« 花の町、ペシャワール | トップページ | 洪水被災者支援から、紛争国内避難民支援へ »

2011年6月30日 (木)

洪水被災者のサクセスストーリー

 チャルサダ県はとても豊かな土壌に恵まれた地域です。この土地には灌漑の大切な水源となる3つの川が流れており、さとうきびやてんさい、たばこ、小麦、とうもろこし、オクラ、トマト、キャベツ、茄子、ほうれん草など様々な野菜が採れます。

 チャルサダ県で生産される野菜の中でも、ここ5年は特にニガウリの生産量が豊富です。ニガウリは国内の市場だけでなく、ドバイやアブダビ、アフガニスタンなどの国際市場でも売られています。

110630_a_glance_at_picking_in_the_f  タジャカイ村で20年以上農業を営むグル・マストさん(30歳)の一家もまた、ニガウリを商業用に大量生産しています。グルさんは二人の兄と一緒に、2006年から木製の枠組みを使ってニガウリの栽培を始めました。木製の枠組みを使用すると、生産性が高くなるからです。

 グルさん一家はもともと地元の市場で野菜を売ったり、都市部のお店に直接卸したりしていました。その一方で、チャルサダ県には卸売業者も入ってきており、農家から輸出用の野菜を集荷していました。卸売業者はニガウリをアラブ首長国連邦に輸出しており、グルさんも一年間は卸売業者に野菜を卸していましたが、自分で事業を起こし、ニガウリを世界中の国々に輸出したいと考えはじめました。グルさんがこの考えをお兄さん達に相談すると、二人は賛同し、輸出事業に必要な免許や資格の情報を集め始め、ついにグルさんたちは自分の会社を立ち上げました。そして2009年にはニガウリの輸出業を始めたのです。110630_bitter_gourd_crop_is_being_2

 グルさんとお兄さん達は他の同業者と同じように地区全体からニガウリを集荷していました。野菜の集荷と梱包の作業は10~15名の従業員にまかせて、格付けは自分たちで行いました。

110630_bitter_gourd_got_packed_in_c

 しかし、グルさんによると、去年は大洪水でグルさん一家の土地も野菜の集荷先の農地も破壊されてしまい、ほとんど仕事にならなかったそうです。そのような状況の中、「ジェンの支援によって農地が再び野菜を生産できる状態まで回復し、元々自分たちの土地で育てていた種類の野菜の種を受け取ることができて良かった」とグルさんは言います。さらに、ジェンの収穫前・収穫後農業研修で得た知識・能力により、生産のムダを大幅に減らせるようになったことも感謝しているそうです。

110630_cardboard_cartons_of_gul_mas

 今年、グルさんは6月初めから輸出を開始しました。6月19日までの間に、3150キロのニガウリを地元の市場に卸し、21550キロをドバイに輸出したそうです。今年は10月までニガウリの輸出と地元市場での販売を続けることにしているとグルさんは言います。グルさんは、今年の商売は前よりもずっとうまくいくだろうと期待に胸をふくらませ、倉庫や格付け用の小屋を設置する計画もたてています。110630_export_quality_crop_in_the_c

6月 30, 2011 北西部大洪水 被災者緊急支援 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 洪水被災者のサクセスストーリー:

コメント

コメントを書く