2022年の洪水後のウマルさんのお話
ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた1,400世帯(約9,100人[1])に、野菜の種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットの緊急配付を終えました。モニタリング時に聞いたウマルさんのお話を紹介します。
ムハンマド・ウマルさんは、シンド州ダドゥ郡タルカ KN シャー地域にあるランブコ村に住んでいます。彼の家族は妻と 5 人の子どもで、農家として生計を立てていました。
残念なことに、彼の家族は 2022 年の洪水によって深刻な被害を受けました。洪水により、育った作物が失われ、台所に保管されていた食料も急速に枯渇してしまいました。
ウマルさん(一番左)と奥さんと5人の子どもたち
ちょうどその頃、ウマルさんの世帯は、ジェンの支援対象世帯の特定条件の一つである「最も支援が届いていない市街地中心から離れた地域に住む世帯」に相当したため、事業参加者の一人として選ばれました。数日後、種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットを受け取りました。野菜栽培促進活動の一環で、ウマルさんは技術指導も受けて、農業を中心とした生計回復に着手することができました。
2 か月間にわたる献身的な努力の末、ウマルさんは自分の土地で新鮮な野菜を栽培することに成功しました。この野菜は家族の栄養ニーズを満たすだけでなく、生計を確保するために地元の市場で販売できる余剰品も生み出しました。ウマルさんは、「受けた支援のおかげで、私たち家族は、食事についてそれほど心配がなくなり、私たちの生活ははるかに良くなりました。本当にこの支援に感謝の気持ちでいっぱいです。」と話してくれました。
今年(2023年)もパキスタンでは6月下旬頃から8月にかけてモンスーンで大雨が降りました。7月27日から30日にかけての国連衛星センター (UNOSAT) の画像は、約 27,000 km2 の⼟地がまたも洪⽔の影響を受け、少なくとも 1,000万⼈が洪⽔にさらされたか、洪⽔の影響を受けた地域の近くに住んでいることを⽰しています。これに伴い、洪水の影響を受けた地域でマラリアの陽性者も増加してしまったとのこと。支援地ダドゥ郡ではこの洪水による大きな被害は確認されなかったものの、今後も洪水に対する懸念は続きます。
万一、洪水がまた襲ってくることがあったとしても、人びとが自立した暮らしへの回復力を身に付けられるよう、ジェンは、引き続きパキスタンの洪水被災者への支援を届けてまいります。皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
[1] 1世帯平均6.5 人を想定