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2017年10月26日 (木)

クルド人自治区での活動と今後

 JENが武装勢力から逃れた国内避難民や帰還民への支援活動を開始してから、3年が経ちました。現在はアクレ市にあるマミリアン避難民キャンプ、シンジャール地区、ズマール地区、モスル市で支援活動を行っています。

<マミリアン避難民キャンプ>

 2014年のキャンプ開設当初から、JENは水衛生分野の支援活動を行う国際NGOとして中心的な役割を担ってきました。活動では主に、敷地内に設置されているトイレの維持管理、上下水道の整備と給水を行っています。

 また、水衛生環境をより良く保つために、石鹸や洗剤からなるキットの配布を行っています。人びとに水因性疾患の危険性を周知し、手洗いや健康維持のための個々の衛生意識の向上を目指し、衛生促進活動を行っています。

 このキャンプには、設立当初からイスラム教徒とシンジャール地区から逃れてきたシャバック人やヤジディ教徒、併せて約2,500世帯が暮らしていました。2016年以降、武装勢力の動きをメディアの情報から得て、安全になった故郷へ帰還する人が増えたため、キャンプの居住者は徐々に減っています。とは言え、いまだ帰還を果たせていない人がいます。彼らが安心して故郷に戻る日が来るまで、今後も可能な限り、水衛生の環境整備をしていきます。

【マミリアン避難民キャンプから故郷へ帰還する家族】
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<西モスルでの給水活動>

 モスルがイラクの政府軍によって武装勢力から解放された後、JENは西モスルで給水活動を始め、毎日約80万リットルの水を約8万人に提供しています。

【給水活動は、住民の協力を得て行っています】
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<シンジャール市・山の井戸修復>

 JENは2014年後半、シリアとの国境に近いシンジャール山に逃れた国内避難民への支援活動を始めました。当時は主に南側のシンジャール市で、武装勢力から逃れた人びとに水と生活物資を提供していました。

 同市が2015年に武装勢力から解放された直後、シンジャール市にはわずかの人しか残っていませんでしたが、現在は安全な地域に避難していた多くの人が帰還しています。JENは現在給水設備の修復を行っています。

 現在、シンジャール市内の井戸を修復していますが、次はこれに加え、帰還した子どもたちが安心して学業を再開できるように、市内の学校を修復する予定です。

【JENが設置した水タンク(シンジャール山)】
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<ズマール地区>
 ズマール地区では、95%の家族が村に帰還しています。ここでの戦闘は短期間でしたが、人びとの生活再建に必要な家、水道、学校などのインフラは破壊され、壊滅的な状態です。この地区の主要な水源は、つい最近まで武装勢力が占拠していた地域にあるため、修復は慎重に、完了するにはまだ時間がかかります。そのため、JENは12月中旬まで給水活動を続け、その間に水管理局と共に他の解決策を検討する予定です。

【修復した給水施設の定期点検も重要です】
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10月 26, 2017 学校建設・修復水衛生環境改善衛生教育国内避難民支援 |

2017年10月23日 (月)

お知らせ : キルクークの状況について

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 JENは、イラク中央政府が管轄する首都バグダッドとその周辺および、イラク北部のクルド自治区内で活動しています。いずれの活動も、その対象は武装勢力による攻撃から逃れた人びとや、そうした人びとを受け入れている地域で暮らす一般市民です。

▼イラクでの活動について、くわしくはこちらから。

 現在、イラク中央政府とクルド自治政府との間で緊張が高まっています。クルド自治政府による独立を求める住民投票後、両者間で小さな衝突が繰り返される中、10月に入りキルクークでは、10万人ともいわれる市民が安全を求め一時的に避難する状態に発展しています。2015年からJENが活動するイラク北部の避難民キャンプには、キルクークからの避難民が到着してきています。クルド自治州では日本国籍保有者を含む外国人のクルド自治州への渡航に制限がかかっています。この状況は、もうすぐひと月になります。

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▼キルクークという地域の特徴について、くわしくはこちらから。

▼キルクークでの教育支援活動について、くわしくはこちらから。

▼JENの国内避難民、避難民キャンプでの活動について、くわしくはこちらから。

 現在、トルコと北部クルド自治州との国境は閉鎖されています。また、治安上、イラク国内を陸路で移動することはできません。日本から派遣している駐在スタッフは現在、赴任地のドホークから退避し、隣国ヨルダンから遠隔(リモート)で業務をおこなっています。イラクの現地スタッフは、安全確保を最優先し、通常の支援活動を滞りなく進めています。

 日々刻一刻と状況が変化する中、情勢も複雑化するイラクですが、JENは今後も必要な支援を届けていきます。

イラクでの緊急支援に対し、皆様のご支援を何卒よろしくお願いします。

JEN事務局長 黒木明日丘

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(写真:北部の避難民キャンプ)

10月 23, 2017 政治、経済、治安 |

2017年10月19日 (木)

イラクの教育システム(1)

 イラクの学校教育は1921年に始まり、1970年代前半に全ての公立学校が無料化され、誰でも学校教育を受けることができるようになりました。

 1970年に制定された憲法では、初等教育を義務教育とし大学までの全ての教育課程を無料化し、教育を受ける権利を保障することが定められています。

 また、1978年には15歳から45歳までの人を対象に、非識字率を改善するための総合的なキャンペーンを行い、1978年当時48%であった非識字率が1987年には9・19%まで低下しました。

 ユネスコの報告によると、湾岸戦争が勃発した1991年以前のイラクの教育システムは、近隣の地域では最も優れたものでした。
 しかし、第2次湾岸戦争後の教育システムの悪化と13年間続いた経済封鎖の負担は、教育の質の悪化だけでなく、識字率を徐々に低下させ、国民の経済状態の悪化による学校中退率の増加を招きました。

(続く)

【衛生教育の様子】
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【歯磨き講習会】
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10月 19, 2017 学校建設・修復文化、生活、習慣衛生教育 |

2017年10月 2日 (月)

モスルでの給水活動、始まりました

武装勢力から開放されたニネワ県西モスルで 帰還する人々の暮らしを支えるため、給水活動を10月1日から開始しました。

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最新のニュースレターで、イラクでの活動を詳しくご紹介しています。 ぜひこちらからご覧ください。

   

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(西モスルの街並み)

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  3年もの間、武装勢力に制圧されていた、モスル。

2016年10月以降、イラク政府によるモスル解放作戦がスタートし、2017年7月、モスルはついに武装勢力から解放されたのです。そして今、モスル戻る人たち(帰還民)が大量に押し寄せています。

モスル西側に戻ろうとする人びとの姿、壊された橋や、建物...。悲惨な街の様子をJENの国際スタッフが撮影してきました。 JENはモスル西側で、緊急支援活動を開始します。



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10月 2, 2017 水衛生環境改善国内避難民支援緊急支援 |