2018年3月 1日 (木)

イラク東部で地震

2月11日、イラク東部とイラン西部にまたがり地震が発生しました。この地域での昨年11月にマグニチュード7.2を計測し大きな被害をもたらした地震に続いての出来事です。イラクではキルクーク県とスレイマニア県の人びとが揺れを体感した模様です。

今回はマグニチュード5.5を計測したものの、幸いなことに大きな被害はありませんでした。元来イラクは地震が頻発する地域ではなかったため、現地の人びとは驚いていますが、被害が出なかったことにホッとしています。

JEN職員 
アブドゥッラー ハッサン

3月 1, 2018 政治、経済、治安 |

2017年12月 7日 (木)

11月12日に発生したイラク地震について

 現地時間2017年11月12日午後9時にイラクで地震が起きました。震源地はイラク北部とイランの国境に位置するスライマニヤ県のハラブジャ地区、揺れは3分ほど続き、マグニチュードは7.2とされています。

 揺れは、クルド人自治区の東部、バグダッド県及び、クウェートやハラブジャ地区付近のイランの県で観測されました。

 この地震はイラク北部に甚大な被害をもたらしました。デルバンダカンダムに隣接する山の一部が崩れ、翌日の発表ではスライマニヤ県では7人が死亡、約350人が負傷しました。また、イランでは約400人が死亡、約6,000人が負傷しました(2017年11月13日現在、アラビア サテライトチャンネルより)。

 現場では国際機関、トルコの支援団体等が支援活動に入っております。JENも当地の一日も早い復興を願っています。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。

▼クレジットカードはこちらから

iraq

▼郵便振替の場合は↓

口座番号:00170-2-538657 

口座名: JEN

*通信欄に「イラク」とご記入ください*

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

12月 7, 2017 政治、経済、治安 |

2017年11月15日 (水)

【速報・続報】 イラクとイランの国境付近で発生した地震について

 昨夜、JENの現地職員全員(ドホーク事務所、バグダッド事務所)の無事を確認いたしました。安否を気遣うご連絡をくださった方へ、ご心配をおかけしました。

 緊急支援の必要性に関して、引き続き内部で情報収集を行っています。出動の可否に関しては、こちらの公式ウエブサイトで、不定期に発信いたします。

Map2017

▼JENのイラクでの活動について、くわしくはこちらから

▼JENの最近の自然災害への緊急支援について、くわしくはこちらをご覧ください。

2017年5月:スリランカ洪水
2016年4月:熊本地震
2015年11月:アフガニスタン・パキスタン地震
2015年4月:ネパール地震

11月 15, 2017 政治、経済、治安, 緊急支援 |

2017年10月23日 (月)

お知らせ : キルクークの状況について

Photo_3  
 JENは、イラク中央政府が管轄する首都バグダッドとその周辺および、イラク北部のクルド自治区内で活動しています。いずれの活動も、その対象は武装勢力による攻撃から逃れた人びとや、そうした人びとを受け入れている地域で暮らす一般市民です。

▼イラクでの活動について、くわしくはこちらから。

 現在、イラク中央政府とクルド自治政府との間で緊張が高まっています。クルド自治政府による独立を求める住民投票後、両者間で小さな衝突が繰り返される中、10月に入りキルクークでは、10万人ともいわれる市民が安全を求め一時的に避難する状態に発展しています。2015年からJENが活動するイラク北部の避難民キャンプには、キルクークからの避難民が到着してきています。クルド自治州では日本国籍保有者を含む外国人のクルド自治州への渡航に制限がかかっています。この状況は、もうすぐひと月になります。

Map2017_3

▼キルクークという地域の特徴について、くわしくはこちらから。

▼キルクークでの教育支援活動について、くわしくはこちらから。

▼JENの国内避難民、避難民キャンプでの活動について、くわしくはこちらから。

 現在、トルコと北部クルド自治州との国境は閉鎖されています。また、治安上、イラク国内を陸路で移動することはできません。日本から派遣している駐在スタッフは現在、赴任地のドホークから退避し、隣国ヨルダンから遠隔(リモート)で業務をおこなっています。イラクの現地スタッフは、安全確保を最優先し、通常の支援活動を滞りなく進めています。

 日々刻一刻と状況が変化する中、情勢も複雑化するイラクですが、JENは今後も必要な支援を届けていきます。

イラクでの緊急支援に対し、皆様のご支援を何卒よろしくお願いします。

JEN事務局長 黒木明日丘

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

みなさまからの温かいご支援をおまちしております。

▼緊急寄付を受け付けています。ご寄付は、こちらから
iraq

▼郵便振替の場合は↓

口座番号:00170-2-538657

口座名: JEN

*通信欄に「イラク」とご記入ください*

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

(写真:北部の避難民キャンプ)

10月 23, 2017 政治、経済、治安 |

2017年8月 3日 (木)

モスル解放、そして…

2014年に、イラク第二の都市モスルが武装勢力に制圧され、数百万人もの市民が国内の安全な場所へ避難する事態となっていました。2016年10月以降、イラク政府によるモスル解放作戦がスタートし、2017年7月、モスルはついに武装勢力から解放されたのです。

これから重要なことは何でしょうか?

復興と一言で言っても、漠然とした印象を持ちます。復興は、戦闘により破壊されたインフラの復旧だけではありません。モスルへの人びとの帰還を促すこともそうです。

モスルの復興を推進するには、まとまった資金が必要であり、国際社会の支援が入っていますが、それだけでは、まだまだ不十分であることは否めません。

復興の際には、様々な側面での公平性を保つためにも、いわゆる一般的なイラク社会とモスルの住民間での和解も行われるべきです。

【モスル市内の様子】

20170803_iq_mosul1_3
20170803_iq_mosul2_3

武装勢力によるテロは死や物理的な破壊をもたらしただけではなく、もともとあった「文化」そのものも壊そうとしていたのです。

武装勢力がこの数年間で育成してきた「文化」や「社会」、「政治」、「宗教感」は、そのリーダー等によって、自分たちの思想を社会に広めるために入念に練られ人びとに少なからず影響を与えました。これらの過激な思想を人びとから取り除く過程も同時に必要でしょう。

その為にも、これから国は、NGOや聖職者、有識者、思想家やイラク社会に影響を持つすべての人びとと協動して復興に向けたプロジェクトを実施していく必要があるのです。

また、私たちは子どもたちのことを忘れてはいけません。

【モスル市内の人びと】

20170803_iq_people_in_the_town3_2

イラクの専門家たちは、モスルの子どもたちへの心理的・社会的リハビリプログラムを実行していくため、他国の専門家たちの協力を仰ぐ必要があるでしょう。

子どもたちが経験した悲劇は、将来的に彼らの心理・思考に負の影響を与えることが考えられるからです。


ティクラ・J・アルナジャール
バグダッド/イラク

▼緊急寄付を受け付けています。ご寄付は、こちらから
iraq

▼郵便振替の場合は↓

口座番号:00170-2-538657 

口座名: JEN

*通信欄に「イラク」とご記入ください*  

8月 3, 2017 政治、経済、治安 |

2016年8月 5日 (金)

2016年7月3日、イラク・カラダで何が起こったのか?

 皆さん、イラクのカラダ地区をご存知ですか?

 カラダ地区は、首都バグダッド市のティグリス川の東側にある商業地区です。
 1920~30年代は、多くのユダヤ教徒・キリスト教徒が居住していましたが、国家が君主制から共和制に変わった頃に、ユダヤ教徒は強制送還されてしまいました。1940年代になると、バグダッド随一の高級住宅街として発展しました。また、20世紀初頭から中頃にかけては、民が地域の発展を願い多くのイスラム教のモスク、キリスト教の教会が建てられました。地域の発展は順調に進み、カラダインと呼ばれる大通り周辺に多くの商業施設、モールやマーケットなどが建設されました。ここは、常に多くの人でにぎわっています。

 2016年7月2日の深夜1時頃、この場所は多くの買い物客で賑わっていました。というのも、2,3日後に控えたイスラム教のラマダン(断食)明けのお祝い、イード・アル・フィトルの準備のための買い出しをするために、日中45度を超える猛暑を避け、気温が下がる夜になってから出かけてきたためです。

 人びとが夕涼みや買い物を楽しんでいたその時です。突然、トラックが爆発する音が響き渡りました。火の手は一瞬のうちに商業施設に燃え移り、そこに集っていた人びと、建物、すべてを飲み込みました。子ども、女性、老人、お腹の中にいる胎児であろうと容赦なく、奪い去ったのです。事件発生後の深夜1時から陽がのぼる午前7時までの間に、全てが灰となってしまいました。それは誰が見ても、大惨事としか言えない出来事でした。陽が登りきった頃、そこは、前日とは異なる場所になっていました。

 この事件は、イラク国内で大きなニュースとなり、衝撃、驚愕、悲しみ、恐怖が全土を埋め尽くしました。たった1台の車が爆発したことで、こんなにも全てのものが破壊されてしまうなんて、誰が想像したでしょう。爆発したものが何だったかなどは、専門家やこの惨事の目撃者が多くを語っています。ひとつ言えることは、もう、ここで失ったものは取り戻せない、ということです。死者500人、負傷者は300人にのぼりましたが、亡くなられた方の多くは遺体確認もままならない状況です。両親とともにイードに合わせて新調する衣服を買うために、わくわくした想いで買い物にやって来ていた子ども、家族や友達とともに卒業を祝っていた若者など、たまたま居合わせた多くの一般市民の命が失われてしまいました。どうすれば、わたしたちは気丈になれるのでしょうか。人びとは悲しみに暮れ、憤りを感じています。

 
 いつになれば、国際社会はイラクの人びとに降りかかっているこの惨状に目を向けてくれるのでしょうか。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。

▼クレジットカードはこちらから

iraq

▼郵便振替の場合は↓

口座番号:00170-2-538657 

口座名: JEN

*通信欄に「イラク」とご記入ください*

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

8月 5, 2016 政治、経済、治安 |

2015年8月24日 (月)

イラクの人びとの声

8月初旬、イラク各地で市民によるデモがありました。

参加した市民の訴えは、地域の安全、電力、水などの公共インフラの整備、失業率の改善などの基本的な生活環境の改善です。
20150820_iq_01_3
この訴えの背景には、こんな生活の状況があります。
.
イラクの人びとは、毎日飲用水を購入する必要があること。
(毎日、20リットル容器を片手に、給水車に並びます)
.
電気は、5時間毎に、1時間しか使えないこと。
.
総合大学や単科大学を卒業した学生でも就職できず、
修学できなかった人はさらに就職が難しい状況であること。
(イラクにおける失業率は40%を超過しています。)
.
今後も現地の様子をお伝えしていきます。

8月 24, 2015 政治、経済、治安 |

2014年12月18日 (木)

新年に向けて

 イラクでは、依然として政府と武装組織との戦闘が続いており、これに伴い200万人以上の国内避難民が発生しています。

 避難民の多くはクルド人自治区内に流入しており、中部・南部の県にも避難していますが、冬を迎えた今、かれらは厳しい環境に置かれています。凍えるような寒さと冷たい雨の中での生活を強いられ、生活を支える資金は不足し、多くの生徒は勉強を続けることができていません。

 さらに、原油価格の下落と生産率の低下により、イラクの経済状況は急激に悪化しています。また、民兵による誘拐と恐喝が横行しています。

 こうした危機の中でも、イラクの人びとはクリスマスや新年を迎える準備を始めています。万が一に備え、町ではセキュリティを強化しています。

 不安な毎日を送る中、人びとが「年末・年始のお祝い」の準備を行うことは、人びとが今、直面している危機を乗り越え、安定した経済と社会を取り戻そうとする意志の表れと言えます。加えて、これを機に厳しい現状を受け入れ、解決に向けて転換していく機運の高まりを求めていると言えます。

JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ご寄付は、こちらから受け付けております。

12月 18, 2014 国内避難民支援, 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣, 緊急支援 |

2014年10月30日 (木)

教育レベルの低下

 ユネスコの報告書によると、1991年以前はイラクの教育レベルは中東諸国の中でトップでした。全ての子どもたちが小学校に通っていました。つまりその年齢で小学校に行っていない子どもおらず、非識字率はゼロでした。

 しかしながら、1991年の湾岸戦争ぼっ発以降今日まで、教育レベルは下がり続けています。ユネスコの報告では、今やイラクの教育レベルは中東諸国の中で下から3番目となっています。
 48000人の生徒が学校をやめ、様々な仕事に就きました。この数は、1年生から12年生までの義務教育年齢の子どもの5%になります。

 その一方、過去10年間で500人以上の教師が殺されました。そのことが、教師の教育能力やモラルの低下につながり、そのことが教育レベル低下の原因の1つになっています。イラクの非識字率は上がり続け、教育関係の2つの省(イラク教育省と高等教育省)の統計によると、15歳から24歳の若者のうちの74%が読み書きできないとの報告もあります。

 その大きな理由の1つとして、教育分野に民兵組織やその関係者が入り込んでいることがあげられます。彼らは教育分野を指揮するための適性が低いため、非識字率が上がり続けていると言われています。

【生徒で溢れている教室】
141030_pic_iraq_20141030





【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

10月 30, 2014 政治、経済、治安 |

2014年9月25日 (木)

バグダッドの現状

 バグダッドのほとんどの人たちは現在、不安と緊張の中で生活しています。いつどこで、突然爆撃されたり検問されたりするか分からないからです。
 検問所は、他の宗派(スンニ派)を標的とする攻撃的な宗派の人たちから成っています。

 ほとんどのバグダッドのイラク人たちは危険にさらされた生活を送っていて、バグダッドの人口の25%以上の人たちは1月以降、もっと安全な場所である、たとえば北部のクルド人自治区(アルベルやスライマニア)やトルコなどに避難しています。また、多くのイラク人たちは、アメリカや他の国への再定住を求めて国連事務局に向かっています。

 その一方で、イラク第二の都市で北部に位置するモスルが武装組織によって陥落された後、7月には数千人規模の国内避難民たちが同じニーナワー県のタラーファからバグダッドにやってきたのを目にしました。

 大勢の若者たちが、バグダッドの西や北で政府軍の兵士として戦闘に参加しており、殺されることを恐れています。

 また、バグダッドの西に位置するアブグレイブ、南に位置するユーシフィヤ、北に位置するタルミヤやタジのような、小さな都市での生活はとても悲惨です。人々が無作為に逮捕され続けています。

 2013年の12月以来、戦闘が始まったファルージャやラマーディーでは、ほとんどの民間企業の活動は50%まで低下し、2014年の6月以降は(モスル陥落により)15%に低下し、あらゆる種類の民間企業は操業を停止しています。

 結果として、身代金を目的として裕福な人たちを誘拐する事件がこの2ヶ月で増加しているのです。   

Militia_in_iraq




【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

9月 25, 2014 国内避難民支援, 政治、経済、治安 |

2014年9月11日 (木)

イラクでポリオ感染を確認

 国連は、シリアの隣国であるイラクにおいて、14年ぶりに36件のポリオ感染が確認され、そのうち2件は首都バグダッドで確認されたと発表しました。
 国連は、中東で発生している神経系疾患を引き起こすポリオの感染が、今後拡大する恐れがあると警告しています。

 イラクの保健省は、WHOとUNICEFの支援を受けて、8月10日にポリオ予防接種キャンペーンを開始しました。今回のキャンペーンでは400万人以上の5歳以下のイラクの子どもたちを対象にしたポリオ予防接種を目指しています。

 しかし、イラクは武装勢力による紛争下に置かれており、このキャンペーンを実施するのは困難を極めます。
 現在イラクでは、多くの子どもたちが武装勢力の暴力からイラク内各地に逃れ、国内避難民になっています。キャンペーンでは、イラク国内で武装勢力との衝突が起きている地域や国内避難民、その避難民を受け入れているホストコミュニティの子どもたちにも予防接種を届けることを目標としています。UNICEFによれば、今年初めから発生している150万人以上の国内避難民のうち半数が子どもたちであるとも報告されており、ポリオ感染の拡大を抑えるために早急な対応が必要となっています。

 イラク保健省は、TVや幹線道路の看板などあらゆる手段で、予防接種の必要性、特に予防接種は1回だけでなく6回は接種が必要であるといった、接種に伴う情報を広くイラクの人々の周知しようと取り組んでいます。

140911_2

 イナス・アルナジャール




【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

9月 11, 2014 国内避難民支援, 政治、経済、治安 |

2014年8月14日 (木)

イラクにおける幼少期

1980年以降に幼少期を過ごしたイラクの子どもたちの約半数は、通常の幼少期とは異なる経験をしています。

 それ以前は、イラクの子どもたちも、両親の元で愛情を受けて育ち、小学校から大学まできちんと教育を受けることができていました。

 しかし1980年から1991年の間に生まれ育った子どもたちの多くは、父親のいない家庭で育ちました。それは、1980年から1988年まで続いたイラクイラン戦争によって、200万人以上の男性が命を落とし、また戦争に関わった多くのイラク人がイランで7年以上捕虜として生活することになり、多くの家庭が父親の存在を失ったからです。

 その間、イラクの多くの家庭では、父親の代わりに母親が家計を支えるために家を不在にする生活を余儀なくされました。子どもたちは父親だけでなく、母親も朝から夕方までいないという幼少期を過ごさなくてはなりませんでした。こうした子どもたちは、家庭の中での学びも得られず、学校にも通えず、その結果、きちんとした教育を受けられない失われた世代となりました。

1991年から2003年にかけて、イラクの子どもたちにとって、さらに悲しい時代が続きます。この時期、イラクでは経済制裁を受け
、唯一の稼ぎ頭である父親の収入が激減して家族を養えない状態となり、40%以上の子どもたちが初等教育の段階で学校をやめざるを得ない状況になりました。

 2003年以降現在に至るまで、イラクには約400万人以上の孤児たちがいます。こうした孤児の中には、父親がいない子どもばかりでなく、両親ともいない子どももいます。多くの孤児たちは何も学ぶこともできず、幹線道路で物乞いをして生きています。そこには、他国の子どもたちの幼少期とは全く異なる厳しい状況があります。

140814_pic



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

8月 14, 2014 政治、経済、治安 |

2014年7月31日 (木)

イラクにおける教育

 イラクでは1921年に教育システムがつくられました。1970年代前半には、教育は公共的なものと位置づけられ、小学校までが義務教育となり無料で提供されるようになりました。
 

 現在イラクでは、2つの省庁が教育システムを管轄しています。1つはイラク教育省(MOE)、もう1つは高等教育及び科学研究省(MOHSR)です。イラク教育省は、就学前教育、小学校、中学校、職業訓練を担当し、その他は高等教育及び科学研究省が担当しています。

 1970年~1984年は、イラクで教育分野が最も盛んな時期でした。この時期に、15歳~45歳の非識字者に対する対策がとられました。当時のイラクに住むこの年代の人々の識字率は10%という低い水準でした。イラク政府は、イラク全体の政府予算のうち20%にあたる予算を教育分野に割り当てました。これは生徒一人当たり平均620ドルという計算になります。

 しかし、1980年にイラン・イラク戦争がはじまり、1984年~1990年は政府予算の多くが公共サービスではなく軍事費に割かれることになりました。これによって必然的に、社会保障分野への予算が急速に減っていき、教育分野の予算も赤字となり何年にも渡って同じような状況が続き、またこうした状況に対応する戦略的な計画も立てられずにいました。
 

 1991年~2003年には、教育機関が衰退していきました。政府予算全体の8%程度の予算しか教育分野に割り当てられず、教育分野の全盛期であった生徒一人当たりの予算620ドルは、47ドルまでに落ち込みました。教師の給与も月額500~1000ドルであったのが、1994年~1999年には月額5ドルまでになってしまったのです。

 その後2003年以降から現在にかけて、教育分野の状況は少しずつ回復してきています。多くの学校がイラク教育省、国際機関やその他機関による支援で再建されました。また多くの私立大学、学校、中学校などがこの期間に設立されました。

 しかし、まだまだイラクにおける教育分野での支援ニーズは多くあります。JENもこの教育分野での支援を続けていきます。


140731


【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら

7月 31, 2014 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2014年6月16日 (月)

スタッフの無事を確認

支援者の皆様へ、

JENは、2003年より首都バグダッドを拠点に、緊急復興支援活動を実施しています。
治安の悪化を受け、周辺県を含む活動地域では、支援活動の手を止めることなく国の復興に貢献すべく、極めて慎重に事業を進めています。
また、現在スタッフは、実施中の復興支援活動に加え、緊急支援の可能性について、
調査を重ねています。発表できる調査の進展については、随時、ウエブサイトにて発表してゆきます。
現在、セキュリティ確保のため、これ以上の情報をお伝えできないことをお許しくださいませ。
JEN東京本部事務局
*****
2003年から行っているJENのイラクでの支援活動について、詳しくは、こちらを。
*****

6月 16, 2014 事務所、スタッフ, 政治、経済、治安 |

2014年1月16日 (木)

アンバール県の情勢悪化に伴い

 前回の支援速報でご紹介しました通り、JENは昨年末より新プロジェクトを開始しました。ところが年始早々、3県ある事業地の1つであるアンバール県の治安状況が急激に悪化しています。
 
 各メディアで報道されている通り、12月30日、イラク治安当局が政府に対する大規模な抗議デモの鎮圧を試みました。その後、国際テロ組織アルカイーダ系の武装組織が、アンバール県の中心都市であるラマディ市と近隣都市であるファッルージャ市の一部を掌握するなど、混乱が生じています。
 この状況の急劇な悪化に伴いスタッフの安全確保を第一に考え、アンバール県内での活動を一時停止し、スタッフの移動を制限することにしました。

 このアンバール県というのは、バグダッドの西にある最も面積の広い県で、住民の大多数がスンニ派です。シリアやサウジアラビアとの国境があり、国境の向こう側に同じ部族の出身者や親せきが住んでいることは珍しくありません。また、アンバール県民はフセイン政権の支持者が多いとして、2003年には米軍の爆撃を多く受けました。現在は、他県と比べ、公共サービスへのアクセスが悪く、失業率も高いです。常日頃から住民の政府への不満は多々あり、長きにわたってデモ集会が実施されてきました。現在起きている同県内での抗争により死者数は増加しており、多数の避難民が発生しています。

 このような事態は、2006-2008年の間におけるイラク中部および南部の状況に似ています。当時もJENはバグダッドに事務所を構えておりましたが、事業地へ移動する際に近くで爆弾が落ちる音を聞き、また幹線道路でのチェックポイントでイラク治安当局に車を止められることも少なくありませんでした。
 
 JENが活動をする地域全てが常に安全というわけではありません。しかし、そのような場所にこそ支援を必要とする子ども達がたくさんいるのです。だからこそ、活動を継続的に実施するためにも、常日頃からセキュリティ情報の取得を心掛け、安全面で少しでも懸念がある場合は携帯電話を使用し、テキストメッセージや電話連絡で全スタッフに情報共有することを徹底しています。また、スタッフ同士でも連絡をこまかくとり、デモ集会や市場など人で混雑している場所は避けるようにしています。今後も、安全確保を第一に考え、活動を継続していきます。

 JENイラクスタッフ一同、アンバール県の情勢が安定し、再び同県の学校に通う生徒たちへの教育支援を再開できる日が早く来ることを祈っています。

 バグダッド事務所長
 ファイーズ



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

1月 16, 2014 事務所、スタッフ, 政治、経済、治安 |

2013年10月10日 (木)

家族の心配、子どもたちの喜び

 イラクでは3か月続いた夏休みが終わり、9月24日に新学期を迎えました。幼稚園、小学校、中学校、高校に通う生徒たちは新学年が始まり、嬉しそうに登校していきました。大学や専門学校はその数週間後に始まりました。久し振りに友人に会った彼ら・彼女らが夏休みをどこでどう過ごしたかお互いに話しあう光景が多く見られました。

 前回のブログで紹介した通り、新学年がスタートする前に、生徒たちの家族はカバンやノートや文房具、服など新学年に必要な物を準備します。さらに家族はタクシーやスクールバスなど、子供たちが安全に学校に通うための交通手段も考えなければなりません。

 新学年初日に、生徒たちは教育省から無料で支給される教科書を受け取ります。低学年の生徒たちにはやはり教育省からノートも配布されます。学校によっては、慈善団体から文房具を支給されるところもあります。生徒たちは初日から授業を受け、宿題も出されます。

 どの生徒の家族も子供たちがテロ攻撃の犠牲になることを恐れています。テロ攻撃はますます広がり、激しくなっており、特に最近は週に何百人もの人々が犠牲になっています。治安の悪化は生徒たちの学校への出席状況に影響を与え、子供たちの顔に恐怖の色を広げています。

 この事態を受け、いくつかの小学校では、数年前から生徒たちの両親を学校に呼んで教師と話し合う保護者面談というものを始めました。保護者たちは子供たちが良い教育を受けられるよう、また安全に学校に通い続けることができるよう、最大限のサポートをできるよう頑張っています。

【教室の生徒たち】
131010_dsc00426_2


【新学期が始まり嬉しそうな生徒たち】
131010_schoolgirls_2


【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

10月 10, 2013 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2013年8月15日 (木)

イラクの子どもたちのために、そしてイラクの平和のために


 1か月続いたラマダーンが終わり、私たちはイド・アル=フィトゥルという断食の終了を祝う祭りの日を8月10日に迎えました。
 この日は、全世界のイスラム教徒がお祝いをする、とても素晴らしい1日のはずなのですが、同じ日に、首都バグダッドとその周辺のシーア派のイスラム教徒が多く住む地域で爆弾テロや銃撃などがあり、数十名が亡くなりました。ニュースなどから得た情報によると、今年のラマダーン期間中は、イラク全土での爆弾テロや銃撃などのテロ行為による死者が1000人を超え、2008年以来最も危険な状況となってしまいました。7月下旬には、バグダッド近郊の刑務所が襲撃にあい、500名以上の囚人が逃げ出すという事件もありました。
 
イラクでは、なかなか平和への道を進むことが出来ないのが、とても残念であり、悲しくもあります。


 みなさん、1970年代、80年代前半におけるイラクの教育システムは、中東地域諸国の中でも優れたものであったことはご存知ですか。学校の建物も教育カリキュラムも申し分ありませんでした。しかしその後の湾岸戦争、イラク戦争などの紛争、そしてイラクに課せられた長年の経済制裁により、国内の経済・社会基盤は破壊され、もちろん教育の分野にも多大なる影響が出ました。
 イラク戦争が終了した後の2003年以降も、政府による教育分野での復興はなかなか成し遂げられず、破壊された建物はそのままで、増加する生徒に対して新しい教室を建てる資金もなく、1970年代のイラクの教育レベルに戻ることは、夢のまた夢でした。


 それでも、イラク社会の回復と復興のためにも、そして暴力のない平和な社会を築くためにも、イラクの未来を担う子どもたちに健全に学べるスペースを用意することはとても重要です。だからこそ、どのような困難な状況の中でも、JENがイラクの小中学校において、建物や設備の修復をし、教育環境の整備や生徒への衛生促進のサポートを行ってきたことは意義があると感じています。

 JENは、現在進めているプロジェクトで最後となる女子中学校の修復工事をすすめています。この学校はバグダッドの南に位置するバビル州にあります。先週、老朽化していたトイレの壁や洗面所のタイルを除去し、また、新しい水道管や水タンクを設置することができました。この学校では、すでに衛生教育が行われているので、学校の設備の修復工事が完了し、女子生徒たちが授業で学んだことを実践できる日がくるのを楽しみにしております。

 まだまだ修復が急務となっている学校はイラク中にありますが、一つずつ丁寧に、子どもたちの学習環境を改善していきたいと思っています。

130815_6




【女子中学校の生徒たち】
130815_3

【学校内の壁に貼られた衛生促進ポスター】
130815_4

【衛生教育を受ける生徒たち】
130815_5



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

8月 15, 2013 学校建設・修復, 政治、経済、治安, 衛生教育 |

2013年5月 9日 (木)

イラク全国一斉地方議会選挙

 イラクの地方議会選挙が2013年4月20日に行われ、2009年の選挙で選出された地方議会に代わり、新たな地方議員が選出されました。

 独自の地方選挙を予定するクルド自治区の3県に加えて、アンバル県、ニネワ県、キルクーク県が治安上の理由から投票を6月まで見送ったため、投票は18県中の12県で行われました。

 選挙活動は選挙の45日前より開始されました。265の政治組織、50の連立政党から立候補した8100人の候補者により交差点や人混みの中でチラシが配布され、それぞれのロゴや候補者のポスターが街中に貼り出されました。また、電光掲示板では政治改革を訴えるメッセージが流され、街頭での選挙演説が行われました。

 選挙管理委員会は、今回、選挙活動の監視チームを設け、適正な活動の監視を行うとともに、違反行為には罰金を課す方向でのぞみました。

 議会選挙の実施に際し、多くのイラク国民が日常生活において様々な圧力にさらされました。バグダットではいたるところに数多くの検問所が設置され、治安警備の厳格化や道路渋滞が更に悪化したことにより、10キロ程度の移動にも1時半以上の時間がかかることになりました。それにもかかわらず、選挙前の4月15日には50名が死亡し300名が負傷するという自爆攻撃も発生してしまいました。

 そんな状況下にもかかわらず、投票率は50%を維持し、選挙管理委員会は、選挙の一週間前に行われた軍関係者を含めた全体の投票率は51%を超えると発表しました。

 今回の議会選挙では、投票が行われた12県の内、過半数の7県でイスラム教シーア派のマリキ首相率いる政党が勝利し、政治図が大きく塗り替えられました。

【4月13日に、20日の選挙日に先駆けて行われた軍関係者による投票の様子】
130509_3

130509_6

 JEN エンジニア ヤシン&ハムーディー

5月 9, 2013 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2012年2月16日 (木)

アンマンで行われたサッカー五輪予選(日本×シリア)

 2月5日、サッカーU-23日本代表、ロンドン五輪予選の試合がここヨルダンの首都アンマンで行われました。対戦相手はシリア代表です。

 試合には、多くのヨルダン在住日本人が応援に駆けつけました。試合は、残念ながら、試合終了直前シリアの選手に2点目を入れられ、2-1で負けてしまいした。シリアの代表選手たちの気迫がとても印象的でした。
120216

 現在、混乱するシリア情勢を懸念して試合会場には多くの警備員が動員されていましたが、試合終了後も特に混乱も無く無事に終わりました。
120216_2

 今回のシリア代表の勝利は、暗い話題が続くシリアにとって久しぶりの明るいニュースになったのではないでしょうか。

 JENヨルダン事務所では、イラクにおける学校修復、衛生促進事業に取り組んでいますが、シリア情勢についても現在情報収集を行っています。

2月 16, 2012 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2012年1月 5日 (木)

イラク戦争は終わったの?

 イラクに駐留していたアメリカ軍が2011年12月18日を持って、治安訓練部隊を残して、撤退したという報道がされました。そして、アメリカのオバマ大統領は「9年に及ぶイラク戦争が終わった」と終結宣言を行いました。

 でも、本当にイラクで戦争は終わったのでしょうか・・・?

 イラク人のスタッフに「オバマ大統領のイラク戦争の終結宣言、どう思った?」と、聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

「オバマ大統領はどこの国の大統領だと思う?アメリカだよ。
終結宣言はアメリカ国民に向けて言ったことで、イラク国民に向けてじゃない。今、イラクでは新しい戦争が起きている。いろんな宗派の対立、政治的な対立、いつ終わるか分からない戦いがずっと続いているんだよ」

 ここ数年少しずつ治安が改善してきていると言われているイラク。
けれども毎日のようにテロのニュースが流れ、イラク住む人々は今でもテロの恐怖と闘っています。

 イラクの人々が本当に安心して平和に暮らせる日が来るまで、ジェンは支援を続けていきます。

1月 5, 2012 事務所、スタッフ, 政治、経済、治安 |

2011年9月 8日 (木)

9.11から10年:イラクからの視点

 2001年9月11日に米同時多発テロが起きた当時、イラクの人々は何を思い、そして今何を感じているのか、バグダッド事務所長に話を聞きました。

「2001年9月11日、ニュースから流れる映像を見て衝撃を受けました。世界で最も強い国であるアメリカの、最も重要な建物の一つである世界貿易センターが攻撃されていたからです。

 私たちイラクの市民は、この同時多発テロが、のちに自分たちの国で起こるイラク戦争につながるとは、夢にも思っていませんでした。イラクの人々は、同時多発テロはアメリカとテロリストの間で起きたことで、イラクとは無関係であると考えていました。

 当時のアメリカの主張を、私たちは理解できませんでした。なぜなら、イラクの政府はテロ組織を嫌っていたからです。

 2003年からイラク戦争が始まり、イラクはアメリカ軍とテロリストたちとの戦いの場となりました。多くの一般市民が自分の国が破壊されていくのを目のあたりにし、特にバグダッドは壊滅状態となりました。

 私たちはこう言います。『壊された2つのタワーは1年で回復できるかもしれない。でもイラクは国全体が破壊されてしまった。破壊されてしまった国の復興には何十年もかかるだろう』と。

 今、イラクでは宗教間、民族間で多くの争いが生まれています。破壊と貧困がもたらしたこの状態が長く続けば、国がバラバラになってしまうでしょう」

====== ご報告 =============

平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。

これまで、JENの活動を温かくご支援くださいました、
支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
詳しくは、こちら

========================

9月 8, 2011 事務所、スタッフ, 政治、経済、治安 |

2009年2月12日 (木)

イラクの復興を願い1票!

090212__low  2009年1月30~31日、イラク18州のうち14州にて州議会選挙が行われました。投票率は51%とマリキ首相の予想(70~80%)を大幅に下回るものにはなりましたが、大きな混乱もなく無事に終了しました。イラク国外にいる難民や国内避難民(IDP)の選挙権が認められなかったことや、投票権を持つ全人口が完全に登録されていなかった地域があったりなど、投票率の低さの原因が伝えられています。

 前回の2005年の初選挙は、連合軍主導の選挙でした。当時、他国のイラクへの介入を「不当」としてスンニ派は投票をボイコットしました。しかし、その後の3年半に起こった派閥の不均衡による治安悪化や政権内での影響力低下を受けて、その大多数が今回の選挙に参加しました。

 老いたイラク人のおばあちゃんが“イラクの未来を自分の手で作る”ために、遠くから徒歩で投票所へと向かうニュースなどを見たことがあります。その時、やはりこの選挙はイラクの人々にとって大切な、大切な復興のプロセスであるのだなあと感じました。090212__low_2

 選挙結果の発表は最短でも1ヶ月後。当選する候補者も、そうでない者も選挙の結果を受け止め、国民のための政治がおこなわれることを切に願います。

(写真:投票を呼びかける新聞広告)

2月 12, 2009 政治、経済、治安 |

2009年1月15日 (木)

パレスチナの隣国、ヨルダンで感じること

 イスラエルによるガザへの空爆により、11月7日現在で683人のパレスチナ人が亡くなりました。そして、ハマスによるイスラエルへのミサイル攻撃によって、10人のイスラエル人が亡くなりました。

 ここヨルダンには、多くのパレスチナ難民が居住しています。そのためか、日本では見られないような、銃撃後の死体などを赤裸々に映す過激な報道もあります。

 この問題は、半世紀以上も続いています。報復の連鎖は、一般市民に深い悲しみを生んでしまいます。広く世界を見渡せば、異なる民族が共生している国が多く存在しています。

 地球上に住む人びとが求めているのは、’土地(PIECE of land)’ではなく、’平和(PEACE)’であると、願っています。

1月 15, 2009 政治、経済、治安 |

2007年2月 1日 (木)

治安悪化がもたらす混乱のなかで

070201  イラクに関する報道では、大規模な爆破テロが注目されがちですが、市民の生活を脅かしているのは爆弾だけではありません。現在の混乱状況を利用して犯罪グループが暗躍しています。

 あるバグダッド市民が誘拐された時の話です。

 親戚が誘拐犯と交渉し、高額な身代金を半分以下に減額させたのですが、加えて10%の「チップ」を支払わされたとのこと。何に対するチップかといえば、殺さずに解放することへの「お礼」。実際、身代金を渡しても殺害されるケースが多いのです。また、略奪も組織的に行われており、狙われた家の家具、電化製品等はあっという間に持ち去られてしまうそうです。

 殺害や拉致のターゲットとなる市民は、民兵や犯罪グループから脅迫状を受取ります。手のひらサイズの紙が1枚、ドアの隙間から差し込まれただけで、それまで一生懸命働いて築いた生活を捨てなければならないのです。より安全な地を求め、海外に逃れたり、国内で避難をするイラク市民は増える一方です。

2月 1, 2007 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2006年8月31日 (木)

テロリストからの手紙

3_2 バグダッド市内では、テロリストが撒いたというちらしの話でもちきりです。

ちらしには、「女性はヒジャブ(ベール)をかぶらなければ殺す、ズボンははいてはならない」と書いてあり、イスラム教徒ではない、キリスト教徒の女性たちも宗教的には必要ないのですが、ヒジャムをかぶっています。このちらしをテロリストが撒いたようで、その話でもちきりです。キリスト教徒の女友だちですらヒジャブを身にまとっています。

このちらしが撒かれた後も、短パンをはいたいた男性人は、テロリストに殺害されました。「テロリストの法」によれば罪となる行為を罰せられて。

 バグダッドは民兵、テロリストのコントロール下にあり、彼らの身勝手な指示に人々は従うしかありません、そうしなければ殺されます。けれどもこのような危険な状況下でも、人々は仕事に出かけます。なぜなら、人生は続いていて、生きていくためには働かなければならないのですから。

★募金のご協力のお願い
郵振振替⇒こちら
銀行、ジャパンネットバンクからのご寄付は⇒こちら 
クレジットカードでのご寄付は⇒こちら

アサヒコム「国際支援の現場から」好評連載中!

8月 31, 2006 政治、経済、治安 |

2006年7月20日 (木)

爆発音の正体

I2  イラクでは日々爆破テロが発生し、昨年11月にはヨルダンでも爆破テロが発生しました。アンマン事務所の仕事の一つに、治安情報の収集があります。そのせいか、爆発音に対して異常に敏感になっています。

 アンマンでは夜、バンバーンという音にハッとするのですが、バグダッドのようにテロが頻発しているわけではありません。爆発音の正体は打上げ花火なのです。凝った模様の大量の花火が空を彩る日本の花火大会のようには豪華ではないものの、これ程しばしば打上げ花火を見ることができる場所はあまりないのではないでしょうか。

 毎晩東京ディズニーランドの花火を目にする浦安市民になったような気分になり、仕事の手を一時休めてオフィスの窓からきらびやかな夜空を眺めつつ、イラクの子どもたちにもこの美しい爆発音を楽しむことができる日が早く来るようにと願わずにはいられません。

★募金のご協力のお願い
郵振振替⇒こちら
銀行、ジャパンネットバンクからのご寄付は⇒こちら 
クレジットカードでのご寄付は⇒こちら

アサヒコム「国際支援の現場から」好評連載中!

7月 20, 2006 政治、経済、治安, 文化、生活、習慣 |

2006年6月22日 (木)

死と隣り合わせの日々

1_26 バグダッドで交わされるのはテロの話ばかり。

いつでもどこでも、家の中にいてさえも死が隣にあるのです。家族の安全が常に気がかりで、家族が外出して帰りが数分遅れただけで心配になり、無事を確認するために携帯電話に連絡してしまいます。

大人だけでなく、子どもたちの多くも携帯電話を持っており、何かあったらすぐに家族と連絡が取れるようにしています。

徒歩通学の子どもたちもいますが、家族が車で送り迎えをしたり、乗合タクシーを1ヶ月で契約している人たちもいます。学期中、毎日開校はしているものの、毎朝親がニュースなどから得られる治安情報をもとに、子どもたちを学校へ行かせるかどうかを判断します。このことは先生も理解しています。

人の多く集まる市場は、爆弾テロのターゲットになっているので、多くの人は、市内の大きな中央市場にはできる限り近寄らず、近所の小さな雑貨屋で買いものを済ませるようにしています。

危険と隣合せのの毎日ですが、人々は買い物にでかけ、子どもたちは通学し・・・、そこには人々の暮らしがあるのです。

★募金のご協力のお願い
郵振振替⇒こちら
銀行、ジャパンネットバンクからのご寄付は⇒こちら 
クレジットカードでのご寄付は⇒こちら

アサヒコム「国際支援の現場から」好評連載中!

6月 22, 2006 政治、経済、治安 |

2006年5月11日 (木)

セキュリティ研修

14  先日、アンマンで国際移住機関イラクミッション(IOM-IRAQ)主催のセキュリティ研修が実施されました。コース内容は、前半2日間の集中講義で誘拐事件への対応方法や地雷、無線等の知識について叩き込まれ、後半2日間は砂漠で襲撃されたり、監禁されたことを想定した実地訓練です。2_5

 訓練では着色弾で受講者の運転する車両が襲撃されたり、道路脇に爆発物が仕掛けてあったり、訓練用に設置された検問所で武装したスタッフに脅迫を受けたりします。訓練だと頭で分かっていても、やはり長時間緊張した状態で受ける訓練はなかなかハードです。

 もちろん、この研修を受けても身の安全が保証されるわけではありません。しかし、有事の対応方法への理解を深めることで、自分や同僚の身が危険に晒されるリスクを減少させることはできます。今後もこうした研修を通じて、情勢が不安定な地域での勤務に備えていきます。

アサヒコム「国際支援の現場から」好評連載中!

★募金のご協力のお願い
郵振振替⇒こちら
銀行、ジャパンネットバンクからのご寄付は⇒こちら 
クレジットカードでのご寄付は⇒こちら

5月 11, 2006 政治、経済、治安 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 9日 (木)

宗派衝突

12  連日ニュースや新聞で報道されているように、現在イラクではシーア派とスンニ派による宗派衝突が激化し、イラク全土で爆弾テロが発生しています。宗派衝突により多くの人々の命が失われています。
 バグダッド市内では、車両での移動、夜間だけでなく日中の外出禁止令が出される日もあり、JENの活動にもかなり影響が出ています。

 イラクは総選挙が終わり、新しい国作りがはじまったばかりです。平和への道のりは困難ではありますが、JENはイラクの人々をこれからも応援していきたいと思います。

 スタッフの安全を第一に考え、治安情報には最新の注意を払いながら、可能な限り教育支援活動を続けていきます。

 これからも、皆さまのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

3月 9, 2006 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2006年1月19日 (木)

バグダッド事務所からのメッセージ

P2010013_thumb  最近、日本ではイラク情勢に関する報道が少なくなり、実際にイラクで生活する人々の『声』を聞く機会も非常に限られているのではないでしょうか。そこで昨年12月に実施された国民議会選挙をイラクの人々がどのように捉えているかについて、バグダッド事務所のイラク人の同僚に聞きました。

~バグダッド事務所スタッフ(プログラム・アシスタント)からのメッセージ~

 『昨年の12月15日に国民議会選挙が行われました。多くの人々が、選挙が『平穏な日常生活』と『民主主義』をもたらしてくれるだろうという想いを胸に、投票所へ行きました。投票所へ行くこと自体が危険であるにもかかわらず、7割という投票率の高さは、イラクの人々のこの選挙への期待の高さを表しています。

 現在も多くの罪のない市民が爆破テロにより犠牲になっていますが、多くの国民が投票へ行き、直接政治に参加することにより、イラクに再び平和が訪れ、人々が安心して暮らせる日が来ると信じています。しかし、その道は決して平坦ではなく、長く時間がかかることもイラクの人々は知っています。

 民族、宗派を超え、イラクの人々の手による、本当の意味での『イラク』という国を再建していきたいのです。12月15日の選挙は、その第一歩となりました。日本の皆さん、これからも私たちの国作りを応援してください。』

アサヒコム「国際支援の現場から」 好評連載中!

1月 19, 2006 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2005年12月28日 (水)

平和な年を

2  イラクでは、12月15日にイラク新憲法に基づく国民議会選挙が厳戒態勢の下行われました。今回の選挙には、1月の選挙をボイコットしたスンニ派も参加し、国民の約7割が投票しました。また、多くのイラク人が住むヨルダンでも、アンマンを中心に12ヶ所の学校が投票所として使用され、12月13日からの3日間、在外選挙が実施されました。今後、開票結果を受けてイラク戦争後初の正式政権が発足する予定です。

1  一方、バグダッド市内では、ユニセフとの協力との下進められている学校修復事業に加え、11月末よりジャパン・プラットフォームとの協力の下、14校の小・中学校の修復が新たに開始される予定です。この事業の実施により、約9,700名の子どもたちがより良い環境の下で勉強することができるようになります。

 2006年がイラクの人々にとって平和を実感できる年となるよう心から願うとともに、イラクチームのスタッフが一丸となって質の高い事業を実施していきます。

 2006年も皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

アサヒコム「国際支援の現場から」 好評連載中!

12月 28, 2005 学校建設・修復, 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2005年11月24日 (木)

アンマン爆破テロ

iraq  11月9日午後9時頃(現地時間)、アンマン市内の3ヶ所のホテルで連続爆破テロ事件が起き、57名の方々が犠牲になりました。被害にあったのはGrand Hyatt、Radisson SAS、Days Innの3ヶ所の欧米系ホテルで、いずれも多くの外国人が観光やビジネスで利用する所です。JENアンマン事務所は、事件発生後すぐにローカルスタッフと連絡をとり、全員の無事を確認するとともに、本部事務局への報告や事件に関する情報収集・分析を行いました。

 事件発生直後の市内は、救急車やパトカーのサイレンが間断無く鳴り響き、騒然とした状態がしばらく続きました。また、今回の残酷なテロ事件に対する抗議デモが国内各地で実施されています。アンマン市内は徐々に平静を取り戻しつつありますが、多くの警察官が市内のいたる所で警備にあたっている上、ホテルや銀行、大型スーパーといった施設も入口でのセキュリティ・チェックを導入する等、警戒を強めています。

 JENアンマン事務所は、今後もスタッフの安全に細心の注意を払いながら、引き続きバグダッド事務所とともにイラク事業を実施していきます。

 今回の事件で亡くなられた方々のご冥福を衷心よりお祈りいたします。

アサヒコム「国際支援の現場から」 好評連載中!

11月 24, 2005 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2004年4月 9日 (金)

イラクにおけるJENの活動について

 JENは2003年8月からユニセフと協働し、学校を修復しながら、地域の復興に努めてまいりました。現在は、ジャパン・プラットフォームの協力により、バグダッド市内で10校の小学校修復事業を実施しており、活動はバグダッド事務所長(フランス国籍)と15名の現地スタッフによって進められております。これらの国際スタッフ及び現地スタッフは全員無事です。昨今のイラク国内の治安悪化の中、治安に関する情報収集は毎日行っており、十分に安全に配慮したうえで活動を継続しております。修復事業は順調に進んでおり、5月末には完了を予定しております。

 活動地であるバグダッド及びイラク国内には、JENの邦人スタッフはおりません。これは外務省による退避勧告を受けるものであり、今後も治安がある程度回復しない限り、邦人スタッフが現地入りする予定はございません。今後もユニセフとの協力によってさらにバグダッド市内での学校修復事業を実施する予定でおりますが、治安状況によっては国際スタッフの退避と事業の一時停止も視野に入れて活動を継続いたします。

4月 9, 2004 政治、経済、治安 | | コメント (0)

イラク・バグダッドにおける邦人3名の拘束に関して

 4月8日に発生した民間の邦人3名の拘束に関し、一般市民が巻き込まれたことは、一人一人の命の尊さを思うと憤激に耐えません。ご家族の方々のご心労を思い、3名の方々のご無事と、一刻も早い解放を、心より願っております。

  こうしたことが起きた背景を鑑みると、もとをただせば、大量破壊兵器の存在が確認されないままに起こされた戦争に、日本が参加してしまったことにあると考えます。同地に派遣された航空自衛隊が米兵を輸送しているとのことですが、戦闘とは無関係に見えるこの行為も、武器を携帯した米兵を輸送し、その米兵がモスクをも破壊していることに対する同地の人々の憤りを、国際社会が十分に理解していない現実もあると考えます。

4月 9, 2004 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2003年12月 1日 (月)

日本人外交官と大使館運転手の殺害に関して

 この度、外務省のお二人と在イラク日本大使館運転手の訃報に接し、衷心から哀悼の意を表し、ご遺族のみなさまには心からお悔やみ申し上げます。

 JENは、本年4月から調査を開始し、8月よりバグダッドを拠点として事業を実施しており、亡くなられた井ノ上書記官とも交流がございました。特に奥参事官には、ご自身ご多忙な毎日にもかかわらず、親身になって治安関連情報を共有していただき、アドバイスを頂いておりました。JENが同地で行っている事業は、奥参事官もその必要性を強調されていた学校修復であり、私たちは力をあわせてイラクの復興に尽くしたいと考えていた矢先の出来事でした。JENはこれからも、奥参事官のご遺志も継いで、イラクの復興のためにできる限りの支援をしてゆく所存です。お二人のご冥福をお祈り申し上げます。

 JENイラク駐在スタッフは、国際スタッフ・現地スタッフとも全員無事です。ただし、彼らの安全のために所在等は明らかに出来ません。小学校修復などの事業は継続しておりますが、国際スタッフは隣国ヨルダンのアンマンに退避して、同地からの業務遂行になります。

12月 1, 2003 政治、経済、治安 | | コメント (0)

2003年8月21日 (木)

国連ビル爆破事件

 バグダッドの国連本部で8月19日(火)に起きた爆破で、多くの方が亡くなりました。亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともにご遺族の方々に、心よりのお悔やみを申し上げます。

 国連ビルは、インターネットが利用できるため、JENスタッフも含め多くのNGOが出入りをする場所でした。幸いJENスタッフは、全員無事でしたが、学校修復を協力して行っている、ユニセフの直接の担当者も亡くなり、スタッフ一同、悲しい思いで一杯です。

 バグダッド市内では、銃を構えた米軍の戦車や装甲車がパトロールを行っているのを日々見かけますが、決して治安が良くなっているとはいえない状況です。そのような中で活動している国連やNGOがターゲットとなった今回の事件では、私達のような外国人だけでなく、イラク人の方々も亡くなり、負傷されました。

 今のイラクは、日中の気温も50度になり、ただ生活してゆくのも大変な状況です。必需品の天井扇風機も停電で動かず、断水も多く、断水していなくても暑さでお湯が出る状態です。人々が少しでも早く復興を実感できることが、治安の回復にもつながるといわれています。

 今回の大惨事にも拘らず、国連と多くのNGOが活動の継続を表明しています。JENも、十分に治安情報を集め、分析し、事故なく活動が続けられるようなら、イラクの人々のおかれている状況が少しでも、改善するように支援を続けていくつもりです。

8月 21, 2003 政治、経済、治安 | | コメント (0)