子どもたちの笑顔が戻った教室 ― シンド州での新しい机と椅子の贈り物
2022年、パキスタン・シンド州を襲った大洪水は、多くの学校を押し流し、子どもたちの学びの場を奪いました。特に女の子たちは、安全な教室も清潔なトイレもない環境で、通学をあきらめざるを得ない日々が続きました。被災後、子どもたちは壊れた校舎の床に座り、ほこりにまみれながら授業を受けていました。暑い夏の日には、床からの熱と埃に耐えながらノートを開く姿――そこには、学ぶ喜びよりも、つらさがにじんでいました。
私たちジェンは、「教育環境・水衛生改善および災害対応力向上事業」を実施し、12校の再建と修復を行いました。新しい校舎とともに、清潔なトイレや安全な飲料水の設備、さらに太陽光パネル等も整備し、明るく風通しのよい教室を取り戻しました。
それでも、まだ足りないものがありました。それは、「子どもたちが誇りを持って座ることができる机と椅子」です。床に直接座っての授業は、体にも心にも負担が大きく、特に女の子の通学を妨げていました。そこで、ジェンは地域や教育局と協議し、机と椅子、教師用の机や棚を届けました。
学校に届いた机
事業の終盤に、12校に新しい家具が届いた日、子どもたちは目を輝かせて教室に駆け込みました。
「これで本当の学校になったみたい!」
新しい机に向かう子どもたちの笑顔に、先生たちは胸が熱くなったといいます。
「前は床に座っていたから、制服がすぐ汚れていたけど、今はきれいなままで書きやすいんです」
ある先生はこう話します。
「教室に活気が戻りました。子どもたちは集中して授業を聞き、保護者も娘を安心して通わせています。ジェンと日本の皆さんに心から感謝しています。子どもたちに『希望』と『誇り』を取り戻してくれました」
かつて水害で荒れ果てていた学校が、今では明るく清潔で、子どもたちの笑顔があふれる場所になりました。日本の皆さまのあたたかいご支援が、子どもたちの未来を照らしています。彼らの小さな手が、机の上で夢を描き続けられるよう、ジェンはこれからも「生きる力を支える」活動を続けていきます。
※本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力」からの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。




