2023年11月16日 (木)

ガルさんの話:ガワク村に清潔な水をもたらす

 ジェンは、ハイバル・パフトゥンハー(KP)州オラクザイ郡で、紛争や武力抗争の影響を受けた人びとが、安全な飲料水を確保し、維持できるよう、水衛生環境の改善を目指し活動を行っています。7ヵ村(1,553世帯)に対し、水衛生促進活動を行い、内5ヵ村(1,188世帯)に対して、給水施設整備を行っています。

 現在7ヵ村中2ヵ村で、給水施設整備と水衛生促進活動が無事終了しました。

 事業参加者のひとり、ガルさんのお話を紹介します。ソチャ・ガルさんは、KP州オラクザイ郡にあるガワク村に住んでいます。ガルさんは妻、息子3人(内、一人未婚)、娘2人(未婚)、息子の妻2人、孫6人の15人家族です。

 ガルさんの生活は非常に厳しく、苦労の連続でした。特にきれいな水の不足は深刻な問題でした。病気になることも多く、女性や子どもたちは遠方まで水汲みに行かなければなりませんでした。家族がいない時には、ガルさん自身もロバを使って水を汲むことがありました。状況が改善されないことに絶望し、希望を持つことは困難でした。

 その後、ガルさんの村にジェンが訪問し、必要としていた清潔な水を提供するための計画を提案しました。ジェンは、給水タンクや他の設備の修理を行い、泉を保護し、水を集める施設を作り、村の周囲にパイプを敷設し、容易に清潔な水を得ることができる仕組みを整えました。

 ガルさんは、「ジェンは私たちに物をきれいに保つことの重要性を教えるだけでなく、清潔さや健康を保つ方法も教えてくれました。適切な道具や水道の使い方も教えてくれました」と話してくれました。

 加えて、ガルさんは、「ジェンのおかげで私たちの生活は素晴らしい変化を遂げました。長い距離を歩く必要もなく、清潔な水が手に入り、健康や幸福も体験できるようになりました。この例は、人びとが優しさと協力で大きな力を持ち、一緒に未来を変えることができることを示しています。ガワク村のソチャ・グルとしてだけでなく、コミュニティ全体を代表して心からの感謝を申し上げます」と、とても嬉しそうに話してくれました。

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ジェンスタッフに話をするガルさん(右)

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  共同水栓がガルさんの家の前に設置されて、水を遠くまで汲みに行く必要がなくなりました。


 事業実施中のKP州オラクザイ郡は、2018年5月にKP州に合併した旧連邦直轄部族地域(旧FATA)の13郡の内、7つの郡に含まれます。これらの7つの郡は、いずれも水衛生環境が極めて劣悪ですが、特に武力抗争や紛争、宗派間の争い[1]の影響で最も水衛生施設の破壊が激しいオラクザイ郡[2]で、水供給支援事業を実施しました。当郡は、他の郡に比べて継続的に自然災害や紛争、武力抗争の影響を受けており、予測が出来ない不安定な治安の下、パキスタンでは最も取り残された郡の一つとして認識されているからです。

 ジェンは、引き続きパキスタンの水供給支援を実施してまいります。改めまして皆さまの温かいご支援に心より感謝申し上げます。

※本事業は、外務省日本NGO連携無償資金協力からの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

[1] 2007年には、宗派 (イスラム教スンニー派とシーア派)の争いが起き、41,822 世帯の家族が避難をし、2012年まで続いた。その間、クラム郡の村が最も破壊の影響を受けた。なお、旧FATAに2つの宗派が混在し争いが起きた地域はクラム郡とオラクザイ郡のみ。

[2] FATA 事務局2014年報告書

11月 16, 2023 |

2023年10月12日 (木)

洪水後の土地の回復と農業の復興を目指すアリさんの志

 ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた1,100世帯、約7,150人(世帯平均6.5人)に対し、食糧危機の状況改善を目指して支援活動を行っています。

 この事業では、持続的な作物生産(=生計回復の機会)と回復力強化を目指しています。洪水に強い複数の作物種子に加え、肥料や殺虫剤、農薬、密閉できる種子保存袋を提供しています。事業終了後も地域を支援する意欲のある農家を特定し、「リーダー農家」として、現代的な農法や次の栽培季に利用するための種子を適切に輸送・保管するための研修も実施します。これにより、地域の農家が作物生産を再開し、作物の多様性と収穫量を増やし、次の栽培季に品質の高い種子を入手し、洪水の影響を回避できる場所に保存できます。

 事業参加者のひとり、アリさんのお話を紹介します。マジッド・アリさんは、シンド州ダドゥ郡にあるアルジ・ナイチ村に住んでいます。アリさんは6人の兄弟と妻と子どもの9人家族です。農地を保有し農家として生計を立てていました。

残念なことに、2022 年の洪水の被害は想像を絶するものでした。アリさんの農地は完全に破壊されなすすべもありませんでした。

 一方で、アリさんは、ジェンがこの地域で農業プロジェクトを実施するという知らせを聞いてとても安心しました。他の地元の人びとにとっても同じでした。アリさんの世帯は、ジェンの支援対象世帯の特定条件の一つである「最も支援が届いていない市街地中心から離れた地域に住む世帯」に相当したため、事業参加者の一人として選ばれました。また、地域の農業復活に意欲的なアリさんは「リーダー農家」にも選ばれました。

 アリさんは、「洪水で全滅しましたが、私たちの地域は農産物で有名です。小麦は私たちの地域の主要作物であり、人びとの主な収入源となっています。これからジェンの支援により、地域の人びとの農業が再開し、食べ物のニーズを満たすだけでなく、作物を市場で販売してお金を稼ぐことができると確信しています」と、とても嬉しそうに話してくれました。

 加えて、アリさんは「洪水により、育った作物が失われ、農地も壊滅的な状況ですが、プロジェクトの対象に私たちの村を選んでくれたジェンにとても感謝しています。私を含むこの地域の農家は、自分たちの土地で作物を育てることができるよう、土地の回復を心から望んでいます」とも話してくれました。

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 所有する農地の前に立つアリさん

「私はジェンのアドバイスに従って、土地を準備し、運河の水で1か月間大量に灌漑しました。洪水の影響で蓄積された塩分が浸出しています。私の農地には、肥沃な土地が戻り、今は写真にあるようにラビ栽培[1]の準備が整いました。」とお話されました。

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 この地域の農地は徐々に回復しており、栽培が可能な状態になっている

  

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 耕作の準備ができている農地の様子

 今年(2023年)もパキスタンでは6月下旬頃から8月にかけてモンスーンで大雨が降りました。支援地ダドゥ郡ではこの洪水による大きな被害は確認されなかったものの、今後も洪水に対する懸念は続きます。万一、水害が再び襲いかかることがあったとしても、人びとが自立した生活に立ち戻れるよう、ジェンは、引き続きパキスタンの水害被災者への支援を実施してまいります。改めまして皆さまの温かいご支援に心より感謝申し上げます。

 ※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

[1] ラビ作物とは、パキスタンやインドなどの南アジアで冬の初め頃植えられ、春頃収穫時期を迎える作物のこと。小麦、タマネギ、ジャガイモなどは、ラビ作物に入る。乾季に栽培が行われるため、灌漑が必要となる。

 

10月 12, 2023 |

2023年9月13日 (水)

2022年の洪水後のウマルさんのお話

 ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた1,400世帯(約9,100人[1])に、野菜の種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットの緊急配付を終えました。モニタリング時に聞いたウマルさんのお話を紹介します。

 ムハンマド・ウマルさんは、シンド州ダドゥ郡タルカ KN シャー地域にあるランブコ村に住んでいます。彼の家族は妻と 5 人の子どもで、農家として生計を立てていました。

 残念なことに、彼の家族は 2022 年の洪水によって深刻な被害を受けました。洪水により、育った作物が失われ、台所に保管されていた食料も急速に枯渇してしまいました。

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 ウマルさん(一番左)と奥さんと5人の子どもたち

 ちょうどその頃、ウマルさんの世帯は、ジェンの支援対象世帯の特定条件の一つである「最も支援が届いていない市街地中心から離れた地域に住む世帯」に相当したため、事業参加者の一人として選ばれました。数日後、種子、肥料や農薬、野菜栽培道具キットを受け取りました。野菜栽培促進活動の一環で、ウマルさんは技術指導も受けて、農業を中心とした生計回復に着手することができました。

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スタッフから肥料を受け取るウマルさん(左)

 2 か月間にわたる献身的な努力の末、ウマルさんは自分の土地で新鮮な野菜を栽培することに成功しました。この野菜は家族の栄養ニーズを満たすだけでなく、生計を確保するために地元の市場で販売できる余剰品も生み出しました。ウマルさんは、「受けた支援のおかげで、私たち家族は、食事についてそれほど心配がなくなり、私たちの生活ははるかに良くなりました。本当にこの支援に感謝の気持ちでいっぱいです。」と話してくれました。

 今年(2023年)もパキスタンでは6月下旬頃から8月にかけてモンスーンで大雨が降りました。7月27日から30日にかけての国連衛星センター (UNOSAT) の画像は、約 27,000 km2 の⼟地がまたも洪⽔の影響を受け、少なくとも 1,000万⼈が洪⽔にさらされたか、洪⽔の影響を受けた地域の近くに住んでいることを⽰しています。これに伴い、洪水の影響を受けた地域でマラリアの陽性者も増加してしまったとのこと。支援地ダドゥ郡ではこの洪水による大きな被害は確認されなかったものの、今後も洪水に対する懸念は続きます。

 万一、洪水がまた襲ってくることがあったとしても、人びとが自立した暮らしへの回復力を身に付けられるよう、ジェンは、引き続きパキスタンの洪水被災者への支援を届けてまいります。皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

[1] 1世帯平均6.5 人を想定

9月 13, 2023 |

2023年6月30日 (金)

シンド州ダドゥ郡で洪水被災者緊急支援「頑張る母親の思い」

ジェンは、シンド州ダドゥ郡で洪水被害を受けた4,005世帯(28,035人)に、食料品(米、油、砂糖、お茶、小麦粉、塩など)の緊急配布を終えました。モニタリング時に聞いたナイーマさんのお話を紹介します。

ナイーマさん(50)は7人の子供の母親で、ダドゥ郡のザヒール・アバド村に住んでいます。2022年のパキスタン洪水の前、彼女は自宅で食料品の小さな店を経営していました。夫のアシムさんが、日払いで週に数日しか仕事が見つからないため、日々家族の食糧を確保するために苦労していました。彼女は、生活の足しになればと数年前から小さな店を始めました。

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ナイーマさんの家族

 

洪水時、村や家に水が押し寄せ、彼らの日常生活は大きな影響を受けました。ナイーマさんは、幸運にも自分の小さな店が朽ち果てることを避けることが出来ました。

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ナイーマさんの小さなお店

 

しかし、彼女の夫は日雇いの仕事を失い、自宅にあった食料以外の品物も洪水で流されてしまいました。彼らの収入は減り、食糧不足に苦しみ始めました。一方で、洗濯や台所などの日常に必要な非食料品の買い替えにもお金を費やす必要がありました。そのため、彼女の家族は、緊急に食糧を必要とする状態に陥りました。 

ちょうど同じ時期に、ジェンの訪問により食糧支援の参加者として登録され、数日後、彼女は食糧のパッケージを受け取りました。この食糧パッケージは、彼女の店からの収入を補う強い力となったと言います。ナイーマさんは、食材を大切に使い、1か月分のパッケージを2か月で使用しました。その間、夫は週に数日の仕事を探すことを再開することが可能になりました。食料面で、彼女の家族の基本的なニーズは、満たされ始めました。

しかし、ナイーマさんは、彼女と故郷の村人たちが、住宅の再建、生計活動(農業や畜産)の再開、健康や教育など、生活の他の側面を回復するにはまだ長い道のりになると語りました。彼女は、政府や非政府組織が、今後生計分野での回復を支援してくれることを希望していますと話してくれました。

2023年6⽉5⽇の時点で、最新の統合⾷糧安全保障段階分類(IPC[1])の調査結果によるとパキスタンが栄養危機に直⾯しており、43 の脆弱な郡で 1,050 万⼈が深刻な⾷料不安を経験していることを示しています。FAOとWFPの報告書によると、20236⽉から11⽉にかけて、860万⼈が深刻なレベルの急性⾷糧不安(IPCフェーズ3以上)に直⾯する可能性があると予測しています[2]

ジェンは、引き続きパキスタンの洪水被災者への支援を届けて参ります。引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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家の前の台所のそばにいる子どもたち[3]

 

[3]前々回もお伝えしましたが、この地域においては、冬場を除いて、地面に積み上げたブロックの上に、着火剤(薪)をおいて、マッチで火をつけて、料理をしています。外で料理をするのは通常です。しかし、洪水の被害で、食用油、砂糖、小麦粉、スパイスなどの食品がないという点では、通常ではありません。

 

[1] https://www.ipcinfo.org/

[2]UNOCHA、パキスタン2022 モンスーン洪水 - 状況報告 No.17(2023年6月12日)

 https://reliefweb.int/report/pakistan/pakistan-2022-monsoon-floods-situation-report-no-17-12-june-2023

 

 

6月 30, 2023 洪水被災者支援食糧配布 |

2023年5月18日 (木)

シンド州ダドゥ郡で洪水被災者緊急支援のモニタリングを実施しました。

東京本部スタッフ・松浦とパキスタン事務所スタッフが、ジェンが洪水被災者緊急支援を実施したシンド州ダドゥ郡で、事業実施後のモニタリングを実施しました。

 

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洪水の被害を受けた地域では、多くの人びとが未だにテント生活を送っています。既に気温は35度にも達し、テントでの暮らしは暑さで厳しさを増しています。

 

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未だに多くの方がたがテント生活を送っています

 

ジェンは洪水で被災された方への緊急支援として、現地の食文化に合わせた米(バスマティ米)、小麦、ビタミン強化型の植物油、数種類の豆、塩、紅茶、砂糖、粉ミルクの入った食糧パッケージを配付しました。

ジェンの配布した食糧は大切に消費されていることが確認できましたが、食糧源であり収入源であった農地が壊滅的な被害を受けたため、人びとは未だに食糧不足に悩まされています。食事の量や回数を減らし、生き残った家畜のミルクでなんとかしのいでいますが、限られた日雇い労働の機会では、インフレによる物価高で、家を再建する費用を賄うことも困難です。

 

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農地は洪水で深刻な被害を受けました。

 

洪水以前からあった課題も明らかになりました。訪問した村では政府が生活用水を供給していましたが、供給が途切れることもあるため、井戸水も利用していました。その井戸水はカナダのNGOから安全ではないと言われたものだそうですが、他に選択肢がないため、使い続けているとのこと。

被災された方がたの困難は多岐にわたっていますが、ジェンが配布した食糧を受け取られたある女性は、「このような厳しいときでも、紅茶を飲むことが出来るのは本当に幸せです。」と満面の笑顔でお話されました。現地の文化を尊重した支援を行うことは、被災された方の心のケアにもつながっていることを実感しました。

 

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厳しいときでも、紅茶を飲むことの出来る幸せを語られたラニさん(中央の赤いスカーフの女性)

 

被災された方がたにとって、農業を再開し、洪水前のように、自ら食べ物を作ることが出来るようになることが、生活再建の第一歩となります。

ジェンは、大洪水で被災された方がたに対し、食糧配布から農業復興を通じた生活再建に軸足を移し、引き続き支援を行っていきます。

5月 18, 2023 洪水被災者支援 |

2023年3月20日 (月)

シンド州ダドゥ郡で洪水被災者緊急支援第二弾を実施しています。

国連衛星センター(UNOSAT)の画像によると、パキスタンで中部や南部を中心に広範囲に20226月以降に発生した洪水により、依然として推定で450万人が水にさらされ、またはその近くに住んでいます。推定110万人が、不十分な支援により、食料安全保障の状況は悪化していると言われています(UNOCHA・モンスーン洪水の状況報告27日付)

洪水で被災した人びとは、農業や家畜に頼って生活していますが、シンド州は約377万エーカーと農作物や果樹園被害が大きく、1,230万人が被災しました。中でも、ダドゥ郡はシンド州内でも最も浸水被害が大きい郡になります。97,330エーカーの農地が被害を受け、約95万人が直接被害を受けました。回復した農地は極めて小さいものの、野菜栽培に必要な種子や農具などを入手できる余裕が各世帯にありません。また、洪水被害に対応した野菜栽培に関する知識や技術も普及していません。

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未だに洪水の水で覆われる被災地域(シンド州ダドゥ郡)

 

ジェンのパキスタン事務所は、ピースウィンズ・ジャパン様と提携し、最も被害の大きいシンド州の中でも特に支援が行き届いていない郡の一つ、ダドゥで緊急支援第二弾を実施します。合計1,400世帯に、種子・野菜栽培道具キットを配付します。また、野菜栽培促進活動による洪水被害に対応した知識や技術の普及を通して、被災した農家の野菜栽培の再開を目指します。2月から4月の間に夏季の種の植え付けが出来れば、5月から7月の間に収穫が出来る予定です。

 

先日現地事業開始後の現地訪問(3月中旬)で、ダドゥ県ワリ・ダッド村に住むバニアさんからお話を聞きました。彼女は一人で仮設住宅に住んでいました。結婚していないため、家族はいません。洪水以前は自宅で小規模の野菜を作っていました。彼女は農作業で畑を耕し、そこから穀物(小麦)を得ていました。しかし、洪水で家も野菜畑も壊れ、農具も流されました。村人たちに助けられ、その場しのぎで家を建て直しました。今、自宅での野菜作りを再開することが切実に求められています。野菜は彼女の毎日の食事に欠かせないものだからです。

 

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台所のそばに座るバニアさん

 

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住まいの前に立つバニアさん

 

引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

3月 20, 2023 緊急支援 |

2023年2月 2日 (木)

クラム県の教育環境改善支援事業完了の報告

20216月下旬から実施してきた「パキスタン・ハイバル・パフトゥンハー州クラム県における子どもたちの教育環境改善支援事業」が完了しました。

テロや紛争、宗派間の争いの影響で、学校設備や衛生施設が破壊された対象地域の8校で、破壊された設備や施設の整備を行いました。合計3,187人(男子学生80 人、女子学生3,022人、教師29人、日本の学校のPTAのような存在である既存の両親教師委員会(PTC: Parents Teachers Committee)のメンバー56)に対して、衛生教育、心のケアや施設の使用(PTCに対しては維持管理を含む)に関する啓発を行いました。これらは外務省が実施する日本 NGO 連携無償資金協力の資金協力および皆様からの温かいご支援により、実施することができました。心より御礼申し上げます。 

この事業によって、生徒が安心して学校で教育を受けられる環境が整えられ、衛生知識や適切な学校施設の使用や心のケアに対する理解も深まりました。この事業を無事に完了でき、ご協力してくださったすべての地域関係者にも感謝しています。

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完成した教室内の席につく生徒たち

 

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2月 2, 2023 教育支援学校修復・建設衛生教育 |

2022年12月15日 (木)

シンド州ダドゥ郡で洪水被災者緊急支援を実施しています。

パキスタンで中部や南部を中心に広範囲に発生した洪水により90もの郡に被害が及び、3,300万人以上が被災しています。2022年6月以降のモンスーンによる異常な豪雨が原因です。死傷者は、14,606人(死者1,739人、負傷者12,867人)とされ、228万戸以上の家屋が全半壊しています。また、低所得の家畜農家の経済的な生命線であるにも関わらず、116万頭以上の家畜が死亡しました。1万3千キロ以上の道路と、439の橋が被害にあっています(パキスタン国家災害管理局・11月18日付)。

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洪水の水で覆われる被災地域(シンド州ダドゥ郡)

特に、シンド州の洪水被災者は、深刻な食糧危機に陥っています。調査では、シンド州で被災した回答者の90% が、家族に十分な食料を供給できない状況にあると分かりました。 

ジェンのパキスタン事務所は、ピースウィンズ・ジャパン様と提携し、最も被害の大きいシンド州の中でも特に支援が行き届いていない郡の一つ、ダドゥで緊急支援を実施します。合計2,538世帯に、食糧パッケージ1カ月分を配付します。また、被災地では既に、蚊が媒介する伝染病や水を原因とする病気などへの懸念が高まっているため石鹸、蚊帳等を合わせて配付する予定です。

先日事業開始後の現地訪問(11月下旬)で、村全体が洪水で流されたダドゥ郡の被災地「パリヤ」町を訪れました。平均60センチ程、家が水に覆われているものの、一部の場所では道路にアクセスできるようになりました。写真(下)の男性や他の村人たちは、水が引いたので最近戻ってきました。家屋の瓦礫を集め、自分たちの手で再建を始めています。家だけでなく、作物やその他の資産も破壊され、復旧にはこれから長い時間がかかると思われます。

引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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調査で訪問した村の様子。積みあがっているのは集めて再利用するという家のがれき。

12月 15, 2022 支援物資配布緊急支援洪水被災者支援食糧配布 |

2022年10月 6日 (木)

政府女子小学校「ワラサック」のトイレ建設の様子

ジェンは、テロや紛争、宗派間の争いの影響で学校や衛生施設が破壊され、パキスタンでは最も取り残された県であるクラム県で、衛生環境の改善と生徒の就学(特に女子生徒)の増加を目指し、学校インフラの改善を行っています。

写真(1)は、クラム県下部地域にある政府女子小学校「ワラサック」での1月中旬時点のトイレ建設の様子です。この学校には、285人の生徒に対して、既存のトイレは2つしかありませんでした。トイレの設備が整っていないことは、生徒の就学を妨げる要因となります。トイレを整備することで、生徒たちは安心して学校に通えるようになります。

冬の影響が比較的少ないこの学校のトイレ建設は、順調に進んでいます。写真(2)は、6月初旬時点で、トイレの内壁と外壁の左官工事がちょうど終わったところです。

写真(3)は、7月中旬時点です。浄化槽と浸水ピット(砂利や岩等を通して浄化槽からの排水をろ過する機能を持つ)やトイレの設備の設置はまだですが、セメントが乾き、周辺の清掃が終了しています。その間、教室の建設も、順調に進んでいます。

今後も引き続き、皆様に進捗状況をお知らせしたいと考えています。

尚、パキスタンの広範囲の地域では、現在大洪水の影響を受けています。被災者の人びとは大変厳しい生活を強いられていますが、ジェンがこの事業を実施している地域では幸いにも大きな影響は出ておらず、事業を継続出来ています。

ジェンは、大洪水被災者の生活再建を支えさせていただくため、緊急募金を行っております。ひとりでも多くの方の暮らしを支えさせていただくため、皆さまの温かいご支援をお願いいたします。

▼パキスタンの活動に寄付をする

https://jen.secure.force.com/?dt=1&pt=0...

▼クラウドファンディングで寄付をする

https://readyfor.jp/projects/jen_pakistan

 

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トイレ2基(奥:建設途中の様子)

浄化槽(浸水ピットの真横:四角でレンガが敷き詰められた様子) 浸水ピット(手前:円筒上にレンガが敷き詰められた様子)

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トイレの内壁と外壁の左官工事がちょうど終わったところ

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セメントが乾き、周辺の清掃が終了した様子

 

10月 6, 2022 教育支援学校修復・建設水衛生改善 |

2022年9月 2日 (金)

政府男子小学校「レワン・ケル」の事業前の様子

ジェンは、テロや紛争、宗派間の争いの影響で学校や衛生施設が破壊され、パキスタンでは最も取り残された県であるクラム県で、衛生環境の改善と生徒の就学(特に女子生徒)の増加を目指し、学校インフラの改善を行っています。

写真(1)は、クラム県上部地域にある政府男子小学校「レワン・ケル」での事業開始前のトイレ建設予定地の様子です。

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トイレ建設予定地の様子(建設開始前)

この学校では、トイレがなく、生徒たちは排泄をするために、野原に行かざるを得ない状況です。そして、修復が必要な教室が2つのところに、80名の生徒が学んでいます。さらに、学校には外壁もありません。この地域では、治安が不安定なので、外壁の建設によって学生は安全に学校に通うことができ、意欲の向上にもつながります。

3月初旬からこの学校の教室の修復が着工しています。写真(2)は、トイレの土台作りでコンクリートが入った後になります。

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トイレの土台作りの様子

今後も引き続き、皆様に進捗状況をお知らせしたいと考えています。

9月 2, 2022 教育支援 |