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2013年8月29日 (木)

ヤギ配布による子どものケア

 ジェンは2011年7月以降、デラ・イスマイル・カーン県で暮らす国内避難民の方々へ、生計手段としてのヤギを配布する活動を継続しています。これらの避難民は2009年の連邦直轄部族地域(FATA)南ワジリスタン管区での戦闘により、避難を余儀なくされ、2010年に起きた大規模な洪水で再び被災し、全てを失ってしまいました。

 ジェンの支援対象となっているのは、未亡人や孤児、母子家庭、身体障がい者、高齢者や、世帯人数の多い家庭など、避難民の中でもより脆弱な立場にある人々です。
ヤギの配布は国内避難民の人々の生計回復を支えるだけでなく、多くのケースにおいて心のケアにも役立っているようです。特に孤児の子どもたちにとっては、ヤギは生計源でありながら、大切な遊び相手にもなっています。

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 支援対象である孤児たちは、身を寄せた世帯の保護者に全面的に依存せざるを得ない生活を送っていました。ヤギを受け取ってからは、そのミルクを自分たちで飲んだり、あるいは売ったりしているそうです。ヤギの飼育によって得た収入で学校に行くことができるようになった孤児たちもいます。子どもたちは子ヤギと遊ぶのが大好きで、積極的に草原へ子ヤギを放牧しにいき、忙しくしているようです。
 こうして外でたくさん遊ぶことで、子どもたちの心の中にある、紛争や避難生活による心理的な苦痛や不安を和らげる効果もあるのです。

 ジェンは今年もより脆弱な立場にある避難民の方々へ、ヤギの配布を続けています。


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8月 29, 2013 国内避難民支援 |

2013年8月15日 (木)

もう問題はたくさん!

 パキスタンでは、雨は天からの恵みと考えられています。雨は農業には欠かせないものですし、猛暑を和らげる効果もあります。特に夏に降水量が少ないときには、パキスタン人はモスクで
雨が降るようお祈りをすることもあります。

 しかし皮肉なことに、その恵みの雨は、不十分な雨水排水システムや森林破壊、粗雑な作りの護岸堤防が原因となり、災害を引き起こしてしまうことがあります。

 モンスーンの雨により、何千ものパキスタンの家庭が苦しまされ続けて今年で4年目になります。森林破壊によって雨は破壊的な洪水を引き起こし、被災地域のあらゆるものを破壊してしまっているのです。

 まだ記憶に残っている2010年の洪水では、2000万人の人々が直接被災し、多くの人が命を落とし、生計手段を失いました。当時はパキスタンの全陸地面積の約5分の1が水没したといわれています。

 残念ながら、パキスタンの人々は2010年の災害から学ぶことはなく、2011年のモンスーン時期には再び洪水に見舞われ、361名の死者が出てしまいました。この洪水では、シンド州では約530万人、120万世帯の家屋が被災しましたが、幸いほかの地域では被害は少なく済みました。

 2012年にも再び洪水が発生し、ハイバル・パフトゥンハー州、パンジャブ州、そしてシンド州北部において100人以上の死者が出たほか、数千世帯の家屋が被災しました。
今年も2週間前に始まった豪雨により、すでに約80名の死者がでており、数百世帯が住まいを失い、数千エーカーの農地が被災し、農作物とインフラに大規模なダメージを与えています。

【洪水により寸断された道路】
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【洪水により流された橋】
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 被災したコミュニティは政府や人道支援機関などによる援助を待ち望んでいますが、パキスタンへの資金援助は年々減少傾向にあり、これが被災コミュニティに深刻な影響を与えています。
 
 

 すでにたくさんの問題を抱えているパキスタンの人々をこれ以上苦しめることがないよう、今年のモンスーンが2010年に起きた洪水のように甚大な被害を出さないことを祈っています。

イスラマバード事務所長アズマット・アリ




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8月 15, 2013 国内避難民支援 |

2013年8月 1日 (木)

水管理委員会設立で起きた村の変化

 ジェンは現在連邦直轄部族地域(FATA)のクラム管区において、紛争後に避難先から帰ってきた人々が暮らす地域を対象に、給水施設の整備と衛生促進の支援を実施しています。

 給水施設を整備する地域では、施設整備の完了後も村人たち自身で適切に維持管理を継続していけるよう、その責任を担う「水管理委員会」を設立します。

 今回、対象地域の一つであるスタロ・パカ村において、委員会設立の影響に関するインタビューを行いました。答えてくれたのは、村人のモハマド・ジャマルさん、マザ・カーンさん、ムハマドさんの3名です。

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 彼らの話によると、委員会設立前は、村では多くの仲たがいや取っ組み合いの喧嘩があり、村人たちが抱えている内外の問題について一か所に集まって話し合うことができなかったのだそうです。小さなことで長い間争いあい、亡くなる人さえいたとのことでした。

 モハマド・ジャマルさんは、ジェンのサポートにより、村人たちは皆で集まって問題やその解決方法について話し合う姿勢を持ち始めたといいます。これにより水管理委員会を立ち上げることができ、村にとって最も重大な課題となっていた安全な飲み水について、話し合うことができるようになったそうです。

 マザ・カーンさんによると、この委員会の設立を受け、村の長老とジェンとの間で、今回の給水施設整備と衛生教育支援に関し、協力していくことを約束する覚書を交わすことができたそうです。これは、現在、将来、そして恒久的に村の問題を解決していくためのとても前向きなステップである、と話してくれました。

 ムハマドさんもまた、委員会を作る前は村人同士で集まって問題を話し合うことができなかったけれど、今では村の繁栄、特に安全な水の確保のために協力し合っていると話してくれました。彼自身も、給水施設工事の労働者として参加を申し出ているそうです。

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 彼らは皆、これからもこの活動を継続し、委員会のメンバーをサポートしていくことを約束しています。

 クラム管区事務所 シニア・フィールドオフィサー 
 ラティフ・ウラー・ジャン・バンガシュ 




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8月 1, 2013 国内避難民支援 |