木山啓子とJENスタッフの往復書簡
ムグンタンさん
出張時は、様々なアレンジをありがとう。
今回、私たちの活動が平和構築につながっていることを、改めて実感しました。
2009年の内戦終了後、戻ってきた住み慣れた土地は、破壊しつくされていました。
一から始める厳しい暮らしに不安や不満を感じれば、
自然とその矛先は、長年の内戦に向かっていきます。
敵として戦った相手の民族に向かってしまうこともあるでしょう。
ですから、収入が4倍になり、
自分のお金であれもこれもできるようになったと話す、
希望に満ちた女性の笑顔に、平和を実感したのです。
一方で、人は、自分と違う意見や考え方の人を
否定したいことがあるのではないでしょうか。
違いを違いとして否定せずに受け入れられるとき、
共に生きていくことができると思います。
共生のカギは寛容です。
スリランカでは、今、
全ての教育が2つの言語で実施されているのですよね。
異なる言語や習慣を持つ人々同士が、
互いに否定することなく受け入れあい、分かち合うとき、
共に暮らすことができるのですね。
「平和は、一人一人の心の中にある」
しなやかな心を一人ひとりが持ち続けられるよう、
生活改善に励む私たちの活動が
平和構築に役立っていると、確認することができた訪問でした。
木山啓子
***********
啓子さん
実を言うと啓子さんを迎える時、私たちは不安でした。
今まで啓子さんに会ったことのあるスタッフが、
ワウニヤ事務所にはいなかったからです。
でも、到着してすぐに啓子さんが気さくに話してくれたので、
すぐに緊張はほぐれました。
滞在時は関係機関の人たちや現地の人たち、
帰還民でもあるコミュニティワーカーにも、
とてもフレンドリーに、しかし尊敬の姿勢を持って話をされているのが印象的でした。
そのこともあって、帰還民の人びとは、
今の生活について積極的に話をしてくださったのかもしれません。
滞在の後半には思いやりや支援の姿勢について、
アドバイスしてくださったことをよく覚えています。
特に今後の平和構築と社会との調和を強調されていましたね。
スリランカ北部は、30年前は野菜の産地として有名でしたが、
激しい戦闘によって、人びとの多くは、
家や畑だけでなく、農業を営むための精神力まで失いました。
現在実施している、人びとが農機具や井戸を共有し、グループで働くことで、
心の復興をもたらす事業を通して、
コミュニティが協力しあうようになったのです。
平和を目指すことと日々の暮らしを営むことは、本当に直結しています。
今後も、人びとがみなポジティブになるような活動を行ってゆきたいと思います。
ラジャラトナム・ムグンタン(スリランカ・ワウニヤ事務所)
【写真左:ムクンタン】
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】