2019年12月 5日 (木)

生存者のお話

2019年9月、マグニチュード5.6の地震は、アザド・ジャムー・カシミール(AJK)2つ県(ミルプールとビンバー)の地元住民に大きな影響を与えました。40人が死亡し、約1,600人が負傷しました。地震は、住宅、道路、学校、病院など、AJK2つの県のインフラに悪影響を及ぼしました。

JEN調査チームはミルプールを訪問し、地区管理当局社会福祉事務所との会議を実施し、ミルプールの2つの村の損傷した家屋を訪問しました。

現地訪問中、JENスタッフは、サムワルシャリフ町のモーラケケリ村のヌスラット・マトローブ夫人の家を訪問しました。彼女の夫は労働者ですが、うまく仕事が見つかれば一日に600ルピーを稼ぐことが出来ます。彼は年老いた親と4人の子供の大家族を養わなければならず、ヌスラット・マトローブ夫人も村人の服を縫うことで家族を財政的に支えていました。彼女はこれまでスーツ1着を縫って、200300ルピーを稼いでいました。

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破壊された家の様子

 

 ヌスラット・マトローブ夫人によると、彼らの家には4つの部屋があり、家畜(牛、ヤギ)用に別の部屋があります。この壊滅的な地震で、彼らの家は完全に破壊されました。まだ若い彼らの娘は負傷し、彼女は祖父を避難させていました。彼女の夫は、地震後にトラウマになり、働くことができなくなりました。彼は家族のために再び仕事を始めましたが、時には仕事を途中で辞めていました。このうつ病は2週間続きましたが、その後あるNGOが彼の家族を訪問し、数日間カウンセリングを行いました。カウンセリングの後、彼と妻は家で瓦礫を片づけ始め、IDカードなどの貴重品を集めるようになりました。


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マトローブ家の皆さんにお話を聞いている様子
彼らは十分な牛乳を産出する牛を所有していましたが、地震後安い価格で売らなければなりませんでした。理由は、その牛が地震で怪我をしたのですが、牛を飼い続けたり治療したりする余裕などなかったからです。また、彼らは3頭のヤギを持っていて、1頭は地震で死にましたが、まだ2頭のヤギがいます。唯一の収入源だったヌスラット・マトローブ夫人のミシンも、地震で壊れてしまいました。彼らは思春期の娘を母方の祖父の家へあずけました。理由は、仕切り壁も部屋もなく、このような不快な状況を避けるためです。また、彼女は、大雨とあられの嵐であった地震があった日の夜に、破壊された8フィートの長さのキッチンの他に眠る場所がなく、人生で最悪の数日間を過ごしました。緊急救援中に、AJK州政府は完全に損害を受けた世帯にテントを提供しました。 ヌスラット・マトローブ夫人も最初は2つテントを手に入れましたが、夜はとても寒いので十分ではありません。今は既に冬が近づいており、このテントで子どもや高齢者と一緒に暮らすことは不可能です。彼らの家畜のための避難小屋も必要です。家具、台所用品、瓦礫につぶされ無駄になった家畜飼料など、すべての家財道具が壊れてしまいました。 最後の訪問の際、彼女は防寒テントや台所にかかる費用を稼ぐために洋服の縫製用ミシンの提供を願っていたので、JENスタッフは、社会福祉局が縫製スキルを持つ女性たちにミシンを提供していることを伝え、彼女に社会福祉局を紹介しました。ジェンは、地震で被災した方々が生活を早く再建できる事をサポートしたいと願っています。

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マトローブ夫人とそのご両親

 

12月 5, 2019 調査 |

2019年2月 1日 (金)

旧FATA(連邦直轄部族地域) 中央クラム管区パラ チヤムカニ地区にて、事前KAP調査の主な発見

ジェンの現場スタッフがパラ チヤムカニ地区で事前KAP調査(知識・態度・習慣に関する調査)を開始しました。主な調査の目的は、ジェンの事業開始前における現在の衛生状況や現地の人々の水・衛生のニーズを知る事です。今のところ27の地域を訪問しました。
  
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インタビューの様子
  
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キッチンの様子
  
その調査の結果のとおり、現地の人々は非常に貧しく、基本的なインフラもその地域にはありません。道路状況も悪いです。衛生に関する知識もこれまでハイバル・パフトゥンハー(KP)州に住んでいる人*より乏しく、安全な飲み水がこの地域で主な課題です。人々の多くがわき水や野外の地表水(河川や湖沼などの陸地表面に存在する水)を飲み水や他の家庭用水として使用しています。湧き水は、保護されていないので、結果として汚染している可能性があります。
  
排水溝は、多くの場所でカバーがされておらず、壊れています。ほぼすべての村で、排水溝は、プラスチックバックや包装紙、プラスチックボトルなどで詰まっており、適切なごみ処理システムはありません。ほとんどの場合、トイレはあるものの、トイレ全体の状況はよくありません。
  

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排水溝の様子

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トイレの様子

  
主な収入源は、日雇い労働です。対象地域のほとんどの人は、求人やビジネスの機会が地元にはほとんどないので、出身地とは別の地域で働いています。
  
ジェンは給水や衛生事業を実施しており、この地域の人々はこの地でジェンの事業が開始されたことに喜んでいます。そして、今後は農業、家畜、技術向上といった生計強化のサポートも期待しています。
  
*連邦直轄部族地域(FATA)はアフガニスタンに隣接する,部族による自治が行われていた地域で,2018年5月31日の憲法改正により,KP州に統合されました(外務省パキスタン危険情報詳細2018/7/31)

2月 1, 2019 調査 |