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2012年11月29日 (木)

スリランカ出張レポート~前編・北部~

 本部でスリランカ事業管理を担当しております、上田と申します。10月に現地視察へ行ってきました!
今回は前編、後編に分けて、出張レポートをお届けします。

 スリランカを地図で見ると、小さな島のように思えるのですが、意外に広大で、北海道の8割ほどの面積があります。移動が予想以上に大変でした。

 中心都市コロンボから北へ車で約6時間、まずは北部ムラティブ県プドゥクリルプ郡、マリタインパットゥ郡を訪問しました。20年以上にわたった紛争の傷跡はまだ色濃く、あちこちでボロボロに壊された家屋が放置されています。

 ここで驚いたのが、至る所に物品が散乱していること。よくよく見るとバケツやプラスチック製品、トタン屋根など、生活に必要なものばかりです。
現地スタッフによれば、紛争時、急いでキャンプに避難させられた住民はすべての家財道具を持つことができず、多くの物品を自分の土地に埋めて逃げたそうです。それらが時間の経過とともに露出したり、帰還した住民が掘り出し始めたりして、散乱している模様。たしかに、土を掘り起こしている家族を多く見かけました。

【いろいろなものが散乱しています】
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【破壊されたままの家屋】
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 住民が最近帰還を許されるようになった地区では、ぽつりぽつりと家が建っています。家といっても非常に簡素で、木の骨組みに、国連機関から供与されたトタンやビニールシートをかぶせたような粗末な小屋に、何人もの家族が居住しています。

 紛争が終結して3年以上が経過し、多くの住民はある程度落ち着いた暮らしを送っているのだろうと想像していましたが、現実はまったく異なり、地域によって差はあるものの、いまだに水、シェルター、食料といった緊急支援が必要とされる状況でした。

【このような小屋で避難民が生活しています】
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【近隣に井戸がなく、現在もまだ給水車から水が供給される地区もあります】
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 村で出会った25歳の女性に話を聞いたところ、彼女は今年8月に帰還したばかり。現在妊娠7か月ですが、ムラティブ県の病院は住民の帰還後にようやく稼働を始めたため設備が整っておらず、バスで6時間かけて、さらに北部のジャフナ県の病院で出産するとのこと。保健分野においても課題は山積みです。

【インタビューした女性】
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【8月に帰還した家族。帰ってきたのはうれしいが、今後が心配と話していました】
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 北部では帰還民を支援するため、紛争中に破壊された井戸の修復、清掃事業を実施しています。現地ではコミュニティワーカー(CW)や住民が協力して井戸修復・清掃に携わっていることがよくわかりました。

 JENの井戸は細部にまでこだわっています。例えば、井戸内の清掃をより安全にできるよう、修復の際、ブロックで突起をつくり、階段のように井戸の底に下りていくことができます。たいていの井戸ではロープのみで下降しなければなりませんが、「足がかり」があることで、迅速かつ安全に下りることができます。

【井戸について話し合う、コミュニティワーカーとJENスタッフ】
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【井戸内に設置した突起状のブロックとロープで下りる様子を見せてくれました】
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(東部編へ続く)

11月 29, 2012 北部帰還民支援井戸建設・修復 |

2012年11月 8日 (木)

北部:プドゥクリルプ郡の今

 10月初旬、約1年振りに北部事業地のあるムラティブ県プドゥクリルプ郡を訪れました。事務所のあるワウニヤからはA9と呼ばれる道路を北上し、キリノッチ県の隅っこを走り抜け、右に曲がって、、、と道順は全く同じ。しかし、その先には新しい発見がいくつもありました。

 昨年JENが建設したトランジショナル・シェルターの周りには、この1年の間に帰還した人々の住まいが増えていました。

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  また、当時は掘立小屋しかなかった地域には店が並んでいました。

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 メイン道路には公共バスも走っています。電柱も電線もめぐり、電気供給の安定化も進んでいます。確実に復興が進んでいるのを目の当たりにしました。

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 しかし、同じ県の同じ郡の中でも大きく差が開いています。帰還して半年程の地域では、国連からの食糧配給が終了し今後の生活を憂いている人々がいます。荒れた水田を整備して稲作を再開する資金がない為に一切の収入を得られない人がいます。3週間前に帰還が始まった場所では、男性が荒れた土地をならし、住む場所を確保している段階です。国連が配布した水タンクには、給水車が一度水を満たした以降補給がなされていません。

 復興の兆しが見えた地域のすぐそばには、まだまだ支援を必要としている多くの人がいるのです。

11月 8, 2012 北部帰還民支援 |