気丈なお母さんの紛争の傷跡
クラビチェナイ村のサンタナピレさんは、ジェンの事業で結成した管理委員会(支援地の住民による支援受け入れの組織)のリーダーです。集会やワークショップのときにはいつも目を輝かせて一生懸命話を聞き、とても活発で、頼もしいおかあさん、という印象でした。
しかし先日、カウンセリングを担当する心理学専門家に同行して彼女の家を訪問したとき、これまで知らなかった一面を見ました。
サンタナピレさんには、5人の子どもがいました。息子の1人は政府軍の攻撃で亡くなり、娘も別の戦闘に巻き込まれて亡くなりました。さらに、このような状況が耐えられなくなったサンタナピレさんのだんなさんも自殺してしまいました。
涙を流しながら、過去に起こったできごとについて話してくれたサンタナピレさん。村の人々の近くで活動しているJENスタッフを信頼し、心を開いてくれたのです。
精神的な傷があまりにも大きく、引きこもりがちになっていた時期もあったそうですが、今は,孫の面倒を見ながら、生活を再建しようと一生懸命です。簡素な家ながらも室内は清潔に整えられていて、彼女が自分で作ったというヤシの葉のゴザや、バスケットがありました。JENが配布した種で育てたとうもろこしやピーナッツも、ほかのどこの家よりも元気に育っています。
辛い過去を抱えながらも、明るく前向きに生きているサンタナピレさんの姿に、訪問したスタッフ一同、心を揺さぶられました。そして、このように非常に厳しい状況の中で、必死に自立していこうとしている人々の尊い努力を支援していきたいと、決意を新たにしました。