2024年8月15日 (木)

希望の種を蒔いて:レハナさんのお話

32歳でシングルマザーのレハナさんは、2022年の大洪水で大きな被害を受けたダドゥ郡のカニャラ村に住んでいます。彼女は17歳の息子と15歳の息子、1歳の娘を育てています。もともと貧困状態にありましたが、大洪水によって、作物や家屋、インフラ、家畜が壊滅的な被害を受け、生活はより一層厳しいものとなりました。

そんな中、ジェンがカニャラ村の農業支援を開始しました。レハナさんは事業参加者となり、強い意志を持って農業に取り組みました。その結果、リーダー農家に選ばれ、研修で学んだ知識を他の農家に伝えました。ジェンが提供した種子は高品質で高い発芽率を誇り、村全体で作物を長い期間栽培できるようになりました。収穫量が増えたことで、市場で販売することもできるようになり、村の人びとの生活は改善しつつあります。

Pk_20240814_01

レハナさんは、収穫物の販売で得た収入で、家計が安定し、子どもたちが勉強を続ける助けにもなりました。経済的に厳しい中でも、レハナさんは子どもたちが勉強を続けられるよう頑張っていました。

さらに、レハナさんはより家計を安定させるために、ミシンを購入して近所の人たちのために服を縫い、ヤギを購入して飼育し、より収入を得るようになりました。彼女の起業家精神は、息子たちにも影響を与え、学校の休暇中に近隣の村で氷を売り始めるなど、家計を助ける方法を見つけました。

Pk_20240814_02

Pk_20240814_03

ジェンの支援とレハナさんの努力により、かれらの生活の質は劇的に向上しました。単に生き延びるだけでなく、安心感と希望に満ちた未来へと歩みを進めています。レハナさんのお話は、自然災害で大きな被害を受けた村が、支援の力でどれだけ元気になれるかを教えてくれます。

 

皆さまのご支援が、厳しい環境にいる人びとに希望と笑顔を届けることができます。JENサポーターになって、私たちと共に「生きる力」を支えてください。

▼JENサポーター:https://www.jen-npo.org/monthly/

8月 15, 2024 農業支援 |

2024年5月 9日 (木)

洪水からの復興: シードシェア(種の共有)で再び立ち上がったモハメドさん

私はモハメド・アリと言います。ダドゥ郡の住民です。

私の家族は私と妻、息子 1 人、娘 4 人の7人です。子どもたちはそれぞれが勉強に励んでおり、長女は大学の卒業を目指しています。

2022 年の洪水で、家屋やインフラが破壊され、作物や種子や農業資材、ヤギ 2 頭と牛 3 頭を失ってしまいました。その痛みを忘れることはできません。この災害の後、長い間種子を購入したり、耕作に備えたりすることができませんでした。

ある日、私たちの地域で洪水の被害を受けた農家に農業支援を提供しているNGOであるジェンについて知りました。私たちの村が農業支援事業の対象となりました。

Pk_20240508_04
種子の提供を受けるモハメドさん

ジェンが私たちに小麦・大麦・からし菜の在来種の種子やその他の農業資材(肥料、殺虫剤、種子保存袋、農法研修など)を提供してくれたことを、とてもうれしく思いました。これらは、弱い立場にある私たち家族にとって、とても貴重なもジェン農業チームと一緒に、学んだ内容について他の農家に研修をすることになりました。ジェン農業チームと協力し、技術を学びながら、それを栽培に応用しました。その結果、私の能力が飛躍的に向上し、ジェンから「最高の農家賞」に選ばれました。


Pk_20240508_01_20240509163701
「最高の農家賞」受賞の様子

一生懸命努力し作業した結果、ようやく小麦や野菜を収穫することができ、これからも生産が期待できます。私の家族にとっては十分な量です。たくさん収穫できた種子の中から、最初に受け取った種子と同じ分量の種子を新たに2軒の農家に分けることで、活動に参加する農家が増えていきます。

Pk_20240508_03
収穫の様子

Pk_20240508_02
収穫した麦とモハメドさん

さらに、ジェンから追加で夏野菜の種子が配付されるという朗報を聞きました。これは家庭用だけでなく、市場で販売するのにも大変役立ちます。すでにこの種を受け取ったので、すぐに栽培を始められることに興奮しています。

最後に、種子や資材、現代の農業技術という貴重な贈り物を私たちに提供してくださったジェンに心から感謝しています。


このように、モハメド・アリさんは笑顔で話してくれました。当初は洪水の際無力だったと話していたモハメドさんが一生懸命に農作業をしていたのを、近くで見ていました。彼が自給自足できるようになり、新たな可能性を開けたことで、インタビューをした私も、とても嬉しく思いました。モハメドさんは、収穫した種の一部を他の世帯へ提供すること、得た知識を他の世帯に伝えることを楽しみにしています。私は、被災した地域の人びとが、希望を持ちながらより良い暮らしができることを心から願っています。

Qaisar:プロジェクト・オフィサー)

 ※本事業は、株式会社ゼンショーホールディングスからの寄付金やジェンへの寄付金により実施しています。

いつも応援をありがとうございます。
ジェンは厳しい環境にいる人びとに寄り添い、
「自立した生活を取り戻すこと」と「心のケア」を中心に支援活動を行っています。
ジェンとともに「生きる力」を支えてください。

今回のみのご寄付はこちらから
JENサポーター(継続)のご登録はこちらから

 

5月 9, 2024 洪水被災者支援農業支援 |

2024年3月 1日 (金)

現地スタッフからの便り

1月後半に、ジェンの事務局長の木山とプログラムオフィサーの松浦がパキスタンの事務所に来ました。パキスタンの事務所にはパキスタンチームだけでなく、アフガニスタンの同僚チームも来て、空港で久しぶりに再会しました。私や同僚たちはこの日を心待ちにしていました。

Pk_0301_01

翌日から、早速全体ミーティングです。私はパキスタンのプロジェクト・オフィサーとして、他の職員と共に、現行の事業の進捗について、会議の参加メンバーに説明を行いました。その間、沢山の質問を受け、意見交換を行いました。最終的にはチームの活動をみんなが後押ししてくれました。

Pk_0301_02

今回、事務局長は、事業地があるシンド州ダドゥ郡の事務所に移動し、実施中の事業を確認して、現地で実施しているセッションに参加してくれました。セッションでは、現地の農民たちの喜びと感謝の声を聴くこともあり、プロジェクトの成果を感じてもらえたとのことです。事務局長に直接現地のチームの活動やその頑張りを見てもらえることは、私にとっても、チームにとっても、やる気につながりました。

Pk_0301_03

現地での最後の会議では、農業局関係者との話し合いも行われました。枯渇していた農地に、ジェンがプログラムを実施し、リーダー農家を育て、その方々が次の種と指導をしていく仕組みと農作物が順調に育っている報告などを行いました。それを受けて、現地の農業局長やその他関係者からの感謝と期待に満ちた言葉を受けました。私たち現地スタッフは、ジェンの活動が地域に与える影響の大きさを再確認できました。

Pk_0301_04

帰国前に事務局長からこれからも質の高い事業を続けるよう応援する言葉をもらいました。この訪問を通じて、私たち現地スタッフは、地域の成長と発展に向けて更なる努力を惜しまず前進していくことを誓いました。

 

3月 1, 2024 農業支援 |

2023年10月12日 (木)

洪水後の土地の回復と農業の復興を目指すアリさんの志

 ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた1,100世帯、約7,150人(世帯平均6.5人)に対し、食糧危機の状況改善を目指して支援活動を行っています。

 この事業では、持続的な作物生産(=生計回復の機会)と回復力強化を目指しています。洪水に強い複数の作物種子に加え、肥料や殺虫剤、農薬、密閉できる種子保存袋を提供しています。事業終了後も地域を支援する意欲のある農家を特定し、「リーダー農家」として、現代的な農法や次の栽培季に利用するための種子を適切に輸送・保管するための研修も実施します。これにより、地域の農家が作物生産を再開し、作物の多様性と収穫量を増やし、次の栽培季に品質の高い種子を入手し、洪水の影響を回避できる場所に保存できます。

 事業参加者のひとり、アリさんのお話を紹介します。マジッド・アリさんは、シンド州ダドゥ郡にあるアルジ・ナイチ村に住んでいます。アリさんは6人の兄弟と妻と子どもの9人家族です。農地を保有し農家として生計を立てていました。

残念なことに、2022 年の洪水の被害は想像を絶するものでした。アリさんの農地は完全に破壊されなすすべもありませんでした。

 一方で、アリさんは、ジェンがこの地域で農業プロジェクトを実施するという知らせを聞いてとても安心しました。他の地元の人びとにとっても同じでした。アリさんの世帯は、ジェンの支援対象世帯の特定条件の一つである「最も支援が届いていない市街地中心から離れた地域に住む世帯」に相当したため、事業参加者の一人として選ばれました。また、地域の農業復活に意欲的なアリさんは「リーダー農家」にも選ばれました。

 アリさんは、「洪水で全滅しましたが、私たちの地域は農産物で有名です。小麦は私たちの地域の主要作物であり、人びとの主な収入源となっています。これからジェンの支援により、地域の人びとの農業が再開し、食べ物のニーズを満たすだけでなく、作物を市場で販売してお金を稼ぐことができると確信しています」と、とても嬉しそうに話してくれました。

 加えて、アリさんは「洪水により、育った作物が失われ、農地も壊滅的な状況ですが、プロジェクトの対象に私たちの村を選んでくれたジェンにとても感謝しています。私を含むこの地域の農家は、自分たちの土地で作物を育てることができるよう、土地の回復を心から望んでいます」とも話してくれました。

Majid-ali-posing-with-his-agricultural-l

 所有する農地の前に立つアリさん

「私はジェンのアドバイスに従って、土地を準備し、運河の水で1か月間大量に灌漑しました。洪水の影響で蓄積された塩分が浸出しています。私の農地には、肥沃な土地が戻り、今は写真にあるようにラビ栽培[1]の準備が整いました。」とお話されました。

 Agriculture-land-in-the-area-is-restorin

 この地域の農地は徐々に回復しており、栽培が可能な状態になっている

  

 Agriculture-land-is-ready-for-the-cultiv

 耕作の準備ができている農地の様子

 今年(2023年)もパキスタンでは6月下旬頃から8月にかけてモンスーンで大雨が降りました。支援地ダドゥ郡ではこの洪水による大きな被害は確認されなかったものの、今後も洪水に対する懸念は続きます。万一、水害が再び襲いかかることがあったとしても、人びとが自立した生活に立ち戻れるよう、ジェンは、引き続きパキスタンの水害被災者への支援を実施してまいります。改めまして皆さまの温かいご支援に心より感謝申し上げます。

 ※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

[1] ラビ作物とは、パキスタンやインドなどの南アジアで冬の初め頃植えられ、春頃収穫時期を迎える作物のこと。小麦、タマネギ、ジャガイモなどは、ラビ作物に入る。乾季に栽培が行われるため、灌漑が必要となる。

 

10月 12, 2023 農業支援 |

2023年9月13日 (水)

2022年の洪水後のウマルさんのお話

 ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた1,400世帯(約9,100人[1])に、野菜の種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットの緊急配付を終えました。モニタリング時に聞いたウマルさんのお話を紹介します。

 ムハンマド・ウマルさんは、シンド州ダドゥ郡タルカ KN シャー地域にあるランブコ村に住んでいます。彼の家族は妻と 5 人の子どもで、農家として生計を立てていました。

 残念なことに、彼の家族は 2022 年の洪水によって深刻な被害を受けました。洪水により、育った作物が失われ、台所に保管されていた食料も急速に枯渇してしまいました。

Mr-umar-in-his-home-with-his-wife-and-fi

 ウマルさん(一番左)と奥さんと5人の子どもたち

 ちょうどその頃、ウマルさんの世帯は、ジェンの支援対象世帯の特定条件の一つである「最も支援が届いていない市街地中心から離れた地域に住む世帯」に相当したため、事業参加者の一人として選ばれました。数日後、種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットを受け取りました。野菜栽培促進活動の一環で、ウマルさんは技術指導も受けて、農業を中心とした生計回復に着手することができました。

Fertilizer-distribution-at-kn-shah

スタッフから肥料を受け取るウマルさん(左)

 2 か月間にわたる献身的な努力の末、ウマルさんは自分の土地で新鮮な野菜を栽培することに成功しました。この野菜は家族の栄養ニーズを満たすだけでなく、生計を確保するために地元の市場で販売できる余剰品も生み出しました。ウマルさんは、「受けた支援のおかげで、私たち家族は、食事についてそれほど心配がなくなり、私たちの生活ははるかに良くなりました。本当にこの支援に感謝の気持ちでいっぱいです。」と話してくれました。

 今年(2023年)もパキスタンでは6月下旬頃から8月にかけてモンスーンで大雨が降りました。7月27日から30日にかけての国連衛星センター (UNOSAT) の画像は、約 27,000 km2 の⼟地がまたも洪⽔の影響を受け、少なくとも 1,000万⼈が洪⽔にさらされたか、洪⽔の影響を受けた地域の近くに住んでいることを⽰しています。これに伴い、洪水の影響を受けた地域でマラリアの陽性者も増加してしまったとのこと。支援地ダドゥ郡ではこの洪水による大きな被害は確認されなかったものの、今後も洪水に対する懸念は続きます。

 万一、洪水がまた襲ってくることがあったとしても、人びとが自立した暮らしへの回復力を身に付けられるよう、ジェンは、引き続きパキスタンの洪水被災者への支援を届けてまいります。皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

[1] 1世帯平均6.5 人を想定

9月 13, 2023 農業支援 |

2018年2月22日 (木)

働き者の女性

 パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

***** 

 働き者の女性は家事だけでなく家畜の世話や園芸を行います。

 ハナムさんはそうした女性の一人です。JENが2015年に人びとに野菜の種を配り、園芸についての研修を行いました。ハナムさんもそこで学びました。

 今、ハナムさんは3人の子どもたちを学校に送った後、2時間ほど掃除・洗濯などの家事をし、庭の畑に向かいます。冬にはほうれん草の種を蒔きます。畑の準備から野菜を育てるまで、すべてが彼女の仕事です。夫は有機肥料を持ち込みます。

「家族が食べられるだけのほうれん草が収穫できます。お金の節約になりますし、ほうれん草は栄養分が高いです。たまに親族や近所の人びとに分けています」とハナムさんは言います。
 彼女は賢明で、次の種蒔きのために一部の種を取っておきます。

【親戚の子どもを抱きながら子どもたちの昼食のためにほうれん草を収穫するハナムさん】
20180222_pk_01_mrs_khanam


【収穫できるまでに成長したほうれん草】
20180222_pk_02_green_field

【種蒔き用のほうれん草の種】
20180222_pk_03_seeds


写真③

2月 22, 2018 生計回復事業農業支援 |

2017年8月10日 (木)

畜産研修



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

****

現在、家畜局の職員と酪農家の中で、家畜管理ボランティアとして活動する人びとが畜産研修所で2ヶ月間の研修を受けています。

20170810_sl_the_training_centre1
【JENスタッフの研修所見学】

この研修所は1986年にオランダの支援で設立されました。専門家や酪農民に対してさまざまな期間の研修を実施します。日常的に家畜の世話をしているものの、男性に比べて教育を受ける機会に乏しい女性のための特別なコースも用意しています。

20170810_sl_meeting2
【JENスタッフと研修所職員との会議】

研修の主眼の1つは家畜が病気にかかった際の応急処置ではなく、家畜がいかに健康に生育するかという点について学んでもらうことです。

家畜局職員と酪農家は家畜を健康に飼育し、牛乳などを増産し、家畜を増やしていくための家畜管理と人工授精について勉強しています。研修後、彼らが核になって酪農家を指導し、彼らのために働くことが期待されているのです。

20170810_sl_visiting_the_barn3

2010810_sl_visitng_the_barn4_2
【研修の様子(家畜小屋の視察)】

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。

▼クレジットカードはこちらから

pakistan

▼郵便振替の場合は↓

口座番号:00170-2-538657 

口座名: JEN

*通信欄に「パキスタン」とご記入ください*

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

8月 10, 2017 生計回復事業農業支援 |