2017年10月19日 (木)
イラクの教育システム(1)
イラクの学校教育は1921年に始まり、1970年代前半に全ての公立学校が無料化され、誰でも学校教育を受けることができるようになりました。
1970年に制定された憲法では、初等教育を義務教育とし大学までの全ての教育課程を無料化し、教育を受ける権利を保障することが定められています。
また、1978年には15歳から45歳までの人を対象に、非識字率を改善するための総合的なキャンペーンを行い、1978年当時48%であった非識字率が1987年には9・19%まで低下しました。
ユネスコの報告によると、湾岸戦争が勃発した1991年以前のイラクの教育システムは、近隣の地域では最も優れたものでした。
しかし、第2次湾岸戦争後の教育システムの悪化と13年間続いた経済封鎖の負担は、教育の質の悪化だけでなく、識字率を徐々に低下させ、国民の経済状態の悪化による学校中退率の増加を招きました。
(続く)
【衛生教育の様子】

【歯磨き講習会】

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10月 19, 2017 学校建設・修復文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2017年8月24日 (木)
キルクークの若者事情
ここ、キルクークでも大人気なスポーツ、それはサッカー!昨今のキルクークの若者は、スペイン・スーパーカップ「クラシコ」のレアル・マドリードとバルセロナの対戦に熱中しています。
クラシコはキルクークでとても人気があり、若者の多くがカフェに集まり、熱狂的に試合を観戦しています。
つい先日も、キルクークのクラブにはサッカ―観戦のために多くの人びとが集まっていました。この日は、バルセロナサッカースタジアム「カンプ・ノウ」で対戦が行われていたのです。3-1でレアル・マドリードが勝利しました。
レアル・マドリードのC・ロナウドはこの試合で退場となりましたが、今日、私たちはレアル・マドリードのサッカースタジアム、サンティアゴ・ベルナベウでのリターン・マッチでスペイン・スーパーカップの勝者を目にするのを心待ちにしています。
JENイラク
アブドゥッラー
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8月 24, 2017 文化、生活、習慣 | Permalink
2017年6月 7日 (水)
イラクのトリュフ
みなさん、トリュフと聞いて想像するのは何でしょう?
トリュフはきのこ(真菌)であり、葉緑素を持たないため、光合成を行いません。その代り、土壌の動植物の死骸等から栄養を得ています。
4月初旬、キルクークやその周辺の地域ではトリュフが出回ります。その値段は1kgあたり35,000イラクディナール(約28USD)程です。
トリュフの産地は、かつての武装勢力支配地域であり、そのグループが化学兵器を使用した地でもあるキルクーク近郊で育つため、キルクークの人びとは兵器として使用された化学物質がトリュフに取り込まれているのではないかと懸念しています。しかし、トリュフは非常に美味しく、そのリスクを鑑みても食べたいと思わせるだけのものです。
【山積みのトリュフ】
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6月 7, 2017 文化、生活、習慣 | Permalink
2017年2月16日 (木)
雪
昨日、キルクークでは雪が降りました。雪は朝から午後まで続き、キルクーク全体が雪で覆われました。降り始めから3時間後、雪はやみましたが、気温は0度となり、非常に寒かったです。キルクークで雪が降ったのは2008年以来です。
避難民は、ほとんどがキャンプに住み、この寒さをしのぐこともできず震えています。全ての避難民が早く家に帰ることができるよう願います。世界中の人たちが彼らに、そしてイラクに、手を差し伸べてくれますように。
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2月 16, 2017 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年7月21日 (木)
避難民、難民、ホストコミュニティの運動会
スポーツを通じた交流・相互理解を目的として、ドホーク県内の難民・避難民キャンプ・ホストコミュニティの若者による運動会が6月初旬に開催されました。

参加者は徒競走やリレー、走り高跳びといった陸上競技で競うとともに、伝統的なダンスなども披露されました。
地元の人や、キャンプで活動するNGOスタッフなど、多くの人が応援に訪れました。

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7月 21, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年7月 7日 (木)
ラマダンは終わり、暑さは続く
6月末現在、ここクルド人自治区ではイスラム教のラマダンの真っ最中です。イスラム教の人が断食を行う日中、気温は40度を超えています。
窓を開けても入ってくるのは熱風です。電気の供給が頻繁にカットされ、1日の半分以上は発電機に頼っています。発電機使用中はエアコンを使用できません。そのため、発電機でも使えるこの大きな水冷式クーラーはクルド人自治区の家のマストアイテムです。
これは水をいれてその気化熱で冷たい風を送るもので、エアコンより体にいいと思われますが、エアコンに比べるとなかなか冷えません。
さらに辛いのは夜です。水クーラーは寝室には備えられておらず、さらに寝室のある2階は屋上からの熱がたまり1階以上に暑いのです。
現地スタッフが教えてくれた、とっておきの解決策は、「屋上に水でぬらしたマットレスを敷いて、そこで寝る」「服のまま水をあびてそのまま寝る」とのこと。
実際、同僚はシーツを水でぬらしてそれをかぶって寝ています。
暑い日はまだまだ続きますが、ラマダンは7月4日頃に終わります。買い物に行ったスタッフが道端でかわいいヤギに出会いました。

買い物をすませてお店を出ると、すでに屠殺されていて、夕食のメインになるようです・・・
ラマダン明けのイードに向けて、お祝いの準備も進んでいます。
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7月 7, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年5月12日 (木)
民族としての誇り
JENが活動しているイラク北部のクルド人自治区に入るとよく目に入るもの、
それはクルドの民族旗です↓↓

赤は民族の自由を勝ち取るため闘いと命を落とした人々の血を、
白は平和と平等を、緑は地域に広がる自然を表し、
中央に輝く21本の光を放つ黄色の太陽は、生命の明かりを意味しています
(21という数字は、クルド民族のうちヤジディ教徒の人々にとって大切な意味があるそうです)。
クルド民族は、現在国を持たない最大の民族と言われており、
イラク、トルコ、シリア、イランの国境地帯とアゼルバイジャンなど、
世界中併せて約3,000万人がいるとされています。
(日本では、埼玉県の蕨市にクルドの方々のコミュニティがあるそうです。)
民族旗は街の中、役所、車のバンパーや、山肌などいたるところに掲げられおり、
クルド民族としての強い誇りが感じられます。
<街の中>

<役所や山の斜面にも>

さて、去る3月20日~23日は、クルドの人々にとって一年で最も重要な祝日、ナウローズでした。
一般的にイラン暦の新年=春の訪れとして知られていますが、
クルドの人々のナウローズは、
太古の昔に長年続いたアッシリア人からの解放=民族の春の訪れとして祝われています。
ナウローズの週は街のほとんどのお店が閉まり、
家族でピクニックをしたり、花火を打ち上げたりします。
JENの事務所近くでは見られませんでしたが、
ナウローズでは自由の象徴である炎を灯したり、飛び越えたりする伝統があるそうです。

(出典: https://en.wikipedia.org/wiki/Newroz_as_celebrated_by_Kurds#/media/File:Newroz_Istanbul(4).jpg)

(出典:http://www.ibtimes.co.uk/nowruz-photos-kurdish-new-year-celebrations-iraq-afghanistan-greek-refugee-camp-1550720)
日本には、国にまつわる祝日(建国記念の日・昭和の日・憲法記念日など)はあっても、
民族を称える日はありません。
それが、島国でほぼ単一民族国家である日本と、
陸続きで多民族国家であるイラクの違いなのだな、と感じました。
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5月 12, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年4月21日 (木)
母の日2
ひざまずいてお母さんにプレゼントを渡します。日本のみなさんも是非トライしてみてください。お母さん、喜びますよ!


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4月 21, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年4月 7日 (木)
母の日
お母さんは子どもたちに無償の愛を与え、時には子どもの犠牲になることも厭いません。
多くの宗教はそのような母親を敬い褒めたたえてきました。
母の日は、お母さんへの愛と感謝を示すお祝いです。母の日は少なくとも一年に一回子どもたちが母親のことを忘れず、気にかけるきっかけとして、作られたといわれています。
母の日を祝う方法やその歴史は国によって異なります。春を迎えつつあるここイラクでは、3月21日が母の日で、子どもも大人もお母さんに感謝し、プレゼントを渡し、家族の愛情に包まれたささやかなお祝いをします。母の日は私たちの愛情と尊敬を再認識する日なのです。
私の国では、何十年もの間困難な状況が続き、お母さんたちはたくさんのことに耐えてきました。子どもを何人もなくした人もいれば、夫を亡くした人もいます。父親と母親の二役をこなし、直面する厳しい状況に立ち向かってきたのです。また、親をなくした子どもを引き取って育ているお母さんたちもたくさんいることを忘れてはなりません。
バクダッド事務所
ティクラ・エリアス
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4月 7, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2016年2月 4日 (木)
特別な年末年始
今年のイラクのクリスマスと新年のお祝いは、様々な理由でこれまでの年とはずいぶん違ったものになりました。
キリスト教の祭典・クリスマスとイスラム教の祭典・預言者の誕生日という、両宗教徒にとって最も重要な日が偶然重なったのです。加えて、今年は、ラマディ市の武装勢力からの解放も重なりました。町はこれまでにないお祭りモードになりました。
首都バグダッドでは、25メートルを超える中東一高いクリスマスツリーを始めとして、多くの場所に大きなクリスマスツリーが飾られました。
他の街、たとえばナジャフでも同様でした。ナジャフは厳格なイスラム教徒が多く住む町として有名です。
大みそかのお祝いはイラクの人々にとって、日々の疲れを癒すための休息の時間です。普段離れて暮らしている家族が再会し、プレゼントを交換し、愛情や寛容な気持ちを育む時間です。
2016年が皆さまにとって、平和で愛情と優しさにあふれた年でありますように。

ティクラ J. エリア
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2月 4, 2016 文化、生活、習慣 | Permalink
2015年4月23日 (木)
母の日
もしお母さんがいなかったら、私たちの生活は全然楽しくありません。「お母さん」は、優しさや温かさや愛を示す正直で力強い言葉です。
イラクでは、母の日は毎年ちょうど春の始まりにあたる3月21日です。エジプトのジャーナリストで作家のアリ・アミンが、アラブ世界で最初に母の日を祝うことを考えたのですが、いつにするかは国によって違います。
歴史や儀式は国により様々ですが、子どもたちの人生で母親が果たす役割に敬意を表して母の日を祝うことは、世界中どこでも同じです。
イラクの母親は1960年代からずっと、絶え間ない戦争に苦しんできました。母親たちは息子を兵士として国に差し出さなくてはならず、次から次へと息子たちを失いました。イラクの母親たちは苦悩や涙のために生まれてきたのでしょうか。彼女たちは、血で書かれたイラクの歴史のいつの時代においても、息子に先立たれ、悲しい思いでいっぱいだったのです。
それでもやはりイラクの人たちは、感謝の言葉や贈り物をあげることによって母親の心に楽しみや喜びを生み出そうとしています。
全ての忍耐強い母親が癒され、悲しみに暮れる母親に喜びがもたらされますように。そして世界中の母親に心からの感謝の言葉を贈ります。

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JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を行っております。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
4月 23, 2015 文化、生活、習慣 | Permalink
2014年12月18日 (木)
新年に向けて
イラクでは、依然として政府と武装組織との戦闘が続いており、これに伴い200万人以上の国内避難民が発生しています。
避難民の多くはクルド人自治区内に流入しており、中部・南部の県にも避難していますが、冬を迎えた今、かれらは厳しい環境に置かれています。凍えるような寒さと冷たい雨の中での生活を強いられ、生活を支える資金は不足し、多くの生徒は勉強を続けることができていません。
さらに、原油価格の下落と生産率の低下により、イラクの経済状況は急激に悪化しています。また、民兵による誘拐と恐喝が横行しています。
こうした危機の中でも、イラクの人びとはクリスマスや新年を迎える準備を始めています。万が一に備え、町ではセキュリティを強化しています。
不安な毎日を送る中、人びとが「年末・年始のお祝い」の準備を行うことは、人びとが今、直面している危機を乗り越え、安定した経済と社会を取り戻そうとする意志の表れと言えます。加えて、これを機に厳しい現状を受け入れ、解決に向けて転換していく機運の高まりを求めていると言えます。
JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
ご寄付は、こちらから受け付けております。
12月 18, 2014 政治、経済、治安文化、生活、習慣国内避難民支援緊急支援 | Permalink
2014年7月31日 (木)
イラクにおける教育
イラクでは1921年に教育システムがつくられました。1970年代前半には、教育は公共的なものと位置づけられ、小学校までが義務教育となり無料で提供されるようになりました。
現在イラクでは、2つの省庁が教育システムを管轄しています。1つはイラク教育省(MOE)、もう1つは高等教育及び科学研究省(MOHSR)です。イラク教育省は、就学前教育、小学校、中学校、職業訓練を担当し、その他は高等教育及び科学研究省が担当しています。
1970年~1984年は、イラクで教育分野が最も盛んな時期でした。この時期に、15歳~45歳の非識字者に対する対策がとられました。当時のイラクに住むこの年代の人々の識字率は10%という低い水準でした。イラク政府は、イラク全体の政府予算のうち20%にあたる予算を教育分野に割り当てました。これは生徒一人当たり平均620ドルという計算になります。
しかし、1980年にイラン・イラク戦争がはじまり、1984年~1990年は政府予算の多くが公共サービスではなく軍事費に割かれることになりました。これによって必然的に、社会保障分野への予算が急速に減っていき、教育分野の予算も赤字となり何年にも渡って同じような状況が続き、またこうした状況に対応する戦略的な計画も立てられずにいました。
1991年~2003年には、教育機関が衰退していきました。政府予算全体の8%程度の予算しか教育分野に割り当てられず、教育分野の全盛期であった生徒一人当たりの予算620ドルは、47ドルまでに落ち込みました。教師の給与も月額500~1000ドルであったのが、1994年~1999年には月額5ドルまでになってしまったのです。
その後2003年以降から現在にかけて、教育分野の状況は少しずつ回復してきています。多くの学校がイラク教育省、国際機関やその他機関による支援で再建されました。また多くの私立大学、学校、中学校などがこの期間に設立されました。
しかし、まだまだイラクにおける教育分野での支援ニーズは多くあります。JENもこの教育分野での支援を続けていきます。

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら
7月 31, 2014 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink
2014年4月24日 (木)
イラク選挙
イラクでは、今月の4月30日に国民議会選挙が予定されています。この選挙によってイラク新政権が発足し、向こう4年間の政治運営を担うことになります。
これまでイラクでは、2003年以降、幾度かの選挙が行われてきました。
2005年1月30日にイラクで初めて国民議会選挙が行われ、定数275議席の議員が選出されました。
2005年10月15日に行われた2度目の選挙では、憲法草案の国民投票が行われました。
そして2005年12月15日には、イラクで制定された新憲法に基づく、3度目の国民議会選挙が行われました。
直近の国民議会選挙は、2010年3月7日で、この際に選出された議会にて現在の政権は運営されています。また、これらの国民議会選挙に加えて、これまで数回にわたり地方議会選挙も行われています。
現在、首都バグダッドや地方都市の町中は、選挙に向けて、数多くの選挙立候補者の写真で埋め尽くされています。
最近、有権者を獲得するため、立候補者によるあらゆる手法の選挙活動が目立つようになってきています。
各政党は、資金や権力をもって様々な形での選挙キャンペーンを展開しています。
最も特徴的な宣伝手法の1つとして、食品に立候補者の選挙広告を載せる手法があげられます。立候補者の中には、貧しい人々に対して、「○○(立候補者名)からの贈り物」等と記して物品を渡したり、無料で食事を提供するなどして票集めに奔走し、一部の政党では貧困層の有権者の獲得に成功しています。
また別の立候補者は、議会での議席を獲得するために、イスラム教予言者ムハンマドの命によって立候補したのだということを表す宣伝ポスターを掲載して、有権者にアピールする手法もみられます。
こうした選挙活動は、選挙日の前日まで連日のように繰り広げられます。
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4月 24, 2014 文化、生活、習慣 | Permalink
2014年3月27日 (木)
子ども向け雑誌Majallate
子ども向けの雑誌、Majallateはイラク国内において有名な雑誌の一つです。イラクの子どもたちの文化や生活などを取り上げ、月刊で発行され、今日まで44年間続いています。
様々なテーマに渡り、子どもたちが興味を引くストーリーが掲載されているため、イラクの多くの家族が購入しています。
JENは教育省との協力のもと、この雑誌のあるコーナーの編集を担い、前回のJENの事業を通してこの雑誌を小学生たちに配布しています。子どもたちは雑誌の配布を喜び、また、JENが担当するコーナーに含まれている衛生教育の重要性と環境維持の大切さを実践するようになりました。
バスィム・ユスィフ
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3月 27, 2014 文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2014年3月13日 (木)
イラクにおける国際女性の日
毎年3月8日は国際女性の日として、世界各地で女性の自由、平等、平和や社会正義を求めて、様々な記念行事が行われます。
この国際女性の日は、1857年、アメリカの繊維工場で働いていた女性たちが不当な労働条件に対して抗議行動を起こしたことに由来します。当時、労働条件の改善、賃金アップという彼女たちの要求は警察によって鎮圧されましたが、この運動は、2年後に初の「女性のためのガイドライン」作成という形で実を結びました。そして、1977年に国連はこの日を女性の祝日と定めました。
不安定な情勢の中、厳しい生活を強いられているイラクの女性たちも、今年、この国際女性の日を祝いました。現情勢下においてイラク人女性が置かれている立場について議論するシンポジウムや会議など、たくさんの行事が開催されました。
その中の一つとして、喪服を着た女性たちが、バグダッド市内のアル・ムタナビ通りにおいてデモ行進を行いました。デモに参加した女性たちは、最近内閣によって承認された悪名高い新法「身分法(アル・ジャファリ)」に対し反対の声をあげていました。
国連イラク派遣団も、この法律は女性の自由に相反し、女性の尊厳を奪うとして、この採択に懸念の声をあげています。イラクの女性たちは、自分自身や家族、国のより良い未来のために、あらゆる可能性を探り、どのような障害をも乗り越える希望を持って、忍耐強く毎日を生きています。
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3月 13, 2014 文化、生活、習慣 | Permalink
2014年1月30日 (木)
不安定な情勢の中でも精一杯のお祝いをするイラク市民
イラク国内での治安の悪化は、新年のお祝いにも影響を与えています。かつては、ほとんどの家族がレストランや踊りを楽しむためのクラブなどに行って新年を祝っていましたが、最近では何家族かが一つの家に集まり新年を祝います。
不安定な情勢の中、それでもみな、精一杯お祝いをし、また新たな年に希望を持つのです。
少し前の話になりますが、クリスマスには、イラクの人々、特にクリスチャンはクリスマスツリーを家や店に飾り、道路にも飾りつけをします。夕食には様々な種類の食べ物やデザートが並び、テーブルの真ん中にはロウソクを灯したクリスマスケーキが用意されます。
【お祝いするために準備された色とりどりな料理】
子どもたちにとってはどのような状況でもクリスマスは特別で、楽しいものです。家族の誰かがサンタの格好をし、特に子どもたちにプレゼントを配って回ります。
【サンタクロースの格好をした子どもたち】
誰もが一年を振り返りながら、幸せだったり、悲しんだりした日々を思い返します。そして、新しい年への希望を願います。この時期は、耐えること、そして愛することを思い出す機会であり、また、対立する二つのグループが和解する機会でもあります。
新年を迎えると、家族は無病息災を祈り、また国の平和を祈ります。そして、お祝いの言葉を交わします。
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1月 30, 2014 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年12月 5日 (木)
アル・ザウラ公園の遊園地
今回はプロジェクトから少し離れ、市民の日常の一端について、市民の憩いの場となっているバグダッドの公園を例に紹介したいと思います。
アル・ザウラ公園はバグダッドの中心部に位置し、広い敷地内には緑も多く、憩いの場やレストラン、噴水、湖、動物園、遊園地などが広がっています。
【緑の芝生が広がる公園】

特に遊園地には、毎日多くの家族連れや学生が訪れ、休日は特に賑わいを見せています。乗り物の料金はだいたい子ども1ドル、若者4ドルです。最近新たに15個の新しい遊具が導入され、子どもたちにとってより楽しい空間となりました。現在さらに本館が建設中です。
【新しい遊具も導入された、広々とした遊園地】

一日中公園で楽しめるよう、園内には食べ物の持ち帰りが可能なレストランや、公共トイレなども見られます。さらに人を呼び込むため、招待状をバグダッド市内の学校へ送り、生徒たちが割引料金で楽しめるような工夫も行っています。
数年前のバグダッドの悲惨な状況に比べ、今でも治安が不安定ではあるものの、このように市民が公園でのどかに過ごせるようになりました。
一方で、公園内には排水システムが完備されていないため、2013年11月の大雨では、緑が多く湖もあるにもかかわらず、公園内でも洪水となりました。対策として、敷地内に排水パイプを敷くことが求められています。
市民がより快適に、少しでも日々の苦労を忘れて休日を楽しめるよう、公園のさらなる設備管理とサービス向上が期待されます。
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12月 5, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年10月24日 (木)
アル・ハッジとイード・アル・アドハ(イスラムの犠牲祭)
本日は、イスラムの文化についてご紹介しようと思います。
世界中のイスラム教徒たちは10月に、アル・ハッジ、すなわちメッカ(サウジアラビア)へのイスラム教の巡礼を行います。これは、毎年世界中のイスラム教徒たちが訪れる最大の集会です。
2013年10月14日に、イスラム教徒たちはメッカでハッジの最終段階を行っていました。ハッジはイスラム暦(12ヶ月の太陰暦で、西洋で使われている太陽暦よりも11日短い)の最終月であるアル・ハジャの、8日から12日の間の木曜日から行われます。ハッジはイスラム教の五行のひとつであり、(男性でも女性でも)行うことができる人は人生で少なくとも一度は行う、宗教的義務なのです。
イラクでは毎年、約3万人の巡礼者がくじ引きで選ばれますが、今年(2013年)は、メッカにおける工事や開発のために、サウジアラビアは全てのイスラム教の国からの巡礼者数を約20%減らすように公式に要求しました。このような事態でしたので、今年は約6000人のイラクの巡礼者がハッジを行うことができませんでした。
ハッジは、イスラム教徒たちの団結と神への帰依を表すものです。ハッジの期間中、男性はイフラーム(2枚の白い布からできた服)を着てサンダルを履くこと、女性はヒジャブで髪を覆って白い服を着ることが必要となります。
【サウジアラビアへ向かうイラクの巡礼者たち】

<出典:Mawtani>
ハッジは7世紀の預言者ムハンマドの人生と関係がありますが、メッカに巡礼する儀式は何千年も前のイブラヒムの時代からあると、イスラム教徒たちは考えています。
約300万人の巡礼者たちは、いくつかの手順に従ってハッジの週に一斉にメッカを訪れ、以下に記した一連の儀式を行います。
1. まず、1人1人カーバ神殿の周りを反時計回りに7回歩いて回ります。イスラム教の礼拝は、カーバ神殿の方角に向かって行われます。
2. 次に2つの丘(サファとマルワ)の間を駆け足で往復し、ザムザムの泉の水を飲みます。
3. その後、アラファト山へ行って祈り、投石の儀式を行います。
4. 最終段階では、巡礼者たちは頭を剃り、動物を生贄としてささげ、イスラム教徒にとって大きな祝祭である4日間にわたる犠牲祭「イード・アル・アドハ」を祝い、帰路につくのです。
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10月 24, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年10月10日 (木)
家族の心配、子どもたちの喜び
イラクでは3か月続いた夏休みが終わり、9月24日に新学期を迎えました。幼稚園、小学校、中学校、高校に通う生徒たちは新学年が始まり、嬉しそうに登校していきました。大学や専門学校はその数週間後に始まりました。久し振りに友人に会った彼ら・彼女らが夏休みをどこでどう過ごしたかお互いに話しあう光景が多く見られました。
前回のブログで紹介した通り、新学年がスタートする前に、生徒たちの家族はカバンやノートや文房具、服など新学年に必要な物を準備します。さらに家族はタクシーやスクールバスなど、子供たちが安全に学校に通うための交通手段も考えなければなりません。
新学年初日に、生徒たちは教育省から無料で支給される教科書を受け取ります。低学年の生徒たちにはやはり教育省からノートも配布されます。学校によっては、慈善団体から文房具を支給されるところもあります。生徒たちは初日から授業を受け、宿題も出されます。
どの生徒の家族も子供たちがテロ攻撃の犠牲になることを恐れています。テロ攻撃はますます広がり、激しくなっており、特に最近は週に何百人もの人々が犠牲になっています。治安の悪化は生徒たちの学校への出席状況に影響を与え、子供たちの顔に恐怖の色を広げています。
この事態を受け、いくつかの小学校では、数年前から生徒たちの両親を学校に呼んで教師と話し合う保護者面談というものを始めました。保護者たちは子供たちが良い教育を受けられるよう、また安全に学校に通い続けることができるよう、最大限のサポートをできるよう頑張っています。
【教室の生徒たち】

【新学期が始まり嬉しそうな生徒たち】

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10月 10, 2013 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink
2013年9月26日 (木)
イラクの新学期準備
イラクでは、小学校も中学校も9月に授業が始まります。各学校からは通学かばんや文房具、制服など学校に通うために必要なものを指定されますので、保護者たちはその準備に追われます。その中で、年収の少ない家族はこれらを揃えるのに大変苦労します。イラクでは息子を10人近く学校に通わせる家族も少なくありませんので、学校に通う準備で家計がすぐに圧迫されます。
これら学習必需品の市場価格は日々変動し、さらに一気に高騰することもあり、低所得者層の中には、すべてのものを揃えられない人々もいます。もちろん、そういったお父さんやお母さんは、なるべく費用を抑えられるよう、最安値の文房具や教科書を購入しようとします。ただ、これら低価格の商品は質がとても悪いものが多く、すぐに使えなくなることもよくあります。そのため、通学かばんや制服など何度も買い替える必要があり、さらに学校までの交通費などの出費もあるため、いっそう家計が苦しくなってしまいます。
モスクや慈善団体からの支援もありますが、すべての家族を支援するにはとても足りません。
さて、子どもたち学校に通い、勉学に励むために、保護者は少しでも安いものを購入するようにしていると話しましたが、通学かばんや文房具はどこで売っていると思いますか。イラク人の家族のほとんどが、バグダッド市のアル・ムタナビ・マーケットとアル・サレイ・マーケットに行きます。
アル・ムタナビ通りはバグダッド市で最も古い通りで、イラクの人種や部族と同様に多様な本をみつけることはできます。イラクや中東の歴史、政治、宗教に関する本のほか、詩や小説なども置いてあります。文房具やノートはもちろんのこと、児童書、マンガ、雑誌など、何でも揃っています。
これら2つのマーケットでは学校に通うために必要なものはたいてい手に入れることができますので、新学期が近づくと多くのイラク人家族が訪れ、活気づきます。
【アル・ムタナビ・マーケット】

【アル・サレイ・マーケット】

JENエンジニア ハムーディ
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9月 26, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年8月29日 (木)
ラマダンとイードの祝日
今日は、ラマダン(断食月)について少しお話しいたします。
イスラムの世界では、日没から夜明けまで1日約16時間の断食を通して毎年ラマダンの聖なる月を祝います。断食によって、16時間の間、飲んだり食べたりすることを我慢し、自身の欲を抑えます。そして、私たちと同様の暮らしをすることが難しい貧しい人々のことを想い、それらの人々の助けとなることの大切さを思い出すことができます。
ラマダンの最後の日々には、人々はイド・アル=フィトルの準備にとりかかります。イード・アル=フィトルは、ラマダン直後に始まる、人々が断食明けをお祝いしお互いを訪問する、3日間のお祭りです。人々は、イドの期間中に訪れる友人や親戚に贈る新しい衣服、おみやげ、ケーキやスイーツの材料を買い求めます。イード・アル=フィトルは、イスラム教徒にとってラマダン中に達成したことに対し、幸福を感じる時なのです。
子供たちもまた、新しい服をまとい、イードを祝福するために公園内にある遊園地に出かけることに喜びを感じる時です。今回、紹介する写真は、私の故郷であるラマディ市にある公園で撮影したもので、子どもたちが笑顔で楽しんでいることがわかります。
イラク国内の治安情勢が厳しいという現実はありますが、子どもたちがイードを思いきり楽しみ、愛と希望を見出している姿を見ることで、私たちも勇気と元気が出てきます。
JEN衛生促進事業アシスタント アスマー
【回転ブランコを楽しむ子どもたち】

【おもちゃで遊ぶ子どもたち】

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8月 29, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年8月 1日 (木)
メヘビス~ラマダンの伝統的なゲーム~
メヘビスとは特にラマダン期間中にされるイラクの伝統的かつ有名なゲームで、人の表情を読み取る能力が問われるゲームです。
メヘビスという言葉は「指輪」を意味します。このゲームは2チームに分かれて行われ、各チームのメンバーは20人以上で、1人のリーダーを決めます。
まず、一方のチームが相手チームにわからないように、指輪を自分の仲間のなかのひとりに手に隠します。

そして、相手チームのリーダーは誰が指輪をもっているかあてるのです。

チャンスは一回しかなく、当てれば得点を得られます。当てても当てられなくても、攻守を交代してゲームは続けられ、最終的に多くの得点をとったチームが勝ちます。負けたチームは両チームメンバーと観客に配られるお菓子をおごることになります。このゲームは地域ごとのチームのリーグ戦で、優勝チームには優勝賞品が贈られます。
このゲームにはなんとプロ選手もいます。彼らは人の表情を読みとる経験を積み、目やしぐさなどから指輪を持っている人を見抜くことができるのです。
このゲームによって地域内の結束が強まると同時に、他の地域の人と知り合い、友人になれるととてもよい機会でもあります。
JENバグダット事務所
ズィクラ・アルナジャール
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8月 1, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年6月27日 (木)
2014年ブラジルワールドカップ予選
2014年ブラジルワールドカップのアジア最終予選が行われ、第2グループ(日本、オーストラリア、ヨルダン、イラク)で日本が1位、オーストラリアが2位でワールドカップ出場資格を得ました。
日本は若手のサッカースクールでの経験や非常に進んだクラブでの経験を通し、80年代から目覚ましく成長しており、ワールドカップ出場にふさわしい国です。過去4大会で一度も出場を逃していません。
一方、イラクは80年代から戦争と治安悪化により、国内で、国民の前で、試合をしていません。イラクサッカー協会も成長計画をうまく作れておらず、効果を上げることができていません。これらの出来事によりイラクチームのレベルは下がっており、ワールドカップ出場にはふさわしいとは言えません。これはイラク国民にとって非常に悲しいことです。
私たちイラク国民は日本のワールドカップ出場を祝福すると共に、ワールドカップでの成果を願っています。
そしてイラクがこれまでの失敗から学び、克服することを期待しています。
プログラム・オフィサー バスィム・ユスィフ
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6月 27, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年5月23日 (木)
WELCOME TO バクダッド アラブ文化首都2013
フセイン政権崩壊から10年、首都バグダッドは「2013年アラブ文化首都」に任命されました。これは、ユネスコの「文化首都プログラム」のもと、アラブ連盟の主導により開催されているプログラムで、アラブ文化の振興を促進し、同地域における相互理解を深めることを目的としています。
今回の任命は、バグダッドが自動車爆弾や誘拐事件だけでなく、豊かな文化を備えた都市であることを世界に呼びかける良い機会となります。
しかし、まだ多くの問題も存在しています。バグダッド国立劇場は、バグダッドの他の公共の建物と同様、10フィート(約3m)のコンクリートの防護壁に囲まれています。そして入口に控える数人のチケット係に対し、倍以上の数の兵士が配置されています。これは、宗教色の強い民兵組織が芸術活動の妨害を目的に劇場に対し行なってきた脅迫行為への備えによるものです。
今晩の演目である「family―friendly comedy」は「Run for Your Wife(妻からの逃亡:イギリス映画)」のイラク版ともいえるコメディ作品ですが、男性が女性と並んで舞台に立っているというだけで、彼らの目には過激な劇として捉えられています。
「劇場に所属する人間は、みな例外なく長年にわたって生死にかかわる脅迫を受けてきました。しかし私たちは伝えるべきメッセージをもつ芸術家であり、これまで諦めることなく進んできました。」と劇場の副支配人、イスマエリ・ジュボーリ氏は語ります。
長く暗い時代を終えた今、イラクの芸術・文化が今一度花開く時が訪れました。「文化首都 in バグダッド」では、バグダッド及び周辺で製作された9本の長編映画、9本の短編作品及び6本のドキュメンタリー(計24作品)が上映されます。
また、期間中、音楽、舞踏、写真展、民俗芸術・工芸展等、様々な文化イベントが開催されます。
今回の文化首都への任命は、長年に及ぶ戦争と、国際社会からの経済的・文化的な孤立の後、イラクが懸命に取り組んできた信頼回復への努力の成果といえます。
2012にはアラブ首脳会議の開催都市となり、2015年にはアラブサッカー連盟が主催するサッカーの国際大会「ガルフカップ」がイラク南部のバスラ市で開催される予定です。
JENエンジニア ハムーディー
5月 23, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2013年5月 9日 (木)
イラク全国一斉地方議会選挙
イラクの地方議会選挙が2013年4月20日に行われ、2009年の選挙で選出された地方議会に代わり、新たな地方議員が選出されました。
独自の地方選挙を予定するクルド自治区の3県に加えて、アンバル県、ニネワ県、キルクーク県が治安上の理由から投票を6月まで見送ったため、投票は18県中の12県で行われました。
選挙活動は選挙の45日前より開始されました。265の政治組織、50の連立政党から立候補した8100人の候補者により交差点や人混みの中でチラシが配布され、それぞれのロゴや候補者のポスターが街中に貼り出されました。また、電光掲示板では政治改革を訴えるメッセージが流され、街頭での選挙演説が行われました。
選挙管理委員会は、今回、選挙活動の監視チームを設け、適正な活動の監視を行うとともに、違反行為には罰金を課す方向でのぞみました。
議会選挙の実施に際し、多くのイラク国民が日常生活において様々な圧力にさらされました。バグダットではいたるところに数多くの検問所が設置され、治安警備の厳格化や道路渋滞が更に悪化したことにより、10キロ程度の移動にも1時半以上の時間がかかることになりました。それにもかかわらず、選挙前の4月15日には50名が死亡し300名が負傷するという自爆攻撃も発生してしまいました。
そんな状況下にもかかわらず、投票率は50%を維持し、選挙管理委員会は、選挙の一週間前に行われた軍関係者を含めた全体の投票率は51%を超えると発表しました。
今回の議会選挙では、投票が行われた12県の内、過半数の7県でイスラム教シーア派のマリキ首相率いる政党が勝利し、政治図が大きく塗り替えられました。
【4月13日に、20日の選挙日に先駆けて行われた軍関係者による投票の様子】


JEN エンジニア ヤシン&ハムーディー
5月 9, 2013 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink
2013年1月31日 (木)
悪天候が続いています
1月 31, 2013 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年11月15日 (木)
2012年9月 6日 (木)
東日本大震災のドキュメンタリー映画がヨルダンで上映されました!
9月 6, 2012 事務所、スタッフ文化、生活、習慣 | Permalink
2012年8月30日 (木)
ラマダン(断食月)が明けました!
1ヶ月に渡ったラマダン(断食月)がようやく明け、イラクではそれを祝うイド・アル=フィトラ祭が行われました。12月のバイラム祭「イド・アル=アドハー」が4日間続くのに対し、断食明けのこの祝祭は3日間なので、「小さいお祭」と言われます。)
イラクの家庭では、クレイチャと呼ばれる、カルダモンやローズウォーターの入ったクッキーにデイツやナッツを詰めたお菓子を作り、みんなでラマダンが明けたことをお祝いします。


3日間の祝日は、1日目の夜明けに、大人たちが家族のお墓に花を持って行き、日が昇るまでお祈りをすることから始まります。
また、1日目には、結婚した兄弟たちが父親や長男の家に集まり挨拶を交わし、みんなでワイワイ笑って昼食を楽しみます。これは、イド・アル=フィトラを祝う儀式の中で、とても大切なことだとされています。
イド・アル=フィトラの残りの日々は、家族や近所の人、親せきや友達と一緒に、子どもたちの好きなテーマパークに行ったりします。バグダッドには、アル・ザウラー公園という緑が広がり、動物園や遊具のある公園があります。特に子どもたちは、日ごろの難しい日常を忘れ、心を開放して遊ぶのでした。


8月 30, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年7月26日 (木)
ラマダンが始まりました。
7月 26, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年5月31日 (木)
ヨルダンの巨大なアートボトルがギネス記録に!
ヨルダンでは、首都アンマンから260km南にあるペトラ遺跡の発見200周年を記念して造られた世界一巨大なカラーサンドアートボトルが、見事ギネス記録となりました。
1000人がかりで作成されたカラーサンドアートボトルの大きさは、なんと高さ3メートル、重さ60kgで、その中には270kgもの色とりどりのカラーサンド(色砂)が詰められています。
ヨルダン観光局は、この巨大カラーサンドアートボトルを2012年3月7~11日に開かれた世界最大の観光見本市、メッセベルリン(国際ツーリズム・マーケット展)にて展示しました。
ペトラ遺跡はその昔、紀元前4世紀ごろにナバテア人がピンク色の石を彫刻して作ったナバテア王国の首都で、現在は「ピンク色の市」とも呼ばれています。2007年7月7日に、世界7不思議の一つに選ばれた場所でもあります。
PS. Photo credits:
Bottle: Amoon news
Petra: Public domain
5月 31, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年5月17日 (木)
バビル県国際文化祭 開催!
2012年5月4日、イラク国内の治安状況が心配される中ではありましたが、バビル県国際文化祭が開催され、世界中からたくさんのアーティストたちが集まりました。
バビル県国際文化祭は、「文化と文明の世界的融合」をテーマに9日間にわたって開催され、詩を詠むセミナーや朗読会、音楽、演劇、美術展などが行われました。最終日の5月12日には、イラク国立交響楽団によるクラシックの演奏、そしてイラク音楽やアラブ音楽の演奏が盛大に行われました。
実はこの祭典は、昨年開催される予定でした。しかし、バビル県内のイスラム教政党の怒りを提起してしまうかもしれないということで、イラク政府により中止となってしまい、今年、ようやく実現できたのです。
5月 17, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年3月29日 (木)
「アラブ・サミット」がバグダッドで開催されます
3月末に、22カ国の国と地域が加盟するアラブ連盟の会議「アラブ・サミット」がバグダッドで開催されます。この会議では現在国内情勢が不安定であるシリアやアラブの民衆化運動「アラブの春」について話し合われる予定です。
今月20日に各地で大きなテロ事件があったばかりのイラク。セキュリティーチェックが非常に厳しくなっています。バグダッドでは道路が封鎖され、一般市民の移動が厳しく制限されている状況です。また市民の間では、アラブ会議が終わるまでインターネットをはじめ、携帯電話を含むすべての電話回線がストップされるという噂が流れているとのことです。
何事もなくアラブ・サミットが終了することを願っています。
3月 29, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年3月15日 (木)
20年ぶりの寒波
中東といえば、灼熱の太陽、一年中夏というイメージを持たれがちですが、中東にも冬はやってきます。例年よりも気温が低く寒いと言われていた今年の冬、今月はじめには20年ぶりの寒波が到来し、ヨルダン・シリア・レバノンなど中東一帯に積雪が観測されました。
ジェンの事務所があるアンマンでも、10cm以上の雪が積もりました。これだけの雪が積もることはとても珍しいので、子どもたちはもちろん大人たちも大はしゃぎで、雪合戦や雪だるまを作っていました。
冬が過ぎ、短い春がやってくるとすぐ夏になってしまうそうです。
3月 15, 2012 文化、生活、習慣 | Permalink
2012年2月16日 (木)
アンマンで行われたサッカー五輪予選(日本×シリア)
2月5日、サッカーU-23日本代表、ロンドン五輪予選の試合がここヨルダンの首都アンマンで行われました。対戦相手はシリア代表です。
試合には、多くのヨルダン在住日本人が応援に駆けつけました。試合は、残念ながら、試合終了直前シリアの選手に2点目を入れられ、2-1で負けてしまいした。シリアの代表選手たちの気迫がとても印象的でした。
現在、混乱するシリア情勢を懸念して試合会場には多くの警備員が動員されていましたが、試合終了後も特に混乱も無く無事に終わりました。
今回のシリア代表の勝利は、暗い話題が続くシリアにとって久しぶりの明るいニュースになったのではないでしょうか。
JENヨルダン事務所では、イラクにおける学校修復、衛生促進事業に取り組んでいますが、シリア情勢についても現在情報収集を行っています。
2月 16, 2012 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink
2011年12月 1日 (木)
中東でも熱いサッカー
サッカーの日本代表がW杯や五輪予選で中東の国々と対戦していることからも分かるように、中東ではサッカーがとても盛んで、国民的スポーツの一つです。
W杯アジア3次予選ではヨルダンとイラクは共にAグループ(日本はCグループ)で戦っています。
今月11日、ヨルダン対シンガポール戦が行われた日にアンマンの街に出ると、どこもかしこも皆試合に見入っていました。レストランでも店員が皆試合に集中していて、なかなかオーダーが出来ないという状況で・・・シンガポールに2-0で勝ったヨルダン。
その夜、街は大騒ぎでたくさんの人が国旗を掲げて喜んでいました。
15日に行われたヨルダン対イラク戦ではイラクに軍配が上がりましたが、両チームともW杯最終予選に進むことが決まったそうです。
最終予選では組み合わせ次第でヨルダンとイラクともに日本代表と対戦する可能性もあるとのこと。ますます目が離せない中東サッカーです。
(写真:ヨルダン国旗のフェイスペイントをして応援する若者)
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支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
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12月 1, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年10月 6日 (木)
新しい法律に見る、社会の変化
10月初め、イラクで支援活動を行う国際機関・NGOが集まる調整会議がアンマンで行われ、JENも参加しました。
会議のトピックは最近改正されたNGOに関連する法律についてです。
現在イラクでは、数年おきにNGOに関する法律が変わるため、その都度対応していかなければなりません。
今回も新しい法律についてイラク政府のNGO担当者からの説明が行われました。会議は英語なのですが、議論が白熱し出すとアラビア語になる場面も・・・
イラク政府のNGO担当者が強調していたのは、NGOをはじめとする「市民社会」は、イラクとって新しいものなので、少しずつ進めていくしかないということ。
イラク国内の治安が回復するなか、イラク政府がNGOとの関係をきちんと築いていこうという姿勢を会議の中から感じ取ることができました。
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10月 6, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年9月22日 (木)
「ヨルダンから」
中東というと、どこか遠い地域というイメージがあるかもしれません。
けれども、JENが事務所を置くここヨルダンの人々は、とても親しみやすい国民性です。
日本に対しても親しみを抱いてくれていることを、日々の生活の中でも感じることができます。
3月11日の大震災のニュースは、ヨルダンでも大きく取り上げられました。
レストランやスーパーなどで日本人だと分かると、「日本は震災後どうなったの?大丈夫?」と日本のことを心配し声をかけてくれます。そして「日本は必ず復興するよ」と励ましてくれます。
先日も、ヨルダンの首都アンマンで東北復興支援チャリティーコンサートが開催され、多くの人が参加していました。
遠く離れた中東ヨルダンでも、たくさんの人が日本の復興を願っています。
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9月 22, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年8月25日 (木)
「世界最古のトイレ」水洗式トイレの発祥地はイラクだった!?
現在JENは、イラクの5つの県21校で学校修復と衛生促進事業に取り組んでいます。
壊れて使えなかった水道や汚れていたトイレがきれいになった様子の写真が、毎週バグダッドから送られてきます。
写真からも分かるように、イラクの小学校で使われているトイレは和式トイレによく似ています。ただし、しゃがむ方向は和式トイレとは逆です。
事業でトイレの修復に取り組んでいることもあり、イラクのトイレ事情について調べてみると、気になる記述を発見しました。世界最古のトイレがイラクにあるというのです。
世界最古のトイレは、紀元前2200年頃にアッカド王朝の都市として栄えていたエシュアンナ(現在のバグダッドの北東60km、ディアラ県)のテル・アスマルという遺跡で発見されました。
この約4000年前のトイレは、便座はレンガで「コ」の字状に積み立てられ、座ることができるようになっていたそうです。さらには、配管や下水道も現代に引けを取らないほど整備されていて衛生的であり、下水はティグリス川の支流に流れる水洗式のトイレでというから驚きです。
この水洗式トイレ、宮殿のみならず一般家庭にまで浸透していたとか。
このことから、水洗式トイレ発祥の地はイラクだと考えられているようです。
JENも4000年前のトイレに負けないくらい衛生的なトイレを作っていきたいものです。
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平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。
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8月 25, 2011 学校建設・修復水衛生環境改善文化、生活、習慣 | Permalink
2011年8月11日 (木)
イラクの縮図:キルクーク
JENの活動地の一つであるキルクークを紹介したいと思います。
キルクークは、バグダッドから北へ230キロ、車で3時間のところに位置しています。
人口は約60万人。アラブ、クルド、トルクメン、アッシリア(キリスト教徒)などいろいろな民族の人々が暮らしています。そしてイラク最大の油田がある場所として知られています。その民族構成の複雑さと石油の利権が絡みあい、現在も政治的な争いが絶えません。
JENはここキルクークでも、子どもたちが衛生的な水やトイレを使うことができるよう、学校の修復作業と感染症予防のための衛生ワークショップを行っています。
修復を終えたB小学校の校長先生であるDさんは、
「学校の水道・トイレまわりが修復され、きれいになったことをとてもうれしく思います。
キルクークはクルド、アラブ、トルクメンなど様々な民族で構成されています。 もしどれか一つの民族だけに支援が集中してしまうと、対立が生まれる危険性があります。
JENが民族に関係なく活動を行ってくれていることに感謝しています。
そして、早く子どもたちが、一つの教室で机を並べて勉強できる日が来てほしい」
と述べました。
現在キルクークでは、アラブ、クルド、トルクメンなどそれぞれの民族が自分たちの言語(アラビア語、クルド語、トルクメン語)で教育を行っているため、子どもたちは民族に分かれて勉強しています。
複雑な民族構成・宗教事情から「イラクの縮図」とも云われるキルクーク。子どもたちが民族に関係なく一緒に勉強できる日が早く来ることを願うばかりです。
学校で歯磨きの練習をするキルクークの子どもたち
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8月 11, 2011 文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2011年7月28日 (木)
真夏のバグダッド
ここアンマンでも強い日差しが照りつけ、気温30度を超える暑さが続いています。
出張でのアンマン滞在時に「アンマンは涼しくて過ごしやすい」としきりに言っていたバグダッド事務所長から、イラクの夏の暑さを伝える便りが届きました。
「アンマンからバグダッドへの帰り道、私は10時間車の中に座り、バグダッドへ続く道を走りながら窓の外に広がる砂漠を眺めていました。時より軍のチェックポイントがある以外、高速道路はとても空いていました。しかし、バグダッド市内に入ると交通渋滞がひどく、目的地にたどり着くのに2時間かかりました。
バグダッドに着いて、ほっとしたのもつかの間、猛烈な暑さがおそってきました。バグダッドの夏はとても暑く、気温が50度近くにもなります。このような暑さの中ではエアコンが必須です。しかし、公共の電気はすぐに停電してしまうのであてになりません。
そのため、ほとんどの家庭は自宅に発電機をおいています。ただこの自宅用発電機だけではエアコンを動かすことはできません。夜、汗だくになりながら扇風機の風だけを頼りに眠ることになります。
この暑さのなかイラクの人々はどのように過ごしているかというと、エアコンの効いた休憩施設、レストランやマーケットに出かけどうにか暑さをしのいでいるのです。」
夕方、休憩施設に集まる人々。大きな扇風機が回っています。
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7月 28, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年6月30日 (木)
歴史の宝庫アンバール州
今日は、イラクでの事業地の一つであるアンバール州について紹介します。
イラク西部に位置するアンバール州は、イラクで最も大きな州であり、国土の32%を占めています。ラマディ、ハディサ、アナ、ファルージャといった都市があり、ヨルダンとの国境に接しています。
アンバールという言葉は、もともとアラビア語で「倉庫」という意味でした。3世紀頃、ムンナーザル族(Mutherids)とも呼ばれたイラク南部に住んでいたアラブキリスト教徒が、この地を軍事や食料の倉庫として使っていたことに由来しています。
アンバールはササン朝時代(3世紀から7世紀)、ローマ帝国からの侵攻を防ぐのに重要な場所と考えられていました。アッバース朝時代(8世紀から13世紀)に、第二代カリフのマンスールによって8世紀半ばに首都がバグダッドに移されるまで、アッバース朝の首都はアンバールにあったのです。アンバールは地中海とペルシャ湾に注ぐユーフラテス川を結ぶ道として、たくさんの人が行き交い、その歴史の中で多くの寺院や宮殿が建設されました。
現在でも遺跡として残る建造物から当時の面影を見ることができます。
6月 30, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年6月 2日 (木)
バグダッドの老舗市場
Al Shorjeh市場はバグダッドで最も古い市場として有名であり、その歴史は13世紀頃のアッバース朝後期にまで遡ります。
この市場は当初Rayiaheen(調香師)市場と呼ばれ、その後Attareen(スパイス売り)市場、そして現在のAl Shorjeh市場と名称が移りかわってきました。現在の名称の由来にはいくつかの説があります。アラブ語の「塩水の井戸」や「ごま油」が由来だという説もあれば、トルコ語の「小さな塩水の川」が由来だという説もあります。
市場の名称の由来が何であれ、バグダット市民にとってAl Shorjeh市場はラマダン(断食月))))))))))))やラマダン明けを祝う盛大な祭りであるイードなど、大事なイベントの際に、様々な種類のキャンドルやスパイスを買いに行く大切な場所です。
Al Shorjeh市場には19を超える裏通りがあり、石鹸屋や文房具屋など多くの店が軒を連ねており、何でも揃えることができます。また、13軒の宿と4つのモスク、昔ながらのコーヒーハウスが2軒あり、そのうちの一軒にはアラブの古典音楽(マカーム)を歌う歌い手が集っています。
悲しいことにAl Shorjeh市場の建物の一部は、戦争による爆撃や老朽化などにより壊れてしまいました。現在、徐々に新しい建物に建て替えられていますが、それに伴って、伝統的なAl Shorjeh市場の雰囲気は変わりつつあります。
6月 2, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年5月19日 (木)
文化の街 バグダッド・アルムタナビー通り
時代を超えて街全体が一つの文化となっているバグダッドで、最も古く、最も有名なストリートがアルムタナビー(Al-Mutanaby) 通りです。このストリートの起源は、アバシド家に始まるイスラム王朝 時代(750-1258、1261-1519AD)の製紙業者市場であったAl-Sarayマーケットまで遡ります。
ストリートに一歩足を踏み入れると、様々な文化に浸ることができるでしょう。ここでは、本のみが売られていて、毎週金曜日にはバグダット市内および近隣の町に住む愛読家が好んで集まってきます。
バグダットの中心部に位置するチグリス川の東岸部とAl-Rashidストリートにはさまれているこのストリートは、全長700メートルであり、時代と共に様々な愛称で親しまれてきました。
イスラム王朝時代にはDarob Zahhiと呼ばれ、オスマン帝国時代にはAl-Khamniyaと名付けられ、1920年代の大英帝国占領下にあった頃はAl-Sarayストリートにその名称が変更されていったのです。さらに、近隣に英国軍司令本部が設置されていたことから、パレスストリートなどと曖昧に呼ばれるようになっていました。
1936年、イラクの帝王ファイサル一世がこのストリートと広場の名称の検討委員会を設置するよう要請した時に、アラブの著名な詩人の名前にちなんでAl-Mutanabyと名付けられたのです。
2003年のイラク戦争以降、政府による投獄や拷問を恐れ、秘密裡に販売されていた政権批判の書籍をはじめ、宗教、社会、政権問題など、あらゆる分野の本がAl-Mutanabyストリートで公然と自由に販売されるようになりました。
5月 19, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年4月14日 (木)
バクダットの朝食:パチャ (Pacha)
朝、特に寒い朝にバクダット市民が好んで食べる朝食の一つは「パチャ」です!
パチャというのは、牛の頭部の骨付き肉と内臓などをよく煮込んだ料理です。そのパチャをティシュリーブというスープに浸したパンの上にかけて、一緒に食べます。好みでピクルス、レモンジュースとオニオンなど入れてみてもおいしいです!
人によっては牛肉の代わりに羊の頭やタンがいいという人もいます。骨付きの牛肉より食べやすいし、消化しやすいというのが理由かもしれません。
パチャを売る人を「パチェチ」と呼びます。パチェチは肉屋さんからパチャの材料になる牛、羊などお肉を買い集めます。あとは長時間、火で炙りながら「サモット」というお肉をきれいにする作業をはじめるのです。お肉がきれいになったら、パチャを作って売るだけです!
「パチャ」は体に必要なビタミンやミネラルが豊富な食べ物だと考えられています。ですので、特に体力が必要な仕事をする人に人気の高い朝食の一つになっているのです。
4月 14, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年3月17日 (木)
結婚式2
ここアンマンでは初夏から初秋にかけてが結婚式シーズンになります(バグダッドの結婚式の様子は2004年10月のブログをご覧下さい)。路上から「プップープププー」というクラクションが聞こえたら、結婚式があるんだなというサインになります。シーズン中は毎日と言って良いほどひっきりなしにこのお祝いの合図が聞こえてきました。
ホテルで合同結婚式を挙げるカップルに遭遇したのですが、とにかく賑やか。楽隊の演奏で新郎新婦が入場し、その周りを参列者が踊りながら練り歩きます。このまま音楽やダンスが尽きることなく夜が更けていきます。
参照 2004/10 バグダッド 結婚式
http://jenhp.cocolog-nifty.com/jen_iraq/2004/10/index.html
3月 17, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年3月 3日 (木)
結婚式1
木彫りの表紙に紙が綴じてあり、片面にはコーランの一節、もう片面に案内が書かれています。
これ、結婚式の招待状なのです。可愛らしいですよね。
下記が招待状に記載されているコーランの一節になります。(http://wahabs.com/Quran/Japanese/kuruan/2.htmlより引用)
255. アッラー,かれの外に神はなく,永生に自存される御方。仮眠も熟睡も,かれをとらえることは出来ない。天にあり地にある凡てのものは,かれの有である。かれの許しなくして,誰がかれの御許で執り成すことが出来ようか。かれは(人びとの),以前のことも以後のことをも知っておられる。かれの御意に適ったことの外,かれらはかれの御知識に就いて,何も会得するところはないのである。かれの玉座は,凡ての天と地を覆って広がり,この2つを守って,疲れも覚えられない。かれは至高にして至大であられる。
3月 3, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年2月17日 (木)
アザーン 3
1月から続いていますアザーンの話題も今回が最後です。
初回にお祈りは1日に5回とお伝えしたのですが、アザーンの数は6回あります。「ちょっと変だな」と思いませんか?
最初のアザーンから10-15分後にもう一度といった様に、1日の始まりのお祈りの時だけ2回アザーンが流れます。最初のお祈りは夜が明けてすぐなので、朝とは言えまだまだ暗い時間です。それ故1回目は目覚ましの役割をし、2回目がお祈りの時間を伝えるものだそうです。
「お祈りも大切だけど、起きるのがつらいんだよね」という正直なところが反映されているようで、微笑ましく思いました。
2月 17, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年2月 3日 (木)
アザーン 2
(前回からの続きです)
それは、アンマン市内では中央集権化システムがとられているからです。ある大きな2つのモスクが交代でアザーンを読み上げ(交代の頻度が週毎なのか月毎なのかといったことは定かではないのですが)、各モスクがそれを受信し地域に放送しています。一方アンマン市外では、このシステムがとられず各モスクがそれぞれ読み上げているのです。
アンマンの様なシステムをとっているところはあまりないそうです。イラクやメッカのあるサウジアラビアでも、それぞれのモスクでアザーンを読み上げています。
ちなみに冬になると、アザーンを読み上げている途中で咳きやくしゃみの音が入ることもあるそうです。ライブならではですよね。
(次回・最終回へ続く)
2月 3, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2011年1月20日 (木)
アザーン 1
サナ・サイーダ
(明けましておめでとうございます)
皆様にとって今年も素敵な一年になりますように。
さて、イスラム教徒は1日に5回お祈りを捧げます(時間帯については2009年10月8日のブログをご参照下さい)。そのタイミングを知らせるアザーンというものが各モスクから流れます。これは録音ではなく、毎回人が読み上げています。
文言はどの国・地域でも同じなのですが、そのアナウンスの仕方に違いがあります。ここアンマンでは、その時間になるとピッタリ同じタイミングであちこちのモスクからアザーンが聞こえてきます。お祈りの時間を知らせるラジオもあるのですが、それにもズレはありません。
しかしアンマン市外へ出ると、声もタイミングもピッタリ同じという訳ではありません。輪唱を聞いているようにズレがあるのです。何故でしょうか?
その理由は、次号の支援速報でご紹介しますので、どうぞ楽しみにお待ちください!
1月 20, 2011 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年12月22日 (水)
イラクのパンいろいろ
アラビア語には日本語で言う標準語と方言の様なものが存在します。フスハーという標準語はアラビア語を使うどの国でも理解されますが、日常的には用いられません。
9月末のブログでご紹介したコブスですが、フスハーで「コブス」というと細かい区別はなくパン全部をひっくるめてそう呼ばれます。アンパンも食パンもカレーパンも全部「パン」と分類できるように。
では、コブスにはどんな種類があるのでしょう?今回はイラクでの呼び方をご紹介しますね。
先日ご紹介した片手に乗るサイズの丸いパンは「エイシュ」と呼ばれます。
これをもっと大きく薄くした様なものがイラクでは「コブス」と呼ばれるそうです。
それから菱形でモチっとした食感のものが「サモン」です。
イラクでは朝、チーズ、クレマール(バッファローのクリーム)、デベス(デーツシロップ)、バーカラ・アンド・ビーズ(空豆の油炒め)と一緒にこのイラク版コブスやサモンが食されます。サモンは半分に切り具を詰めたらサンドイッチに早変わりです。
12月 22, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年11月11日 (木)
ハッジ 生贄編
さて、ハッジはヒジュラ暦第12月(巡礼月)の8日目から始まるのですが、10日目に動物を生贄にします。
(由来については2008年12月25日ブログをご参照下さい。)
巡礼者一人に対し羊一頭、もしくは七人に対し牛かラクダ一頭となっています。これらは片目、病に罹っている、足が悪く歩けない、痩せ衰えて骨の隋もないようなものであってはならず、ラクダなら5歳以上、牛なら2歳以上、羊なら半年以上という年齢の条件が付きます。伝統的には巡礼者自ら生贄を屠畜するか、屠畜を監督していました。しかし昨今では自ら立ち会わずとも、お金を払い代行業者に依頼することができます。いくつか理由はあるのですが、その一つに屠られた肉の放置(=非衛生)があるようです。
それでは、こうして生贄となった肉の行き先はどこなのでしょう?
巡礼者の胃袋?
それとも廃棄?
いえいえ、梱包され世界中の貧しい人々に配送されます。
このヒジュラ暦12月10日はイード・ホリディ(イード・アル=アドハー、犠牲祭)の初日にあたり、ハッジに参加していないムスリムも生贄を捧げ、この祝日を祝います。
11月 11, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年10月28日 (木)
ハッジ(着替え編)
もうすぐハッジ(メッカへの大巡礼、詳しくは2009年7月16日のブログをご覧ください)が始まります。この巡礼の際、男性は剃髪し白い二枚の布(エフラーム)を身にまといます。刺繍もプリントもされていない真っ白な布であればどんなものでもエフラームになり得ます。布を腰で留める為のベルトも真っ白で、一切の縫い目がありません。貴重品を入れるポケットが付いています。女性には服装の規定はなく、髪も毛先を少し切るだけです。
メッカとその周辺エリアにはこのエフラームでないと入ることができません。世界各地からやって来るムスリム男性は、どのタイミングでこの衣装に着替えるのでしょうか?
陸路で入る場合には、メッカから11~187km離れた所にミーカートと呼ばれる場所が5か所設けられており、ここで着替えをします。
空路の場合、この境界を越える前に機内(トイレ)で着替えることができます。ただ、乗客数に対しトイレの数は非常に限られているので長蛇の列です。その為、最後尾に並んでいた男性が境界を超える前に着替えられなかったなんていう話もあるとか。こういったリスクもあるので、出発空港で着替えを済ませる人もいるそうです。
10月 28, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年9月30日 (木)
ヨルダンごはん・朝食編
7月上旬に取り上げた甘党なヨルダンを読んで、「一体どんな食事をしてるのだろう?」と興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日はヨルダン飯・朝食編をお伝えしますね。
写真にあるのがポピュラーな朝食です。いちばん左から時計回りに
コブス(Khobs):パン。ガイドブックには「ホブス」と書いてありますが、コブスと発音した方がアラビア語の発音に近いようです。
ファラーフェル(Farafel):すり潰した豆に香辛料を入れて揚げたもの。
フール(Foul):茹でた空豆を潰したもの。
ホンモス(Hommos):ひよこ豆のペースト。他にも「フムス」等呼び方は色々。
サラダ(Salad):サラダ
コブスはどこでもコイン一枚で買えます。バラ売りはなく写真の様に1kg(大体12―13枚入り)単位での購入になります。これでクウォーター・ディナール(9月30日現在約29.35円)。
缶詰のホンモスは色々なメーカーから出ています。オリーブ・オイル、マスタード、ケチャップ、水等を混ぜてみると、お店で食べるようなフワっとした感じに近づきました。
9月 30, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年9月 2日 (木)
デーツとヤシの木
現在ヒジュラ暦の第9月、ラマダンです(ラマダンについては2008年9月、2007年10月の記事もご覧ください)。イスラム教徒は日の出から日没まで一切の飲食を絶っています。
これはクレーチャーと言って、ラマダン前に大量に作り、ラマダン期間中によく食べるお菓子の一つです。デーツ(ナツメヤシの果実、写真で黒く見える部分)をぬった生地を巻き、切っていきます。これは簡略化した作り方で、以前はより手間のかかる方法で準備していました。中のデーツが見えない様に一つ一つ丸め、卵黄を塗ってから焼き上げていたので、一日がかりの作業だったそうです。ヨルダンやパレスチナでは胡麻が手に入りやすいので、デーツの代わりに入ることもあります。
イラクでは、ヤシの木一本切り倒すと、一つの命が消えていくと言われているそうです。2003年のイラク戦争の際には、視界を遮るものを無くすためヤシの木が大量に伐採されました。そのため多くの死者が出てしまったと考える人もいるそうです。
9月 2, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年8月 5日 (木)
お墓参り
もうすぐお盆ですね。お墓参りに行かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。イラクにもお墓参りの習慣があるのはご存知ですか?
時期は、ラマダン明け(イード=断食明けを祝う祭りの初日)とハッジ(メッカへの巡礼)初日からの年2回です。西暦は1年が365日ですが、ヒジュラ歴(イスラム暦)は1年が354日です。西暦で考えると、ラマダンやイード、ハッジが始まる日は、毎年変わります。今年のラマダンが西暦2010年8月11日頃から30日間ですので、イードは9月10日頃、ハッジは11月16日頃から開始です。
日本の様にお花やお供え物をする習慣はないようです。コーランの一節を家族の代表が読み上げます。コーランを読むのはムッラー(イスラム教の法や教義に精通した男性)や物乞いのこともあるそうです。
ちなみに遺体は清められた後白い綿の布で包まれ、メッカに頭を向け一人ずつ土葬されます。シーア派の人々は、初代シーア派イマーム(指導者)アリーのお墓があるナジャフ県に土葬されることを誇りとしているそうです。
8月 5, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年7月 8日 (木)
お甘いのがお好き
7月 8, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年6月10日 (木)
アンマンの豚肉屋
しばらく「衣」についての話が続きましたので、今日は「食」についてふれたいと思います。
ここアンマンはイスラム教徒が大多数を占めます。「イスラム教徒は豚肉を食べない」という話はよく知られていますよね。スーパーマーケットの精肉コーナーに並ぶのは鶏、牛、羊です。豚はありません。ですが「駐在の人は帰国するまで豚肉が食べられないのか?」というと、そうでもありません。豚肉屋さん(「肉屋」ではなく「豚肉屋」です)はアンマンにも存在します。そう、キリスト教の方が経営しているのです。
私が訪れたお店では、豚肉加工食品と冷凍豚肉を扱っていました。写真にある様に、豚丸々の姿で凍って
いるのもあったり…冷凍豚肩200グラムが2ヨルダン・ディナール(=255円 6月10日現在)。普段買うお肉の何倍もしました。けれど、久しぶりに食べた豚肉はやっぱりおいしかったです。
6月 10, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年5月13日 (木)
イラク女性のかぶりもの
以前、男性がかぶるコフィーヤについてお話しました。今回は、イスラムの女性がかぶっているものについてお話したいと思います。
こちらは皆さんの頭に浮かべやすいかもしれません。人それぞれ思い描くものが違うのではないでしょうか。目以外の全身をすっぽり黒い布で覆っていたり、頭から背中まで白い布をかぶっていたり等々。
JENの事務所のあるここヨルダンでもその様な女性を見かけますが、一番多いのは、頭から首までを布で覆った格好です。カラーバリエーションも豊富で、刺繍が入っているものも見かけます。巻き方も人によって違いますが、今日は一番簡単な巻き方をご紹介しますね。
1、髪を束ね、太いヘア・バンドのようなものをします。耳と髪がでないように気を付けてくださいね。
2、左右どちらか一辺が長くなるように頭から布をかぶります。短い方は首が隠れるよう襟元にしまってください。
3、手元に残った長い布を(写真では右側)、首の前から頭を通って右耳までぐるっともってきます。耳の近く(矢印のあたり)にまち針を一本上から下に差し、布を固定したら完了です。
5月 13, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年4月15日 (木)
コフィーヤってなんだろう?
アラブの男性をイメージして下さい。
どんな格好をしていますか?
頭に何か巻いている絵が浮かんできませんか?
これは、コフィーヤという布です。日除けや防寒として頭や首に巻きます。写真のように、巻き方にも様々あるようです。
では、赤いコフィーヤを黒い何かで留めているのがおわかりになりますか?
ゴムバンドの様なものを2つしているのかと思っていたのですが、実際は違いました。実は伸びも縮みもしない一本の縄の様なものでした。
それから色の違いはその人の出身を表すことが多いようです。
赤×白はヨルダン、黒×白はパレスチナ、細く白い線が入った黒地はイラク(特にシーア派)だそうです。
ここアンマンでは、車内のデコレーションとしてコフィーヤを使っているのもよく目にします。
4月 15, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年3月18日 (木)
日本とは異なる選挙の方法
去る3月7日、イラク連邦議会選挙が行われました。イラク国内だけでなく海外16カ国でも投票所が設けられました。ここヨルダンもそのうちの一つです。各政党や投票用紙の記載方法が説明されたビラが各家庭に配布されましたが、今回はそれをご紹介したいと思います。
A:各政党にはそれぞれ番号が付いています。
B:政党には複数の候補者がいるので、個個人にも番号が割り当てられます。
顔写真の横に記載されているのは候補者の名前です。
それでは、どの様に投票するのでしょうか。
まず投票に来た証として、指をインクにつけます。簡単には落ちない様で、未だ指に色がついたままの人を見かけます。
投票用紙をもらい、3箇所にチェック印をつけます。
【1】上段ではイラク国内で自分の住所が登録されている地区、【2】中段では支持する政党、【3】左の枠では候補者一名を選びます。
これで投票完了です。
日本とは違った方法で選挙していて、またおもしろい発見になりました。
3月 18, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年2月18日 (木)
競駝
「ケイダ」と読みます。競馬と似ていますが、何のことでしょう?
ここは中東、砂漠が多い地域。そこにいる動物と言えば…そう、ラクダ(駱駝)。ラクダ・レースのことです。
皆さんはラクダと聞くと、どの様なイメージをお持ちでしょうか?私は、のんびり歩いているイメージがあっただけに驚きました。ラクダって走るんですね!そのうえ、目撃したレースではラクダの上に乗る騎手がいません。走らされているのでなく、ラクダ自ら走っているようでした。
ここヨルダンにも砂漠地域にはラクダがいるのですが、残念ながら競駝は行われていないようです。私が目にしたのはドバイからの中継でした。どうぞ悪しからず。
2月 18, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年1月21日 (木)
八百屋さんの店先で
写真を見てすぐに、何が写っているかお分かりになりましたか?
そう、茄子(アラビア語で「ビーティンジャーン」と言います)です。体格の立派な八百屋のおじさんが持ってこの大きさですから、どれほど大きいか少しご想像頂けたかと思います。
アンマンに来て驚いたことの一つが、野菜の大きさです。この写真のお店だけではなく、他の八百屋さんでもスーパーマーケットでも、茄子のほかに、南瓜やピーマンなどがビッグ・サイズなのです。
縁起の良い初夢として「一富士、二鷹、三茄子」と言われますが、こんな大きな茄子と今までに出会ったことがある方はいらっしゃいますか??
1月 21, 2010 文化、生活、習慣 | Permalink
2010年1月 7日 (木)
サナ・サイーダ!
サナ・サイーダ(明けましておめでとうございます)!
今年も笑顔いっぱいの一年になりますように。
さて、バグダッドのプログラム・オフィサーからメッセージが届いておりますので、ご紹介したいと思います。昨年からJENのスタッフに加わった彼は、特に(教員を対象とする)衛生促進事業に携わっていました。JENで働くことを誇りに思っていると教えてくれましたが、その理由は…?
「衛生プロジェクトでは活動の結果がすぐ現れ、イラクの人々に大いに貢献していることを感じるからです。教育省の人々も子ども達により良い教育環境を提供してくれたことに感謝していますよ。
例えば、学校のトイレが使えるようになったので、その都度家まで帰らなくてよくなりました。また、今まで学校に清掃用具が配られたことはなかったけれど、今は違います。それから、衛生促進ワークショップは評判が良く、また実施して欲しいと依頼がきているんですよ。」
2010年、JENは、バグダッドに加え、西に位置するアンバール県と南に位置するバビル県でも学校衛生施設の修復・衛生促進事業を行います。多くの子ども達の笑顔が見られるよう活動を続けてまいりますので、今年もご支援頂けますようよろしくお願いします。
1月 7, 2010 文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2009年11月19日 (木)
メッカへの祈り
イスラム教徒は1日に5回の礼拝「サラー」が義務付けられています。
時間に余裕のある人は毎回近くのモスクへと出向いて祈りますが、多くは自宅や勤務先に礼拝用マットを持参し、静かな場所で祈りを捧げます。世界中のどこにいても、祈る方向はサウジアラビアのメッカにある、カーバ神殿です。
ジェンのローカルスタッフも、祈りを呼びかける声がモスクから、そしてアラームがセットされた彼らの携帯から聞こえ始めると、手足と顔を清め始めます。
では移動の多い人びとは、いったいどのようにしてカーバ神殿の方向を知るのでしょうか?
その答えは、この礼拝用マット。マットに数字の書き込まれた円盤がついており、中心の磁針が国ごとに決められた数字(ヨルダンの場合は225)を指すようにマットを回転させればOKです。
同じ時間に世界中の信者が地球のある一点に向かって祈りを捧げるというそのスケールの大きさに、驚かされています。
11月 19, 2009 事務所、スタッフ文化、生活、習慣 | Permalink
2009年11月 5日 (木)
衛生ワークショップ開催
支援者の皆さまと外務省のご協力により今年3月から開始した、バグダッドの小中学校17校の修復および衛生教育の事業が最終段階に入っています。
現在は、ジェンのプログラムオフィサー(PO)が各学校を回り、2日間にわたる衛生ワークショップを行っています。これは、修復を終えて美しくなり、公共水道ともつながった水・衛生設備を、いかに生徒の健康に役立ててゆくか、そして、いかに長持ちさせるかといった点を学んでもらうものです。
1日目は、各学校の先生たちを対象としたプレゼンテーションにより、先生方に衛生に関する基本的な知識や、コレラやH1N1といった感染症、そして清掃の大切さといったテーマについて学んでいただきます。
2日目には、前日のレビューを行った後、代表の先生に、担任するクラスの生徒に対し衛生授業を行ってもらいます。先生方の工夫により、この授業には、ジェンが配布した歯ブラシセットや石鹸を用いて、手洗い場で歯を磨いたり手を洗ったりする実習もしばしば含まれます。
このワークショップに参加した先生方は、これから各クラスでそれぞれ工夫に富んだ衛生授業を行う予定です。
11月 5, 2009 文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2009年10月 8日 (木)
日本のお辞儀って・・・
アラブ世界の人たちは、日本人が家の前でペコペコお辞儀をしあっているのを見ると、不思議な気持ちになるそうです。イスラム教徒にとってお辞儀とは、絶対的な神に対して行うものだからです。
イスラム教徒は、サウジアラビアのメッカにあるカーバ神殿に向かって1日5回礼拝を行います。普段は家の中で行っている人も、イスラムの祝日である金曜日には、モスクに出向き、お祈りします。ヨルダンの週末は、イスラムの祝日を含む金・土の2日間です。
さて、お祈りの時間帯ですが、大まかに次のように決まっています。①夜明け、②夜明けと太陽の中没の間、③自分の影が身長と同じになるまで、④日没から日がなくなるまでの間、⑤夜、の5つの時間帯です。
礼拝の方法も、事細かに定められています。まず、手や顔(スンニ派の場合は足も)を決まった手順で洗い清めます。メッカを向いて直立。次に、手のひらを広げて耳の両脇に持ってきたり、お辞儀をしたり、ひざまずいて額を地面につけながらしながら「神は偉大なり」と繰り返し唱えます。最後にひざまずいたままで軽くうつむいて、神を讃えて預言者とムスリムへの神の祝福を祈ります。さらに、首を左右に振って「アッサラーム・アライクム(あなたの上に平安がありますように)」と唱えて完了です。
イスラム教徒にとってお辞儀とはこの大切な礼拝儀式の一部なのです。もちろん日本同様、目上の人に対して敬意を払う文化もあります。が、お辞儀の対象にはならないとのこと。文化の違いを改めて感じる瞬間です。
10月 8, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年9月24日 (木)
イフタールテントに突撃訪問
ラマダン(断食月)もいよいよ最後の週となりました。ラマダン明けにある20日からの「イード休暇」に向けて、ますます街が活気づいてきました。ラマダン中は、街のいたるところで様々な会社がイフタール(日没後の夕食)を無償で提供するテントが立ち並びます。これらのテントは、長距離移動中で家族と共にイフタールをできない人や、経済的な問題を抱える人たちを中心に利用されています。ジェンのアンマン事務所の近くにも、ヨルダンの貿易会社が運営するテントが設置されています。
以前から気になっていたこの窓のないテント、ジェンのローカルスタッフに詳しいことを聞いてみると、「じゃあ体験しに行けばいい!」と快く案内してくれることになりました。もちろん、断食中の人が主に対象となるので、ヒジャブというスカーフを巻いて髪を隠し、暑いテントの中でも長そで長ズボンという格好です。
テントの中は主に労働者とみられる男性が多く、女性を含む家族連れは私を含めてわずか3組(!)でした。初めは、見慣れないアジア人女性がアラブ人男性と入ってきたことで注目を集めましたが、食事を配膳するスタッフもとても友好的な方ばかり。毎日日替わりでアラブ料理が出されており、本日のメニューは「モロッコ風チキンとひよこ豆のトマト煮込み」。大満足です!ラマダン中は毎日開催しているそうです。
9月 24, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年9月10日 (木)
モスク前の大渋滞
アラブ世界は現在、一年に一度、一ヶ月間におよぶラマダン(断食月)の真っただ中です。この期間はいつにも増してイスラム教の教えにのっとり生活します。教徒たちはモスクに頻繁に出入りし、朝に夜に祈りを捧げます。
ジェンのアンマン事務所は、カルーティーモスクというアンマンでも比較的新しい、真っ白なモスクの近くに位置しています。一日五回ある礼拝の時間には、アザーンという礼拝の呼びかけが大音響で流れます。アザーンとともに眠り、アザーンを聞きながら仕事を行うという、アラブ世界を満喫できる環境に暮らせることを嬉しく思っています。
が、唯一困っているのがモスク前の渋滞です。礼拝の時間には、事務所からはどこへ行くにも通らねばならない近所の交差点に二重駐車で駐車車両がならび、その車の量は交差点を封鎖してしまうほどです。
9月 10, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年8月27日 (木)
ヨルダンで長期滞在するためには
アンマンに長期滞在するためには、滞在許可証があると大変便利です。しかし、この滞在許可証を発行してもらうためには、まず所属団体をヨルダン工業貿易省に、事務所をアンマン市役所に登録し、HIV/AIDS感染の有無の血液検査を受検する必要があります。
その後、ヨルダン内務省にて外国人登録のための書類を提出し、労働省にて労働許可証を取得の上、警察署の面談、という6段階もの手続きを経てようやく滞在許可証の発行へとたどり着きます。
ヨルダンは、隣国エジプトやスリランカ、フィリピンなどから多数の労働者を受け入れており、その法務手続きを行う代行業者が発達しています。1人の申請者が20枚ほどのパスポートを持参することも珍しくはありません。そんな中、個人の申請者は、窓口に殺到する他の申請者の波をかき分け、茶飲み話に花を咲かせる省員たちを説得し、手続きを迅速に進めてくれるよう、ひたすらお願いします。
このプロセスは、日本人もイラク人も同じです。イラク人の場合は、口座残高の証明や、過激派とのつながりがあるかどうか(!)までも面談されるなど、さらに多くの過程があるといわれています。
8月 27, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年7月30日 (木)
「タウジーヒ(運命のセンター試験成績発表!)」
7月29日は、アンマンが一年で一番賑やかな夜となりました。10代の男の子たちがクラクションを派手に鳴らしたり、窓から身を乗り出したり、奇声を上げたりしながら車を乗り回していました。
この日はタウジーヒの結果発表の日。「タウジーヒ」とは、日本で言うセンター試験で、毎年ヨルダンでは10万人以上の学生が受験するそうです。日本の人口はヨルダンの20倍、でもセンター試験の受験者は50万人。そう考えると、ヨルダンでは、日本以上に学歴主義の意識が強いようです。しかも、二次試験のようなセカンドチャンスは与えられません(!)
学生に人気の職業は、医者、弁護士、外資系企業など。したがって、医学部、薬学部、法学部、外国語学部、ビジネス系学部の倍率は相当高いのだそうです。ちなみに、公務員試験というものが存在しない(縁故採用のみ)ヨルダンでは、公務員は大学卒業者に人気の職業ではないようです。
結果発表は夜10時にウェブ上で行われます。ヨルダン生活の長い友人に聞くと、インターネットがまだダイヤルアップだった頃は、電話やインターネットがこの日だけは全くつながらなかったとか。携帯電話にも支障が出たというから、その熱狂ぶりが想像できます。
7月 30, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年7月16日 (木)
ハッジ(巡礼)
JENのイラク人スタッフの一人が、イスラム教五行の一つであるハッジ(巡礼)を行うべく、サウジアラビアのメッカへ旅をしてきました。
この巡礼は人生の一大イベントともいえるもので、巡礼を終えているイスラム教徒は「ハッジ(男性)」「ハッジア(女性)」と呼ばれ尊敬されます。
現在のところ、イラク人巡礼者は空路でしかサウジアラビアに入国することができず、経済的にも大変な負担があるそうです。
旅の方法はそれぞれの懐に合ったものが多数用意されていて、富裕層にはファーストクラスでメッカ入りし、5つ星ホテルのスイートに泊まり、サウジアラビア巡礼用のVISAや国内交通など全て代理店が手配するというパッケージツアーもあります。
一方で、遠くパキスタンやアフガニスタンから、国際バスを乗り継ぎ、そのバス乗り場で荷物を広げ、露天のお店で物を売りつつ、お金を貯めてメッカにたどり着く人たちもいます。
しかし、どのような方法でたどり着こうとも、メッカのカーバ神殿で礼拝を行うときには、みんな同じエハラームという2枚の白布を身にまとい、決まった形のサンダルを身につけます。帽子や宝石を身につけることもできません。
すなわち、イスラム教徒が信仰する来世を決める最後の審判のときと同じように、「何を持っているか」ではなく「どれだけイスラム教について理解し、信仰規範に基づいた生活を送っているか」がその人の判断基準とされるようです。
(写真:メッカのカーバ神殿)
(写真:カーバ神殿を埋め尽くす巡礼者たち)
彼と奥さんにとっては、訪れた土地の宗教的な尊さ、そしてそこに集まるイスラム教徒の意識の高さなどに感銘を受け、大変意義深く楽しい旅になったようです。
しかし、子どもたちはというと、「ショッピングモールに行きたい」と呟いていたとか。
7月 16, 2009 事務所、スタッフ文化、生活、習慣 | Permalink
2009年7月 2日 (木)
教員研修の必要性
イラクでは、今、何千人という先生たちが研修を必要としています。経験年数によって熟練度に差があるので、常に研修を受け、スキルを磨くことが求められているのです。
特に、教育史の研修を通して、ここ数十年の教育分野の推移を学ぶことが重要だと考えられています。例えば、「非識字」は、「新しい知識分野にアクセスする能力の欠如」として理解されることなどです。2003年以降、イラク教育省は年次計画の中で教員研修の重要性を挙げ、努力を続けてきました。しかし、現実には大変限られたものでした。
現地では、教育省が国際機関とともにイラクのすべての教員に対する研修を行い、学校での教員研修に関して評価までもすべてが教育省の計画に含まれるべきである、という声があります。また、教員を日本に派遣し研修を受けることや、研修やモニタリングのスペシャリストを日本からイラクに派遣することで、イラクの教育分野を支援することを希望する声もあります。
教育とは常に発展し続けている分野です。JENは、現在、教育環境の改善に力を入れています。このプロジェクトによって、子どもたちの教育へのアクセスが広がるだけではなく、いずれ、この国を担うようになる人びとへのより豊かな教養を得るという育成を行っているのです。と同時に、日々の問題である、人びとの健康状態の改善を願い、大きな視野をもって活動を続けています。
7月 2, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年6月18日 (木)
ヨルダン国王在位10周年
ヨルダン政府は、アブダラ国王の在位10周年を記念して、彼の誕生日である6月9日を臨時の国民の休日としました。
この日、アンマン市内にある国際スタジアムでは、政府主催の記念イベントが行われました。この式典に参加したJENスタッフによると、イベントには国王のご家族、王妃と2人のご子息が出席され、会場はすごい熱気と歓迎のムードに覆われていたそうです。
ヨルダンの王家は、国民から絶対の信頼と尊敬を得ています。特に、クウェート出身のパレスチナ人であるラニア王妃の人気は、アブダラ国王の大きな支えとなっていると言われています。
ラニア王妃は、人権や女性の自立促進などに大きな関心を寄せていらっしゃる方で、ご自身でもパレスチナ難民女性の経済的自立をめざすNGOや、ヨルダン国内の女性企業家をマイクロファイナンスによって支援する事業などを立ち上げられました。また、頻繁に国内外の様々な支援団体などを訪問し、特に若者への人権教育などの必要性を訴えていらっしゃいます。
9日のアンマンでは、花火がたくさん打ち上げられ、また、ヨルダン国旗を振りながら車が走りまわり、大変賑やかな夜となりました。
6月 18, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年6月 4日 (木)
世代のギャップ、文化のギャップ
イラク、ヨルダンのみならず、アラブ世界では一般に、「家族」の名誉、威信は社会生活で最も大切な価値観とされています。イラク人スタッフによると、たくさんの手続きを踏んで難民として認定され、西洋のリベラルな国に移住できた家族も、いざ住んでみると彼らの心労は大変なものであるそうです。
イラクの人々の多くは、敬虔なイスラム教徒です。家族の結びつきは何にも増して大切にされ、たとえば1日5回のお祈りを欠かさない、飲酒をしないなど、イスラム教の教えにのっとって生活をします。
このような価値観を持った人々が西洋世界に移住すると(もちろん全てのイラクの人々がそうではありませんが)、学校やショッピングセンターにお祈りの設備のない環境で生活します。金曜日(イスラム教では金曜日は休日)の礼拝も、出勤・登校を余儀なくされることで、イスラム教の生活習慣を保つことが難しくなることがあります。
このようにイラクで大切にされているアラブ文化を守ろうとする両親と、新しい環境で学校に通い滞在先に友人を持つ子どもの世代間に、大きな精神的ギャップができてしまうことが、しばしば社会問題になるそうです。
6月 4, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年3月26日 (木)
「家族」助け合い制度
ヨルダンには、冠婚葬祭の時に家族単位で助け合うための制度があります。ここで言う「家族」というのは、日本のような核家族的な意味合いではなく、同じ名字を持つ人すべて(!)を指します。
全ての家族は○○基金(私の場合なら日本全国の田中さんが登録する「田中基金」)を持っており、その基金はヨルダン内務省に登録されています。同じ苗字を持つ者は、みなこの基金のメンバーに登録します。
基金の利用申請は、必要経費や、核家族単位では負担できないような「高額なお買い物」の時にできます。各支部代表者による協議のもと物やサービスが購入され、これを全国の「家族」の総人数で割り勘にし、各家庭ごとに人数分を支払います。
例えば・・・結婚式の会場貸切が高額なために、家族で3階建ての結婚式会場を買い取ってしまうケース。また、民間企業に委託する葬儀サービスが高額なために、名前入りの霊柩車を家族で購入し、葬儀の際にこれを使うケース。結婚予定のある家族のメンバーが若年のために、経済的支援が必要なケースなどなど。
アラブの人たちの家族を大切にする文化が、行政機関を介した制度として成り立っているのには驚かされます。アラブ的大家族ならではの助け合い制度と言えます。
3月 26, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2009年2月26日 (木)
イラクの結婚事情
今回は、イラク人の結婚観に迫ってみたいと思います。
イラクのイスラム社会では、結婚は両親が決めた相手とするものであり、恋愛結婚はなかなか成立しません。なぜなら、結婚は家と家との「契約」と考えられているからです。そのため、家族の背景が明確である従兄同士の結婚がとても多いそうです。
男性が女性の両親にお金を渡すという、日本の結納金にあたる「サダク」は日本円で70万円にも100万円にものぼります。平均月収が5~10万円といわれるイラクの人々にとって、とても大きな額のお金です。
男性側は家族の威信をかけて高額のサダクを提示し、またそれの金額の高さは女性側の誇りにもつながるそうです。驚くべきことに、結納の際は、結納金と同時に万が一の離婚の時に支払う、いわゆる「手切れ金」の額がセットで明記されます。
サダクが高すぎるので、男性の両親がこれを支払うことが多いといいます。よって、息子の結婚相手にもリクエストが多いそうです。そして、サダクよりも高額の手切れ金を提示することで、女性の離婚の心配を減らし保護する役割があります。
2003年までは、万が一の離婚後、たとえ男性が購入した家であっても、離婚後2年間は、女性の所有になる、すなわちどのような理由においても男性が出ていくことが法律で定められていました。また、夫婦間に子どもがいる場合、子どもが20歳になるまでの養育費は、例外なく男性が負担することが法により定められていたそうです。
イスラムの結婚というと、平等に愛することを条件に妻を4人までめとることができる一夫多妻制ばかりが有名で、その他の側面は伝えられないことが多いように思います。このように、女性が保護されている点を、皆さんにも知っていただければ、と思います。
2月 26, 2009 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年12月25日 (木)
羊を分かち合う犠牲祭
12月14日から18日までヨルダンは犠牲祭(Eid Al-Adha)に入りました。イスラム教徒たちが祈りを通して1年間の自分を振り返ることで、イスラム教徒としての認識・連帯感を高めるお祭りです。また、その名の通り、羊や牛を生贄として殺し、親族や友人、また貧しい人たちと分かち合うのがこのお祭りの一大イベントです。
イスラムの教義に、イスラムの預言者とその息子がどれほど神に対して誠実であったかを示すこのような寓話があります。
預言者であるイブラヒムは神への生贄として、自分の息子イスマイルを殺さなければいけないという夢を見ました。イブラヒムは自分の息子に「私はお前を神の生贄に捧げる夢を見た」と告げると、息子は「それが神の御意志なのであれば」と生贄になることを同意しました。そして、イブラヒムが息子を殺そうとしたまさにその時、神は彼に羊をもたらし、イスマイルの代わりにそれを生贄にするようにと命じました。
この寓話になぞらえて、イスラム教徒たちは、今でもこの季節になると羊を捧げます。十分な収入がある人は、羊を生きたまま買ってきて殺し、3分の1を自分たちで食べ、3分の1は親戚や友人へ配り(サダカと呼ばれます)、そして残りの3分の1を貧しい人たちへ配ります。
イスラム教にはこのような「喜捨」の精神が深く根付いており、この期間中は、裕福な人も困窮にある人も、助け合いの輪の中で過ごすことができます。
12月 25, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年11月27日 (木)
アラブ式資産運用
アラブ圏の人々の多くが、一定期間資金を預けると一定利率の利息を受け取る一般的な銀行を利用しないと聞きます。それでは、定期預金なしに、人々はどうやって資産を運用するのでしょうか。
この地域では、イスラム銀行という個人投資を仲介するものがあるそうです。合意の上で、プロジェクトに投資して、そこからの「利益」(「利息」とは呼ばない)を受け取るというものです。この利益は概して5~10%の間と言われていますが、実際には、なんら収益を上げない年もあるとのこと。にもかかわらず、この信頼関係は崩れることがなく、それがアラブ式のビジネスの仕方なのだと聞きました。
もう一つの資産運用方法は、金(ゴールド)の所有があげられます。近年の大幅な金の値上がりにより、「金は財産」としての認識が広まりました。「男性はお金が貯まると喜び、女性は金をプレゼントされ喜び、こんなにすべての人をハッピーにできる資産運用はない」と言う人もいます。
ここアンマンもアラブ諸国の例外になく、大きな金専門店街(スーク)があり、週末になると人だかりができるほどのにぎわいです。デザインは日本人の好みとは少し違う(であろう)、大きなモチーフと重そうなチェーンでできたものがほとんどですが・・・。
11月 27, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年10月30日 (木)
コレラの蔓延
イラク国内では、今年8月以降、水を媒体とする感染症コレラの発症例が続々と伝えられています。
発症すると猛烈な下痢と嘔吐を繰り返し、子どもや老人が感染すると死に到ることもある深刻な感染症です。
コレラは不衛生な環境で特に蔓延しやすいといわれています。つまり、衛生に気をつけていれば感染も防ぐことができるのです。
実際に、国連によると、バグダット東部では、水道水を使えない人々が多く川の水などを頼らざるを得ないため、下痢の症状を訴える人が市内他の地域の3倍以上と伝えられています。
また、コレラの症例数も増加しています。2005年に大規模な蔓延が伝えられてからも、資金不足からなかなか衛生状況が一変せず、毎年変わらず夏季から秋季にかけての蔓延を繰り返しています。
バグダッド市内でも学校4500校のうち、水道にアクセスのある学校は半数ほどに限られているそうです。
ジェンがバグダッドで継続している小中学校の給水施設は、子どもたちが安心して飲める水にアクセスし、清潔な環境の下で学習することを目指しています。
これまでに修復した学校では、一件もコレラの症例は報告されていません。
これからも、1人でも多くの子どもたちをコレラやその他の水を媒体とした感染症の恐怖から守るため、ジェンはこの活動に引き続き取り組んでまいります。
(写真上:校舎横に設置された給水タンク:子どもたちの1週間分の水を確保できる。
写真下:修復後の生徒用手洗い場:衛生ワークショップを通じて生徒の利用を促す)
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10月 30, 2008 学校建設・修復文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2008年10月16日 (木)
幸せを運ぶアラブ菓子
2回にわたってご紹介しましたラマダン月明けに、国内スタッフが甘そうな - ほんとうに、歯が浮きそうなほど甘かったのです - アラブ菓子(写真参照)を持って出勤してきました。
これは、ヨルダンでは「マムール」、イラクでは「ケライチャ」といって、ラマダン後5日間にわたるお祭りであるイード中に、決まって食べるものなのだそうです。また、このお菓子が幸せを呼ぶためにはホームメイドでなくてはならないとのことで、現地スタッフはこのクッキーを奥さんに焼いてもらうために、家庭用オーブンまで購入したようです。
イラクでは、500万人にのぼる人々が戦争の影響を受けて遠く故郷を離れています。多い人はもう6回も、このケライチャを避難先で焼き続けていることでしょう。おそらく毎年毎年、故郷の平和と安定、そして、できるだけ早い帰還を願っていらっしゃることでしょう。
ジェンは、これからもイラクの教育環境改善を通じて、避難先から帰還する人々を受け入れる環境作りに貢献し続けていきます。
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10月 16, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年10月 2日 (木)
ラマダンを知る その2 「喜捨」
イスラム教徒の義務「五行」のうち、今回は「喜捨(きしゃ)」についてのお話です。喜捨というと難しく聞こえますが、要するに寄付のことです。
「ザカート」と「サダカ」の2種類があり、現代においてはザカートを「制度喜捨」、サダカを「自由喜捨」として区別しています。
「ザカート」は、イスラム教徒に課せられた財産税で、貧者の救済活動資金として税金のような形で政府に納める寄付金のことです。毎年政府により税率が決定され、今年は一人1.5JD(約212円)と制定されました。
一方、「サダカ」は任意の寄付金で、近所の人が声を掛け合って金銭を集めて回り、裕福でない家族に直接渡す、などの行動のことです。政府による福祉と違い、常に顔を合わせているような間柄同士での互助システムとも言えるでしょう。
イスラム教には、このような互助システムが多く存在しています。そのひとつのが「神のテーブル」と呼ばれる、貧しい人々のためにイフタールを振る舞うテーブルです。モスクやレストラン、ホテルなどの外にテーブルといすが並び、日没が近づくと、人々が集まって来て座ります。これは誰でも自由に座っていいテーブルで、料金などはかかりません。レストランの中と同じクオリティの食べ物を出さなくてはならないために、貧しい人々にとっては、ごちそうを食べられる機会でもあります。
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10月 2, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年9月18日 (木)
ラマダンを知る その1 「断食」
今年もラマダンの季節になりました。ラマダンとは、イスラム教の国が使用しているヒジュラ暦の第9月にあたるひと月のことを指します。この期間、イスラム教徒はコーランを深く学習するとともに、課せられた「信仰告白」「礼拝」「喜捨」「メッカ巡礼」「断食」の“五行”と呼ばれる信者の義務をこなします。
断食は、おそらく日本のみなさんには一番なじみがないイスラムの義務でしょう。断食と言っても、1ヶ月間何も食べずに過ごすわけではありません。日の出から日没までの一切の食事を断ちます。食事のみならず、水を飲んだり、たばこを吸ったりすることも禁止されます。
毎日、日没とともにモスクからコーランを朗唱するアザーンが始まると同時に、みな一斉にイフタール(断食明けの食事)をとります。
午後には、ただでさえ混雑する道路が、家路を急ぐ車でラッシュアワー状態になります。夕方ともなれば、空腹とともに日没までに家に戻らねばならないという焦りのために、ドライバーはみな必死な形相となり、スピード違反はおろか、あわや交通事故といった危険な運転も見られます。
そして、日没後の食事を終えると、人々は神への感謝でいっぱいになります。その後は夜遅くまで親戚や友人を訪ねたりして過ごします。街にはクリスマスさながらの電飾が施され、着飾った人々が通りを行き来します。
9月 18, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年8月 7日 (木)
水不足解消に役立ちたい
ヨルダンは、近隣諸国に比べ気温が低く、水源が豊かです。しかしながら、今年も水不足が不安になる季節がやってきました。ダムのないヨルダンでは、毎年夏季にはほぼ間違いなく水不足に陥ります。そのためこの国では、なんと、ホースを使った洗車を禁止する法律があります。
そんなアンマンに比べて、イラクでは日中の気温が10~15度ほど高く、夏季には摂氏50度を超える日もあります。バグダッド市内の貧困地区サドル・シティでは断水も多く、また公共の給水施設が整備されていないとも伝えられています。暑さが厳しくなるにつれ、住民たちの安全な水へのアクセスに対するニーズは大きくなるばかりです。
JENが行う学校修復では、水周り設備を重点に置いています。学校という公共性の高い施設は、それ自体がコミュニティーの給水設備となる可能性があります。また現在ジャパン・プラットフォーム、そして支援者の皆様からご支援いただいている学校修復事業に、サドル・シティの小中学校を含むこととなりました。現在修復の進んでいる学校が、コミュニティーにも役立つことを願っています。
8月 7, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年7月24日 (木)
ヨルダンの物価の上昇(パート2)
前回のつづき。。。
2つ目は、イラク戦争とその後の治安悪化により、イラクから大量の難民が流入したことです。
今から20年前、イラクは中東一帯で1、2を争うほどの繁栄を見せていました。そんなイラクから、ここヨルダンに逃れてくるのは、富裕層がほとんどです。「難民」とは、私たちが想像するような、難民キャンプで苦しい生活を強いられている人たちばかりではありません。この国に避難している彼らの多くは、ヨルダン人が手にすることのない立派な家屋に住み車を所有しています。
イラク戦争後、ヨルダン政府は、イラク人難民に対して「アラブの同胞」としてビザ無しで難民の入国を許可してきました。しかし、昨今の急激なインフレによって、自国民の寛容もぎりぎりのところまで来てしまいました。
その結果、今年5月より、ヨルダン政府はイラク人に対して滞在ビザを課すようになりました。加えて、長期滞在には在留許可証が必要になりました。許可証取得の条件は、たとえば、一定の固定財産を有すること(すなわち、ヨルダン経済に貢献していること)、外資系企業・機関にて勤務していること(すなわち、ヨルダン人の就職機会をはく奪しないこと)などの厳しい条件を満たしていなくてはなりません。
イラク人が避難せざるを得ないがために、イラク人のみならず隣国ヨルダンの人たちもその影響を受けているのです。そして、同じくイラク難民の受け皿となっているシリアでも似たような状況が報告されています。
イラク国内の治安が改善し、隣国に避難するイラク人たちが1日も早く祖国に帰れるように、願ってやみません。難民の帰還に貢献するためにも、JENはバグダットの小・中学校の修復事業を続けていきます。
イラク支援 活動報告会開催!
8月28日:18:30~ @JEN東京本部事務局
この支援速報でもおなじみ、2年のヨルダン勤務を終え、帰任した上杉奈美が、イラクの今をお伝えします。
お申し込みお問い合わせは、JEN東京本部事務局まで
くわしくは、こちらへ
7月 24, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年7月10日 (木)
ヨルダンの物価の上昇(パート1)
ヨルダン国内では、近年深刻なインフレが続いています。
2003年から2008年の間に、(甘党ヨルダン人の生活を支える)砂糖50キロが1000円から4000円に、米25キロは450円から2500円に値上がりしました。
これには大きく2つの理由があると考えられます。
そのうちのひとつ目は、イラク戦争により産油国である隣国イラクとの原油に関する協定が破綻したこと。
イラク戦争以前は、比較的気候に恵まれたヨルダンが食料などの生活必需品を供給する代わりに、イラクより輸入する石油の価格を半額にしてもらうという協定が成り立っていました。
しかし2003年以降の戦争により、ヨルダンは湾岸地域のサウジアラビアやクウェートから通常価格で石油を輸入せざるを得なくなりました。
協定下では1バレル(159リットル)14ドルであったものが、現在の公定価格141ドルと、急激な値上がりを見せています。
その結果、日本と同じように多くを石油に依存するヨルダン人の生活は、大きな影響を受けることとなったのです。
イラク支援 活動報告会開催!
8月28日:18:30~ @JEN東京本部事務局
この支援速報でもおなじみ、2年のヨルダン勤務を終え、帰任した上杉奈美が、イラクの今をお伝えします。
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7月 10, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年4月17日 (木)
王族の役わり
先日、外出先から事務所への帰路、現地スタッフが突然「ラニア王妃だ」と叫びました。横を通り過ぎた車にはヨルダン王妃のお姿が。警備の車輌が一緒ではありましたが、自らハンドルを握られていました。その現地スタッフは、信号まちをしていたところ隣に偶然故フセイン前国王の車が並び、信号が青に変わるまでお話をさせていただいた経験があるとのこと。
ヨルダンの国王ご夫妻は、国民の生の声を聞くべく、繁華街や貧困地区にも足を運ばれます。繁華街の書店には、アブダッラー国王がしばしばご訪問されるようで、国王ご夫妻と名物店長が歓談されたときの写真が飾られています。また、国王は、時には変装してお出かけになり、国民生活上の問題を発見されると、翌日さっそく閣僚を集めて改善を命じるそうです。
さて、ラニア王妃ですが、4人のお子さまをもつ働く女性として、教育問題の解決や女性の社会進出の促進に力を尽くされています。教育支援に携わる女性としては、王妃の国内のみならず国際的な大舞台での活躍ぶりを尊敬の眼差しで拝見しているところです。
4月 17, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年2月21日 (木)
男性の装い~夫婦円満のひけつ
(前回からの続き)
「パートナーの前で魅力的であり続ける努力をするのは、夫の方も同じだよ」
常に清潔で小綺麗であることを心がけ、妻の好みの香水を身にまとう…夫婦円満の秘訣にはそのような努力が必要だと、夫たちは話し合うそうです。
多彩なビンが並ぶ、アラブ諸国の繁華街でよく見かける香水屋は、いつも男性で賑わっています。コーランと同様に生活の規範とされているハディース(預言者ムハンマドの言行等)には、妻を尊重することに関する伝承が多く見られる、とイスラム教徒の友人から聞いたことがあります。
そして、友人は、結婚記念日に自宅で妻と撮影した写真を私に見せてくれました。そこには、ナチュラル・メイクをした、美しい髪の快活な感じの女性が写っていました。何よりも印象的だったのは、夫と交わす温かい視線。
無論、他の宗教にも見られるような、控えめにふるまうイスラム教徒の女性は存在するかもしれません。しかし、偏った情報によって知りうるこのようなイメージも限定的なものです。だからこそ、現地の人々の目線にたち、さまざまな考え方や生き方に触れてみることが大切ではないかと考えています。現地のニーズに適した事業を進めるため、遠回りかもしれませんが、文化のいろいろな側面について学ぶ毎日です。
2月 21, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2008年2月 7日 (木)
女性の装い
現地スタッフと話す内容は、事業の進捗状況やイラク情勢にとどまらず、アラブ文化、イスラムの教えにも及びます。現地の文化を知ることは、適切な事業を展開するために必要です。
先日は、イスラムの女性の装いが話題にあがりました。イスラム教徒が大半を占めるものの、比較的自由な雰囲気のヨルダンでは、ぴったりとした服に派手な化粧で街を闊歩する女性が見られます。一方で、ヘッド・スカーフとゆったりした服で全身を覆い、薄化粧の女性が多いのも事実です。
ある現地スタッフの妻もその一人で、控え目で穏やかな印象を受けました。外出先では、イスラムの教えに則り、男性の目を引かない格好をしている女性も、家に戻ると綺麗にお化粧をして、夫の帰りを待つと聞きます。彼は、「当然だよ」と答えた後にニヤッと笑って、「ぼくに見せるためだけにね」とつけ加えました。
ここで話が終わると、「イスラム教徒の女性は、夫の影に生きる、悲壮な努力をしている」と理解される方もいるかもしれません。しかし、彼の話は続きます・・・。
2月 7, 2008 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年12月20日 (木)
犠牲祭にみるイスラム教の精神
12月18日からの5日間、ヨルダンでは犠牲祭のために休日となっています。
イスラム教徒は犠牲祭に際し、経済的に可能であれば一家族につき一頭の羊、牛、ラクダなどを生贄にすることが望ましいとされています。これは、預言者イブラヒムが息子を神に捧げようとしたところ、彼の信仰心の強さを確認した神より子羊を身代わりにするようお告げがあったことに由来するものです。
イラクやヨルダンでは、捧げものとなるのは羊が主流のようです。イスラム教のルールによると、生贄のうち3分の1だけを家族が得て、3分の1を親戚に、残りの3分の1を貧しい隣人に分け与えることになっています。犠牲祭の前には、アンマン中で羊の看板が見られました。この看板によってウム・アリ(アリのお母さん、つまりフセイン前国王の息子アリ王子を産んだ故アリア王妃を示す)財団が寄付を募り、貧しい人びとに食事を供しています。イスラム教が貧者への施しを強く奨励していることを実感しているところです。
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12月 20, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年12月 6日 (木)
ちょっとした仕草にみるお国柄
修復前の学校で撮影した子どもたちの写真を整理していて、違和感を覚えました。多くの写真に、腕組みをした子どもたちが並んでいるのです。
日本では、先生など目上の人の前で腕組みをするのは失礼にあたるのではないでしょうか。現地スタッフに尋ねたところ、主に小学生とのことですが、先生の前で尊敬の気もちを表すために腕を組むそうです。決して、彼らが不遜な態度を取っているわけではないことがわかり、安心しました。一方、大人については、同様の意味合いで腕組みをすることはあまりないようです。
11月頃より、イラクからは治安の改善を示すニュースが伝えられるようになりました。しかし、政治的混乱は収まっておらず、今後もこのまま良い方向に移って行くのかどうか予断を許しません。
子どもたちの写真を目にするたび、彼らに心からの笑顔が戻る日の到来を願います。
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12月 6, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年11月22日 (木)
盛り上がりを見せる選挙キャンペーン
ヨルダン政府は、11月20日(火曜日)を、国会議員選挙のため休日に設定しました。
国民に、投票への参加を選挙の度に強くアピールしています。選挙前は、町中にサイズもさまざま、個性豊かなデザインのポスターが張り出され、ロータリーや道路沿いは候補者の顔写真や横断幕で溢れていました。また、窓ガラスに支援する候補者のポスターを貼り付けた一般の自動車も数多く見られました。
ポスター以上に興味を引かれたのは、選挙事務所でした。空き地に突如として現れた特設テント。結婚式や葬式の時に建てられるものと同様です。選挙事務所の形式も候補者それぞれに異なりますが、テントの事務所はヨルダンらしさを実感しました。選挙期間中、空いている土地を借りて支持者を集め、青空の下で演説をする候補者もいるそうです。
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11月 22, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年10月25日 (木)
アラビア語のからくり
アラビア語が右から左へ書かれることはよく知られています。PCでアラビア語を打つ際にどうなっているのか興味深く思われませんか。
写真は、現地スタッフのPCです。画面には、「ジェンを支援してくださる皆さま、こんにちは」と書いてあります。まず、アラビア語を打つ前に、カーソルが右から左へ動くようアイコンをクリックして設定するとのこと。
アラビア語で面白いと感じたのは、文字は右から左へと流れますが、数字は日本語と同じように左から右に書かれることです。
PCも数字を打つとカーソルが自動的に左から右に移動するようになり、写真にある「2007」のようになります。数字は、アラビア数字もしくはインド数字から選択することが可能です。
アラビア語は、ローマ字打ちではなく、独自の並びのキーボードで打ちます。英語の資料を作成することが多いジェンの現地スタッフは2種類のキーボードを使いこなさなければなりませんので、頭の切替えが必要になります。
10月 25, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年10月11日 (木)
ラマダン、断食
9月13日から始まったイスラム暦の断食月、ラマダンも終わりが近づいています。アンマンでは、ラマダンが始まる少し前から、イスラム教の象徴である月と星を模った電飾が家々の窓を飾っています。
この時期のヨルダンでは、早朝5時過ぎから夕方6時半頃までの日中、「敬虔な」イスラム教徒は断食をしています。一切の飲みものも断つので、空腹以上に喉の渇きに耐えるのは困難なことでしょう。
ラマダンの時期は、西暦と比べて毎年前にずれるので、今後、暑い夏の最中に断食をすることになります。夏の盛りには気温が50度を超すバグダッドで、断食をしながら仕事をするのがどれだけ大変なことか、想像に難くありません。
日没後、「イフタール」という食事を家族揃って取ります。親戚や友人を招待して食卓を囲む機会も多いようです。
コーランを読み返し、貧しい人に施しを与え、そして家族のつながりを深めるーーー敬虔なイスラム教徒にとって、ラマダンは特別な月です。一方、ラマダンの期間であっても、あまり敬虔ではないイスラム教徒が、日中こっそり飲食をしている姿が見られたりもします。
10月 11, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年9月 6日 (木)
食用サボテン
夏の間、ヨルダンでは写真のような不思議な外観の果物が店頭を賑わせています。『カクタスペア』というウチワサボテンの実です。八百屋で手に取ったところ、細かいトゲが指に刺さり、チクチクしました。
店頭や道端で男性が丈夫そうな手袋をして皮を洗ったり、むいたりしている姿を見かけますが、必要な顧客サービスだということを実感することになりました。スーパーでは、皮がむかれたカクタスペアがパックされて棚に並んでいます。
カクタスペアの中には種がたくさん詰まっており、甘いスイカに似ていると表現いたしましょうか。指の痛みはしばらく続きましたが、新規のたべものとの出会いは興味深いものです。
9月 6, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年8月30日 (木)
ヨルダンに住むイラクの人びと
8月19日、ヨルダンの学校では新年度が始まりました。そして、イラクの子どもたちにとっても記念すべき門出の日となりました。
先ごろ、ヨルダン政府は同国内に住むすべてのイラク人に、学校の門戸を開放することを決定したのです。これまでは、居住ビザを有する家庭の子弟など限られた人しか学校に通うことができませんでした。しかし新年度からは、居住ビザの有無にかかわらず、ヨルダンの子どもたちと同様の教育を受けることができるようになったのです。
ヨルダン教育省によると、すでに5万名を超えるイラク人子弟の学校への登録がなされたそうです。故国を逃れ、周辺国で厳しい生活を送るイラクの人びとには、問題が山積しています。仕事に就くことができないなか、貯金を切り崩しながらの生活。さまざまな問題の中でもっとも彼らが頭を痛めていたのは、子どもたちが教育環境から離れてしまうことでした。ヨルダンの新政策は、大勢のイラク人に希望を与えています。
それでも、経済的な理由などにより子どもを学校に通わせられない親も多いのは事実です。75万人ともいわれるイラクから避難してきた人びとを支えるヨルダン政府の負担も軽くはありません。国際機関が本格的な援助に乗り出しています。
8月 30, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年8月 9日 (木)
喜びのクラクション
7月最後の土曜日、アンマンは自動車の窓から体を乗り出して喜びに湧く高校生で溢れていました。
クラクションが鳴り響いたその日は高校の修了テストの成績発表日でした。
修了テストのスコアは、卒業認定だけではなく、大学入学の合否を決める重要なものです。
ヨルダンの人びとは、お祝いごとがあるとクラクションを鳴らし続けます。
7月上旬には、国が誇るペトラ遺跡が「新世界7不思議」のひとつに選出されましたが、発表時間が深夜1時半を過ぎていたにもかかわらず、発表後の2時間程はクラクションが途切れることはありませんでした。
また、ヨルダン・チームがサッカーの試合に勝った時には必ず周りからクラクションが聞こえてきます。
イラクでは、先月開催されたアジア杯サッカーで同国のチームが優勝し、市民に久しぶりの嬉しいニュースをもたらしました。
しかし、決勝進出を祝っていた50人が自爆テロの犠牲となり、また、祝砲の流れ弾にあたって亡くなった人もいました。
ヨルダンでは、以前は盛んであった祝砲が法律で禁止されたそうです。
イラクでも、喜びの後に悲劇を体験することのないように、と願います。
8月 9, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年6月28日 (木)
夏至を迎えたヨルダンで、初物が登場!
短い春が終わり、あっという間に夏に突入したヨルダンでは、道端にスイカ屋が見られるようになりました。テントの中に細長いスイカが山積みにされていて、ドライバーは運転の手を一時休めてスイカの吟味にかかります。日本人と同じく、コンコンと叩きながら選ぶ人もいるようですが、一切れ切ってもらったスイカの色や味を見て気に入ったら買うこともできます。
アンマンから空港や北部へ向かう幹線道路では、いつでもその季節の野菜や果物を売る小さなスタンドが方々に設けられています。アーモンドの実、ざくろ、イチジク、レタスなど、どのスタンドも同じ産物を扱っているので競争が激しそうですが、ドライバーの側からすると、何が旬であるのかが一目でわかるので楽しめます。冬には乾燥イチジクのスタンドが並んでいました。
イラクでも、2003年の戦争以前はヨルダンと同様に多くのスタンドが道沿いに立ち、市民は安くて新鮮な野菜や果物を購入することができたそうです。治安が悪化してからは、道路周辺は自動車爆弾テロが起こるため危険な場所となり、スタンドは姿を消してしまいました。
6月 28, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年5月17日 (木)
ヒジャブ事情
修復した学校で女の子たちを撮影した写真について、幼い子でもヒジャブを被っている姿が印象的だとの感想をいただきました。
現地スタッフの説明によると、その写真はバグダッドの中でも特に宗教色の強い地区で撮影されたため、年少の児童でもヒジャブの着用率が高いとのことです。
イスラム教で女性がからだを覆うべきだとされるのは思春期に入ってからですが、小学生の頃から習慣となるよう導くことも多く、実際いつからにするかは両親と本人が話し合いながら決めていくとのこと。
現地スタッフや友人にたずねると、親から話がある前に自ら望んでヒジャブを身につける子、親の意向に素直に従う子、一方で自分の髪型が気に入っているため初めは駄々をこねる子…娘たちの反応はさまざまなようです。
5月 17, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年4月12日 (木)
アウトドアライフ
春になり、週末の晴れた日には家族総出でピクニックを楽しむ姿がヨルダン各地で見られるようになりました。ヨルダンの乾いた茶色の大地も、1、2カ月と限られた短い春の間だけですが、生き生きとした若草と小さな可愛らしい花で溢れ、人びとに幸せな気分をもたらしてくれるのです。
ヨルダンに住んで興味深く思うのは、自然に恵まれた郊外の丘のみならず、交通の激しい幹線道路の脇であっても、少しでも緑がある場所ではピクニックの光景が繰り広げられていることです。
イラク戦争以前は、イラクの人びともピクニックに出かけていたそうです。バグダッド郊外に向かえば野原が広がり、家族や親戚、友人が集まってのんびりと週末を過していました。
掃討作戦が展開されているバグダッドでは、動物園や遊園地に客が戻ってきたとの報道もなされています。しかし、多くの市民は治安状況に著しい進展を感じることができず、外出を控えたままです。
緑の中でヨルダンの子どもたちの笑顔を目にすると、イラクの子どもたちが太陽の下で自由に駆け回ることができる日を夢に見ます。
4月 12, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年3月29日 (木)
その頃、アンマンでは雪が降り・・・
アンマンでは3月半ばに雪が降りました。一方、降雪を経験することのないバグダッドでは、同じ頃、米軍およびイラク軍による民兵に対する掃討作戦の開始から1ヶ月を迎えていました。イラク政府の発表によると、掃討作戦によって民間人死者数、民兵による攻撃回数はともに大幅に減少したとのことです。バグダッド市民の間にも治安が若干よくなっていることを実感している人たちもいるようですが、最近の変化に関する現地スタッフのことばにハッとしました。
「爆弾テロはなんとか避けられる。民兵の活動が弱まったことが嬉しい」
テレビから流れてくる爆弾テロの映像は、恐怖心を駆り立てられるものです。しかし、バグダッド市民にとってそれはまだ対応可能なもの、民兵がどれ程の脅威であるかということを思い知らされました。
専門家は、バグダッドの治安が一時的に向上したからといって楽観視してはならないと指摘しています。掃討作戦の間だけ潜伏していた民兵が活動を再開する可能性が高いからです。
3月 29, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年3月15日 (木)
ヨルダンに生きる女性たち
ヨルダンでは、商店で、タクシーで、必ずといってよい程「フィリピーノか」とたずねられます。オフィスに来る販売員も皆、私をフィリピン人のメイドと確信し、「マダムを呼んで来て」といいます。先日は、片言の英語で「お父さんかお母さんに会いたいのだけど」と言われました。成人式がすでに遠い記憶となる私を、子ども扱いするのを不思議に思って現地スタッフにたずねたところ、それは「ご主人さまか奥さまを」という意味だったのです。
ヨルダンには、フィリピンをはじめ、インドネシア、スリランカから多くの女性がメイドとして出稼ぎに来ています。あるスリランカ出身の女性は、中学を卒業して工場で数年働いた後、ヨルダンに働きに来ました。当初は、家事もアラビア語もまったくできませんでしたが、間もなくどちらも問題なくこなせるようになり、10年を経た今はさらに、流暢な英語も話せるようになっています。
英語で話していてわからない単語があると熱心に質問をしてきますが、帰宅してから辞書を引いて覚える努力を続けているとのことです。故郷の家族への仕送りを欠かさず、ヨルダンに根を下ろして暮らしている彼女たちを、心の強い女性だと感心して見ています。
3月 15, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年3月 1日 (木)
国籍がイラクであること
写真左の日本のパスポートと、右のイラクのパスポート、2つには大きな違いがあります。
現在、日本のパスポートを見せて、入国やビザの取得が困難な国は、ほとんどないと言えるでしょう。一方、イラクのパスポートを携帯する人びとを歓迎する国がどれだけあるでしょうか。
治安が悪化する中、国内外のより安全な場所へ避難するイラク市民は、毎月5万人に上ると見られます。隣国のヨルダン、シリアには、それぞれ50万人とも100万人ともいわれるイラクからの避難民が滞在しています。両国でも、イラクの人びとの入国、その後の滞在許可期間の延長、居住ビザの取得が非常に難しくなってきているようです。
大勢の避難民が滞在期間を過ぎた後、違法な状態で隠れるように暮らしており、彼らの子どもたちの多くが学校に通えずにいるのです。避難民の増加は、受入れ国に多大な負担を強いますが、ヨルダンは先進諸国に受入れ国への支援を呼びかけています。
3月 1, 2007 文化、生活、習慣 | Permalink
2007年2月 1日 (木)
治安悪化がもたらす混乱のなかで
イラクに関する報道では、大規模な爆破テロが注目されがちですが、市民の生活を脅かしているのは爆弾だけではありません。現在の混乱状況を利用して犯罪グループが暗躍しています。
あるバグダッド市民が誘拐された時の話です。
親戚が誘拐犯と交渉し、高額な身代金を半分以下に減額させたのですが、加えて10%の「チップ」を支払わされたとのこと。何に対するチップかといえば、殺さずに解放することへの「お礼」。実際、身代金を渡しても殺害されるケースが多いのです。また、略奪も組織的に行われており、狙われた家の家具、電化製品等はあっという間に持ち去られてしまうそうです。
殺害や拉致のターゲットとなる市民は、民兵や犯罪グループから脅迫状を受取ります。手のひらサイズの紙が1枚、ドアの隙間から差し込まれただけで、それまで一生懸命働いて築いた生活を捨てなければならないのです。より安全な地を求め、海外に逃れたり、国内で避難をするイラク市民は増える一方です。
2月 1, 2007 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink
2006年12月28日 (木)
特別な日
隣で現地スタッフがくしゃみをしています。「大丈夫?」と声をかけたところ「たいしたことはないのだけれど、今日だけは困るんだ、風邪をひいてしまうと」との答え。何か特別な予定があるのかと問う私に、彼は照れを隠しながら「実は結婚記念日なんだ」と教えてくれました。
○○記念日というと、夫がすっかり忘れてしまって妻が怒る-というテレビドラマの構図が目に浮かんできます。きちんと覚えていて偉いね!と褒めると、自分は記念日を記憶するのが苦手だから、PCに彼の奥さんが大事にしている日をすべてインプットして、1週間前には通知が来る仕組みにしているとの種明かし。結婚記念日だけではなく、初デートの日、婚約をした日…かなりの数の記念日がありそうです。
「愛は結婚後に生まれるもの」というアラブ社会でよく聞かれる信条に強く共感している彼は、親戚にあたる女性の父親に1回のデートも経ずに結婚の申込みをしたそうです。現代日本とはかなり異なる結婚の過程ですが、結婚10年目を迎える今も妻の手料理と子どもたちに会えるのを毎日楽しみに帰宅する彼を見ていると、こういう幸福のかたちもあるのだと考えさせられるのでした。
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12月 28, 2006 文化、生活、習慣 | Permalink
2006年11月16日 (木)
イラクのスイーツ
1ヶ月の断食月-ラマダンとそれに続くイード小祭が終わり、通常の生活に戻ったアンマンは冬を迎えようとしています。
ラマダン中の街で目に入るのは、小さなパンケーキ状のものが山積みになっている光景。期間限定のカターエフというお菓子の材料です。チーズやクリーム、くるみやココナツなどさまざまな具をのせて餃子の要領で包み、油で揚げ、シロップに浸して完成です。
イスラム教徒はお酒を嗜まないためなのか男性も甘いものが大好きです。英語では「カクテル」と呼ばれるミックスジュースは種類が豊富にあり、ピスタチオがふんだんに塗されたアラブ風アイスクリームも美味です。イラク人の集まるカフェの前で独特のなまりを聞きながら、故郷を離れて暮らす彼らがスイーツや大量の砂糖が投入された紅茶、水タバコを楽しんでいる様子に、イラク事業に携わっている者としては目が引き寄せられてしまいます。
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11月 16, 2006 文化、生活、習慣 | Permalink
2006年8月24日 (木)
馬と羊のいる生活
朝「ベァー」という声で目が覚めることがあります。羊たちの声です。
閑静な住宅街にあるJENのオフィスからもたくさんの羊を連れたヨルダン人の姿を見ることができます。
アンマンに赴任して羊を初めて目にしたのはアメリカ系銀行シティバンクの横の空き地でした。ヨルダンというと映画「アラビアのロレンス」を想像する方も多いと思いますが、建物が林立する大都会アンマンに羊がすんなり溶け込んでしまっているのも遊牧民族ベドウィンの伝統のなせる業でしょうか。
また、アンマン市内中心部のスポーツ総合施設「スポーツシティ」には、馬場もあり市民が気軽に乗馬を楽しめます。警察官用の馬も飼育されてもいます。
羊や馬の存在が身近なのがヨルダンなのです。
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8月 24, 2006 文化、生活、習慣 | Permalink
2006年8月17日 (木)
60度の夏と停電
バグダッドの今一番の問題は電気です。
暑い最中長時間停電し、2時間使えたと思ったら4時間の停電。発電機は多くの家に設置されていますし、ない場合は近所の大きな発電機のオーナーから使用量に応じて料金を払い、1日7時間電気を分けてもらっています。
現在バグダッドは最も暑い時期を迎えています。14時から16時には気温が60度にまで上がります。人びとはクーラーか扇風機がないと、過ごせません。
バグダッド市内のほとんどの家庭には、クーラーまたは扇風機がありますが、停電時には我慢するか、発電機に頼るしかありません。停電の夜は、銃撃を恐れて以前のように屋根の上で暑さをしのぐこともできず、寝不足のまま仕事に向かう場合もあります。これから9月末まで暑い日が続きます。
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8月 17, 2006 文化、生活、習慣 | Permalink
2006年7月20日 (木)
爆発音の正体
イラクでは日々爆破テロが発生し、昨年11月にはヨルダンでも爆破テロが発生しました。アンマン事務所の仕事の一つに、治安情報の収集があります。そのせいか、爆発音に対して異常に敏感になっています。
アンマンでは夜、バンバーンという音にハッとするのですが、バグダッドのようにテロが頻発しているわけではありません。爆発音の正体は打上げ花火なのです。凝った模様の大量の花火が空を彩る日本の花火大会のようには豪華ではないものの、これ程しばしば打上げ花火を見ることができる場所はあまりないのではないでしょうか。
毎晩東京ディズニーランドの花火を目にする浦安市民になったような気分になり、仕事の手を一時休めてオフィスの窓からきらびやかな夜空を眺めつつ、イラクの子どもたちにもこの美しい爆発音を楽しむことができる日が早く来るようにと願わずにはいられません。
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7月 20, 2006 政治、経済、治安文化、生活、習慣 | Permalink