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2014年6月26日 (木)

新たな避難民の発生

 北ワジリスタン管区は、パキスタン北西部のアフガン国境に接している面積約11,585mの山岳地帯です。1998年パキスタン政府の国勢調査によると、当時の人口は361,246人でした。

 最近、パキスタン政府は同管区を拠点としている反政府武装勢力に対し、掃討作戦を開始しました。これによって、少なくとも約10万人の避難民が故郷から隣接するハイバル・パフトゥンハー州各地に避難せざるを得ない状況に陥り、大半は同州のバンヌ県に避難しました。

 現時点では、パキスタン政府による国際支援の要請がされていないため、国連機関による避難民登録はまだ行われていません。パキスタン政府による避難民の登録は幾つかの北ワジリスタン管区の出入口で行われており、これらの登録の際には同時に子どもへのポリオワクチン接種も実施されています。

 政府はバンヌ県のバッカ・ケルとカシュー橋に二つのキャンプを設立しました。しかしながら、安全面への不安や文化的にセンシティブな地域であることから、多くの避難民がキャンプに移ることに抵抗感を示しています。現在、北ワジリスタンの避難民世帯の数は約1万世帯(平均13.5人/世帯)と想定されていますが、最終的には避難民の数が20万人に上ることが予想されています。

 パキスタン政府の計画では、全ての避難民世帯に食費として7000ルピー(約7210円)と、生活用品費として5000ルピー(約5150円)、そして6月末から始まるラマダーン時期用の物資を渡すことになっています。政府はこれらの現金支援と配布に関し軍隊の協力を得る予定で、その間に、銀行口座、ATMカードやSIMカードなどの準備も進めていくことになっています。

 今回新たに発生した国内避難民の人々は、現在全く人道支援を受けておらず、自らの資産や親族に頼らざるを得ない状況です。これらの人々へ支援を実施する際の最も大きな課題はアクセスであり、現地当局には支援が入りやすくなるような対策が求められています。



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6月 26, 2014 支援物資配布国内避難民支援 |