2011年山羊配布のその後
ジェンは2011年に山羊を配布した国内避難民のコミュニティに対し、支援による効果を見届けるため、調査を行いました。今回は、その際に聞くことができた一つの家庭のお話をご紹介します。
ジェンが2011年の支援開始前にダワイダンさん(女性)の家庭を訪れた時、彼女は一人で娘2人の世話をしていました。
出身地である南ワジリスタンにいた頃は、彼女は夫と娘二人の4人家族で暮らしていましたが、避難後は生計手段がなくなり、夫がカラチ(パキスタン南部の都市)に出稼ぎにいくことになったのです。ダワイダンさんがジェンから山羊を受け取ったあと、間もなくダワイダンさんの夫がカラチから帰り、一家は再び4人で暮らすことになりました。
2012年に行った調査では、ダワイダンさんは次のように話してくれました。
「夫のカラチでの日雇労働の収入は非常に低く、以前は家族の必要最低限の食費をまかなうことも困難でしたが、受け取った山羊のミルクは家族全員で使用しても毎日余るほどでした。ですので、余ったミルク(約1.5リットル)を近所で販売し、毎日約122ルピー(約103円)の収入を得ることができるようになりました」
その後、ダワイダンさんはミルク販売による収入を大切に貯め、その貯金でミシンを購入したそうです。もともと出身地では刺繍や縫物で生計を支えていたダワイダンさんは、そのミシンを使って近所の人の為に洋服を作り販売するようになりました。
ダワイダンさんは「洋服は1着200ルピー(約170円)で売れます。今は1ヵ月に10着ほど売れるようになり、より家計が安定するようになりました」と語ってくれました。
(写真は、ダワイダンさんの娘2人と購入したミシン)