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2025年2月20日 (木)

ジャミール君と災害レジリエンスクラブ

2022年、記録的なモンスーン雨がパキスタン全土を襲い、壊滅的な洪水を引き起こしました。中でもシンド州ダドゥ郡のシャフィ・アバド村は甚大な被害を受け、家屋、学校、インフラが完全に廃墟と化しました。

この状況を受けて、ジェンは、食料や衛生キットの配布、水と衛生設備(WASH)の改善に取り組み、被災した学校や水道システムの再建を通じて、地域コミュニティの生活再建を支援しました。

今回ご紹介するのは、シャフィ・アバド村の小学校に通う8歳の少年、ジャミール・ザマン君のお話です。 

ジャミール君はポリオを患い、歩行が困難な中で勉強を続けていました。彼は大家族の一員で、農業を営む父親と健康状態が優れない母親に支えられていました。医師になることを夢見て勉学に励んでいたジャミール君ですが、洪水によって家と学校が破壊され、家族は避難を余儀なくされました。ジャミール君は一時的に3キロ離れた学校に通いましたが、障害と距離が大きな壁となりました。

しかし、ジェンが彼の村の学校再建に着手すると、彼に再び希望が芽生えました。再建後、ジャミール君は学校に戻り、学業に全力で取り組むだけでなく、学校行事にも積極的に参加を始めました。
「災害レジリエンス(回復力)クラブ」に参加し、洪水の知識、リスク認識、準備、適応、災害リスク管理、効果的な災害レジリエンス促進活動の方法等を研修で学び、実践し他の生徒に伝える活動をしています。 

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学んだことを他の生徒に伝えるジャミール君

ジャミール君はさらに、「WASH(水と衛生)クラブ」にも参加しています。研修で水媒介性の病気、安全で清潔な水を確保する方法、個人の衛生管理、衛生促進キャンペーンの実施方法や学校施設使用法等について学び、他の生徒に伝えています。また、家族や学校の地域住民を対象に、野外排泄のない環境(ODF:open defecation-free)を実現するための活動を行っています。その熱意とリーダーシップは周囲を魅了しています。


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WASHクラブの活動をするジャミール君

 

ジャミール君は「僕たちの学校は安全になり、災害を受けても回復できるようになりました」とジェンと支援者の皆様に感謝の言葉を話してくれました。


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授業中のジャミール君

 

ジェンは、特に現地の人々の力を活かし、持続可能でコミュニティ主導型の復興を支援する独自のアプローチを大切にしています。私たちは、ジャミール君のように多くの人が未来への希望を取り戻せるよう、今後も世界中の困難な状況に直面する人びとを支援し続けます。

2月 20, 2025 洪水被災者支援 |