2019年4月17日 (水)

異例の降雪が活動を遅らせる

JENは28の水と衛生(Water, Sanitation and Hygiene: WASH)プロジェクト地域で2300世帯を対象に援助をしています。今年の天候はいつもとすごく違っています。2018年と2019年の降雪期間の長さとその激しさは、ここ数年の記録を超えました。このことにより、水の供給計画やトイレといった水衛生施設の再建プロジェクトを著しく遅らせました。

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いくつかの村では、降雪のため小道や道路が壊れ、狭くすべりやすくなり、潜在的に危険をはらんでいます。こんな状況では、車での移動は危険です。そのため、代わりにスタッフは歩いて村を訪ね事業参加者の元へ行ったり、水のサンプルを集めたりします。降雪が激し過ぎる時は、しばしばチームは現場に行くことを延期しなくてはなりません。

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この状況により、計画されたプロジェクトの活動ができない事で、プロジェクトを(困難だけど)やりがいがあるものすると同時に、冬が終わった後の仕事量を増やします。しかしながら、良かった点は、JENが前向きで、このプロジェクトの期間を無事に3か月延長できたことです。また、JENのアプローチの一つとして、スタッフ間での話し合いの後、水衛生施設の再建に向けて3つの業者と契約することにしました。

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水供給施設の再建は、これまでも3業者による分業で行っていました。1つの業者はひたすらトイレの再建に集中します。その再建事業は、契約したその作業を終えた後、別の業者に手渡されます。このアプローチの目的は、(分業されることで)より多くの再建事業が少ない時間で実行されることです。今のところ、JENは再建事業がイ-ド・アル・フィトル祭(祝日:6月5日から7日の間ラマダン(断食月)の終わりを祝う)の後、つまり2019年6月か7月に終了することを予測しています。

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衛生キットの調達は最終段階に入っています。それらの配布は数週間のうちに始まります。そのため、現場のチームは、現在のところ衛生キットの保管と安全のために倉庫と警備員を探しています。JENは計画されたすべてのプロジェクト活動が予定通り終了することを願っています。

 

4月 17, 2019 水衛生改善 |

2019年2月20日 (水)

飲料水の供給スキームにおける調査

ジェンは中央クラム管区における水と衛生(Water, Sanitation and Hygiene: WASH)事業に向けたパラ チヤムカニ地区での飲料水の供給スキームの実現性評価を終えました。提案されたスキームは、クラム管区の地方行政により任命され、ジェンは30以上の飲み水用の構造物を訪問しました。

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調査結果のとおり、クラム管区における主な飲み水の給水源は天然の泉です。天然の泉は、定流の中の底から加圧された水が湧き出した特殊なタイプの地下水源になります。全ての天然の泉は、石や他の物質(砂利、砂、沈泥)といった地下の部分からなる帯水層によるものです。掘り抜き井戸や、手押しポンプ用井戸、掘り井戸/開放井戸のようなその他の飲み水の給水源は、うまくいっていません。なぜなら、ジェンの対象地域は、起伏のある硬質の地形で地滑りの地域であるからです。

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この対象地域へのアクセスは、大変難しく、その道はほとんどウルドゥー語とパシュトー語で「カチャ」(コンクリートの道でなく、舗装されていない)です。夕立ちや豪雪が続く期間と共に、冬の時期は既に始まりました。気温は、5度低くなり、建設作業は、2月まで実行できなくなります。そのような厳しい天気の中、事業参加者のところに行くのは非常に危険になります。と言うのも、事業参加者の村へ進む道は狭く、滑りやすいからです。もし安全対策をよく知らなれば、山岳地帯であるため、そのリスクは高いです。

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エンジニアたちが実現性評価の報告書を準備するために、車や徒歩で4から5時間の長い移動するため、水源を訪れることはとても難しいです。全ての飲料水の供給スキームは、ジェンの基準を満たしませんが、ほとんど全ての村が小さな水源からの飲料水の供給スキームを必要としていました。少ない理由は、技術的なスキームの非実現性、コミュニティ双方の不和、そして高い予算でのスキームにおける少ない人口の数になります。 最終的に、ジェンのチームは、10の飲料水の供給スキームを選定しました。そこは、事業参加者がより紛争の影響を受けており、技術的な基準も満たしていました。ジェンは、建設関連の作業をするために天気が良くなれば、これらのスキームを恐らく3月初旬には開始できるかと思います。

2月 20, 2019 水衛生改善 | | トラックバック (0)

2019年2月 1日 (金)

旧FATA(連邦直轄部族地域) 中央クラム管区パラ チヤムカニ地区にて、事前KAP調査の主な発見

ジェンの現場スタッフがパラ チヤムカニ地区で事前KAP調査(知識・態度・習慣に関する調査)を開始しました。主な調査の目的は、ジェンの事業開始前における現在の衛生状況や現地の人々の水・衛生のニーズを知る事です。今のところ27の地域を訪問しました。
  
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インタビューの様子
  
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キッチンの様子
  
その調査の結果のとおり、現地の人々は非常に貧しく、基本的なインフラもその地域にはありません。道路状況も悪いです。衛生に関する知識もこれまでハイバル・パフトゥンハー(KP)州に住んでいる人*より乏しく、安全な飲み水がこの地域で主な課題です。人々の多くがわき水や野外の地表水(河川や湖沼などの陸地表面に存在する水)を飲み水や他の家庭用水として使用しています。湧き水は、保護されていないので、結果として汚染している可能性があります。
  
排水溝は、多くの場所でカバーがされておらず、壊れています。ほぼすべての村で、排水溝は、プラスチックバックや包装紙、プラスチックボトルなどで詰まっており、適切なごみ処理システムはありません。ほとんどの場合、トイレはあるものの、トイレ全体の状況はよくありません。
  

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排水溝の様子

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トイレの様子

  
主な収入源は、日雇い労働です。対象地域のほとんどの人は、求人やビジネスの機会が地元にはほとんどないので、出身地とは別の地域で働いています。
  
ジェンは給水や衛生事業を実施しており、この地域の人々はこの地でジェンの事業が開始されたことに喜んでいます。そして、今後は農業、家畜、技術向上といった生計強化のサポートも期待しています。
  
*連邦直轄部族地域(FATA)はアフガニスタンに隣接する,部族による自治が行われていた地域で,2018年5月31日の憲法改正により,KP州に統合されました(外務省パキスタン危険情報詳細2018/7/31)

2月 1, 2019 調査 |

2018年11月27日 (火)

水はいのち:クラム管区で必要な人々に安全な水を供給する事

水を飲むことは人間にとって最も基本的な権利でありますが、残念ながら時がたつにつれて、人口の増加と共に、世界中で、人々は安全な飲み水を得ることが難しいという問題に直面しています。パキスタンも早急な解決を必要としています。水と衛生専門NGOウォーターエイドによれば、『自宅の近くで清潔な水を利用できない人数が最も多い国10ヶ国』の内、9位にランク付けされており、全2億7百万人の全人口の内、2千百万人がきれいな水にアクセスできないと言われています。

ジェンは、パートナーであるUNOCHAと共に、クラム管区の最も未開発の地域で給水スキームに関する建設や修復の役割を担っています。今、ジェンは調査の段階にあり、低所得者地域や差し迫って水を必要としている場所を調査しているところです。

それらの場所は、美しい森と湧き水に恵まれていますが、その地域に水源があるにもかかわらず、村や家に水を引く方法や余裕もなく、人々は水へアクセスがありません。その問題は別として、既存のパイプが、水が汚染され各地で摩耗しており、それによりその地域では水系感染症を引き起こしています。湧き水自体も多くの場所で保護されておらず、水の汚染を引き起こし、最終的に下痢などの別の病気も引き起こしています。

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湧き水は村に存在してますが、不十分な計画のため、人口の増加が安全な飲み水を奪っています。例えば、マンルホ カレ村では、十分な湧き水があっても安全な飲み水にアクセスできない村の一つです。

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この村では、深刻な水の必要性があるため、クラム管区の行政と地方自治体と調整、相談の上、ジェンは給水スキームにこの村を選定しました。この地域で技術的な調査を行った後、ジェンのチームは、この村が給水スキームの支援をもっとも必要としていると実感しました。この地域の人々はこの村で新鮮で安全な水を飲める事に胸を躍らせ、熱望していました。この村の長老は、調査の間、ジェンのチームを歓迎し、サポートしてくれました。そして、彼らはこの村へのジェンの貴重な貢献に対して厚く御礼を述べてくれました。

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11月 27, 2018 水衛生改善 | | トラックバック (0)

2018年10月12日 (金)

8月20日から水衛生施設改修を中心とした生活基盤改善支援事業を開始

反政府勢力の掃討作戦が始まったことで、多くの世帯が避難を余儀なくされていましたが、掃討作戦の終了に伴い2014年12月以降、人々は少しずつ故郷に戻り始めました。中央クラム管区では、4万世帯が帰還を果たし、いまだに避難生活を強いられているのは、5千世帯強となりました(UNCHA Humanitarian Snap Shot: 2018年7月末時点)。ジェンは、アフガニスタンとの国境に位置するパキスタンの連邦直轄部族地域(Federally Administered Tribal Areas : FATA)中央クラム管区における帰還民のために、8月20日から以下の水衛生施設改修を中心とした生活基盤改善支援事業を開始しました。
  1. パキスタンFATA中央クラム管区へ帰還した35ケ村の2300世帯を対象に、7つの給水施設(貯水槽、配水タンクなど)を改修し、19の手動ポンプを新設して、安全な飲み水と灌漑用の水へのアクセスを確保します。
  2. 帰還した人々が中心となって10の水管理委員会を設立してもらい、施設のメンテナンス研修を提供して、帰還民自身による維持管理を実施してもらいます。また、同世帯を対象に、最低限必要な衛生キットを配布し、衛生啓発を通して衛生面の維持・向上を図ります。
  3. 同管区の4つの小学校と4つの診療所で衛生施設(小学校:16 /診療所:8つのトイレ設置等)を改修します。また、同校の生徒たち520人(130x4校)を対象に、衛生教育を通して衛生面の維持・向上を図ります。
ジェンはパキスタンでのこの新たな事業を開始する前に助成金や寄付を託された者としてあるべき行動を取れる様、団体内で「人道支援の質と説明責任に関する基準(CHS)」を学び直しました。今後も学びを実践し適切なやり方で支援活動を実行できる様、成果の測定や振り返り、また、学習を継続して、支援活動の質の向上を図っていく予定です。

10月 12, 2018 帰還民支援 | | トラックバック (0)

2018年5月24日 (木)

「生計回復委員会」の会合

 帰還民の人々の生活の向上を目指し、JENが設立した「生計回復委員会」を中心に、これまで2年にわたって支援を続けてきました。これまで「生計回復委員会」では、定期的に帰還民の人々との会合を開いてきましたが、5月の1週目に開催された会合では、これまでの活動の振り返りを行いました。

 生計回復委員会の一員である畜産局の職員が、これまで給餌方法や、その他の家畜管理の研修、人工授精などの活動を直に観察してきており、その結果帰還民の収入は着実に向上している、と説明しました。

 帰還民の人びとは、2年という長期的なプロジェクトはこの地域では初めてで、とても有意義だったと話してくれました。

 また、会合では今後の課題についても意見を出し合いました。金銭的に余裕のない人は家畜用の小屋の建設を支援してほしいと話しました。また、普段なかなか外に出られない女性たちは、家畜の管理を勉強する機会を作ってほしいと言いました。村の長老の一人は、家畜への給餌に関する研修は本当に有意義だったので、今後もさらに続けてほしいと話していました。

 会合の後、生計委員会の一員はJENスタッフに対し「この2年間は地域の人々の生計向上に本当に意味のあるものだった。」と話してくれました。

 

【「生計回復委員会」会合の様子】
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5月 24, 2018 生計回復事業帰還民支援 |

2018年4月12日 (木)

家畜を守り育てるシェルター

 昨年8月・9月に畜産研修についてご紹介しました。(写真はその時の様子)

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3月に研修の参加者を訪問して話を聞いてきました。

すると、参加者の1人は、研修で学んだことを活かして家畜用シェルターを作ったと語ってくれました。何とかお金をかき集めて2ヶ月かって作ったそうです。他の参加者も、それに続き、計9世帯がシェルター建設に取り組んでいます。

昨年行った研修では、まず座学研修でシェルターの重要性について学び、畜産研修で実例を見てもらいました。

参加者の一人は、「研修を受けるまでは、天候の変化で家畜の体調が悪くならないように、締め切った部屋の中で飼育するのが正しいと思っていましたが、研修に参加した後は家畜を外へ出したり、部屋の換気をしたりするようになりました」。 「家畜用シェルターを作るにはお金がかかることからなかなか決心がつかなかったのですが、思い切って作り、シェルターで飼育を始めると、家畜の健康状態がよくなり、牛乳などの収量が増えました」 と話してくれました。

 生計にとって、また糧としてとても重要な家畜の飼育状況を改善しようと、人びとが自身で努力していることに感銘を受けます。これは前向きな変化です。しかし、人びとがかつての暮らしを取り戻すにはまだまだ絶え間ない支援が必要です。

畜産研修①の様子はこちら

畜産研修②の様子はこちら

4月 12, 2018 生計回復事業 |

2018年3月29日 (木)

モット草の需要

 以前にお伝えしたモット草のお話の続きです。

 人びとは家畜の放牧をしますが、実は家畜にとってはこれだけでは十分な栄養が取れません。補助飼料を与える必要があります。

 畜産局との話し合いで、私たちはタンパク質を多く含むモット草について知りました。政府酪農場では広く栽培されています。そこで、苗を分けてもらうこととなりました。

 最初は新しいことを試す意欲にあふれた人びとに苗を配布しました。苗はうまく成長し、政府酪農場にさらに苗の供給を依頼しました。7.000株が提供され、70軒の酪農家に配布しています。
 
 そうしているうちに噂を聞きつけて、さらに多くの人びとが苗を求めてきました。政府酪農場は協力的で、人びとが直接、酪農場に配布を依頼することになりました。先に栽培に成功した人びとが彼らに栽培方法を教える予定です。

 少し前まで大半の人びとはモット草について知りませんでした。今後、彼らがこれを活用し、家畜のより健全な成育、乳量および乳製品生産量の向上に役立てることが期待されます。

【モット草の苗についての話し合い】
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【苗の配布】
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【政府酪農場での苗の刈り取り】
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3月 29, 2018 生計回復事業帰還民支援 |

2018年3月15日 (木)

パキスタンの気候と農業

 パキスタンは美しい風景と四季、豊かな土壌に恵まれ、農業に適しています。人口の約4割が農業に従事しています。

 北部では多くの降雪があり、これが十分な飲料水や農業用水をもたらします。このため、パキスタンでは質のよいコメ・小麦・とうもろこし・綿・果物が収穫できます。マンゴー・リンゴ・ミカン・さくらんぼ・バナナ・グアバは名産で、国内消費だけでなく輸出もされます。

【収穫前のグアバ】
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【売られているグアバ】
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【食べごろのグアバ】
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 しかし、こうした気候・地理条件は洪水・地滑りなどの災害も引き起こします。気候変動がこうした災害を悪化させていると言いますが、自然だけを責められるわけではなく、これを破壊している人間にも責任があります。

 たとえば水資源管理は適切でなく、利用可能な水量は年々、減少しています。家庭では人びとは水を無駄遣いしています。ダムで効果的に貯水を行うということもなかなかなされていません。また、森林を大切にせず、伐採が進み、これが気候変動や災害の増加・悪化につながると懸念されています。

【荒廃した山々】
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 政府などによる植林や貯水などの努力が行われていますが、人びとの認識がまだ不十分です。次の世代のために政府や人びと、NGOなどが手を携えて尽力せねばなりません。

【ダム】
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3月 15, 2018 文化、生活、習慣政治、経済、治安 |

2018年2月22日 (木)

働き者の女性

 パキスタンでは武装勢力の掃討作戦が展開されたことにより、避難を余儀なくされていた多くの人びとが、少しずつ故郷に戻っています。くわしくはこちらから。

こうした状況に対してJENは、連邦直轄部族地域(FATA)ハイバル管区への帰還民を対象に、支援者の皆さまと日本政府のご協力のもと、家畜を通じた生計向上プロジェクトに取り組んでいます。

***** 

 働き者の女性は家事だけでなく家畜の世話や園芸を行います。

 ハナムさんはそうした女性の一人です。JENが2015年に人びとに野菜の種を配り、園芸についての研修を行いました。ハナムさんもそこで学びました。

 今、ハナムさんは3人の子どもたちを学校に送った後、2時間ほど掃除・洗濯などの家事をし、庭の畑に向かいます。冬にはほうれん草の種を蒔きます。畑の準備から野菜を育てるまで、すべてが彼女の仕事です。夫は有機肥料を持ち込みます。

「家族が食べられるだけのほうれん草が収穫できます。お金の節約になりますし、ほうれん草は栄養分が高いです。たまに親族や近所の人びとに分けています」とハナムさんは言います。
 彼女は賢明で、次の種蒔きのために一部の種を取っておきます。

【親戚の子どもを抱きながら子どもたちの昼食のためにほうれん草を収穫するハナムさん】
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【収穫できるまでに成長したほうれん草】
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【種蒔き用のほうれん草の種】
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写真③

2月 22, 2018 生計回復事業農業支援 |