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2013年10月31日 (木)

東部農業技術ワークショップ

 今回は東部で行った農業技術ワークショップの様子を紹介します。

 JENは農業用井戸の建設だけではなく、その井戸を有効活用できるように知識や技術を身につけて生産性を向上してもらうための農業技術ワークショップも実施しています。

 農業技術ワークショップではそれぞれの井戸の受益者が一堂に会し、講義を受けるだけではなく、抱えている課題を共有し、議論します。

 これまでは近隣地域を集めて1グループとし、グループ毎にワークショップを開催していましたが、新たに全てのグループを集める機会を設けました。

 この試みにより、①コミュニティの範囲を広げること、②他グループと比較ができる環境により自分たちのグループの良い点・悪い点に気づいてもらうこと、③他グループとの比較により、自分たちのグループの結束を高めてもらうこと、を期待しています。

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 ワークショップと言っても、座学やディスカッションだけでは集中力が途切れてしまうので、写真のように有機農薬の現物を実際に確認したり、簡易顕微鏡で害虫駆除をした植物としていない植物を比較したりして、理解を深める工夫をしています。

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 受益者たちで議論して得た教訓を今後も生かせるように、JENスタッフが内容をしっかり記録します。

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 農業技術ワークショップは現地の農業局と協力して開催しており、作成した配布資料にはそのお墨付きとして農業局のマークも加わっています。

131031_text

 他のグループとは初めて顔を合わせたためか、初めのうちは若干緊張した雰囲気から始まりましたが、一度議論が始まると徐々にその緊張もほぐれ、活発になりました。
 
 

 同じ悩みを抱える受益者の人たちがこうした機会をきっかけとして、団結し、コミュニティ強化につながることを願っています。

 スリランカ事務所 総務経理担当 那須田



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10月 31, 2013 東部帰還民支援農業支援 |

2013年10月17日 (木)

木山啓子とJENスタッフの往復書簡

ムグンタンさん

出張時は、様々なアレンジをありがとう。
今回、私たちの活動が平和構築につながっていることを、改めて実感しました。

2009年の内戦終了後、戻ってきた住み慣れた土地は、破壊しつくされていました。
一から始める厳しい暮らしに不安や不満を感じれば、
自然とその矛先は、長年の内戦に向かっていきます。
敵として戦った相手の民族に向かってしまうこともあるでしょう。
ですから、収入が4倍になり、
自分のお金であれもこれもできるようになったと話す、
希望に満ちた女性の笑顔に、平和を実感したのです。

一方で、人は、自分と違う意見や考え方の人を
否定したいことがあるのではないでしょうか。

違いを違いとして否定せずに受け入れられるとき、
共に生きていくことができると思います。
共生のカギは寛容です。

スリランカでは、今、
全ての教育が2つの言語で実施されているのですよね。

異なる言語や習慣を持つ人々同士が、
互いに否定することなく受け入れあい、分かち合うとき、
共に暮らすことができるのですね。

「平和は、一人一人の心の中にある」
しなやかな心を一人ひとりが持ち続けられるよう、
生活改善に励む私たちの活動が
平和構築に役立っていると、確認することができた訪問でした。

木山啓子


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啓子さん

実を言うと啓子さんを迎える時、私たちは不安でした。
今まで啓子さんに会ったことのあるスタッフが、
ワウニヤ事務所にはいなかったからです。
でも、到着してすぐに啓子さんが気さくに話してくれたので、
すぐに緊張はほぐれました。

滞在時は関係機関の人たちや現地の人たち、
帰還民でもあるコミュニティワーカーにも、
とてもフレンドリーに、しかし尊敬の姿勢を持って話をされているのが印象的でした。
そのこともあって、帰還民の人びとは、
今の生活について積極的に話をしてくださったのかもしれません。

滞在の後半には思いやりや支援の姿勢について、
アドバイスしてくださったことをよく覚えています。
特に今後の平和構築と社会との調和を強調されていましたね。

スリランカ北部は、30年前は野菜の産地として有名でしたが、
激しい戦闘によって、人びとの多くは、
家や畑だけでなく、農業を営むための精神力まで失いました。
現在実施している、人びとが農機具や井戸を共有し、グループで働くことで、
心の復興をもたらす事業を通して、
コミュニティが協力しあうようになったのです。

平和を目指すことと日々の暮らしを営むことは、本当に直結しています。
今後も、人びとがみなポジティブになるような活動を行ってゆきたいと思います。

ラジャラトナム・ムグンタン(スリランカ・ワウニヤ事務所)

Photo
【写真左:ムクンタン】


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10月 17, 2013 事務所・スタッフ |

2013年10月 3日 (木)

北部の現実

 JENは避難していた人たちが再定住した地域の支援を行っていますが、内戦終結から4年経過した今もまだ北部には再定住が行われていない地域があります。

 再定住が進んでいない地域では、写真の様に弾痕が壁に残った建物がそのままになっています。

131003_footprint_of_war1


 その地域では焼き捨てられた車両が何十台も放置されたままになっており、内戦の爪痕が伺えます。

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 そして地雷が埋められたままの地域も残っており、地雷除去の作業が今も行われています。赤い看板は地雷が残っていることを示すものです。

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 そして、その地雷原のすぐ横には仮設の小学校があり、木陰やブルーシートで日差しを防ぎながら授業を行っています。子どもが地雷の看板に気づかずに遊びに入ってしまい、事故が起きてしまう可能性を地元の人たちは危惧してします。

131003_next_of_mine


 地雷が取り払われて、安全が確認できればその地域の再定住が進むと考えます。ただ、住んでいた地域に戻っても、生活に必要なものが残っているとは考えられません。今後もまだまだ帰還民への支援が必要と思われます。

 スリランカ事務所 総務経理担当 那須田

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10月 3, 2013 北部帰還民支援 |