少し前の話になってしまいますが、6月23日・24日、過去に実施した2つの事業の事後評価のために、在スリランカ日本大使館の方が事業地を訪問されました。この事業は、支援者の皆様のご寄付と、日本政府の助成金を得て実施しました。
1日目は、2009年6月から2010年11月まで、東部バティカロア県で実施した農業用井戸の建設を通した帰還民の生計回復事業を視察。2日目は、2010年11月から2011年12月に実施した地域を視察されました。
当時JENは、井戸ごとに8世帯の家族からなる井戸管理委員会を設立しました。この委員会には、井戸から水を汲みあげ、農地に散水するための水ポンプ、動物が落ちないよう井戸を囲むフェンス、そして野菜の種や多年生植物の苗を配布しました。さらに、ワークショップを通じ、農業技術や共用井戸とポンプの共同運用方法を指導し、隣人同士で協力しあう中で地域コミュニティの絆を強めることを目標に掲げました。
あれから3年半が経ち、井戸の状態はどうなっているのか、ポンプはまだ共有されているのか、井戸管理委員会のメンバーは協力しあっているのか、そして何よりも、村の方々の暮らしは良くなっているのかを知るべく、私も「厳しい目」をもちながら事業参加者のお宅を訪問させていただきました。
【各井戸に埋めた事業プレート】
【井戸の状態を視察される大使館の方々(手前2名)】
【井戸の状態について説明するJENスタッフ】
当初目標にしていた「生計回復」の効果は持続していることがわかりました。事業参加者の中からランダムに選んだ16世帯に対して聞き取り調査をした結果、全世帯の収入が事業開始前から比べると約3~6倍(3000~6000ルピー、約2340円~4680円)に増加していました。中には、農業で得た収入を元に農地を拡大したり、家畜を購入したり、雑貨店を経営したり、作物の種類を増やすなどし、10倍以上収入が増えている世帯も見受けられました。井戸の状態も良いものが多く、水ポンプも継続的に使用されていました。さらに、隣人と協力して、共同で農業を実施し、得た収入を公平に分けている方もいらっしゃいました。
【事業参加者との対話】
【農業で得た収入を元に、お店を立ち上げた女性】
下の写真の身体障がい者の方からは、JENの支援を受ける前は仕事がなく生活が苦しかったが、今は生計が安定していることを教えていただきました。敷地内では当時配布した植物の苗が立派なパパイヤ、マンゴーやジャックフルーツの木に成長している姿を見ることができました。
【身体障がい者の方から話をきく大使館の方とJENスタッフ】
【立派に成長した木】
さらに、当時のワークショップで作成方法を学んだ有機肥料や殺虫剤を継続して作っている世帯も多かったです。嬉しいことに、各井戸が当時支援を受けた方のみならず、周りの20~30世帯の村人の間でも共有されているという、副次的な効果も見受けられました。これらのような「プラスの効果」が確実に出ていることに安堵すると共に、今後地域の方々の生計がますます向上することを期待できるような視察となりました。
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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