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2012年11月29日 (木)

連邦直轄部族地域(FATA)の現実

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 ジェンが現在活動しているハイバル・パフトゥンハー州の西隣には、アフガニスタンと国境を接する連邦直轄部族地域(FATA)という地域があります。FATAの一部の地域では今もなおパキスタン軍と反政府武装勢力による戦闘が続いています。

 部族民として知られるFATAの人びとは、独自の文化規範を持っています。パキスタンの他の地域の人びとや、他の国の人びとの多くは、FATAが周辺地域の問題の中心となっていて、そこに住む人々は残虐で無知な人々である、というイメージを持っているかもしれません。しかし、一度ATAを訪れると、その考え方が100%変わると私は信じています。

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 FATAの人びとは残虐でも無知でもなく、愛情深く気遣いがあり、とても親切でホスピタリティにあふれています。教養もあり、世界に対してとても前向きです。実際に会ってみると、この地域の人たちは皆素朴で、気難しい人を見つけるのが逆に難しいのではと感じるほどです。

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 FATAの地域・人々そのものが問題の中心なのではなく、その素朴さゆえに様々な国の政治的な利害関係や欲の影響を受け、結果的に戦乱に巻き込まれてしまっているのです。

 私が現地調査でFATAを訪れた時、現地の受け入れ担当者は、お茶とドライフルーツで伝統的なおもてなしをしてくれました。担当者は、「戦争による被害を見る前にFATAの美しさを見てほしい」と言い、一日目は被災地以外のエリアの案内をしてくれました。もしかすると彼は、「第一印象が最後まで人の記憶に残る」ということを知っていて、私たちが最初に見るものが戦争の被害であってほしくなかったのかもしれません。

 FATAの空はこれまで見てきた中で最も青く、夜にはたくさんの星がくっきりと輝いていました。

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 川の水は対岸に住む人同士をつなぐように流れ、遠くには見渡す限り美しい山のパノラマが広がっていました。

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 また、花があちこちに咲き、赤く染まった楓が景色に秋の色を添えていました。


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 もしFATAに平和が戻ったら、パキスタンで指折りの行楽地になると思います。日常の喧騒や人工的な物に疲れた時、FATAの自然、素朴な人々に触れると、澄んだ気持ちをきっと取り戻せると思います。

イスラマバード事務所長 アズマット・アリ

11月 29, 2012 文化、生活、習慣国内避難民支援 |

2012年11月15日 (木)

県家畜局との連携

2010年、パキスタン政府はパハルプル郡のバンド・クライ地区に家畜研究所を立ち上げました。

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同局スタッフは、上級研究官3名、研究官7名と、所長代行1名で構成されています。この研究所は、JENが現在実施している国内避難民のための家畜配布による生計復帰支援事業の対象エリアに位置しています。
JENは県家畜局と調整しながらこの事業を実施していくことになっています。そのため、食糧安全保障分野で活動する機関が集まる会議(ワーキング・グループ)では、現在の活動の進捗や、今後の予定などを家畜局担当者に報告しています。

ヤギの検疫期間中、家畜局の担当者は技術提供の為に定期的にJENの倉庫を訪れます。これらの担当者はJENのスタッフがヤギに風土病予防のワクチン接種を行う際に、手助けをしてくれます。ヤギの検疫期間が無事に終わると、家畜局はヤギの配布前準備が完了したことを証明する「健康優良証明書」をJENに発行しています。

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畜産局担当者の一人は、JENが国内避難民のなかから選定した畜産指導員に実施する山羊管理研修(10日間)の中で、2日間のセッションを担当しています。彼は、実演を交えた実践的な方法でヤギの風土病とその防ぎ方について教えています。JENの獣医アシスタントは、家畜研究所の上級研究官と調整しながら山羊を受け取った避難民の世帯を訪問し、ヤギの扱い方などに関し、繰り返しアドバイスを行っていきます。

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家畜局担当者は、国内避難民のための山羊配布を通した生業復帰事業へのJENの真摯な取り組み、とりわけ検疫期間中の徹底した健康管理を高く評価してくれています。家畜局は、JENの事業地域において生産性の高いビータル種の山羊を配布することが、同エリアの山羊の品種改良に繋がるとも考えています。

11月 15, 2012 国内避難民支援生計回復事業 |

2012年11月 1日 (木)

イード・アル・アドハー

 パキスタンでは、10月26日~29日は「イード・アル・アドハー」というイスラム教の大きなお祭りの期間です。

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 イード・アル・アドハーは最も長い祝日の一つで、パキスタン以外の世界中のイスラム教国でもお祝いします。このお祭りは、イスラム預言者のイブラヒムが神であるアッラーへ自分の息子イシュマエルを犠牲として捧げようとした事を記念したものです。

 この期間中、人々は自分の家畜をアッラーへ捧げます。通常、家畜の肉のうち1/3は貧しい人々へ、もう1/3は近所や友人へ分け与え、最後の1/3は自宅で食されます。このイベントはもちろん宗教的な意味においても重要ですが、イスラム教徒としての親切さ・慈悲深さを実践する日でもあります。

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 この時期、家畜である牛、山羊、ラクダの市場価格(肉ではなく、動物そのもの価格)は高騰します。パキスタン国内の大都市にはイード用の動物市場があり、あちこちの村の農家がイード用に販売するため家畜を連れてやってきます。

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 この時期、人びとは家畜の価格高騰はさほど気にせず買ってくれるので、これらの農家にとっては商機であり、もちろん値引き交渉も可能です。

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 多くの人はこの時期自分の村へ帰り、特別な休日を家族と一緒に過ごします。そのような点では、このお祭りは日本の新年のお祝いに似ているともいえるでしょう。イード期間中は街中のあちこちで家畜の屠殺を見かけますが、これはアッラーへの信仰心と貧しい人々への慈悲の表れなのです。

 このような行事を、世界で10億人以上ものイスラム教の方々が行っていると考えると、とても壮大で尊く感じます。もちろん、イスラム教徒でなければイードのお祭りに参加しなくても良いのですが、現地にいると、この文化・宗風は敬わずにはいられません。

 皆さん、イード・ムバラク(イードおめでとう)!

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 写真提供:Shehzad Khattak (旧ジェンスタッフ)

11月 1, 2012 文化、生活、習慣 |