2016年9月15日 (木)

一時避難民と帰還民支援のための総合調査

 2016年8月、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)が一時避難民と帰還民支援のための総合調査を企画し、国内外の33の支援組織がこの調査に参加しました。

 参加チームと対象地域はペシャワールとデラ・イスマイール・ハーンの2か所に分けられました。ペシャワールはオラクザイ・ハイバー・クラム管区、コハット地区の拠点、デラ・イスマイール・ハーンはバンヌー、タンク、南ワジリスタン管区、北ワジリスタン管区の拠点です。

 JENはデラ・イスマイール・ハーンとペシャワールの両方の調査実施団体として指名されました。調査の前にはそれぞれの地域で2日間の研修が実施され、シェルター、食糧安全保障、生計、水衛生、保健、保護、栄養、教育等の分野に関する185の質問からなる質問票が配られました。一枚の用紙に書き込むのに平均40分かかりました。

 JENのペシャワールチームは3日間、UC(ユニオンカウンシル)ブドゥハニにおいて30人の事業参加者から聞き取りを行いました。実施してみて、人びとに集まってもらい、多くの時間をさいてもらうことの難しさを感じました。調査の間、UNOCHAの安全管理部門は、治安に関する最新情報や助言を常に提供してくれました。

 もう1つのチームは、4日間で90世帯の調査を行いました。7名からなるチームは5つの地区を訪問し、一時避難民が抱える問題を質問票に記録しました。多くの避難民が生計、保健、水衛生の問題を抱えていることが分かりました。

 この調査の詳細な報告書は2か月後に出る予定です。人道支援組織が一時避難民や帰還民を支援するため現在進めている活動を見直し、今後の活動を策定するのに、この報告書はきっと役に立つでしょう。

【ペシャワール、UCブドゥハニでの一時避難民世帯調査】
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【ペシャワール、UCブドゥハニで聞き取りに応じてくれた一時避難民】
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【栄養分野の調査にて、上腕周囲径測定】
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9月 15, 2016 国内避難民支援, 帰還民支援 |

2016年3月10日 (木)

家畜管理委員会、持続可能性のある家畜保護の手法

 2014年6月に始まった紛争により、数百万人もの人たちが連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン管区から避難を余儀なくされました。避難民となった人たちは、生活費を賄うために所有していた家畜を最低の取引価格で売らざるをえませんでした。また、売らなかった家畜の多くも、十分な食料が与えられず、満足のいく飼育ができないことから、病気にかかり弱ってしまいました。

 このような状況で、JENは国連の食糧管理クラスターの一員として、短期的には家畜を失うのを回避すること、長期的には避難民の食糧を確保することを目的に、家畜保護事業を開始し、1,000世帯を対象に予防接種や害虫駆除、家畜用シェルターの設置、家畜管理教育を行いました。

 JENが撤退した後も活動を継続させるため、家畜管理委員会が設置されました。全部で5つある各委員会は、JENの家畜育成の専門家による10日間の研修を受けた避難民によって構成される家畜育成委員20人、村の代表6人、畜産局及び民間セクターから各1人で構成されています。

 この一環で、畜産局はJENが支援している地域において家畜育成研修を開催し、無料の予防接種及び害虫駆除を行いました。JENスタッフや家畜育成委員も参加したこの会にて、約125頭の小型家畜が腸毒血症の予防接種を、20頭の大型家畜が害虫駆除を受けました。また、畜産局の代表と避難民との間で、家畜管理の改善に関し意見交換を行いました。

 JENは事業終了とともにこの地域から撤退しましたが、避難民の皆さまが畜産局との協力関係のもと、家畜育成委員会の活動を続けていけることを願っております。

【家畜管理委員会との会合の様子】
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【JENスタッフが家畜育成委員に研修をしている様子】
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【農業畜産局による予防接種の様子】
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3月 10, 2016 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2016年1月28日 (木)

自立した未来のために

 40歳のヌールさんは、パキスタンの連邦直轄部族地域の北ワジリスタン管区出身です。同管区で続く紛争から逃れるため、ヌールさんは5人の息子と4人の娘を含む家族皆で、バンヌー地方にある、政府の建設したバカ・ヘル避難民キャンプへと移住しました。

 現在は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に避難民として登録されています。北ワジリスタン管区にいた時は労働者として生計を立てていたヌールさんでしたが、避難生活が始まってからは、これまでにないほど生活が苦しくなり、WFP(国際連合食糧計画)やその他の団体の支援だけで生活していました。

 JENが同キャンプ内で始めた家畜を通した生計回復事業で、ヌールさんは支援を受けることになり、家畜の栄養状態を改善する飼料や、悪天候から家畜を守るシェルターキットを受けとりました。

 3か月後、ヌールさんはバカ・ヘルキャンプの入り口でミルクティーや卵、キャンディなどを売る商売を始めました。キャンプの入り口付近に位置するヌールさんのお店は、人々の憩いの場となっています。人々はミルクティーを片手に集まり、自らが抱える問題や解決方法について話し合ったりします。

 ミルクティーに使うミルクは、ヌールさんの牛から搾乳されたもので、その売り上げは月に8,500円程度です。それはヌールさん一家の生計を支えるのに十分とは言えません。

 自立した生活を目指し、ヌールさんは今後バンヌー地方の市場へと事業を広げていく予定です。

【駐車場の傍にあるヌールさんのお店】
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【ヌールさん(中央)、JENスタッフとお客さん】
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1月 28, 2016 国内避難民支援, 支援物資配布, 生計回復事業 |

2015年10月22日 (木)

意識向上バナーの設置

 JENが行うハイバル・パフトゥンハー州バンヌー地方での国内避難民プロジェクトの中で、現地の人びとの家畜管理に対する意識を向上させることは、とても重要な要素です。
 そのために、JENは絵とメッセージがかかれたバナー(横断幕)を使うこととし、これらのバナーを市場、地域の集会所、動物病院、店舗などが集まる公共の場に設置しています。

 バナーには、現地の人たちに働きかける、家畜管理に関するメッセージがいくつか書かれています。たとえば、家畜の健康状態の改善、ワクチンや薬の使用、生産性の向上、所得創出、衛生環境、家畜の繁殖促進などのメッセージです。JENはこれらのバナーを、対象地域内から15ヶ所を選び、設置しました。

【設置の様子】
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 JENは、このバナーを人びとが見ることで、家畜管理技術に対する意識が高まるよう願っています。そして、これらのメッセージが、現地の人びとの損失を最小限にし、家畜生産の増加によって食糧が確保されることを期待しています。

【いろいろなバナー】
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10月 22, 2015 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2015年10月 8日 (木)

村の長老たち

 村の長老たちは、ハイバル・パフトゥンハー州のバンヌー地方で現在JENが進めている国内避難民のための家畜保護プロジェクトの中で、重要な役割を担っています。
 彼らはJENが作った家畜管理委員会のメンバーです。他に畜産指導員や州畜産局のスタッフ、民間の獣医がメンバーとして入っています。

 畜産指導員や現地の人々の主な仕事は、JENが支給した家畜用の餌やシェルターや応急処置キットなどを十分に活用することと、畜産局との連絡調整を行うことです。長老たちの影響力を期待して、JENは彼らに、畜産指導員と現地の人々の業務をチェックする仕事を依頼しました。

 グラム氏は、家畜管理委員会のメンバーとして働いている長老の1人です。彼は昨年6月に故郷の北ワジリスタン管区から国内避難をして、現在はJENが活動している地域で家族と一緒に小さな借家に住んでいます。彼自身も牛を2頭と山羊を2匹飼っています。

 グラム氏は畜産指導員の仕事をチェックします。畜産指導員が行っている活動に関して、コミュニティからのフィードバックを取り、もし畜産指導員が十分に仕事をしていないと感じたら、彼らにやる気を起こさせたり、畜産指導員としての役割を再確認させたりします。

 そのような仕事を円滑に行うことも、村の長老が担う大きな役割の一つになっています。

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10月 8, 2015 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2015年8月27日 (木)

家畜支援を通しての生計回復

 連邦直轄部族地域(FATA)の北ワジリスタン管区出身で42歳のパヨ・ザマンさんには、妻、2人の息子、2人の娘がいます。パヨさん一家は、2014年5月の政府軍による反政府武装勢力の掃討作戦の影響で、故郷の北ワジリスタン管区から一時避難を強いられました。

 一家が避難先のハイバル・パフトゥンハー州のバンヌー県に着くと、政府と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員によって一時避難民として登録されました。そして、連れてきた5頭の牛とともに、同県グリワラ地区ナル・ナジブ村の小学校敷地内に建てられたシェルターで暮らし始めました。

 連れてきた牛たちは、飼料不足のために健康状態が日に日に悪くなっていきました。家畜用シェルターがなかったので外で飼っていましたが、猛暑のため健康状態はさらに悪くなりました。彼の家族も避難生活による苦しみから精神状態を悪くしていきました。彼らの収入源は家畜しか残されていませんでしたが、残念なことに、飼料などが十分でなかったためミルクがあまり出なくなってしまいました。

 2015年5月、パヨさんが牛を売ろうと考えていた頃に、JENのチームが一家のもとを訪れ、一家を家畜の飼料とシェルターキットの配布対象世帯として登録しました。そして、JENの獣医チームがパヨさんたちの牛に駆虫薬を与え、予防接種をしました。さらに、パヨさんはJENの家畜専門家から家畜の管理に関する研修を受けました。

【家畜用シェルター】
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 JENが配布した家畜支援パッケージの利用で、パヨさんの牛の健康状態は改善し、数か月後にはミルクが1日8リットルまで出るようになりました。それにともなってパヨさんとその家族は元気になり、生きる意欲が出てきました。

 現在、彼は市場の近くで作業員として働き始め、1日4リットルのミルクをその市場で売って約280ルピーの収入を得ています。そして、家族は残ったミルクでラッシーやヨーグルトやバターを家庭用に作っています。妻と子どもたちは、故郷を離れた辛さを和らげてくれた牛たちをとてもよく世話しています。

【パヨさんの息子と牛】
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 パヨさん一家の経済状況は今もよいとは言えませんが、JENの支援は確実に彼らの収入増へとつながっています。





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8月 27, 2015 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2015年8月13日 (木)

支援物資の配布が完了しました

 JENは、北ワジリスタン管区から逃れてきた国内避難民への家畜飼料と家畜用シェルター資材の配布を完了しました。このプロジェクトの対象となったのは全部で500世帯です。

 JENは事前に「引換券」を印刷し、それをスタッフが対象世帯に配りました。引換券には対象家族の世帯主氏名やID番号などの情報、および物資の配布場所と時間が記載されています。
 
 配布の前にJENは、警察や地区役員など関係する全ての公的機関や、村の長老のようなその他の関係者と調整を重ねました。

 物資は、納入業者から配布の1日前に届きました。

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 ちょうどラマダンの月でとても暑い時期だったので、JENのスタッフは配布作業を定刻どおり進めるため、夜中から配布物資のパッケージを配列し、準備しました。
警備は地区の警察が担当してくれました。

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 配布は3回に分けて行われ、それぞれ150世帯、195世帯、155世帯を対象に家畜飼料と家畜用シェルター資材が支給されました。

 配布作業を円滑に進めるため、JENは確定した対象者のみに連絡し、配布会場には引換券を持っている人だけが入場を許可されました。

 引換券の確認にはJENのスタッフ1名と警察官1名が一緒に当たりました。そのあと、JENのスタッフが配布作業の一連の流れを説明しました。

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 それから、対象者を1人1人確認し、彼らの拇印をもらいました。

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 次に、JENの技術スタッフが、駆虫薬や家畜用シェルターや飼料についてその使用方法などを説明しました。

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 最後に物資を対象者に手渡し、その記録として引換券を回収しました。

 こうして、無事に支援物資を対象者のもとに届けることができました。



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8月 13, 2015 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2015年7月 2日 (木)

物資配布の準備を行っています

 JENは今年、バンヌー県内Ghoriwala地区の国内避難民500世帯が食糧を安定して確保できるよう、家畜保護事業を行っています。その一環として、家畜飼料と家畜用シェルター資材の配布をします。

 配布は3回にわけて行われる予定で、1回目は7月6日です。
 最初は200世帯、2回目は145世帯、3回目は155世帯を対象に、物資が配られます。

 第1回目の物資配布場所は、国連機関である世界食糧計画(WFP)の物流セターです。WFPの職員に事前に連絡を取って場所の提供を依頼し、許可を得ることができました。2回目と3回目は同地区内の別の場所にある、動物病院の敷地内で行われます。

 配布の事前準備には、余念がありません。まず、物資の仕入れ先にはかなり前に注文を入れ、配布までに確実に物資が揃うようにしました。その甲斐あって、配布日の前日にトラックで物資を運びこむ手はずが整っています。

 また、当日の配布がスムーズに進むように、人々の整列場所と方法、日陰の確保、トイレ環境の確認も行っています。女性、老人、身体に障がいのある人々は優先的に配布を受けることができます。そして、安全のために警察官を会場に配置します。

 現在は、配布2日前に配られる「引換券」の作成を進めています。引換券には物資の受け取り日・時間・場所・受取人の名前・父親の名前・ID番号が書かれ、最後にJENスタッフのサインが記されます。

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 会場では、人々がどのようなものを受け取るのかがしっかり理解できるように、配布物資リストを掲示します。また、不満がある時にはすぐにJENに連絡がとれるよう、シニアスタッフの電話番号も掲示します。

 このように、事前準備を入念にしてきたJENスタッフです。ラマダンの真最中、暑い中で行われる今回の配布ですが、手順どおりスムーズに実施されることを祈っています!


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7月 2, 2015 国内避難民支援, 支援物資配布, 生計回復事業 |

2015年5月 7日 (木)

バンヌー県の皮革製品センター

 皮革製品センターは、バンヌーにあるハイバル・パフトゥンハー州(KP州)小企業開発委員会の事業の一つで、州内の未開発地域の住民に対して職業訓練などを行っている、準行政施設です。

 1984年に設立され、1988年から1999年の間には商業施設となりました。
 しかし2000年、16年に渡る長い赤字経営を打開するため、KP州小企業開発委員会が、半ば強制的にKP州の州都、ペシャワールに移設し、経営の舵を取って代わりました。
 2003年には当時の小企業開発省大臣によって現在の所在地であるバンヌー県に移設され、職業訓練兼商業施設となりました。

 現在では、FATA(=連邦直轄部族地域)の学生が一度に50人、半年間皮革製品の生産・取り扱い方法を学び、皮革製品取扱者の資格を得ています。このプログラムを終えることで住民たちは自活する力を得ることができるのです。現在の皮革製品センターは順調に運営されており、安定した利益を生み出しています。

 
 製品の材料となる革は、カラチ、ラホール、ペシャワールから取り寄せられています。作られる製品は紳士用鞄やベルト、婦人用バッグ、キーチェーン、ノートパソコンケース、更にはファイルバッグやブリーフケースなど様々ですが、そのほとんどはセンター内のショールームや地元のマーケットで販売されています。交通アクセスが十分でないことから、国内でも遠く離れた地域での販売は難しいのです。
 KP州小企業開発委員会から事前の承認を受けた場合に限り、バンヌー地方外でも販売されることがあります。

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 現在ではペシャワールの小企業開発委員会の承認の元、14人のスタッフが同センター内で働いています。

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 以前は電力の不足により生産工程が中断されることがありましたが、200キロボルトの変圧器を導入した今では、その問題も過去のものとなりました。

 このような産業の支援と職業訓練が、人々の生活の発展に欠かせないことは言うまでもありません。政府組織だけに限らず、NGO団体でもこのような活動をサポートしていくことが大切だと思います。



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5月 7, 2015 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2015年4月23日 (木)

バンヌー市とその地に暮らす国内避難民の状況

 バンヌー市は、ハイバル・パフトゥンハー州バンヌー県の県庁所在地で、アフガニスタン・ホースト州の東にあり、パキスタンの北・南ワジリスタン管区の東35km、コハート県の南127km、デラ・イスマイル・カーン県の北143kmに位置しています。

 古代に造られた歴史ある都市ですが、現在の市の礎は1848年、イギリス人のハーバード・エドワーズ大尉によって築かれました。アフガニスタン国境に近く、立地条件も適していたため、かつて、国境付近にいるアフガニスタン部族に対する軍事作戦のための英国軍基地がおかれていました。

【市内に残る古代の門】
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 バンヌー市に住む人々は“Bannuchi”と呼ばれパシュトゥン語の方言を話しますが、ウルドゥー語、サライキ語、パンジャブ語などの言語も使っています。住民のほとんどがパシュトゥン人でBannuchi族が最多の民族ですが、ワジール族、メスード族、ダワール族、マルワット族、バンガッシュ族なども多く居住しています。バンヌーという名前はBanniGul (花のように美しい)に由来しており、人々の故郷への愛を表しています。
 
 2014年6月に、北ワジリスタン管区で政府軍による反武装勢力掃討作戦が始まると、そこから近いバンヌー市に大勢の国内避難民が押し寄せました。約100万人が北ワジリスタン管区からハイバル・パフトゥンハー州の各地へと移動しましたが、そのうちおよそ80万人がバンヌー地方にやって来て、借家やテントなどで生活をするようになりました。

 国内避難民によりバンヌー市の人口は約2倍になり、地方全体にその影響が及ぶようになりました。バンヌー地方の国内避難民たちは、それぞれの場所で厳しい状況下での生活を余儀なくされているのです。

 バンヌー地方は農業生態学的に2つの地域にわけることができます。1つ目は豊かな水源と灌漑施設の備わった農業用地を含む地域、もう1つの地域は砂漠と、雨水によるわずかな植物が生えるだけの、乾燥した不毛の地域です。

 国内避難民の居住地域は、土地の特徴と所有する家畜の数によって決められています。
 家畜を多く持つ国内避難民たちは朝家を出て1日中家畜の餌を求め歩き、夜になると帰宅するため、乾燥・不毛地帯に定着しました。土地の所有者も、乾燥地帯では農作物が育たないためその土地での放牧を止めたりはしません。

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 家畜をあまりたくさん持っていない国内避難民は、灌漑地帯に定着しました。放牧により現地の人々の農作物が被害を受ける可能性があるため、彼らは家で飼料を与えて家畜の世話をしています。

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4月 23, 2015 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2015年3月12日 (木)

重要な食糧源を守るために

 2014年6月から開始された政府による武装勢力掃討作戦により、およそ100万人の人々が連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン管区から、国内避難民となって流出しました。

 これらの避難民の人々の多くは混乱の中、ラッキー・マルワットを含むハイバル・パフトゥンハー州まで約350,000頭の家畜を連れて避難しました。

 政府や人道支援組織による、避難民の人々への食糧、避難所、衛生・給水施設などの基本的なサービスの提供は、非常に大きな困難を伴いました。

 一方、彼らの重要な食糧源の一つである家畜を、大量死や投げ売りから守ることも、同時に大きな課題となっていました。

 JENはラッキー・マルワット地区の国内避難民1,200世帯を対象に、国連のパートナーとして家畜保護支援を始めました。このプロジェクトの目的は、避難民の家畜を大量死や投げ売りから守ることにより、彼らの食糧確保状況を改善することでした。

 食糧安全保障クラスターや他の支援組織との調整により、避難民のための総合的な家畜保護パッケージが作られました。パッケージの内容は、麦わらなど家畜の飼料、ミネラル、給餌・給水キットなどです。

【配布場所に用意された家畜保護パッケージ】
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 このプロジェクトの対象者の一人、イシャク・ジャンさんは次のように話しています。

「誰も支援の手を差し伸べてくれる人がいない中で、このようなサポートを受けることができ、とても助かりました。私は生活のために、3頭の雌牛を1頭ずつ非常に安い値段で売ろうとしていたところでした。これらの牛から取れるミルクの量が避難前から3分の2も減り、牛の餌も手に入らない状況だったのです。売ってしまう前に支援を受けることができ、よかったです」

【イシャク・ジャンさん】
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 国内避難民は自分たちの家畜から、ミルク、ヨーグルト、チーズ、肉などを手に入れています。そのため、家畜保護は避難民の食糧安全保障に大きく貢献できるものなのです。避難先には十分な資源がないため、国内避難民が避難先で暮らし続ける限り、継続的な支援が必要になります。

【避難民との話し合い】
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3月 12, 2015 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2015年2月12日 (木)

より脆弱な避難民世帯への支援

 カナ・ミールさんは、北ワジリスタンでの政府の対武装勢力軍事作戦を逃れ、バンヌー地方へ避難したお年寄りです。彼は息子3人と娘2人の父親ですが、息子の2人は子どもの頃にポリオに感染し、障がいが残っています。3人目の息子は地元の市場で日雇い労働をしています。

 カナさんはレストランで警備員として働き、月に8000パキスタンルピー稼いでいます。これ以外に国連の世界食糧計画から毎月食料支援を受けています。さらに、彼の家族は政府や他の人道支援団体からも支援を受けています。
カナさんは元々生計手段として家畜を飼っており、北ワジリスタンから避難する際、どうにか羊58匹と牛10頭を何とか連れ出しました。しかし避難生活の混乱の中で、羊15匹と牛10頭を失ってしまいました。

 JENがバンヌーで実施している国内避難民の家畜保護支援では、カナさんのようなお年寄りや、病気や障がいをもつ家族のいる世帯など、より困難な状況にいる人々を優先的に支援対象としています。カナさんはJENの家畜保護支援の対象となり、飼料やシェルター資材などの家畜飼育物資を受け取りました。カナさんはそれらを使い、家畜に栄養価の高い飼料を与え、家畜小屋の補強をしました。また、JENの獣医チームはカナさんの家畜へのワクチン接種も実施しました。

 物資配布後のJENによるモニタリングの際、カナさんは、家畜飼育物資の配布は家畜の健康状態、栄養状態改善の点などで非常に役立った、と話してくれました。配布した飼料や物資を活用した結果、彼の家畜は健康を取り戻し、8リットルも多くミルクが取れるようになったそうです。このため、カナさんの家族全員が食糧を十分に確保できるようになってきた、とのことでした。

【JENスタッフとカナさん一家】
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2月 12, 2015 国内避難民支援, 支援物資配布, 生計回復事業 |

2015年1月29日 (木)

国内避難民支援:物資配布後のモニタリング

 JENは最近、バンヌー県とラッキー・マルワット県で現在暮らしている連邦直轄部族地域(FATA)からの国内避難民を対象とした家畜保護プロジェクト2件を完了しました。

 そのうちの1件は、1575世帯の避難民を対象に行われ、もう1件は、1200世帯の避難民を対象に行われました。
対象となった国内避難民へは、家畜の餌、家畜用シェルター資材、家畜用予防接種(口蹄疫、腸性毒血症)など、家畜の飼育に最低限必要な物資と、予防接種を提供しました。

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 JENの現地コアスタッフは、双方のプロジェクト対象地域を訪れ、モニタリングを実施しました。まず、プロジェクトの実施状況とその影響について、現地の畜産局とミーティングを行いました。畜産局によると、職員は実際に配布作業に立ち会って活動を確認しており、総合的な家畜保護パッケージの提供を実現したことについて評価しているとのことでした。

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 モニタリング訪問中には、支援対象となった国内避難民やその他関係者からも、配布に満足しているという評価をもらうことができました。

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 一方、対象地域には、今回の支援の対象には含めることができなかった国内避難民もいます。FATAからの避難民の数は非常に多く、各支援組織が提供できる支援と、実際の避難民の総数には大きな差があるのです。あらゆる人道支援機関が、これらの人々へ支援を届ける必要があります。

 ジェンは2015年も引き続き、支援を受け取っていない方々を対象に、同様の支援を続けていきます。



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1月 29, 2015 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2014年12月11日 (木)

国内避難民支援のモニタリング

 ジェンは現在、ハイバル・パフトゥンハー州(KP州)のラッキー・マルワット地区において、連邦直轄部族地域(FATA)の北ワジリスタン管区から逃れてきた約900人の国内避難民に対して、緊急家畜支援を実施しています。

 このプロジェクトは国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の緊急対応プログラムの一環で、活動期間は3ヵ月です。これまでに、計画の約半分の活動が完了しました。

 活動の改善を重ね、より良い結果を得るためには、モニタリングと評価が重要なため、本プログラムの活動は全て、評価モニタリングチームによるモニタリングを受けなければなりません。

 ジェンの活動地域にも、先日そのモニタリングチームがやって来ました。彼らはジェンの事務所や倉庫を視察し、支援対象の避難民の方々に会うために活動現場にも足を運びました。ジェンの現場スタッフに対しては個別のインタビューがなされ、スタッフが書いた日報や週報もチェックを受けました。彼らはさらに倉庫や在庫帳を見て、配布物資(飼料や水、搾乳キット)の質もチェックしました。

 モニタリングチームは支援対象の方々にもインタビューし、プロジェクトデザインや活動内容について、彼らの意見を聞きました。また、障がいを持つ人や女性、高齢者など、社会的に脆弱な立場にいる人々がきちんと支援の対象として含まれているかどうかについても聞き取り調査を行いました。

 モニタリングチームは今後の改善点としていくつかの技術的なポイントを指摘してくれ、ジェンのスタッフはそれらを書き留めました。総合的には、ジェンがKP州の遠隔地域で暮らす、特に脆弱な状況にある避難民を対象に支援を実施していることについて、前向きな評価をしてくれました。



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12月 11, 2014 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2014年11月27日 (木)

国内避難民の家畜予防接種を行っています

 北ワジリスタン管区で避難生活を続けている国内避難民は、多くの家畜を連れて避難しています。これらの家畜は劣悪な環境で飼育されており、飼料やシェルター、感染症予防の対応が必要な状況です。

 現在、ジェンは家畜を飼育している国内避難民を対象に、飼料・シェルター・駆虫処理キットを含む家畜パッケージの配布と、獣医によるワクチン接種の支援を実施しています。

 このプロジェクトの目標の一つは、7500頭の家畜への予防接種の実施です。このうち約3000頭は牛や水牛などの大型家畜で、残る約4500頭は山羊や羊などの小型家畜になる予定です。大型家畜は口蹄疫、小型家畜は陽性毒血症という感染症に対する予防接種を受けます。

 避難民の方々は、ホストファミリーの元で暮らしているため、ジェンは避難民だけでなく、そのホストファミリーの家畜も対象にワクチン接種を実施しています。周辺の全ての家畜が接種を受けないと、接種済みであっても免疫が弱まっている場合には感染し死亡する可能性があるからです。

 対象地域の住民は広範囲に散って暮らしており、家畜は朝放牧され、夜遅くに家に帰るのが一般的です。そのため、放牧されている家畜へワクチン接種を行なうのは中々難しくもあります。そこで、ジェンは前日から、対象になる避難民の方へ徹底して予防接種の実施を周知し、家畜を家で待機させるようにお願いをしています。

 予防接種は朝に避難民の自宅で行う方法と、1か所に集まってもらって実施する方法の2通りに分けて実施しています。

 プロジェクトは2014年11月に開始し、一度に平均約300頭への予防接種が行なわれています。これまでに約2920頭の家畜(大型家畜1020頭と小型家畜1908頭)の予防接種が完了しました。

 この先12月末まで、この支援を継続していく予定です。

【大型家畜への予防接種の様子】
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【小型家畜への予防接種の様子】
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11月 27, 2014 国内避難民支援 |

2014年10月30日 (木)

大量の物資を配布する方法

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 バンヌー県での国内避難民支援の開始にあたり、JENの現場チームは、飼料パッケージと家畜用シェルター資材の配布モデルを決めるため、話し合いをしました。
 というのは、1家族当たりのパッケージ「麦わら5束、ワンダ(栄養補給食)2袋、防水シート1枚と竹10本、350ml ボトル2本の駆虫薬」はとても重いからです。

 話し合いで、現場チームは二手に分かれることに決めました。まず、獣医スタッフを含むチームは、集まった避難民世帯に対して、家畜管理説明会と避難民の受付を担当することになりました。一方で、ロジスティクスを担当するチームは、家族ごとに配布物資のパッケージを準備することになりました。

 配布時には、参加する世帯分のスペースが必要であることを考慮しながら、注意深く場所を選びました。1回の配布につき、200世帯をカバーすることとして、これまでに、400世帯に配布が行われました。

 最初の配布場所は、200パッケージの物資を置くのがやっとのスペースしかありませんでした。そのため、参加者の移動も含め、より簡単に配布できるようにもっと広い場所が必要であることがわかりました。

 これを受け、現地スタッフはコミュニティリーダーや長老と相談しました。彼らはとても広い土地をJENに教えてくれ、無償で利用させてくれました。そこは、JENが200世帯に200パッケージを配布するのに十分な広さでした。

 配布は予定通りの方法で実施されました。まず来場した対象者は1か所に集まり、家畜管理説明会にて、配布の手順、配布物の量や使い方について説明を受けました。

【家畜管理説明会】
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 説明会の後、事前に配布しておいた配布引換券を照会しながら、受付作業が行われました。これと並行してロジスティクスチームは配布パッケージを準備し、受付が完了次第、各世帯には飼料パッケージと家畜用シェルター資材が配布されました。

【準備された配布パッケージ】
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【配布場所にて】
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 これは、北ワジリスタンからの国内避難民を支援するために始まった最初のプロジェクトで、彼らにとって最も重要な収入源である、家畜を保護する支援となっています。JENは、これらの脆弱な立場にある人々の生計を安定させる為に、支援を続けていきます。

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10月 30, 2014 国内避難民支援, 支援物資配布, 緊急支援 |

2014年10月16日 (木)

支援物資配布場所の選定

 支援物資の配布場所の選定は、ジェンにとって難しい仕事の一つです。それは以下のように組織的な協議プロセスを経て行われます。

•企画会議 
•配布場所の特定・確認 
•治安状況についての情報マネジメントオフィサーの評価 
•最終選定および災害対策本部と軍による承認

 ジェンは配布場所を決める前に簡単な企画会議を実施します。この会議には情報マネジメントチーム、事業実施チーム、総務・経理・ロジスティックスチームが参加し、活発に話し合ってお互いに必要な情報を交換します。

 配布場所の選定においては、地理的な位置がとても重要です。
 支援対象者、納入業者、ジェン・スタッフ、他の関係者の誰にとっても、同じくらいの距離にあって行きやすい場所でなければなりません。
 さらに雨や強い日差し、暴力、武力攻撃などから対象者を守るために、適切な建物がなければなりません。配布作業を円滑に平和的に完了するには、場所の安全が一番重要なのです。
 ジェンは垂れ幕やパンフレットや看板を配置したり、配布作業中混雑を整理するための警官の派遣を政府に要請したりします。

 配布時間もまた大切な要素です。夕方暗くなる前に配布作業が終わらなければなりません。
 さらに、対象者の登録や、配布引換券・支援パックの配布作業に関して透明性を確保することは、ジェンや対象者、他の関係者の間の対立や不信を招かないために最も重要です。
 災害対策本部や地方政府、軍を含めた関係者との積極的な協力関係が、行き違いを減らし、活動をスムーズに実施するのに大変役に立ちます。

 相互信頼の構築や今後の改善のため、配布完了後には事務所で評価ミーティングも行います。



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10月 16, 2014 国内避難民支援, 支援物資配布, 緊急支援 |

2014年10月 2日 (木)

コハートのシェルター支援

アブドゥル・ワッハーブさんは24歳で、連邦直轄部族地域(FATA)クラム管区のタッパ・メルマット・ハイルという地域の出身ですが、現在は家族とともにハイバル・パフトゥンハー州コハート県のシャープール地区に住んでいます。アブドゥルさんの家族は母、父、妻、娘3人、息子1人の7人です。クラム管区にいたころ、アブドゥルさんは日雇い労働者として働き、他の家族は小さな農場で働いて生計を支えていました。

2009年にクラム管区内で政府軍と反政府軍による戦闘が発生したため、アブドゥルさん一家は避難を余儀なくされ、コハートの親戚のもとに身を寄せたのでした。コハートで国内避難民支援を開始したジェンのスタッフは、アブドゥルさんのお父さんに話を聞くことができました。「ここへ避難してくるとき、私たちは家に何もかも置いてきてしまいましたが、戦闘によってすべてが破壊されてしまいました。戦闘の影響でアブドゥルは精神疾患を患い、そのため私が家族を支えなくてはならなくなりました。私はこの年になって家族のために、労働者として働いているんです」

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アブドゥルさん一家は非常に貧しかったため、ジェンの国内避難民支援活動の対象者として選ばれました。アブドゥルさんたちは、ホストファミリーである親戚の家で暮らしていますが、家族8人全員が小さな1つの部屋で生活しています。部屋にはベッドがないため地べたで寝起きをし、コミュニティからのサポートや、世界食糧機関(WFP)による食糧支援を受けながら生活してきました。

ジェンはアブドゥルさん一家へ、シェルターと生活用品の配布を行いました。アブドゥルさんのお父さんは、「これまでの人道支援では、私たちが必要とするものを満たすことはできませんでしたが、シェルターと生活用品の配布は非常に助かります。これで、少し生活が楽になるのではないかと思います」と話してくれました。 

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コハートに避難している避難民の方々にとって、シェルターは生活の基盤として非常に必要性の高いものになっています。人間にとっても、家畜にとっても、シェルターは生きていく上でとても重要です。コハートでホストファミリーと暮らす避難民の多くは、非常に狭い空間を複数人数で共有することを余儀なくされ、面倒を見るホストファミリーにとっても大きな負担となっています。シェルターを必要とする人はまだまだ多く、政府や他の支援機関からも、より多くのシェルター支援が提供されることを願っています。

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10月 2, 2014 国内避難民支援, 緊急支援 |

2014年9月18日 (木)

バンヌー県での国内避難民支援を開始しました

 今年の6月以降増え続けている北ワジリスタンからの国内避難民の支援ニーズにこたえるため、ジェンは北ワジリスタンに隣接するバンヌー県において、家畜保護支援を開始しました。

 国内避難民の方々にとって、家畜は非常に重要な財産です。家畜保護支援の対象者を特定するため、ジェンは対象者の登録作業を開始し、各避難民世帯が所有する家畜の情報を確認しました。

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 対象世帯登録作業の際にジェンが使用する登録フォームには、避難民世帯の家族構成、家畜の有無とその種類、病気の有無、ワクチン接種情報などが記録できるようになっています。対象世帯に家畜用のシェルターが用意されているかどうかも記録しておきます。

 登録フォームで集めた情報を精査したのち、対象となる避難民の方々へ、支援パックを配布します。支援パックには大型家畜用の口蹄疫ワクチン、小型家畜用の陽性毒血症ワクチンが含まれます。また、対象世帯の家畜には、寄生虫を駆除するための駆虫薬の投与も行い、夏の暑さと冬の寒さから家畜を守るためのシェルターも合わせて提供します。これに加え、家畜の飢えの解消と健康維持のための、ワンダという栄養補給用の飼料と麦わらも支援パックに含まれています。

 ジェンは、避難民の方々が生活の苦しさにより家畜を売ってしまったり、飢えや病気で家畜を死なせてしまったりする前に必要な支援を届けられるよう、活動を進めていきます。

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9月 18, 2014 国内避難民支援 |

2014年9月 4日 (木)

コハートにおける国内避難民支援

 連邦直轄部族地域(FATA) にて2009年に始まった紛争により、アフガニスタンとの国境に近いオラクザイ管区やクラム管区から大量の避難民が発生しました。現在までに、FATA内の多くの区域においてパキスタン軍による武装勢力掃討作戦が完了し、住民が避難先からの帰還を果たしました。

 しかし、いまだに何千もの国内難民世帯が、ハイバル・パフトゥンハー州のコハートやデラ・イスマイル・カーン、ハングーやペシャワールなどで避難生活を強いられています。

FATAの災害対策本部(FDMA)は、オラクザイ管区出身の国内避難民たちの帰還プロセスを2014年9月に開始する予定である、と発表しました。これを受け、ジェンはUNOCHAの協力のもと、コハートに避難している1000世帯を対象に支援を実施することを決めました。

支援内容は、折り畳みベッド、屋根用のプラスチックシートとロープ、安全な飲み水を運び保存する為のポリ容器、電力供給のない時でも使用できるソーラーランプや、カーペット・マットレスとして使用できるプラスチックのマットなどが含まれている支援パックの配布です。帰還を見据え、持ち運びしやすいものを選んでいます。

対象地域として、ジェンはジャルマとシャプールという2郡を選定しました。不安定な治安状況などによって、予定期間内での配布は困難かと思われましたが、できる限りの努力をし、1000世帯すべてに配布を完了することができました。 対象となったコミュニティはジェンダーに関して非常に保守的でしたが、外に出てきにくい女性のニーズにこたえるため、ジェンは女性スタッフによる対象地域訪問を計画しました。理解を得るため、活動の最初から長老たちなどの有力者と話し合いを重ね、最終的に女性スタッフが事業地を訪ねることに許可をいただくことができました。

配布対象者の選定前には、対象となるコミュニティとグループ討議を行い、支援目的や選定条件などについて、細かく話し合いました。こうすることにより、対象地域の人々が事業の目的を理解し、活動中の問題が起きにくくなることが期待できるのです。

配布は3回に分けて行われ、シャプールで373個、ジェルマで627個の支援パックが配布されました。受け取った人々は、シェルター、水、電灯など、最低限必要だったものを受け取ることができてよかった、と話していました。

これらの生活品は簡単に運べて、出身地に持ち帰り、使い続けることが可能なため、帰還後の再定住促進にも貢献することが期待されます。

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9月 4, 2014 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2014年8月21日 (木)

ヤギ配布による生計支援のその後

 デラ・イスマイル・カーン県において実施していた山羊配布による生計回復支援は、2014年2月に無事完了しました。終了から半年がたち、今月、外部のコンサルタントが支援後の状況をモニタリングすることになりました。これはJENにとっても、プロジェクトの成功度合いを測る良い機会となりました。

 モニタリングでは、支援の対象となった人々とインタビューやグループディスカッションを行い、また畜産局や地域当局の関係者とのミーティングを行いました。JENパキスタンチームとコンサルタントチームはパロア郡の現場を訪れ、支援内容について、対象となった避難民の方々と詳しく話し合いました。
 
 うれしいことに、避難民の方々は、プロジェクト実施中に伝えられた家畜管理についての技術や知識を、忘れずに覚えていました。

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 モニタリング中、避難民の人たちは配布されたヤギを連れてきました。彼らによると、ヤギは今も毎日1.5~2.5リットルのミルクを出すとのことです。プロジェクト実施中はまだ小さかった仔ヤギたちは、今では母ヤギと同じくらいの大きさに育っていました。

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 避難民の方々は、乳や乳製品を外部から買わなくてもすむので、貯金ができていると教えてくれました。さらに、母ヤギの他に2~3頭の子ヤギがいるので、例えば医療費などのために緊急でお金が必要になった時にも、子ヤギを売って現金をすぐに用意できるとのことです。

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 対象コミュニティとの会合の後は、畜産局担当者や、デラ・イスマイル・カーン県副長官にも会いました。彼らは今回の支援活動について、高く評価していると話しました。副長官は、支援の際に現地の政府とこまめに調整したことについても、評価してくださっていました。

 デラ・イスマイル・カーン県での支援プロジェクトが完了した後、対象となった避難民の方々が伝えられた知識・技術を実践し続けてくれるかどうかが、JENにとって一番の関心事となっていました。今回のモニタリングでは、その点について、支援の成果がねらい通り持続していることが確認できました。

 知識や技術が身に付くことは、避難民の方々へ単純に資産(もの)を提供することよりも、自立のために非常に重要なことであるとJENでは考えています。JENパキスタンチームは、支援の成果が現段階で持続していることを、うれしく思っています。

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8月 21, 2014 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2014年8月 7日 (木)

国内避難民の家畜

6月に政府による反政府武装勢力掃討作戦が始まって以来、これまでに約1,000,000人の人たちが国内避難民となり、北ワジリスタン管区からハイバル・パフトゥンハー州に移動してきました。これらの人たちはほとんどの財産を置いたまま、その身1つで、命を守るために避難したのです。避難の決定は突然だったうえに大人数によるものだったため、人々は様々な困難に直面しました。例えば、コミュニティが集団パニックに陥ったり、交通手段が無かったという人もいました。かろうじて避難することができた人たちは、家畜を含む自分たちのわずかな貴重品を持ち、ハイバル・パフトゥンハー州の避難先にたどり着いたのです。

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北ワジリスタン管区で反政府武装勢力掃討作戦が行われる前は、同管区には約940,729頭の大小の家畜がいて、その半分は避難先に連れていかれるだろうとみられていました。しかし、政府の最新情報によると、実際に避難先に連れて来られているのは、約350,000頭の家畜と約150,000羽のニワトリでした。それでも、このような緊急時に、苦労してでも人々は自分たちの家畜を連れて行きました。このことから、家畜が彼らの生活にとってどれほど重要なものかが分かります。

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政府は各人道支援機関に対し、国内避難民たちと、彼らの重要な生活基盤となる家畜への支援を要請しています。移動時の負荷と飢えのため、既に6,000頭を超える家畜の死亡が報告されています。

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国内避難民たちは、避難以降既に半分以上の家畜を失いました。家に置いてきたり、避難先で非常に低い価格で売ってしまったのです。避難民たちを対象とした調査によると、一部の人は家畜を相場より70%以上低い価格で売ってしまっていたようです。緊急時は人間への支援が集中しがちですが、彼らの生計・食糧源となる家畜を、早急に保護しなければなりません。

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8月 7, 2014 国内避難民支援 |

2014年7月24日 (木)

北ワジリスタンからの国内避難民

 先月以降、パキスタン軍による反政府武装勢力掃討作戦により、連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン管区から約47万人が国内避難民となり、隣接するハイバル・パフトゥンハー州(KPK)へ移動しています。これら避難民のうち約2000名は、ジェンが事務所を設置しているコハートで避難民として登録されました。また約7000名は、コハートを通過し、ペシャワールやパンジャブ州にまで移動しています。

 UNOCHAのコハート事務所の依頼を受け、ジェンはコハートにいる北ワジリスタン出身の避難民たちを対象とした緊急ニーズ調査に参加しました。この 調査の目的は、コハートの避難民の人数と、彼らの最も緊急性の高いニーズを確認することでした。

 コハートの政府機関は避難民の数を記録するため2ヶ所の登録所を設置しました。1つはコハートに避難した難民の登録、もう1つはコハートを通ってペシャワールやパンジャブ州へ向かう難民たちを登録するようになっています。

 州の災害対策本部は避難民の方々が滞りなく支援を受けられるよう、KPKでこれらの避難民への支援を検討している人道支援機関に関するガイドラインを改訂し、事業承認などの手続きにかかる時間を短縮しました。

 KPKの国内避難民たちの援助ニーズはとても高いにも関わらず、現地の不安定な治安状況により人道支援の対応が遅れています。しかし、このような状況の中でも幾つかの支援機関や国連などが、脆弱な避難民コミュニティーへ支援を開始しています。


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7月 24, 2014 国内避難民支援 |

2014年6月26日 (木)

新たな避難民の発生

 北ワジリスタン管区は、パキスタン北西部のアフガン国境に接している面積約11,585mの山岳地帯です。1998年パキスタン政府の国勢調査によると、当時の人口は361,246人でした。

 最近、パキスタン政府は同管区を拠点としている反政府武装勢力に対し、掃討作戦を開始しました。これによって、少なくとも約10万人の避難民が故郷から隣接するハイバル・パフトゥンハー州各地に避難せざるを得ない状況に陥り、大半は同州のバンヌ県に避難しました。

 現時点では、パキスタン政府による国際支援の要請がされていないため、国連機関による避難民登録はまだ行われていません。パキスタン政府による避難民の登録は幾つかの北ワジリスタン管区の出入口で行われており、これらの登録の際には同時に子どもへのポリオワクチン接種も実施されています。

 政府はバンヌ県のバッカ・ケルとカシュー橋に二つのキャンプを設立しました。しかしながら、安全面への不安や文化的にセンシティブな地域であることから、多くの避難民がキャンプに移ることに抵抗感を示しています。現在、北ワジリスタンの避難民世帯の数は約1万世帯(平均13.5人/世帯)と想定されていますが、最終的には避難民の数が20万人に上ることが予想されています。

 パキスタン政府の計画では、全ての避難民世帯に食費として7000ルピー(約7210円)と、生活用品費として5000ルピー(約5150円)、そして6月末から始まるラマダーン時期用の物資を渡すことになっています。政府はこれらの現金支援と配布に関し軍隊の協力を得る予定で、その間に、銀行口座、ATMカードやSIMカードなどの準備も進めていくことになっています。

 今回新たに発生した国内避難民の人々は、現在全く人道支援を受けておらず、自らの資産や親族に頼らざるを得ない状況です。これらの人々へ支援を実施する際の最も大きな課題はアクセスであり、現地当局には支援が入りやすくなるような対策が求められています。



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6月 26, 2014 国内避難民支援, 支援物資配布 |

2014年5月29日 (木)

新たな活動地、コハート

 ジェンは今年からハイバル・パフトゥンハー州(KP州)コハート県に事務所を設置し、隣接する連邦直轄部族地域(FATA)オラクザイ管区において帰還民自立支援を行っています。
 この支援と並行し、この5月から、コハート県内においても新たなプロジェクトが始動しました。内戦で被災し、同県に逃れてきた人たちのための支援です。

 コハート県はKP州南部の中心地で、州都ペシャワールの南方75km、車で約1時間のところにあります。ペシャワールとコハートの間には1.8kmのトンネルがあります。このトンネルは、日本政府の援助で建設されたものです。

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 同県は複数の部族から成る豊かな文化的背景を有しています。コハート市内から車で約10分のところには、「ドゥラニの墓」で知られる有名な遺跡もあります。
 
 

 コハートは、FATAのオラクザイ管区やクラム管区、北ワジリスタン管区への入口です。渓谷にある都市部に人々が暮らしています。タンダダム(貯水池)もあるので水資源が豊富であり、グアバ畑、野菜畑や他の穀物を潤しています。コハート産のグアバはとてもおいしく、KP州とFATAでとても人気があります。

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 山岳地帯で、整備された道や施設があり、コハート市は平和で資源に恵まれています。街は軍の野営地の周りに作られており、基本的な設備しっかりと整っています。立派な病院、ショッピングモール、銀行、学校、大学、新たに創設されたコハート大学、そのほか必要なものが揃っているのです。

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 街の外れにはアフガニスタン難民の村がたくさんありますが、治安状況は落ち着いています。コハート開発庁としてしられるコハート・タウンシップに、国際NGOや、国連機関、官庁などのオフィスが密集しています。




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5月 29, 2014 国内避難民支援 |

2014年5月15日 (木)

インダス川を渡る、おとぎ話の旅

 ジェンの現地スタッフは先日、ハイバル・パフトゥンハー州の25番目の郡として新たに認定された「トルガル」郡を、ニーズ調査の為に訪れました。別名「ブラック・マウンテン」とも呼ばれている同郡は、面積が約54平方キロメートルで山岳地帯にあり、人口はおよそ30万人です。

 トルガル郡はインダス川によって2つに分かれており、川を渡り、市場などに行く手段として、ボートが頻繁に使われています。ボートのほうが他の交通手段に比べ、時間がかからないのです。
 ジェンスタッフが調査を行なうため対象地域にジープで移動した時は、約1時間かかりましたが、帰りにボートを利用したら移動時間はほんの15分でした。トルガル郡の近くには、インダス川流域に建設されたパキスタン最大のダムである、タルベラ・ダムがあります。

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 今回の訪問では、驚きの旅をすることになりました。インダス川は上からの眺めでは落ち着いて安定した流れに見えますが、実際川を下り始めて皆、びっくりしました。中流ではものすごい速さで水が流れ、浮き沈みがとても激しく、ぞっとするほどだったのです。それでも船乗りは自分がしっかり舵を取っているから心配する必要は無いと、約束してくれました。中流を通過し、川の深い流域にたどり着くと、流れも落ち着き、旅も快適になってきました。

 インダス川が両側ともに山に囲まれているせいか、私たちはまるで、山あり谷ありの不思議な冒険をするおとぎ話の登場人物のようでした。今回の調査訪問はとても面白い旅となりました。

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5月 15, 2014 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2014年5月 1日 (木)

国内避難民の食糧安全保障実態調査

 KPK州とFATAは複雑な人道危機に見舞われており、今もなお多くの人が反政府武装勢力と政府軍の戦闘を逃れ、各地に避難を余儀なくされています。

 これらの地域で活動する人道支援機関は、支援プロジェクトを計画する際に避難民の数や人口動態、そのニーズについて、様々な異なるデータに頼らざるを得ないのが現状です。様々な地域で暮らす避難民がそれぞれ異なる側面を持つことを考えると、支援機関が入手するデータは、状況を細かく把握するには十分とは言えませんでした。

 食糧安全保障分野で活動する機関は皆、KPK州とFATAで暮らす避難民について、その実態の詳細を調査する必要性を感じていました。避難民キャンプで暮らす人はもちろん、キャンプ外に避難している人々についても、食生活のパターンや、収入・支出、確保できる食料の量、生活上のリスク、危機対応能力について、詳しく把握することが必要だと考えたのです。

 この構想は2013年に実行に移され、避難民の実態調査のためのツールや手法が開発されました。これらを使用した調査が2013年12月~2014年1月にかけて行われ、ジェンの現地スタッフ2名もデラ・イスマイル・カーン県の調査に参加しました。収集されたデータは分析後レポートにまとめられ、2014年5月に同じ分野で活動する機関全体で共有される予定です。

 そのレポートを、より信憑性が高く誰でも活用できるものにするため、先日、食糧安全保障分野で活動する各機関から調査結果についての意見を集めることを目的としたワークショップが開催されました。ジェンの現地スタッフもそのワークショップに参加してきました。そこで共有されたデータはKPK州内の国内避難民キャンプ3か所・キャンプ以外の4か所の避難民流入先・FATAの7管区中2管区から、市場調査・世帯訪問・住民とのディスカッションなど、様々な手法を用いて収集されていました。

 この調査レポートが、長い間苦しい状況に置かれている国内避難民の人たちへのより良い支援に役立てられることを期待しています。

 ジェン パキスタンコハート事務所 家畜専門家
 イブラヒム・ジャン

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5月 1, 2014 事務所・スタッフ, 国内避難民支援 |

2014年4月 3日 (木)

FATAでの課題の解決

 JENは連邦直轄部族地域(FATA)において、2012年12月より帰還民を対象とした事業を実施してきました。(活動概要は、こちらから)

彼ら帰還民は、政府と反政府勢力間での戦闘により、故郷から逃れた人々です。長引く不安定な情勢のため、FATAはパキスタン国内において紛争地帯として知られてきました。

 ここに住む人々はみな、伝統的に自分たちの武器を持っています。また、人々は、温かいもてなしの心や友情に厚いなどの特性を持っているとされる一方で、識字率は低く、長引く紛争に加担してきた一面も持ち合わせています。

 FATAクラム管区での事業実施期間中、JENスタッフは、水供給施設建設に関するコミュニティ住民同士の対立などの課題に直面してきました。支援の成果を得るためには、そのような対立をすぐに解決することが最も大切です。コミュニティの困難な状況に留意し、JENスタッフはFATAの社会構造に順応するよう努め、帰還民とのよりよい課題解決の方法を身につけてきました。

 現地スタッフは何事にも熱心に取り組みます。上述のような困難な状況の中、彼らは交渉力を発揮し、事業期間中、その時々で起こるあらゆる問題を適切に解決してきました。結果として、JENはクラム管区でのプロジェクトを成功裏に完了し、活動終了後の対象地域からの撤退も円滑に平和的に行うことができました。

 これらの経験を活かし、今後も困難な課題に直面しても地道に一つずつ解決し、支援を行っていきます。

【コミュニティ住民の話し合い】
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4月 3, 2014 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2014年3月20日 (木)

国内避難民の想い

 連邦直轄部族地域(FATA)で最近行われた空爆により、23,061世帯が住まいを失いました。

 現在、FATAに隣接するコハート県では27,700世帯の国内避難民たちが仮の住まいで暮らしています。殆どの避難民世帯の平均月収は5,000ルピー(約5,000円)程度と非常に低く、最も一般的な収入源は日雇い労働です。

 この状況の中、国連などの人道支援機関は食糧配布を毎月実施しています。

 現在コハートのジャルマに住んでいる、FATAオラクザイ管区出身のアクバル・バズさんはJENが現地調査で訪れた際、こう述べていました。

「私は人道支援機関から毎月、食糧の配給を受け取っていますが、これによって私たちが失ったものが取り戻されるわけではありません。私の子ども達は避難民としての生活を5年間も続けています。家族はもうバラバラで、我々パシュトゥーン人たちの民族的価値観も失われつつあります。これらをどうすれば、元に戻せるのでしょうか?私たちは家に戻りたくても、戻れません。そして、いつまでここで暮らし続けなくてはいけないかも分かりません」。

【アクバル・バズさんに話を聞くJENスタッフ】
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 アクバル・バズさんの言葉はすべての国内避難民たちの気持ちを表しています。彼のような状況におかれてしまった人たちが国内避難民としての生活をこれ以上送らなくてすむよう、この問題には政府だけでなく、国際社会が取り組む必要があるのです。

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3月 20, 2014 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2014年3月 6日 (木)

ミルク&雄山羊フェア

 ジェンは先日、デラ・イスマイル・カーンで行なっている国内避難民生計回復支援の一環として「ミルク&雄山羊フェア」を開催しました。

 このフェアでは、ジェンから生計手段として雄山羊、雌山羊を受け取った避難民の人々が、自分たちの山羊の質を競いました。雌山羊のミルクの量や、雄山羊の体重の重さを皆で比べて競争することで、よい事例を学び、山羊の管理を向上させていくことを目的としています。

 120名の国内避難民の方々が参加し、55名の避難民がミルクの量を競うため雌山羊を連れてきました。上位3位に入賞した雌山羊たちからは、それぞれ2300ml、2200ml、2140mlのミルクがとれました。

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 また、畜産指導員世帯の避難民17名は雄山羊の体重コンテストに参加し、上位3位以内の山羊の体重はそれぞれ72kg、71kg、69kgでした。入賞者はトロフィーや山羊の飼料といった賞品を授与されました。

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 別のブースではそれぞれ2頭、3頭、4頭の仔山羊を産んだ4頭の母山羊を紹介しました。もう1つのブースでは、県畜産局の担当者が避難民からの家畜管理に関する質問に答える場を設け、関連資料などを配布しました。
フェアには、畜産局担当者以外にも、民間の獣医、村の長老、そしてUNOCHAのデラ・イスマイル・カーン担当者も参加していました。これらの関係者たちから、ジェンは国内避難民の現在、及び今後の帰還へ向けた生計回復支援に対し感謝の言葉をいただきました。

 ※この活動は、支援者の皆さまおよび、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの協力をうけ実施しています。

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3月 6, 2014 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2014年1月23日 (木)

人道支援における調整と連携

 国際NGOとして、被災国において効果的なプログラムを実施していくにあたり、支援に関する各種調整はその礎となります。人道支援機関による被災地へのアクセスや最新の治安情勢の把握、また支援の重複を回避することや、もっとも脆弱な人々へ支援を届けることまで、現場でのしっかりとした調整が重要となる場面はさまざまです。

 ジェンは主に政府、人道支援機関、治安関連機関と調整をしながらパキスタンの支援活動を行っています。

 まず、政府レベルでは、パキスタン各地での活動の承認を得るため、パキスタン経済局と相互に連携を図っています。州レベルでは、ハイバル・パフトゥンハー州と連邦直轄部族地域(FATA)で活動を行うにあたり、それぞれの地域の災害対策本部から事業許可証(No Objection Certificate/NOC)の取得が必要となります。地域レベルにおいては、活動計画や活動進捗に関し、現地副長官と政府補佐官と共に調整しながら活動を実施しています。

 人道支援機関との連携では、ジェンは活動地へのアクセスに関連する問題やその結果について、UNOCHAと共有し、調整しています。また、ジェンの活動に関連する食料安全保障分野とWASH(水衛生)分野において、関係国際機関が集まる月例ミーティングに参加し、事業計画や進捗状況を共有しています。ミーティングでは、ほかの機関と活動内容や対象者が重複しないよう、どこでどのような内容の支援を、どの対象者に実施しているのかも報告し、ほかの団体とこまめに調整をしています。ジェンスタッフは、国連機関の主催する様々な研修にも積極的に参加しています。

 治安に関しては、スタッフの安全を確保するため、ジェンはパキスタン人道フォーラムに参加し、治安情報などを様々な団体と交換しています。また、ジェンはペシャワールを拠点とするハイバル・パフトゥンハー州国際NGOセキュリティーフォーラムの代表も務め、州レベルにおいても積極的に他機関と治安情報の交換を行っています。
 透明性を保ちつつ、安全に活動していくために、ジェンはパキスタンの政府治安機関担当者とも調整、連携を図っています。



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1月 23, 2014 事務所・スタッフ, 国内避難民支援 |

2014年1月 9日 (木)

支援成功の鍵、生計回復委員会

 生計回復委員会の設立は、パキスタンのデラ・イスマイル・カーンにおける国内避難民の生計回復支援事業の中でも重要な位置づけとなっています。

 生計回復委員会の主な目的は、コミュニティレベルのプラットフォームとして、事業の対象となる避難民の方々が事業活動を理解し、主体的に動けるよう働きかけることです。また、事業目的である生計の回復を事業終了後も持続させていくことも、大事な役目の一つです。
生計回復委員会の主なメンバーは避難民の中から選定される畜産指導員、事業対象地域の長老、県畜産局の職員となっています。

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 ジェンは2013年の活動において、2つの生計回復委員会を設立し、56名のメンバーを育成しました。コミュニティレベルで地元出身のこれらのメンバーが動いてくれることが、事業の目的達成に繋がります。

 この委員会は地元民でも異なる立場の人たちで構成されているため、支援対象コミュニティが直面する問題をジェンが解決する際、それぞれの特性を活かしサポートをしてくれます。
 
 また、委員会のメンバーは、山羊配布に必要な会場を手配したり、家畜管理の知識を広範囲に散らばって暮らす避難民に広めたりと、事業の促進にも非常に協力的です。 委員会メンバーの一員である畜産局職員は、電話で連絡を取れば、村を訪問して避難民の山羊の治療に当たることができます。また、同じく委員会メンバーの長老たちは、畜産指導員が担当している避難民の山羊の状態を定期的にチェックしているかどうか見守ってくれます。

 生計回復委員会は、ジェンが対象地域から撤退した後もコミュニティに残り、家畜管理に関する意識の向上、交配サービスの提供、山羊の傷病への対応などを通し、避難民の生計を支えていくプラットフォームになるのです。


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 パキスタン事務所長 アズマット・アリ

※この国内避難民生計回復事業は、支援者の皆さまおよび、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの協力を受け実施しています。

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1月 9, 2014 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2013年12月19日 (木)

衛生行動の変化における女性の役割

 FATAでは、宗教関連機関と家族、この二つの社会的な集合体が非常に強い影響力を持っています。家族は社会にとってもっとも影響力の大きい集合体の一つであり、女性がこのまとめ役となっています。

 女性は、知識を代々語り伝えるキーパーソンです。おばあちゃんやお年寄りの女性は、子どもたちへ聞かせる、代々伝わる昔話を詰め込んだ、大きなレコードともいえます。女性たちは知識、伝統、信仰、習慣等を新しい世代に伝えていきます。

 ジェンはFATAのクラム管区で衛生促進セッションを計画する際、SWOT分析(ある集団や個人の強み、弱み、機会、脅威を分析する手法)を通して、対象となる帰還民の中に、衛生に関して行動の変化に繋がる「機会」がないかと考えました。そしてその「機会」が女性であることを認識し、女性の特性を活かしながら衛生知識、習慣を広めるための計画を立てました。

 まず、活動の始めには、コミュニティリーダーを通して対象地域に衛生的な生活の大切さを伝えるようにしました。ひと度それが満足いくレベルまで到達してから、女性の行動変化に繋がる活動を開始しました。衛生促進のような新しい活動やコンセプトは、対象地域において影響力の強い家庭から、他の家庭に広まっていくため、スムーズに浸透していきます。

【ジェンスタッフによる女性たちへの衛生促進セッション】
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 現在、ジェンの衛生促進セッションを受けた家庭の女性たちは、自分たちの家の衛生環境を維持することができるようになってきています。それに加え、女性たちから衛生の大切さを日々伝えられる子どもたちは、非衛生的な行動に敏感になっています。5歳のNabi Shah君はジェンのスタッフにこう語りました。「ぼくのおばあさんが、土の中には虫の卵があって、靴を履かずに歩けば、虫が体に悪さすると言っていたんだ。だからぼくたちはみんな今、靴を履くようにしているんだよ」

【男の子の歯磨きを手伝うお母さん】
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【女の子の髪をとかすお母さん】
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 今、クラム管区の帰還民女性たちは、衛生に関しての知識を身に着け、実践に移し始めています。そしてその知識を次の世代に語り始めているのです。

 ※クラム管区での衛生促進活動は、支援者の皆さまおよび、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの協力を受け実施しています。

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12月 19, 2013 国内避難民支援, 衛生教育 |

2013年12月 5日 (木)

FATAにおける女性の生活の改善

 人道支援の指標として一般的に使われている「スフィア・スタンダード」によると、飲用水、また家庭および個人の衛生維持のために、人は1人1日最低約15リットルの水を必要とします。
 政府はこの基本的ニーズを提供する責任を担っていますが、途上国では往々にして、日常的に十分な水を確保できません。パキスタンや農村地域でも同様に、深刻な水問題を抱えています。
 
 

 連邦直轄部族地域(FATA)では、台所などで使われる家庭用水の調達は女性が担っています。一人の女性が25~30リットルの水を、場合によっては1キロも離れた水源から運んできます。FATAの女性は男性と比べ、さらに困難な生活を送っています。また、紛争によって.給水設備や泉などが破壊され、この社会から取り残されたコミュニティーの状況は更に悪化しました。

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 ジェンの給水施設支援は、村人たちにとっては画期的なことでした。
 対象地域の一つであるStaro Pakha 村のある女性は、ジェンスタッフにこう述べました。

「国内難民キャンプから帰還してきたら、家は破壊され、家畜はいなくなっていました。ベッド、洋服、全ての所持品は破壊されていたか、もしくはなくなっていました。飲料水を調達する水源も、長期間管理されずに放置されていたため、使用できなくなっていました。私たちは空を見上げて、神に祈り助けを求めました。
水を遠くから運んでくるのはとても大変です。断食月のラマダーンでも、私たちは20~30リットルの水を運ばなければなりません。この支援は私たちの祈りに神が答えてくださったとしか思えません」

 なお、現在彼女と子ども達は、ジェンによって家のすぐ近くに設置された蛇口から水をくんでいます。

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※この支援活動は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

 パキスタンFATAクラム管区事務所 フィールド・オフィサー 
 メナズ・ビビ

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12月 5, 2013 国内避難民支援 |

2013年11月21日 (木)

山羊管理セッション

 ジェンは2011年以来、デラ・イスマイル・カーン県にて、南ワジリスタン管区出身の国内避難民を対象に生計復帰支援事業を行なっており、今期はその3年目に当たります。今年は、対象となる国内避難民の人々の家畜管理に関する知識と技術の向上をめざし、活動内容に山羊管理セッションという重要な活動が含まれています。

 今年支援の対象となる国内避難民は960世帯で、同セッションは県家畜局職員によって実施されます。各セッションに約25名参加するので、全部で40セッションが開催されます。なお、セッションの会場は地元で暮らす国内避難民の人々がボランティアで提供してくれています。

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 ジェンスタッフと研修担当者たちから見て、国内避難民たちは家畜管理セッションにとても強い関心を持っているようです。生計回復委員会(LRC:Livelihood Recovery Committee )の強い働きかけによって、避難民の人々はきちんとセッションに参加することができています。

 山羊管理セッションは実用的な内容となっていて、避難民の人々は山羊の管理方法、飼育環境、そして応急処置などのノウハウを学びます。セッションを受講することで、山羊の疾病率や死亡率を減らすことも期待できます。

 これまでと同様、ジェンは今年も避難民の中から畜産指導員を選び、10日間の山羊管理研修を行って育成を進めています。しかしながら今年は、畜産指導員へ依存しすぎないよう、このセッションを通して基本的な知識と技術を直接他の避難民の人々へ伝えるようにしています。
 
ジェンの家畜専門家や研修担当の家畜局職員たちは、避難民の人々が自分の力で適切に家畜を管理できるようになるため、最善を尽くしています。

 今年は昨年と比べ、より一層の効果が期待できそうです。



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11月 21, 2013 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2013年10月24日 (木)

現地政府と国内避難民との連携促進

 現在の生計復帰支援が始まる前は、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民と現地政府機関である畜産局との間には、大きな溝がありました。特に、同県で家畜の管理について人々の意識を高めることに関し、きちんとした連携がありませんでした。

 JENが同県の国内避難民を対象に行っている生計復帰支援事業では、国内避難民を対象として、山羊管理について教えるセッションや研修を実施しています。JENはこれらのセッションや研修に、県畜産局の職員を巻き込む工夫をしてきました。また、本事業で国内避難民の人々が持続的な生計を取り戻すために設立する「生計回復委員会」に、畜産局獣医師にも参加してもらうようにしています。

 今年の生計復帰支援事業が始まってすぐに、JENは県家畜局との会議を開きました。会議では、本事業の活動における畜産局と国内避難民コミュニティの協同の可能性について、詳しく話し合いました。県畜産局の職員は、この活動に協力することを約束してくれました。

 畜産局から派遣された獣医師は、国内避難民に山羊を配布する前に実施される山羊管理セッションに参加してくれました。セッションでは、今後も国内避難民の人々が獣医師からアドバイスやサポートを受けられるよう、担当獣医師の連絡先が参加者間で共有されました。

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 国内避難民の中から選ばれ、山羊管理の指導役を担う畜産指導員を育成する研修では、県畜産局の職員がファシリテーターとして協力してくれました。

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 本事業でひとつ目の生計回復委員会が発足した際には、畜産局職員が2人、メンバーとして参加しました。もうひとつの生計回復委員会を発足する際も、同様に畜産局の指導員に参加してもらう予定です。

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 このように様々な方法によって、JENが支援対象としている地域では、畜産局と国内避難民が互いに歩み寄り、きちんと連携できるようになってきています。避難先で現地政府機関と協力しあうことは、JENの支援が終了した後も国内避難民が持続的な生計を維持していくために必要な要素なのです。

※この事業は、皆様おひとりおひとりからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームの協力によって実施しています。




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10月 24, 2013 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2013年10月10日 (木)

障がいとの戦い

 今回はジェンの事業地で、障がいを持つ家族を支える避難民男性のお話を紹介します。

 ハジ・サイディーンさんは75歳で、連邦直轄部族地域南ワジリスタン管区のマキーン村出身です。出身地での戦闘により避難を余儀なくされたサイディーンさんは、現在デラ・イスマイル・カーンパロア郡マッラ地区のマッラ・シュマリ村で暮らしています。

【インタビューに答えるサイディーンさん(右端)】
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 彼には、3人の娘と4人の息子がいますが、彼が実際に養っている家族は、甥っ子、姪っ子、孫たちを合わせて19人にも上ります。サイディーンさんは農園で働き、2人の息子は建設現場で働いていました。サイディーンさんのお兄さんは亡くなってしまったため、義理の姉妹や甥っ子、姪っ子を養えるのは彼しかいません。サイディーンさんの甥っ子の1人と姪っ子2人は生まれつき、知的な障がいを抱えています。

【サイディーンさん一家の子どもたち】
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 サイディーンさんは避難先のマッラ地区でホストファミリーと暮らしており、住む場所や日々の食事の援助など、とても親切にしてもらっています。ホストファミリーはサイディーンさんがUNHCRとWFPの支援対象として登録されるようサポートをしてくれたので、毎月の配給をもらうことができています。ホストファミリーの長は業務用オーブンの営業をしていたため、サイディーンさんは避難後すぐにそこで働くようになり、家を借りることができました。

 19人の扶養家族の生活費に加えて、サイディーンさんにとってもう一つ問題なのは3人の障がいを持っている子たちの医療費です。「今までたくさんのお金をかけてきたけど、この子たちの症状は一向に良くならない。まだ小さいのに、障がいを持っていて、家族はみんなこの子たちのことを心配しています」と、サイディーンさんは言います。

 ジェンはサイディーンさんが住んでいる地域を対象に、国内避難民の方々への支援活動を実施しています。ジェンの現地スタッフは彼の家を訪れ、彼と甥っ子を支援の対象者として登録し、山羊を配布しました。2人は、ジェンが提供する山羊管理について学ぶセッションにも出席して勉強をしました。

「山羊を受け取り、世話をしながらミルクも手入れることができ、生活に希望が持てるようになりました。管理方法についても詳しくなれたので、これからはこの山羊をつかって収入を得ることができるようになりたいと思います」とサイディーンさんは話しました。



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10月 10, 2013 国内避難民支援 |

2013年9月26日 (木)

より良い明日への希望

 今回はデラ・イスマイル・カーンにおける支援活動の対象者の一人であるワジール・ジャンさんに聞いたお話をご紹介します。ワジールさんは現在85歳で、息子2人と妻と一緒に暮らしています。

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「私の家族はこれまでとても貧しい環境で暮らしてきました。以前は住んでいた村の中で、家と小さな土地を所有しており、それを耕作地として使うための水も十分にありました。そのころは幸せな生活を送っていました。

 ところがある日近所のモスクで、パキスタン軍が反政府武装勢力掃討作戦を私の村で行う、ということが発表されました。避難するための交通費すらなかった私は、頭が真っ白になりました。避難する時、私は自分の家が空爆で破壊されるのを見ました。その瞬間、全ての希望と夢を失いました。避難先には徒歩で行かなくてはならなかったため、ほとんど何も持っていくことが出来ず、全ての財産を破壊された家の中に置き去りにせざるを得ませんでした。

 避難当初はデラ・イスマイル・カーンに移りましたが、避難所がなかったので近くのダラバン郡の親戚の元に身を寄せました。そこでは小さなテントでの絶望的な貧困生活が半年続きました。

 2010年8月には、猛暑の中突如大雨と嵐が始まり、私はテントを出て用水路の土手に避難しました。洪水は私の全ての荷物を流し、小屋は破壊され、避難当初の状態に戻ってしまいました。

 現在は草と木で出来た小さな小屋に住んでいます。非常に小さく、一家全員が入るのがやっとです。子ども達は幼く、まだ働くことが出来ないので、私のわずかな収入で一家を支えています。電気設備が無いため夏の猛暑の中での生活は過酷で、私は子どもたちと出来る限り橋の下で日差しを避けて過ごしています。冬は非常に寒く咳やインフルエンザに悩まされ、雨季には小屋が水漏れします。私は人生がこれほど辛いものになるとは思ってもみませんでした。

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 私は人道支援機関から援助や寄付を受けるために長い距離を頻繁に移動していましたが、唯一私の家を訪問し、生計復帰事業に登録してくれたのがジェンでした。私はジェンから収入を増やす手段として、ビートル種の山羊を受け取りました。これから全力で山羊を管理し、生計を回復し、生活状態を向上させることに尽くしていこうと思います。



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9月 26, 2013 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2013年8月29日 (木)

ヤギ配布による子どものケア

 ジェンは2011年7月以降、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民の方々へ、生計手段としてのヤギを配布する活動を継続しています。これらの避難民は2009年の連邦直轄部族地域(FATA)南ワジリスタン管区での戦闘により、避難を余儀なくされ、2010年に起きた大規模な洪水で再び被災し、全てを失ってしまいました。

 ジェンの支援対象となっているのは、未亡人や孤児、母子家庭、身体障がい者、高齢者や、世帯人数の多い家庭など、避難民の中でもより脆弱な立場にある人々です。
ヤギの配布は国内避難民の人々の生計回復を支えるだけでなく、多くのケースにおいて心のケアにも役立っているようです。特に孤児の子どもたちにとっては、ヤギは生計源でありながら、大切な遊び相手にもなっています。

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 支援対象である孤児たちは、身を寄せた世帯の保護者に全面的に依存せざるを得ない生活を送っていました。ヤギを受け取ってからは、そのミルクを自分たちで飲んだり、あるいは売ったりしているそうです。ヤギの飼育によって得た収入で学校に行くことができるようになった孤児たちもいます。子どもたちは子ヤギと遊ぶのが大好きで、積極的に草原へ子ヤギを放牧しにいき、忙しくしているようです。
 こうして外でたくさん遊ぶことで、子どもたちの心の中にある、紛争や避難生活による心理的な苦痛や不安を和らげる効果もあるのです。

 ジェンは今年もより脆弱な立場にある避難民の方々へ、ヤギの配布を続けています。


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8月 29, 2013 国内避難民支援 |

2013年8月15日 (木)

もう問題はたくさん!

 パキスタンでは、雨は天からの恵みと考えられています。雨は農業には欠かせないものですし、猛暑を和らげる効果もあります。特に夏に降水量が少ないときには、パキスタン人はモスクで
雨が降るようお祈りをすることもあります。

 しかし皮肉なことに、その恵みの雨は、不十分な雨水排水システムや森林破壊、粗雑な作りの護岸堤防が原因となり、災害を引き起こしてしまうことがあります。

 モンスーンの雨により、何千ものパキスタンの家庭が苦しまされ続けて今年で4年目になります。森林破壊によって雨は破壊的な洪水を引き起こし、被災地域のあらゆるものを破壊してしまっているのです。

 まだ記憶に残っている2010年の洪水では、2000万人の人々が直接被災し、多くの人が命を落とし、生計手段を失いました。当時はパキスタンの全陸地面積の約5分の1が水没したといわれています。

 残念ながら、パキスタンの人々は2010年の災害から学ぶことはなく、2011年のモンスーン時期には再び洪水に見舞われ、361名の死者が出てしまいました。この洪水では、シンド州では約530万人、120万世帯の家屋が被災しましたが、幸いほかの地域では被害は少なく済みました。

 2012年にも再び洪水が発生し、ハイバル・パフトゥンハー州、パンジャブ州、そしてシンド州北部において100人以上の死者が出たほか、数千世帯の家屋が被災しました。
今年も2週間前に始まった豪雨により、すでに約80名の死者がでており、数百世帯が住まいを失い、数千エーカーの農地が被災し、農作物とインフラに大規模なダメージを与えています。

【洪水により寸断された道路】
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【洪水により流された橋】
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 被災したコミュニティは政府や人道支援機関などによる援助を待ち望んでいますが、パキスタンへの資金援助は年々減少傾向にあり、これが被災コミュニティに深刻な影響を与えています。
 
 

 すでにたくさんの問題を抱えているパキスタンの人々をこれ以上苦しめることがないよう、今年のモンスーンが2010年に起きた洪水のように甚大な被害を出さないことを祈っています。

イスラマバード事務所長アズマット・アリ




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8月 15, 2013 国内避難民支援 |

2013年8月 1日 (木)

水管理委員会設立で起きた村の変化

 ジェンは現在連邦直轄部族地域(FATA)のクラム管区において、紛争後に避難先から帰ってきた人々が暮らす地域を対象に、給水施設の整備と衛生促進の支援を実施しています。

 給水施設を整備する地域では、施設整備の完了後も村人たち自身で適切に維持管理を継続していけるよう、その責任を担う「水管理委員会」を設立します。

 今回、対象地域の一つであるスタロ・パカ村において、委員会設立の影響に関するインタビューを行いました。答えてくれたのは、村人のモハマド・ジャマルさん、マザ・カーンさん、ムハマドさんの3名です。

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 彼らの話によると、委員会設立前は、村では多くの仲たがいや取っ組み合いの喧嘩があり、村人たちが抱えている内外の問題について一か所に集まって話し合うことができなかったのだそうです。小さなことで長い間争いあい、亡くなる人さえいたとのことでした。

 モハマド・ジャマルさんは、ジェンのサポートにより、村人たちは皆で集まって問題やその解決方法について話し合う姿勢を持ち始めたといいます。これにより水管理委員会を立ち上げることができ、村にとって最も重大な課題となっていた安全な飲み水について、話し合うことができるようになったそうです。

 マザ・カーンさんによると、この委員会の設立を受け、村の長老とジェンとの間で、今回の給水施設整備と衛生教育支援に関し、協力していくことを約束する覚書を交わすことができたそうです。これは、現在、将来、そして恒久的に村の問題を解決していくためのとても前向きなステップである、と話してくれました。

 ムハマドさんもまた、委員会を作る前は村人同士で集まって問題を話し合うことができなかったけれど、今では村の繁栄、特に安全な水の確保のために協力し合っていると話してくれました。彼自身も、給水施設工事の労働者として参加を申し出ているそうです。

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 彼らは皆、これからもこの活動を継続し、委員会のメンバーをサポートしていくことを約束しています。

 クラム管区事務所 シニア・フィールドオフィサー 
 ラティフ・ウラー・ジャン・バンガシュ 




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8月 1, 2013 国内避難民支援 |

2013年7月18日 (木)

衛生促進パレード

JENは現在、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成により、FATA(連邦直轄部族地域)クラム管区において帰還民の水衛生環境改善支援に取り組んでいます。このプロジェクトの活動の一つは、2008年以降の戦闘によって破壊された既存の水供給施設の整備です。もう一つの活動は、帰還民たちの健康状態の改善・維持を目的とした衛生促進です。

先日ジェンの現地スタッフは、支援対象の一つであるニジャブ・カライ村を訪ね、年長者を対象に衛生促進セッションを行い、日常生活における衛生の大切さを伝えました。

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その際、村にはたくさんの子どもたちもいたため、現地スタッフは子どもたちにも衛生について話しました。すると子どもたちはその話に興味津々で、現地スタッフが村のほかの地域に移動する際にも、後ろをついて回り始めたそうです。
子どもたちはJENが各世帯へ配布している衛生パンフレットを持ってジェンスタッフとともに村中の道を練り歩き、それを見た他の子どもたちも次々と仲間に加わりました。紛争で苦しんだ経験を持つ子どもたちが、この「衛生促進パレード」ではとても楽しそうで、うきうきしていました。

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このパレードは村中の年長者や他の子どもたちを魅了しました。年長者や村の関係者たちは、これらの帰還民の健康状態を改善しようとするJENの取り組みに感謝の意を示しました。活動の中で偶然生まれたこのパレードは、子どもを巻き込んだ画期的なアプローチとして、中央クラム政権にも評価されました。

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 これらの子どもたちが、今後も衛生メッセージを周りに伝えていってくれることを期待しています。




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7月 18, 2013 国内避難民支援, 衛生教育 |

2013年7月 4日 (木)

猛暑と闘う国内避難民とジェンスタッフ

 デラ・イスマイル・カーン県はインダス川の西岸、ハイバル・パフトゥンハー州の最南端に位置しています。パンジャブ州、バロチスタン州とも境界を接する同県は、周辺地域の中で地理的に重要な場所となっています。

 デラ・イスマイル・カーンは砂漠気候で、夏は暑く、冬は比較的穏やかです。雨は1年のうち晩冬から初春(2月~4月)とモンスーンの時期(6月と7月)に集中して降ります。今年の夏も非常に暑く、これまでですでに最高気温が49度に達したと報じられました。

【国内避難民の男性の話を聞くジェンスタッフ(写真左)】
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 ジェンは、2008年から2009年にかけての戦闘によって南ワジリスタン管区からデラ・イスマイル・カーンに避難を余儀なくされた人々の支援を実施しています。今年支援の対象となっている村で生活する国内避難民の人々は、この猛暑の中、最悪の住環境の中で必死に耐えています。
 パロア郡では、国内避難民の人だけでなく、彼らを受け入れているコミュニティの人ですら、きれいな水へのアクセスがありません。国内避難民の人々の中には、灌漑用水路や池の水を飲み水に使用する人もいます。

 また、パキスタン全土で電力不足が広く問題になっていますが、国内避難民が暮らすテントには、そもそも電気が通っていません。そのため、暑さに拍車がかかっているのです。
 
 国内避難民の小さな子どもたちは、近所の川や運河、用水路などで水浴びをして一日を過ごしています。もともと涼しい南ワジリスタン管区出身の避難民の人々は、デラ・イスマイル・カーンの暑さに適応するのが難しく、今年はすでに2名が異常な高熱により亡くなったそうです。

【水浴びをする子どもたち】
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【川で水浴びをしてきた子どもたち。全身ずぶ濡れです】
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 このような暑さの中、生計回復委員会の設立、ヤギの配布、様々な研修など、様々な活動が今年の事業で計画されています。ジェンの現地スタッフは比較的涼しい早朝に活動を開始し、直射日光のダメージを減らすために濡らした布を頭に巻くようにしています。また、汗とともに消耗するエネルギーやミネラルを補うため、砂糖と塩を混ぜた水を飲むようにしています。

【国内避難民のコミュニティーとミーティングをするジェンスタッフ。首や頭に濡れたスカーフを巻いています(左から2番目、3番目、4番目)】
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 この暑い環境をどうにか乗り越え、できる限り早く支援を届けられるよう、色々と工夫をしながら活動を進めていきます。



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7月 4, 2013 国内避難民支援 |

2013年6月20日 (木)

デラ・イスマイル・カーン事務所の新人研修

先日、9名の新人スタッフが、デラ・イスマイル・カーン事務所に加わり、オリエンテーション兼新人研修を行いました。

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 フィールドオフィサー2名、フィールドアシスタント2名、家畜アシスタント2名、会計アシスタント1名、倉庫アシスタント1名に物資配布員1名です。これらの職員は今後、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成を受け実施中の国内避難民生計復帰支援事業の業務を担当します。

 研修には、ほかにプロジェクトマネージャー、プロジェクトオフィサー、家畜専門家、検疫オフィサー、研修オフィサーと総務ロジスティクスオフィサーが参加しました。

 この新人研修の目的は、これまで継続してきたプログラムやプロジェクトをジェンのミッションやビジョンに照らして新人スタッフに理解してもらい、プロジェクト管理やコミュニティを動かすための基礎知識を身につけてもらうことです。

 新人スタッフは、現在実施中の事業と関連付けながら、事業全体のプロセスについて学びました。研修で教えられた主なトピックは、ニーズ調査、支援対象者・畜産指導員・年長者の登録、山羊管理研修、検疫期間、生活回復委員会の組織形成、支援物資の配布、ミルクフェスティバル、モニタリング、地区当局との調整、対象地域でのセキュリティ対策、そして最も重要なコミュニティを動かすスキルについてです。

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 研修方法は、さまざまな手法を採用して興味をかきたて、活発な対話が生まれるようなものにしています。研修は、それぞれのトピックについて、ロールプレイやケース・スタディ、現場からのストーリーの紹介、グループ作業、ブレインストーミングや講義を交えながら進められました。

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 新人スタッフは今後の過密な事業スケジュールに感作されつつ、限られた時間の中でしっかりと内容を習得できるよう、徹底したチームワークで研修に臨みました。




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6月 20, 2013 事務所・スタッフ, 国内避難民支援 |

2013年6月 6日 (木)

新たに流入した国内避難民の状況

 連邦直轄部族地域(FATA)の南ワジリスタン管区は①ラドハ、②セルウォカイ、③ワナの3つの地区に分かれており、ラドハとセルウォカイでは今もなお戦闘が続いています。ワナは戦闘の被害を受けておらず、比較的安全な地域です。

 2008年から2009年にかけての激しい戦闘により、ラドハとセルウォカイのほぼ全人口が、パキスタン国内の様々な地域へ避難を余儀なくされました。その多くはデラ・イスマイル・カーン県、タンク県、カラチ、北ワジリスタン管区、南ワジリスタン管区のワナ地区に移り住みました。

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 ディン・ボブライさんは、南ワジリスタン管区のティアルザ郡出身です。彼の故郷での職業は、日雇い労働者で、4人の娘と5人の息子がいます。長男は15歳で、カラチでガイドとして働いています。ボブライさん一家の1か月の総収入は、約10000パキスタン・ルピー(5000パキスタン・ルピーが彼の息子の月給で、あとは日雇労働の日給)でした。

 戦闘の影響を受けたボブライさん一家は、南ワジリスタン管区のワナ地区シャカイ郡まで歩いて避難しました。シャカイにたどり着くまでに、一昼夜かかったといいます。それ以降5年間、ボブライさん一家はテント暮らしを続け、日雇い労働で生計を立ててきたそうです。

 南ワジリスタンの状況は、2012年12月にワジール族の過激派指揮官の死後、最悪となりました。新たな戦闘によって、ワナ地区からも避難民が発生し、デラ・イスマイル・カーン県、タンク県やカラチへ約5000世帯が避難をすることになりました。

 ボブライさんもその一人で、デラ・イスマイル・カーン県のパロア郡、ミラン地区の村に避難し、テント生活を続けています。WFPからは食糧の支援を受けているものの、他の人道支援機関からの支援は一切受けられていません。

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 ボブライさんはジェンスタッフに話しました。「故郷での紛争ですべての財産を失い、もう私も家族も完全におしまいです。2~3世代かかっても、私の財産を取り戻すことは不可能です。故郷に帰るより、避難民として生きていくほうがまだましです」

 また、「私と息子が家族全員を養わなければならない。私の妹も、夫の死後一緒に暮らしているが 、妹は目が不自由で、その薬代を私が全部まかなっているんです」とも言いました。

 ボブライさんの話によると、新しく流入してきた避難民の人たちは、シェルターや収入、生活に必要な基本設備の不足により、遊牧民のように転々と移動を余儀なくされています。そのような生活を続けてきたため、ピリピリして落ち着かない精神状態にあるといいます。

 新たに流入してきて、支援を受けられない多くの避難民は、人道支援機関や政府からの援助を待っています。ジェンは今年ボブライさんが暮らす地域を対象に、生計復帰支援を実施します。



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6月 6, 2013 国内避難民支援 | | トラックバック (0)

2013年4月25日 (木)

クラム管区の屋根修復キット配布

 2009年にクラム管区で激化したパキスタン政府軍の武装勢力掃討作戦は、甚大な規模の国内避難民を発生させました。現地当局によると、当時の避難民の発生規模はこれまでで最大規模だったといいます。一説では、当時発生した国内避難民の数は1万人以上に上るとも言われています。

 避難民の大部分はハイバル・パフトゥンハー州やパンジャブ州のホストファミリーの家に身を寄せましたが、難民キャンプに避難した人も多数いました。

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 2012年の秋、掃討作戦が終了したクラム管区へ一部の避難民が大量に帰還した際、現地災害対策本部は緊急のニーズとして、NGOや国際機関へシェルター支援を要請しました。ジェンはこの要請を受け、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成により、支援を開始しました。

 当初は100世帯の支援を予定していましたが、その後145世帯へ対象世帯を増加し、支援を行いました。避難民の中でも、家の屋根や窓、ドアが破壊され、修復したり新しい家を建てたりする費用が賄えない人びとへ、ジェンは屋根の修復キットの配布を行いました。

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 配布の際、ジェンは帰還民の人々がアクセスしやすい地域まで資材をまとめて運び、更にそこから各世帯の玄関までの資材の運搬をサポートしました。ジェンは、帰還民の人々と、早期に家の修復作業を終えるため協力してもらうことを約束し、かれらは資材の配布後すぐに修復作業を進めてくれました。

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 配布した資材がきちんと使用され、家が修復されているかどうかは、ジェンの現地スタッフによる定期モニタリングで確認をしました。雪や雨による作業の遅れはありましたが、最終的には145世帯全てにおいて、帰還民自らの手で修復を完了させることができました。
 

4月 25, 2013 国内避難民支援 |

2013年4月11日 (木)

パキスタン国内避難民支援の近況

 今年3月中旬以降、連邦直轄部族地域(FATA)のカイバル管区マイダン地区から約5万人の国内避難民が発生しています。同地域において、異なる武装勢力同士の対立が激化しているためです。避難民の人々は、避難民キャンプを含むFATA内の別地域や隣接するハイバル・パフトゥンハー州の各地に避難を余儀なくされました。
 政府はこれから約半年のうちに、約6万人(1万世帯)にのぼる避難民がマイダン地区から流出するとみています。

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 FATAの治安情勢はこの10年間非常に不安定で、2008年以降は各地で避難民の流出・帰還が並行して繰り返し発生している状況です。現在、各人道支援機関は、FATAとハイバル・パフトゥンハー州の約163,102世帯(約757,996人)に支援を行っています。

 パキスタン国内ではアフガニスタンから避難してきた難民約164万人も人道支援の対象となっており、更に2009年以降FATAへ帰還した約130万人の帰還民も、人道支援を必要としています。各人道支援機関は避難民キャンプの内外で、避難民登録の有無にかかわらず、国内避難民を対象に食料配給や、救援物資配布、輸送手段やヘルスケアサービスを提供しています。

 ジェンも国内避難民支援を活発に行う団体の一つです。2011年以降、ジェンは特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成を受け、ハイバル・パフトゥンハー州のデラ・イスマイル・カーン県において、FATAから逃れてきた国内避難民の支援を行っています。更に、ジェンはFATAのクラム管区において、避難先から帰還した人々の再定住支援も実施しています。

 パキスタン国内の避難民・帰還民の支援ニーズはまだまだ大きいため、ジェンは今後も引き続きこれらの人々へ必要なサポートを行っていきます。

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4月 11, 2013 国内避難民支援 |

2013年3月28日 (木)

パキスタンにおけるNGO人道支援の壁

 最近パキスタンでは、人道支援団体とその職員たちが、ハイバル・パフトゥンハー州と連邦直轄部族地域(FATA)各地へのアクセスの問題に直面しています。
 

 これらの地域でNGOが活動するためには、政府機関からの事業実施許可証(NOC:No Objection Certificate)を取得する必要があります。この許可証の取得までのチェック増加と厳格化に加え、現地スタッフの通行許可証取得が難しくなったことで、人道支援のための対象地アクセスが悪化しているのです。

 事業実施許可証は通常、申請から取得まで最低でも約1か月かかると言われています。また、最近新たに取得を義務付けられた現地スタッフの通行許可証は、当初申請から取得までに6~8週間かかると言われていました。この通行許可証の処理時間は、人道支援関係者からの強い要求により5日間に縮小されることになりましたが、まだ実効には至っていません。

 不安定な治安状況により、これまで以上に厳しいセキュリティ対策を取らなければならないこと、人道支援機関職員を狙った殺人や誘拐などの事件が増えていることも障害となっています。

 軍事行動が続いている地域もあれば、避難民の帰還の告知がされていない地域もあるといった複雑な状況や、度重なる自然災害の発生により、紛争や災害被災者の窮状は厳しさを増しています。同時に、ジェンを含む人道支援関係者にとっての課題も、パキスタン全土において増大しています。

 このような状況により、人道支援機関が素早く被災者のもとへ向かうことが困難になっており、被災者も人道支援を効率的に受けることができない状況が続いています。
 

 ジェンはこれらの課題の解決策を探りながら、少しでも早く必要な人々へ必要な支援を届けられるよう、活動を続けていきます。

3月 28, 2013 国内避難民支援 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月28日 (木)

帰還民支援で見た嬉し涙~ハナンさんの話~

 JENは昨年の12月より、パキスタンの北西部にある連邦直轄部族地域クラム管区にて帰還民の支援事業を行っています。

 同地域では2008年から武装勢力とパキスタン軍との紛争が起き、たくさんの人々が避難生活を送らざるを得ない状況になりました。現在はパキスタン軍の掃討作戦によって武装勢力が撤退したため治安が安定し、避難されていた方々が徐々に帰還を始めている状況です。

 しかしながら、帰還先の村では戦闘によってたくさんの家々が破壊されました。その修復を行うことが元の生活に戻る為の第一歩で、現地で最も緊急性の高いニーズであったため、ジェンは屋根の修復資材の支援を行っています。

 最も支援を必要としている人びとを支援するため、ジェンのスタッフは現地政府機関やコミュニティーリーダーと協力し、実地調査と話し合いの結果145世帯を選定しました。この選定に関わった全員が、「最も支援が必要な世帯」として一致したのがハナン((仮名)さんです。もしもJENが1世帯だけを選んで支援するとしたら、迷わず彼女を支援すべきとまで言われたハナンさんについて、今回は紹介させていただきます。

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 ハナンさんは現在57歳で、マルダン地区出身です。20歳の時にクラム管区のジャンさんと結婚したのを機に、同管区へ移住しました。一家はジャンさんの肉体労働によって生計を立てていましたが、ある日突然ジャンさんは心臓発作で急死してしまいました。収入手段を失い、8人の子どもを抱えた彼女はとても困難な状況に直面します。二人の娘は紛争前に亡くなり、唯一の息子も障がいを抱えていました。やがて紛争が始まり、一家はサッダ地区へ避難しましたが、以降数年間に渡り、避難キャンプでの過酷な生活を余儀なくされました。

 避難先では義兄からもらった泥で作られた家で生活をしていましたが、その家も壊れ、ハナンさん一家は完全に住む場所を失ってしまいました。帰還後は何とか義兄の家族の元で部屋を共有させてもらって生活していました。調査によって彼女の存在を知ったジェンスタッフは優先的にハナンさんを訪ねて調査を行い、彼女を1世帯目の支援先として選定しました。ジェンスタッフが住居修復資材一式を支援することを伝えた時は、ハナンさんにとって言葉には言い表せない感極まる瞬間でした。

「ジェンのような団体が村に来て、このような支援を受けられることが信じられない」とハナンさんは言いました。「これはただの部屋ではなく、私と家族にとって全てなんです。この部屋があれば、雨風から家族を守ることができるのですから。何より、義兄一家に頼らずに自立して生活が営めることが嬉しい」。

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 ハナンさんや、彼女の村の人びとは皆非常に過酷な生活を強いられ、誰もが住居の事で頭を抱えていました。JENが最初に出会った時、ハナンさんは自分の辛い経験を話しながら泣いていました。その彼女が、家の修復後に訪ねた時には、自分の部屋を持てることに感激し、嬉しさで涙が止まりませんでした。ハナンさんは、自身とコミュニティーへの支援に関し、JENと日本の人々に感謝している、と話してくれました。

2月 28, 2013 国内避難民支援 |

2013年2月14日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)での支援、本格化

 2012年12月から、ジェンは連邦直轄部族地域(FATA)のクラム管区という地域で、帰還民の緊急支援を開始しました。
 この活動は、国内避難民の長引く避難生活に確実に終止符を打ち、元の生活を取り戻してもらうための第一歩となります。

 ジェンはクラム管区に帰還した家族145世帯へ、戦闘で破壊された屋根やドア、窓を修復するための「屋根修復キット」を配布しています。

 FATAとその周辺地域は、パキスタン政府軍と反武装勢力との戦闘による影響を直に受けてきた地域です。ジェンが今回支援対象としている帰還民の人びとは、戦闘から身を守るため、長い間FATAの他地域又は隣接するハイバル・パフトゥンハー州の避難民キャンプや、親戚・知人の家での避難生活を強いられていました。

 これらの避難先から帰還した人々が最も必要としているものが何かを探るため、ジェンは帰還先のクラム管区で住民参加型の調査を行いました。現地のニーズは、帰還民や住民自身が最も良く知っているからです。支援の為の調査、計画段階から現地の人びとに参加してもらうことは、人びとの自信にも繋がります。帰還民の人びとは、自分たちが戦争の被災者として支援を受け取るだけの存在ではなく、支援活動を形作る当事者である、と認識するようになります。

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 調査では7村から約55名の長老が参加しました。

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 1人1人の意見に耳を傾け深く協議した結果、現地で最もニーズが高いのは、治安の安定、住居の確保、安全な水の確保、保健の充実の4点であることが分かりました。

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 ジェンは更に他機関を含めた支援状況などを分析し、現在の屋根修復キットの支援終了後は安全な水の供給と衛生環境の改善を支援していくことを決めました。春からこれらの活動ができるよう、現在準備を進めているところです。

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2月 14, 2013 国内避難民支援 |

2013年1月31日 (木)

国内避難民に学ぶ、冬の山羊の育て方

 ジェンが活動するデラ・イスマイル・カーン県は平地であるため、冬が来ると寒さと霧が人々の生活に影響をもたらします。

 この地域の冬は短いのですが、寒さは厳しく、霧が出ると更に冷え込みます。他の季節に比べ、冬の間の山羊の飼育はきちんとした小屋の用意など、少し工夫が必要になります。日中の気温は問題無いのですが、夜間や霧がかかっている時は山羊が小屋の中で地面に排尿をするため、湿気がこもってしまうのです。どの動物にも言えることですが、山羊は特に湿気を嫌います。また、湿気は雑菌の増殖を促し、感染症の発症の危険を高めます。
 
 
 
 
 

 ジェンが支援しているデラ・イスマイル・カーンの国内避難民の人びとは、もともと寒い地方の出身であるため、冬の間の山羊の育て方をよく知っていました。ジェンの現地スタッフが行っている山羊配布後の世帯訪問では、国内避難民の人たちの経済的で興味深い山羊飼育方法を見せてもらうことができました。

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 以下は、実際に避難民の人たちが冬の間工夫していることの一例です。
・山羊を寒さや冷たい雨風から守れるような部屋/小屋を作って、一日一回は掃除をする
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・冷え込みの強い夜には、麦わらでつくった厚みのある柔らかいベッドを部屋/小屋の中に作ってやる

・保温のため、山羊 (特に仔山羊)に、ウール等のショールや、古着のセーターなどを着せる
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・特に寒い日は、できるだけ山羊を屋内にいれてあげたり、たき火で小屋を温めるなどして、温かさを保てるようにする

・冬の間は、貯めてある水の方が冷たいため、新鮮な水を山羊に与えるようにする

・日中はできる限り山羊を放牧して、十分に栄養を取らせるようにする
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 山羊は避難民にとってとても大切な財産です。皆きちんとケアをして、冬を乗り切ろうとしています。

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2/18、2/20 ニュージーランドワインのチャリティ試飲会を開催いたします!

東京会場
■日時:2013年2月18日(月)18:30 – 20:30(18:00開場)
■場所:ザ・リッツ・カールトンホテル東京 2階 グランドボールルーム

大阪会場
■日時:2013年2月20日(水)18:30 – 20:30(18:00開場)
■場所:ホテルモントレ大阪

お問い合わせ、お申込みは、こちら


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1月 31, 2013 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2013年1月17日 (木)

マスード族避難民の二重の苦難

 2009年10月、パキスタンの連邦直轄族地域(FATA)南ワジリスタン管区のマスード族が住んでいた地域で、パキスタン政府による反政府武装勢力掃討作戦が開始されました。マスード族の人びとは一斉に戦闘を逃れ、ジェンが活動するデラ・イスマイル・カーン県や隣接するタンク県、または南ワジリスタンのワナという地域などに避難しました。
 
 ワナにはワジール族という部族が住んでいます。当初ワジール族はマスード族の国内避難民を温かく迎え入れ、生活資金や住居などのサポートをしていました。その土地で、避難民の人びとは果樹園や市場、日雇労働などで生計を立て始めました。避難当初からこれまで、ワナに避難したマスード族は避難民として国連機関に登録する機会がありませんでした。そのため、政府機関や国際機関からの支援は一切ありませんでした。

 ワナのマスード族避難民は、困難ながらもどうにか生活していましたが、2011年7月に同地域で起きた治安関連の事件をきっかけに、ワジール族とマスード族の関係が緊張し始めました。ワナの現地治安当局によるマスード族への締め付けは厳しくなっていきました。

 やがて2012年11月にワジール族平和委員会のリーダーが何者かに狙われ、攻撃されるという事件が起き、事態は更に悪化しました。同平和委員会とワジール族の長老たちは会議の結果、マスード族避難民に対し、2012年12月5日までにワナを出ていくよう、最後通告を出したのです。

 これにより、ワナのマスード族避難民は再び安全な場所を探す為、もう一度避難しなければならなくなってしまいました。多くのマスード族避難民はタンク県とデラ・イスマイル・カーン県に移動しましたが、これらの県には既に多くのマスード族が避難しており、新しく流入した彼らは現在困難に直面しています。

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 国連機関などが新たな避難民の登録を開始していますが、二度に渡り避難を余儀なくされた彼らには、あらゆる面からの生活サポートが急務となっています。

ジェンもこれらの人びとの今後の状況に関し、情報収集を行っていく予定です。

 

1月 17, 2013 国内避難民支援 |

2012年12月27日 (木)

2011年畜産指導員とのミーティング

2011年の下半期、ジェンはデラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民の生計回復へ向けた支援を開始しました。この活動は2012年も継続されていますが、今回は前回記事に引き続き、2011年の支援のその後についてご報告します。

 

2011年には、国内避難民500家族に山羊が配布されました。このうち畜産指導員がいる20世帯にはオスの山羊が配布され、これらの指導員は10日間にわたる山羊管理研修を受けました。

畜産指導員はそれぞれが担当する24の国内避難民世帯へ、山羊管理に関する知識を広める役割を担います。また指導員は必要に応じて山羊の応急処置や予防接種、駆虫、交配の為のオス山羊貸し出しをする他、2011年内は担当する避難民の山羊の様子を定期的にジェン職員へ報告する義務を持っていました。同年の活動は、彼らがきちんと業務をこなしたことで成功し、2012年には2727世帯に規模を拡大して活動が継続されることになりました。

 

ジェンはその後年の経過を調べるために、当時の畜産指導員とのミーティングを行いました。畜産指導員たちはジェンの活動終了後も定期的に担当避難民世帯を訪問することになっており、それぞれが担当する世帯の山羊の状況や自分の活動について共有してくれました。その報告から、山羊のミルクや仔山羊が国内避難民の人々の生計回復に役立っていることが、しっかりと伝わってきました。

 

【ミーティングの様子】

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 2011年にジェンが支援を届けた国内避難民の人びとは、現在も山羊のミルクを自宅で消費したり、市場で売ったりして生活に役立てているとのことです。ミーティングでは、既に500世帯のうち約25%の世帯でメス山羊が二回目出産をしている事がわかりました。家族の病気の治療費など緊急の支出があり、仔山羊をすぐに売った人もいますが、ほとんどの避難民の人びとは成長して価値が上がるのを期待し、まだ仔山羊を売らずに育てているそうです。

 

【山羊の親子の健康状態をチェック】
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 ジェンは2013年以降も、これまでに支援を届けた避難民の方々の生計の回復状況を確認していく予定です。

 

12月 27, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年12月13日 (木)

2011年山羊配布のその後

 ジェンは2011年に山羊を配布した国内避難民のコミュニティに対し、支援による効果を見届けるため、調査を行いました。今回は、その際に聞くことができた一つの家庭のお話をご紹介します。

 ジェンが2011年の支援開始前にダワイダンさん(女性)の家庭を訪れた時、彼女は一人で娘2人の世話をしていました。
 出身地である南ワジリスタンにいた頃は、彼女は夫と娘二人の4人家族で暮らしていましたが、避難後は生計手段がなくなり、夫がカラチ(パキスタン南部の都市)に出稼ぎにいくことになったのです。ダワイダンさんがジェンから山羊を受け取ったあと、間もなくダワイダンさんの夫がカラチから帰り、一家は再び4人で暮らすことになりました。

 2012年に行った調査では、ダワイダンさんは次のように話してくれました。
「夫のカラチでの日雇労働の収入は非常に低く、以前は家族の必要最低限の食費をまかなうことも困難でしたが、受け取った山羊のミルクは家族全員で使用しても毎日余るほどでした。ですので、余ったミルク(約1.5リットル)を近所で販売し、毎日約122ルピー(約103円)の収入を得ることができるようになりました」

 その後、ダワイダンさんはミルク販売による収入を大切に貯め、その貯金でミシンを購入したそうです。もともと出身地では刺繍や縫物で生計を支えていたダワイダンさんは、そのミシンを使って近所の人の為に洋服を作り販売するようになりました。
 ダワイダンさんは「洋服は1着200ルピー(約170円)で売れます。今は1ヵ月に10着ほど売れるようになり、より家計が安定するようになりました」と語ってくれました。

(写真は、ダワイダンさんの娘2人と購入したミシン)
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12月 13, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年11月29日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)の現実

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 ジェンが現在活動しているハイバル・パフトゥンハー州の西隣には、アフガニスタンと国境を接する連邦直轄部族地域(FATA)という地域があります。FATAの一部の地域では今もなおパキスタン軍と反政府武装勢力による戦闘が続いています。

 部族民として知られるFATAの人びとは、独自の文化規範を持っています。パキスタンの他の地域の人びとや、他の国の人びとの多くは、FATAが周辺地域の問題の中心となっていて、そこに住む人々は残虐で無知な人々である、というイメージを持っているかもしれません。しかし、一度ATAを訪れると、その考え方が100%変わると私は信じています。

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 FATAの人びとは残虐でも無知でもなく、愛情深く気遣いがあり、とても親切でホスピタリティにあふれています。教養もあり、世界に対してとても前向きです。実際に会ってみると、この地域の人たちは皆素朴で、気難しい人を見つけるのが逆に難しいのではと感じるほどです。

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 FATAの地域・人々そのものが問題の中心なのではなく、その素朴さゆえに様々な国の政治的な利害関係や欲の影響を受け、結果的に戦乱に巻き込まれてしまっているのです。

 私が現地調査でFATAを訪れた時、現地の受け入れ担当者は、お茶とドライフルーツで伝統的なおもてなしをしてくれました。担当者は、「戦争による被害を見る前にFATAの美しさを見てほしい」と言い、一日目は被災地以外のエリアの案内をしてくれました。もしかすると彼は、「第一印象が最後まで人の記憶に残る」ということを知っていて、私たちが最初に見るものが戦争の被害であってほしくなかったのかもしれません。

 FATAの空はこれまで見てきた中で最も青く、夜にはたくさんの星がくっきりと輝いていました。

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 川の水は対岸に住む人同士をつなぐように流れ、遠くには見渡す限り美しい山のパノラマが広がっていました。

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 また、花があちこちに咲き、赤く染まった楓が景色に秋の色を添えていました。


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 もしFATAに平和が戻ったら、パキスタンで指折りの行楽地になると思います。日常の喧騒や人工的な物に疲れた時、FATAの自然、素朴な人々に触れると、澄んだ気持ちをきっと取り戻せると思います。

イスラマバード事務所長 アズマット・アリ

11月 29, 2012 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2012年11月15日 (木)

県家畜局との連携

2010年、パキスタン政府はパハルプル郡のバンド・クライ地区に家畜研究所を立ち上げました。

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同局スタッフは、上級研究官3名、研究官7名と、所長代行1名で構成されています。この研究所は、JENが現在実施している国内避難民のための家畜配布による生計復帰支援事業の対象エリアに位置しています。
JENは県家畜局と調整しながらこの事業を実施していくことになっています。そのため、食糧安全保障分野で活動する機関が集まる会議(ワーキング・グループ)では、現在の活動の進捗や、今後の予定などを家畜局担当者に報告しています。

ヤギの検疫期間中、家畜局の担当者は技術提供の為に定期的にJENの倉庫を訪れます。これらの担当者はJENのスタッフがヤギに風土病予防のワクチン接種を行う際に、手助けをしてくれます。ヤギの検疫期間が無事に終わると、家畜局はヤギの配布前準備が完了したことを証明する「健康優良証明書」をJENに発行しています。

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畜産局担当者の一人は、JENが国内避難民のなかから選定した畜産指導員に実施する山羊管理研修(10日間)の中で、2日間のセッションを担当しています。彼は、実演を交えた実践的な方法でヤギの風土病とその防ぎ方について教えています。JENの獣医アシスタントは、家畜研究所の上級研究官と調整しながら山羊を受け取った避難民の世帯を訪問し、ヤギの扱い方などに関し、繰り返しアドバイスを行っていきます。

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家畜局担当者は、国内避難民のための山羊配布を通した生業復帰事業へのJENの真摯な取り組み、とりわけ検疫期間中の徹底した健康管理を高く評価してくれています。家畜局は、JENの事業地域において生産性の高いビータル種の山羊を配布することが、同エリアの山羊の品種改良に繋がるとも考えています。

11月 15, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年10月18日 (木)

山羊配布のその後

 ジェンは、ハイバル・パフトゥンハー州デラ・イスマイル・カーン県のバンド・クライ地区に避難している方々を対象に、山羊を配布して生計の回復を支援する活動を行っています。

 これまでに活動の約7割が完了しました。9月下旬にジェンの現地スタッフは山羊の配布が完了したコミュニティを訪れ、ジェンやその活動についての意見を聞く為、支援対象者の避難民の方々とミーティングの場をもちました。

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 その中で聞くことができたお話をいくつか紹介します。

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 避難民の一人であるアブドゥル・ガニさんは、他の避難民と同様に、避難する際に南ワジリスタンに家畜を全て置き去りにしてこなければなりませんでした。避難する前は家畜からとれる生乳で乳製品を作り、毎日の食糧として使用していましたが、避難先ではパック牛乳しか手に入らないため同じようにはいきませんでした。

 ガニさんはジェンの支援で山羊を受け取り、ミーティングの23日前に双子の仔山羊が産まれたそうです。仔山羊の授乳分を除いても、毎日1.5リットルのミルクがとれるので嬉しいと話してくれました。

 父親と一緒にミーティングに参加した9歳のハビブラ君は、山羊とその仔山羊もミーティングに連れてきました。ハビブラ君は、「学校から帰ってきた後、家の近くで山羊を放牧に連れて行けるようになって嬉しい。仔山羊と遊んでいるうちに、仲良くなったよ。立派な大人の雄山羊に育つまで僕が面倒をみるんだ」と話しました。

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 ロイ・カーンさんは、亡くなった自分の兄の奥さん、マリャム・ビビさんについて話してくれました。未亡人となったビビさんは配布の際、既にジェン倉庫で出産した母山羊と仔山羊を受け取りました。山羊からは毎日約1.7リットルのミルクが取れるので、0.7リットルを毎日の食糧に使用し、残りを近所の家庭に販売して、毎日70パキスタンルピーの収入が得られるようになったそうです。ビビさんは自立した生活ができるようになり、とても喜んでいるとのことでした。

 54歳のアリ・レーマンさんは戦闘中の地雷の爆発で片足を失いました。レーマンさんも出産した母山羊と仔山羊を受け取り、毎日1.9リットルのミルクがとれるようになりました。レーマンさんは0.5リットルを自宅で使用し、残りの1.4リットルを近所で売って、治療費に充てているとのことです。医療費を捻出する手段ができ、助かっていると話してくれました。

 
 出身地は同じでも、避難民の家庭ごとに様々な事情があります。今回のミーティングでは、配布された山羊が、それぞれの家庭のニーズに合わせて活用されていることを知ることができました。

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10月 18, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年8月23日 (木)

2013年事業用ニーズ調査実施中

 デラ・イスマイル・カーン県を含むハイバル・パフトゥンハー州、及び連邦直轄部族地域(FATA)では、政府軍と反政府勢力との戦闘により発生した国内避難民が約73万人にものぼります(2012年7月、UNHCR)。
出身地の情勢が安定しない為、帰還する国内避難民は少なく、JENは来年以降も引き続きこれらの避難民を対象に活動を続けていく予定です。

 JENデラ・イスマイル・カーン事務所の現地スタッフは、今年の活動を進める一方で、来年(2013年)の事業の為のニーズ調査を6月末に開始しました。

 対象地域の候補はいくつかある為、JENの調査チームは国内避難民の人びとが暮らす村を一つ一つ訪れ、生活環境を確認したり、避難民の人びとやその村の社会活動家と話し合いの場を持ったりしながら、ニーズの高さを見極めていきます。


 この写真では、周辺地域に詳しい社会活動家の方に地図を書いてもらって、避難民世帯が暮らす場所を確認しています。
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 これは、国内避難民のコミュニティの長老たちから、今抱えている問題について話を聞いているところです。
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 実際に国内避難民の家族が暮らしている環境も確認します。下の写真のように、泥や土で作られた、あまり頑丈でない仮設住宅に住む人もいます。
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 各地域で収集した情報を元に、もっとも支援を必要としている地域を選定し、活動内容の詳細を決めていきます。

8月 23, 2012 国内避難民支援 |

2012年7月12日 (木)

山羊の配布、前半終了

 ジェンは今年、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす2,000世帯の国内避難民の人びとを対象に、生計復帰のための支援を行っています。

 これまでに、対象2,0000世帯のうち、1,000世帯への山羊の配布が完了しました。山羊を受け取った人びとは、同じ避難民の中から選ばれた畜産指導員のサポートを得ながら、山羊を飼育して生計の回復を目指します。

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 最近のデラ・イスマイル・カーン県は日中最高気温が約46℃に達するほどの猛暑に見舞われており、後半の山羊配布は8月中旬以降を予定しています。

 それまでの間、ジェンの現地スタッフは畜産指導員と一緒に山羊を受け取った世帯を訪問し、山羊の健康状態や、生活の変化などを確認していきます。

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 厳しい暑さが続きますが、熱中症に気をつけながら、避難民の人たちのサポートを続けます。

7月 12, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年6月14日 (木)

JEN倉庫での山羊管理~続き~




 前記事では、山羊の水やりの方法までをお伝えしました。今回は引き続き、JEN倉庫での検疫期間の山羊管理をお伝えします。

④餌やり:
 山羊への餌やりは1日2回(朝・夕)行います。餌は飼い葉(青い草)と麦わらです。一度に両方与えるのではなく、最初に飼い葉を与え、その2時間後に麦わらを与えます。
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 また、午後は運動と栄養摂取の為に、山羊を放牧します。この放牧の際、オス山羊をメス山羊と別の場所へ連れて行き、500グラムの「ワンダ」というバランス栄養食を与えます。ワンダを食べた後のオス山羊は消化不良を避けるため、食後2時間ほど水を飲ませないように気をつけます。
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⑤搾乳:
 授乳期のメス山羊は、1日に2回(午前、午後)搾乳をする必要があります。搾乳のタイミングは餌やりの約30分後です。

⑥倉庫の掃除:
 山羊が倉庫に到着したあとも、衛生状態を保つために毎日倉庫内の掃除が必要です。水やり場も毎朝早朝に掃除し、新鮮な水を入れ直します。

⑦病気の山羊の治療:
 家畜専門家と獣医アシスタントは毎日JEN倉庫へ足を運び、山羊の健康状態を一頭一頭入念にチェックします。何らかの病気や異常が発見された場合にはその山羊を隔離し、必要な処置を施します。


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 以上が、山羊配布前の倉庫内での管理内容です。JENが配布しているビータル種の山羊は丈夫な品種ではありますが、確実に健康な状態で避難民の方々の元に届けられるよう、入念なケアを心がけています。

6月 14, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年5月31日 (木)

JEN倉庫での山羊管理

JENが現在デラ・イスマイル・カーン県で実施している生計復帰事業は、山羊の配布が主な活動であることから、一見単純そうに思えるかもしれません。しかしながら、この支援活動は簡単な作業ばかりではなく、気をつけなければならない部分が実はたくさんあります。

今回・次回は山羊の調達後~配布前までの管理についてご紹介します。

JENはパンジャブ州のいくつかの街から配布用の山羊を調達しています。妊娠中の山羊はとてもデリケートなので、パンジャブ州からデラ・イスマイル・カーン県への輸送の際は細心の注意が必要です。

大きなトラックを使用しても、一度に一台で運べる山羊の数は45頭までです。輸送中に山羊同士が喧嘩をしてしまうこともあり、JEN倉庫に到着するまでに怪我をしてしまう山羊もいます。このような山羊には時間をかけて丁寧に特別な手当てをしなければなりません。

到着した山羊は、JENの倉庫で7~10日間の検疫期間を過ごすことになるのですが、JENスタッフは到着前から配布前まで、以下のような準備・作業を行います。

①倉庫内掃除・消毒
デラ・イスマイル・カーンのJEN倉庫に山羊が到着する前に、家畜専門家の指導のもと、倉庫内を掃除・消毒をして感染症にかからないようにする必要があります。

②予防接種
7日間の検疫期間で、風土病の予防注射をします。山羊の体を押さえて、二人がかりで行います。
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③水やり
輸送や予防接種によるストレスを軽減する為に、ビタミンを溶かした水を山羊に与えます。オス山羊は一日に3回、メス山羊は何回でも水が飲めるようにします。

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(次回へ続く)

5月 31, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年4月26日 (木)

現地スタッフの故郷、スワビ地区

現地スタッフの故郷、スワビ地区
 
今日は、イスラマバード事務所で働く現地スタッフの故郷のご紹介です。

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 私はスワビ地区・バタカラ村出身です。スワビは、ハイバル・パフトゥンハー州のインダス川右岸に位置し、周囲をマルダン、ブネルおよびハザル地区に囲まれた地区です。
 スワビ地区の住民は、パタン族のユーサフザイ部族かウトマンザイ部族に属しており、その文化やホスピタリティで良く知られています。

 2009年にスワット地区で起きた反政府武装勢力と政府軍との戦闘によって、多くの国内避難民が発生しました。

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 スワビの人びとはこれらの避難民を温かく迎え入れ、紛争が収まるまでの間、自分たちの住居の一部を提供しました。

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 また、スワビの住民はとても社交的で礼儀正しく、同地区で活動する個人や援助団体に敬意を払っていました。2009年の国内避難民発時には、JENを含む多くのNGOがスワビ地区で活動しましたが、スワビの人びとはその活動もサポートしました。

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 スワビの人びとの主な収入源は農業・牧畜で、多くの人びとが小麦やトウモロコシ、タバコ、サトウキビ、野菜を育て、羊、山羊、水牛や山羊を飼育しながら素朴な生活を送っています。人々はこれらの作物や家畜を日々の食事に利用するとともに、客人にも振舞います。

【換金作物であるタバコ畑】
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【山羊を家畜として育てる農民】.
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 また、スワビ地区の若者の多くは教育を受けており、公的機関や民間企業において様々な仕事に従事しています。スワビ地区の就学率はハイバル・パフトゥンハー州内の他地区と比べても高く、工科大学として名高いパキスタンGIK大学も同地区にあります。

【GIK大学全景】
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 JENのスタッフにもスワビ出身者が私を含め数名おり、地元で様々なコミュニティ団体の社会活動に従事しています。

4月 26, 2012 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2012年4月12日 (木)

国内避難民の今

 パキスタンの連邦直轄部族地域(F.A.T.A)から避難してきた国内避難民の人びとは、もともとの出身地でもとても過酷な生活を送っていました。教育の重要性の認識は男性にとっても非常に低く、女性に到っては皆無に等しいものでした。収入は主に農業と牧畜に依存していました。

 これらの避難民の人びとは生来の頑固な気質に加え、その土地の文化的影響により、保守的でした。また、彼らの多くは言語の問題などから故郷を出ることに抵抗があったため、現在の避難先の村や都市へ出たことがほとんどありませんでした。
そのため、これらの人々にとってはキャッシュカードで銀行口座から現金を引き出すこと一つですら、とても難しい作業です。物の見方も偏りがちで、人道支援機関は文化を壊すものとして、ネガティブな印象を持っていました。

 こうした国内避難民の多くが、出身地で起きた戦闘により土地を追われ、デラ・イスマイル・カーン県、タンク県もしくはカラチ市での避難生活を送ることになりました。

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 避難先では、人道支援機関がシェルター、食糧、食糧以外の物資を配布し、団体スタッフたちが辛抱強く、丁寧に避難民の人びとの対応をしていました。これらの人道支援機関による効果的な働きかけによって、避難民自身の考え方に変化が表れ、自分達の力で生活を回復させようと希望を持つようになりました。

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人道支援機関による様々な能力開発トレーニングや、避難先の地域住民との交流を通して、国内避難民は、徐々に避難先の生活に順応しつつあります。

 外のコミュニティや部族への偏見も和らぎ、教育の重要性についての認識が高まり、自分の子どもを学校に通わせたいと望む人が増えました。また、生計手段として農業や牧畜以外の方法にも関心を示すようになりました。JENを含む人道支援機関の役割や、被災者の権利についても理解が深まってきたようです。

 人道支援機関や地域住民の協力、そして国内避難民自身の努力により、避難民の人たちは新しい生活・考え方・知識を受け入れつつあるのです。

4月 12, 2012 国内避難民支援 |

2012年3月29日 (木)

デラ・イスマイル・カーン県における最初の山羊の配布

 今年も、山羊配布の時期がやってきました。

 山羊配布は、JENが現在デラ・イスマイル・カーン県で実施している国内避難民の生業回復支援において、中核となる活動です。山羊配布を待ちわびている避難民の方も多いのですが、実際に山羊が各避難民の家庭へ配布されるまでには、あと1週間~10日間待ってもらわなければなりません。配布の前に、まず山羊の検疫を済ませなければならないからです。

 この期間を経ることで山羊はより健康になり、避難民の方々もこれらの健康な山羊を受け取ることになるので、検疫を済ませるのは双方にとってよいことと言えるでしょう。

 現在JENの倉庫には190頭のメス山羊と10頭のオス山羊がいます。これらの山羊は、パンジャブ州でJENの家畜専門家が選定してきたものです。選定基準はとても面白く、典型的なローマ型の鼻、長く平らな耳、小~中サイズの角、大きな胴体、多色毛、そして妊娠3・4ヶ月であることです。

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 検疫期間の山羊はスイートホーム(倉庫/母屋)に滞在します。この倉庫は山羊の数に比べ広々としていて、外にはフェンスで囲まれたとても大きな牧場も併設されており、贅沢空間とも呼べそうなほどです。
 倉庫内は幾つかのパートに仕切られており、妊娠後期の山羊、比較的体の弱い山羊、病気の山羊は別々の区画に置かれます。

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 検疫期間中、これらの山羊全てに対して、命に関わる病気に対する免疫を持たせるため、風土病用のワクチンが投与されます。
 倉庫内には、山羊が餌や水を十分に摂取できるよう、木製の食事スペースやセメント製の水飲み場があちこちに設けられており、餌のバルシーム(麦わらを細かくしたもの)の他、栄養補充用にワンダという飼料も与えられています。

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 現在、これらの山羊は1週間の検疫期間中です。この検疫に合格した山羊は、飼い主となる各国内避難民の家庭へ配布され、不合格となったものは業者へ返送されるか、倉庫での家畜専門家による厳格な管理・熟慮の後、次の検疫の機会を待つことになるのです。

3月 29, 2012 国内避難民支援 |

2012年3月15日 (木)

パキスタンの手工芸品

パキスタンはその歴史から豊かな文化的伝統を受け継いでおり、各地域に様々な伝統的・文化的手工芸品があります。

 なかでも、世界的に有名なのは、カシミール地方のショール、バロチスタン及びシンド族の刺繍、ペシャワールのチャパル、サルゴダ及びデラ・イスマイル・カーンの木彫り工芸などです。

 JENの現在の活動地であるデラ・イスマイル・カーンでは、木彫り工芸が昔から続く産業の一つとなっています。ここでは何十年も前から、多くの家庭が生計手段として木彫り工芸を行ってきました。この木彫り工芸は、壮大で歴史あるパキスタン文化を世界中に発信していると言えます。

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 ナジ―ル・フセインさん一家は、これまで100年以上にわたって木彫り工芸に携わってきました。ナジールさんのお店は、トパンワラ市場にある古い手工芸品センターの一角にあり、そのお店の品物一つ一つが文化的遺産と呼べるものです。

 ナジールさんのお店の売りは、「ジンドゥリ」と呼ばれる手作りの木彫り工芸品です。ジンドゥリの作成は大変時間がかかり、高レベルな技術が要求されます。

 ナジールさんの作品は小さな飾りから日用品まで多岐に渡ります(木彫りのおもちゃ、テーブル、灰皿、ティーセット、テーブルランプ、壁掛け時計、壷、木彫りの花、宝石箱、化粧台など)。また、注文を受けて木彫りのロゴや盾を作ることもあるそうです。
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 2010年7月の洪水と南ワジリスタンでの武力衝突により、同地域の他の産業と同様に手工芸業も大きな影響を受けています。ナジ―ルさんによると、トパンワラ市場はその魅力が薄れてきており、それにより彼のビジネスも影響を受けているそうです。

 それでも、ナジールさんは自分の仕事に革新をもたらそうと、毎日希望を持って一生懸命働いています。

3月 15, 2012 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2012年2月16日 (木)

山羊管理研修スタート

 JENがデラ・イスマイル・カーン県で実施している、国内避難民を対象とした生計復帰事業において、畜産指導員の研修は重要な要素の一つです。

 フィールドチームはJENが定めた基準に基づき、事業対象地域から畜産指導員を選びます。選ばれたメンバーは皆若く、教養があり、ボランティア精神にあふれ、学ぶことに熱心です。

 これらの畜産指導員は、まず10日間の山羊管理研修に参加し、その後補習コースも受講して、他の避難民世帯に対して山羊の飼育・管理に関する知識を広めていく役割を担います。

 2012年は、畜産指導員80名を20名ずつの4グループに分け、順番に研修を実施していきます。
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 先日行われた第1グループの研修初日では、畜産指導員たちから研修のねらいや研修受講のメリットについてなど、多くの質問が出ました。同研修を担当した家畜専門家は、これらの指導員の関心事に対して、興味深く耳を傾けていました。
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 以下は研修に参加した畜産指導員からのコメントです。
・私たちにとって家畜は主要な収入源ですが、これまでは家畜を主に自分の家で消費するために育てていたため、そこから得られる利益は限られていました。
 この研修を通して、家畜を活用して得られる利益についてより深く知ることが出来ました。

・私たちは教育を受けていますが、避難先では時間を無駄にするばかりで、1日中何もすることがありませんでした。
 この研修のおかげで、働くためのスキルを習得し、無力で支援を必要としている自分たちのコミュニティに貢献することが出来ます。

・研修により、適切な山羊管理方法、社会動員、企業開発について知ることが出来ました。
 これからは家畜の利用を自家消費用からビジネス用に変えていこうと決心しました。

・私たちマスード族のコミュニティはそのホスピタリティに定評があります。
 この研修を受けたことで、私たちは更により良い方法で他の人々を助ける機会を持てると思います。
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2月 16, 2012 国内避難民支援, 生計回復事業 |

2012年2月 2日 (木)

リアズさんの心の傷

自然災害でも人災でも、その影響は被災者の生活に長期間残り続けるものです。

 リアズ・ウッディーンさんの心の傷はその1例です。

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 南ワジリスタンのリアズさんが暮らしていた地域で、武装勢力と政府軍の戦闘が起こりました。
 戦闘機や武装ヘリコプター、マシンガン、迫撃砲などによる戦いが激化し、リアズさんの家族を含め、周辺の住民は避難を余儀なくされました。

 リアズさんの家は破壊され、爆撃によってたくさんの人々が亡くなりました。
 近所の人や大切な人を失ったこと、故郷から強制的に避難させられたこと、家を破壊されたこと、財産を失ったことなどがリアズさんのこころへ直接の打撃となり、彼は精神的な健康を失ってしまいました。

 リアズさんの父親は全財産を使って彼をペシャワールの精神病院へ数週間入院させましたが、何の効果も得られなかったと言います。

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 現在、リアズさんはデラ・イスマイル・カーンで両親と7人の兄妹とともに、UNHCRから配布されたテントを使用し、貧しい生活環境のもとで暮らしています。

 父親と兄は日雇労働で働いていますが、家族の生活やリアズさんの高額な治療費を賄うにはとても足りません。

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 ジェンの現場チームによる支援対象者登録の際、リアズさんは自身でインタビューに答えることができなかったため、 ジェンはリアズさんの父親から話を聞きました。

 リアズさんは頻繁に意識障害を起こす為、精神安定剤を処方してもらっているそうです。

 リアズさんのように、紛争を原因とする精神障害や喪失感に苦しんでいる人たちが、この地域にはまだまだたくさんいます。

 少しでも多く、心に傷を負った人たちへ支援を届けられるよう、ジェンは活動を続けて行きます。

2月 2, 2012 国内避難民支援 |

2012年1月19日 (木)

スタッフ自己紹介:ミアン・ハマド・アシフ

スタッフ自己紹介:ミアン・ハマド・アシフ

 私はミアン・ハマド・アシフといいます。29歳です。

 私はハイバル・パフトゥンハー州のノウシェラ郡ワライ村という小さな村の出身です。1年以上前から、JENパキスタンのプロジェクト・アシスタントとして働いています。

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 私は2005年にペシャワール大学大学院にて国際関係学修士課程を修了しました。在学中には多くのワークショップや地方会議、国際会議を企画し、参加してきました。

 修士号取得後は、事業開発スキルやコミュニケーション・プレゼンテーションスキルのコース、交渉力向上コースなど、企業による専門コースを受講し、その後すぐに開発分野で働き始めました。

 最初の3年間は国内、国際NGOで働き、2005年に起きたカシミール地震被災地、ハイバル・パフトゥンハー州マンセラで

①コミュニティの生計復活プログラム
②生計のためのビジネススキル開発研修
③生計改善・事業開発プロジェクト

に従事しました。

 これらの仕事を通して、異なる背景を持つコミュニティの人々と交流しながら、コミュニティとの上手な関わり方や多言語・多文化・多宗教の環境で働く柔軟性、ジェンダーへの配慮、そしてタイムマネジメントなどを学びました。

 上記のプロジェクトを終え、故郷に戻った2010年7月、パキスタンは新たな大災害に見舞われました。国内各地で甚大な被害をもたらした記録的な大洪水が発生したのです。

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私は、洪水発生直後2ヵ月間は被災した自分の故郷でボランティア活動に従事しました。その後、自分のスキルをもっと活用できる場所を探し、2010年9月にJENの一員となったのです。

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洪水被災地でのニーズ調査とチャルサダ県での被災者支援が、JENで最初に担当したプロジェクトでした。

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私がJENに関して好きな所は以下のとおりです。

1)マネージャーがフィールドスタッフの新しい考えを受け入れ、尊重する

2)スタッフの能力を強化するだけでなく、プロジェクトの目的達成を導くような指導を時として行ってくれる

3)フレンドリーで学びやすい環境を提供することで、忙しいスケジュールの中でもスタッフを励まし、サポートしてくれる

4)より少ない資源で、より大きな成果を産むことができるよう、常に心がけている

5)本部事務所でも現地事務所でも、全てのスタッフがオーナーシップの感覚を持って働いている

1月 19, 2012 事務所・スタッフ, 国内避難民支援 |

2011年12月15日 (木)

あるチャンナ料理屋さんの一日

今日はデラ・イスマイル・カーンで出会ったチャンナ料理屋を営む男性のお話をご紹介します。

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 男性の名前はシャウカット・アリさん。シャウカットさんはこれまで約20年間、デラ・イスマイル・カーン市の中心街にあるマーケットで、チャンナという豆を使った料理を売ってきました。

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チャンナ料理は安くて栄養満点でスパイシーな地元で大人気の料理です。シャウカットさんのお店では、お客さんの目の前でチャンナとご飯にオニオンヨーグルトソースとスパイスをかけて提供してくれるのですが、この料理が本当に美味しそうなのです。

 実は、シャウカットさんは2010年の大洪水で被災し、小さな農地で育てていた作物が全て駄目になってしまったのです。
「元の生活に戻るのはとても大変なことだけれど、一生懸命働いていればきっと元通りになると信じている」とシャウカットさんは言いました。

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 シャウカットさんは、毎朝7時の開店から午後4時の閉店まで、接客や食器洗い、調理などでいつも大忙しです。

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お客さんはお店の店員、家族連れ、公務員と多岐に渡りますが、中でも一番多いのは学生だそうです。
 一皿20円のチャンナ料理を毎日120皿提供し、2400ルピー(約2304円)の売り上げをあげているそうです。

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 お店を閉めた後は、帰り道で翌日用の材料を買います(チャンナ、米、トマト、玉ねぎ、ヨーグルト、レモン、スパイス数種類)。材料費は1日1900ルピー~2000ルピー(約1824円~1920円)なので、売上から差し引くとシャウカットさんの一日の平均収入は450ルピー(約432円)くらいになります。

 シャウカットさんは母、妻、6人の子どもたちと一緒に小さな家で暮らしています。家に帰ると、シャウカットさんは次の日の為の仕込みをします。仕込みには約3時間かかりますが、家族が皆で手伝ってくれるので、シャウカットさんは今の仕事を楽しんでいるそうです。

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平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。

これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、

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12月 15, 2011 国内避難民支援 |

2011年11月17日 (木)

ヤギの赤ちゃん

 ジェンは、9月下旬以降、これまでに470世帯の国内避難民の人びとへヤギを配布しました。

 以前お伝えした通り、配布されるヤギは妊娠3~4ヵ月の雌ヤギです。既に、配布したヤギのうち、50世帯で赤ちゃんヤギが誕生しています。

 今日は、現地から届いた赤ちゃんヤギの写真をご紹介します。

 生まれたてのヤギの赤ちゃんはとても小さく軽いので、小さな子どもでも抱っこできるくらいの大きさです。
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 また、配布前に、ジェンの倉庫で生まれた赤ちゃんヤギもいました。
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 現在までで、1/5以上の確率で双子の赤ちゃんも生まれています。
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 避難民の人びとの中から選ばれた畜産指導員は、毎週自分が担当をしている世帯を訪問し、お母さんヤギの健康状態や、出産の有無、赤ちゃんヤギが生まれた場合は赤ちゃんの健康状態をチェックします。


 また、出産したヤギからどれくらいミルクが取れているかをチェックするのも、畜産指導員の大切な役割です。

 現在出産を終えた50頭のヤギからは、全頭が予測通り毎日3リットルずつミルクが出ていることが確認できています。

 国内避難民の人たちにとって、お母さんヤギも赤ちゃんヤギも、大切な財産です。コミュニティ全体で適切に飼育していけるよう、まだまだサポートは続きます。
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11月 17, 2011 国内避難民支援 |

2011年11月 2日 (水)

ヌール・マリクさんの話

 パキスタンで活動するNGOは、国内各地の紛争や災害の被災者のそばで働き、様々な境遇で生活する被災者に出会います。

 今回は、ジェンスタッフが現事業地であるデラ・イスマイル・カーンで出会ったヌール・マリクさんの家のお話をお伝えします。

 ヌール・マリクさんとマリクさんの奥さんの間には子どもがおらず、家族はマリクさんと奥さんの二人きりです。マリクさんは75歳前後、奥さんは68歳になります。

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 二人は紛争で最も大きな被害を受けている南ワジリスタンのカマ・ゴラミー村というところに住んでいました。マリクさん夫妻にはとても小さな家と、唯一の収入源である4頭のヤギ以外、財産と呼べるものはありませんでした。

 もちろん、それだけでは生活に充分とは言えませんが、時には近所の人から寄付をもらいながら、どうにかやりくりをして生活をしていました。

 2年前のある日の真夜中、マリクさん夫妻は突如、他の村人たちとともに家を離れ、デラ・イスマイル・カーンへ逃げなくてはならなくなりました。軍がマリクさんたちの村に近づいており、どこか安全な場所へ避難するように呼び掛け始めたのです。戦火が迫っている状況下で、二人が南ワジリスタンの自宅で暮らし続けることは、もはや不可能でした。

 村を出た後の避難先までの道のりは、耐え難いものでした。食糧も、水も、着替えもないまま、デラ・イスマイル・カーンまでの道のりを歩かなければならなかったのです。二人は高齢で、長い時間歩き続けることはできません。唯一の収入源であった4頭のヤギも、村に残さざるをえませんでした。

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 多くの国内避難民がそうであったように、マリクさん夫妻は避難民登録に間に合わず、WFP(国連世界食糧計画)による食糧支援を受けることができませんでした。
 マリクさん夫妻はデラ・イスマイル・カーン県にたどりついた後も、数日間は何も食べることができなかったと言います。

 その後二人は同県のパハルプル郡に住む親せきの家に身を寄せることになりました。親戚とはいえ、他人の家で暮らすのは少々居心地が悪いけれど、そうする以外の選択肢はないから、とマリクさんは言います。二人は毎日の食糧を確保する手段すらなく、何か奇跡でも起こらないものかと考える日々を送っていました。

 しかし、今年7月にジェンがデラ・イスマイル・カーンでの活動を開始した後、二人の生活は変わり始めました。

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 マリクさん夫妻は支援対象者として登録され、妊娠したメスのヤギを受け取ることができたのです。ヤギは配布後間もなく仔ヤギを生み、ミルクがとれるようになりました。ミルクは自分たちの毎日の食事に利用しますが、余った分は売ることもできるため、少しずつ収入を取り戻せるようになったのです。

 ジェンはこれからもパキスタンで最も支援を必要としている被災者のために、活動を続けて行きます。

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11月 2, 2011 国内避難民支援 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月20日 (木)

ビータルゴート

 貧しい畜産農家の人びとにとって、ヤギは大切な生計の手段です。

 パキスタン国内には5千万頭以上のヤギがいると言われていますが、その種類は様々で、肉やミルクの生産性の高い品種もあります。ビータルゴートはそのミルクから作られる乳製品や、ヤギ肉で有名です。111020_28

 ジェンはデラ・イスマイル・カーンで暮らす国内避難民を対象に、妊娠しているビータルゴートを配布する事業を行っています。 一時的なNFIs(Non-Food Items:食料品以外の物資)や金券の配布に比べ、ビータルゴートの配布は持続的な経済面・健康面での効果が期待できます。

 今日は、ビータルゴートが国内避難民の家庭にもたらす効果をご紹介します。

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【経済面の効果】
 ビータルゴートを飼育することで、まず見込めるのは、国内避難民の経済状況の改善です。

 ジェンが現在支援を行っているのは南ワジリスタン管区から逃れてきたマスード族という人びとで、かれらはもともと農業や畜産業で収入を得ていました。

 ジェンの調査でわかったマスード族の1世帯一日当りのミルク消費量は2リットルほどでした。ビータルゴートからは毎日2~3リットルのミルクが取れるため、これまで避難先で購入していたミルク代を削減することができます。

 また、ジェンは妊娠しているヤギを配布しているため、生まれた仔ヤギを売ることも、繁殖用に飼育することも、食用にすることも、ミルクで乳製品を作ることもできます。

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【健康面の効果】
 国内避難民の人びとがビートルゴートからミルクやヤギ肉を摂取できるようになることによって、これらの人々の栄養状態が改善することも見込まれています。
 ミルクには数種類のビタミンが含まれており、肉は貴重なタンパク源です。ヤギを飼育していくことで、栄養失調状態の人の数が減少することが期待できます。
 
 避難先で教育も受けることもできず、時間を持て余してしまっていた子どもたちも、ビートルゴートを配布された後はヤギと遊んだり、放牧のために外に連れていったりと、毎日一生懸命ヤギの世話をしているようです。

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 ヤギの配布は10月末まで続きます。受け取った国内避難民の人びとには、あらかじめ専門家の研修を受けた畜産指導員が、適切な管理・飼育方法を伝えていく予定です。

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2011年9月 8日 (木)

国内避難民とデラ・イスマイル・カーンの暑い気候

 デラ・イスマイル・カーンの郊外に暮らす国内避難民は2つのタイプに分かれます。紛争国内避難民と、季節性国内避難民です。

 この地域で暮らす紛争国内避難民は、南ワジリスタン管区で起きているパキスタン軍と過激派の戦いから逃れてきた人々です。戦闘をのがれた市民たちは、親戚やホストコミュニティの家、または借家へ避難しており、かたみのせまい、劣悪な生活環境で暮らしています。

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 一方、同じ地域で暮らす季節性国内避難民は、もともと安定した生活基盤があり、大抵は自分で事業を営むか、自分の土地で耕作をして暮らしている人たちです。

 これらの人々は、冬期だけデラ・イスマイル・カーンに移住してきます。季節性国内避難民の出身地の冬は、豪雪と氷点下の気温によって生活がとても厳しくなるからです。
 そして、夏になってデラ・イスマイル・カーンの気温が耐えられないくらい暑くなる頃に、過ごしやすい気候の出身地へと帰るのです。

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 しかし、今年は例年と状況が異なります。季節性避難民の出身地も紛争のため、夏になっても帰れずにいるのです。そして、通常しのぎやすくなる夏の最後の2ヵ月に入ってもなお、デラ・イスマイル・カーンの気温はずっと40度前後のままです。
 紛争国内避難民も、季節性国内避難民も、このような暑い気候の中の生活には慣れていません。

 それでも、季節性国内避難民はもともと安定した生活基盤を持っているため、どうにか暑さをしのいで生活していくことができます。

 一方、経済力の低さゆえに物を満足に買うことのできない紛争国内避難民にとって、このお湯の中にいるような暑さは、日常生活を一層困難にすることに繋がってしまっています。

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9月 8, 2011 国内避難民支援, 文化、生活、習慣 |

2011年7月28日 (木)

新しい事業地

 7月17日、ジェンのチームはデラ・イスマイル・カーン県を訪れました。ジェンはここで、南ワジリスタン管区から紛争を逃れ、県の北部に位置するパハルプル郡で暮らしている国内避難民の支援事業を開始します。
 ジェンはこのパハルプル郡の中で選定した3つの村で暮らす国内避難民を対象に支援を行います。事業地となる村はデラ・イスマイル・カーン市から50kmほど離れたところにあります。

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 デラ・イスマイル・カーンへの最初の訪問では、事務所候補である建物をいくつかチェックしました。同県があるカイバル・パフトゥンハー州は地域全体で治安に問題があり、事務所に適した場所の選定は中々難しく、注意が必要です。
 場所の最終決定をする前には、確認しなければならない点がいくつかあります。例えば、一般の人が簡単にアクセスできるような、人口密度の高いエリアに事務所は置くべきでないし、VIP達が住んでいてテロのリスクが常にあるような目立ちやすい場所も適切ではありません。

 デラ・イスマイル・カーン県は周辺地域の中でも夏の暑さで有名で、ジェンチームの滞在中も気温はずっと36度~42度でした。同地域の北部で予報されていた雨も、私たちが滞在していた1週間の間は降りませんでした。

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 デラ・イスマイル・カーン市の東部にはインダス川が流れており、川岸にはピクニックにちょうど良い場所や、川魚などの料理を提供する良いレストランがいくつかあります。夕方になると、日中猛暑で苦しんだ人たちが夕涼みに川へ行き、ボートで川渡りを楽しんだりします。

 また、デラ・イスマイル・カーン市はカイバル・パフトゥンハー州、パンジャブ州、バロチスタン州の州境に位置し、インダス高速道路が同市を通ってペシャワールからカラチまで走っているため、多文化都市となっています。

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 デラ・イスマイル・カーン県の現地用語はサライケ語(パンジャブ語に似ている)です。同市にはパシュトゥーン民族、サライケ民族、パンジャブ民族、バロチ民族が住んでいるため、人々が様々な衣装で歩いている所を見るのも、この町ではよくあることなのです。

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7月 28, 2011 国内避難民支援 | | トラックバック (0)