シンド州ダドゥ郡で洪水被災者緊急支援第二弾を実施しています。
国連衛星センター(UNOSAT)の画像によると、パキスタンで中部や南部を中心に広範囲に2022年6月以降に発生した洪水により、依然として推定で450万人が水にさらされ、またはその近くに住んでいます。推定110万人が、不十分な支援により、食料安全保障の状況は悪化していると言われています(UNOCHA・モンスーン洪水の状況報告2月7日付)
洪水で被災した人びとは、農業や家畜に頼って生活していますが、シンド州は約377万エーカーと農作物や果樹園被害が大きく、1,230万人が被災しました。中でも、ダドゥ郡はシンド州内でも最も浸水被害が大きい郡になります。97,330エーカーの農地が被害を受け、約95万人が直接被害を受けました。回復した農地は極めて小さいものの、野菜栽培に必要な種子や農具などを入手できる余裕が各世帯にありません。また、洪水被害に対応した野菜栽培に関する知識や技術も普及していません。
未だに洪水の水で覆われる被災地域(シンド州ダドゥ郡)
ジェンのパキスタン事務所は、ピースウィンズ・ジャパン様と提携し、最も被害の大きいシンド州の中でも特に支援が行き届いていない郡の一つ、ダドゥで緊急支援第二弾を実施します。合計1,400世帯に、種子・野菜栽培道具キットを配付します。また、野菜栽培促進活動による洪水被害に対応した知識や技術の普及を通して、被災した農家の野菜栽培の再開を目指します。2月から4月の間に夏季の種の植え付けが出来れば、5月から7月の間に収穫が出来る予定です。
先日現地事業開始後の現地訪問(3月中旬)で、ダドゥ県ワリ・ダッド村に住むバニアさんからお話を聞きました。彼女は一人で仮設住宅に住んでいました。結婚していないため、家族はいません。洪水以前は自宅で小規模の野菜を作っていました。彼女は農作業で畑を耕し、そこから穀物(小麦)を得ていました。しかし、洪水で家も野菜畑も壊れ、農具も流されました。村人たちに助けられ、その場しのぎで家を建て直しました。今、自宅での野菜作りを再開することが切実に求められています。野菜は彼女の毎日の食事に欠かせないものだからです。
台所のそばに座るバニアさん
住まいの前に立つバニアさん
引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。