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2026年1月28日 (水)

洪水で奪われた暮らしに寄り添って---パキスタンでの越冬支援

ジェンは2025年12月、パキスタン北部ハイバル・パフトゥンハー州ブネール郡で、洪水で被災した人たちへ、越冬物資の配付支援を行いました。突然の災害で、厳しい生活を余儀なくされている人びとの声とともに、現地で行った支援活動の様子をお伝えします。

 

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配付会場に並べられた支援物資

一瞬で奪われた命と暮らし

「激しい流れがすべてを奪っていきました。妻も、子どもたちも、母も――みんな流され、亡くなりました。私はただ立ち尽くし、何もできませんでした」

「水が流れ込む部屋に、私は取り残されていました。首まで水位が上がると死を覚悟し、『せめて、息子が私の遺体を見つけてください』と神に祈りました。最も暗く感じた瞬間、息子の声が聞こえ、ショールをつないで作った命綱を私に握らせてくれました。そのおかげで助かりました」

「家も台所も、家財道具も家畜も、全て流されました。住む場所も仕事もなくどう生きていけばよいのかわかりません」

 ジェンが被災地のブネール郡で行った聞き取り調査では、家族や財産を失った人びとの悲痛な声が数多く寄せられました。日本ではほとんど報道されていませんが、山岳地帯に位置する同郡では、2025814日の大雨により鉄砲水が発生し、200人以上が死亡、数百棟の家屋が流失する甚大な被害が生じました。被災した村々では、現在も土砂や岩石が残り、家屋や水道、電気などの生活インフラが十分に復旧していません。学校やクリニックも被害を受けたままです。

 

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洪水被害の傷跡が残ったままの住宅

 

配付方法を工夫し、住民負担を軽減

 ジェンは昨秋、被害を受けた5つの村で支援を実施することを決定。対象の500世帯は、スタッフによる戸別訪問を通じて被災状況や家族構成を確認し、特に困難な状況にある世帯を優先して選定しました。

 配布に先立ち、各対象世帯に支援物資の引換券を渡すことで、配布日時や場所を確実に伝え、不要な移動や混乱を防ぎました。支援対象が明確になることで、公平性を保ち、被災者の尊厳を守った形での配布が可能となりました。住民からは、「このように配慮された配布方法は初めて」との声も聞かれました。

 物資は、2か月分の食糧に加え、毛布や衣類、防寒用のマントなどを用意しました。配付会場では掲示板に配布内容と数量を明示し、支援を受ける人が確認できるようにし、意見箱を備え、住民が安心して意見を表明できる配慮をしました。

 

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配付会場で引換券の確認を行うジェンの女性スタッフら

 

配布後、サンプルの104世帯を対象に行ったアンケートでは、「食事の量や質が改善した」「冬への備えが十分にできた」といった声が寄せられました。すべての回答世帯が、物資の内容や配布方法を肯定的に評価してくれました。障がいのある娘(16歳)を含む6人の子育て中の母親は、「ただでさえ娘の薬代などで生活が苦しい中、洪水で被災しました。特に困難な時期に行われた食糧や日用品の配付は、生活の支えとなる確実な支援です」と語っていました。

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支援物資を受け取った男性

 

 被災地では今後も、医療、教育、心理的ケアなど、継続的な支援が必要とされています。ジェンは現地の声に耳を傾け、行政や地域と協力しながら支援を続けています。皆様のご協力を、どうかよろしくお願い申し上げます。

 

※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や皆さまからのジェンへの寄付金により実施しています。

1月 28, 2026 緊急支援 |