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2014年6月19日 (木)

ムライティブ県オッディスダン郡での支援

 本年度の事業地である、ムライティブ県オッディスダン郡(Mullativu District,Oddusuddan Divisional Secretary)の様子をご紹介したいと思います。

【北部州全体から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】
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【ムライティブ県から見たオッディスダン郡の位置(Northern Councilより)】
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 オッディスダン郡は2009年の紛争終結の翌年2010年に、そこに住む人たちの帰還が始まった地域です。しかしながら、ムライティブ県で最も戦闘が激しかった地域でもあり、十分な支援が行き届いておらず、未だほとんどの人たちが仮設シェルターに住み続けています。

【藁とトタンでできた仮設シェルター】
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【仮設シェルターの側面】
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 この地域の80%の人たちが家庭菜園で生計を立てていますが、雨水に頼っているため、野菜栽培ができない期間は日雇い労働で収入を得ています。
 そのため平均月収は、スリランカ政府が定めた貧困ライン3,774ルピー(約2,800円)(2013年8月時点)に対して、約1,500ルピー(約1,200円)と大きく下回っており、生計を立てるための支援を必要としています。
 さらに、25%の世帯主が女性という状況でもあります。

 井戸を持っているのは地域の10%程度の世帯にすぎません。ほとんどの世帯は飲料水を共用井戸から得ているため、農業を行うための大量の水をその井戸から取水するわけにはいきません。その共用井戸も壊れてしまっていたり、枯れてしまったりしており、水不足が深刻となっています。

【枯れかけてしまっている井戸】
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 この地域に農業用井戸を建設することにより、農業収入の増加が促進されるだけではなく、共用の飲料用井戸との棲み分けができることで飲料水確保の競争が軽減されることが期待できます。

 現地総務経理担当 那須田 智生



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6月 19, 2014 農業支援北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2014年6月 5日 (木)

NGO用ビザ

 スリランカの駐在員はNGO用のビザを取得して滞在します。
 初めは1か月のエントリービザを取得し、その後1年のレジデンスビザを取得します。
 この点が観光でスリランカに訪れる場合と大きく異なるのですが、このビザ取得が結構難儀なのです。

まず、用意しなければならない書類が多いのです。

 1.労働許可証申請書
 2.ビザ申請書
 3.パスポートコピー
 4.申請者の英文履歴書
 5.所属先からの雇用証明
 6.最終学歴の卒業証明書
 7.業務定義書(いわゆるToRです)
 8.所属先からの推薦状
 9.渡航証明(犯罪経歴証明書)

 渡航証明は日本にいる場合、警察署に申請します。発行には約2週間を要します。在外公館で発行した場合はもっと時間がかかるそうです。
 海外で学位を取得した場合には卒業証明書も海外から取り寄せなければなりません。
 ここまでで最短でも2週間、概ね3週間から4週間を要します。
 その後、書類一式をスリランカ事務所に郵送します。これで約1週間。

 スリランカに書類が到着したのちに、事業を行っている県の県長から推薦を受けなければなりません。
 国は違えど、お役所仕事なのでここで早くても1週間を要します。

 次にスリランカのNGO事務局へ申請書類を持っていき、そこからも申請許可を得ます。
 スリランカのNGO事務局は防衛省の管轄となっており、同時にセキュリティ・クリアランスを得ることになります。
 このセキュリティ・クリアランスの取得の条件が厳しく、申請時点でスリランカ国外にいなければならず、なおかつ最低6週間以上の国外滞在実績を作らなければなりません。時には2か月以上かかることもあり得ます。特にココが厳しい。
 

 つまり、申請の許可を得るだけで2か月以上かかってしまうのです。

 NGO事務局から申請許可とセキュリティ・クリアランスを得たのちに、入国管理事務所にビザ申請をすることができます。
 スリランカ国内での1週間程度の手続き後、書類が日本のスリランカ大使館に転送され、スリランカ大使館で面接をしたのちにエントリービザがようやく発給されます。スリランカ大使館での手続きも1週間ほどかかります。

 合計で、書類準備に1か月、申請許可を得るのに2か月、申請に2週間で約4か月が必要となります。
渡航できた後も、1か月以内にレジデンスビザを申請しなくてはならないため、なかなか落ち着けません。

 事業運営の裏にある、見えない苦労話をご紹介してみました。

 現地総務経理担当 那須田 智生



 

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6月 5, 2014 事務所・スタッフ |