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2012年12月20日 (木)

【北部】JPFによる事業モニタリング

 11月8~9日、スリランカ北部ワウニア県でJENが過去に実施した事業と、ムラティブ県で現在実施している事業について、ジャパンプラットフォーム(JPF)のモニタリングが実施されました。 

 1日目は、2010年6月から12月までワウニア県ワウニア・ノース郡で実施された、230基の井戸修復と426基の井戸清掃事業の視察です。事業終了時にJENから井戸管理委員会に供与された給水ポンプや清掃用具が現在も有効に利用されていることを確認しました。清掃用具は1年以上使用されたため、買い替えも行われています。井戸は管理委員会によって維持管理され、小さな修理の場合は修理業者ではなく、コミュニティ主導の井戸管理委員会や村落開発協会が行います。事業終了から2年が経過した現在も、委員会メンバーが井戸状況などを確認するため、住民の家を訪問しています。

 ワウニア・ノース郡では住民の帰還から既に2年が過ぎています。そのため、各地で仮設住居ではなく、恒久住宅の建設がスタートしており、これまでの経験を評価された井戸管理委員会のリーダー全員が、住宅建設委員会のリーダーにも任命されています。今後の井戸修復・清掃についてはこの委員会内でも話し合いが行われるとのことです。JENの事業で培ったリーダーシップを別の委員会でも発揮しているというポジティブな成果を見ることができました。

 
 2日目は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡で2012年7月から行っている事業のモニタリングです。13地区で442基の井戸修復と清掃、13基のポンプ式井戸建設が実施中です。

【写真:地図に記載されたポンプ式井戸の位置を説明しているJENスタッフ】
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【写真:ポンプ式井戸建設のため、地中100フィートまで(約30メートル)掘削中】
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 作業中は外に押し出された泥が頻繁に空中に吹き上げられ、みんな泥だらけになりますが、この繰り返しによって中の水が浄化されます。

【写真:ポンプ式井戸掘削のようす】
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 井戸管理委員会の女性リーダー、トーフィークさんにお話しを伺ったところ、「修復・清掃された井戸水をいろいろな用途で近隣の10世帯と共有しています。と話してくれました。

【写真:女性の水浴び用に仕切りは残しています】

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「私の娘は、夜遅い時間に離れた通り沿いの共同井戸で暗闇のなかで沐浴を行う際に、不安な思いをすることがありました。夫は紛争で足と胃に障がいを抱えているので、沐浴も大変でした。今ではそういう心配もなくなり安心です。 
 何よりも、水汲みの際、紛争前の平和だった頃のように、近隣の住民と楽しく会話をできるようになりました。近隣の住民にも感謝してもらえて、本当に嬉しいです。それだけではありません。委員会のリーダーとして、他の住民から村の状況や帰還後の女性が直面する悩みなどいろいろ相談を受けるようになりました。だんだんと、自分に自信が持てるようになりました」と話してくれました。
 

 井戸修復・清掃後、水の問題が解決されただけでなく、住民が話し合う機会がそこで持てるようになり、住民が抱える共通の問題を協力し合って解決しようという助け合いの関係ができた、と、トーフィークさんは言います。こうして生活の中で平和を実感し、誰もがいつでも水汲みをできるように、玄関の柵を開けたままにしているそうです。

【トーフィークさん宅の井戸水を飲む近隣の子どもたち】
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12月 20, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年12月 6日 (木)

【東部】外務省モニタリングチームの訪問

 11月6日~7日、 外務省や支援者の皆さまのご協力で、バティカロア県で2008年10月から2009年9月に実施した帰還民生計回復支援の活動について、在スリランカ日本大使館によるモニタリングを実施しました。事業終了後の成果を確認するためのミッションです。JENのスタッフも同行し、活動が終了した地域の住民との対話や聞き取り調査を行いました。

 1日目は、バティカロア県キラン郡での農業復帰支援のモニタリングです。活動終了から3年以上が経過した現在も、配布した農具などを有効に利用していることを確認した後、住民が当時学んだ家庭菜園の技術を用いてできた唐辛子の苗床を視察しました。
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 育った苗はグループ内で共有します。男性の手前に見える大きな葉は、成長途中のココナッツの葉です。後方にはキャッサバの茂みや、大きなバナナの葉も見えます。JENの支援活動を実施していた時に受講した研修で習得した「混作」の技術を活用しています。その後、地元で有名な市場(マーケット)を視察し、漁業支援で組織した組合とその組合員がテラピアを販売している姿に遭遇しました。
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 2日目は、漁業復帰支援でボートや漁具を配布し、組織強化の支援を実施したワハネリ湖で活動する漁業組合へのモニタリングです。早朝から開始される魚の卸売場を見学した後は、組合のリーダーから話を聞きました。
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 JENが配布したカヌーの数を確認した後、漁協組合リーダーの自宅で、とれたて新鮮な魚の揚げ物をいただきました。

【JENが配布したカヌー。現在もロゴはそのまま残っています】
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【作業中の漁師たち】
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 また、農業復帰支援に参加したキラン郡2地区の各村から選ばれた受益者委員会のリーダーたちからも話を聞くことができました。

 15の家庭菜園グループから成るクダムネカル村の受益者委員会(111世帯加入)のリーダー、インドラーニさん(女性)は、「支援が終わってから3年が過ぎました。今では、会費を十分に積み立てています。メンバーと話し合い、今後は村のヒンズー教寺院の清掃をする予定です」と話してくれました。「私は今、自分の家の庭から野菜が取れるようになって本当に幸せです。以前は自分の利益ばかり考えていたけれど、JENの活動に参加して、コミュニティのリーダーとして他の住民をサポートしたいと思うようになりました。自分の中での大きな変化です」と自信にあふれた表情で話してくれました。

 活動開始時は帰還後間もない、不安定な状態にあった村でしたが、今では多くの住民が今後の展望を語っています。

 村落内で強い信頼関係が築かれ、発展しているこを確認でき、大変印象深いモニタリングとなりました。

12月 6, 2012 東部帰還民支援 |