2023年12月21日 (木)

フセインさんの話: 洪水被害を受けた農村の復興の光

 2022年にパキスタンで起きた大規模な洪水は多くの死傷者、家屋やインフラの破壊、伝染病、家畜や作物の喪失、土壌の劣化など壊滅的な被害を引き起こしました。ジェンは、最も被害が大きかったシンド州ダドゥ郡で食糧危機の改善を目指し、農業支援を行っています。 

 1,100世帯(約7,150人:世帯平均6.5人)を対象に、洪水に強い複数の作物の種子、肥料殺虫剤、農薬、密閉式種子保存袋を提供し、農家が現代的な農法で耕作するための研修も行いました。これから、次の栽培季用の種子を適切に輸送・保管するための研修を実施する予定です。 

 事業参加者のひとり、フセインさんのお話を紹介します。フセインコソさんは、シンド州ダドゥ郡にあるアリ・ブクス・コソ村に住んでいます。フセインさんは障がいを持っており家族は非常に貧しいです。2 人の妻と 12 人の子ども (女の子 6 人、男の子 6 人) がいます。そのうちの1人は腎臓結石を患っています。 

 フセインさんは、子どもの治療費と農業を再開するための費用を同時にまかなうのが難しく耕作の準備が困難な状況でした。また、2023年になっても洪水の水が引かず、ラビ作物[1]を栽培できる農地がありませんでした。さらに、浸水後の塩害で、2023年はハリフ作物[2] を栽培することもできませんでした。 

[1] Rabi(10 月~4 月)は 10月以降の作付け、4 月ころに収穫される冬作で、小麦などがその中心作物である。

[2] Kharif(4 月中旬~10 月中旬)春から夏に作付され、秋に収穫される夏作で主に米、綿花が中心である。

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 洪水後:荒れてしまったフセインさんの土地  

          

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 洪水後:塩害が発生したフセインさんの土地 

 フセインさんは、「この危機的な状況の中で、ジェンが農地の開拓についてアドバイスをくれました。私は村の仲間の助けを借りて、土地を整備し、運河の水で1か月間灌漑を行いました。蓄積した塩分が溶け出し、農地の肥沃度が回復しました。そして、2024年のラビ栽培の準備が整いました。私はジェンから提供された種子をまき、農業専門家から技術的な研修を受けました。作物の栽培が終わるまで、彼らと連絡を取り続けます」と話してくれました。 

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 村びとの協力を得てレンタルしたトラクターで、土地を整備している様子        

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 種を受け取る様子 

 

 加えて、フセインさんは、「今シーズンは豊作が見込まれており、一部は来年の種として残しておきます。これで今後の家族の食べ物を確保できるよう願っています。私をサポートしてくれたジェンと日本の皆さんに感謝しています」ととても喜んで話してくれました。 

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 村びとの協力で小麦の種まきが終わり、芽が出始めた土地の前で立つフセインさん 


 ジェンは、引き続きパキスタンの水害被災者支援を実施してまいります。改めまして皆さまの温かいご支援に心より感謝申し上げます。
 

 

 ※本事業は、ジャパンプラットフォームからの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。 

 

12月 21, 2023 生計回復事業 |

2018年5月24日 (木)

「生計回復委員会」の会合

 帰還民の人々の生活の向上を目指し、JENが設立した「生計回復委員会」を中心に、これまで2年にわたって支援を続けてきました。これまで「生計回復委員会」では、定期的に帰還民の人々との会合を開いてきましたが、5月の1週目に開催された会合では、これまでの活動の振り返りを行いました。

 生計回復委員会の一員である畜産局の職員が、これまで給餌方法や、その他の家畜管理の研修、人工授精などの活動を直に観察してきており、その結果帰還民の収入は着実に向上している、と説明しました。

 帰還民の人びとは、2年という長期的なプロジェクトはこの地域では初めてで、とても有意義だったと話してくれました。

 また、会合では今後の課題についても意見を出し合いました。金銭的に余裕のない人は家畜用の小屋の建設を支援してほしいと話しました。また、普段なかなか外に出られない女性たちは、家畜の管理を勉強する機会を作ってほしいと言いました。村の長老の一人は、家畜への給餌に関する研修は本当に有意義だったので、今後もさらに続けてほしいと話していました。

 会合の後、生計委員会の一員はJENスタッフに対し「この2年間は地域の人々の生計向上に本当に意味のあるものだった。」と話してくれました。

 

【「生計回復委員会」会合の様子】
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5月 24, 2018 生計回復事業帰還民支援 |

2018年4月12日 (木)

家畜を守り育てるシェルター

 昨年8月・9月に畜産研修についてご紹介しました。(写真はその時の様子)

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3月に研修の参加者を訪問して話を聞いてきました。

すると、参加者の1人は、研修で学んだことを活かして家畜用シェルターを作ったと語ってくれました。何とかお金をかき集めて2ヶ月かって作ったそうです。他の参加者も、それに続き、計9世帯がシェルター建設に取り組んでいます。

昨年行った研修では、まず座学研修でシェルターの重要性について学び、畜産研修で実例を見てもらいました。

参加者の一人は、「研修を受けるまでは、天候の変化で家畜の体調が悪くならないように、締め切った部屋の中で飼育するのが正しいと思っていましたが、研修に参加した後は家畜を外へ出したり、部屋の換気をしたりするようになりました」。 「家畜用シェルターを作るにはお金がかかることからなかなか決心がつかなかったのですが、思い切って作り、シェルターで飼育を始めると、家畜の健康状態がよくなり、牛乳などの収量が増えました」 と話してくれました。

 生計にとって、また糧としてとても重要な家畜の飼育状況を改善しようと、人びとが自身で努力していることに感銘を受けます。これは前向きな変化です。しかし、人びとがかつての暮らしを取り戻すにはまだまだ絶え間ない支援が必要です。

畜産研修①の様子はこちら

畜産研修②の様子はこちら

4月 12, 2018 生計回復事業 |

2018年3月29日 (木)

モット草の需要

 以前にお伝えしたモット草のお話の続きです。

 人びとは家畜の放牧をしますが、実は家畜にとってはこれだけでは十分な栄養が取れません。補助飼料を与える必要があります。

 畜産局との話し合いで、私たちはタンパク質を多く含むモット草について知りました。政府酪農場では広く栽培されています。そこで、苗を分けてもらうこととなりました。

 最初は新しいことを試す意欲にあふれた人びとに苗を配布しました。苗はうまく成長し、政府酪農場にさらに苗の供給を依頼しました。7.000株が提供され、70軒の酪農家に配布しています。
 
 そうしているうちに噂を聞きつけて、さらに多くの人びとが苗を求めてきました。政府酪農場は協力的で、人びとが直接、酪農場に配布を依頼することになりました。先に栽培に成功した人びとが彼らに栽培方法を教える予定です。

 少し前まで大半の人びとはモット草について知りませんでした。今後、彼らがこれを活用し、家畜のより健全な成育、乳量および乳製品生産量の向上に役立てることが期待されます。

【モット草の苗についての話し合い】
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【苗の配布】
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【政府酪農場での苗の刈り取り】
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3月 29, 2018 生計回復事業帰還民支援 |

2018年2月22日 (木)

働き者の女性

 パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

***** 

 働き者の女性は家事だけでなく家畜の世話や園芸を行います。

 ハナムさんはそうした女性の一人です。JENが2015年に人びとに野菜の種を配り、園芸についての研修を行いました。ハナムさんもそこで学びました。

 今、ハナムさんは3人の子どもたちを学校に送った後、2時間ほど掃除・洗濯などの家事をし、庭の畑に向かいます。冬にはほうれん草の種を蒔きます。畑の準備から野菜を育てるまで、すべてが彼女の仕事です。夫は有機肥料を持ち込みます。

「家族が食べられるだけのほうれん草が収穫できます。お金の節約になりますし、ほうれん草は栄養分が高いです。たまに親族や近所の人びとに分けています」とハナムさんは言います。
 彼女は賢明で、次の種蒔きのために一部の種を取っておきます。

【親戚の子どもを抱きながら子どもたちの昼食のためにほうれん草を収穫するハナムさん】
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【収穫できるまでに成長したほうれん草】
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【種蒔き用のほうれん草の種】
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写真③

2月 22, 2018 生計回復事業農業支援 |

2018年1月11日 (木)

牛乳から得られるもの

  パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

 こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

***** 

 JENは人びとに牛を提供しましたが、主に女性が家で餌やり・水やりなどをして牛の世話をし、搾乳を行います。シャイスタ・グルさんはそうした女性の一人です。彼女には娘と息子が2人ずついます。うち3人は学校に通っており、1人はまだ2歳半で、彼女が家で面倒を見ています。夫は日雇い労働をしています。

 彼女は言います。「戻って来て、家を建てるのにお金を使ってしまいました。そのおかげで食費に事欠きます。昔はヤギを飼っていて、乳を搾っていました。今、JENからいただいた牛から1日に3リットルほどの牛乳を得ることができます。そのうち2リットルほどを自家消費します。ヨーグルトやバターを作ったり子ども達が飲んだりします。残りの1リットルを近所に売り、100ルピー(約100円)ほどになります。なかなか難しいのですが、この利益を貯金しています」

 FATAでは復興が進んでいます。グルさんの夫も地元や近隣の大きな町であるペシャワールで仕事をしていますが、JENが提供した牛も一家の家計や子ども達の健やかな成長を支えています。

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1月 11, 2018 生計回復事業帰還民支援 |

2017年12月14日 (木)

家畜支援に参加する若者グループへ研修を実施しています

 パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

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 JENは職を得ていない若者に対して3日間の起業家研修を実施しました。支援している地域では初めての試みです。
対象として20人を選びました。彼らは研修にとても興味をもっていました。

【若者たち】
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 研修の内容は地元の市場との関係構築、これに私達がサポートしている人びとから集めた牛乳などを販売することです。何人かは避難する前、卵・野菜・小型家畜などの販売に携わっていました。

 若者達は積極的に研修に参加しました。この中で彼らと講師は活発に意見交換・質疑応答を行いました。

【研修の様子】
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 若者の生計について政府による支援は不十分で、FATAの状況では民間セクターのビジネスも不活発です。

 こうした現状では若者達は定職より起業を通じてより収入を得られますし、他の未就業の若者達を巻き込むこともできます。大きな可能性を秘めています。

 JENは今後も彼らを支援していきます。来年にフォローアップ研修を実施する予定です。

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12月 14, 2017 生計回復事業帰還民支援 |

2017年11月 2日 (木)

家畜市場のにぎわい

 パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

 こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

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 畜産が盛んなFATAを含むパキスタン北西部では毎週、家畜市場が開催されています。ハイバル管区では、武装勢力掃討作戦前は管区の中で市が開かれていましたが、現在は同管区の入口で行われています。

 毎週木曜日に多くの家畜が取り引きされています。人びとはさまざまな牛や羊、ヤギを持ち込みます。

 この市場は政府が管理しており、販売者は大型家畜1頭に対しては200~300ルピー、小型家畜1頭については50~100ルピー(いずれも日本円でほぼ同額)を登録料として支払います。毎回、約300頭の大型家畜、約400頭の小型家畜が販売されます。

 他に輸送業者、家畜用餌の販売者、食堂経営者・従業員など、多くの人びとがこの市場から利益を得ています。また2つの動物病院(クリニック)があり、人びとは家畜の予防接種や治療などでこのクリニックを利用できます。

 JENが支援している人びとも、この市場で家畜を販売して安定収入を得ることが期待されています。

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11月 2, 2017 生計回復事業帰還民支援 |

2017年9月14日 (木)

畜産研修-2


パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

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前々回にご報告いたしました、家畜局職員と家畜管理ボランティアに対する2ヶ月間の研修が終了しました。

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【補助飼料に関する研修】

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【講義の様子】

彼らはさまざまなことを学び、家畜局から修了証を授与されました。今後、彼ら参加者は帰還した人びとによる家畜管理・増産・品種改良・家畜の応急処置に大きな役割を果たすことが期待されます。

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【研修終了後の参加者】

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9月 14, 2017 生計回復事業 |

2017年8月31日 (木)

伝染病防止のための駆虫



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

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イスラム教では伝統行事として犠牲祭があり、このとき多くの家畜が運ばれるため、人びとが家畜に触れる機会が多くなります。このような状況下では、クリミア・コンゴ出血熱という感染症が家畜から人へと蔓延することが懸念されます。

FATAでもこの病気が広がる恐れがあったため、JENは昨年、支援先である家畜局がこの病気を媒介するダニを駆除することに協力し、37,500頭の家畜に駆虫スプレーを噴霧しました。

今年もこの病気を予防するため、9月1週目に予定されている犠牲祭に向けて同数の家畜に対して駆虫を行うべく、スプレー用薬剤を家畜局に譲渡しました。

主に家畜市場やFATAへの入り口にあたる地区といった流通経路の中枢で駆虫を実施します。さらにJENは、2018年には対象となる家畜をさらに増加させるべく活動を進めており、こうした家畜局の取り組みを今後も支援していきます。

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【スプレー用薬剤の譲渡】

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【駆虫要員と意識向上バナー】

 

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8月 31, 2017 生計回復事業 |

2017年8月10日 (木)

畜産研修



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

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現在、家畜局の職員と酪農家の中で、家畜管理ボランティアとして活動する人びとが畜産研修所で2ヶ月間の研修を受けています。

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【JENスタッフの研修所見学】

この研修所は1986年にオランダの支援で設立されました。専門家や酪農民に対してさまざまな期間の研修を実施します。日常的に家畜の世話をしているものの、男性に比べて教育を受ける機会に乏しい女性のための特別なコースも用意しています。

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【JENスタッフと研修所職員との会議】

研修の主眼の1つは家畜が病気にかかった際の応急処置ではなく、家畜がいかに健康に生育するかという点について学んでもらうことです。

家畜局職員と酪農家は家畜を健康に飼育し、牛乳などを増産し、家畜を増やしていくための家畜管理と人工授精について勉強しています。研修後、彼らが核になって酪農家を指導し、彼らのために働くことが期待されているのです。

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【研修の様子(家畜小屋の視察)】

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8月 10, 2017 生計回復事業農業支援 |

2017年7月13日 (木)

モット草



今回は家畜の有用な飼料である「モット草」をご紹介します。

モット草は他の作物よりも高栄養価です。また、痩せた土地や降水量の少ない地域でも継続的に栽培することができ、有害な虫に対する抵抗力があります。茎と葉が柔らかいため、動物にとって反芻が容易です。そして、他の草が育たない時期に育ち、高地や山地の浸食を防ぐという役割も果たします。

モット草の他の特徴として、一度栽培すると数年にわたって何度も収穫できます。通常、家畜の餌は酪農の総費用の75-80%ほどかかりますが、モット草を使用することでその費用を大幅に減らすことができます。

すごい草ですね。帰還して酪農を再開した人びとにとっては頼もしい存在です。

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【生い茂るモット草】

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【刻まれたモット草。ネギみたいですね】

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【モット草を食べる牛】

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パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

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7月 13, 2017 生計回復事業帰還民支援 |

2017年6月29日 (木)

視察研修の効果

パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

このプロジェクトは現在2年目ですが、1年目に一部の酪農家を対象に伝統的な酪農方法から,より換金商品を生み出せる酪農に転換することを支援すべく、視察研修を企画し、10人が参加しました。この研修ではさまざまな酪農場を訪れ、家畜小屋、給餌、搾乳、予防接種、駆虫、子牛の世話などについて学びました。

参加者の1人であるサイド・カラムさんは感銘と刺激を受け、家畜小屋を作ることにしました。彼はデザインについてJENの担当職員に相談し、職員は彼に情報提供しました。そして小屋は完成しました。

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【家畜小屋建設前】

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【家畜小屋建設後】

以前、彼は住まいの一部屋を家畜小屋にし、換気や衛生に気を使っていなかったそうです。JENが提供した家畜管理研修で小屋を設置することの重要性を学び、視察研修でそれを確信したということです。

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【新しい小屋の家畜たち】

小屋を自分で作ってよかったと思い、それから自分の家畜に対して栄養バランスのよい給餌や適切な水やり、予防接種や駆虫を通じた病気からの保護に気を配るようになりました。

近隣の人びとが彼を訪れ、家畜小屋建設に必要な費用や資材についてたずねます。彼らも小屋を作っていくことでしょう。しかし、金銭的余裕がない人びとも多くいます。サイド・カラムさんはJENにそうした人びとを支援してほしいと言います。

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【酪農家のみなさん】

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6月 29, 2017 生計回復事業 |

2017年6月15日 (木)

収入源としての手押し車

 

パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。くわしくはこちらから。


JENは2015年に反政府勢力の掃討作戦により影響を受けた地域の一つであるハイバル管区バラ地区 アカヘルで帰還した人びとの生計向上のための事業を実施しました。

 

JENがこの地区を選んだのは、経済的に脆弱な世帯が多かったことと、土地が農業に適していたためです。この地域は元々土地が肥沃でした。すでに政府の農業局により作られた農業支援委員会が活動をしており、JENは帰還した農家に種子と農具を配布しました。

 

ムハンマド・アユブさんは自宅近くで軍事作戦が展開されたとき、全てを残して避難しました。紛争が終わると彼は家族とともに戻りました。私たちは、彼を支援対象農民として登録し、種子や農具と手押し車を提供し、農作業に関する研修を行いました。

 

普段彼は手押し車を自分の畑で農作業に使っていますが、これが空いているときは他の農家が肥料運搬に使うのに貸してお金を得ています。他には市場から食料品を運んで来て、お金を稼ぎます。

 

アユブさんは地元のNGOで不定期に日雇い作業もしています。彼はそれらの仕事のほとんどで手押し車を使います。そういった仕事はささやかな物ですが、帰還後の生活再建にまだ苦労している彼と家族にとっては大変な助けになっているのです。

 

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【提供の手押し車で農作業をする様子】

 

 

 

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6月 15, 2017 生計回復事業 |

2017年6月 1日 (木)

疥癬診療と啓発



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。くわしくはこちらから。

JENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。


数週間前のこと、事業地のひとつであるハイバル管区のトゥート・タラーブ村で家畜が疥癬(かいせん)を発症していることが発見されました。すぐさま現地の家畜局に報告の上で調査を行い、77世帯において計178頭の家畜が発症していることが分かりました。

感染が本格的に広がる前に基礎的対策を施すため、家畜局と対策協議を開始しました。その結果、双方で協力して対応することに合意し、具体的には家畜局が治療を施すことと、それに並行してJENが啓発キャンペーンを行うこととなりました。

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【家畜局による疥癬の治療】


最初の集団診療では大型家畜45頭と小型家畜25頭を治療しました。治療の前にJEN職員が疥癬、世帯レベルで行える安価な治療、家畜小屋の清掃・家畜の定期的駆虫といった予防策についての啓発を行い、その後、家畜局職員がワクチン接種を行いました。

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【JEN職員による疥癬に関する啓発の様子】

次回の集団診療・啓発は2週間後に予定されています。

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6月 1, 2017 生計回復事業帰還民支援 |

2017年4月27日 (木)

牛を受け取った家族



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。くわしくはこちらから。
JENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。


今回お話しするのは、50歳になるイテバラさん。彼女は昔、足に障害を負い3年前に夫を軍によるテロ掃討作戦の最中に亡くしました。彼女は5人の娘と2人の息子を抱えていて、亡き夫の第二夫人と同居しています。

イテバラさんとその家族は、夫の日雇いの仕事が唯一の収入源でした。息子たちはまだ学校に通っており、稼ぎ手になれません。娘のうち2人は結婚していて、残りの3人はイテバラさんの家事の手伝いをしています。第二夫人は近所の人びとのために働き、小麦粉、砂糖、野菜などを受け取って家族の最低限の生活を支えています。

3頭の家畜をイテバラさんは所有していましたが、生活が厳しくなり、止むに止まれずそのうち1匹を手放さねばならなくなりました。そのような脆弱な生活状況により、私たちは彼女を支援対象として登録し、牛とその飼料、駆虫セットを提供しました。

イテバラさんは牛を手に入れてとても喜びました。乳牛を飼うことができるとは考えたことがなく、大切にこの牛を育てています。イテバラさんたちは、この支援がこれまでの彼女らの生活を楽にするとの希望を持っています。

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【イテバラさんが受け取った牛】

第二夫人はJENが開催した家畜管理の研修に参加し、家畜用の小屋、水やり、予防接種の必要な時期など、適切な家畜管理の重要性について学びました。一家はJENが今後、品種改良の支援を行うと聞き、自分たちの乳製品の生産も増やせるのではないかと期待しています。

イテバラさんはJENの支援によって収入を増やし、生活を向上させられると希望を持っているのです。

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4月 27, 2017 生計回復事業 |

2017年4月13日 (木)

家畜管理の基本に関する研修



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。くわしくはこちらから。

JENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまおよび日本政府の協力で、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

その一環として実施している家畜管理の基本に関する研修は、JENが現在進めている畜産振興事業の重要な一環です。

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ハイバル管区を選んだのは、ここが家畜の種類の多さやそれらの高い繁殖力で有名で、また飼料も手に入りやすいからです。この研修には、政府の家畜部から主任指導員を派遣してもらうという協力を得ています。

この研修は男性だけでなく女性も対象になります。そして1回の1日間の研修に25名が参加し、世帯レベルでの畜産振興に欠かせない家畜管理の基本的なスキル、例えば牛の繁殖、家畜小屋、水やり、栄養バランス、人工授精、駆虫、予防接種スケジュール等について指導を受け、さらに口蹄疫、腸性毒血症、小型反すう動物の害虫、出血性敗血症、乳腺炎など家畜の様々な病気について学びます。

さらに、受講者は日々直面している彼ら自身の問題について指導員から質問され、これに指導員は丁寧に回答して、必要なら実演付きで説明します。

家畜管理の向上は、より良い生産物のために欠かせないことです。これらの研修は、家畜の飼育に関して段階的に向上が図れるよう、3年間、繰り返し実施されます。

家畜局職員による研修のもう一つの目的は受講者との連携を強化することです。JENと違い、ハイバル管区にいる家畜局の職員はずっと受講者を支援することができるので、両者をつなぐことは持続可能な畜産振興の仕組みを確保することになります。

研修の間に受講者は家畜局職員と連絡先を交換し、困ったときすぐに相談にのってもらえるようにできます。さらに受講者は、無料で受けられる予防接種や人工授精など家畜に関する政府の活動の情報を確実に得ることができます。

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4月 13, 2017 生計回復事業 |

2017年3月16日 (木)

アンゴラウサギ

パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。くわしくはこちらから。

人類は何世紀ものあいだウサギを飼育してきました。その主な理由は繁殖の速さと食肉としての価値です。ウサギの肉はタンパク質が豊富でコレステロールが低いため、一般的に健康によいと言われています。また、毛皮は質がよく、高く売れます。その中でもアンゴラ種はとても美しい小型の食肉・毛皮用ウサギです。

JENはプロジェクトの参加者である牧畜民の視察旅行の際にハイバル・パフトゥンハー州のジャバ・ハリ・プル県の家畜研究所を訪ねたときにアンゴラ種に出会いました。

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【アンゴラうさぎ】

州政府の畜産・乳製品開発局はこの家畜研究所でアンゴラ種の飼育を試験的に開始しました。立ち上げ時はネパール原産の種を首都の研究所を通じて導入しました。

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【アンゴラ種について政府担当者から説明を受けるプロジェクト参加者】

繁殖後は多数がマンシェラやアボタバードで活動している現地NGOに配布され、女性コミュニティーの生計向上に使われています。つがいの市場価格は8000パキスタンルピー(日本円で約9000円)です。

アンゴラ種は気温などの外的リスクから毛皮を守るために特別なケージで飼育されています。15度~20度の気温で通気性と日当たりがよく、静かな環境で育てられ、日に3度の食事が与えられます。また、病気に弱いため衛生に気を配る必要もありますが、1頭の雌は年に20~40匹の仔を生みます。

JENのプロジェクト参加者もこのウサギに興味を示しており、各世帯で飼育をできないものかと役所と意見交換をしていました。このアンゴラ種も今後の支援内容に組み込めるか検討する価値がありそうです。

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【アンゴラうさぎをみせるJENスタッフ】

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3月 16, 2017 生計回復事業 |

2017年2月23日 (木)

女性に対する家畜管理研修



パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷にもどっています。詳しくはこちらから。

JENはハイバル管区アカヘル地区で畜産改善支援を実施しています。この支援では家畜管理が柱になります。パキスタンでは家畜の世話を主に女性がしています。そのため、多くの女性に牛を配布しました。彼女たちが、適切な家畜監理を学ぶことにより、乳製品を自家消費し、販売用の牛乳や肉の生産量を増やして、安定した収入により自立することができます。

一方で、パキスタンでは女性の活動に伝統的規範があるため、JENの支援活動に積極的に参加してもらうために、女性たちの家族(特に年長者)にJENの活動支援を理解してもらい、参加に向けて協力してもらいました。

JENは連邦直轄部族地域(FATA)畜産局から、女性の家畜管理担当者を講師として招きました。これまで約100人の女性が研修に参加しています。講師は現地の言語を用いて写真を多く使用することで、研修内容を理解してもらいやすいようにしています。

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【家畜管理について研修をする講師】

女性たちは活発に研修に参加しています。お互いに、自分たちの経験や知識などをざっくばらんに共有しました。講師は繁殖や餌やり、牛舎管理、家畜のさまざまな病気や予防接種について教えています。 研修に参加した女性たちはさらに全般的に家畜管理について学んで実践できるように、研修が継続されることを願っています。 

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2月 23, 2017 生計回復事業 |

2017年1月12日 (木)

ハイバル管区バラ地区 Aka Khelにおける家畜の提供

 

20170112_pk_cow_distribution1

 

 


【JENの第4回目の牛配布会の様子】

 

ハイバル管区バラ地区の住人は、他の地域へ避難する前に牧畜を行っていました。なかでもアチャイ種の牛はこの地域の天候や地形に最適な品種でした。しかし、人びとがバラ地区に帰還してから紛争で失われてしまった家畜、とりわけ牛を提供する支援を行う組織はありませんでした。そこでJENは60歳以上の高齢者や障がい者、女性や孤児が世帯主となっている家庭などのもっとも脆弱な立場の人びとに牛の提供を始めました。

 

実際に牛を受けとった人びと、村の長老たちなどは口を揃えて、牛をもらえるなんて思ってもみなかったと言います。彼らの生計向上に大きな役割を果たすものの、高価な牛を提供されるとは誰も思っていなかったのです。

 

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【配布された牛を村までもって帰るために借りた車】

 

配布の前に牛は7日間の検疫を受けます。この期間中に家畜局職員が様々な病気から牛を守るためのワクチンを打ちます。この7日間が終わった後、病気の疑いのない健康な牛たちがワンダ(栄養補給用の飼料)と駆虫薬と共に配布されます。

 

コミュニティの長老たちは脆弱な状況にある人びとにとって、牛の配布は大きな支援になると言います。牛を受け取った人びとは今、各世帯で牛乳を得ることができ、これはとくに子どもにとって重要な栄養源になっています。また、牛乳、ヨーグルト、バターなどを家庭で作れるようになったことは彼らの食費の節約にも大きく貢献しています。

 

この支援は、帰還民の本来の生業である牧畜を通じて人びとの生計を向上させることを目指しており、牛の提供は主要な活動です。これに加え、JENは人びとの家畜管理についての知識を高め、最初はワンダを提供するものの、自前で費用をかけずに飼料を作ることを教えます。また、人工授精による品種改良を行い、ワクチン接種と寄生虫駆除によって家畜の健康を守れるように人びとを支援していきます。そして若者を巻き込み、牛乳販売を通じた所得創出も支援します。

 

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【牛配布だけでなく、効果的な牛の管理も説明】

 

 

 

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1月 12, 2017 生計回復事業 |

2016年12月22日 (木)

JENの事業参加者:サルマ・ビビさんの話

ハイバル管区バラ地区に、4人のお子さんとともに暮らす女性、サルマ・ビビさん(仮名)。
ここは、JENが帰還してきた人びとを対象に活動を行っている地域です。彼女の夫は8年前に家族が避難を余儀なくされた中で亡くなりました。

サルマ・ビビさんの家族は2008年、故郷からペシャワールに逃れました。夫亡きあと、彼女は6年もの間、避難している間にいくつかの困難に直面したと言います。避難前は、牛3頭とヤギ2頭を飼っていましたが、生活のためにその家畜を安い値段で売り払わなくてはなりませんでした。平和が彼女の村に戻った後、政府は避難世帯の登録の手続きを開始しました。彼女は女性世帯主として登録されて故郷へ帰りました。

JENは支援の対象地域として彼女の住む村を選びました。そして支援対象者として登録されたサルマ・ビビさんは、牛1頭、栄養補給餌3袋、駆虫薬1袋を受け取りました。

20161222_pk_lifvestokc_distribusion
【村民が牛を受け取る様子】

サルマ・ビビさんが受け取った牛は妊娠後期でした。そのため、配布の1週間後に牝牛を出産しました。 彼女はとても喜びました。その牝牛が生まれたために、1日に約3-4リットルの搾乳ができるようになりました。

20161222_pk_a_baby_cow_with_cloth_2
【防寒のために服を着せてもらっている子牛】

支援を受ける前は、彼女の生活は日常的に事欠いていました。隣人から牛乳やヨーグルトを分けてもらっていたのです。牛を受け取り、牛乳を生産できるようになってからは、彼女は安心して日常の生活ができるようになりました。

JENは彼女に適切な家畜の管理(搾乳量を増やすための適切や給餌や水やり、牛の健康)をするよう助言しました。

今後、JENは2日間の詳細な家畜管理研修を畜産局の協力を得て実施する予定です。

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12月 22, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年12月 8日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区バラ地区の帰還民に対する最初の支援物資配布

 

ハイバル管区バラ地区に帰還した人びとの経済状況を回復するため、彼らへの牛と餌の最初の配布を2016年11月29日に実施しました。本事業に参加の16人が、それぞれ牛1頭とワンダ(栄養補給用の飼料)3袋、駆虫薬1袋を受け取りました。

配布作業は前もって決められた手続きに従って行われました。配布前にJENの家畜オフィサーが支援対象者たちにむけて、家での牛の世話について説明しました。そこで話されたことは配布された牛をどのようにして彼らの家まで安全に運ぶか、餌や水はどのように与えるか、牛用シェルターはどうするかなどです。

 

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【牛の配布】

 

 

 

牛を配布する前日に16人の事業参加者に家畜の引換券を渡し、日時や場所や移動の手配などについて知らせました。また、支援の目的と事業参加者のみなさん、JEN、畜産局などの関係者の役割についても説明しました。

 

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【牛の配布の前日説明会】

 

 

 

引換券配布に先だって、牛を検疫しました。その際に、2頭の牛の健康状態が良好ではなかったため 、他の健康な牛2頭と取り換えました。さらにJENは、畜産局と協力して16頭全ての牛に予防接種と寄生虫の駆除を実施しました。畜産局はこのようにして、検疫を終えた牛の全16頭を配布可としました。

 

20161208_pk_token_delivery4

 

 


【引換券配布】

 

 

 

この事業は2016年から2018年まで3段階で実施されるもので、今回の牛の配布の他に人工授精、牛の管理に関するスキルの強化、生計回復を予定しています。

 

 

201612008_pk_the_cows_and_their_sup

 

 


【配布される牛と栄養補給用の飼料】

 

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12月 8, 2016 生計回復事業 |

2016年10月27日 (木)

農業におけるリサイクル

パキスタン南ワジリスタン管区でのJENの農業支援プロジェクトは、この地域での食の循環に重要な役割を果たしています。このプロジェクトのおかげで、トウモロコシや様々な野菜の有機栽培の種が植えられました。そのことにより、農地は息を吹き返し、1,858世帯の農家が生活できるようになりました。合計925エーカー(約4平方キロメートル)の土地を耕作可能にしました。

化学肥料は、爆発物の材料となるためテロ対策として使うことが禁止されており、農民たちは農作物の出来を心配していました。そこでJENは、男女計3,700人の農民に正しい堆肥の作り方と使い方を教える研修を実施しました。農民たちは、木の葉や生ごみなどを積み重ね、それらが腐植土になるまで1か月ほど待つよう教えられました。

この地域では、どこの村でも牛やヤギやヒツジを飼っています。そのため堆肥を作るのに必要なものが簡単に手に入ります。つまり、家畜のフンを木の葉や小枝や雑草などと混ぜ合わせるのです。そしてフンがそういった植物残渣と一緒になってうまく分解すると、環境にも収穫高にも悪影響を与えない、化学肥料よりも優れた肥料ができるのです。また、堆肥を使うことにより、病気や害虫の被害も少なくなります。

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【農民たちに堆肥づくりの研修をJENスタッフが実施】

フォローアップのため農家を訪問したプロジェクトスタッフは、良い堆肥を作ることにより作物の栄養状態が改善されると話しました。また、その結果収穫高が増えたりより良い飼料ができたりして、天然資源の良好な循環が作られるとのことです。

農民の大部分が、動物のフンや木の葉や野菜くずのような有機物質を使って、農地を肥やす最良の方法として堆肥づくりを始めました。研修は3~4か月間続きます。

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【女性たちに堆肥づくりの研修をJENスタッフが実施】

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【自宅で堆肥づくりの準備をしている女性】

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10月 27, 2016 生計回復事業 |

2016年9月 1日 (木)

現地スタッフの日記

JENは農地再生支援を行っており、この活動のため23台のトラクターを準備しました。

2つの対象の村にこれらのトラクターを提供し、村の委員会に対しこの活動の手順について説明を行いました。

耕作されていない土地を持つ各農家が、地ならしを行う前日にJENから引換券を受け取ります。1軒あたり1枚の割り当てで、1枚の引換券でトラクターに3時間半分の作業をしてもらいます。村人が対象の土地を特定し、地ならしを行います。

2つの村で地ならしが続けられました。JENは村の委員会の長に会って話を聞きました。委員長によると、35%の農家がトウモロコシの栽培を始めている一方、残り65%の農家がまだ地ならしを待っている状態だということでした。168軒の農家に引換券を配り、日が沈む前に事務所に戻りました。

【対象の土地】
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【対象地と農家の人】
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【地ならしの様子】
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【トウモロコシ耕作のために地ならしされた土地】
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9月 1, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年8月12日 (金)

連邦直轄部族地域(FATA)での帰還民支援

 JENの支援活動においてはどの国の場合でも、持続可能性が不可欠な要素です。緊急支援・復興支援・開発支援のいずれにおいても、持続可能性に万全を期しています。

 2011年以来JENはFATAの避難民のために、避難地域と帰還地域の双方で支援活動を実施してきました。

 約7万人の避難民に対し、シェルターや非食糧物資の提供、水・衛生支援、食糧支援や生計手段の確保等の支援を行いました。

 そしてFATAでの治安状況の改善に伴い、避難した住民の半数以上(161,064世帯)がすでにFATAに帰還しましたが、142,727世帯はまだ帰還できずにいます。しかし帰還の動きは着実に進んでいて、政府の計画では2016年内に避難家族の90%以上が帰還できる予定です。

 この数字を受けて、JENは緊急の支援だけでなく、帰還した人々の生活再建のための長期的かつ持続可能な目標に向けた支援を進めています。

 具体的には、現在JENはFATAに帰った22,855人の人々が栄養のある食糧を手に入れるために家族で農産物を育てられるよう、支援をしています。さらに5,000人以上の帰還民の経済的な再建を目指して、家畜飼育の支援を進めています。

 JENは今、帰還民の支援に関していくつかの関係機関との連携の再構築をはかっています。

【畑の風景】
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【作物苗の配布後モニタリング】
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【土地が農地として適しているかに関する調査】
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8月 12, 2016 支援物資配布生計回復事業帰還民支援 |

2016年7月28日 (木)

事業地のニーズ

 2015年3月から2016年3月にかけて、45万人の避難民が連邦直轄部族地域(FATA)のハイバル管区に帰還しました。

 しかし多くの場合、この地域の水衛生関連・医療・教育施設は機能していなかったり、不十分であったりという状態です。

 紛争の間、維持管理ができなかったため、インフラの大半は深刻なダメージを受けています。

 また、ハイバル管区のほぼ全ての場所で、生計手段・医療・保護に関する状況はいまだ不十分なままです。心理社会的支援がないといった問題もいたるところで見られます。医者、特に女性医師・救急医療・産科へのアクセスは、この管区全体の深刻な課題となっています。

 教育・シェルター・水衛生関連の支援が特定の地域に集中してしまっている現状もあります。教育に関して言えば、女子校は男子校に比べて施設が不十分な傾向で、女子の就学率は男子に比べて大幅に低くなっています。

 帰還民の緊急的な生活ニーズに応えることは、パキスタン政府と連携する人道支援関係者にとって最重要事項の一つです。

 JENは現地の方々の自立の観点から、復興の段階における人道的ニーズに対応しています。だからこそ、生活の再建に課題をもっている方々を支援の対象としているのです。

 これから3年間にわたって、日本の外務省と連携し、帰還民の生計手段回復と経済的復興を目的とした畜産業発展支援事業を実施する予定です。そのためにFATAに入るための通行許可を政府に申請中です。

 この事業では、人工授精に関する包括的な研修を通じて、畜産局職員と畜産農家の繁殖技術の向上をめざします。また、若者を対象に起業研修を行う予定です。通行許可が発給され次第、帰還民の生活再建を支援するため支援を開始します。

【ミーティングの様子】
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【地元のバザール】
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7月 28, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年7月14日 (木)

FATA、南ワジリスタンでの初めての物資支援

 JENは、FATA(連邦直轄部族地域)南ワジリスタン管区のテーシル・セルワカイへの帰還民493世帯に対して、初めての物資支援を行いました。

 JENが、このプロジェクトの重要性を住民・軍事組織に伝え、最終的に国家開発機構の許可を得られたことにより、支援の実施が実現しました。

 それぞれの家庭に、農業・家庭菜園用の種や道具を配布しました。詳細は以下のとおりです。

<種>
1.トウモロコシ(オーガニック)40kg
2.トマト(オーガニック)     50g
3.かぼちゃ(オーガニック) 100g    
4.オクラ(オーガニック)    500g      
5.玉ねぎ (オーガニック)  25g      
6.ユウガオ(オーガニック)  50g
7.ニガウリ(オーガニック)  50g
8.ナス(オーガニック)     50g

<農業用品のセット>
1.手押し一輪車 1台
2.踏みすき     2個
3.千歯こき      3個
4..かま          1個
5.スコップ        1個
6.熊手         1個
7.十字鍬            1個

 ラマダン明けのイード休暇のあと、残りの1,357世帯への配布が完了する予定です。

 今後は、全ての事業参加者を対象に、農耕・家庭菜園の生産性を上げるための技術を広める予定です。プロジェクトが終了するまでに、対象世帯の食糧確保の状況を改善することを目指しています。

【配布の様子】
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7月 14, 2016 支援物資配布生計回復事業帰還民支援 |

2016年6月30日 (木)

JENスタッフの南ワジリスタンへの訪問

 カル・タンガイは、連邦直轄部族地域(FATA) 南ワジリスタン管区の、テシル・サルワカイ地域の中で最も人口の多い村の一つで、人口はおよそ2800人ほどです。

【南ワジリスタンから見た乾燥した山】
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 彼らは、数か月前に故郷に帰って来ました。政府が早急に現金を支給しましたが、熱い気候の中で生活しなければならず、十分な住居・食べ物・保健・教育・生活手段がありません。
 彼らは、このラマダンの時期にとても苦しい状態で生活していますが、このような環境下においてもとても勇敢で、多くの困難に立ち向かっています。

【破壊された生活設備】
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 いくつかの現地NGOが保健や生活支援の分野で活動していますが、その支援はいまだに行き届いていないのが実情です。

 カル・タンガイの土地はとても肥沃で、昔、アプリコットやリンゴの生産地として有名でした。野菜の生産も有名で、トウモロコシは夏季の主要な穀物でした。しかし、恒常河川からの掘り抜き井戸や用水路など、灌漑のための施設は、紛争中に完全に破壊されてしまいました。灌漑用地も、紛争により不毛の土地となりました。

【カル・タンガイ村の農業用地】
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 個人の所有する土地は、平均で10エーカー(約4ヘクタール)ずつです。農家の方たちは、ここは家庭菜園や季節の穀物を育てることなどが可能な豊かな土地であると言います。
 
 JENはパートナー団体、地域のご年配の方たち、100人ほどの農家の方たちとともに会議を行いました。その結果、JEN はトウモロコシの種、家庭菜園のための野菜の種、農業用具を提供し、また土地の開墾と質を改善するための支援を行うことになりました。

【会議の様子】
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 このプロジェクトの対象は、1850の家族です。事業に参加する方たちは、生計回復と食糧の確保に希望を持つことができるようになりました。

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6月 30, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年6月16日 (木)

農業を通してジェンダーの平等促進

 JENは、連邦直轄部族地域(FATA) ハイバル管区内のバラにて帰還民支援の農業プロジェクトを行っていますが、ジェンダーの平等は分野横断的な問題です。

 ジェンダーについて意識を持ってもらうため、計画から実行、モニタリングまでのプロジェクトの全ての段階でジェンダーの視点を組み込むことを試みました。

 このため、事業参加者選定に際してジェンダーの平等を意識した基準がとられ、世帯主が高齢である世帯、孤児世帯、障がいを抱えている人々、慢性的な疾病に悩まされている人びと
 に加え、配偶者を亡くした女性も優先的に選ばれました。
市民団体や各小集落の長老等との合同戸別訪問調査により、10の集落の中から1,250世帯が選定されました。プロジェクトは、次のような段階を経て実施されました。

・関係者や地域住民、市民団体へ適切な事前説明を行う

・プロジェクト対象地域の住民が支援対象世帯を選定する

・弱い立場に置かれている女性について情報収集し、女性が問題に直面している世帯を支援対象に含める

・女性が世帯主である家庭の支援は、市民団体か事業参加者の親類を通じて行う

・女性に家庭菜園の研修を行い、種や機具を配布する

 支援対象となった1,250世帯のうち、結果として956世帯は男性が世帯主でしたが、294世帯は女性が世帯主でした。また、162世帯は障がいを抱えている人を、90世帯は慢性的な疾病に悩む人を持つ世帯でした。

 プロジェクト実施に際し、当初は1つの集落で女性事業参加者への支援が許されませんでしたが、JENのスタッフが地域の慣習や規範を尊重することで、最終的にこの集落においても、女性の研修参加が可能になりました。

【年長者への物資配布の様子】
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【障がいを抱えた人々への物資配布の様子】
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【JEN職員が女性事業参加者に対して家庭菜園の研修を行っている様子】
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【農業省職員が、男性事業参加者に対して耕作技術に関する講義をしている様子】
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6月 16, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年6月 9日 (木)

家畜市場調査

 JENの家畜事業の一つは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区で、アカイ牛を弱い立場にいる地域の人びとに供給することです。

 アカイ牛は、ハイバル・パフトゥンハー州の州直轄部族地域(PATA)であるディル、チトラル、スワット、マラカンド地区、アフガニスタン国境沿い、そしてパンジャーブ州北西部の丘陵地帯に生息している小さな牛です。ミルクがよく取れるのですが、他の牛に比べてエサが少なくてすみ、丘の上などの厳しい環境でも育てやすいため、ハイバル・パフトゥンハー州全体で飼育可能です。

 JENは市場での可能性と適切な売値を検討することを目的に、ペシャワール(州都)とマーダン周辺の家畜市場を訪れました。

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 街から30kmほど離れたペシャワール・サーバンドの家畜市場はとても大きく、沢山の人びとがペシャワールやその周辺地域のチャルサダ、スワディ、コハットから家畜を連れてきていました。また、マーダン地区ラスタンにあるラシャカイ家畜市場も訪れました。

 市場で扱われている家畜は、牛、バッファロー、羊、ヤギなどで、アカイ牛は数頭しか見つかりませんでした。アカイ牛の市場は大きくはないとのことでした。

 しかし同日、マーダンでアカイ牛を飼育する農家を個別訪問し、地区内の一部の地域で多くの人々がアカイ牛を飼っていることが分かりました。彼らと、牛の年齢・大きさ・牛乳の生産量とその金額について話し合った結果、需要が生じた際JEN と連絡を取ることになりました。

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6月 9, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年5月19日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区での平和に向けた動き

 2016年5月3日時点で、登録されていない40,094世帯を含む合計112,022世帯がハイバル管区に戻って来ました。ティラ・バレーにいる少数の人たちやシェルヘル部族以外の、ハイバル管区のほとんど全ての部族が帰還しました。

 この地域では長い間混乱が続いたので、道路や病院や学校、役所の建物や住民の家などほとんどのインフラが全壊または半壊してしまいました。そして大部分の家族が生計手段を失いました。土地は荒れ果て、家畜は死んでしまったか、山に逃げて野生化し、店や市場は激しく破壊されました。

 このような地域に戻り、人びとは再び困難に直面しています。でも、彼らは生まれ故郷に帰って来たので、希望に満ちています。長年住み慣れた村に戻ってホッとし、暮らしを立て直そうと農業や畜産の分野で奮闘しています。

 このような帰還民を支援するため、政府だけでなく多くの国内や国外の支援組織が駆けつけています。JENをはじめとするいくつかの支援組織はFATA(連邦直轄部族地域)の事務局に事業開始届を提出し、まもなく活動を始めようとしています。これらの組織は住民保護、教育、非食料品、健康、水衛生、栄養、食糧安保や生計手段等、それぞれ異なった分野で活動しています。

 政府や人道支援組織の支援を受け、ハイバル管区の人びとは以前の普通の生活を取り戻そうという意欲にあふれています。彼らの生活再建のための努力がやがてハイバル管区に持続的な平和をもたらすだろうと信じています。

【被害を受けた家】
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【修復された畑】
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【灌漑設備】
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【農機具を受け取る人びと】
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5月 19, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年4月28日 (木)

2016年―FATAへの帰還の年

 最近南ワジリスタン管区に帰還した国内避難民は600世帯で、2016年4月11日に始まりました。

 南ワジリスタン管区はパキスタン北西部のFATA(連邦直轄部族地域)と呼ばれる地域に属します。今回の帰還以前に、既に9.865世帯が南ワジリスタンに帰還しましたが、現在もなお55,090世帯が同管区外の避難先で帰還の日を待っています。

 パキスタン政府及び人道コミュニティは2016年を帰還の年と位置付けており、南ワジリスタン管区を含むハイバル・パフトゥンハー州及びFATAに避難している全世帯の約95%(168,970世帯)の帰還を計画しています。

 政府と人道コミュニティは、避難民の人々が帰還の際に必要な諸手続きを行える帰還ポイントを設置しました。そこで各帰還民世帯は帰還斡旋カード、携帯電話のSIMカード、ATMカードと、政府支給の交通費として10,000パキスタンルピー(約10,600円)と帰還資金25,000パキスタンルピー(約26,600円)を受け取ります。手続きを待つ人々のために、男性用、女性用に分かれた適切な待合所も設置されました。

 同エリアで活動するNGOは水衛生サービスや権利・制度に関する情報提供、地雷回避教育、車椅子や尊厳回復キットの提供を行っています。医師や女性技師、基本的な医薬品や救急車も利用可能となっています。5月中旬までに、10,000世帯に上る避難民が南ワジリスタン管区に帰還する予定です。南ワジリスタン管区への帰還が完了した後には、オラクザイ管区やクラム管区への避難民の帰還が予定されています。
 
 JENは政府や人道コミュニティによるこれらの活動の補完的支援として、南ワジリスタン管区で帰還民を対象とした支援プロジェクトを実施していく予定です。具体的には、1,850世帯の帰還民を対象に、農地開拓/再生/整地、トウモロコシや野菜の種、農具キットの配布、農業・家庭菜園研修の支援を計画しています。

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4月 28, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年4月21日 (木)

FATA(連邦直轄部族地域)における深刻な食糧不足とJENの取り組み

 FATAでは、10年にも及ぶ紛争により、大規模な住民の避難が発生しました。そして、ようやく帰還が始まったものの、深刻な食料不足が続いています。

 この地域の食糧確保状況を判断するために、2015年末、JENはFATAに関する入手可能なあらゆるデータと関連要素の分析を行いました。その結果、現在FATAが以下のような状況にあることが示されました。

 FATAは、連邦政府の支配下にある7つの地域と6つの国境地帯からなり、総人口は約460万人です。
 その中で1つの地域(クラム)と4つの国境地帯(バンヌー、ペシャワール、コハート、ラッキ・マルワット)は、やや食糧不足でストレスを感じる状況にあると言えます。
 4つの地域(オラクザイ、ハイバル、モーマンド、バジョール)と1つの国境地帯(タンク)は食糧不足やストレスが多い状況にあると言えます。
 南部の2つの地域(北ワジリスタンと南ワジリスタン)は深刻な食糧不足や危機的な緊急状態にあると分類できます。

 そこで、JENはFATAで農業分野での活動を始めました。農業や畜産はFATAの住民の主要な収入源であるからです。

 JENは緊急支援の必要性がある約3,100世帯を農業分野で支援しています。
 また、畜産分野で3か年開発計画も開始しました。帰還民たちの経済状況を回復・改善するために、畜産の近代的な技術、研修、資材を提供します。

 私たちの支援がFATAの人びとの食料確保状況の改善に役立つことを期待しています。


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4月 21, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年3月10日 (木)

家畜管理委員会、持続可能性のある家畜保護の手法

 2014年6月に始まった紛争により、数百万人もの人たちが連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン管区から避難を余儀なくされました。避難民となった人たちは、生活費を賄うために所有していた家畜を最低の取引価格で売らざるをえませんでした。また、売らなかった家畜の多くも、十分な食料が与えられず、満足のいく飼育ができないことから、病気にかかり弱ってしまいました。

 このような状況で、JENは国連の食糧管理クラスターの一員として、短期的には家畜を失うのを回避すること、長期的には避難民の食糧を確保することを目的に、家畜保護事業を開始し、1,000世帯を対象に予防接種や害虫駆除、家畜用シェルターの設置、家畜管理教育を行いました。

 JENが撤退した後も活動を継続させるため、家畜管理委員会が設置されました。全部で5つある各委員会は、JENの家畜育成の専門家による10日間の研修を受けた避難民によって構成される家畜育成委員20人、村の代表6人、畜産局及び民間セクターから各1人で構成されています。

 この一環で、畜産局はJENが支援している地域において家畜育成研修を開催し、無料の予防接種及び害虫駆除を行いました。JENスタッフや家畜育成委員も参加したこの会にて、約125頭の小型家畜が腸毒血症の予防接種を、20頭の大型家畜が害虫駆除を受けました。また、畜産局の代表と避難民との間で、家畜管理の改善に関し意見交換を行いました。

 JENは事業終了とともにこの地域から撤退しましたが、避難民の皆さまが畜産局との協力関係のもと、家畜育成委員会の活動を続けていけることを願っております。

【家畜管理委員会との会合の様子】
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【JENスタッフが家畜育成委員に研修をしている様子】
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【農業畜産局による予防接種の様子】
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3月 10, 2016 国内避難民支援生計回復事業 |

2016年2月25日 (木)

ハイバル管区での帰還民への農業支援

 パキスタンでは政府軍による反政府武装勢力掃討作戦展開などにによって多くの国内避難民が発生しています。ハイバル・パフトゥンハー州と連邦直轄部族地域(FATA)出身の数百万人の人びとが、避難民として登録されています。

 現在、180,570世帯がハイバル・パフトゥンハー州とFATA から避難しており、そのうち179,199世帯は受け入れコミュニティーで、1,371世帯は3つの国内避難民キャンプで生活しています。

 一方で、FATAのハイバル管区はこれまでに73,673世帯が帰還し、最も帰還した家族数が多い地区です。この地域の人たちは農業生産者や商売人としてよく知られています。しかし、5~6年の間、故郷から避難生活を送る間に、農業生産も商売も、全面的に打撃を受けてしまいました。

 帰還を支援し、各世帯で入手できる食糧を増加させるために、JENはパキスタン人道支援基金(PHPF)、FATAの農務省や地元のNGOと協力し、1,250世帯に有機麦の種(穀物)、有機野菜の種、農業器具キットを提供する他、男女双方の事業参加者を対象とした研修を行いました。農務省は彼らのために農地を再生させて用意しました。

 事業の参加者たちは苗を栽培し、豊作になることを待ち望んでいます。この苗が実りに変わった時、彼ら自身の食糧となるだけではなく、次の季節の作物の種にもなるのです。

 プロジェクトで期待される成果の一つとして、農業従事者たちと農務省が強力な関係を築くことがあげられます。JENが事業地から撤退した後も、双方は連絡を取り続け、被災した農業従事者たちは引き続き食料を得ることができる予定です。

【プロジェクトでは障がい者や高齢者が優先的に支援されます】
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【JENにとって、地元のNGOとの連携は初めての試みです】
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【この事業において、菜園は入手可能な食糧を増加させるための重要な源です】
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2月 25, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年2月12日 (金)

ハイバル管区における家畜育成プロジェクト

 JENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本の外務省の支援のもと、1年間の家畜育成プロジェクトに取り組むこととなりました。

 このプロジェクトは、計画策定の段階から連邦直轄部族地域事務局内の復興局や家畜局を含む重要関係者と連携し、帰還民に家畜を提供することで、この地区の経済再生を支援することを目的としています。

 このプロジェクトはまず1年間の実施となりますが、2年後以降の継続を見越して、短期から長期に渡るまで様々な効果を企図しています。

 まず、牛や山羊に補助食糧を提供したり、予防接種や駆虫処置を行ったり、脆弱な立場にある家族に家畜を補充したりすることえで、短期的及び中期的な効果を上げることが予定されています。

 さらに、人工授精、飼料栽培や家畜飼育方法など、家畜管理に関する能力の強化を行い、長期的な効果をめざします。

 研修の対象者である若年層には、市場との連携を構築し、搾乳量が増えた牛や山羊の乳で乳製品を作って売るなど、生計回復の足掛かりを作ることが期待されています。

 また、JENのプロジェクト終了後も効果を維持するため、生計回復委員会が組織されることとなっています。

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2月 12, 2016 生計回復事業帰還民支援 |

2016年1月28日 (木)

自立した未来のために

 40歳のヌールさんは、パキスタンの連邦直轄部族地域の北ワジリスタン管区出身です。同管区で続く紛争から逃れるため、ヌールさんは5人の息子と4人の娘を含む家族皆で、バンヌー地方にある、政府の建設したバカ・ヘル避難民キャンプへと移住しました。

 現在は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に避難民として登録されています。北ワジリスタン管区にいた時は労働者として生計を立てていたヌールさんでしたが、避難生活が始まってからは、これまでにないほど生活が苦しくなり、WFP(国際連合食糧計画)やその他の団体の支援だけで生活していました。

 JENが同キャンプ内で始めた家畜を通した生計回復事業で、ヌールさんは支援を受けることになり、家畜の栄養状態を改善する飼料や、悪天候から家畜を守るシェルターキットを受けとりました。

 3か月後、ヌールさんはバカ・ヘルキャンプの入り口でミルクティーや卵、キャンディなどを売る商売を始めました。キャンプの入り口付近に位置するヌールさんのお店は、人々の憩いの場となっています。人々はミルクティーを片手に集まり、自らが抱える問題や解決方法について話し合ったりします。

 ミルクティーに使うミルクは、ヌールさんの牛から搾乳されたもので、その売り上げは月に8,500円程度です。それはヌールさん一家の生計を支えるのに十分とは言えません。

 自立した生活を目指し、ヌールさんは今後バンヌー地方の市場へと事業を広げていく予定です。

【駐車場の傍にあるヌールさんのお店】
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【ヌールさん(中央)、JENスタッフとお客さん】
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1月 28, 2016 支援物資配布国内避難民支援生計回復事業 |

2015年12月24日 (木)

グル・ナワズさんの話

 グル・ナワズさんは連邦直轄部族地域のカイバル管区に住んでおり、5エーカーの農地を所有していました。農業で生計をたてていましたが、紛争から逃れるため自分の村を離れました。

 6年が経ち自分の村に戻った時には、長い間耕作が行われていなかったために土地は荒廃していました。そこで彼は、農業の促進のために様々なサービスを提供している農業サービスセンターを利用し、自分の土地の再生を始めました。これまでに3エーカーの土地を再生させています。

 土地の再生は果たしたものの、農具を失い、作物の種も買うことができなかったグルさん。カイバル管区には同じような農民の方が多くいたので、JENは9月からこの場所で農具キットや種の提供支援を行っています。

 支援対象者としての登録手続きの間、グル・ナワズさんは伝えられた通りに道具を受け取れるか不安だったそうです。しかしその不安は、農具キットと種の袋を受け取った時に消えました。

 彼は再生した1エーカーの土地に小麦の種をまきました。既に順調に発芽が始まっており、家族とともに喜んでいます。「受け取った種の質は申し分ないので、大きな実りがあることを願っている」と話します。

 地域の人びとは、地域の平和と安定が続き、再び穏やかに暮らせることを願っています。グル・ナワズさんは長い間自分の家と土地から離れて暮らしていたので、もう同じことはしたくないと話します。

 彼のような帰還民の再定住ができるだけスムーズに行われるように、JENは支援を続けていきます。
【JENスタッフと話すグル・ナワズさん】
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【畑を見つめるグル・ナワズさん】
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12月 24, 2015 支援物資配布生計回復事業帰還民支援 |

2015年11月26日 (木)

農業用具キットの配布

 現在、JENは、パキスタン北部の連邦直轄部族地域(FATA)のカイバル管区において、1,150の帰還民家族への支援を行っています。ここでの活動は、現地NGOのSDO (State Development Organization)とパートナーシップを組み、協同して行っています。

 このプロジェクトでは、これまでに1,000世帯の方々へ農業用具キットの配布を行いました。そのうち約23%に当たる、229世帯は女性が世帯主です。 

農業用具キットの配布の際には、その女性達への配慮も欠かせません。女性への配布は、女性スタッフから家庭菜園キットをお渡ししました。 また、家庭菜園の技術訓練の際にも、パキスタンにおける女性の識字率の低さを考慮して使用する冊子などはビジュアル中心のデザインとなっています。

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1,000世帯の中で150人がポリオ(小児麻痺)、精神疾患、聴覚の損傷、腕や脚を切断するなど、障がいを持つ方々でした。障がいを持つ方々も自ら配布場所を訪れ、キットを受け取り、訓練を受講されました。

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年配の方々も多く配布場所を訪れました。

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 私たちJENはこの事業によって、様々な状況に置かれている現地の人々が農業を通じて生計の回復ができるようにサポートしていきます。


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11月 26, 2015 支援物資配布生計回復事業 |

2015年10月22日 (木)

意識向上バナーの設置

 JENが行うハイバル・パフトゥンハー州バンヌー地方での国内避難民プロジェクトの中で、現地の人びとの家畜管理に対する意識を向上させることは、とても重要な要素です。
 そのために、JENは絵とメッセージがかかれたバナー(横断幕)を使うこととし、これらのバナーを市場、地域の集会所、動物病院、店舗などが集まる公共の場に設置しています。

 バナーには、現地の人たちに働きかける、家畜管理に関するメッセージがいくつか書かれています。たとえば、家畜の健康状態の改善、ワクチンや薬の使用、生産性の向上、所得創出、衛生環境、家畜の繁殖促進などのメッセージです。JENはこれらのバナーを、対象地域内から15ヶ所を選び、設置しました。

【設置の様子】
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 JENは、このバナーを人びとが見ることで、家畜管理技術に対する意識が高まるよう願っています。そして、これらのメッセージが、現地の人びとの損失を最小限にし、家畜生産の増加によって食糧が確保されることを期待しています。

【いろいろなバナー】
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10月 22, 2015 国内避難民支援生計回復事業 |

2015年10月 8日 (木)

村の長老たち

 村の長老たちは、ハイバル・パフトゥンハー州のバンヌー地方で現在JENが進めている国内避難民のための家畜保護プロジェクトの中で、重要な役割を担っています。
 彼らはJENが作った家畜管理委員会のメンバーです。他に畜産指導員や州畜産局のスタッフ、民間の獣医がメンバーとして入っています。

 畜産指導員や現地の人々の主な仕事は、JENが支給した家畜用の餌やシェルターや応急処置キットなどを十分に活用することと、畜産局との連絡調整を行うことです。長老たちの影響力を期待して、JENは彼らに、畜産指導員と現地の人々の業務をチェックする仕事を依頼しました。

 グラム氏は、家畜管理委員会のメンバーとして働いている長老の1人です。彼は昨年6月に故郷の北ワジリスタン管区から国内避難をして、現在はJENが活動している地域で家族と一緒に小さな借家に住んでいます。彼自身も牛を2頭と山羊を2匹飼っています。

 グラム氏は畜産指導員の仕事をチェックします。畜産指導員が行っている活動に関して、コミュニティからのフィードバックを取り、もし畜産指導員が十分に仕事をしていないと感じたら、彼らにやる気を起こさせたり、畜産指導員としての役割を再確認させたりします。

 そのような仕事を円滑に行うことも、村の長老が担う大きな役割の一つになっています。

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10月 8, 2015 国内避難民支援生計回復事業 |

2015年9月10日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区の帰還民への農業支援

 JENは2011年から連邦直轄部族地域(FATA)及びハイバル・パフトゥンハー州で様々な緊急事態の被災者支援を実施してきました。支援の分野は多岐にわたり、シェルターや物資(食料品を除く)の配布、水衛生、食糧安全等10,000世帯を超える人々の支援をしてまいりました。

 最近、連邦直轄部族地域(FATA)カイバル管区の帰還民に向けての農業支援を開始しました。カイバル管区の人々は、政府による反政府武装勢力掃討作戦の被害から逃れるために一時的に国内で避難していましたが、6年が経って状況が落ち着くにつれ、帰還を始めました。
(現在54,599の家族が同管区に戻りましたが、32,217の家族は依然故郷を離れたままです。出典:UNOCHA)

 今回の事業では、1,150の帰還家族を農業支援の対象とする予定です。これらの家族に農業用具キットと農業用及び家庭菜園用の種子を配布します。

 このプロジェクトの目的は、帰還家族が生計を回復し、各世帯ごとに食糧を確保できるよう支援することです。このプロジェクトでは女性も平等に対象者となります。

 女性には野菜の種や農業用ツールの他、家庭で野菜作りを始めるための研修を実施します。それにより彼女たちが栄養豊かな食糧を得て健康になる手助けをします。

 家族の稼ぎ手の男性には種子50kgと農業用具を支給し、農業指導者や畜産局による研修を実施して、生計回復を支援します。

 プロジェクトの最終目標は帰還家族の食糧安全保障を改善し、かれらがこれからもずっと故郷に住むことができるようにすることです。


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9月 10, 2015 支援物資配布生計回復事業帰還民支援 |

2015年8月27日 (木)

家畜支援を通しての生計回復

 連邦直轄部族地域(FATA)の北ワジリスタン管区出身で42歳のパヨ・ザマンさんには、妻、2人の息子、2人の娘がいます。パヨさん一家は、2014年5月の政府軍による反政府武装勢力の掃討作戦の影響で、故郷の北ワジリスタン管区から一時避難を強いられました。

 一家が避難先のハイバル・パフトゥンハー州のバンヌー県に着くと、政府と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員によって一時避難民として登録されました。そして、連れてきた5頭の牛とともに、同県グリワラ地区ナル・ナジブ村の小学校敷地内に建てられたシェルターで暮らし始めました。

 連れてきた牛たちは、飼料不足のために健康状態が日に日に悪くなっていきました。家畜用シェルターがなかったので外で飼っていましたが、猛暑のため健康状態はさらに悪くなりました。彼の家族も避難生活による苦しみから精神状態を悪くしていきました。彼らの収入源は家畜しか残されていませんでしたが、残念なことに、飼料などが十分でなかったためミルクがあまり出なくなってしまいました。

 2015年5月、パヨさんが牛を売ろうと考えていた頃に、JENのチームが一家のもとを訪れ、一家を家畜の飼料とシェルターキットの配布対象世帯として登録しました。そして、JENの獣医チームがパヨさんたちの牛に駆虫薬を与え、予防接種をしました。さらに、パヨさんはJENの家畜専門家から家畜の管理に関する研修を受けました。

【家畜用シェルター】
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 JENが配布した家畜支援パッケージの利用で、パヨさんの牛の健康状態は改善し、数か月後にはミルクが1日8リットルまで出るようになりました。それにともなってパヨさんとその家族は元気になり、生きる意欲が出てきました。

 現在、彼は市場の近くで作業員として働き始め、1日4リットルのミルクをその市場で売って約280ルピーの収入を得ています。そして、家族は残ったミルクでラッシーやヨーグルトやバターを家庭用に作っています。妻と子どもたちは、故郷を離れた辛さを和らげてくれた牛たちをとてもよく世話しています。

【パヨさんの息子と牛】
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 パヨさん一家の経済状況は今もよいとは言えませんが、JENの支援は確実に彼らの収入増へとつながっています。





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8月 27, 2015 国内避難民支援生計回復事業 |

2015年7月 2日 (木)

物資配布の準備を行っています

 JENは今年、バンヌー県内Ghoriwala地区の国内避難民500世帯が食糧を安定して確保できるよう、家畜保護事業を行っています。その一環として、家畜飼料と家畜用シェルター資材の配布をします。

 配布は3回にわけて行われる予定で、1回目は7月6日です。
 最初は200世帯、2回目は145世帯、3回目は155世帯を対象に、物資が配られます。

 第1回目の物資配布場所は、国連機関である世界食糧計画(WFP)の物流セターです。WFPの職員に事前に連絡を取って場所の提供を依頼し、許可を得ることができました。2回目と3回目は同地区内の別の場所にある、動物病院の敷地内で行われます。

 配布の事前準備には、余念がありません。まず、物資の仕入れ先にはかなり前に注文を入れ、配布までに確実に物資が揃うようにしました。その甲斐あって、配布日の前日にトラックで物資を運びこむ手はずが整っています。

 また、当日の配布がスムーズに進むように、人々の整列場所と方法、日陰の確保、トイレ環境の確認も行っています。女性、老人、身体に障がいのある人々は優先的に配布を受けることができます。そして、安全のために警察官を会場に配置します。

 現在は、配布2日前に配られる「引換券」の作成を進めています。引換券には物資の受け取り日・時間・場所・受取人の名前・父親の名前・ID番号が書かれ、最後にJENスタッフのサインが記されます。

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 会場では、人々がどのようなものを受け取るのかがしっかり理解できるように、配布物資リストを掲示します。また、不満がある時にはすぐにJENに連絡がとれるよう、シニアスタッフの電話番号も掲示します。

 このように、事前準備を入念にしてきたJENスタッフです。ラマダンの真最中、暑い中で行われる今回の配布ですが、手順どおりスムーズに実施されることを祈っています!


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7月 2, 2015 支援物資配布国内避難民支援生計回復事業 |

2015年5月21日 (木)

バンヌー県のスポーツ祭

 バンヌー県でスポーツ祭が開催されました。これは若い世代のスポーツの才能を伸ばすため、県政府と軍隊によって毎年行われているものです。毎年のイベントですが、今年は例年と違うことがひとつ。それは、国内避難民やホストコミュニティの人々の参加も積極的に推奨されたことです。

 5月の12日から14日に行われたお祭りには、遠方からもやる気とスポーツマン精神に満ちあふれた選手たちがやってきました。クリケットに綱引き、バレーボールなど、様々な屋内・屋外スポーツで熱い試合が行われました。

 人道支援団体も地方災害管理局からの招待を受け、それぞれがバンヌー地方で行っている活動について紹介をするブースが設置されました。JENも現在行っている家畜保護の活動についてパンフレットを配るなどし、多くの参加者に活動を紹介することができました。
 JENの技術チームが家畜の世話の仕方など基本的なことを説明した時には、参加者は熱心に聞き入り、多くの質問をしていました。

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イベントの最後には、JENのバンヌー県における活動と貢献が称えられ、盾を頂きました!



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5月 21, 2015 生計回復事業 |

2015年5月 7日 (木)

バンヌー県の皮革製品センター

 皮革製品センターは、バンヌーにあるハイバル・パフトゥンハー州(KP州)小企業開発委員会の事業の一つで、州内の未開発地域の住民に対して職業訓練などを行っている、準行政施設です。

 1984年に設立され、1988年から1999年の間には商業施設となりました。
 しかし2000年、16年に渡る長い赤字経営を打開するため、KP州小企業開発委員会が、半ば強制的にKP州の州都、ペシャワールに移設し、経営の舵を取って代わりました。
 2003年には当時の小企業開発省大臣によって現在の所在地であるバンヌー県に移設され、職業訓練兼商業施設となりました。

 現在では、FATA(=連邦直轄部族地域)の学生が一度に50人、半年間皮革製品の生産・取り扱い方法を学び、皮革製品取扱者の資格を得ています。このプログラムを終えることで住民たちは自活する力を得ることができるのです。現在の皮革製品センターは順調に運営されており、安定した利益を生み出しています。

 
 製品の材料となる革は、カラチ、ラホール、ペシャワールから取り寄せられています。作られる製品は紳士用鞄やベルト、婦人用バッグ、キーチェーン、ノートパソコンケース、更にはファイルバッグやブリーフケースなど様々ですが、そのほとんどはセンター内のショールームや地元のマーケットで販売されています。交通アクセスが十分でないことから、国内でも遠く離れた地域での販売は難しいのです。
 KP州小企業開発委員会から事前の承認を受けた場合に限り、バンヌー地方外でも販売されることがあります。

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 現在ではペシャワールの小企業開発委員会の承認の元、14人のスタッフが同センター内で働いています。

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 以前は電力の不足により生産工程が中断されることがありましたが、200キロボルトの変圧器を導入した今では、その問題も過去のものとなりました。

 このような産業の支援と職業訓練が、人々の生活の発展に欠かせないことは言うまでもありません。政府組織だけに限らず、NGO団体でもこのような活動をサポートしていくことが大切だと思います。



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5月 7, 2015 国内避難民支援生計回復事業 |

2015年2月12日 (木)

より脆弱な避難民世帯への支援

 カナ・ミールさんは、北ワジリスタンでの政府の対武装勢力軍事作戦を逃れ、バンヌー地方へ避難したお年寄りです。彼は息子3人と娘2人の父親ですが、息子の2人は子どもの頃にポリオに感染し、障がいが残っています。3人目の息子は地元の市場で日雇い労働をしています。

 カナさんはレストランで警備員として働き、月に8000パキスタンルピー稼いでいます。これ以外に国連の世界食糧計画から毎月食料支援を受けています。さらに、彼の家族は政府や他の人道支援団体からも支援を受けています。
カナさんは元々生計手段として家畜を飼っており、北ワジリスタンから避難する際、どうにか羊58匹と牛10頭を何とか連れ出しました。しかし避難生活の混乱の中で、羊15匹と牛10頭を失ってしまいました。

 JENがバンヌーで実施している国内避難民の家畜保護支援では、カナさんのようなお年寄りや、病気や障がいをもつ家族のいる世帯など、より困難な状況にいる人々を優先的に支援対象としています。カナさんはJENの家畜保護支援の対象となり、飼料やシェルター資材などの家畜飼育物資を受け取りました。カナさんはそれらを使い、家畜に栄養価の高い飼料を与え、家畜小屋の補強をしました。また、JENの獣医チームはカナさんの家畜へのワクチン接種も実施しました。

 物資配布後のJENによるモニタリングの際、カナさんは、家畜飼育物資の配布は家畜の健康状態、栄養状態改善の点などで非常に役立った、と話してくれました。配布した飼料や物資を活用した結果、彼の家畜は健康を取り戻し、8リットルも多くミルクが取れるようになったそうです。このため、カナさんの家族全員が食糧を十分に確保できるようになってきた、とのことでした。

【JENスタッフとカナさん一家】
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2月 12, 2015 支援物資配布国内避難民支援生計回復事業 |

2014年8月21日 (木)

ヤギ配布による生計支援のその後

 デラ・イスマイル・カーン県において実施していた山羊配布による生計回復支援は、2014年2月に無事完了しました。終了から半年がたち、今月、外部のコンサルタントが支援後の状況をモニタリングすることになりました。これはJENにとっても、プロジェクトの成功度合いを測る良い機会となりました。

 モニタリングでは、支援の対象となった人々とインタビューやグループディスカッションを行い、また畜産局や地域当局の関係者とのミーティングを行いました。JENパキスタンチームとコンサルタントチームはパロア郡の現場を訪れ、支援内容について、対象となった避難民の方々と詳しく話し合いました。
 
 うれしいことに、避難民の方々は、プロジェクト実施中に伝えられた家畜管理についての技術や知識を、忘れずに覚えていました。

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 モニタリング中、避難民の人たちは配布されたヤギを連れてきました。彼らによると、ヤギは今も毎日1.5~2.5リットルのミルクを出すとのことです。プロジェクト実施中はまだ小さかった仔ヤギたちは、今では母ヤギと同じくらいの大きさに育っていました。

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 避難民の方々は、乳や乳製品を外部から買わなくてもすむので、貯金ができていると教えてくれました。さらに、母ヤギの他に2~3頭の子ヤギがいるので、例えば医療費などのために緊急でお金が必要になった時にも、子ヤギを売って現金をすぐに用意できるとのことです。

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 対象コミュニティとの会合の後は、畜産局担当者や、デラ・イスマイル・カーン県副長官にも会いました。彼らは今回の支援活動について、高く評価していると話しました。副長官は、支援の際に現地の政府とこまめに調整したことについても、評価してくださっていました。

 デラ・イスマイル・カーン県での支援プロジェクトが完了した後、対象となった避難民の方々が伝えられた知識・技術を実践し続けてくれるかどうかが、JENにとって一番の関心事となっていました。今回のモニタリングでは、その点について、支援の成果がねらい通り持続していることが確認できました。

 知識や技術が身に付くことは、避難民の方々へ単純に資産(もの)を提供することよりも、自立のために非常に重要なことであるとJENでは考えています。JENパキスタンチームは、支援の成果が現段階で持続していることを、うれしく思っています。

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【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

8月 21, 2014 国内避難民支援生計回復事業 |

2014年3月 6日 (木)

ミルク&雄山羊フェア

 ジェンは先日、デラ・イスマイル・カーンで行なっている国内避難民生計回復支援の一環として「ミルク&雄山羊フェア」を開催しました。

 このフェアでは、ジェンから生計手段として雄山羊、雌山羊を受け取った避難民の人々が、自分たちの山羊の質を競いました。雌山羊のミルクの量や、雄山羊の体重の重さを皆で比べて競争することで、よい事例を学び、山羊の管理を向上させていくことを目的としています。

 120名の国内避難民の方々が参加し、55名の避難民がミルクの量を競うため雌山羊を連れてきました。上位3位に入賞した雌山羊たちからは、それぞれ2300ml、2200ml、2140mlのミルクがとれました。

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 また、畜産指導員世帯の避難民17名は雄山羊の体重コンテストに参加し、上位3位以内の山羊の体重はそれぞれ72kg、71kg、69kgでした。入賞者はトロフィーや山羊の飼料といった賞品を授与されました。

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 別のブースではそれぞれ2頭、3頭、4頭の仔山羊を産んだ4頭の母山羊を紹介しました。もう1つのブースでは、県畜産局の担当者が避難民からの家畜管理に関する質問に答える場を設け、関連資料などを配布しました。
フェアには、畜産局担当者以外にも、民間の獣医、村の長老、そしてUNOCHAのデラ・イスマイル・カーン担当者も参加していました。これらの関係者たちから、ジェンは国内避難民の現在、及び今後の帰還へ向けた生計回復支援に対し感謝の言葉をいただきました。

 ※この活動は、支援者の皆さまおよび、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの協力をうけ実施しています。

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3月 6, 2014 国内避難民支援生計回復事業 |

2014年1月 9日 (木)

支援成功の鍵、生計回復委員会

 生計回復委員会の設立は、パキスタンのデラ・イスマイル・カーンにおける国内避難民の生計回復支援事業の中でも重要な位置づけとなっています。

 生計回復委員会の主な目的は、コミュニティレベルのプラットフォームとして、事業の対象となる避難民の方々が事業活動を理解し、主体的に動けるよう働きかけることです。また、事業目的である生計の回復を事業終了後も持続させていくことも、大事な役目の一つです。
生計回復委員会の主なメンバーは避難民の中から選定される畜産指導員、事業対象地域の長老、県畜産局の職員となっています。

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 ジェンは2013年の活動において、2つの生計回復委員会を設立し、56名のメンバーを育成しました。コミュニティレベルで地元出身のこれらのメンバーが動いてくれることが、事業の目的達成に繋がります。

 この委員会は地元民でも異なる立場の人たちで構成されているため、支援対象コミュニティが直面する問題をジェンが解決する際、それぞれの特性を活かしサポートをしてくれます。
 
 また、委員会のメンバーは、山羊配布に必要な会場を手配したり、家畜管理の知識を広範囲に散らばって暮らす避難民に広めたりと、事業の促進にも非常に協力的です。 委員会メンバーの一員である畜産局職員は、電話で連絡を取れば、村を訪問して避難民の山羊の治療に当たることができます。また、同じく委員会メンバーの長老たちは、畜産指導員が担当している避難民の山羊の状態を定期的にチェックしているかどうか見守ってくれます。

 生計回復委員会は、ジェンが対象地域から撤退した後もコミュニティに残り、家畜管理に関する意識の向上、交配サービスの提供、山羊の傷病への対応などを通し、避難民の生計を支えていくプラットフォームになるのです。


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 パキスタン事務所長 アズマット・アリ

※この国内避難民生計回復事業は、支援者の皆さまおよび、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの協力を受け実施しています。

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1月 9, 2014 国内避難民支援生計回復事業 |

2013年11月21日 (木)

山羊管理セッション

 ジェンは2011年以来、デラ・イスマイル・カーン県にて、南ワジリスタン管区出身の国内避難民を対象に生計復帰支援事業を行なっており、今期はその3年目に当たります。今年は、対象となる国内避難民の人々の家畜管理に関する知識と技術の向上をめざし、活動内容に山羊管理セッションという重要な活動が含まれています。

 今年支援の対象となる国内避難民は960世帯で、同セッションは県家畜局職員によって実施されます。各セッションに約25名参加するので、全部で40セッションが開催されます。なお、セッションの会場は地元で暮らす国内避難民の人々がボランティアで提供してくれています。

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 ジェンスタッフと研修担当者たちから見て、国内避難民たちは家畜管理セッションにとても強い関心を持っているようです。生計回復委員会(LRC:Livelihood Recovery Committee )の強い働きかけによって、避難民の人々はきちんとセッションに参加することができています。

 山羊管理セッションは実用的な内容となっていて、避難民の人々は山羊の管理方法、飼育環境、そして応急処置などのノウハウを学びます。セッションを受講することで、山羊の疾病率や死亡率を減らすことも期待できます。

 これまでと同様、ジェンは今年も避難民の中から畜産指導員を選び、10日間の山羊管理研修を行って育成を進めています。しかしながら今年は、畜産指導員へ依存しすぎないよう、このセッションを通して基本的な知識と技術を直接他の避難民の人々へ伝えるようにしています。
 
ジェンの家畜専門家や研修担当の家畜局職員たちは、避難民の人々が自分の力で適切に家畜を管理できるようになるため、最善を尽くしています。

 今年は昨年と比べ、より一層の効果が期待できそうです。



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11月 21, 2013 国内避難民支援生計回復事業 |

2013年10月24日 (木)

現地政府と国内避難民との連携促進

 現在の生計復帰支援が始まる前は、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民と現地政府機関である畜産局との間には、大きな溝がありました。特に、同県で家畜の管理について人々の意識を高めることに関し、きちんとした連携がありませんでした。

 JENが同県の国内避難民を対象に行っている生計復帰支援事業では、国内避難民を対象として、山羊管理について教えるセッションや研修を実施しています。JENはこれらのセッションや研修に、県畜産局の職員を巻き込む工夫をしてきました。また、本事業で国内避難民の人々が持続的な生計を取り戻すために設立する「生計回復委員会」に、畜産局獣医師にも参加してもらうようにしています。

 今年の生計復帰支援事業が始まってすぐに、JENは県家畜局との会議を開きました。会議では、本事業の活動における畜産局と国内避難民コミュニティの協同の可能性について、詳しく話し合いました。県畜産局の職員は、この活動に協力することを約束してくれました。

 畜産局から派遣された獣医師は、国内避難民に山羊を配布する前に実施される山羊管理セッションに参加してくれました。セッションでは、今後も国内避難民の人々が獣医師からアドバイスやサポートを受けられるよう、担当獣医師の連絡先が参加者間で共有されました。

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 国内避難民の中から選ばれ、山羊管理の指導役を担う畜産指導員を育成する研修では、県畜産局の職員がファシリテーターとして協力してくれました。

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 本事業でひとつ目の生計回復委員会が発足した際には、畜産局職員が2人、メンバーとして参加しました。もうひとつの生計回復委員会を発足する際も、同様に畜産局の指導員に参加してもらう予定です。

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 このように様々な方法によって、JENが支援対象としている地域では、畜産局と国内避難民が互いに歩み寄り、きちんと連携できるようになってきています。避難先で現地政府機関と協力しあうことは、JENの支援が終了した後も国内避難民が持続的な生計を維持していくために必要な要素なのです。

※この事業は、皆様おひとりおひとりからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームの協力によって実施しています。




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10月 24, 2013 国内避難民支援生計回復事業 |

2013年9月26日 (木)

より良い明日への希望

 今回はデラ・イスマイル・カーンにおける支援活動の対象者の一人であるワジール・ジャンさんに聞いたお話をご紹介します。ワジールさんは現在85歳で、息子2人と妻と一緒に暮らしています。

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「私の家族はこれまでとても貧しい環境で暮らしてきました。以前は住んでいた村の中で、家と小さな土地を所有しており、それを耕作地として使うための水も十分にありました。そのころは幸せな生活を送っていました。

 ところがある日近所のモスクで、パキスタン軍が反政府武装勢力掃討作戦を私の村で行う、ということが発表されました。避難するための交通費すらなかった私は、頭が真っ白になりました。避難する時、私は自分の家が空爆で破壊されるのを見ました。その瞬間、全ての希望と夢を失いました。避難先には徒歩で行かなくてはならなかったため、ほとんど何も持っていくことが出来ず、全ての財産を破壊された家の中に置き去りにせざるを得ませんでした。

 避難当初はデラ・イスマイル・カーンに移りましたが、避難所がなかったので近くのダラバン郡の親戚の元に身を寄せました。そこでは小さなテントでの絶望的な貧困生活が半年続きました。

 2010年8月には、猛暑の中突如大雨と嵐が始まり、私はテントを出て用水路の土手に避難しました。洪水は私の全ての荷物を流し、小屋は破壊され、避難当初の状態に戻ってしまいました。

 現在は草と木で出来た小さな小屋に住んでいます。非常に小さく、一家全員が入るのがやっとです。子ども達は幼く、まだ働くことが出来ないので、私のわずかな収入で一家を支えています。電気設備が無いため夏の猛暑の中での生活は過酷で、私は子どもたちと出来る限り橋の下で日差しを避けて過ごしています。冬は非常に寒く咳やインフルエンザに悩まされ、雨季には小屋が水漏れします。私は人生がこれほど辛いものになるとは思ってもみませんでした。

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 私は人道支援機関から援助や寄付を受けるために長い距離を頻繁に移動していましたが、唯一私の家を訪問し、生計復帰事業に登録してくれたのがジェンでした。私はジェンから収入を増やす手段として、ビートル種の山羊を受け取りました。これから全力で山羊を管理し、生計を回復し、生活状態を向上させることに尽くしていこうと思います。



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9月 26, 2013 国内避難民支援生計回復事業 |

2013年5月 9日 (木)

白熱する政治活動と、ヤギの市場調査

 最近のパキスタンでは、歴史的な総選挙を目前に控えているため、政治活動が大変活発に行われています。一般市民も選挙の動向に夢中で、あらゆる政党が市民集会、会合、総会を開催するなどしています。

 一方で、これらの政党が頻繁にテロの標的となっているという現実もあります。そのため、選挙が近づくにつれ国内の緊張が高まり、ジェンの支援活動の実施が困難になってきています。最近はパキスタンで活動するほとんどのNGOが、スタッフの業務を事務所内にとどめるなど、活動を制限するようにしています。

 このような状況の中、ジェンは今年の支援活動に非常に重要なヤギの市場調査をするために、パンジャブ州への訪問を計画していました。安全対策などを担当する現地スタッフは若干の懸念を示しつつも、訪問に賛成してくれました。

 市場調査を担当するスタッフ2名は出発前に、道路地図を受け取り、移動中や訪問中の安全対策に関してブリーフィングを受けました。指示の主な内容は、移動は日中のみとし、1時間おきにジェンのイスラマバード事務所長へ安否確認の連絡をすること、夜間は決められたホテルにとどまること、主要ルートが遮断された場合や、問題が生じた場合は代わりのルートを使用することなどでした。

 ジェンの現地スタッフ2名は、パンジャブ州のカネワル、ムルタン、アフメド・プル・シャルキ、バハワルプール、ムザファル・ガル、ヴィハリ、チョケアザムなどの地区を訪問しました。これらの地区で複数の牧場やヤギのお祭りを視察し、品種や価格をチェックしました。

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 ジェンは特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成により、デラ・イスマイル・カーンで今年も国内避難民への山羊の配布を予定しています。今回の調査はヤギ配布活動の重要な第一歩となるのです。

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 ジェン パキスタン事業家畜専門家 イブラヒム・ジャン

5月 9, 2013 生計回復事業 |

2013年1月31日 (木)

国内避難民に学ぶ、冬の山羊の育て方

 ジェンが活動するデラ・イスマイル・カーン県は平地であるため、冬が来ると寒さと霧が人々の生活に影響をもたらします。

 この地域の冬は短いのですが、寒さは厳しく、霧が出ると更に冷え込みます。他の季節に比べ、冬の間の山羊の飼育はきちんとした小屋の用意など、少し工夫が必要になります。日中の気温は問題無いのですが、夜間や霧がかかっている時は山羊が小屋の中で地面に排尿をするため、湿気がこもってしまうのです。どの動物にも言えることですが、山羊は特に湿気を嫌います。また、湿気は雑菌の増殖を促し、感染症の発症の危険を高めます。
 
 
 
 
 

 ジェンが支援しているデラ・イスマイル・カーンの国内避難民の人びとは、もともと寒い地方の出身であるため、冬の間の山羊の育て方をよく知っていました。ジェンの現地スタッフが行っている山羊配布後の世帯訪問では、国内避難民の人たちの経済的で興味深い山羊飼育方法を見せてもらうことができました。

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 以下は、実際に避難民の人たちが冬の間工夫していることの一例です。
・山羊を寒さや冷たい雨風から守れるような部屋/小屋を作って、一日一回は掃除をする
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・冷え込みの強い夜には、麦わらでつくった厚みのある柔らかいベッドを部屋/小屋の中に作ってやる

・保温のため、山羊 (特に仔山羊)に、ウール等のショールや、古着のセーターなどを着せる
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・特に寒い日は、できるだけ山羊を屋内にいれてあげたり、たき火で小屋を温めるなどして、温かさを保てるようにする

・冬の間は、貯めてある水の方が冷たいため、新鮮な水を山羊に与えるようにする

・日中はできる限り山羊を放牧して、十分に栄養を取らせるようにする
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 山羊は避難民にとってとても大切な財産です。皆きちんとケアをして、冬を乗り切ろうとしています。

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2/18、2/20 ニュージーランドワインのチャリティ試飲会を開催いたします!

東京会場
■日時:2013年2月18日(月)18:30 – 20:30(18:00開場)
■場所:ザ・リッツ・カールトンホテル東京 2階 グランドボールルーム

大阪会場
■日時:2013年2月20日(水)18:30 – 20:30(18:00開場)
■場所:ホテルモントレ大阪

お問い合わせ、お申込みは、こちら


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1月 31, 2013 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年12月27日 (木)

2011年畜産指導員とのミーティング

2011年の下半期、ジェンはデラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民の生計回復へ向けた支援を開始しました。この活動は2012年も継続されていますが、今回は前回記事に引き続き、2011年の支援のその後についてご報告します。

 

2011年には、国内避難民500家族に山羊が配布されました。このうち畜産指導員がいる20世帯にはオスの山羊が配布され、これらの指導員は10日間にわたる山羊管理研修を受けました。

畜産指導員はそれぞれが担当する24の国内避難民世帯へ、山羊管理に関する知識を広める役割を担います。また指導員は必要に応じて山羊の応急処置や予防接種、駆虫、交配の為のオス山羊貸し出しをする他、2011年内は担当する避難民の山羊の様子を定期的にジェン職員へ報告する義務を持っていました。同年の活動は、彼らがきちんと業務をこなしたことで成功し、2012年には2727世帯に規模を拡大して活動が継続されることになりました。

 

ジェンはその後年の経過を調べるために、当時の畜産指導員とのミーティングを行いました。畜産指導員たちはジェンの活動終了後も定期的に担当避難民世帯を訪問することになっており、それぞれが担当する世帯の山羊の状況や自分の活動について共有してくれました。その報告から、山羊のミルクや仔山羊が国内避難民の人々の生計回復に役立っていることが、しっかりと伝わってきました。

 

【ミーティングの様子】

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 2011年にジェンが支援を届けた国内避難民の人びとは、現在も山羊のミルクを自宅で消費したり、市場で売ったりして生活に役立てているとのことです。ミーティングでは、既に500世帯のうち約25%の世帯でメス山羊が二回目出産をしている事がわかりました。家族の病気の治療費など緊急の支出があり、仔山羊をすぐに売った人もいますが、ほとんどの避難民の人びとは成長して価値が上がるのを期待し、まだ仔山羊を売らずに育てているそうです。

 

【山羊の親子の健康状態をチェック】
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 ジェンは2013年以降も、これまでに支援を届けた避難民の方々の生計の回復状況を確認していく予定です。

 

12月 27, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年12月13日 (木)

2011年山羊配布のその後

 ジェンは2011年に山羊を配布した国内避難民のコミュニティに対し、支援による効果を見届けるため、調査を行いました。今回は、その際に聞くことができた一つの家庭のお話をご紹介します。

 ジェンが2011年の支援開始前にダワイダンさん(女性)の家庭を訪れた時、彼女は一人で娘2人の世話をしていました。
 出身地である南ワジリスタンにいた頃は、彼女は夫と娘二人の4人家族で暮らしていましたが、避難後は生計手段がなくなり、夫がカラチ(パキスタン南部の都市)に出稼ぎにいくことになったのです。ダワイダンさんがジェンから山羊を受け取ったあと、間もなくダワイダンさんの夫がカラチから帰り、一家は再び4人で暮らすことになりました。

 2012年に行った調査では、ダワイダンさんは次のように話してくれました。
「夫のカラチでの日雇労働の収入は非常に低く、以前は家族の必要最低限の食費をまかなうことも困難でしたが、受け取った山羊のミルクは家族全員で使用しても毎日余るほどでした。ですので、余ったミルク(約1.5リットル)を近所で販売し、毎日約122ルピー(約103円)の収入を得ることができるようになりました」

 その後、ダワイダンさんはミルク販売による収入を大切に貯め、その貯金でミシンを購入したそうです。もともと出身地では刺繍や縫物で生計を支えていたダワイダンさんは、そのミシンを使って近所の人の為に洋服を作り販売するようになりました。
 ダワイダンさんは「洋服は1着200ルピー(約170円)で売れます。今は1ヵ月に10着ほど売れるようになり、より家計が安定するようになりました」と語ってくれました。

(写真は、ダワイダンさんの娘2人と購入したミシン)
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12月 13, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年11月15日 (木)

県家畜局との連携

2010年、パキスタン政府はパハルプル郡のバンド・クライ地区に家畜研究所を立ち上げました。

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同局スタッフは、上級研究官3名、研究官7名と、所長代行1名で構成されています。この研究所は、JENが現在実施している国内避難民のための家畜配布による生計復帰支援事業の対象エリアに位置しています。
JENは県家畜局と調整しながらこの事業を実施していくことになっています。そのため、食糧安全保障分野で活動する機関が集まる会議(ワーキング・グループ)では、現在の活動の進捗や、今後の予定などを家畜局担当者に報告しています。

ヤギの検疫期間中、家畜局の担当者は技術提供の為に定期的にJENの倉庫を訪れます。これらの担当者はJENのスタッフがヤギに風土病予防のワクチン接種を行う際に、手助けをしてくれます。ヤギの検疫期間が無事に終わると、家畜局はヤギの配布前準備が完了したことを証明する「健康優良証明書」をJENに発行しています。

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畜産局担当者の一人は、JENが国内避難民のなかから選定した畜産指導員に実施する山羊管理研修(10日間)の中で、2日間のセッションを担当しています。彼は、実演を交えた実践的な方法でヤギの風土病とその防ぎ方について教えています。JENの獣医アシスタントは、家畜研究所の上級研究官と調整しながら山羊を受け取った避難民の世帯を訪問し、ヤギの扱い方などに関し、繰り返しアドバイスを行っていきます。

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家畜局担当者は、国内避難民のための山羊配布を通した生業復帰事業へのJENの真摯な取り組み、とりわけ検疫期間中の徹底した健康管理を高く評価してくれています。家畜局は、JENの事業地域において生産性の高いビータル種の山羊を配布することが、同エリアの山羊の品種改良に繋がるとも考えています。

11月 15, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年10月18日 (木)

山羊配布のその後

 ジェンは、ハイバル・パフトゥンハー州デラ・イスマイル・カーン県のバンド・クライ地区に避難している方々を対象に、山羊を配布して生計の回復を支援する活動を行っています。

 これまでに活動の約7割が完了しました。9月下旬にジェンの現地スタッフは山羊の配布が完了したコミュニティを訪れ、ジェンやその活動についての意見を聞く為、支援対象者の避難民の方々とミーティングの場をもちました。

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 その中で聞くことができたお話をいくつか紹介します。

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 避難民の一人であるアブドゥル・ガニさんは、他の避難民と同様に、避難する際に南ワジリスタンに家畜を全て置き去りにしてこなければなりませんでした。避難する前は家畜からとれる生乳で乳製品を作り、毎日の食糧として使用していましたが、避難先ではパック牛乳しか手に入らないため同じようにはいきませんでした。

 ガニさんはジェンの支援で山羊を受け取り、ミーティングの23日前に双子の仔山羊が産まれたそうです。仔山羊の授乳分を除いても、毎日1.5リットルのミルクがとれるので嬉しいと話してくれました。

 父親と一緒にミーティングに参加した9歳のハビブラ君は、山羊とその仔山羊もミーティングに連れてきました。ハビブラ君は、「学校から帰ってきた後、家の近くで山羊を放牧に連れて行けるようになって嬉しい。仔山羊と遊んでいるうちに、仲良くなったよ。立派な大人の雄山羊に育つまで僕が面倒をみるんだ」と話しました。

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 ロイ・カーンさんは、亡くなった自分の兄の奥さん、マリャム・ビビさんについて話してくれました。未亡人となったビビさんは配布の際、既にジェン倉庫で出産した母山羊と仔山羊を受け取りました。山羊からは毎日約1.7リットルのミルクが取れるので、0.7リットルを毎日の食糧に使用し、残りを近所の家庭に販売して、毎日70パキスタンルピーの収入が得られるようになったそうです。ビビさんは自立した生活ができるようになり、とても喜んでいるとのことでした。

 54歳のアリ・レーマンさんは戦闘中の地雷の爆発で片足を失いました。レーマンさんも出産した母山羊と仔山羊を受け取り、毎日1.9リットルのミルクがとれるようになりました。レーマンさんは0.5リットルを自宅で使用し、残りの1.4リットルを近所で売って、治療費に充てているとのことです。医療費を捻出する手段ができ、助かっていると話してくれました。

 
 出身地は同じでも、避難民の家庭ごとに様々な事情があります。今回のミーティングでは、配布された山羊が、それぞれの家庭のニーズに合わせて活用されていることを知ることができました。

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10月 18, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年7月12日 (木)

山羊の配布、前半終了

 ジェンは今年、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす2,000世帯の国内避難民の人びとを対象に、生計復帰のための支援を行っています。

 これまでに、対象2,0000世帯のうち、1,000世帯への山羊の配布が完了しました。山羊を受け取った人びとは、同じ避難民の中から選ばれた畜産指導員のサポートを得ながら、山羊を飼育して生計の回復を目指します。

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 最近のデラ・イスマイル・カーン県は日中最高気温が約46℃に達するほどの猛暑に見舞われており、後半の山羊配布は8月中旬以降を予定しています。

 それまでの間、ジェンの現地スタッフは畜産指導員と一緒に山羊を受け取った世帯を訪問し、山羊の健康状態や、生活の変化などを確認していきます。

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 厳しい暑さが続きますが、熱中症に気をつけながら、避難民の人たちのサポートを続けます。

7月 12, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年6月14日 (木)

JEN倉庫での山羊管理~続き~




 前記事では、山羊の水やりの方法までをお伝えしました。今回は引き続き、JEN倉庫での検疫期間の山羊管理をお伝えします。

④餌やり:
 山羊への餌やりは1日2回(朝・夕)行います。餌は飼い葉(青い草)と麦わらです。一度に両方与えるのではなく、最初に飼い葉を与え、その2時間後に麦わらを与えます。
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 また、午後は運動と栄養摂取の為に、山羊を放牧します。この放牧の際、オス山羊をメス山羊と別の場所へ連れて行き、500グラムの「ワンダ」というバランス栄養食を与えます。ワンダを食べた後のオス山羊は消化不良を避けるため、食後2時間ほど水を飲ませないように気をつけます。
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⑤搾乳:
 授乳期のメス山羊は、1日に2回(午前、午後)搾乳をする必要があります。搾乳のタイミングは餌やりの約30分後です。

⑥倉庫の掃除:
 山羊が倉庫に到着したあとも、衛生状態を保つために毎日倉庫内の掃除が必要です。水やり場も毎朝早朝に掃除し、新鮮な水を入れ直します。

⑦病気の山羊の治療:
 家畜専門家と獣医アシスタントは毎日JEN倉庫へ足を運び、山羊の健康状態を一頭一頭入念にチェックします。何らかの病気や異常が発見された場合にはその山羊を隔離し、必要な処置を施します。


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 以上が、山羊配布前の倉庫内での管理内容です。JENが配布しているビータル種の山羊は丈夫な品種ではありますが、確実に健康な状態で避難民の方々の元に届けられるよう、入念なケアを心がけています。

6月 14, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年5月31日 (木)

JEN倉庫での山羊管理

JENが現在デラ・イスマイル・カーン県で実施している生計復帰事業は、山羊の配布が主な活動であることから、一見単純そうに思えるかもしれません。しかしながら、この支援活動は簡単な作業ばかりではなく、気をつけなければならない部分が実はたくさんあります。

今回・次回は山羊の調達後~配布前までの管理についてご紹介します。

JENはパンジャブ州のいくつかの街から配布用の山羊を調達しています。妊娠中の山羊はとてもデリケートなので、パンジャブ州からデラ・イスマイル・カーン県への輸送の際は細心の注意が必要です。

大きなトラックを使用しても、一度に一台で運べる山羊の数は45頭までです。輸送中に山羊同士が喧嘩をしてしまうこともあり、JEN倉庫に到着するまでに怪我をしてしまう山羊もいます。このような山羊には時間をかけて丁寧に特別な手当てをしなければなりません。

到着した山羊は、JENの倉庫で7~10日間の検疫期間を過ごすことになるのですが、JENスタッフは到着前から配布前まで、以下のような準備・作業を行います。

①倉庫内掃除・消毒
デラ・イスマイル・カーンのJEN倉庫に山羊が到着する前に、家畜専門家の指導のもと、倉庫内を掃除・消毒をして感染症にかからないようにする必要があります。

②予防接種
7日間の検疫期間で、風土病の予防注射をします。山羊の体を押さえて、二人がかりで行います。
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③水やり
輸送や予防接種によるストレスを軽減する為に、ビタミンを溶かした水を山羊に与えます。オス山羊は一日に3回、メス山羊は何回でも水が飲めるようにします。

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(次回へ続く)

5月 31, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年5月17日 (木)

ミルク・フェスティバル (ドゥードゥ・マイラ)

これまで何度か触れてきたとおり、パキスタンでは家畜が国内経済においてとても重要な役割を果たしています。農村部で暮らす多くの人々にとって、家畜は重要な生計手段です。

 JENが活動しているデラ・イスマイル・カーン県は、紛争が続く南ワジリスタン管区に隣接しています。同県は、以前はパキスタン国内でも比較的平和な地域として人びとに親しまれていました。しかし、近年の宗派間闘争や対テロ戦争による治安の悪化が、デラ・イスマイル・カーン県内の経済にも影を落としています。

そこで、同県のファー・プル地区家畜調査・開発局は今年の4月13日に、山羊や羊、牛などを持つ畜産農家を対象に、ミルク・フェスティバルを開催しました。このお祭りの目的は次の通りです。

・畜産農家の人々の家畜・乳製品開発に関する知識を改善する
・宗派間対立やテロによるストレスを抱えた人びとにリフレッシュの機会を与える
・色々な品種の家畜を飼育する意欲を取り戻してもらう

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ミルク・フェスティバルでは、家畜による様々な対決イベントが催されました。ラクダの重量挙げ、牛や水牛のミルク搾乳量対決、雄山羊の体重・体長比べなどもありました。上位3位までの勝者の中には、なんと昨年JENが山羊を配布した国内避難民の一人、ナセーブ・カーンさんの姿がありました。勝者インタビューの際には、家畜局の役人の一人がJENの活動を評価してくれました。

 デラ・イスマイル・カーンでは治安問題もあり、避難先での厳しい生活は続きますが、支援を届けた人の元気そうな姿を見て嬉しく思いました。
 

5月 17, 2012 文化、生活、習慣生計回復事業 |

2012年2月16日 (木)

山羊管理研修スタート

 JENがデラ・イスマイル・カーン県で実施している、国内避難民を対象とした生計復帰事業において、畜産指導員の研修は重要な要素の一つです。

 フィールドチームはJENが定めた基準に基づき、事業対象地域から畜産指導員を選びます。選ばれたメンバーは皆若く、教養があり、ボランティア精神にあふれ、学ぶことに熱心です。

 これらの畜産指導員は、まず10日間の山羊管理研修に参加し、その後補習コースも受講して、他の避難民世帯に対して山羊の飼育・管理に関する知識を広めていく役割を担います。

 2012年は、畜産指導員80名を20名ずつの4グループに分け、順番に研修を実施していきます。
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 先日行われた第1グループの研修初日では、畜産指導員たちから研修のねらいや研修受講のメリットについてなど、多くの質問が出ました。同研修を担当した家畜専門家は、これらの指導員の関心事に対して、興味深く耳を傾けていました。
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 以下は研修に参加した畜産指導員からのコメントです。
・私たちにとって家畜は主要な収入源ですが、これまでは家畜を主に自分の家で消費するために育てていたため、そこから得られる利益は限られていました。
 この研修を通して、家畜を活用して得られる利益についてより深く知ることが出来ました。

・私たちは教育を受けていますが、避難先では時間を無駄にするばかりで、1日中何もすることがありませんでした。
 この研修のおかげで、働くためのスキルを習得し、無力で支援を必要としている自分たちのコミュニティに貢献することが出来ます。

・研修により、適切な山羊管理方法、社会動員、企業開発について知ることが出来ました。
 これからは家畜の利用を自家消費用からビジネス用に変えていこうと決心しました。

・私たちマスード族のコミュニティはそのホスピタリティに定評があります。
 この研修を受けたことで、私たちは更により良い方法で他の人々を助ける機会を持てると思います。
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2月 16, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |