2016年3月 3日 (木)

東部バティカロアの視察

 JENは2月26日、2010~2012年にかけて東部バティカロア県で行った農業生計回復支援の視察を、ドナーである日本大使館の方と共に行いました。

 バティカロアは主要都市のコロンボから約320キロに位置する海に面した県です。2006年後半より再度激化した紛争の最終激戦にもなったことでも知られており、一時期は県内で8万人以上の避難民が発生していました。JENはここで、2年間で552世帯を対象に69基の農業用井戸を建設し、地域の人々で構成される井戸管理員会を立ち上げ、組織強化のためのワークショップや野菜・苗の配布を通して、所得の低い地域を対象に生計回復支援を行いました。

 視察で5か所の井戸を訪問し、10世帯ほどの家族とヒアリングをした結果、訪問したほとんどの世帯で農業による収入が大幅に増加していること、井戸管理委員会が井戸やポンプのメンテナンスを定期的に行っていることなどがわかりました。事業前は月収1,000~1,500ルピーだった家庭が、自身の農家で採れた野菜や果物を売ることによって月に20,000から40,000ルピーにまで収入を上げることができていました。(1,000ルピー=約785円)

 また、基本的な混作を行う家庭の他、コミュニティ内で育てる作物を分担し収入を分け合うなど、ワークショップの学びが活かされている様子も見られました。さらに、井戸をJENの事業参加者だけではなくコミュニティの方々に開放していたり、井戸からパイプを繋げ約1キロの水供給ラインを作るなど、独自の工夫を凝らすコミュニティもありました。

 各世帯に収入増加によって得られたことを聞くと、土地を買い農地を拡大させた家庭が多く、他にも畑を耕したり農作物をマーケットへ持っていくためのトラクターを購入したり、新しいポンプを購入するなど、支援が継続的な効果をもたらしている事もわかりました。また、生計が回復したことにより子どもたちを学校に通わせることができたなど、波及効果も見られました。

 生計回復支援は成果が見られるまで数年はかかる事業ですが、バティカロアの方々のようにJENが提供した井戸や農業に関する知識を用い、独自で効果を増大させることによって経済的な自立につながるよう、今後も支援をしていきます。

【採れたてのオクラ】
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【乾季でも十分な水量を持つ井戸】
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【地域の人々にヒアリングを行うJENスタッフ】
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【簡易的な水供給パイプライン】
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3月 3, 2016 東部帰還民支援農業支援井戸管理委員会生計回復事業 |

2015年5月14日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第4回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3

 北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。

 また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。

 今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

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 北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。

 10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。




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5月 14, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復井戸管理委員会 |

2015年5月 1日 (金)

月刊スリランカ ー10年間の支援を振り返ってー<第4回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その3

 北部・東部では、7年間で16万7千人以上の国内避難民・帰還民の生活を立て直す一歩を後押しする事が出来ました。188の仮設住宅とトイレの建設、1535井戸の清掃を行い、1229基の井戸を修復し、ポンプ式共同用管井戸を13基建設し、安全な生活用水を確保しただけでなく、農業従事者にとっての生業再開のベースになりました。
 
 また、14箇所のカルバート(橋梁型排水溝)の再建・建設により雨季の流通や経済活動を促し、218の農業用井戸を建設し、自立に向けた基礎をつくりました。
 
 今後の供与品(農業では給水ポンプ、漁業ではカヌーなど)の維持管理と農業や漁業を通したコミュニティ活性化に向けて、204の井戸管理委員会(6の運営委員会を含む)・8の農業協同組合を形成し、12の漁業組合を再生しました。

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 北部では地雷除去が終わらず帰還が出来ていない地域もありますが、2014年からはさらに北上し、北部キリノッチ県の帰還地域へと自立支援に向けた活動を広げております。
10年間、温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。JENスリランカは今後も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。



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5月 1, 2015 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援漁業支援 |

2015年4月 2日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って-<第3回>

 
【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その2

 2009年5月、26年続いた紛争が終結した後、北部では最大28万人以上の国内避難民が北部難民キャンプから帰還を開始しました。これを受け、JENは同年6月以降、深刻な水不足の状態にあるワウニア県の難民キャンプにて、給水活動を通して生活に必要な水を確保できるよう支援しました。
 
 

 同時に、帰還先で必要な緊急支援物資(衛生キット、シェルターキット、補完食糧)を配布しました。また、荒廃した地域に帰還した住民が水源を確保し自立した生活を再開できるよう、地域をムライティブ県へ広げ、引き続き仮設住宅とトイレの建設、井戸修復・清掃や農具の配布などを行いました。

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【この続きは5月に掲載します。ぜひまたご覧ください】


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【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。

イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。

くわしくはこちら

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4月 2, 2015 支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援井戸建設・修復生計回復事業 |

2015年3月 5日 (木)

月刊スリランカ -10年間の支援を振り返って- <第2回>

【東部・北部での国内避難民や帰還民支援での7年間】その1

 スリランカ政府軍とLTTEの紛争が2006年後半に激化し、最大13万人のタミール人が国内避難民になりました。東部での紛争が2007年7月に終結した後、2008年11月までに帰還が公式に完了しました。  

 その間、2004年12月の大津波と2006年の紛争の二重災害を被った東部バティカロア県で、2007年6月から帰還民たちの自立に向け、栄養・保健衛生活動、カウンセリングや漁業組合復興にむけたワークショップなどを実施しました。

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 また、農業用井戸の建設や給水ポンプ等の供与・農業技術訓練を通して農業収入が安定し、井戸管理委員会・運営委員会や農協の形成を通して、協力して自分たちの生活を改善していく力を身に付けていけることを目指しました。その成果を確認できた2014年2月末日までに東部での最後のアンパラ県での自立支援事業を終えました。

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【この続きは4月に掲載します。ぜひまたご覧ください】



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3月 5, 2015 心のケア支援物資配布東部帰還民支援北部帰還民支援生計回復事業 |

2014年9月 4日 (木)

厳しい目で過去の事業を振り返ることの重要性

 少し前の話になってしまいますが、6月23日・24日、過去に実施した2つの事業の事後評価のために、在スリランカ日本大使館の方が事業地を訪問されました。この事業は、支援者の皆様のご寄付と、日本政府の助成金を得て実施しました。

 1日目は、2009年6月から2010年11月まで、東部バティカロア県で実施した農業用井戸の建設を通した帰還民の生計回復事業を視察。2日目は、2010年11月から2011年12月に実施した地域を視察されました。

 当時JENは、井戸ごとに8世帯の家族からなる井戸管理委員会を設立しました。この委員会には、井戸から水を汲みあげ、農地に散水するための水ポンプ、動物が落ちないよう井戸を囲むフェンス、そして野菜の種や多年生植物の苗を配布しました。さらに、ワークショップを通じ、農業技術や共用井戸とポンプの共同運用方法を指導し、隣人同士で協力しあう中で地域コミュニティの絆を強めることを目標に掲げました。

 あれから3年半が経ち、井戸の状態はどうなっているのか、ポンプはまだ共有されているのか、井戸管理委員会のメンバーは協力しあっているのか、そして何よりも、村の方々の暮らしは良くなっているのかを知るべく、私も「厳しい目」をもちながら事業参加者のお宅を訪問させていただきました。

【各井戸に埋めた事業プレート】
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【井戸の状態を視察される大使館の方々(手前2名)】
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【井戸の状態について説明するJENスタッフ】
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 当初目標にしていた「生計回復」の効果は持続していることがわかりました。事業参加者の中からランダムに選んだ16世帯に対して聞き取り調査をした結果、全世帯の収入が事業開始前から比べると約3~6倍(3000~6000ルピー、約2340円~4680円)に増加していました。中には、農業で得た収入を元に農地を拡大したり、家畜を購入したり、雑貨店を経営したり、作物の種類を増やすなどし、10倍以上収入が増えている世帯も見受けられました。井戸の状態も良いものが多く、水ポンプも継続的に使用されていました。さらに、隣人と協力して、共同で農業を実施し、得た収入を公平に分けている方もいらっしゃいました。

【事業参加者との対話】
4

【農業で得た収入を元に、お店を立ち上げた女性】
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 下の写真の身体障がい者の方からは、JENの支援を受ける前は仕事がなく生活が苦しかったが、今は生計が安定していることを教えていただきました。敷地内では当時配布した植物の苗が立派なパパイヤ、マンゴーやジャックフルーツの木に成長している姿を見ることができました。

【身体障がい者の方から話をきく大使館の方とJENスタッフ】
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【立派に成長した木】
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 さらに、当時のワークショップで作成方法を学んだ有機肥料や殺虫剤を継続して作っている世帯も多かったです。嬉しいことに、各井戸が当時支援を受けた方のみならず、周りの20~30世帯の村人の間でも共有されているという、副次的な効果も見受けられました。これらのような「プラスの効果」が確実に出ていることに安堵すると共に、今後地域の方々の生計がますます向上することを期待できるような視察となりました。

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【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

9月 4, 2014 東部帰還民支援農業支援 |

2014年5月22日 (木)

新事業の開始

 2月28日をもちまして、北部ムライティブ県と東部アンパラ県での事業が無事完了いたしました。ご支援くださった支援者の皆様、日本政府には、感謝を申し上げます。

 3月からは、支援者の皆様と、日本政府の協力を得て、北部ムライティブ県とキリノッチ県での事業を開始しました。

これまでの経験を生かし、

 農業生計回復支援として、
①農業給水支援:48基の農業用井戸建設と給水ポンプ・井戸保護フェンスの配布
②生産性向上支援:コンポスト作成や有機農薬作成などの農業技術ワークショップの開催と種・苗・農業器具の配布
③収入向上支援:生産物から効率よく収入を得るためのマーケティングをテーマとしてワークショップの開催

 コミュニティ再生支援として、
①井戸管理委員会の形成:4世帯(井戸2基)で構成する24の井戸管理委員会を設立し、給水設備と共有農具の共同管理を通してコミュニティ活動の意義やリーダーシップの取り方を身に着けるワークショップを開催する
②農業協同組合形成:5つの農業協同組合を形成することで組合化による収入向上を目指す

を実施します。

 今回より、前回まで事業を行っていたムライティブ県プドゥクリルプ郡に加え、同県オッディスダン郡、キリノッチ県パッチラパライ郡で事業を展開することとなりました。

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 それぞれの地域にはもちろん選んだ理由があります。

・ムライティブ県プドゥクリルプ郡:悪路のために支援が行き届かず、未だ取り残されてしまっている
・ムライティブ県オッディスダン郡:ムライティブ県の中で最も戦闘の激しい地域であったたため、支援ニーズが高い
・キリノッチ県パッチラパライ郡 :2012年に再定住が行われたばかりの地域で、まだ支援が届いていない

 次回以降、各地域について順番にご紹介します。

 現地総務経理担当 那須田 智生

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5月 22, 2014 東部帰還民支援農業支援北部帰還民支援井戸管理委員会 |

2014年4月24日 (木)

東部農業協同組合メンバーへのインタビュー

 コンポスト作業場の前で座るのは大きな喜びです。この建物は地域全体の財産です。私の知る限り、私たちが村に帰還して初めての建設された建物です。

 紛争後に帰還して以来、私は生計を回復させるために、多くの政府機関や支援団体と連携しようと試みましたが、全てうまく行きませんでした。

 伝統的な農家として、私は「空、大地、雲、そして神」に従い、収穫をめざして農作業を行っていました。しかし、気候が変化し、雨量が少なくなったため、雨水に頼った野菜栽培のみで生計を立てることはできませんでした。希望を捨てずに解決策を探し、準備を続けました。続けていれば、いつかは乗り越えられると思っていたからです。しかし、無情にもその後も雨は降らず、土地は乾き続ける一方でした。

 そんな時にJENは、野菜を育てるための水を供給してくれました。JENの支援に感謝し、私はその年を「JENの年」とし、菜園も「JENベジタブルガーデン」と呼ぶことにしました。

 また、コンポスト作業場は新たな収入を生み出してくれています。コンポストを製造し、それを売ることで収入を得ることができます。

 農業協同組合では2、3人を従業員として雇用し、コンポスト作業場を運営することを考えています。そして、村の住民たちが無農薬コンポストを使えるようにしていきたいと思います。

 無農薬で栄養価の高い野菜を摂ることで、人々が穏やかで平和な、幸せな生活を送れるようになることを願っています。

 JENと日本のみなさんにとても感謝しています。

【インタビューの様子】
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4月 24, 2014 東部帰還民支援 |

2014年2月27日 (木)

現地の方へのインタビュー その5(東部)

 私はテルックコービル地区のユンパラカラッチという村で生まれ育ちました。私には妻と一人娘がいます。
 
 私たちは紛争の影響を受けて村を離れ、親戚の家に身を寄せていました。実のところ、私たちは再定住が行われる前に、自分たちの意思で2011年に村に戻ってきました。しかし、何も残っていませんでした。家も水もありません。乾季の間は収入が得られないので、年に4、5か月は生計を立てるために、他の場所を転々としていました。

 JENのおかげで長年求めていた水を得ることができるようになり、うれしく思います。井戸が完成する前は2km先の井戸まで水汲みに行かなければならなかったので、井戸の水位が常に十分にあることを確認する度に、喜びがこみ上げてきます。
 そして、井戸だけではなく、安心した生活が送れるように、住民組織化やリーダシップのスキル研修、コンポスト製造などの農業技術研修を受けることができました。

 得た知識を活用して、農作物の生産量を増やし、不安のない生活を送ることが私の夢です。

【現地の方と、インタビューをするJENスタッフ】
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2月 27, 2014 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2014年2月13日 (木)

現地の方へのインタビュー その4(東部)

 私の住んでいる村への道はなく、主要な道路から3キロ歩くと村にたどり着きます。このような状況が数十年続いています。

 土地が私たちにとって唯一の財産です。レンガ造りの家、共有の建物、学校、信仰の場所や井戸等は何もありません。みな未だに仮設のシェルターに住んでいます。

 私の夫が家の稼ぎ手です。生計を得るため家々を訪問して肉体労働をしています。

 私たちは何度も戦争と繰り返される損害に直面してきました。野生の動物から身を守る手立てもありません。野外での活動は野生の象の脅威があります。危険な戦争は終わったけれど、十分な設備がないため平和に暮らせません。
私の夫は野生の動物から私たちを守るため日中あまり収入を得ることができないし、夜も監視のため眠ることができません。そのためにだんだん具合が悪くなってしまいました。

 JENの農作業用井戸は、私たちが何年もの間に見た唯一の建造物です。現在、この井戸によって農作業ができるようになり、自身で生計を立て始めました。私の夫は肉体労働のため出かけなくて済みます。見たこともないような大きな井戸があってとても嬉しいです。農園を作り、沢山の種類の野菜を育て生産量を増やすことを計画しています。

 もし私の計画が成功してお金が貯まったら、移動販売で野菜を売るためのリヤカーを買いたいです。

【現地の女性とインタビューをするJENスタッフ】
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2月 13, 2014 東部帰還民支援 |

2014年1月30日 (木)

象の脅威

 東部地域は野生の象による被害に悩まされています。

 現地の人たちの話によると、日中は林の中にいるものの、夜間になると林から出て来るそうです。
JENの事業地でも写真のように象の足跡が見られます。

【象の足跡】
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 この象問題は非常に深刻で、被害が大きいところでは村人が村から出て行ってしまうほどです。
 周辺には写真のような木の上の監視台がいくつも見られます。

【象の監視台】
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 夜の間は交代で監視台に立ち、象の往来をチェックしています。
 この地域の人たちには対策として、現地行政機関から爆竹が配られているようでした。
 爆竹の音を使って象を追い払うそうですが、集団になるとこの爆竹も効果がなく、どうしても避けられない場合には近くにあるコンクリート製の小学校に逃げ込むそうです。

【現地の人の家】
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 夜も安心して眠れない。
 そんな現地の人たちはみな「農業用井戸で得た収入でしっかりした家を建てたい」と言います。
 今回、その言葉の奥にある背景の一端を知ることができました。

 現地総務経理 那須田智生

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1月 30, 2014 東部帰還民支援 |

2014年1月23日 (木)

現地の方へのインタビュー その3(東部)

 私はカンチクドゥッチアールという村に住んでいます。2006年に紛争で土地を追われ、2010年に元々住んでいた村に戻ってくることができました。

 私には娘が1人おりますが、夫を2012年に失っています。野生の象を夜間に監視していた際に襲われてしまいました。夫の仕事は夜間のセキュリティと野生動物から農作物を守ることが主な仕事でした。

 夫を失ったことで、希望を失い、もう普通の生活ができないことを覚悟しました。私と娘は何とかして生計を立てるために知恵を絞りました。その結果、雨季の4か月間だけは農業をすることができるようになりました。ナッツとトウモロコシが主な収穫物です。

 しかし、野生動物から農作物を守ることは難しく、灌漑設備もないため、雨季が終わった後は収入がなくなってしまいます。また、トイレもない小さな小屋で生活をしています。安全ではないため、安心して夜を過ごすことができません。しかし、土地を離れることはできません。私たちが村から離れてしまうと、土地が奪われてしまいからです。娘が材料を集めてほうきを作って売っていますが、収入はわずかです。

 今回のJENからの支援は、私が今の土地に戻ってきてから初めて、支援団体から受ける支援です。まさか、農業用井戸を設置してもらえるとは思ってもいませんでした。
 おかげで1年中、水を利用することができ、農業が続けられます。井戸が完成したらココナッツを栽培しようと考えています。そしてお金を貯めて、ここに娘と永住できるような家を建てたいと思います。

【現地の方と、インタビューをするJENスタッフ】
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1月 23, 2014 東部帰還民支援農業支援 |

2013年11月28日 (木)

現地の方へのインタビュー その2(東部)

 私はKompaikarachchiという村の住民で、若い時から農業に携わってきました。
 この村は、主要道から12キロ離れたところにあり、公共交通機関も市営の交通機関もありません。
 私の家族は3名で、農作業をサポートしてくれます。息子も農業に大変興味を持ってくれています。住んでいる場所が農業に適しているので、他の仕事をするより恵まれています。農業で収入を得ているため、息子を他の仕事や海外の職に就かせる気は全くありません。息子は紛争からの再建を手助けしてくれ、私の心の支えとなりました。

 私の村では、象や豚が作物のみでなく住まいにもダメージを与え、問題になっています。
水不足も深刻です。1月から4月までが農耕期で、家の近くの川の水を利用しているのですが、4月以降は水が足りなくなるために、自分の健康状態を維持できず、他の仕事もできなくなってしまいます。乾季の間は、貯めたお金、採れた作物や干魚でなんとかしのいでいます。計画的に消費しているものの、象による被害や物価の高騰から逃れるのはとても難しいです。

 JENから提供される農業用井戸が完成したら、野菜の栽培に活用する予定です。家が小さい仮設の住まいなので、息子は将来レンガの家を建てたいと強く願っています。

【現地の方とインタビューをするJENスタッフ】
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11月 28, 2013 東部帰還民支援 |

2013年11月14日 (木)

現地の方へのインタビュー(東部)

 私は2006年の紛争で避難し、2010年に帰ってきました。現在は、東部アンパラ地区のテルックユービル郡にある、タンガベユトゥプラムという孤立した村に住んでいます。私の家族は6人で、3人の娘と息子がいます。私の夫は糖尿病のため、重労働はまったくできません。

【お母さんと一緒に学校から帰って来た子ども】
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 夫が働けないので、私が水田の雑草の除去作業をしたり、乾季に森林で育つ野草の葉を売ったりして、少ない収入を得ています。その日暮らしがやっとできるだけの額で、唯一の収入源です。これ以外には、雨が降るとチェナ(挽いたナッツやトウモロコシのような高地の作物)の耕作をします。でも十分な雨が降らないと、他の村へ移動して臨時の仕事をしなければなりません。

 私たちが住む村では、持続して収入を得るための支援がないので、このような生活を長い間続けています。施設などの不足のため、多くの親が子どもたちへの教育をやめてしまいました。でも、私は子どもたちに最高の教育を受けさせたい。そのためには、恒久的で持続可能な収入を産み出すメカニズムを見つける必要があります。もし水が供給されれば、小さな菜園を作って野菜を育て、収入を得ることができます。これが私の希望の始まりで、この収入によって子どもたちに食事を用意することができます。そして私が家庭菜園をすることで、子どもたちを育てるためどれだけ犠牲を払っているかに気づかせ、勉強するよう励まし、将来何をしたいか考えてほしい、と思っています。

 今私たちは非常に苦しんでいます。あばら家に住んでいるので、雨水が屋根から滲みでてきます。教科書は雨水で濡れてしまいます。村への野生の象の攻撃が頻繁にあり、夜はよく眠れません。そのため、村人は一か所に集まって寝ています。私たちに今、必要な生活基盤は家と水なのです。

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11月 14, 2013 東部帰還民支援 |

2013年10月31日 (木)

東部農業技術ワークショップ

 今回は東部で行った農業技術ワークショップの様子を紹介します。

 JENは農業用井戸の建設だけではなく、その井戸を有効活用できるように知識や技術を身につけて生産性を向上してもらうための農業技術ワークショップも実施しています。

 農業技術ワークショップではそれぞれの井戸の受益者が一堂に会し、講義を受けるだけではなく、抱えている課題を共有し、議論します。

 これまでは近隣地域を集めて1グループとし、グループ毎にワークショップを開催していましたが、新たに全てのグループを集める機会を設けました。

 この試みにより、①コミュニティの範囲を広げること、②他グループと比較ができる環境により自分たちのグループの良い点・悪い点に気づいてもらうこと、③他グループとの比較により、自分たちのグループの結束を高めてもらうこと、を期待しています。

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 ワークショップと言っても、座学やディスカッションだけでは集中力が途切れてしまうので、写真のように有機農薬の現物を実際に確認したり、簡易顕微鏡で害虫駆除をした植物としていない植物を比較したりして、理解を深める工夫をしています。

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 受益者たちで議論して得た教訓を今後も生かせるように、JENスタッフが内容をしっかり記録します。

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 農業技術ワークショップは現地の農業局と協力して開催しており、作成した配布資料にはそのお墨付きとして農業局のマークも加わっています。

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 他のグループとは初めて顔を合わせたためか、初めのうちは若干緊張した雰囲気から始まりましたが、一度議論が始まると徐々にその緊張もほぐれ、活発になりました。
 
 

 同じ悩みを抱える受益者の人たちがこうした機会をきっかけとして、団結し、コミュニティ強化につながることを願っています。

 スリランカ事務所 総務経理担当 那須田



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10月 31, 2013 東部帰還民支援農業支援 |

2013年8月22日 (木)

【スリランカ東部】現在進行中の東部事業の様子

日本の外務省と皆さまからのご支援により東部バティカロアで現在行っている支援活動をご紹介します。

東部では、①農業給水支援として農業用井戸建設と給水ポンプの配布、②井戸管理委員会の立ち上げとコミュニティ強化のためのワークショップを開催し、生計の向上・安定の支援を行っています。

私が訪れた7月は、井戸建設の真最中でした。

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井戸掘りは写真のように重機を使って行います。水量が豊かな井戸建設を目的に掘っているため、当然、水が湧き出てきます。この水が厄介で、土と同時に水も掻き出さなければなりません。

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通常、工事前に予め地質調査を行い、水が出てきそうな地点に絞り込んで掘り始めます。ですが、中には少し掘っただけで大量の水が湧き出てしまい、井戸としては掘り進められないものも出てきます。

0822__drill

東部の地質は硬い岩盤を含んでいるため、岩を砕きながら掘り進めます。1台の重機でシャベルからドリルに部品交換して掘削し、岩が砕けたらシャベルに部品交換して掻き出す、の繰り返しなので、ただ掘るよりも時間がかかってしまうのです。

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10M近く掘り進めて、十分な量の水が湧き出ることを確認できると、井戸としての形づくりとなる石工作業が始まります。この石工作業では、レンガを底まで運び~セメントを作成し~レンガを組み上げる作業は、すべて手作業です。井戸なので湧き出る水を吸い上げながらの作業となります。

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写真は井戸の底での石工作業ですが、10Mの深さがあるので途中は、足のつかない場所で数本の板を渡しての作業となります。

現地総務経理担当 那須田

8月 22, 2013 心のケア事務所・スタッフ文化、生活、習慣東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2013年8月 8日 (木)

東部事業の視察

 本部スリランカ事業担当から現地総務経理担当となりました那須田です。
 赴任にあたり、事業地の視察をしましたので、その様子をご紹介したいと思います。

 こちらは2011年に東部バティカロアで行った農業用井戸の建設のその後の様子です。

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 建設から2年が経過しましたが、なんと給水ポンプが増設されていました!
井戸ができたことで農地を拡張することができ、さらに農地を広げるためにポンプを購入したとのことです。
 今ではくみ上げた水を貯めておく貯水タンクも建設し、井戸の水が枯れてしまっても水を使えるような工夫もしています。
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 コンポストの利用や水が行き渡りやすくなるような耕し方など、ワークショップで行った農業実習の内容も実践されていました。

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 また、ワークショップで行った帳簿付けもしっかり継続されていました。

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 収入が増えたことで、自分たちでさらに収入を得る手段を導入するサイクルが出来上がっていました。井戸ができる前は500~2000ルピー(日本円で約400~1500円相当)だった月収が、5000~10000ルピー(4000~8000円相当)にまで増えたそうです。
 2年でここまで変わるものなのですね。

 現地総務経理担当 那須田



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

8月 8, 2013 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2013年8月 1日 (木)

サルボダヤの創設者のご自宅を訪問しました

 JEN事務局長と総務会計担当が、ソーシャルワーカーの先駆けとして著名な「サルボダヤ・シュラマダーナヤ」の創設者、アリヤラトネ氏にお会いしました。

 スリランカで非常に有名な方に会うのが少し不安でもありましたが、奥様と共に温かく迎えてくださいました。アリヤラトネ氏はスリランカの国民服を身に纏い、非常に謙虚で誠実な方で、その佇まいもやはりスリランカを代表するに相応しいオーラがありました。アリヤラトネ氏の生き方はスリランカの人々に尊敬され、賞賛されており、貧困に苦しむ人々に自信と勇気を与えてきました。 

 アリヤラトネ氏は、サルボダヤ・シュラマダーナヤ運動を1958年に始めました。サルボダヤは非営利の組織で、現在34県15,000の村で事務所を持ち、活動を広げています。
 サルボダヤは「人々の覚醒」と言う意味で、シュラマダーナは「労働の分かち合い」という意味です。サルボダヤは、貧しい人たちの間で資源を分かち合うことで、貧困削減に取り組んできました。

 サルボダヤには、5R Unit(Relief<慰安>、Rehabilitation<復興>、Reconstruction<再構築>、Reconciliation<和解>、Reawakening<再覚醒>)と呼ばれる、生活の向上に関する有名な言葉があります。紛争の影響を受けた地域も、サルボダヤの活動で勇気づけられています。

コロンボ事務所総務担当 ジョナサン・ルーパシンへ

※アリヤラトネ氏はスリランカから全世界に活動が広がっているサルボダヤ運動の創始者です。縁あって、同じくスリランカで自立支援を行っている団体としてお話する機会を持つことができました。

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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8月 1, 2013 事務所・スタッフ東部帰還民支援北部帰還民支援 |

2013年6月27日 (木)

東部での帰還民への支援―現地スタッフの視点

 スリランカで活動しているNGOの数は他の国に比べて多くはありません。その中でも、日本のスリランカの発展への貢献は非常に高いと思います。ジェンも難民や自然災害で被災した人々に対して多くの事業を実施した数少ない団体の一つではないかと、自負しております。

 東部では2006年以降に帰還が始まり、2007年12月以降、バティカロア県で紛争の被害を受けた住民に生計支援を行っています。 私たちは、漁業回復支援で共有が可能なボートなどを提供しました。 農業支援では、ここ3年間で800世帯(おおよそ4000人)を対象にバティカロア県で100基の農業用井戸を建設しました。近隣に住む6000人も使用しています。

 帰還した頃はWFPが配布する食べ物に頼っていましたが、今では自分たちで魚を取ったり、野菜を育てたりして、生計を立てることができるようになっています。

 紛争の影響を受けた人々は住んでいた土地を追われ、家は壊され、大切な家財道具などを失いました。ヒンドゥー寺院や教会、お寺に行ったり、お祭に参加するなどの文化的活動もできなくなり、長い間ストレス下に置かれていました。

 ジェンはこのような人たちに手を差しのべ、人々は元の生活に戻るために自信を持って前向きに農業に取り組むようになりました。今では組織化活動を通して、自由に文化的活動もできるようになるほどに良い方向へ意識が変わってきています。

 スリランカ事務所(バティカロア) プロジェクトオフィサー デービット      

6月 27, 2013 東部帰還民支援 |

2013年2月21日 (木)

新しい活動のスタート。署名式に出席しました

 2月1日署名式に出席しました。これは、皆様からのご支援そして外務省のサポートを受けて始まる新しい活動の開始を告げるセレモニーです。私にとって、こういった式典への出席は初めてでしたので、緊張よりも何がどう取り行われるのかに興味津々。開始15分前に会場に着いたのですが、報道関係者の多くが着席済みでした。ふだんは物事がおおらかに、のんびりと進むスリランカで、この式典がいかに厳粛なものなのか、ということを実感しました。

 署名式では、在スリランカ日本国大使とJENが契約書に署名を交わし、JENより今回の支援活動についての簡単な説明を行いました。その後、大使のスピーチを拝聴し、記者からの質疑応答。30分程で無事終了しました。

(大使館のホームぺージに記事が掲載されました)
http://www.lk.emb-japan.go.jp/eg/contents/press%20releases/pressrel2012.html#jen2013

 今回新たに開始した活動は、北部ムラティブ県と東部アンパラ県での復興支援です。具体的には、農業井戸の建設、農業研修を通したコミュニティ強化、農業協同組合の形成・強化を柱にし、1年間かけて実施します。活動終了時には、故郷に戻った人々約1300人以上(340世帯)への安定した水の供給が可能となり、彼らの自立にむけた大きな一歩に貢献する予定です。

 支援活動の進捗は、この速報を通じて随時報告の予定です。是非ご覧くださいね。


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2月 21, 2013 東部帰還民支援北部帰還民支援 |

2013年1月24日 (木)

東部:日本からの視察団

 スリランカでは、お客様を歓迎することは、相手への尊敬を表す文化的な行いの一つとされています。
写真あ)は、ウェラウェリ郡長が日本からの視察団を歓迎している場面です。

【写真あ】
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 この後、給水ポンプや種の受け渡し式(写真い)と、井戸のオープニングセレモニーとしてリボンカット(写真う)に参加して頂きました。

【写真い】
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【写真う】
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 また、村人達がJENのワークショップで学んだ有機堆肥作りの実演を視察団の前で行いました(写真え)。

【写真え】
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 これは藁、牛糞、落ち葉、生ごみといった普段の生活から得られるものだけで作られます。

 こうしたセレモニーや実演の合間に、視察団は村人達へ様々な質問を投げかけます。「給水ポンプはどうやって共有されるの?」「どうやって維持費をまかなうの?」等々。
 このようなやり取りは、農業井戸や配布された給水ポンプを使っていく村人達にとって、今後直面する事態を考える大変良い機会となりました。

(本事業は支援者の皆様と、外務省の協力のもと行われています。)

1月 24, 2013 文化、生活、習慣東部帰還民支援 |

2013年1月10日 (木)

スリランカ出張レポート~後編・東部~

 2012年11月29日掲載分の北部編に引き続き、東部編レポートです。

 コロンボから車でなんと10時間。東部バティカロア県に到着しました。
東部は北部に比べ、畑が広大で青々とした印象です。世帯あたりの所有面積も広く、北部は1エーカー程度に対して東部は2エーカーとのこと(1エーカーは約0.4ヘクタール)。畑作だけでなく、稲作も盛んで、あちこちに水田が見られました。

 バティカロア県では農業用井戸を建設し、帰還民の生計向上事業を実施しています。井戸建設真っ最中のキラン郡を訪問しました。予想以上に大規模な作業をしています。

【井戸建設の様子】
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 この事業地では建設業者とコミュニティの連携を見ることができました。村落部のため、労働者がいったん村で作業を始めると、1週間は市街の自宅に戻ることができません。そこで井戸管理委員会リーダーが自宅を開放し、宿泊場所や食事を提供しているとのことでした。家といっても、簡素な小屋ですが、チームワークを持って作業にあたっていることは、良い事例のひとつと言えます。

【井戸管理委員会リーダーのお宅】
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 この地域は帰還後数年が経過している世帯が多いことから、生活は安定しつつあるのだろうと考えていましたが、生活環境はあまり改善されていません。農業収入が安定しない、家を作っても度々象の襲撃を受けてしまうことが主な理由のようです。収穫期に象の襲撃が多いことは現地から報告を受けていましたが、今回、実際に被害を受けた家屋を見ることができました。

【象の被害を受けた家屋】

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 新しい発見がひとつ。象対策のひとつとして、郡より「象撃退クラッカー」が住民に配布された、という情報は確認していたのですが、いったいどのようなクラッカーなのか、想像できずにいました。この疑問が今回判明したのです!
 
 
 
 なんと、日本で使われるような、ひもを引っ張るクラッカーではなく、火をつけて象が来る方向に投げる「クラッカー」でした。大と小があり、「大」は音、光、煙が出る一方、「小」は音と煙で象を退散させるそう。スリランカにおいて象は神聖な動物であるため、クラッカーを直接ぶつけるようなことはしませんが、一時的な効果はあるとのことでした。

【クラッカー大】
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【クラッカー小】
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 初めて現地を訪問し、事業の進捗確認のみならず、現地の人々や行政官、現場スタッフと直接対話し、現地の状況を確認できたことで、今後、プロジェクトの様子がよりイメージしやすくなり、事業管理がスムーズに進むことが期待されます。

1月 10, 2013 東部帰還民支援 |

2012年12月 6日 (木)

【東部】外務省モニタリングチームの訪問

 11月6日~7日、 外務省や支援者の皆さまのご協力で、バティカロア県で2008年10月から2009年9月に実施した帰還民生計回復支援の活動について、在スリランカ日本大使館によるモニタリングを実施しました。事業終了後の成果を確認するためのミッションです。JENのスタッフも同行し、活動が終了した地域の住民との対話や聞き取り調査を行いました。

 1日目は、バティカロア県キラン郡での農業復帰支援のモニタリングです。活動終了から3年以上が経過した現在も、配布した農具などを有効に利用していることを確認した後、住民が当時学んだ家庭菜園の技術を用いてできた唐辛子の苗床を視察しました。
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 育った苗はグループ内で共有します。男性の手前に見える大きな葉は、成長途中のココナッツの葉です。後方にはキャッサバの茂みや、大きなバナナの葉も見えます。JENの支援活動を実施していた時に受講した研修で習得した「混作」の技術を活用しています。その後、地元で有名な市場(マーケット)を視察し、漁業支援で組織した組合とその組合員がテラピアを販売している姿に遭遇しました。
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 2日目は、漁業復帰支援でボートや漁具を配布し、組織強化の支援を実施したワハネリ湖で活動する漁業組合へのモニタリングです。早朝から開始される魚の卸売場を見学した後は、組合のリーダーから話を聞きました。
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 JENが配布したカヌーの数を確認した後、漁協組合リーダーの自宅で、とれたて新鮮な魚の揚げ物をいただきました。

【JENが配布したカヌー。現在もロゴはそのまま残っています】
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【作業中の漁師たち】
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 また、農業復帰支援に参加したキラン郡2地区の各村から選ばれた受益者委員会のリーダーたちからも話を聞くことができました。

 15の家庭菜園グループから成るクダムネカル村の受益者委員会(111世帯加入)のリーダー、インドラーニさん(女性)は、「支援が終わってから3年が過ぎました。今では、会費を十分に積み立てています。メンバーと話し合い、今後は村のヒンズー教寺院の清掃をする予定です」と話してくれました。「私は今、自分の家の庭から野菜が取れるようになって本当に幸せです。以前は自分の利益ばかり考えていたけれど、JENの活動に参加して、コミュニティのリーダーとして他の住民をサポートしたいと思うようになりました。自分の中での大きな変化です」と自信にあふれた表情で話してくれました。

 活動開始時は帰還後間もない、不安定な状態にあった村でしたが、今では多くの住民が今後の展望を語っています。

 村落内で強い信頼関係が築かれ、発展しているこを確認でき、大変印象深いモニタリングとなりました。

12月 6, 2012 東部帰還民支援 |

2012年7月19日 (木)

東部:農業用井戸建設現場をのぞいてみませんか

 といってもバーチャルな世界でのご案内です。2月下旬より東部バティカロア県三郡(地図内6郡のうち上から2番目と下の2つが事業地)で始まった事業ですが、現在農業用井戸の建設中です。

【バティカロア県地図】
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 幅3メートル、深さ9メートルがジェンの建設している農業用井戸の標準サイズですが、後の石工作業用に幅は少し広めに掘ります。

 掘削後、湧水量を測定し十分な水量が確認されたら石工作業に移ります。
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 ブロックを積み上げ(割れて小さくなったブロックも隙間を埋めるのに活用されます。)、
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 途中鉄のワイヤーで補強をし、
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 ようやく地上に達しました。
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 この後井戸壁をセメントで塗り固め、井戸幅以上に掘った部分を埋立て、井戸清掃をして完成です。スムーズにいけばここまで約2週間の工程になります。

 

(本事業は支援者の皆様と外務省の協力を得て実施しています。)

7月 19, 2012 東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年6月 7日 (木)

【東部】給油価格の高騰と農業井戸建設の進捗

 2009年に紛争が終わり、平和も戻りつつある中、スリランカでは今年2月からの原油価格高騰の影響で、ありとあらゆる物価が上がり、人々の生活を苦しめています。 

 一方、東部バティカロア県では未だ水資源の確保という基本的な課題が残されていますが、外務省および日本のサポーターの皆様のおかげで、プロジェクトは3年目に入りました。

 5月14日よりバティカロア県ウェラウェリ郡から掘削作業を開始しました。一般的にバティカロア海岸沿いでは3メートルも掘れば水が湧き出てきますが、この地域ではおおよそ9メートルの深さまで掘る必要性があります。写真はキラン郡クドゥミマレ地区(トッピガラ地域と呼ばれ、東部の最後の紛争地域であり、LTTEの拠点であった)で、5月17日に開始された掘削をJENスタッフがモニタリングしている様子です。
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 この写真はウェラウェリ郡での掘削の様子です。削岩機を用いています。
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5月211日からは水量調査を実施しています。写真はキラン郡での調査の様子です。
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 石工の材料の価格の変動で、再度業者との交渉が発生し難航していましたが、5月30日からはウェラウェリ郡での石工作業も開始されました。
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 現在JENバティカロア事務所は、10月以降の第一雨季を前に全31基の石工作業をなんとか終わらせようと奮闘中です。今後も皆様からの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

6月 7, 2012 東部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年4月19日 (木)

東部:プロジェクト完了から3カ月を経て

 昨年12月末に完了した東部事業で農業井戸やコミュニティ強化のワークショップを受講した方の、今の声をお届けします。

 キラン郡ヴァッダヴァン村 Maheswaryさん(30歳女性)
 2エーカーの土地で7つの野菜を育てています。

 昨年習った自家製有機肥料を使っているお陰でよく育ち、市場での売れ行きも良くなりました。
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 この収入で小さなお店を開いたり、家畜を育てたりするようになりました。
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 さらには、貯蓄までできるようになり本当に嬉しいです。

 この大きな大きな農業用井戸を得た今の私たちには、今後どんなことでも乗り越えていける自信があります。

4月 19, 2012 東部帰還民支援農業支援井戸建設・修復 |

2012年3月 8日 (木)

【東部】新しい事業の始まりと署名式

 外務省や支援者の皆さまのご協力で、バティカロア県での「農業用井戸の建設と住民組織の強化事業」を、2月23日の署名式をもって無事開始いたしました。心より感謝いたします。 
 
2月23日の署名式は、スリランカのメディア関係者らが集まる中、厳かに大使公邸内で取り行われました。 在スリランカ日本国大使および経済協力課課長、2等書記官および関係者がご出席されました。

光栄にも大使の席の横に各団体の代表代理が座り署名を行い、契約書を承りました。 その後、各団体代表代理のスピーチが行われ、大使からお言葉をいただき、メディア関係者との質疑応答が行われ、写真撮影をもって終了いたしました。

2月下旬以降、キラン郡長、チェンカラディ郡長、県知事に会い、ジェンのプロジェクト・オフィサーが外務省支援による昨年の事業報告を行いました。それぞれから口頭で、岩盤が多く最も大変なこの内陸地で、乾季中に湧水量の十分ある大きな農業井戸を住民のために建設したことに対し、高い評価をいただきました。また、新しい事業である31箇所の農業用井戸の建設と住民組織の強化事業についても、キラン郡、パッディパライ郡、ウェラウェリ郡のそれぞれの郡長に説明をしました。

(写真は新規事業でも同様のタイプの農業井戸となる前年度の完成井戸写真)
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 また、上記の報告の際、キラン郡の高官より、2011年中旬に再定住省の副大臣が外務省のご支援による2010年度建設の農業井戸を視察された時に、「農業用水としてだけでなく、生活用水としても用いられ、各委員会メンバーの8世帯だけでなく、周辺に住む多くの人々と共同で井戸が利用されており、それぞれの世帯が活発に農作業の収穫から収入を得て、持続的な生計向上がなされている」ことに厚い感謝の意を表されていた、との報告を受けました。

 外務省支援による類似の生計支援事業としては、3年目を迎えましたが、今後もスリランカの人々と共に考えて協力し、バティカロアの復興と発展に寄与できますよう、JENスリランカ職員一同努めつつ、本日もフル稼働で頑張っております。 
 
 今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

3月 8, 2012 東部帰還民支援 |

2012年1月26日 (木)

東部:日本大使館により視察がありました

 今月上旬、2011年末で完了した事業地と新事業予定地の視察の為、日本大使館の方が東部バティカロア県へいらっしゃいました。

 シンナワッタイ村では、帰還してからの生活や主な収入源である農業について住民の方から話を伺っていました。

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 この村では雨に頼って農業を行っているので、4月から12月の乾期には農業収入がなくなってしまいます。近くにある小川も、乾期には都市部で水を確保する為水門が閉じられてしまうので、ここからも水を得られない状況にあります。

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 農業用井戸の必要性をお伝えするまたとない機会となりました。

 ラージャプラン村では、完成した井戸をどの様に活用しているか、どの様に生活が変わったか等の聞き取りと、井戸や農業地の視察がありました。


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 この村では、今までとは違う新しい種類の作物を育てる取り組みが始まっていました。
これは、ワークショップで学んだ「効果的な生産とマーケティングへ向けたコミュニティ内での作物の調整」を実践したものです。
 その土地の気候や土だけでなく、新しい作物を餌とする虫が発生し、周囲で育てている作物への影響はないかを調べる為、まずは限られた量・範囲で育てます。
問題がなければ、次のシーズンには栽培量を増やす予定です。

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(手前に見えるのは、前回の支援速報で登場したクラッカンです。)

1月 26, 2012 東部帰還民支援農業支援 |

2011年12月22日 (木)

ナンドゥリ / イストゥーティ

 早いもので今年も残りわずかですね。2011年最後の支援速報は、ジェン・スリランカ(JEN SL)の1年を簡単に振り返りたいと思います。

 北部では、年明けとともにワウニヤ県にて井戸修復・清掃の事業が始まりました(JPF助成)。
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 半年間で406基を修復し、清掃を行った470基により多くの人達が安全な水を得ています。
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7月から事業地がムラティブ県に移りました。ここは内戦時最後の激戦区となり、2010年7月から帰還が始まったばかりの場所です。
 不発弾が発見され緊張がはしったこともありましたが、50の井戸修復・清掃および188のシェルター・トイレ建設は今月無事に完了予定です(JPF助成)。


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 東部では、前年12月より、29基の農業用井戸と14基のカルバート建設およびコミュニティ強化の事業を開始していました(外務省助成)。

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 しかし年末から続く大雨の影響で洪水被害が拡大し、事業地へのアクセスが不可能な時期もありました。
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 この洪水被災者に対し、花王様のご協力のもと、緊急避難用品セットの配布を行いました。
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 洪水によって崩壊した橋も初夏には修復され、事業地へのアクセスが可能となり、東部の建設・コミュニティ強化事業は今月末無事に完了予定です。

 これらジェンの事業は、助成金やご寄付を頂戴した団体様のみならず、ご寄付を頂戴した皆様、ニュースレターや支援速報を読んでくださっている皆様等多くの方々の応援に支えられてきました。

 JEN SLスタッフ一同心より感謝申し上げます(タイトルは左からタミル語、シンハラ語で「ありがとうございます」)。

 来年も皆様のご期待に添える活動をしていく所存です。

12月 22, 2011 東部帰還民支援北部帰還民支援 |

2011年11月24日 (木)

畑に水が行き渡るための支援

 戦争や気候変動による洪水・干ばつなどが被害をもたらしたここ東部では、被災者を支援する団体が活躍しています。

 その一団体であるジェンは、農業分野での生計回復支援を行っています。

 最も必要とされる水を供給するために、農業用井戸を建設し、給水ポンプ(写真内黄色のもの)や配水用ホース(同黒いもの。100メートルあります)などを配り、1つの井戸を共有する8世帯全部の畑に水が届くようにします。

 配布したものをうまく活用してもらえるように、説明会も欠かせません。配布活動の陰には、実際に物を配る以外にもこうした活動があるのです。

 (本事業は支援者の皆様と外務省の協力を得て実施しています。)

===== ご報告 =============

平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。

これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、

支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。

詳しくは、こちら

11月 24, 2011 東部帰還民支援 |

2011年9月29日 (木)

コミュニティ・ワーカーの夢

キルバリニさんはムライティブ県ウッダヤカドゥ村に住む23歳の女性です。

 この県はタミル・イーラム解放の虎(LTTE)の最後の拠点として、政府軍との間で激しい砲撃戦が交わされた地域です。

 その為彼女も避難し、この地に戻ってきたのは今年の6月末でした。ジェンはこの地で帰還したばかりの人々の生活再建を支援しています。

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 さてキルバリニさんですが、病気の母親と12歳の弟の面倒を見る為、現在ジェンのコミュニティー・ワーカー(CW)として働いています。
 支援内容の説明、その為に必要となる調査の実施など、CWは地域の人々とジェンの橋渡しをする重要な役目を担っています。

 そんな彼女の今後の夢は、大学入学資格を得るための試験を受けることです。スリランカでは13年生修了時に試験があり、その結果に応じて大学入学および志望学科への振り分けがなされます。

 地元での生活再建がなされ、彼女の夢が叶う日が一日も早く訪れることを願ってやみません。

 (本事業は、支援者の皆様およびジャパン・プラットフォームの助成により2011年7月より実施しています。)

====== ご報告 =============

 平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。

 これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、
 支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
 詳しくは、こちらへ

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緊急募金を受け付けています。

 ↓↓↓↓↓↓↓
 
○郵便振替口座 00170-2-538657
 
口座名 JEN

 
 通信欄に「東日本大震災」と記載ください。


 ○クレジットカード:http://bit.ly/c7R8iA

 
 プルダウンメニューから「東日本大震災」をお選びください。

 その他、銀行へのお振り込みに関しては、恐れ入りますが、 ジェン東京本部(03-5225-9352 担当:富田、浅川)までお問い合わせください。

9月 29, 2011 東部帰還民支援 |

2011年9月 1日 (木)

私たちに不可能なことなんてあるのだろうか?

 東部バティカロアでは現在、三段階に分けたワークショップの第二段階を行っています。

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 今回のテーマは「より高品質な生産のための種まき、収穫、マーケティング」です。ジェンスタッフ一同、参加者の声に心から嬉しくなりました。

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「折角身の回りに資源がたくさんあるというのに、それに気付かず活用し損ねていました。それどころか、化学肥料にお金を費やしていたのです。今までこんな驚きのあるトレーニング・コースには出会いませんでした。

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 それから、今後農業について相談事がある際に、連絡をとれる人との繋がりもできました。今回のワークショップでは実際に農地に出て、実践的な方法を教えてもらったので、今後に生かせる知識が増えました。
本当に有益なワークショップで、やる気が湧いてきました」

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 参加者達に今までの基本の農業知識があるからこそ、ワークショップで更なる知識をぐんぐん吸収していけるのです。村人同士が力を合わせれば、今の倍の収穫・収入が得られるでしょう。
地域発展の役に立てることを誇りに思っています。

(本事業は支援者の皆様および外務省のご支援により進めております)

====== ご報告 =============

平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。

これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、
支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
詳しくは、こちら

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9月 1, 2011 東部帰還民支援農業支援 |

2011年7月21日 (木)

ワークショップ~農業生産向上に向けて~

                                    
 外務省そして皆様のご支援のもと、現在東部バティカロアではワークショップを開催しております。これはジェンが支援するコミュニティの中で、農業用井戸という共同資産を管理し、より効果的な農業生産とマーケティングを行うことを目的としています。

 この日はオーガニック・コンポスト(堆肥)についてのレクチャーでした。参加者からは「化学肥料と堆肥では、用途が違う(前者は水田用、後者は農作地用)ことを初めて知りました。」「村にあるもので堆肥が作れるとは知りませんでした。」「農作業だけでなく、この堆肥を売ってさらに収入を向上させたい」といった感想が寄せられています。

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堆肥作りの実地演習の様子です。

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こちらはグループワークでのレクチャーの様子。

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前事業でつくられたオーガニック・コンポストです。

7月 21, 2011 東部帰還民支援農業支援 |

2011年6月23日 (木)

お母さんと井戸

 ある日、濡れた衣服を詰めたバケツを持った老女が掘削現場を眺めていました。コドゥワマドゥ村に住むエルピライさん(70歳)です。

「毎日夕方になると遠くまで水浴びと洗濯に行くのよ。でもあそこの水は塩分濃度が高くて。それにもう年だから、水を求めて500メートル、そこが枯れたら1キロも歩くなんてね。もうすぐここに真水のでる井戸が出来るなんて有難い限り。水源までの往復の時間を他に充てられるんですもの。」

110623

 はい、アンマ(お母さんの意味の呼びかけの言葉。)、もうすぐ完成しますよ。でもこれは農業用井戸です。お洗濯にも使えますが、収入を増やすための農作物栽培用として是非活用して下さいね。

(東部バティカロア県ですすめている生計支援事業は、みなさまの支援とともに外務省のNGO連携無償資金も活用して進めています。)

6月 23, 2011 東部帰還民支援 |

2011年4月14日 (木)

農業用井戸を使い始めて~ヴィシュワリンガムさんの話~

 3月のある日、前の事業で農業用井戸を建設した地域を通りかかったので、参加者の一人のお宅を訪問してみました。訪問したのはキラン郡ペリラーウェリ地区のペリンパム・ヴィシュワリンガムさん(37歳)です。110407

 「私は、11月から3か月間の雨期の間にはトウモロコシや芋、ピーナッツを育てて生計を立てていますが、それ以外のシーズンは森で切った薪を町で売って生活をしていました。しかし、私が今何をしているか見てください。自分の土地で働く喜びを得ています。私の人生の中で今までになかった何か違うものを感じているのです。」110407_2

 「5か月前、井戸が完成間近な頃、ジェンが行ったワークショップで私の夢を語りました。『今までに見たこともないこのような大きな農業用井戸の水を使って、1年を通して農作物を育てたい』と。私は今、お金と時間を節約して、この庭からできる限り多くの利益を得ようと思っています。こう思えるのも、十分な水があるからです。今日は、立ち寄ってくれてありがとう。2か月後にまた庭を見て来てくださいね。」

 最後に彼はこう言いました「私たちはこの井戸を農業だけではなく生活のためにも使っているけれども、問題ないですよね」と。私たちは「もちろん、それはあなた方の井戸なのですから。あなた方が考え、どのようにするかを決めてください。だけど、みんなで分け合ってくださいね」と伝えて家を後にしました。

(フィールド・オフィサー:ナガラージャ、フィールド・アシスタント:シャールラタ)

4月 14, 2011 東部帰還民支援 |

2011年3月10日 (木)

【東部】外務省調査団をお迎えして

 東部バティカロア県ですすめている生計支援事業は、みなさまの支援とともに外務省のNGO連携無償資金も活用して進めています。1月、2月の大雨もおさまり、3月からは農業用井戸の掘削を開始すべく準備を進めているところです。

 3月4日には、昨年の事業と今年実施中の事業の視察のため、3名の外務省調査団の方々がバティカロア県の事業地を訪問されました。昨年の事業地である2つの村で完成した農業用井戸を確認し、井戸の使用者に感想などをお聞きになっていました。

~キラン郡イルッパヤディムンマリ村にて~

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徒歩で村へと向かう

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住民から話を聞く

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建設した井戸の前で話を聞く

 調査団の方からは、最後に「初めて会う住民の方々が私たちに親しみをもっていろいろと話してくれたところに、ジェンと住民とのよいかかわり方を感じました」というお言葉をいただきました。

 日本の支援者のみなさまがスリランカにいらっしゃる際には、観光地からはちょっと遠いですが、ぜひジェンの事業地まで足を延ばして人々がどのように生活しているか知っていただければ、と思います。

3月 10, 2011 東部帰還民支援 |

2011年1月27日 (木)

動物園では人気者だけど・・・

110127  東部バティカロア県の事業地に向かう途中、森の中の幹線道路を走り抜けていると、たまに野生の象の群れに出会います。みんな、車を止めて遠巻きにみています。スリランカでも象は人気者で、動物園でも象のショーが大人気です。しかし、そんな象も、村の人々にとっては害獣になることも。

110127_2  紛争後、北部の自分の村に戻ったスーリヤクマーリさん(38歳)から、深夜に出てきた数頭の象の話を聞くことができました。夜中に数頭の象が現れ、ジェンの支援で修復、した井戸に植えられていたバナナを食べていきました。象も数頭となれば猛獣です。彼女は子どもたちと身を寄せ合って恐怖に震えました。夫のカンディパンさんが近所の人びとに助けを求めに行き、村の人びとが鍋やバケツを叩いて象を脅かして追い払いましたが、バナナの木々は荒れ果ててしまいました。

110127_3  スリランカの各地で、人々が家を建て、作物をつくるためにジャングルを切り開くと、もともと、そこに住んでいた象たちは森の中に避難します。ところが、人々が植える大好物のパパイヤやバナナは象たちの好物。それらを食べにしばしば村に出てくることになります。

 開発で住むところを奪われる象、生きるためにジャングルを切り開いていく人間。

 避難先からようやく村に戻ってきた人々は、今、生活を立て直すために必死です。 ジェンは村の人々を支援しながらも、象と人が共生していけることを願っています。

1月 27, 2011 東部帰還民支援 |

2010年12月16日 (木)

事業の終わりと始まり

1012161_20101124_koolavady_mofa02_j  外務省や支援者の皆さまのご協力で、バティカロアでの農業用井戸の建設と住民組織の強化事業が、11月30日をもって無事終了いたしました。心より感謝いたします。11月下旬には、事業地であるチェンカラディ郡とキラン郡で、郡長や村の人びとと一緒に、農業用井戸の完成式典を行いました。

 

 

1012162_20101124_koolavady_mofa02_j  完成式典は、どしゃぶりの中なんとかテントを張って行われ、キラン郡長から、式典が行われた地区の井戸管理委員会に井戸の引継書が手渡されました。

 
 

 

1012163_koolavady_mofa02_name_boa_3  この井戸には委員会メンバーで決めた「バタフライ」というグループ名が付いていて、みんな井戸の完成を心から喜んでいます。グループ名バタフライの下にはメンバーの名前が入ってます(写真3枚目)。
 
 
 

 

 

 

1012164_20101130_agro_well_opening_  一方で、チェンカラディ郡での完成式典では久方ぶりに晴れた青空の下、やはりテントの中で行われました(4枚目:集合写真)。
 
 
 12月3日には県庁にて県知事に報告会を行いました。県知事およびこの2郡の郡長、県庁計画局が参加し、JENのプロジェクト・オフィサーが事業の様子を、写真を交えて報告しました。県知事からは、岩の多いこの地域での農業井戸の建設に対し高い評価の言葉をいただきました。

 次の事業は、さらに29箇所の農業用井戸の建設と住民組織の強化に加えて、小規模の排水溝も建設する予定です。既に大使館での署名式典を12月1日に終え、来年の11月まで事業を行います。

 今年ももうすぐ終わろうとしておりますが、JENバティカロア事務所は本日もフル稼働で頑張っております。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

12月 16, 2010 文化、生活、習慣東部帰還民支援 |

2010年11月18日 (木)

農業用水がもうすぐ来る

 JENが、支援者の皆さま、Chabo!そして日本政府の協力を得て進めている、スリランカ東部での40基の農業用井戸建設が、佳境を迎えています。

 事業地はジャングルの中に点在する小さな集落です。ここでの農業用水の不足は深刻で、住民の95%以上が一番大きな問題として挙げていました。その農業用水がもうすぐ使えるようになる、ということで、村人たちは真剣なまなざしで工事を見守っています。 101118_mofa2_beneficiaries_use_jen_

 地下で水脈が走っているかどうか、一番よく知っているのは村人たちです。その意見をよく聞いて、掘る場所を決めます。井戸を使えない距離に住む村人でさえ協力を惜しみません。ある時、建機が細い農道を通れず立ち往生していると、その道脇にある畑を持っている住民が、「柵を壊して畑に入っていいから、ここを通れ」と言ってくれ、建機は柵を倒しながら畑の上を通っていきました。この農家は、井戸が完成しても、その水を直接自分の畑に使うことはできないことを分かっていました。何度も「ありがとう」と「すみません」が口をついて出ました。101118_9_original   

 JENは今回建設する40基が完成した後、住民たち自身がそこから得た利益をさらに地域のために役立てるために使うことを目指しています。地域全体が元の生活に戻れるよう、これからも住民達と一緒に、そしてこの記事を読んでくださる皆さま方と一緒に、復興を目指していきたいと思います。

11月 18, 2010 東部帰還民支援 |

2010年10月21日 (木)

復興のマイルストーン

 「私たちはひとりでない、ということを実感しました」。

JENが支援者の皆さま、日本政府そしてChabo!の資金協力を得て紛争による帰還民の生計回復支援を実施しているスリランカ東部バティカロア県のパンナイチャダルと呼ばれる村で、バサンサさんはそう語ってくれました。

101021101021  「私の希望は今座っているこの石の上にあります。これは、私の人生のマイルストーン。これらの石は、なんと15フィートの深さの穴から掘り出されたものなのですよ。そう、JENが、村の人々に干ばつの間に必要な水を供給するために井戸を掘ってくれ、そのときに出てきた石なのです。井戸のおかげで私たちの生活は安定しました。」

 バサンサさんの話は続きます。
「JENの支援によって、まず、私たちは自分たちの生活を再建することで自信が付き、この先待ち受けているであろう試練に備えられるようになりました。希望を持って普通の生活を送ると、希望は大きくなり、私たち自身をも成長させてくれるのですね。JENと共に建設した農業用井戸を使用する人だけにとどまらず、他の村人たちにも自信が伝わり、今では家畜や小さな店の経営、ヤギや牛の飼育、その他様々な家内工業に積極的に精を出しています。私たちは、近隣の村民だけでなく、村の有力者、政府の役人たちとまで一緒に働くことができるようになりました。本当に幸せなことです。でも、この平和な暮らしは今始まったばかり。私たちは、JENから学んだ“PLAN, DO and SEE”を活かして、自分たちの能力、決意、そして希望をさらに大きなものにしていこうと思っています」。

10月 21, 2010 東部帰還民支援 |

2010年8月12日 (木)

井戸の清掃を終えて

 私は、シャンムガスウンドゥレムといいます。(Ms.Shanmugasundrem)ナインナマドゥ地区(Naindamadu)のプリウアマドゥ村(Priuamadu)に住む6人家族です。

 私は、6カ月前に別の村からこの村に戻って来ました。紛争で、娘の一人が片足を失ってしまいました。家に戻ってきたものの、放置していた井戸は料理や飲み水に使える安全な水ではありませんでした。そのため、水浴びや生活用水として使っていました。飲み水や料理用の水は、500メートルほど離れたところまで毎日汲みにいかなくてはならず、とても大変でした。多くの人が村に来て、井戸をきれいにしてあげると約束してくれたこともありましたが、結局のところ、本当に井戸の清掃を実行してくれたのはJENだけです。 

 これほどまでに井戸がきれいになったのは10年ぶりです。家族や隣人も、安堵の気持ちでいっぱいです。

100812_05082010_priyamadu_nainamd_2  (写真は、ジャパン・プラットフォームや支援者の皆さまの協力で行われた井戸清掃できれいになった井戸から、村人が水を汲んでいるところです。)

8月 12, 2010 東部帰還民支援 |

2010年7月29日 (木)

東部バティカロアでの地質調査

 東部の帰還民支援の事業として、外務省や支援者の皆さまの協力で、農業用井戸の建設を行っています。
先日、東部バティカロア地域で地質調査を実施しました。ここは岩石の多い地域です。

最初に、水道局のエンジニアとともに、掘削に適した場所をしぼりこみ、SYSCAL RIPLUSと呼ばれる地中探査レーダーを使用して地中の状態を調べます。

100729the_instrument_used_for_tes_4

 次に、電気比抵調査(※)と呼ばれる方法で基準点をつくり、メジャーでその点から左右に伸びるまっすぐなラインを作成します。100729arrangements_for_passing_po_3 

 そして、このラインにそって、基準点から左右50cm のところでそれぞれ杭を打ち、電流を通して地質の調査をします。

  100729preparation_of_location_for_2

その後、基準点から1m、1.5m、2m、3m、と続けて調べていきます。
 水道局のエンジニアは、この調査で出た数値を線グラフに書き込みます。この数値から、その場所に石や水脈があるかどうかを判断し、同時にデータ分析のための地理、水理、地質学的な情報も収集します。
 最後の写真は、JENスタッフが調査結果の説明を水道局のエンジニアから受けているところです)。

100729power_supply_passed_and_await

 (※)電気比抵抗=電気の通りにくさ。地中の堆積物に含まれる水の量が多いと電気は通りやすくなる。

7月 29, 2010 東部帰還民支援 |

2010年7月15日 (木)

井戸清掃スタート!

 7月初旬、住民が見守る中、ワウニア北部での井戸清掃を開始しました。ヘルメットをかぶり長靴をはき、慎重に綱を持ちながら、井戸の底へ清掃メンバーが降りて行きます。100715_paranthan_jpf_well_cleaini_9

 中で作業しやすいように、地上にいる清掃メンバーが、連携して井戸の水を一定の水位になるまでポンプでくみ上げます。 100715_paranthan_jpf_well_cleain_10

 井戸の壁の汚れをブラシで落とし、壊れた空きビンや容器、枯れ葉、泥、ぬかるみなどの堆積物をバケツにいれて、100715_paranthan_jpf_well_cleaini_7 

 上部の清掃メンバーが引き上げます。井戸清掃はこの一連の作業の繰り返し。
 最後に一仕事を無事終えた清掃メンバーの写真をパチリ。
100715_paranthan_jpf_well_cleaini_8 

 お疲れ様でした!

7月 15, 2010 東部帰還民支援 |

2010年7月 1日 (木)

「凄く大きい井戸だね」

100629_agro_well_nokr4_vadamunai  現在、スリランカ東部バティカロア県の帰還地で、外務省や支援者の皆さまの協力により40基の農業用井戸建設事業を行っています。この写真は、すでに建設の始まっている井戸のものです。 

 

 

100629_meeting_with_well_maintainin  先日、JEN現場担当スタッフと、バダムナイ村の村人との間で小規模会議がありました。井戸のメンテナンスについて説明していたところ、住民から
「本当に大きい井戸だね」
「人生で見たこともないぐらい大きいよ」
という喜びの声があがりました。

「この村だけでなく、バティカロア県全体を見まわしてもこんなに大きな井戸はない」
「長く続いた水の問題がこの井戸で解決されるだろう」
と口々に喜んでいました。

 井戸の深さはおよそ9メートル、直径は3メートルです。人々が共に話し合い、協働し、生活向上のために努力することを、今後も目の当たりすることがJENの現場で働くスタッフとして本当に嬉しいです。

(バティカロア事務所 フィールドオフィサー ナガラジャ)

7月 1, 2010 東部帰還民支援 |

2010年6月 3日 (木)

農業用井戸がもたらす未来

   先日、JENのスタッフがある帰還民に話を聞きました。彼は、農業用井戸の建設と、JENが主催するコミュニ100603_a_beneficiary_with_organic_p ティ強化のためのワークショップに参加しています。生活必需品である水が使えるようになることで、今後に希望がもてるようになると彼はいいます。また、JENの支援によって、農業についての新しい知識、チームワーク、コミュニティで資源を共有する方法などを理解し、より良い形で農作物の生産を続けることができるようになったといいます。
 今は、ワークショップで教わった最小限の資源で最大の収穫を得る方法、つまり、時間を無駄にすることがないよう、沢山の収穫が見込める雨季に、野菜の栽培に没頭しているそうです。そして、これから耕作を続けるためにも、農業用井戸が出来ることを待ち望んでいると話していました。
 
 写真は外務省や支援者の皆さまの協力 で先日開催したワークショップで、彼が一生懸命作った無農薬の殺虫剤と、他の参加者が作った野菜(なす)、そして奥地では栽培が難しい(水や野生の象の問題のため)バナナを試験的に栽培した時のものです。

100603methodical_egg_plantjpg_culti 100603_testing_banana_plant_4
 

スリランカ支援の活動報告会を6月18日(金)に開催します。
是非ご参加ください!

くわしくは、こちら

6月 3, 2010 東部帰還民支援 |

2010年5月 6日 (木)

力を合わせて建てたシェルター

100506_vavu_north_priyamadu_jpf_shl ~ワウニア北部シェルター配布後に村人から寄せられた便り~

 私の名前は、シバラサ。ナインナマド地区、ペリヤマド村に住む67歳です。 私には子どもが7人おり、若くして未亡人となった娘とその子ども(3歳)と一緒に暮らしています。私は最後の戦争で妻と自分の片足を失い、今は杖に頼っています。 

 1984年、私は元々住んでいた場所から追われ、大きな家や財産を全て失いました。 1997年、再び住みかを追われ、またもや家と財産を失いました。2004年、私はなんとか新しい家を建て、幸せに暮らし始めましたが、3年後の2007年、再び避難を余儀なくされました。 

 避難する以前、私は地元では有名な農家で、最新の技術を用いて農業に励み、大きな利益を得ていました。 しかし、かつて住んでいた場所に戻ってきたとき手にしたのは、たった一枚のテントだけ。私はそのテントを建てるのに大変な思いをし、安全なシェルターもなく3カ月間そこで暮らしました。テントの中のひどい暑さに悩まされ、夜には小動物や野生動物からおびえる毎日。亡くなった妻を思い出し、よく眠れない日々が続きました。 
今私は、JENの支援で10枚のトタン板と、6本のココナッツの木材とくぎを受け取り、少しのお金で鍵付きのドアがある小さな土壁の家を建てることができました。以前は働く気力すら失っていましたが、今は気持ちも安定して過ごせています。

 写真はジャパン・プラットフォームや支援者の皆さまの協力 をもとに、上記の村人が頑張って建てたシェルターです。

5月 6, 2010 東部帰還民支援 |

2010年3月25日 (木)

東部:長年の水問題は解消するのか?

 スリランカ東部・バティカロア県の帰還地では、水不足の解消が長年の課題でした。20年の間、さまざまな努力をしましたが、どれもうまくいきませんでした。戦争が終わり平和が戻った今、生計回復、向上の支援が始まったにもかかわらず、やはり水の問題は残されています。

 
 この地域には地中に大きな岩が多くあります。その結果、深い井戸を掘ろうにもすぐに岩にぶつかってしまう、ということが、水問題の原因の一つです。

100325_lb2_agro_well_digging_cere_3  写真は、バティカロア県ワハネリ村で農業用井戸を掘っている様子です。

 今、皆さまのご支援により、深さ10メートルの井戸を掘る事業を進めています。ところが、8箇所で大なり小なりの困難にあっています。岩にぶつかるのです。

 まずドリルで障害物を砕き、それが難しければ、掘る場所を替えるか、少量のダイナマイトを使うことも検討することになります。

100325_lb2_agro_well_digging_vahane  課題を一つ一つ解決しながら、バティカロア県では40本の井戸を掘る予定です。

ジェン・バティカロアチーム

3月 25, 2010 東部帰還民支援 |

2010年2月10日 (水)

【東部】 自分の家まであと少し

 1月26日に行われたスリランカの大統領選挙は、現職大統領が再選したことで何とか無事に終わりました。北部での帰還も選挙のために遅れを見せましたが、少しずつ進んでいます。

 1月の下旬に、ジェンはワウニア県北部の戦闘があった地域に帰還した村人を尋ねました。水道局から井戸清掃の依頼があり、現状を確認するためでした。

100210  訪問したアイラディ村では、アソーハンさん(40)に出会いました。アソーハンさんは奥さんと子ども二人でワウニアの避難民キャンプから戻ってきました。しかし、写真のように井戸が長く放置されたため汚れており、いったん全ての水をくみ出して綺麗にした後でないと飲むことができません。

 また、家は完全に壊れていたので、写真のように土で壁を作り、雑木林から木の枝を拾って屋根材として使っています。屋根は、政府から配布される予定のトタン板を待っています。まだまだ、住める状況ではありません。100210_2

 そのため、アソーハンさんは、昼間に家を建て直したり、家の周りや畑をきれいにした後、そこから3km離れたナイナマドゥ村にある一時避難所で夜をすごします。写真のようにこの避難所では50世帯ほどが集まり生活しています。ここにはきれいな井戸がありますし、人々が集まっているので夜も安心して眠ることができるからだそうです。

 家のそばまで帰還した人々が、なかなか自分たちの家で眠ることができない現状。トタン板の配布や井戸の清掃、その後に続く生活再開に向けた農業支援など、人々の自立に向けてジェンがどのように支えることができるかを、人々と話をしながら進めているところです。

2月 10, 2010 東部帰還民支援 |

2009年12月24日 (木)

2009年を振り返って

 2009年は、スリランカにとって、25年以上にわたった内戦が終結するという歴史的な1年でした。

 年が明けてすぐ、政府軍が北部の反政府勢力の中心都市であったキリノッチを攻略し、徐々に北部全域を制圧、5月19日には大統領が勝利宣言をしました。これをうけ、ジェンは、2009年の6月より北部での避難民支援を行ってきました。

 東部では2007年から引き続き、紛争の被害を受けた地域の復興支援を行っており、人々が経済的にも精神的にも自立した生活を取り戻すためのサポートをしています。バティカロア県で活動しているジェンのチームは、2007年より事業参加者の前向きな気持ちを引き出し、精神的な自立を支える経験とノウハウを蓄え、「ジェンらしい」事業を実施するのに欠かせない存在でしたが、ますますチームとしての力を増してきました。

 北部では徐々に避難民の帰還・再定住が進んでいます。今後、北部での帰還・再定住を支援できるようになった際には、東部のモデルを北部にも広げていきたいと考えています。東部のスタッフと北部のスタッフが相互に訪問し合って学びあう機会をつくりたい、という思いもあります。

 2009年は、温かいご支援をたまわり、本当にありがとうございました。ジェン・スリランカは2010年も、より多くの人々の自立を支えるために努力してゆきます。引き続き、温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

12月 24, 2009 緊急支援東部帰還民支援北部緊急支援 |

2009年12月10日 (木)

【東部】ワカライ郡衛生ワークショップ

091210_20091105_ptt_sallitivu_hygie  支援者の皆様、そして国際ボランティア貯金のご支援により、バティカロア県ワカライ郡で行っている衛生改善事業で、ついに、50基のトイレが完成しました。

 この事業では、トイレ建設に加え、人々が衛生に関する正しい知識を身につけ実践できるように、ワークショップも行います。ワークショップには多くの女性が参加し、子ども連れの人も多く見られました。

 参加者の一人であるサバパティーさんは、次のように話してくれました。

 「家には子どもの面倒を見てくれる人が誰もいませんが、このワークショップの機会を逃したくなかったので、子どもを連れてきました。これまではトイレもなく衛生状態も悪かったため、雨季になると病気がちでした。衛生に関する正しい知識を学ぶことは重要だと思ったので、このワークショップに参加できてよかったです」

 現在、バティカロア県は雨季の真っ最中。この事業を通して、ひとりでも多くの人が去年よりも健康に過ごせることを願っています。

(ジャヤンティニ、ワラチェナイ事務所 コミュニティ・モビライザー)

12月 10, 2009 東部帰還民支援 |

2009年11月26日 (木)

【東部】帰還地の人々の生活

091126_2009107_lhood02_perilavely_0  先日、事業地へ向かう途中、自転車に重そうな薪を乗せて運んでいる男性を見かけました。尋ねてみると、次のような話をしてくれました。

 「午前中のうちにこの薪を売りたいので、街まで運んでいるところです。もし売ることができなければ、私の家族は、今日食べるものがありません。娘を健やかに育てたい一心で、重い薪を運んでいます。」

 ジェンが生計回復支援事業を行う地域には、このように不安定な収入源に頼り、なんとか生活している人がたくさんいます。わたしたちは、農業用の井戸の建設を通して、人々が安定して農業で生計を立てられるようになることを目指しています。

 バティカロア県は2007年に反政府勢力が掃討され、政府により統治されるようになりましたが、完全に復興するまでには息の長い支援が必要です。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。

 (ワラチェナイ事務所フィールド・アシスタント ジーワダルシャニー)

11月 26, 2009 文化、生活、習慣東部帰還民支援 |

2009年10月29日 (木)

【東部】自立を後押しするために

091029_20091027_livelihood_2_kick_o  東部バティカロア県での帰還民支援では、井戸を掘削する村の選定、村の経済的・社会的状況の詳しいデータ収集、関連する行政との調整など、順調にプロジェクトが進んでいます。対象とする村での本格的な活動をはじめるにあたって、スタッフ全員で事業目的や、目的達成のためのアプローチの仕方などを再確認・共有するためのワークショップを開催しました。

 ジェンの事業は、ものの配布や建設だけに終始するのではなく、コミュニティの強化と自立を後押しすることを目指しています。コミュニティの自立を後押しできるかどうかは、事業にかかわるスタッフの手腕とビジョンの共有にかかっていると考えているため、しつこいかもしれない・・・と思うほど、事業目的や成果のイメージをスタッフ全員で共有するようにしています。

 このワークショップも、国際スタッフや現地スタッフのマネージャーが一方的に話すのではなく、スタッフひとりひとりに考えを話してもらえるように工夫しました。また、小グループにわかれ、3年後に、現在、支援している村がどうなっているかを具体的にイメージしてもらい、それを発表してもらいました。

 各グループとも、3年後のイメージを絵に描きましたが、そこには収穫されたたくさんの野菜をマーケットで売る様子、住民のコミュニティが活発に活動している様子、住民が協力して平和に暮らしている様子などが描かれていました。

 このセッションでもっとも印象的だったのは、どのグループもとても楽しそうに作業をしていたことです。もちろんこれは「ジェンのスタッフによる成果のイメージ」であって、事業参加者に押しつけるものではありません。事業対象者自らが私たちと同じように、わくわくしながら自分たちの村の3年後のポジティブな変化を具体的に思い描けるよう、サポートするのが私たちの役割です。

 「今日は事業についての明確なアイディアを、スタッフ全員で共有できました。今度はこのようなことを事業参加者である村の人々と一緒にしたい」と、現地スタッフのマネージャーがワークショップを締めくくってくれました。
(プログラム・オフィサー 山中嶋 美智)

10月 29, 2009 心のケア東部帰還民支援 |

2009年10月15日 (木)

【東部】マルカンドゥ・クマールさん一家

091015_kumar_and_his_family_20091_2  バティカロア県ワカライ郡サラティブ村でのジェンの衛生事業をとおして、村の人びとの生活はよい方向へ変化したようです。事業参加者のマルカンドゥ・クマールさんが、喜びを打ち明けてくれました。

 「私の家は、父、妻、子ども、私の4人家族です。以前は用を足すために森の中へ入らなければいけませんでした。家から森まではかなり離れているため、夜にトイレに行かなければいけないときは、とても困っていました。子どもはまだ小さいので、子どもに用を足させるのも一苦労でした。

 先日、ジェンの支援でトイレが完成しました。必要なときに、いつでもすぐにトイレに行けるようになり、とても助かっています。環境も汚さずに済み、また私たちの健康にもつながります」

クマールさんは、満足げに話してくれました。
(スジダラン、ワラチェナイ事務所フィールド・コーディネーター)

10月 15, 2009 東部帰還民支援 |

2009年10月 8日 (木)

【東部】コミュニティ・ホールの引き渡し

 バティカロア県キラン郡では、Chabo!に集まったご寄付でコミュニティ・ホールを建設しています。そして、このたび、昨年より活動を行っているコミュニティに引き渡しを行いました。

 このコミュニティは、ジェンのプロジェクトを通して、住民組織の活動が活発になってきていました。ところが、人びとが集まって活動できるスペースが非常に限られていることが課題でした。近くに公共の建物がほとんどなかったため、これまで住民は、木の下などに集まっていました。酷暑、強風、豪雨などという厳しい自然環境や、時には木の上から毒をもった危険な蛇が落ちてくることもあり、安心してコミュニティ活動ができる状態ではありませんでした。

 「いままでずっと、公共の建物が欲しいと思っていたので、 とても嬉しいです。これからは今まで以上にミーティングが行えますし、移動クリニックに来てもらうこともできます。」と、住民組織の代表が話してくれました。

これからこのコミュニティがどのように更なる自立発展をしていくのか、モニタリングに行くのが楽しみです。

10月 8, 2009 東部帰還民支援 |

2009年9月24日 (木)

事業に参加した人々の声

090924_monitoring_canoe_usagemulliw  前回の支援速報で、東部での新しい事業についてお知らせしましたが、事業終了後には、その成果を評価するために、事業に参加した人々から話を聞きます。今回は、これまで行ってきたフェーズ1の成果をヒアリングするために訪れた村で、そのひとりであるセランさんに話を伺いました。

 「私はムリワトゥワン村の漁業協同組合の組合員です。長く続いた紛争や避難生活によって、漁具を含む財産をすべて失ってしまいました。2008年の5月にムリワトゥワン村に戻ってきたときには、道具もないままで、精神的にも非常につらく、生業である漁業を始められる状態ではありませんでした。

 しかし、ジェンは漁協に対して、カヌーや漁網を提供してくれました。私は現在、そのカヌーを使って得た収入で家族の生活をまかなっています。その上、漁協にお金を納め、そのお金を使って漁協の中で補助が必要な人のために役立てることができています。

 金銭的、精神的にも余裕をもてるようになったので、これまで生で売っていた魚を、干物にして売りはじめました。干物は生の魚よりも高く売ることができるのですよ」

 事業期間を通して、セランさんはとても前向きになったと思います。新しい事業でも、人々やコミュニティが元気になるように支えていきたいと思います。

(コーメーシュワラン、ワラチェナイ事務所フィールド・オフィサー)

9月 24, 2009 東部帰還民支援 |

2009年9月17日 (木)

東部、新しい事業がはじまりました!

090917  北部の緊急支援を進める中、東部のバティカロア県での帰還民支援は9月よりフェーズ2に入りました。

 昨年10月より行なってきたフェーズ1では、支援速報でお伝えしてきましたように、帰還直後の人々が生業に戻るための支援を行ないました。フェーズ2ではさらに対象地域を広げて、帰還したものの長年にわたる紛争の影響で収入が低くなかなか生活を立て直せない地方の人々を対象としています。

 住民からの聞き取り調査から、雨がほとんどふらない4月から9月に農業収入を増やすため、農業用井戸が必要とされていることがわかりました。そこで井戸の建設や維持管理していくためのコミュニティ強化を行ないます。期間は1年間、井戸の数は40基です。1基あたり少なくとも8世帯が参加する予定です。

 今回の事業は、フェーズ1と同じく、日本政府やChabo!グループ、支援者の皆さまからのご協力を得て進めていきます。8月後半にはChabo!メンバーのお二方(勝間様、高野様)がフェーズ1とフェーズ2の事業地を視察してくださいました(写真1)。9月8日には、在スリランカ日本大使館にて、フェーズ2事業の契約書署名式が行なわれました(写真2)。090917_2

 これからも、ジェンらしいよりよい事業を進めていきますので、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

9月 17, 2009 東部帰還民支援 |

2009年9月 3日 (木)

家庭菜園での共同作業 

090903photo_for_web_articlebarricad  私たちは、事業参加者の生活をより確実に改善してゆくため、参加者の家を頻繁に訪れて、フォローアップを行います。先日、事業参加者のひとりであるラトナシンガムさんの家を訪問しました。

 彼女は、いつもとても活発にジェンのプロジェクトに参加しています。私は、彼女の家は4人家族であると知っていましたが、家へ行ってみると家庭菜園のまわりにはたくさんの人が集まっていました。

 どうしたものかと聞いてみると、「これはみんな、私のご近所さんたち。ご近所さんの手助けにとても助けられています。こんなふうに助け合えるのが、私たちのコミュニティの強みです」と、ラトナシンガムさんが話してくれました。

 この村で支援を始めた10か月以上前には、人々が共同作業する姿は見られませんでした。このような前向きな変化を実感でき、とても嬉しく思います。

(ラジャスボジニ、ワラチェナイ事務所フィールド・オフィサー)

9月 3, 2009 東部帰還民支援 |

2009年8月13日 (木)

ともに支えあう暮らし

 JENは、紛争と津波による被害をこうむった東部バティカロア県・ワカライ郡で、復興から取り残されがちだったサラティブ村において、トイレ建設と衛生教育の事業を実施しています。

 この事業は50世帯を対象にしており、住民の積極的な参加によって支援が進んでいます。たとえば、トイレのピットになる部分を掘る作業は、住民自らに行ってもらえるようお願いしています。

090813ptt_wab_article_photo_2  写真の女性、ダルマニンガム・ニロジニさんはだんなさんを亡くし、一人で子どもを育てています。彼女にとって、このような建設の作業をすることは、難しいことです。トイレの建設を開始するにあたって、ジェンは5世帯の住民からなる小さなグループを作るよう、促しました。小グループの中で、お互いに助け合う仕組みづくりです。同じグループの男性が穴掘りを手伝いに来てくれ、ニロジニさんは無事に穴掘りを終えることができました。炎天下で作業を終えた隣人に、彼女は嬉しそうに水を差しだしました。

 このように、事業参加者のコミュニティが、自分たちで問題解決ができるような仕組みを人々とともに育てていくことが、ジェンの支援事業の特徴です。

(スジダラン、ワラチェナイ事務所フィールド・コーディネーター)

8月 13, 2009 東部帰還民支援 |

2009年7月30日 (木)

コミュニティの参加

090730_clip_image0022     「必要な時に、すばらしい仕事が行われた」

 写真は、ジェンが復興支援を行っているクダムネカル村の村人たちが集まって、放置され使えなくなってしまっていた井戸を清掃しているところです。この井戸は、もともと飲料水用の井戸だったようですが、人々が紛争の影響で避難していた2年以上ものあいだ顧みられることがなかったため、使えない状態になっていました。

 ジェンは、スリランカでは、紛争の被害にあったコミュニティに対して、家庭菜園や漁業・農業復帰支援などさまざまな分野でコミュニティ強化のためのワークショップを行ってきました。更に、モニタリングに訪れるジェンのスタッフが、コミュニティが団結し、リーダーシップ、コミュニケーション、マネジメント、活動計画策定、マーケティングや住民組織に必要な文書の作成などのスキルを身につけられるよう、手助けをしてきました。090730_clip_image002_3

 このような活動の結果、村人たちの生活に大きな変化が見られるようになりました。村人たちは、外からの援助に頼らずに、自分たちの資金と労働力で、井戸の清掃を行ったのです。この達成は、今までの活動の成果の一つなのだと思います。

 そして、コミュニティが自信を回復し、自立していくことが、ジェンの目指す心のケアにつながっています。

(ナガラジャ ワラチェナイ事務所フィールド・オフィサー)

緊急支援への募金へのご協力をお願いいたします。

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「母の日のブーケが野菜の種に」スマイルシーズ観察日記はこちら

7月 30, 2009 東部帰還民支援 |

2009年7月16日 (木)

東部でも支援を続けています!~トイレ建設の起工式~

JENは北部ワウニア県での緊急支援と同時進行で、東部バティカロア県での復興支援も続けています。
2007年から2008年にかけて、私たちはワカライ郡で帰還民支援を行ってきました。
ワカライ郡の復興はかなり進んでいるものの、郡の最南端にあるサラティブ村は復興支援から取り残された状態で、衛生施設が整っておらず、特に雨期に衛生状態が悪くなるという現実がありました。

今回、国際ボランティア貯金からの助成を受け、サラティブ村に50基のトイレを建設するとともに、住民に対して衛生教育を行います。
事業を開始する準備がすべて整ったので、事業に参加する人たち、地域の行政関係者などが集まり、村の宗教的リーダーによるヒンドゥー教式の起工式が執り行われました。

起工式を行った家のドン・ジョーセフさんには、奥さんと生まれたばかりの子どもがいます。
「これまでは、家の敷地内の物陰か、少し離れたジャングルまで行って用を足していました。これからはその必要がありません。妻も夜間に安心してトイレに行けるようになります」と話してくれました。

20090715

7月 16, 2009 文化、生活、習慣東部帰還民支援 |

2009年4月 2日 (木)

日本大使館の視察

090402_20090304_vahaneri_eoj_monito  日本政府ならびに皆さまからのご支援で、東部バティカロア県での帰還民再定住支援事業を行っています。先日、在スリランカ日本大使館の担当者が、キラン郡の事業地を視察されました。

 ジェンが支援する農家の畑や、農業トレーニングの様子、同じくジェンの支援を受けた漁師が魚を捕っている灌漑湖などを見学されました。また、ジェンのフィールドオフィス(事業地にある事務所)で、「心のケア」活動で子どもたちが描いた絵を見ていただきました。

 担当の方から

「ジェンのスタッフは、支援を受ける人々との間に信頼関係をしっかり構築しているのですね」

と、おほめいただきました。

 支援を受ける人々の一番近くで多くの時間を過ごしながら行うジェンの「支える支援」は、ジェンがもっとも大切にしていることです。これからも、この姿勢を守りながら活動を続けていきたいと思います。

4月 2, 2009 心のケア東部帰還民支援 |

2009年3月19日 (木)

漁協へのカヌー配布

090319_mofa_20090305_vahaneri__cano  東部バティカロア県キラン郡の灌漑湖で漁をする漁業協同組合(以下、漁協)に、漁業用カヌーと漁網を配布しました。紛争で避難している間に漁具を失ってしまったことに加え、再定住後に組合員の数が増えたことから、カヌーがとても必要とされていました。

 配布に先立ち、ワークショップを実施しました。漁協共有の財産であるカヌーを公平に使用する方法を決めました。また、漁協からのカヌー貸出しの際に発生する収支を記録する大切さやその方法について学びました。

 そして配布式では、キラン郡長や関係行政の方々にご出席いただき、皆さんの前でカヌーを漁協に渡しました。090319_monitoring_canoe_usagemulliw

配布式の翌日、早速、カヌーを使っている組合員の姿を見ることができました。「夕方、暗くなる前の4時過ぎにカヌーで湖の沖へ出て網を仕掛け、翌朝、網を回収し魚を採っています。カヌーをもらってから、毎日漁をするようになりました。昨日は1.5キロの魚が獲れましたよ。」ちょうど網を仕掛けに出かけるところだった組合の人が、話してくれました。

今年もスマイルシーズが始まります。ぜひ皆さんもご参加ください!

くわしくは、こちらSmile_seeds_horisontal_yell_2

3月 19, 2009 東部帰還民支援漁業支援 |

2009年3月 5日 (木)

とうもろこしの収穫

090305_spme_maize_seeds_preservedmu   東部バティカロア県キラン郡での帰還民生活再建支援では、人々が生業である伝統的な農業に滞りなく復帰できるよう、支援してきました。

 昨年11月に配布したトウモロコシとピーナッツの種は、雨不足などの問題もありましたが、なんとか収穫のシーズンを迎えることができました。例年よりも1ヵ月ほど遅い収穫となりましたが、黄金色のトウモロコシを前に、人々の顔に喜びの表情が溢れました。

 収穫物の中から、来シーズン用の種を選びます。種用のトウモロコシは皮をむいて干し、両端を除いた真ん中の部分を種用に保存します。両端は、粒が小さかったりして種には向かないからです。この両端の部分は、粉にひいてミルクをかけて食べるそうです。090305_maize_2

 余すことなく、ものを大切にする人々の姿に、思わず背筋が伸びる思いでした。

昨年、好評いただきました~母の日のお花がスリランカのお母さんの野菜の種に~ジェンの「スマイルシーズ」今年も実施決定!

くわしくは、こちら

3月 5, 2009 心のケア東部帰還民支援農業支援 |

2009年1月22日 (木)

コミュニティの再生

090122_mofa_chabo_20090120_fcs_ws_4  キラン郡の帰還地にある、ワハネリ湖の漁業協同組合に対する支援のためのワークショップを開催しました。この地域にはふたつの漁協があります。ひとつはもとあった漁協から帰還後に分かれて独立した漁協、もうひとつは、過去の避難生活のたびに活動が中断し、現在うまく機能していない漁協です。

 参加者たちを小さなグループに分けます。最初に共同作業でパズルを完成させ、団結することの強みを確認します。そしてワークショップが始まりました。

 ワークショップ経験が豊富な講師が、このようなグループ活動を交えるのです。参加者たちをうまく惹きつけながら、漁協の機能、マネージメント人員の役割と責任、資金管理の方法などについての講義を行いました。
講義を聴く参加者たちは、真剣そのもの。「今日学んだことを活かして、漁協を再生・発展させていきたい」と話してくれました。

 紛争では、建物や生計手段が失われてしまうという物理的な被害に加え、コミュニティの機能が失われてしまうという、目に見えにくい被害も起こります。住民ひとりひとりが、自信を持って地域社会を再生・発展させていけるように「支える支援」を続けていきたいと考えています。

1月 22, 2009 東部帰還民支援漁業支援 |

2009年1月 8日 (木)

新年を迎えたスリランカ

090108_20081210_chenna_cultivation_   みなさま、新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。スリランカでは年明け早々に、政府軍が反政府勢力の中心地である北部のキリノッチを攻略し、政治的に大きな動きがありました。引き続き情勢を注意深く見守り、必要が生じた際は、迅速な支援が行えるよう備えていきたいと思います。

 昨年から引き続き支援をしている東部の帰還民も、いまだ厳しい生活を余儀なくされています。帰還から半年が経過したため、国際機関からの食糧援助は終了し、政府からの食糧援助にも限りがあります。そのため、1日に1食しか食べられない人も多くいます。今月の終わり頃までには、雨期の始まりとともに種まきをした作物が収穫できる見込みでですが、収穫までの今が辛い状況です。

 ジェンは現在、トウモロコシの収穫をしたころに種蒔きを始める、農業復帰支援の第2弾に取り掛かりました。

 今年も、忘れられがちな人々には継続的な支援を、新たに生じるニーズには迅速な支援を行えるよう、努力していきたいと思います。

1月 8, 2009 東部帰還民支援農業支援 |

2008年10月23日 (木)

新しい帰還地で、事業をスタートしました!

スリランカ東部のバティカロア県では、外務省および支援者の皆さまからのご支援を受け、国内避難民の新たな帰還地である、キラン郡で帰還民の支援事業を開始しました。
事業開始に先立ち、バティカロア県知事、キラン郡長をはじめ、現地関連行政機関の担当官に集まっていただき、事業の趣旨について説明する会を行いました。

「日本のみなさんのご支援に感謝します。そして、このような有意義な意見交換の機会を持つことができてよかったと思います。今後も関連行政機関とよく連携して、もっとも支援を必要としている人を手助けしてください」と、バティカロア県知事からスピーチがありました。
事業地の人々の声を聞き、現地行政と連携することで、地域の力を最大限に活かした支援を行っていきたいと思います。

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10月 23, 2008 東部帰還民支援 |

2008年10月 9日 (木)

ワラカイ郡での事業終了

081009fcs_awareness_programvaharai_  ジャパンプラットフォームおよび、皆さまからのご支援で行ってきた、ワカライ郡での帰還民支援事業が完了しました。この事業では、家庭菜園、栄養・衛生の講義、心理カウンセリング、漁協の能力強化支援を通して、津波・紛争の被害に遭った人々の再定住を健康・生計回復の側面から総合的に支援してきました。

 ジェンの今回の支援のように、スタッフが毎日現場を訪れて指導をしたり、悩み事を聞いたり等コミュニケーションを大切にしたものは今までなかったそうです。

 したがって、事業に参加した人々は、経済面だけでなく、精神面も回復をみせ、とても力づけられた様子でした。事業期間を通して絆を強めた担当スタッフと村人が、最後の日に別れを惜しんで涙ぐむ姿も見られました。

 このように数値で測ることのできる成果だけでなく、事業をご支援くださった皆さまの温かい気持ちをそのまま、人から人へと伝えることができたと思います。

 ジェンはこの後、バティカロア県内の新たな帰還地であるキラン郡に活動地域を移し、紛争の被害に遭った人々の支援を続けていきます。引き続き、ご支援お願いいたします。

JENはスリランカのお母さんを応援しています。

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くわしくは
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皆さんのお気持ちを、その温かさそのままに、
      JENが確実にお届けします。

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10月 9, 2008 東部帰還民支援 |

2008年5月 8日 (木)

変化のめばえ

080505_puliyankandalady_meeting  先日スタートした家庭菜園や衛生教育の事業の参加者を決めてもらうため、事業を行う漁村で、ミーティングを行いました。「JENは必要最低限の物資とトレーニングを提供し、主役は事業に参加する人々」だという説明をしました。どの漁協でも多くの人が集まり、JENは歓迎され、ミーティングは成功裏に終わりました。

 去年9月に前回の事業のために同じようなミーティングをしたときには、4~5人しか集まらなかったという漁協でも、今回はなんと50人以上もの人が集まりました。

 緊急支援では「与える支援」が行わる傾向があり、与えられることに慣れた人々にJENの「支える支援」がなかなか受け入れられないことがあります。援助への依存がまだ強いことを感じることはありますが、今回のミーティングで少しずつ住民の意識が変わっていることを実感しました。

 この半年の間、現場に張り付いて支援を行ってきた成果に、スタッフ一同、勇気づけられたイベントでした。

5月 8, 2008 東部帰還民支援 |

2008年4月24日 (木)

元気になろう!

080422  昨年9月に始まったバティカロア県ワカライ郡での帰還民支援事業の第1フェーズが4月22日で完了し、翌23日から第2フェーズが始まりました。

 第1フェーズを進めていく中で、健康問題を抱えている人が多いことがわかりました。そこで第2フェーズでは、住民の健康状態の改善を通して、再定住を支援することにしました。これに加え、第1フェーズで行っていた漁業協同組合の能力強化支援も継続します。家庭菜園や栄養・衛生教育、子どもの課外活動などを含む、複合的なアプローチで支援活動を行っていきます。

 JENは、南部津波被災者の支援でも、同じアプローチを行ってきました。その経験を活かしてよりよい支援ができるように、職員一同努力していきます。

 過去の度重なる避難生活を余儀なくされてきた人々が、精神的にも経済的にも自立した生活を取り戻すためには、息の長い支援が必要です。今後ともご支援よろしくお願いいたします!

4月 24, 2008 東部帰還民支援 |

2007年12月 6日 (木)

ひと時で終わらないために

Dsc00069  JENはバティカロワ県ワカライ郡で、5つの漁協において、住民の生計向上に向けた意識改革のためのワークショップを開始しました。帰還民支援事業の一環として、住民のキャパシティー・ビルディングを目的に行われています。

 事業地のワカライ郡はスリランカの東部に位置し、90年代から政府とタミル人反政府組織タミール・タイガーとの戦闘の舞台となってきました。これに追い討ちをかけるように、2004年12月の津波、2007年1月の政府による反政府勢力の掃討作戦が行われました。

 ワカライの住民は、過去20年間で8回もの避難と帰還を繰り返してきたのです。帰還した住民には、今回の平和も「いずれ、ひと時のもの」、といった平和に対する不信感や、自立復興への諦め感があります。こうした不信感を取り除くためには、住民が自立復興への希望を持ち、自信を取り戻すことが必要です。Dsc00179

 ワークショップでは、JENが派遣する専門家が、互助会の機能と意識改革について、各漁協で50人から80人の住民を相手に講義を行いました。講義の中で、ゲームなどを交えることによって参加者の興味を引くことができました。

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12月 6, 2007 東部帰還民支援 |