【北部】JPFによる事業モニタリング
11月8~9日、スリランカ北部ワウニア県でJENが過去に実施した事業と、ムラティブ県で現在実施している事業について、ジャパンプラットフォーム(JPF)のモニタリングが実施されました。
1日目は、2010年6月から12月までワウニア県ワウニア・ノース郡で実施された、230基の井戸修復と426基の井戸清掃事業の視察です。事業終了時にJENから井戸管理委員会に供与された給水ポンプや清掃用具が現在も有効に利用されていることを確認しました。清掃用具は1年以上使用されたため、買い替えも行われています。井戸は管理委員会によって維持管理され、小さな修理の場合は修理業者ではなく、コミュニティ主導の井戸管理委員会や村落開発協会が行います。事業終了から2年が経過した現在も、委員会メンバーが井戸状況などを確認するため、住民の家を訪問しています。
ワウニア・ノース郡では住民の帰還から既に2年が過ぎています。そのため、各地で仮設住居ではなく、恒久住宅の建設がスタートしており、これまでの経験を評価された井戸管理委員会のリーダー全員が、住宅建設委員会のリーダーにも任命されています。今後の井戸修復・清掃についてはこの委員会内でも話し合いが行われるとのことです。JENの事業で培ったリーダーシップを別の委員会でも発揮しているというポジティブな成果を見ることができました。
2日目は、ムラティブ県プドゥクリルプ郡で2012年7月から行っている事業のモニタリングです。13地区で442基の井戸修復と清掃、13基のポンプ式井戸建設が実施中です。
【写真:地図に記載されたポンプ式井戸の位置を説明しているJENスタッフ】
【写真:ポンプ式井戸建設のため、地中100フィートまで(約30メートル)掘削中】
作業中は外に押し出された泥が頻繁に空中に吹き上げられ、みんな泥だらけになりますが、この繰り返しによって中の水が浄化されます。
【写真:ポンプ式井戸掘削のようす】
井戸管理委員会の女性リーダー、トーフィークさんにお話しを伺ったところ、「修復・清掃された井戸水をいろいろな用途で近隣の10世帯と共有しています。と話してくれました。
【写真:女性の水浴び用に仕切りは残しています】
「私の娘は、夜遅い時間に離れた通り沿いの共同井戸で暗闇のなかで沐浴を行う際に、不安な思いをすることがありました。夫は紛争で足と胃に障がいを抱えているので、沐浴も大変でした。今ではそういう心配もなくなり安心です。
何よりも、水汲みの際、紛争前の平和だった頃のように、近隣の住民と楽しく会話をできるようになりました。近隣の住民にも感謝してもらえて、本当に嬉しいです。それだけではありません。委員会のリーダーとして、他の住民から村の状況や帰還後の女性が直面する悩みなどいろいろ相談を受けるようになりました。だんだんと、自分に自信が持てるようになりました」と話してくれました。
井戸修復・清掃後、水の問題が解決されただけでなく、住民が話し合う機会がそこで持てるようになり、住民が抱える共通の問題を協力し合って解決しようという助け合いの関係ができた、と、トーフィークさんは言います。こうして生活の中で平和を実感し、誰もがいつでも水汲みをできるように、玄関の柵を開けたままにしているそうです。
【トーフィークさん宅の井戸水を飲む近隣の子どもたち】