家畜支援を通しての生計回復
連邦直轄部族地域(FATA)の北ワジリスタン管区出身で42歳のパヨ・ザマンさんには、妻、2人の息子、2人の娘がいます。パヨさん一家は、2014年5月の政府軍による反政府武装勢力の掃討作戦の影響で、故郷の北ワジリスタン管区から一時避難を強いられました。
一家が避難先のハイバル・パフトゥンハー州のバンヌー県に着くと、政府と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員によって一時避難民として登録されました。そして、連れてきた5頭の牛とともに、同県グリワラ地区ナル・ナジブ村の小学校敷地内に建てられたシェルターで暮らし始めました。
連れてきた牛たちは、飼料不足のために健康状態が日に日に悪くなっていきました。家畜用シェルターがなかったので外で飼っていましたが、猛暑のため健康状態はさらに悪くなりました。彼の家族も避難生活による苦しみから精神状態を悪くしていきました。彼らの収入源は家畜しか残されていませんでしたが、残念なことに、飼料などが十分でなかったためミルクがあまり出なくなってしまいました。
2015年5月、パヨさんが牛を売ろうと考えていた頃に、JENのチームが一家のもとを訪れ、一家を家畜の飼料とシェルターキットの配布対象世帯として登録しました。そして、JENの獣医チームがパヨさんたちの牛に駆虫薬を与え、予防接種をしました。さらに、パヨさんはJENの家畜専門家から家畜の管理に関する研修を受けました。
【家畜用シェルター】
JENが配布した家畜支援パッケージの利用で、パヨさんの牛の健康状態は改善し、数か月後にはミルクが1日8リットルまで出るようになりました。それにともなってパヨさんとその家族は元気になり、生きる意欲が出てきました。
現在、彼は市場の近くで作業員として働き始め、1日4リットルのミルクをその市場で売って約280ルピーの収入を得ています。そして、家族は残ったミルクでラッシーやヨーグルトやバターを家庭用に作っています。妻と子どもたちは、故郷を離れた辛さを和らげてくれた牛たちをとてもよく世話しています。
【パヨさんの息子と牛】
パヨさん一家の経済状況は今もよいとは言えませんが、JENの支援は確実に彼らの収入増へとつながっています。
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