばかりの雨水採取タンクですが、造設費が高く、農村地域の低所得世帯には手が出ないという難点もあります。そのような課題に対して、政府は助成金を出したりしているものの、まだまだ普及促進が必要です。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
6月 23, 2016 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2016年3月17日 (木)
マナー県の農業展示会訪問
3月14日、JENスタッフは、北部州農業局がマナー県で開催した農業展示会を訪問しました。
何人かの事業参加者たちも、ワークショップの一環として新しい知識を得ることを目的に、一緒に訪問しました。
展示会のテーマは「エコフレンドリーな農業を市場へ」で、水栽培、細流栽培やスプリンクラーのような水節約型技術、様々な植えつけの技術、農作物の病気、耕作技術などをメインに特集が組まれていました。
私たちが特に興味をもったのは細流灌漑(土壌表面や根群域に直接ゆっくり水を与えることにより、水や肥料の消費量を最小限にする灌漑方式)です。水管理の改善、有機農法や新しい種類の作物栽培の促進ができればと思っています。
また、多くの協同組合も見学しました。それらの組合は、ドライフードやココナッツからできた商品を生産し、よく売れています。JENは現在の事業で農協にドライフード製造器を供与したので、そういった製品が売れていることを目の当たりにすることは、事業参加者にとってよい刺激になりました。
【色々な たい肥作りの方法】

【グリーンハウスでの植えつけ】

【太陽熱利用のドライフード製造器】

この展示会には、キリノッチ県やムライティブ県の農業局の副長官が出席していました。リサーチの企業や団体も参加し、新しい種類の作物や種の保存技術の紹介も行っていました。
展示会訪問に参加した事業参加者の一人であるキルシュナンさんは、他の協同組合が販売していた様々な種類のドライフードに感動していました。キルシュナンさんは、今は家庭用にドライフードを作っていますが、方法を改善することで近隣のお店で売ることができるようになる、と話していました。JENスタッフと事業参加者は今後、梱包の方法を研究する予定です。
JENは、事業参加者たちが展示会で学んだ新しい方法を受け入れて実際に試してしてみるのをサポートすることも、コミュニティ強化支援の一つであると考えます。この展示会は、最新の知識を事業参加者と共有する重要な機会になりました。
さらに、プラスαとして、太陽の下での楽しい学びの日であったことは間違いありません。
【JENチーム 展示会にて】

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
3月 17, 2016 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2016年2月 4日 (木)
ドライフード生産農業協同組合への引き渡し




1月28日に、オスィヤマライ地区の農協センターで引渡式が行われました。
この地区は県境にあり、幹線道路からも離れ孤立していました。他の地区同様に村人は内戦中に避難し、もともといた人数の半分ほどしか戻っていません。今までに他の支援団体がサポートしたこともなく、だからこそその支援供給のギャップを埋めるためにも、JENはこの地区を支援対象としたのです。
そして、再び住民が一丸となって地域の発展に貢献できるように農業協同組合の設立をサポートし、収入向上とコミュニティ強化を目的として、ドライフードセンターを建設しました。
さらに、農協の運営がうまくいくように、加工食品の実践研修と組織運営の研修も提供しました。


半年におよび様々な支援を農協に対して行い、ついにこの日が来たのです。JENから正式にオーナーシップを農協へ引き渡す日です。
式にはJENよりプログラムオフィサー、プロジェクトオフィサー、フィールドオフィサーが参加し、行政地区長、経済発展担当オフィサー、地区の学校長、そしてJENの支援事業に直接参加している20世帯および間接的に関わっている32世帯の家族が参加しました。


最初にプログラムオフィサーがテープカットを行い、次に農協運営に必要な帳簿と運営記録用のノートが農協のリーダーに手渡されました。


次に、ドライフードセンターを囲むように多年生苗を植えていく儀式を行いました。

そして、農協の責任範囲、行政の責任範囲を記したMoUにサインして、JENからドライフード生産農業協同組合への正式な引き渡しが完了しました。
全参加者が農協の新たな一歩に対し、強い関心を示し、同時にJENに対して感謝の意を表していただいた、とても楽しいイベントとなりました。
私も1年間、オスィヤマライ地区の住民と共に、コミュニティを強くし、地域の発展を目指してきましたが、今までの苦労が少し報われたと感じられ、とても嬉しく思いました。

フィールドオフィサー
アダイカラン
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
2月 4, 2016 農業支援北部帰還民支援生計回復事業 | Permalink
2016年1月21日 (木)
北部キリノッチ県でのマーケティングワークショップ
JENは昨年12月8日に32人の事業参加者を対象にマーケティングのワークショップを行いました。
このワークショップでは、現地の方々が収穫した作物をより効果的に売るために、マーケティングの重要さおよび必要性にフォーカスしました。参加者はとても興味を持って、全ての活動に積極的に取り組んでいました。
参加者の理解と協力を促すため、ワークショップはグループ活動やディスカッションなどの手法を用い、
・マーケティングとは何か
・どこで誰にどのようなものを販売するか
・マーケティング戦略
などの話題を取り扱いました。
また、雨季にどのような作物を育てるかなど、新しいマーケティングの方法や戦略などが協議されました。このワークショップを通して、参加者はどの季節にどのような作物を育て販売するかなど、将来的な計画を練るために重要なスキルを得ることができました。
このような戦略的なマーケティング計画は、より効果的なビジネス管理を可能とさせ、参加者の利益・収入を上げることにつながります。
さらに、グループディスカッションでは
・地元および都市での顧客や消費者の確保
・市場での価格決定
・良質の作物を育てる方法
・販売方法と課題
などの話題が協議されました。
【グループ活動】

【活動を見守るJENスタッフ】

ワークショップでは雨季対策として、乾燥食品や粉状の製品などの需要についての説明も行いました。変動する気候に対応する作物や製品に関した講義は参加者から好評でした。季節別の課題を取り扱ったマーケティングの講義は、参加者にとって非常に役に立ったようです。
最後に、講師はJENが構築した製粉所や乾燥食品生産センターについて説明し、より効果的に作物を売ることで生計回復を可能とすることの講義をしました。
【講義の様子】

私たちはこのような取り組みが、より強く持続可能なコミュニティの発展につながることを願っています。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
1月 21, 2016 農業支援北部帰還民支援生計回復事業 | Permalink
2016年1月 7日 (木)
フォローアップが大事!
あけましておめでとうございます。
スリランカ人の大多数を占めるシンハラ人とタミル人の新年は4月14日ですので、スリランカ事務所では師走の雰囲気は一切なく年末を迎えました。
そんな中、2015年を振り返り、残りの事業期間3か月の間にするべきことを確認するため、北部事業に関わる全スタッフが参加するオールスタッフミーティングを12月30日に開きました。
井戸建設、ワークショップ、農業用アイテムの配布といくつか活動が残っていますが、残りの期間は今まで実施してきた支援を受け取った方々が有効活用できるように、しっかりフォローアップしていくことに力を入れよう、と気持ちを新たにしました。
たとえば、設立した井戸管理委員会や農業協同組合の活動が継続されているか、配布した種苗を効率よく栽培できているか、農業訓練・マーケティングワークショップで学んだ内容を有効利用できているか、などを確認していきます。もし上手くいっていない、困っている世帯やグループがいたら、スタッフが随時アドバイスをするなどしてサポートしていきます。
モノを配布、ワークショップを開催、井戸を建設、組合を設立。それだけでは支援は終わりません。むしろ、その後のサポートをいかに丁寧に、そして効果的に行うかで、JENが実施した支援の成功度合いが決まってくると考えています。
残り3か月、スタッフ一丸となり、より良い支援を提供すべく、尽力いたします。

現地事業担当
西田亜理沙
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
1月 7, 2016 事務所・スタッフ農業支援北部帰還民支援井戸管理委員会 | Permalink
2015年12月10日 (木)
大使の視察
少し前の話になってしまいますが、11月3日に、在スリランカ日本国大使館の菅沼大使と大使夫人が、JENの事業地を訪問されました。
現在、北部ムライティブ県とキリノッチ県で行っている帰還民のための活動は、支援者の皆さまと日本政府の協力を得て行っています。
2015年6月に着任された菅沼大使に、実際にどのような活動をしているのか見ていただくとても良い機会となりました。
今回はキリノッチ県で設立・運営サポートを実施している「農業協同組合の製粉センター」および「完成して間もない井戸」の状況をご紹介し、さらに組合メンバーとお話ししていただきました。

製粉機でどのような加工品ができるか説明しました。

大使ご一行を歓迎すべく集まった組合メンバーが、製粉機センターの外で話を聞いています。

完成したばかりの井戸を見ていただいたりし、

大使夫人は井戸の大きさに驚かれていました。

最後に、菅沼大使より激励の言葉をいただき、組合メンバーと共に記念撮影をしました。

現地事業担当
西田亜理沙
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
12月 10, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2015年11月19日 (木)
農業協同組合のドライフード生産
JENが実施している帰還民への支援の主な方法は、①生計向上と②コミュニティ強化ですが、今回ご紹介する活動は、コミュニティ再生と収入創出を通した、コミュニティ強化を目的としています。
そのコミュニティというのは、事業参加者全員が所属する「農業協同組合」です。
この組合は事業地ごとに設立・支援されます。そこでは、リーダーとなる運営委員が選ばれ、何か問題が起きた時に、全員で解決策を練り、対応していく仕組みづくりが形成されます。
事前にコミュニティ強化ワークショップで学んだ「リーダーシップとは」「問題解決方法」「地元行政との関係作り」「ステークホルダー分析」「チームワーク」などのスキルを実際に応用する事が可能になります。
また、コミュニティの運営管理の練習と収入創出を兼ね、活動テーマを導入しています。
今年の事業では「ドライフード生産」をテーマにあげ、各事業地の7~11名の運営委員を中心に、活動が開始される予定です。
先日そのドライフード生産に必要な「乾燥機」が事業地に届きました。とてもシンプルなデザインですが、1回に20キロもの野菜や果物を乾燥させることができます。早速、デモンストレーションで食べられる葉っぱを乾燥させてみました。
乾燥機をコロンボから運んできたトラックが農協センターに到着しました。

こちらが乾燥機です。

茄子をスライスして、並べる運営委員の一人。

食べられる葉っぱもいれましょう。

この入れ物に木屑を入れ、踏みしめて固めます。

その入れ物を乾燥機の下に入れ、火をつけます。
下から熱風が上に流れ、乾燥させていきます。


使用手順を説明するプロジェクトオフィサーのデービッド

30分待ったら、ドライフードが出来上がりました。

ドライフード生産を通じて、コミュニティが強化され、事業参加者同士、さらに村人同士の絆が深まり、他の問題が発生しても一緒に協力しながら解決していくという意識が高まれば嬉しいです。
現地事業担当
西田亜理沙
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
11月 19, 2015 農業支援北部帰還民支援生計回復事業 | Permalink
2015年11月 5日 (木)
長い困難の中で家族を守る(後編)
マリーニさんの話は続きます。
「私は農業関係で働いたことがあるので、ある程度の経験はありますが、井戸がないため農業を続けることができませんでした。しかし、今回のJENの支援によって小規模な農業を始められるので、私の生活は大きく変わることになると思うととても楽しみです。
井戸建設の最初の掘削工事が始まり、完成が待ち遠しくてなりません。まず家族のための家庭菜園を始めたいです。そして、もしうまくいったら、作った野菜を売って収入を増やしていきたいです。
娘たちは、井戸ができて体を洗うために出かける必要がなくなることを待ち望んでいます。そういった外出は安全上問題があるため、長い間心配の種でしたから」
「私は井戸の立派な持ち主になります」
とマリーニさんは力強く言いました。
「JENと、このプロジェクトに携わっているスタッフの方には感謝の言葉しかありません。JENは私たちがとても長い間直面してきた根本的な問題を理解し、私の村の立場の弱い人々に必要な時宜を得た支援を提供してくれました。
また、このプロジェクトの実施に必要な資金の面でJENを支援してくれたすべての人々にも感謝したいと思います。
水へのアクセスは、人々の生活になくてはならないものです。JENの温かい支援に私たちの心を打たれました。これからずっと、この井戸から水を汲むたびに、この支援のことを思い出すでしょう」
と楽しそうにマリーニさんは話してくれました。

フィールドオフィサー
T.サレンダー
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
11月 5, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2015年10月15日 (木)
長い困難の中で家族を守る(前編)
JENのスタッフです、と私が彼女に自己紹介をすると、オッディスダン郡タチャダンバン村のクマール・マリーニさんの目は輝きました。
「家族を養うために長い間困難と闘ってきましたが、今私は希望にあふれています。JENの事業に参加して、日々の生計向上をもたらす資産を持つと同時に、小規模農業による収入を得ることが可能になるからです」
と彼女は言いました。
【マリーニさんと山羊】

「私は43歳で、16歳と14歳の娘がいます。私の夫は、20年以上にわたった残酷な戦争の犠牲になり、私たちの生活は一瞬にして破壊されました。
2000年に夫が亡くなったことは私にとって想像を絶する悲劇で、私の人生も終わったと思いました。でも、その後も何とか頑張って生きてきたのは、2人の小さい娘を育てなければならないという責任感のためだけでした。
夫の死からの15年間、娘たちを食べさせ、できるだけのことをしてやるために奮闘してきました。私は道路工事や水田での農作業を手伝う日雇い労働者です。これらの仕事はいつもあるわけではありません。私が稼ぐお金は日々の家族の食事を作り、小さな娘たちに最低限の必需品を与えるのにかろうじて足りる程度のものです。このような日雇い労働以外には収入の手段はありません。
ただし、収入につながる唯一の蓄えとして2匹の山羊を飼っています。
JENの2015年度プロジェクトの対象者に選ばれたとき、私は本当に救われたと思いました。女性世帯主の世帯として認定され、小規模農業を始めるための農業用井戸を供与される、と伝えられました。飲み水を近くの共同井戸から汲んでくるのに大変苦労していたので、自分の井戸を持てると聞いて本当にワクワクしました。娘たちも共同井戸で体を洗うのを嫌がっていましたので、井戸の供与は私たちの生活にとって素晴らしいサポートになります。
また、このプロジェクトの別の要素として、「共有」という考え方があります。井戸は私と隣人の二つの家族で共有し、どちらの家族にも便利なように、両方の家の真ん中の場所に建設するということで合意しました。
私はJEN主催のワークショップにも出席しました。そこでは一貫して、お互いに助け合うこと、共通の目標を持って達成を目指すことが話されました。これらはお互いが生き延びるため、社会生活上の重要なことだと思います。このワークショップのおかげで私の知識はさらに向上しました。隣人と井戸を共有しながら、きちんとした社会生活を送ることを楽しみにしています」
(次回に続きます)
フィールドオフィサー
T.サレンダー
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
10月 15, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2015年9月17日 (木)
ステップダウン方式による井戸建設
生計回復支援といってもどうやって「生計」を「回復」するの?
そのような疑問に今回はお応えしようと思います。
JENが支援している帰還民の方々が住むのは農業地域です。紛争前は農業を営んでいる世帯が多かったのです。しかし避難している間に土地は荒廃し、農具や給水設備は略奪されました。帰還した後は、雨季はどうにか小規模に農業を営むことができるけれど、乾季の間はいつ仕事がなくなるか分からない日雇い労働をするしかない。そんな方々に対し、JENは農業を1年通して続け、安定した収入を得られるように支援をしています。
その主な支援の一つが、農業用井戸の建設です。井戸水さえあれば、雨が全く降らない乾季の間でも農業を続けられるからです。では、皆さんは、井戸の作り方をご存じでしょうか。
方法は複数ありますが、今回は中でも特殊なものをご紹介します。
その名も「ステップダウン方式」です。
通常の方法は、掘削機を用いて7.5mを一気に掘り、下からコンクリートブロックを積み上げ、内側と外側にしっくい塗りをし、仕上げに壁と井戸の隙間を埋め、完成です。
これに対し「ステップダウン方式」の手順は少し異なります。
①湧水が出てくるまで2~5メートルを掘削機か手作業で掘ります。

②ベースリングビーム(土台)を設置します。

③ブロックを1、2メートル積み上げます

④しっくい塗りをします。

⑤ブロックの重さで井戸が沈むのを待ちます。

⑥1、2メートル沈んだら、またブロックの積み上げとしっくい塗りを繰り返し、定めた深さまで井戸建設が進んだら、仕上げて完成です。

【ステップダウンのイメージ図】

では、なぜこのような少し特殊な方法を採用しているのでしょうか。
それはキリノッチ県の事業地が海に近いからです。土壌が砂や粘土を多く含んでいてやわらかく、一気に掘り進めてしまうと、壁がすぐに崩壊してしまうのです。このステップダウン方式で建設すれば、砂土の中に井戸が勝手に静かに沈んでいきますので、壁が崩れるリスクは少なくなります。
7月末より始まった井戸建設も中盤に差し掛かってきました。地域の方々は「毎日30分以上かけて遠く井戸から何度も水を運ばなくてすむようになる」「いつでも土地に水をやれるようになる」「井戸を持っていない近所の世帯にも水を共有できる」と、完成が待ち遠しいようです。
雨季に突入する11月より前に、全ての井戸の建設を終わらせたいと思います。
現地事業担当
西田亜理沙
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
9月 17, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復生計回復事業 | Permalink
2015年8月 6日 (木)
事業地オスィヤマライ行政地区での初の事業参加者向けミーティング
7月7日、JENはオスィヤマライ行政地区にて、事業参加者のサポートとして、初のミーティングを開催しました。
JENからは事務所長代理、プログラムオフィサー、コミュニティーワーカー、フィールドオフィサーが参加しました。関係者は、事業参加者はもちろんのこと、事業参加者選定委員会のメンバー、住民組織のリーダーらが参加しました。
会議の主な目的は、JENスタッフと事業参加者がお互いを知るとともに、事業内容を説明し、生じた疑問点を明らかにすることです。JENは、事業参加者は生計回復支援事業の内容について十分に知ることができるよう、丁寧に説明する事を心掛けました。

事業参加者は井戸のサイズを大きくすることを要望しました。乾季の野菜栽培に強い関心があるためです。加えて、雨季が終わる前に建設作業が完了することや、ワークショップへの参加を熱望していました。


事業参加者は、生計回復支援について理解を示してくれ、また、私たちの井戸管理委員会や農業協同組合の形成に関するアイディアに賛成してくれました。理由は、集団での作業は自分たちの絆を深め、収入の向上を支えるということを皆知っているからです。
そのうえで、いくつかの意見が出されました。常設の水源や衛生的な建設物といった基本的な設備が整った食品加工センターの建設がいいという人もいました。コミュニティ強化支援での計画の際に自分たちの意見を取り入れてほしいという意見もありました。さらに、井戸建設にあたっては、作業質を確保するためにも、日雇いの労働者として現地の人材も含めてほしいという要望もありました。

(Photo8)
また、農業協同組合形成後、少なくとも3か月はフォローアップを行ってほしいと言う要望もありました。私たちも、農業協同組合の運営が軌道に乗るまでの期間をサポートすることは重要だと考えています。
地域の人々は非常にJENの活動に興味をもっており、事業について定期的に話し合いを持ちたいと話していました。事業参加者と良好な関係を築く第一歩となった、と感じました。
オスィヤマライ担当 フィールドオフィサー
アダイカラン
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
8月 6, 2015 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2015年7月23日 (木)
2015年も引き続き、農業生計回復とコミュニティ支援を継続しています
JENは、昨年に引き続き支援者の皆さまおよび日本政府のご協力のもと、3月22日から帰還民に対する農業支援とコミュニティ強化を通した生計回復支援を行っています。
今回の事業地は、北部ムライティブ県で新たに1か所、キリノッチ県では新たに1か所、そして昨年と同じ地区で1か所です。
そのうちの1つ、ムラティブ県オッディスダン郡オスィラマライ行政地区はまだ電力もなく、道も整備されておらず、街や市場へのアクセスも悪いのが特徴です。
オスィラマライ行政地区↓
※Northern Provincial Councilホームページより引用
オスィヤマライ地区は県境に接していて郡の中心からも遠いため、インフラ整備が遅れている地域です。

電線はありますが、電気は通っていません。
もう一つの事業地、キリノッチ県パッチラパライ郡のヴァンボドゥカー二行政地区と、前期事業の事業地でもあったムハマライ行政地区は,、いまだ地雷撤去中ですが、部分的に地雷撤去が完了し土地が解放され、住民が徐々に戻ってきています。
地図↓
※Northern Provincial Councilホームページより引用

このヴァンボドゥカー二地区。避難先から帰還したものの、まだ仮設住宅に住み、住宅建設支援待ちの方が多いのが現状です。

行政地区官の事務所もまだ仮設です。

前事業地のムハマライ地区ではまだ地雷撤去作業が続いています。
今年中には終わるとか終わらないとか。
事業開始から約4か月が経ちました。
ベースライン調査と受益者選定、そして第1回受益者ミーティングが完了し、これから様々な支援活動が実施されます。
随時紹介いたしますので、ぜひフォローしてください。
現地事業担当
西田亜理沙
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
▼クレジットカードはこちらから

▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
*通信欄に「スリランカ」とご記入ください*
7月 23, 2015 農業支援北部帰還民支援生計回復事業 | Permalink
2015年5月28日 (木)
キリノッチ県でのインタビュー
私たちは自分の土地で野菜栽培をしており、それが唯一の収入源です。
JENが開いてくれたワークショップに参加するまでは、村の集会には時折参加するだけでした。ですが、ワークショップの経験から村の集会で何ができるかがわかり、全ての集会に参加するようになりました。集会でアイデアを共有するようになりましたし、村の発展のリーダーとして選ばれるようにもなりました。
ワークショップでは、事前に計画を立てることの重要性を学びました。特に農業ワークショップでは土壌の準備、有機肥料の作成、有機農薬の作成、水の節約、季節に合った栽培などを学びました。それまでは害虫コントロールや農業の健康被害などは知りませんでした。
【インタビューに応えてくれた家族】

ちょうど今、学んだ土壌準備と有機肥料の作成を実践しているところです。種まきをしたら他の学んだことも実践する予定です。
JENから様々なサポートを受けることができ、うれしく思います。野菜栽培の計画を立て、多くの収穫が得られるようになったら、子どもたちのためにお金を貯めていきたいと思います。
【有機肥料の作成】

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

5月 28, 2015 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2015年5月14日 (木)
月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第4回>
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3
北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。
また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。
今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。
10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
5月 14, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復井戸管理委員会 | Permalink
2015年5月 1日 (金)
月刊スリランカ ー10年間の支援を振り返ってー<第4回>
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3
北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。
また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。
今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。
10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

5月 1, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援漁業支援 | Permalink
2015年4月16日 (木)
贈与式を行いました
日本NGO連携無償資金協力と皆さまのご支援によって実施していた北部ムライティブ県とキリノッチ県での事業が、3週間の延長ののち、3月21日に無事完了いたしました。
事業の最後には、これまで支援してきた人たちに向け、公式にこれまで配布してきたものの贈与式を行っています。この贈与式がJENの支援の目的である「自立」の一区切りとなります。
贈与式はこれまで支援してきた人たちが主体となって準備をし、運営します。なので、地域によってだいぶ趣が異なっています。
【キリノッチでの贈与式】

贈与式はタミル地域(どちらかと言うとヒンドゥー教の毛色が強いように思います)での伝統的な様式によって執り行われます。例えば、ゲストによるロウソクの点灯や式典のデコレーション、額に赤い斑点を付けたりなど。日本と同様にテープカットも行われます。
【ダンスの披露】

3月22日からは同じく日本NGO連携無償資金協力の元で、北部ムライティブ県とキリノッチ県を対象に、引き続き事業を行います。
現地総務経理担当 那須田智生
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

4月 16, 2015 北部帰還民支援 | Permalink
2015年4月 2日 (木)
月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第3回>
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その2
2009年5月、26年続いた紛争が終結した後、北部では最大28万人以上の国内避難民が北部難民キャンプから帰還を開始しました。これを受け、JENは同年6月以降、深刻な水不足の状態にあるワウニア県の難民キャンプにて、給水活動を通して生活に必要な水を確保できるよう支援しました。
同時に、帰還先で必要な緊急支援物資(衛生キット、シェルターキット、補完食糧)を配布しました。また、荒廃した地域に帰還した住民が水源を確保し自立した生活を再開できるよう、地域をムライティブ県へ広げ、引き続き仮設住宅とトイレの建設、井戸修復・清掃や農具の配布などを行いました。

【この続きは5月に掲載します。ぜひまたご覧ください】
*****************************
【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。
イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。
くわしくはこちら
***********************

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
4月 2, 2015 支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援井戸建設・修復生計回復事業 | Permalink
2015年3月19日 (木)
井戸用給水ポンプの配布
JENスリランカでは今、スリランカ北部のムラティブ県で38箇所、キリノッチ県で10箇所の井戸の建設を進めています。
【JENの建設している農業用井戸。深さ10mまで掘り進めます】

【建設途中の井戸】

スリランカ北部は、10~3月が雨季、5~9月が乾季と言われていますが、ここ最近は乾季が始まるのが早くなっているのか、今年は1月からほぼ毎日晴天が続いています。乾季になると、井戸の水位が低くなります。すると、重いバケツを10m近く引っ張り上げる事になり、くみ上げるだけでも、重労働になってしまいます。
そこで、JENは井戸ポンプ↓の配布を行っています。

今回は、3月4日にムラティブ県3か所で行った井戸ポンプ配布の様子をご紹介したいと思います。
地域の集会所につくと…

すでに女性たちが私たちの到着を待っていてくれました。

2世帯~4世帯に1基の井戸を建設しているこの地域。
井戸を一緒に使うグループごとに、ポンプとホースをお渡しします。

12mのホースとポンプを受け取ったお母さん。嬉しそう。

自転車の荷台に乗せて、お家まで運びます。

この地区では、時に500m~1km以上も離れた共同井戸から水を運ぶことが常です。
日常に使う水だけではなく、農作物への水やりにも必要な為、1日に数10回も往復する事になり、家族で分担しても、その拘束時間は1日に5~6時間にも上ります。また、女性やお年寄りにとっては重労働で負担も大きくなります。
また乾季には、その共同井戸が干上がってしまって、農地を縮小せざるを得なくなることもしばしばです。JENは、農業井戸を建設することでその拘束時間を減らし、十分な水を供給することで地域の人びとの農作物の収穫量を増やし、収入に結び付くようこれからも支援を続けていきます。
おまけ。
【集会所のすぐ隣にある村の中の商店。真ん中はお店のお母さん。
お野菜や、石鹸、飲み物、アイスキャンディーなんかも売っています】
(手前の白い発砲スチロールの箱に入っています)

【この商店で売っていた野菜】

地域の人たちが作った野菜はこんなところで売られていたりもします。

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
3月 19, 2015 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2015年3月 5日 (木)
月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って- <第2回>
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その1
スリランカ政府軍とLTTEの紛争が2006年後半に激化し、最大13万人のタミール人が国内避難民になりました。東部での紛争が2007年7月に終結した後、2008年11月までに帰還が公式に完了しました。
その間、2004年12月の大津波と2006年の紛争の二重災害を被った東部バティカロア県で、2007年6月から帰還民たちの自立に向け、栄養・保健衛生活動、カウンセリングや漁業組合復興にむけたワークショップなどを実施しました。

また、農業用井戸の建設や給水ポンプ等の供与・農業技術訓練を通して農業収入が安定し、井戸管理委員会・運営委員会や農協の形成を通して、協力して自分たちの生活を改善していく力を身に付けていけることを目指しました。その成果を確認できた2014年2月末日までに東部での最後のアンパラ県での自立支援事業を終えました。


【この続きは4月に掲載します。ぜひまたご覧ください】

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
3月 5, 2015 心のケア支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援生計回復事業 | Permalink
2015年2月19日 (木)
10年で初の試み、農協メンバーの交流会
1月28日に、前期事業で形成した2つの農業協同組合(農協)と今期事業で形成したばかりの4つの農協の運営委員会メンバー、合わせて42人を集め、交流会を行いました。異なる期間、異なる地域で支援を受けてきた方々が顔を合わせ、コミュニケーションをとることは、JENがスリランカで支援をしてきた10年の中で初の試みでした。
そのため、主な目的である「農協メンバーのネットワーキング」と「農協運営のための成功の秘訣、失敗事例、アドバイスの共有」を達成できるか、スタッフは期待と不安が入り混じった状態で当日を迎えました。
当日の朝7時から、2台のバスが4ヶ所の地域をめぐりながらメンバーを乗せ、9時半頃、前期事業で形成した農協のコンポスト生産作業場に到着しました。長旅の疲れをとるため少し休憩した後、10時に交流会プログラムを開始しました。
まず、今回の交流会開催を快く受け入れてくれた、農協のリーダーであるプレジデントから歓迎の挨拶がありました。そしてメンバーが、どこの地域からきたか、運営委員会での役割(プレジデント、会計、書記など)、農協の活動テーマ(コンポスト作り、苗生産、製粉食品生産)、交流会への期待などを含め、自己紹介しました。
【農協メンバーを送迎したバス】

【前期事業で設立したコンポスト生産作業場】

【JENスタッフも歓迎していただきました】

【交流会開始の挨拶をするフィールドオフィサー】

次に、コンポスト作業場を運営していくための各メンバーの役割、運営管理費、帳簿や集会記録、材料集め、生産活動、マーケティングなどについて、各農協メンバーが説明しました。
さらに、農協として正式に登録する方法、地方行政との関係構築の重要性、将来の目標なども共有しました。新しい農協のメンバーは、うまく運営していけるか、どのような問題が発生しどのように解決できるか、生産した商品をしっかり売れるかなど、随時質問していました。
最後に、いくつかのグループに分かれ、今後どのように協力しながら農協として発展していけるか話し合いました。
【グループになり、会計の役割について話し合う参加者】

【話し合った内容を全員に共有している様子】

今期事業では、様々なワークショップを実施してきましたが、講師がほとんど行政職員であったため、参加者が内容を理解し農業活動に生かせるよう、わかりやすい説明やグループ作業の取り入れなど工夫をしてきました。
今回の交流会は、似たような境遇や経験、生活条件のもとで農協を運営しているメンバー同士の情報交換の場となったため、内容をより深く理解し、今後の活動に生かせると感じた参加者が多くいた印象を受けました。
事実、招待された農協参加者全員が「とても役立った」「不安が解消され今後の活動に対しモチベーションがあがった」「内容が分かりやすかった」「チームワークが大事と理解した」などのコメントを残してくれました。
また、農協同士の協力方法に関しても「苗生産のためのコンポストを調達したい」「今後も運営に困ったらアドバイスをもらいたい」など前向きなコメントを多くもらいました。
【交流会に参加した農協運営委員会メンバー】

今期事業で形成したムライティブ県の農協は「苗生産センター」、キリノッチ県の農協は「製粉センター」を運営していきます。今回の交流会で構築されたネットワークと共有された知識を駆使して、持続的な運営につないでくれるよう、大いに期待しています。
現地事業担当 西田亜理沙
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

2月 19, 2015 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2015年1月 8日 (木)
マーケティングワークショップの開催
11月中旬に開催した農業訓練ワークショップから1ヶ月経ち、配布した野菜の種や多年生植物の苗が支援対象者の農業用地で育ち始めた頃に、マーケティングワークショップを開催しました。
このワークショップの一番の目的は、人びとが苦労して生産した野菜や果物などの農作物を、どのように工夫すれば効率よく市場で売ることができるか、を学ぶことです。
講師には、スリランカ北部の農村地域における市場システムに精通している専門家を招き、下記のテーマを扱いました。
①マーケティングで重要な4本の柱(商品、価格、販売場所、販売促進)
②農村地域の市場や消費者の特徴
③商品の質向上、価格設定、販売網の設定、販売方法
④販売計画の作成方法
座学のみとなると、万国共通、参加者が集中力を切らし疲れてしまいますので、なるべくグループワークを含め、学んだ内容を実践できる機会を増やしました。その一例が、ロールプレイングです。
参加者をグループ分けして、それぞれ仮想店舗を構え、販売競争をしてもらいました。消費者役はジェンスタッフが担い、各店舗スタッフ(参加者)とコミュニケーションをとりながら商品を吟味し、欲しいものを購入していきました。商品の差別化や消費者へのサービス提供などを特に工夫することなく押し売りする方が多く、講師はこの結果を元に提供すべき知識やスキルを判断することができました。
【仮想店舗の開店準備に取り組むワークショップ参加者】

【ジェンスタッフに野菜の種を売ろうとしている雑貨屋】

ワークショップの最後には、学んだ知識やスキルを元に、グループごとに農作物の販売計画(ビジネスプラン)を作り、発表してもらいました。どのグループも、どんな消費者をターゲットにするか、どのように農作物を魅力的な商品にするか、なぜその価格にしたか、どのタイミングで販売するか、としっかり考えた上で、プランを練っていました。
【ビジネスプランを練っている最中に講師からアドバイスをもらうグループ】

ジェンの支援事業に参加する支援対象者はマーケットからのアクセスが悪い地域に暮らし、直接消費者と接点をもたない農家の方が多いのです。そのため、農作物から収入を得る上で中間商人に頼らざるを得なく、妥当ではない価格を設定されるケースがほとんどです。
今回学んだマーケティング知識やスキルを駆使してもらい、各世帯の収入向上につながることを期待しています。
現地事業担当 西田亜理沙
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
1月 8, 2015 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2014年12月18日 (木)
地域の方へのインタビュー<ムライティブ編>
私はムライティブ県プトゥクリルプ郡マナカンダル地区に、3人の子どもと住んでいます。私は紛争中に銃弾を受けてしまい、腹部にはまだ弾丸が残っています。そのため、家族の世話をすることも難しいです。
安定した収入もないため、日々の生活も何とかしのいでいる状況です。また、生活用水のためには毎日1kmの距離を水汲みに行き来しなければなりません。
そんな私たちをJENは支援の対象として選んでくれ、種、苗、フェンス、農業ワークショップを提供してくれました。
私はこれまでに、コミュニティ強化、農業技術、マーケティングの3回のワークショップに参加しました。特に農業技術ワークショップは生活に安心感を与えてくれました。
コンポストと有機農薬の作り方を学んだのは初めての経験でしたが、ワークショップの後すぐに自分で作り始めました。完成までには時間がかかりますが、費用もかからず、健康的です。
現在、配布されたブラックグラム(黒レンズ豆)の栽培をしています。このブラックグラムに早速、今作っている有機農薬を使ってみたいと思います。一度ブラックグラムの栽培を行った後に、本格的な菜園を作りたいと思っています。その時にコンポストを使いたいと考えています。
私の夢はJENからのサポートに依存することなく、生活を築くことです。そして、子どもとともに菜園を作っていきたいと思います。
JENと日本のみなさんに本当に感謝しています。
【地域の方とブラックグラムの畑】

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
12月 18, 2014 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2014年12月 4日 (木)
農業用具の配布
11月中旬に農業用具と野菜の種、多年生苗の配布を行いました。
具体的には、
- 鳥獣被害からの農地保護用フェンス(有刺鉄線)
- クワ
- 有機農薬散布用スプレー
- 野菜の種(唐辛子、茄子、長豆、オクラ、トマト、蛇瓜、タンパラ(葉野菜)、とうもろこし、黒レンズ豆)
- 多年生苗(ココナッツ、ジャックフルーツ、ライム、オレンジ、マンゴー、ザクロ、モリンガ、パパイヤ)
を配りました。
特に野菜の種、多年生苗とスプレーは、農業技術ワークショップで得た知識を直ぐに実践できるようにするために重要です。
【農地保護用フェンスとクワの配布】

【野菜の種、多年生苗とスプレーの配布】

実は、スリランカではNGOが住民に対して自由に物資の配布を行うことができません。
必ず配布物に対して行政のチェックが入り、配布にも地区行政官が立ち会います。
地区行政官が立ち会えない日は配布日として設定することができないのです。
配布場所も必ず行政庁舎の前で行わなければなりません。
重いものを配布する場合であっても住民の家まで直接配達することができないのです。
今回1巻25kgの有刺鉄線を2巻配布したのですが、地域の人たちは慣れているようで、運搬用のトラクターを手配して共同利用していました。
【トラクターの共同利用】

現地総務経理担当 那須田
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
12月 4, 2014 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2014年11月27日 (木)
農業技術ワークショップ
11月11日に農業技術ワークショップを開催しました。
この農業技術ワークショップは、建設する農業用井戸を最大限活用して収入が効率的に得られるようになることを目的としています。具体的には、
- 畑の準備
- 有機コンポストの作成方法
- 有機農薬の作成方法
- 節水農業
- 害虫のコントロール
- 農作物の収穫方法や収穫時期
- 農業を営む上での健康問題
をテーマとして取り扱い、自分たちの野菜栽培に生かしてもらいます。座学で半日、実作業を行う演習で半日、の構成です。
ワークショップに限らず、普段から配布する種や苗の選定などに関して現地農業局と密接に連絡を取っており、その結果、講師派遣や農業訓練センターの使用にも協力してもらえることになりました。
特にスリランカでは農薬が原因で健康被害が発生している可能性があり、有機農業にシフトするべく、力を入れているようです。そのためか、兼ねてから有機農業に取り組んでいるJENに良く協力してくれます。
【座学の様子】

演習では、有機コンポストの作成、有機農薬の作成を行いました。
【有機コンポストの作成演習】


【有機農薬の作成演習】

写真④
次は12月中旬に、成果である農作物からどのようにして効率的に収入を得るかをテーマにした、マーケティング・ワークショップを開催します。
現地総務経理担当 那須田
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら】
11月 27, 2014 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2014年10月23日 (木)
地域の方へのインタビュー<キリノッチ編>
私はイタベル村に以前から住んでいました。7人の子どもがいますが、娘の1人は19歳の時に強制的に武装グループへ参加させられて、紛争中に亡くなってしまいました。娘が1人、衣料工場で働いているのが唯一の安定した収入で、あとは夫が日雇い労働で収入を得ています。生活のニーズを満たすほどの収入は得られていません。
この村は紛争から直接的に被害を受けており、ほとんどのものが破壊されてしまいました。家や共用の建物、排水設備、大きな木さえも。私たちは2004年から2012年まで避難していました。私たちが帰ってきたときには村は墓地の様になっていました。
私たちはいつも現在の生活や、どのように収入を得てどのようにやりくりするかについて考えています。これが唯一の生きていく方法であり、平和をもたらすものと考えているからです。必要なものは隣人には頼りません。一生懸命働いて努力することが幸福へのビジョンだと信じているからです。
農業協同組合については今のところ多くのアイデアを持っているわけではありませんが、グループとして働くことは時間を節約し、新たなアイデアを共有し、地域を発展させることができるものだと期待しています。
【インタビューに答えてくれた方と家族】

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら】
10月 23, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2014年10月 9日 (木)
地域の方へのインタビュー<ムライティブ編>
私は4人の子どもと夫と共にタチャダンバン地区に住んでいます。子どものうち、2人は障がいを持っており、1人は日雇い労働に従事し、もう1人は学校に通っています。井戸は持っていませんが、日々の食事のために小さな家庭菜園で野菜を栽培しています。水は近所の人から分けてもらい、バケツにくんで運んでいます。
1997年から2000年の間、国内避難民キャンプで過ごしていました。2000年に自分の家に帰ってきたときには家は完全に壊れており、畑は地雷原となっていました。未だに大きな穴が敷地内に残っています。その後、2008年から再び紛争のために土地を離れ、2010年に帰ってくることができました。
私が家庭菜園に関心を持っていることを考慮に入れて、JENは私を支援対象者に選んでくれました。直接、私たちの生活の様子を確認した上で、選んでくれたのです。JENのサポートによって私たち家族が前向きになれることを願っています。農業用井戸ができて、自分で家庭菜園ができることを想像するとハッピーな気分になれます。もし、家庭菜園から収入を得ることができるようになったら、家を建て直したいと思います。
農業協同組合の設立も、私たちの村にとって経済的、文化的、社会的な手助けになると感じています。協同組合の機能は、将来的に村で子どもたちが大きなスケールでビジネスをする助けになると思います。
日本の人たちとJENが、私たちの生活の手助けをしてくれていることにあらためて感謝します。
【地域の方とJENスタッフ】

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら】
10月 9, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2014年6月19日 (木)
ムライティブ県オッディスダン郡での支援
本年度の事業地である、ムライティブ県オッディスダン郡(Mullativu District,Oddusuddan Divisional Secretary)の様子をご紹介したいと思います。
【北部州全体から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】

【ムライティブ県から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】

オッディスダン郡は2009年の紛争終結の翌年2010年に、そこに住む人たちの帰還が始まった地域です。しかしながら、ムライティブ県で最も戦闘が激しかった地域でもあり、十分な支援が行き届いておらず、未だほとんどの人たちが仮設シェルターに住み続けています。
【藁とトタンでできた仮設シェルター】

【仮設シェルターの側面】

この地域の80%の人たちが家庭菜園で生計を立てていますが、雨水に頼っているため、野菜栽培ができない期間は日雇い労働で収入を得ています。
そのため平均月収は、スリランカ政府が定めた貧困ライン3,774ルピー(約2,800円)(2013年8月時点)に対して、約1,500ルピー(約1,200円)と大きく下回っており、生計を立てるための支援を必要としています。
さらに、25%の世帯主が女性という状況でもあります。
井戸を持っているのは地域の10%程度の世帯にすぎません。ほとんどの世帯は飲料水を共用井戸から得ているため、農業を行うための大量の水をその井戸から取水するわけにはいきません。その共用井戸も壊れてしまっていたり、枯れてしまったりしており、水不足が深刻となっています。
【枯れかけてしまっている井戸】

この地域に農業用井戸を建設することにより、農業収入の増加が促進されるだけではなく、共用の飲料用井戸との棲み分けができることで飲料水確保の競争が軽減されることが期待できます。
現地総務経理担当 那須田 智生
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。 ご寄付は、こちらから受け付けております】
6月 19, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2014年5月22日 (木)
新事業の開始
2月28日をもちまして、北部ムライティブ県と東部アンパラ県での事業が無事完了いたしました。ご支援くださった支援者の皆様、日本政府には、感謝を申し上げます。
3月からは、支援者の皆様と、日本政府の協力を得て、北部ムライティブ県とキリノッチ県での事業を開始しました。
これまでの経験を生かし、
農業生計回復支援として、
①農業給水支援:48基の農業用井戸建設と給水ポンプ・井戸保護フェンスの配布
②生産性向上支援:コンポスト作成や有機農薬作成などの農業技術ワークショップの開催と種・苗・農業器具の配布
③収入向上支援:生産物から効率よく収入を得るためのマーケティングをテーマとしてワークショップの開催
コミュニティ再生支援として、
①井戸管理委員会の形成:4世帯(井戸2基)で構成する24の井戸管理委員会を設立し、給水設備と共有農具の共同管理を通してコミュニティ活動の意義やリーダーシップの取り方を身に着けるワークショップを開催する
②農業協同組合形成:5つの農業協同組合を形成することで組合化による収入向上を目指す
を実施します。
今回より、前回まで事業を行っていたムライティブ県プドゥクリルプ郡に加え、同県オッディスダン郡、キリノッチ県パッチラパライ郡で事業を展開することとなりました。
それぞれの地域にはもちろん選んだ理由があります。
・ムライティブ県プドゥクリルプ郡:悪路のために支援が行き届かず、未だ取り残されてしまっている
・ムライティブ県オッディスダン郡:ムライティブ県の中で最も戦闘の激しい地域であったたため、支援ニーズが高い
・キリノッチ県パッチラパライ郡 :2012年に再定住が行われたばかりの地域で、まだ支援が届いていない
次回以降、各地域について順番にご紹介します。
現地総務経理担当 那須田 智生
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
5月 22, 2014 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸管理委員会 | Permalink
2014年5月 8日 (木)
北部農業協同組合メンバーへのインタビュー
ビシュワマドゥイースト郡バラティプラム村に住むセルバラニさんには7人の子どもがいました。紛争で娘を一人無くし、息子がまだ1人行方不明です。今では5人の子どもと夫とともに暮らせるようになりました。しかし、2009年に避難した際に全ての財産を失いました。
以前、セルバラニさんは村で有名な農家でした。最新の技術や有機コンポストを使って農業を行い、多くの利益を得ていたためです。しかし、2010年に帰還した際に自分の土地にあったのは、簡易シェルターとしてのテントのみでした。夫は身体的、精神的に新しい生活を開始する状態にはなく、テントを設置するのに苦労し、経済的な問題にも直面しました。当然、男性が行うような日雇い作業もすることができず、生活が追いつめられていました。
そんな折、ジェンがニーズに沿った支援をしてくれ、再び幸せな生活を送ることが可能になりました。彼女はジェンが設立した農業協同組合に興味を持ち、組合の運営メンバーになりました。今では有機コンポストの生産や村の人々と良い関係づくりを楽しんでいます。
彼女の夢は次の世代が健康になることです。農業協同組合がコンポストの材料となるごみを村から集めることで、村がより清潔になることを信じています。そして、コンポスト作業場がもたらす収入によって村の経済に活気が出ること、災害時の備えができるようになることを願っています。
【コンポスト材料のごみ回収】
【回収した材料の裁断作業】
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
5月 8, 2014 農業支援北部帰還民支援 | Permalink
2014年3月13日 (木)
現地の方へのインタビュー 北部
私には妻、息子と2人の孫と共に、ムライティブから65km離れたサンパットゥヌアラ郡のガジャバープラで生活しています。1992年には地雷で片足を失ってしまいました。
私は米作のシーズンに日雇い労働者として働くことでほとんどの生計を立てています。そのため、家庭菜園で自分たちの食べるものを作りたいと考えていました。そんな時にJENが野菜の種の苗を配布してくれました。そして、提供された井戸で栽培を始めることができました。
自分たちで作った野菜で食を満たすことができることを大変うれしく思います。
このような機会を設けてくれたJENと日本のみなさんに深く感謝しています。今後、みなさんのことを忘れることはないと思います。また、他の家族と交流するサポートをしてくれたことも幸せに感じています。
【インタビューに答えてくれた方の家族と井戸】
【配布した種で耕した菜園】
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
3月 13, 2014 北部帰還民支援 | Permalink
2013年10月 3日 (木)
北部の現実
JENは避難していた人たちが再定住した地域の支援を行っていますが、内戦終結から4年経過した今もまだ北部には再定住が行われていない地域があります。
再定住が進んでいない地域では、写真の様に弾痕が壁に残った建物がそのままになっています。

その地域では焼き捨てられた車両が何十台も放置されたままになっており、内戦の爪痕が伺えます。

そして地雷が埋められたままの地域も残っており、地雷除去の作業が今も行われています。赤い看板は地雷が残っていることを示すものです。

そして、その地雷原のすぐ横には仮設の小学校があり、木陰やブルーシートで日差しを防ぎながら授業を行っています。子どもが地雷の看板に気づかずに遊びに入ってしまい、事故が起きてしまう可能性を地元の人たちは危惧してします。

地雷が取り払われて、安全が確認できればその地域の再定住が進むと考えます。ただ、住んでいた地域に戻っても、生活に必要なものが残っているとは考えられません。今後もまだまだ帰還民への支援が必要と思われます。
スリランカ事務所 総務経理担当 那須田
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
10月 3, 2013 北部帰還民支援 | Permalink
2013年9月19日 (木)
北部事業視察のご報告
北部事業の様子をご紹介したいと思います。
北部でも東部と同様に、支援者の皆さまからのご寄付および、外務省の資金協力のもと、
① 農業給水支援として農業用井戸建設と給水ポンプの配布、② 井戸管理委員会の立ち上げとコミュニティ強化のためのワークショップ を開催し、生計の向上・安定の支援を行っていますが、東部とは違った難しさがあります。

井戸建設の上での違いは地質です。
東部の地質は硬い岩盤を含んでいるためドリルを使いながら掘っていますが、北部ではそれが不要です。ただ逆に柔らかい土壌であるため、掘った周囲が崩れてしまう問題が度々発生しています。
【崩れてしまった井戸】

また、井戸をコミュニティで共同管理するように勧めていますが、住民が井戸の共有に対して抵抗感があるようで、井戸を設置した土地の所有者が「今日は十分な水が湧き出ていない」と言ったりして占有してしまうことを懸念していました。
そこで、井戸を共有する世帯の土地の境界上に設置し、共有する世帯同士、遠慮なく井戸を利用できる環境を整えつつ、共有に対して理解してもらえるように話し合っています。
活動に参加する人びととのコミュニケーションは、井戸を建設する村から選出したコミュニティワーカーが中心に行っています。自分の村出身者が主体となって調整していることも、コミュニティ強化のひとつとなっています。
【コミュニティワーカーたち】

スリランカ事務所 総務経理担当 那須田
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
9月 19, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2013年9月 5日 (木)
北部:雨と農業井戸建設へのチャレンジ
ムラティブ県のプドゥクリルプ郡、ビシュワマドゥ サウスおよびイースト地区では今、生計支援に向けた事業で農業井戸を建設中です。

およそ2分の1エーカーの土地を所有している低所得者世帯にとって、一年を通して水はとても重要です。深さ25フィート・直径12フィートの井戸の建設に向けて、掘削が開始されています。

今年前半の豪雨のために地面の水位が上がり、困難に直面しました。水を吸い上げる作業に時間を取られ、より高い馬力の給水ポンプを使用しなくてはいけなくなるという状況に陥りました。業者は協力的で、この地域の人々を助けたいという思いから、余計にかかった費用をカバーしてくれたケースもありました。

私たちは日々いろいろな問題に直面し、その対応にチャレンジしています。 それを見ている住民たちは私たちにとても感謝してくれています。
テクニカルオフィサー ケーサバン
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
9月 5, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2013年8月 1日 (木)
サルボダヤの創設者のご自宅を訪問しました
JEN事務局長と総務会計担当が、ソーシャルワーカーの先駆けとして著名な「サルボダヤ・シュラマダーナヤ」の創設者、アリヤラトネ氏にお会いしました。
スリランカで非常に有名な方に会うのが少し不安でもありましたが、奥様と共に温かく迎えてくださいました。アリヤラトネ氏はスリランカの国民服を身に纏い、非常に謙虚で誠実な方で、その佇まいもやはりスリランカを代表するに相応しいオーラがありました。アリヤラトネ氏の生き方はスリランカの人々に尊敬され、賞賛されており、貧困に苦しむ人々に自信と勇気を与えてきました。
アリヤラトネ氏は、サルボダヤ・シュラマダーナヤ運動を1958年に始めました。サルボダヤは非営利の組織で、現在34県15,000の村で事務所を持ち、活動を広げています。
サルボダヤは「人々の覚醒」と言う意味で、シュラマダーナは「労働の分かち合い」という意味です。サルボダヤは、貧しい人たちの間で資源を分かち合うことで、貧困削減に取り組んできました。
サルボダヤには、5R Unit(Relief<慰安>、Rehabilitation<復興>、Reconstruction<再構築>、Reconciliation<和解>、Reawakening<再覚醒>)と呼ばれる、生活の向上に関する有名な言葉があります。紛争の影響を受けた地域も、サルボダヤの活動で勇気づけられています。
コロンボ事務所総務担当 ジョナサン・ルーパシンへ
※アリヤラトネ氏はスリランカから全世界に活動が広がっているサルボダヤ運動の創始者です。縁あって、同じくスリランカで自立支援を行っている団体としてお話する機会を持つことができました。
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
8月 1, 2013 事務所・スタッフ東部帰還民支援北部帰還民支援 | Permalink
2013年7月11日 (木)
北部帰還民へのJENの支援活動 - 現地スタッフの視点
スリランカは南アジアの真珠と呼ばれてきました。なぜなら、インド洋に浮かぶ海に囲まれたこの国の位置は、世界の中で経済的にも戦略的にも大変重要だからです。(その昔は、東西貿易の拠点でもありました)
しかし、30年間におよぶ内戦によって、経済と民族のまとまりが損なわれてしまいました。停戦から4年、現在は、少しずつですが経済的な安定を取り戻そうとしています。
JENは、インド洋津波による被害の直後2005年1月に、南部ハンバントタ県で活動を始めました。
2007年には東部に活動地を移し、30年間におよぶ内戦が終了した2009年には、その支援活動を北部までに拡大しました。
北部では国内避難民キャンプへの緊急支援を、その後の2010~2012年の間、帰還民の生活再建の支援を行っています。
2013年は、帰還民の自立を促進するため、北部の返還された地域であるムラティブ県プドゥクリルプ郡ヴィスワマドゥ南地区と東地区で、農業を基盤とした生活再建支援を開始しました。この地域は30年前は野菜の産地として有名でしたが、戦争によって人々の有形資産だけでなく、農業を営むための精神力も破壊されてしまいました。
JENは共に働く小さなグループを組織することで、心の復興をもたらすための支援を行っています。年間を通して水を供給するための農業用の井戸を建設し、併せて農機具の配布も行い、自信を持って自立した農業を再開できるようなサポートを行っています。農業の新しい技術のトレーニングや、知識習得のサポートも行っています。
【農業用井戸の建設準備】

【ヴィスワマドゥ東地区の人々】

プロジェクト開始の時点では、グループで機材を共有することが政府機関や現地団体に歓迎されていませんでした。戦争によって、帰還民の間で猜疑心や争いが生じていたためです。
しかし、これをチャレンジと捉えて取り組んだ結果、コミュニティ活動の実現に成功しました。北部での活動の実績が評価され、他機関にモデルケースとして紹介、推薦されることもしばしばです。帰還民のみなさんのあいだでも好評です。
【現地の人々とのコミュニケーション】
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
7月 11, 2013 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2013年2月21日 (木)
新しい活動のスタート。署名式に出席しました
2月1日署名式に出席しました。これは、皆様からのご支援そして外務省のサポートを受けて始まる新しい活動の開始を告げるセレモニーです。私にとって、こういった式典への出席は初めてでしたので、緊張よりも何がどう取り行われるのかに興味津々。開始15分前に会場に着いたのですが、報道関係者の多くが着席済みでした。ふだんは物事がおおらかに、のんびりと進むスリランカで、この式典がいかに厳粛なものなのか、ということを実感しました。
署名式では、在スリランカ日本国大使とJENが契約書に署名を交わし、JENより今回の支援活動についての簡単な説明を行いました。その後、大使のスピーチを拝聴し、記者からの質疑応答。30分程で無事終了しました。
(大使館のホームぺージに記事が掲載されました)
http://www.lk.emb-japan.go.jp/eg/contents/press%20releases/pressrel2012.html#jen2013
今回新たに開始した活動は、北部ムラティブ県と東部アンパラ県での復興支援です。具体的には、農業井戸の建設、農業研修を通したコミュニティ強化、農業協同組合の形成・強化を柱にし、1年間かけて実施します。活動終了時には、故郷に戻った人々約1300人以上(340世帯)への安定した水の供給が可能となり、彼らの自立にむけた大きな一歩に貢献する予定です。
支援活動の進捗は、この速報を通じて随時報告の予定です。是非ご覧くださいね。




2月 21, 2013 東部帰還民支援北部帰還民支援 | Permalink
2012年12月20日 (木)
【北部】JPFによる事業モニタリング
11月8~9日、スリランカ北部ワウニア県でJENが過去に実施した事業と、ムラティブ県で現在実施している事業について、ジャパンプラットフォーム(JPF)のモニタリングが実施されました。
1日目は、2010年6月から12月までワウニア県ワウニア・ノース郡で実施された、230基の井戸修復と426基の井戸清掃事業の視察です。事業終了時にJENから井戸管理委員会に供与された給水ポンプや清掃用具が現在も有効に利用されていることを確認しました。清掃用具は1年以上使用されたため、買い替えも行われています。井戸は管理委員会によって維持管理され、小さな修理の場合は修理業者ではなく、コミュニティ主導の井戸管理委員会や村落開発協会が行います。事業終了から2年が経過した現在も、委員会メンバーが井戸状況などを確認するため、住民の家を訪問しています。
ワウニア・ノース郡では住民の帰還から既に2年が過ぎています。そのため、各地で仮設住居ではなく、恒久住宅の建設がスタートしており、これまでの経験を評価された井戸管理委員会のリーダー全員が、住宅建設委員会のリーダーにも任命されています。今後の井戸修復・清掃についてはこの委員会内でも話し合いが行われるとのことです。JENの事業で培ったリーダーシップを別の委員会でも発揮しているというポジティブな成果を見ることができました。
2日目は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡で2012年7月から行っている事業のモニタリングです。13地区で442基の井戸修復と清掃、13基のポンプ式井戸建設が実施中です。
【写真:地図に記載されたポンプ式井戸の位置を説明しているJENスタッフ】

【写真:ポンプ式井戸建設のため、地中100フィートまで(約30メートル)掘削中】

作業中は外に押し出された泥が頻繁に空中に吹き上げられ、みんな泥だらけになりますが、この繰り返しによって中の水が浄化されます。
【写真:ポンプ式井戸掘削のようす】

井戸管理委員会の女性リーダー、トーフィークさんにお話しを伺ったところ、「修復・清掃された井戸水をいろいろな用途で近隣の10世帯と共有しています。と話してくれました。
【写真:女性の水浴び用に仕切りは残しています】

「私の娘は、夜遅い時間に離れた通り沿いの共同井戸で暗闇のなかで沐浴を行う際に、不安な思いをすることがありました。夫は紛争で足と胃に障がいを抱えているので、沐浴も大変でした。今ではそういう心配もなくなり安心です。
何よりも、水汲みの際、紛争前の平和だった頃のように、近隣の住民と楽しく会話をできるようになりました。近隣の住民にも感謝してもらえて、本当に嬉しいです。それだけではありません。委員会のリーダーとして、他の住民から村の状況や帰還後の女性が直面する悩みなどいろいろ相談を受けるようになりました。だんだんと、自分に自信が持てるようになりました」と話してくれました。
井戸修復・清掃後、水の問題が解決されただけでなく、住民が話し合う機会がそこで持てるようになり、住民が抱える共通の問題を協力し合って解決しようという助け合いの関係ができた、と、トーフィークさんは言います。こうして生活の中で平和を実感し、誰もがいつでも水汲みをできるように、玄関の柵を開けたままにしているそうです。
【トーフィークさん宅の井戸水を飲む近隣の子どもたち】

12月 20, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年11月29日 (木)
スリランカ出張レポート~前編・北部~
本部でスリランカ事業管理を担当しております、上田と申します。10月に現地視察へ行ってきました!
今回は前編、後編に分けて、出張レポートをお届けします。
スリランカを地図で見ると、小さな島のように思えるのですが、意外に広大で、北海道の8割ほどの面積があります。移動が予想以上に大変でした。
中心都市コロンボから北へ車で約6時間、まずは北部ムラティブ県プドゥクリルプ郡、マリタインパットゥ郡を訪問しました。20年以上にわたった紛争の傷跡はまだ色濃く、あちこちでボロボロに壊された家屋が放置されています。
ここで驚いたのが、至る所に物品が散乱していること。よくよく見るとバケツやプラスチック製品、トタン屋根など、生活に必要なものばかりです。
現地スタッフによれば、紛争時、急いでキャンプに避難させられた住民はすべての家財道具を持つことができず、多くの物品を自分の土地に埋めて逃げたそうです。それらが時間の経過とともに露出したり、帰還した住民が掘り出し始めたりして、散乱している模様。たしかに、土を掘り起こしている家族を多く見かけました。
【いろいろなものが散乱しています】

【破壊されたままの家屋】

住民が最近帰還を許されるようになった地区では、ぽつりぽつりと家が建っています。家といっても非常に簡素で、木の骨組みに、国連機関から供与されたトタンやビニールシートをかぶせたような粗末な小屋に、何人もの家族が居住しています。
紛争が終結して3年以上が経過し、多くの住民はある程度落ち着いた暮らしを送っているのだろうと想像していましたが、現実はまったく異なり、地域によって差はあるものの、いまだに水、シェルター、食料といった緊急支援が必要とされる状況でした。
【このような小屋で避難民が生活しています】

【近隣に井戸がなく、現在もまだ給水車から水が供給される地区もあります】

村で出会った25歳の女性に話を聞いたところ、彼女は今年8月に帰還したばかり。現在妊娠7か月ですが、ムラティブ県の病院は住民の帰還後にようやく稼働を始めたため設備が整っておらず、バスで6時間かけて、さらに北部のジャフナ県の病院で出産するとのこと。保健分野においても課題は山積みです。
【インタビューした女性】

【8月に帰還した家族。帰ってきたのはうれしいが、今後が心配と話していました】

北部では帰還民を支援するため、紛争中に破壊された井戸の修復、清掃事業を実施しています。現地ではコミュニティワーカー(CW)や住民が協力して井戸修復・清掃に携わっていることがよくわかりました。
JENの井戸は細部にまでこだわっています。例えば、井戸内の清掃をより安全にできるよう、修復の際、ブロックで突起をつくり、階段のように井戸の底に下りていくことができます。たいていの井戸ではロープのみで下降しなければなりませんが、「足がかり」があることで、迅速かつ安全に下りることができます。
【井戸について話し合う、コミュニティワーカーとJENスタッフ】

【井戸内に設置した突起状のブロックとロープで下りる様子を見せてくれました】

(東部編へ続く)
11月 29, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年11月 8日 (木)
北部:プドゥクリルプ郡の今
10月初旬、約1年振りに北部事業地のあるムラティブ県プドゥクリルプ郡を訪れました。事務所のあるワウニヤからはA9と呼ばれる道路を北上し、キリノッチ県の隅っこを走り抜け、右に曲がって、、、と道順は全く同じ。しかし、その先には新しい発見がいくつもありました。
昨年JENが建設したトランジショナル・シェルターの周りには、この1年の間に帰還した人々の住まいが増えていました。

また、当時は掘立小屋しかなかった地域には店が並んでいました。

メイン道路には公共バスも走っています。電柱も電線もめぐり、電気供給の安定化も進んでいます。確実に復興が進んでいるのを目の当たりにしました。

しかし、同じ県の同じ郡の中でも大きく差が開いています。帰還して半年程の地域では、国連からの食糧配給が終了し今後の生活を憂いている人々がいます。荒れた水田を整備して稲作を再開する資金がない為に一切の収入を得られない人がいます。3週間前に帰還が始まった場所では、男性が荒れた土地をならし、住む場所を確保している段階です。国連が配布した水タンクには、給水車が一度水を満たした以降補給がなされていません。
復興の兆しが見えた地域のすぐそばには、まだまだ支援を必要としている多くの人がいるのです。
11月 8, 2012 北部帰還民支援 | Permalink
2012年10月11日 (木)
北部:戻ってきたけれど 2
(前回からの続き)
住む場所や食べ物以外に必要なのが水になります。洗濯や入浴用の水は、唯一使用可能だった一井戸を清掃したうえで使用していました。しかし、乾期の為10日程で水が尽きてしまいました。
飲料用には、国連機関が水タンクを3つ設置しました。50から70世帯での共有なので、一日一世帯当たり3.5から5L得られる計算になります。しかし、地方行政が担うことになっている水の補給は、財政上の理由からなされておらず、人々は約2㎞離れた隣の地区まで水を汲みに行かなくてはならない状況です。
観光や高い経済成長率で知られる近年のスリランカですが、今も内戦時の影響下にある人々がいることを覚えていて頂けましたら幸いです。
JENは5基の手押しポンプ式の管井戸(読み方:「くだいど」もしくは「かんいど」)を建設し、帰還した人々への水供給を支援していきます。
(本事業は支援者の皆様とジャパン・プラットフォームのご協力により実施しています。)
10月 11, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年9月27日 (木)
北部:戻ってきたけれど 1
ムラティブ県プドゥクリルブ郡マリガーティブ地区は、海岸から約5㎞内陸に位置しています。湖で漁業を営む人もいましたが、住民の大半は農業で生計を支えていました。というのも彼らは、政府の政策に基づき1950年代にジャフナ県から移り、ピーナッツ栽培に従事していたタミル人二世・三世なのです。
彼らも内戦時に戦火を避ける為暮らし慣れた土地を離れ、マニック・ファームと呼ばれる避難民キャンプに身を寄せていました。ようやく元の場所に戻れるようになったのが、内戦終了から3年以上経った今年8月10日です。それから約1か月の間に394世帯の帰還が完了しました。
マリガーティブまでは国連機関がバスやトラックを提供し、引越が行われます。到着した世帯には調理器具、バケツ、シャベル、鉈、ビニールシートといった食糧以外の生活必需品が配布されます。

戻ってきたけれど、そこには何もありません。廃材、茂み、ボロボロになりつつも何となく形を残した家、、、避難前の様子とはガラリと変わってしまっています。

雑草や散乱した廃材を取り除き、テントを張る場所を確保し、骨組みにする為の木材を集めます。


米、乾燥豆、ココナッツオイル、砂糖、小麦粉は月に一度配給がありますが、肉、卵、魚、野菜などは6km離れた場所まで買いに行かなくてはなりません。公共の交通機関はありませんので、徒歩もしくは(所有していれば)自転車になります。

(次回に続く)
9月 27, 2012 北部帰還民支援 | Permalink
2012年8月 2日 (木)
北部:昨年修復した井戸と住民の方々にお会いしました
2011年1月から6月にかけワウニア県ワウニア郡で修復・清掃を行った井戸と、その後の人々の様子をモニタリングしました。修復した井戸は406基にもなるのでごく限られた範囲でしたが、井戸が人々暮らしを支えている様子が確認できましたので、ここで一例をご紹介しますね。

こちらの男性は2010年10月にこの地に帰還しました。
修復された井戸から水を引き、政府から購入した種を使ってピーナッツを広く栽培しています。収穫したピーナッツは政府に適正レートで販売されます。市場で収穫物を販売すると買いたたかれてしまうため、個人農家では難しいそうです。
ちょうど収穫シーズンだったので、倉庫にはピーナッツが山積みでした。

【ピーナッツがふかふかのベッドになるくらい収穫されていました】

本事業は支援者の皆様とJPFの助成により実施しました。ジェンは現在も同助成をうけ、北部ムラティブ県で活動を続けております。
8月 2, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年6月21日 (木)
北部:質の高い支援を行うには
戦火を逃れ国内を避難していた人々は、家や財産など全てを失ってしまっていることが多々あります。そういった人々を支える私たちJENの仕事は、常に質の高いものであることを追及しています。
井戸修復を開始する前には、業者や地元から採用したコミュニティ・ワーカー(CW、 過去の支援速報を参照下さい:2010年9月9日、2010年9月22日、2011年9月29日)、修復した井戸の維持管理を担う井戸管理委員会(WMC)のメンバーへ、何故JENは「仕事の質」を求めるのか、何に基づき「質」をはかるのかといった事を共有する時間を設けます。
特に建設の専門家でないCWやWMCへは、JENの技術系スタッフが教材を作りレクチャーを行います。

修復作業が開始すると、JENの技術系スタッフだけでなく、フィールド・オフィサーやCWも全体の進捗に加え、セメント・ブロックを作る際の砂・セメント・メタルの比率など「質」を落とさぬよう細かく作業を確認します。

こうして完成した井戸は地元の人々の手に引き渡されます。しかし、JENはここで引き揚げません。6か月後最後の品質調査を行います。この時に万が一建設工程が原因で生じた欠陥があった際は、再度その部分を修復します。



これが私たちの追及する質の高い支援です。
6月 21, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年4月 5日 (木)
【北部】JPFモニタリングチームの訪問
3月28日、ジャパンプラットフォームのモニタリングチームがプロジェクトサイトを訪問し、ジェンスタッフも同行しました。
午前中は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡テビプラム地区で今年1月に開始された、井戸修理および井戸清掃事業のモニタリングです。この地域は、最後の紛争地域で最も被害を受けたプドゥクリルプ郡19地区のひとつです。
下の写真は、テビプラム地区の共同建物がある一角を借り、業者が砂とセメントを使ってセメントブロックを成型する様子を説明しているところです(1日1000個単位で成型)。
下の写真は、井戸修復中、セメントブロックを井戸底にゆっくり降ろしているところです。
接着のためのセメントを用いて、どんどんブロックを積み上げています。
住民を訪ねるためには紛争時に使用された塹壕跡や、相手側の攻撃を防ぐために用いられた土盛りの細いコブの上を慎重に車で通らなければならず、苦労してようやくたどり着きました。いくつかの世帯でモニタリングがなされた後
昨年12月に完了したムラティブ県プドゥクリルプ郡でのトイレ付き仮設住宅建設および井戸修復・清掃の事業地を視察。
住民の了承を得て、家の中でお話を伺い、建設後のトイレを見せていただきました。
スリランカは4月中旬がお正月にあたりますが、その前後に第二雨季が訪れます。雨で事業地へのアクセスが困難になる前に石工作業を終わらせようと、JENワウニア事務所は現在奮闘中です。今後も皆様からの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。
4月 5, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2012年2月 9日 (木)
北部:新しい事業が始まりました
スリランカでは、内戦で国内避難民となった人々の再定住を年内に完了させることを目標としています。
その重要地域の一つとして掲げられているムラティブ県プドゥクリルプ郡で、ジェンは1月1日から新しい事業を開始しました。
ここは昨年6月に帰還が始まったばかりの地域です。
内戦前は農業や漁業が盛んでしたが、現在土地には遺棄物の山があり、政府から海へ出ることは禁止されています。
帰還した人々はENREP(Emergency Northen Recovery Project)という、共同の場所の片付けや、砂や砂利を使用して道を舗装する45日間の事業に参加し、日当を稼いでいます。
写真にある井戸はそれぞれ内戦中に掘られたものですが、地上部分にあったはずの井戸壁はなくなり、子どもやお年寄りにとって落下のおそれがある、安全面に欠けるものとなってしまいました。
また、この井戸は現在は飲料用には使用できない為、片道1~1.5km離れた場所まで少なくとも1日に4回は水くみに行かなくてはなりません。
スリランカ軍によって清掃された飲料用の共同井戸はこの地域に6基あるのですが、ここに暮らすのが750世帯(1月16日現在)だということを考えると、とても十分な数とは言えない状況です。
ジェンは戦時中に破壊された井戸の修復と清掃を行い、ここに帰還した人々の生活再建をサポートしていきます。
2月 9, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 | Permalink
2011年12月22日 (木)
ナンドゥリ / イストゥーティ
早いもので今年も残りわずかですね。2011年最後の支援速報は、ジェン・スリランカ(JEN SL)の1年を簡単に振り返りたいと思います。
北部では、年明けとともにワウニヤ県にて井戸修復・清掃の事業が始まりました(JPF助成)。
半年間で406基を修復し、清掃を行った470基により多くの人達が安全な水を得ています。
7月から事業地がムラティブ県に移りました。ここは内戦時最後の激戦区となり、2010年7月から帰還が始まったばかりの場所です。
不発弾が発見され緊張がはしったこともありましたが、50の井戸修復・清掃および188のシェルター・トイレ建設は今月無事に完了予定です(JPF助成)。

東部では、前年12月より、29基の農業用井戸と14基のカルバート建設およびコミュニティ強化の事業を開始していました(外務省助成)。
しかし年末から続く大雨の影響で洪水被害が拡大し、事業地へのアクセスが不可能な時期もありました。
この洪水被災者に対し、花王様のご協力のもと、緊急避難用品セットの配布を行いました。
洪水によって崩壊した橋も初夏には修復され、事業地へのアクセスが可能となり、東部の建設・コミュニティ強化事業は今月末無事に完了予定です。
これらジェンの事業は、助成金やご寄付を頂戴した団体様のみならず、ご寄付を頂戴した皆様、ニュースレターや支援速報を読んでくださっている皆様等多くの方々の応援に支えられてきました。
JEN SLスタッフ一同心より感謝申し上げます(タイトルは左からタミル語、シンハラ語で「ありがとうございます」)。
来年も皆様のご期待に添える活動をしていく所存です。
12月 22, 2011 東部帰還民支援北部帰還民支援 | Permalink
2011年10月27日 (木)
縁の下の力持ち
前回建設現場をご紹介しました。実際に体を動かし建設を進める人、技術面でサポートする人、建設のスケジュールを管理する人がそこにはいます。
しかし、建設に必要なのものはまだあります。そう、資材とそれを管理する人です。今日は、そこに注目してみましょう。
業者さんから倉庫へ届けられた際、また倉庫から建設現場へ運ぶ際、必ず資材の数を確認しています。
建設スケジュールに合わせて過不足なく必要物資を届けることも重要な運営管理です。
少し余談になりますが、ここ北部ではまだ雨期に入っておらず、この日も一日中晴れ間が広がっていました。
太陽光で熱くなった座席でお尻がやけぬよう、トラック運転手の工夫をうかがい知ることができました。
木の葉を活用するところが、緑豊かなスリランカらしいですよね。
上三番目の写真に写っている彼は何をしているのでしょう?
彼もこの倉庫で働く一人です。一つのシェルター建設に必要な量の釘を新聞紙で梱包しています。
この他にも、蝶番や鍵など彼が梱包する資材はまだまだ列を成しています。
こうした裏方作業があっての建設現場なのです。
===== ご報告 =============
平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。
これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、
支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
詳しくは、こちらへ
========================
10月 27, 2011 北部帰還民支援 | Permalink
2011年10月13日 (木)
シェルターとトイレの建設が進んでいます。
皆様のご支援とジャパン・プラットフォームの助成を受け、スリランカ北部ムライティブ県で帰還民生活再建支援として井戸の修復・清掃及びシェルターとトイレの建設を行っています。
シェルターとトイレの建設現場をのぞいてみましょう。それぞれ一週間程で出来上がります。
シェルター1、まずは測地と柱を埋める場所を掘ります。
シェルター2、そこに虫食いや腐敗を防ぐ加工をした木を埋め、まわりにブロックを敷き詰めていきます。
シェルター3、屋根を設置します。この後に部屋の床や壁を作ります。もちろんドアや鍵も取り付けていきます。
トイレ1、便槽を作ります。ここに3~5年分が貯められる大きさです。
トイレ2、便器と個室を作ります。便槽とはパイプでつながれています。ドアを取り付け完成です。
===== ご報告 =============
平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。
これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、
支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
詳しくは、こちらへ
========================
10月 13, 2011 北部帰還民支援 | Permalink
2010年4月 8日 (木)
【ワウニア北部】シェルター配布後に、村人より
「私の名前はラサロシニです。マティヤマブ村に家族7人で住んでいます。
2008年中ごろから自分の住まいを追われ避難しましたが、2ヶ月前にこの村に再定住しました。
当時は農業用器具もあり大きな家に住んでいましたが、紛争で全てのものを失ってしまいました。以前使っていた農業用器具もです。夫もこの紛争で自由に移動することができなくなりました。
全てを失った私たちは何も持たずにこの場所に戻りましたが、政府が私たちにテントをくれました。でもそのテントは生活するには不便で自由な生活を送れませんでした。そんな時、私たちはJENから木材とトタン板を受け取り、テントを補強、拡充しました。今日は雨が降りましたが、凌ぐことができました。
そして、何よりも嬉しかったのは、ぜんそく持ちの子どもたちを医者に連れていかなくてよくなったことです。」
JENは、JPFと個人の皆さまのご支援により、住居の補強のために木材やトタン板を配布していますが、ラサロシニさんのように、さまざまな相乗効果が生まれています。帰還民の生活を改善するためにこれからも支援を続けていきます。
事業地で村人へのシェルターの引き渡しと手続きをするJENスタッフ
4月 8, 2010 支援物資配布北部帰還民支援 | Permalink