2021年9月22日 (水)

コロナ禍でのマスク事情

他の国々と同様に新型コロナ感染症はパキスタンで蔓延しました。限られた知識や物資しかない人々は病気から自分自身を守れず、犠牲者が続きました。政府はパキスタンの各地で都市封鎖、あるいは緩やかな都市封鎖を開始し、ワクチン接種も始まったのですが、コロナ変異種の出現や感染症への注意が足りないことがいまだ人々を苦しめています。

JENは、カシミール地方のミルプール県、ハイバル・パフトゥンハー(KP)州クラム県のコロナ感染症で苦しんでいる家族に、2ヵ月分の食糧を提供する支援をしました。この支援は新型コロナ感染症のピーク時に行われたため、コミュニティと政府から非常に高く評価されました。裨益者は愛する人を亡くし、仕事も失いました。家族を養う食べ物を買う余裕もありませんでした。

JENは、KP州D Iカーン県とシンド州タールパーカー県での生計支援プロジェクトを完了しました。裨益者の数が多く、JENは牛の飼料、機材、医薬品を配布しなければなりませんでした。JENはプロジェクト期間中、マスクを着けるように随時伝えていましたが、シンド州やKP州D Iカーン県のいくつかの離れた地域ではマスクが手に入らなかったため、そこでは多くの人がマスク着用できませんでした。コミュニティではウィルスから守るため別の方法を採っていました。女性も男性もショールを使って口と鼻を覆っています。

 

Jen_jpf_livestock-feed_uc-posarko_tharpa

9月 22, 2021 新型コロナ対策緊急支援 |

2021年8月 4日 (水)

クラム県での教育の苦悩

クラム県では、教育分野はこれまであまり注目されていませんでした。JENは、当初JENチームがこの地域で実施した調査で、現在の劣悪な教育環境の状況を考慮して、この地域でプロジェクトを実施することを決定しました。調査では、以下の教育や学校環境の悪化状況が明らかになりました。一部紹介します。

建物の状態は悪く、ほとんどの場合学校にトイレはありません。野外排便が行われております。それは、非衛生的で、生徒の健康を絶えず害するものです。加えて、過激派や宗派間の対立は、人々、特に子供たちに悪影響を及ぼしています。 事業対象地域でも同様の対立により、特に子ども達の心の健康がひどく損なわれていました。

JENチームは、生徒や教師と交流して、彼らの意見を記録しました。ザーラさんは政府女子小学校「カレッジコロニー」の優秀な生徒です。衛生教育について尋ねると、彼女は「手洗いについて少しは知っていますが、適切な知識は持っていません。」と答えてくれました。 ザーラさんは手洗いの手順は知りませんでしたが、衛生教育の内容に強い関心を示しました。

また、JENのスタッフは、この地域の紛争や闘争から生じる心理的問題についても、調査しました。彼女は「私はアートが大好きで、絵を通して自分の気持ちを表現したいと思っています。 何年もの間、私たちは自分たちの地域で宗派間の戦いに直面しました。 私たちは、これらの問題にうんざりしていて、幸せで恐怖のない人生を送りたいのです。 過去に宗派間の対立が激しかった頃、私たちは学校に行ったり、バザールを訪れたり、行事に出席している間、絶えず恐怖の中にいました。状況が少し良くなっていることを、神に感謝します。それでも私たちの地域では、常に宗派間の衝突の可能性があります。」と話してくれました。

政府女子小学校「カレッジコロニー」のミーナ・ナズ校長先生は、「私の考えですが、宗派間の対立は、学校中退や経済上の問題などを引き起こしたと思います。親も子ども達も学校に行くのをためらって、多くの子どもが授業を欠席したことを、ぼんやりと覚えています。その上、宗派間の衝突による学校の閉鎖は、子どもの行動に悪影響を及ぼしました。 子ども達は家に居るよう制限され、自由に遊ぶことができませんでした。彼らは、友達と会う機会を奪われ、それは明らかに彼らにマイナスの影響となっています。」と話してくれました。

学校での衛生教育については、同校長先生によると「私たちの学校の教師は、手洗い、爪を切ること、清潔な洋服を着ることなどの衛生教育の基本的な知識を持っていますが、正式な研修は受けていません。私たちは、この基本的な知識を生徒たちに教えたいと思っています。」ということでした。

また、JENの支援については、「私は、衛生教育について学ぶことに強い関心があり、心待ちにしています。 それを生徒たちに教えるだけでなく、自分の家にも応用したいと思います。また、JENによる心のケアの研修にも期待しています。 私たちのコミュニティは多くの苦しみを味わいましたが、今こそ恐れずに前進する時です。」と笑顔で、JENスタッフに話してくれました。

Pk_july

8月 4, 2021 教育支援 |

2021年7月13日 (火)

ハイバル・パフトゥンハー(KP)州の害虫被害支援事業の完了

ハイバル・パフトゥンハー州(※以降、表記はKP州)の害虫被害の最も影響を受けた2県の農家の人びとに対するに対する害虫駆除・監視・管理を中心とした生計基盤支援の報告です。

KP州およびシンド州のそれぞれ1県(D I Khan/タールパーカー県)において、深刻な害虫の被害にあった農家の人びと(68の世帯:476)に対して、バッタ駆除グループ(LCG: Locust Control Group)を形成の上、緊急支援物資として、害虫駆除用の必要資材(殺虫剤の噴霧機材、防御用品(マスク、手袋、眼鏡、帽子))の配布し、現場での害虫駆除訓練を実施しました。

合わせて、各県の農業局のバッタ制御室とLCGメンバーの連携を促し、今後のバッタ襲来に備えて、農業局バッタ早期警戒メカニズムの立ち上げ及び監視・制御の仕組み強化しました。

さらに、対象4,680世帯(32,760)の家畜農家の人びとに対して、緊急対応としての家畜の飼料、寄生虫の駆虫薬及び予防接種を行いました。家畜の健康管理啓発セッションの開催を通して、関連する家畜育成の知識を提供することで、食糧危機に直結する飼料不足の状態の緩和をサポートしました。駆虫処置や予防接種用の機器は、おおよそ12世帯ごとのグループリーダーに1つずつ供与された(管理を含む)ため、今後も家畜農家のために、活用が可能になります。

この害虫被害の影響を受けた農家の人びとを対象に行っていた事業は20215月に完了いたしました。

Pk_20210712_02
家畜の健康管理啓発セッションで真剣に話を聞く家畜農家の人びと

Pk_20210712_01
家畜への駆虫処置と予防接種の様子

※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

7月 13, 2021 生計基盤支援事業 |

2021年6月18日 (金)

事業参加者の声 – ハイバル・パフトゥンハー州D I カーン県 –

カマール・アドゥ・ディン(Qamar-ud-Din)さんは55歳で、4人の子供がいます。彼は4年前に遭った交通事故で障害が残り、今は動くことができません。彼は、彼の給料が我が家の家族のための唯一の収入源であると言いました。彼の村はD.I.カーンの主要都市から非常に遠く、適切な道路インフラがなく交通は不便です。何か収入になるものを得るために、毎日主要都市に出かけることは彼にとって本当に大変なことでした。現在、彼の生計は完全に家畜に依存していますが、深刻なバッタ襲撃のために家畜の放牧用飼料を奪われました。家畜は飼料不足のために弱っていますが、彼には売っている飼料を買う余裕がありません。

このように、JENの事前調査で、カマールさんの生活はかなり過酷な状況であることがわかりました。JENチームは彼の牛に飼料を提供し、近い将来ワクチン接種と駆虫を行う予定です。

カマールさんは、「私の家族と私のコミュニティを代表して、私たちの家畜に飼料を提供してくれた日本政府、日本の皆様、そしてJENの人道支援活動に感謝しています。」と述べました。さらに「将来のバッタ襲撃に対処するためにコミュニティメンバーの訓練をすることで、私たちの農業と家畜の安全が守られます」と話してくれました。

6月 18, 2021 生計基盤支援事業 |

2021年5月 6日 (木)

水衛生支援事業:事業参加者インタビュー

マハナーズ・ビビさんは、クラム県プワール村に住む主婦で、5人の子どもがいます。彼女は、家族の治療のためにパラチナール・ザナナ病院を訪れます。JENチームは、事業終了後のモニタリングの際、ビビさんにインタビューしました。 彼女によれば、「私は特に冬に子どもたちが病気になると、この病院によく来ます。非常に優秀な医師がいるため、私たちの地域のほとんどの女性は好んでこの病院を選びます。」と話してくれました。

2_image001_mehnaz-bibi-sharing-her-view-

ジェンスタッフからインタビューを受けるビビさん

事業開始前の状況について、ビビさんは、「必要に応じて、子供たちは屋外で排泄し、私は近くの家(病院の隣)にトイレを利用しに行っていました。隣人たちは、自発的に私達に利用させてくれました。しかし、時には私たちがトイレ施設を利用することを許可しませんでした。その場合、病院から徒歩10分のところにあるイマームバルガ(シーア派のモスク)に行きました。この距離を歩くのは苦痛でしたし、その場所にはとてもたくさんの男性がいたので、恥ずかしいことでもありました。」と話してくれました。

2_image003_a-view-of-the-nonfunctional-l

事業前の病院内のトイレの様子

さらに、「この病院には主に女性が訪れます。病院を訪れた数人の月経中の女性に会いましたが、とても不安を感じていました。女性特有の問題を抱えている人もいますし、頻繁にトイレに行く必要もあります。生理用の布やナプキンを交換する必要があります。私たち女性、特に障がい者にとって、トイレのない病院を訪れることは悪夢でした。女性に大きな安心を与えてくれて本当にありがとうございます。」と付け加えました。この事業では、女性用のトイレに、生理用ナプキンを処分できるようにゴミ箱を備えました。また、これらのトイレには鏡付きの棚が設けられており、女性は生理用ナプキンや布を置くことができます。女性患者のプライバシーを守るために、トイレの前に壁も建設されました。

2_image005_a-well-designed-latrines-for-

プライバシーが守られた適切に設計された壁付き女性用トイレの様子

以前とは異なり、患者は病院内で、十分な数の適切なトイレにアクセスできるようになりました。JENは、女性用に2つ、男性用に2つの個別トイレがある衛生施設をそれぞれ建設しました。さらに、男女共に2つある個別トイレの内、一つは、 アクセスしやすい障がい者のための洋式トイレが設置されています。患者たちは今、はるかにリラックスしたより良い環境で病院を訪れることができます。

※本事業は、国連人道問題調整事務所(OCHA)からの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

5月 6, 2021 水衛生改善 |

2021年4月 6日 (火)

新型コロナ対策緊急支援 裨益者インタビュー

シャイド・ハビブ・フセインさんは、ゼルハン町の住民です。彼には17人の家族がいます。彼は次のようにインタビュ―に応えてくれました。

「パンデミックの間、私は屋外での活動を控えるように努めましたが、店の経営以外に私の家族を養う生計手段がないので、店を開かなくてはなりませんでした。私は政府が定める標準作業手順(SOP)に従いましたが、残念ながら活動中に感染しました。私自身の隔離が遅すぎたため、私の家族が感染し、事態は悪化しました。県当局は私たちを家にいるよう制限し、誰も外出を許されませんでした。ある程度の蓄えはありましたが、それだけでは足りませんでした。日々必要なものを賄うために友達からお金を借りました。私の店も閉店し、状況はさらに悪くなりました。」

Pk_20210406_02

JENスタッフに家族の詳細を説明するシャイド・ハビブ・フセインさん

彼はさらに次のように付け加えました。「今は店を開けること許可されていますが、それでも友達からたくさんのお金を借りました。私はその借金の支払がとても心配でしたが、JENが新型コロナウィルス感染症の影響を受けた家族に食糧配給をしてくれることを知ってすごく安心しました。この支援で食費を節約して、私を助けてくれた人に返済することができるので、とても大きな意味があります。」

Pk_20210406_01

JENの支援についてのシャイド・ハビブ・フセインさんの感想を記録しているスタッフ

4月 6, 2021 新型コロナ対策緊急支援 |

2021年2月 9日 (火)

女子教育のための安全で健康的な環境の整備

アムラさんはサーパク村に住む12歳の女の子です。彼女はジェンのスタッフに「私にとって教育は生活する上でとても大切なものです。教育を受けた人々はより効果的な方法で他の人を手伝い、支えることができます。」と話してくれました。さらにアムラさんは次のように言いました。「私は友達が過去にな境界壁がなかったことから家族に学校へ通うのを止められため、友達落ち込んでいました。当時、境界壁の高さが足りなかったため、私たちは外からられていました今は新しい境界壁が作られて、私たちは自由にスポーツをしたり歩き回ったりできるようになりました。私はジェンが壁を作ってくれたことを友達伝えました安全でプライバシー守られているので、友達がまた戻ってきてくれることを願っています。」

Pk_20210209_02

また、アムラさんは「他にも、私はジェンが私たちにくれる新しい本にとてもわくわくしています。私は裁縫と料理がとても好きです。刺繍や料理いくつか見つけたので、時間がある時には勉強して新しい ことや方法を覚えたいです と話してくれました。

Pk_20210209_01
図書館で料理のレシピ本を選んでいるアムラさん 

2月 9, 2021 学校修復・建設 |

2020年12月17日 (木)

人々に水と衛生へのアクセスを確保する支援活動

シェド・ナジュムル・ハッサンさんはゼラン村の住民です。彼には職業がありますが、その労働だけが彼の家族を養う収入源です。月収は18,000ルピー(約12,000円)で、家族全員を支えるには不十分です。彼の家族は、妻、両親、未婚の兄弟、子ども3人(男の子2人と女の子1人)の8人家族です。彼のお母さんには高血圧の持病があります。

Pk_20201217_01
お話を伺っている時の様子

彼は、彼のお母さんの治療のために、BHU(基礎保健ユニット)のゼラン外来病棟を訪れます。BHUは村でただ一つの医療施設です。BHUでは、医師一人と薬剤師二人が医療にあたっています。

高血圧のお母さんがトイレに行きたくなった時には、彼らはトイレを探して、遠くのイマームバルガ(宗教的建物)あるいは地元の誰かの家まで歩いて行かなくてはなりませんでした。BHUにもその周辺にも患者が使用できる公共のトイレがないからです。

Pk_20201217_02
衛生セッションの様子

BHUあるいはその周辺に、毎日訪れる患者のためのトイレが一つもないことは問題でしたが、前回彼らがBHUを訪れた時、ジェンというNGOが、男女含めた患者のためにトイレ、洗面台、排水設備を建設してくれたことを知ってとてもうれしく思ったそうです。患者のために、ジェンが率先して支援してくれたことに感謝しています。とインタビュー時に伝えてくれました。

彼は衛生セッションにも参加しましたが、それはとても有益でした。また、ジェンの女性スタッフがBHUを訪れ、女性スタッフのために衛生セッションを行っていることを知りました。彼は妻にも、そのセッションに参加するよう促しました。夫婦ともに参加し、新しいことを学びました。適切な手洗い方法がとても重要だということを初めて知りました。

トイレ建設や衛生セッションは、人々の生活に良い変化をもたらします。トイレを利用できないことはとても大きな問題でしたが、彼らは今では外に行く必要がなくなり安堵しています。

 

※ハイバル・パフトゥンハー州(KP州)上部及び中央クラム地区における帰還民に対する水衛生施設改修を中心とした生活基盤改善支援事業でトイレの建設と衛生セッションを実施いたしました。本事業は、 ジャパン ・ プラットフォームからの助成金やジェ ン へ の寄付金により実施しています。

12月 17, 2020 水衛生改善 |

2020年8月 7日 (金)

カシミール地方地震越冬支援事業完了の報告

今年1月中旬から実施してきた「パキスタン・カシミール地方ミルプール県の地震被災者のための防寒対策物資の提供および心理社会的サポート事業」が完了致しました。深刻な地震被害を受けた640世帯を対象に、緊急支援物資として、防寒テント、プラスチックマットレスやプラスチックシートを配布しました。

同時に、地震で被災しゼロからの再建に不安を抱えている人々に、コミュニティで心理社会教育セッションを実施しました。これらは、ジャパン・プラットフォームおよび皆様からの温かいご支援により、実施することができました。心より御礼申し上げます。

3月中旬になって、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、カシミール地方で会議や屋外での活動が禁止になったことから、一時的に事業の実施が困難になりました。しかし、苦情や問い合わせを受け付けるために、ミルプール県の事業地に設けていた女性委員会のメンバーが協力してくれたため、防寒テントの使用状況を確認するなど事業を継続することが出来ました。

心理社会教育セッションは、FMラジオ放送、地元テレビやソーシャルメディアなどの代替手段に切り替えて引き続き実施することができました。また重度の心理社会的苦痛を抱えている被災者を専門家や関係者に繋ぐ「住民の窓口としてジェンの学習会で勉強をしたメンバー」が冊子配布をサポートしてくれました。

地震被災者が、防寒テントによって寒さをしのぎ、心理的な苦痛から抜け出す方法を学び、状態の重い方は専門家につなぐ、という、こころのケアに重点をおいたこの事業を、地域住民のご協力を得たことで無事完了でき、感謝しています。

Pk_20200807_01

ジェンは、心理社会教育関連のIEC資料を、ミルプール県サムウォル・シャリフのメンバーに手渡すことができました。

8月 7, 2020 緊急支援 |

2020年4月17日 (金)

心理社会的サポート事業の進捗

ジェンが保健局と協力し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える被災者を心のケアをできる病院へ紹介し、その後のフォローアップも含めた仕組みをつくる準備をしています。女性の心のケア専門家などが被災者に目をくばり、PTSDから回復するように、丁寧に支えることを目指しています。 

心理学者は、戸別訪問を行い、現場の状況を確認しながら、その評価結果に基づいて、心理社会的サポートに関する資料(主な内容:喪失後のストレスに対処する方法)を監修しました。資料は、地震の影響を受けた人々が心理社会関連のセッションの理解をさらに深めるために提供します。3月8日時点で、心理学者による5つの心理社会的セッションで、75人の女性、25人の男性、8人の少年、17人の少女が心理学者による適切な専門教育を受けました。

21-300_225

22-300_225

4月 17, 2020 パキスタン地震 緊急支援 |