北部:戻ってきたけれど 1
ムラティブ県プドゥクリルブ郡マリガーティブ地区は、海岸から約5㎞内陸に位置しています。湖で漁業を営む人もいましたが、住民の大半は農業で生計を支えていました。というのも彼らは、政府の政策に基づき1950年代にジャフナ県から移り、ピーナッツ栽培に従事していたタミル人二世・三世なのです。
彼らも内戦時に戦火を避ける為暮らし慣れた土地を離れ、マニック・ファームと呼ばれる避難民キャンプに身を寄せていました。ようやく元の場所に戻れるようになったのが、内戦終了から3年以上経った今年8月10日です。それから約1か月の間に394世帯の帰還が完了しました。
マリガーティブまでは国連機関がバスやトラックを提供し、引越が行われます。到着した世帯には調理器具、バケツ、シャベル、鉈、ビニールシートといった食糧以外の生活必需品が配布されます。
戻ってきたけれど、そこには何もありません。廃材、茂み、ボロボロになりつつも何となく形を残した家、、、避難前の様子とはガラリと変わってしまっています。
雑草や散乱した廃材を取り除き、テントを張る場所を確保し、骨組みにする為の木材を集めます。
米、乾燥豆、ココナッツオイル、砂糖、小麦粉は月に一度配給がありますが、肉、卵、魚、野菜などは6km離れた場所まで買いに行かなくてはなりません。公共の交通機関はありませんので、徒歩もしくは(所有していれば)自転車になります。