連邦直轄部族地域における「クリミア・コンゴ出血熱 (CCHF)」の予防策
「クリミア・コンゴ出血熱」とは、ダニの媒介によるブニヤウイルス科のウイルスで引き起こされ、人体と家畜両方が発症する病気です。この病気は、1944年に初めてクリミア地方で発見されたため、クリミア出血熱と名付けられました。その後1969年にアフリカのコンゴで見つかったウイルスと同一であることが分かり、現在の名前「クリミア・コンゴ出血熱 (CCHF)」になりました。
パキスタンでは1976年以来、この病気の発症が確認されており、2000年以降、毎年50~60例が報告され深刻な問題です。2012年には16人が死亡し、2013年から2016年の間に60人が血液検査で陽性反応を示して、そのうち12人が亡くなりました。政府は、人びとのCCHFの知識がないために、症例の報告がされないケースが多くあると見て、この病気についての人びとの意識向上に着手しました。
その計画の一環として、連邦直轄部族地域畜産局はJENに現在ハイバル管区でJENが進めている活動にCCHFの予防策も組み入れるよう要請してきました。主な理由はイスラム教の祝日である犠牲祭で家畜が捧げられるために、国内の他の地域から大変な数の家畜が連れて来られるからです。緊急を要するため、JENは直ちに必要な手続きを取り、最優先事項としてこの病気を予防するための対策を取りました。
その結果、JENは以下の物資を畜産局に提供しました。
· スプレーポンプ(10~12リットル) 15
· シペルメトリン/エコフリース-抗CCHF剤(リットル) 75
· マスク 5
· 手袋 375
· エプロン 15
畜産局のスタッフの協力を得て、JENの家畜チームの一連の支援は3日間で完了しました。そして、犠牲祭用の家畜を売買するため50,000人を超える人びとが集まる家畜市場で、予防策として抗CCHF剤が38,000頭の大型および小型の家畜に噴霧されました。その結果、幸いにも、この地域でのCCHFの発生はありませんでした。畜産局はJENのこの活動に大変感謝しています。