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2013年2月28日 (木)

帰還民支援で見た嬉し涙~ハナンさんの話~

 JENは昨年の12月より、パキスタンの北西部にある連邦直轄部族地域クラム管区にて帰還民の支援事業を行っています。

 同地域では2008年から武装勢力とパキスタン軍との紛争が起き、たくさんの人々が避難生活を送らざるを得ない状況になりました。現在はパキスタン軍の掃討作戦によって武装勢力が撤退したため治安が安定し、避難されていた方々が徐々に帰還を始めている状況です。

 しかしながら、帰還先の村では戦闘によってたくさんの家々が破壊されました。その修復を行うことが元の生活に戻る為の第一歩で、現地で最も緊急性の高いニーズであったため、ジェンは屋根の修復資材の支援を行っています。

 最も支援を必要としている人びとを支援するため、ジェンのスタッフは現地政府機関やコミュニティーリーダーと協力し、実地調査と話し合いの結果145世帯を選定しました。この選定に関わった全員が、「最も支援が必要な世帯」として一致したのがハナン((仮名)さんです。もしもJENが1世帯だけを選んで支援するとしたら、迷わず彼女を支援すべきとまで言われたハナンさんについて、今回は紹介させていただきます。

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 ハナンさんは現在57歳で、マルダン地区出身です。20歳の時にクラム管区のジャンさんと結婚したのを機に、同管区へ移住しました。一家はジャンさんの肉体労働によって生計を立てていましたが、ある日突然ジャンさんは心臓発作で急死してしまいました。収入手段を失い、8人の子どもを抱えた彼女はとても困難な状況に直面します。二人の娘は紛争前に亡くなり、唯一の息子も障がいを抱えていました。やがて紛争が始まり、一家はサッダ地区へ避難しましたが、以降数年間に渡り、避難キャンプでの過酷な生活を余儀なくされました。

 避難先では義兄からもらった泥で作られた家で生活をしていましたが、その家も壊れ、ハナンさん一家は完全に住む場所を失ってしまいました。帰還後は何とか義兄の家族の元で部屋を共有させてもらって生活していました。調査によって彼女の存在を知ったジェンスタッフは優先的にハナンさんを訪ねて調査を行い、彼女を1世帯目の支援先として選定しました。ジェンスタッフが住居修復資材一式を支援することを伝えた時は、ハナンさんにとって言葉には言い表せない感極まる瞬間でした。

「ジェンのような団体が村に来て、このような支援を受けられることが信じられない」とハナンさんは言いました。「これはただの部屋ではなく、私と家族にとって全てなんです。この部屋があれば、雨風から家族を守ることができるのですから。何より、義兄一家に頼らずに自立して生活が営めることが嬉しい」。

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 ハナンさんや、彼女の村の人びとは皆非常に過酷な生活を強いられ、誰もが住居の事で頭を抱えていました。JENが最初に出会った時、ハナンさんは自分の辛い経験を話しながら泣いていました。その彼女が、家の修復後に訪ねた時には、自分の部屋を持てることに感激し、嬉しさで涙が止まりませんでした。ハナンさんは、自身とコミュニティーへの支援に関し、JENと日本の人々に感謝している、と話してくれました。

2月 28, 2013 国内避難民支援 |