「これほど壊滅的な災害は見たことがありません」―8月の洪水被災者の声と越冬支援
パキスタンでは2025年8月、国内各地で甚大な洪水が発生し、北部ハイバル・パフトゥンハー州では政府の公式発表で、少なくとも511人が死亡、570棟以上の家屋が全壊するなど深刻な被害が報告されています。
洪水発生から3ヶ月以上が経っても依然として多くの人が避難生活を余儀なくされています。ジェンは、特に被害が集中した同州ブネール郡で、被災した人びとが厳しい冬を乗り越えられるよう、支援を行っています。
治水インフラのない山沿いで甚大な被害
ブネール郡は、首都イスラマバードから車で約3時間半の距離にあり、香川県と同程度の面積の山岳地域です。2025年8月14日に局地的な集中豪雨が発生し、1時間に150mm近い雨が降ったとみられる地域もありました。現地では日本のような治水インフラがほとんど整備されておらず、急激に増水した濁流が山肌を削り取り、土砂や岩を巻き込みながら谷沿いの村々を襲いました。
同郡では、200人以上が死亡し、数百棟の家屋が流失・倒壊しました。家族単位で被害を受けた世帯も多く、結婚式の準備をしていた家族や親戚24人が亡くなる痛ましい被害も発生しました。
「すべてが目の前で消えていきました」
ジェンはブネール郡で被災者の生活状況や越冬に向けて必要な物資などを調査しました。
「これほど壊滅的な災害は見たことがありません。土石流が信じられない速さで襲いかかり、あっという間に村のすべてを破壊しました。家や道路、学校、そして家族が目の前で消えていく中、私は何もすることができませんでした」
特に被害の大きかったガデザイ地区ベショナイ村のスルタン・ザダさん(62歳)は、私たちの聞き取りにこう振り返りました。洪水で母と義理の妹が犠牲になり、兄と甥は流された場所から1キロ下流で生きて発見され、別の甥2人も土砂で覆われた家の一室で生きて見つかったそうです。
「今残っているのは、床上まで泥に埋まった家、閉ざされた学校、失われた家族と友人、声を失った子どもたち、そして未来を案じる大人たちだけです」
ガデザイ地区の調査では1,000世帯以上が安全な家屋や水へのアクセスがなく、食料や生活物資の不足に直面していました。
困難に直面する500世帯を支援
ジェンは、ブネール郡ガデザイ地区の4村での支援実施を決めました。女性が世帯主の家庭や家族に障がいのある人がいるなど、特に困難に直面する500世帯へ、2ヶ月分の食糧のほか、毛布や衣類、防寒用のマントの配布を行います。ブネール郡は標高が高く、山間部の村々では冬季、夜間は氷点下まで気温が下がるため、越冬のための物資は必須です。
ジェンは12月初旬より順次、物資を被災者に届けています。
パキスタンでは、毎年のように異常気象に伴う自然災害が相次いでいます。ジェンは各地で、被災された方々への支援活動を続けていきます。皆様のご協力を、どうかよろしくお願い申し上げます。

支援物資サンプルの検品を行うジェンスタッフ(イスラマバード)
※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や皆さまからのジェンへの寄付金により実施しています。





