武装勢力から解放された後の村で
写真が見せているのは、ニネワ平原にあり、モスル市の近くにある村の入り口です。
この村の中ではスンニ派とシーア派の二つの宗派が共に暮らしており、両派ともにイスラム教徒ですが、信念や教義に違いがあります。
2014年に武装勢力が村に侵攻した際、一方の宗派は村から逃げましたが、他方は村に残りました。村に残った宗派の人びとは、自分たちと武装勢力は信仰が同じだと考えていましたが、武装勢力は同宗派を信仰しているふりをしていたのでした。
イラク軍により村が武装勢力から解放された後、JENはUNICEFと協同し、いくつかの事業を開始しました。そのうちの一つが、村のボランティアが他の村人へ伝える衛生促進活動です。
JENのスタッフと衛生促進活動ボランティアは、両方の宗派の人びとに活動に参加してもらうことの難しさから、時折困難に直面しました。
活動当初、両派は何も問題はなく共に平和に暮らしていると話しており、実際そのように見受けられました。村のリーダーは、武装勢力からの解放後、村が平和にそして自由になり、新しい生活を始められたことをとても嬉しく思っていました。
しかし、JENが事業を開始し、ボランティアや村人たちがJENのスタッフに信頼を寄せ始めた時、ボランティアたちは村内での陰口や偏見についてスタッフに明かすようになりました。
二つの宗派の人びとは隣人同士ですが、衛生促進活動やイベントの際にお互いの家を行き来きすることはありませんでした。
村で少数派である宗派の人びとは、多数派の人びとが武装勢力を支援したと信じていました。なぜなら、武装勢力の侵攻の時、多数派は村から逃げ出さなかったからです。
この少数派グループは民兵組織を結成し、この村を統制しています。そのため、多数派であっても、少数派グループに衛生促進セッションや活動への参加を促すことはできません。
JENは人道支援団体として、お互いの宗派への偏見を助長しないように、村の両宗派グループの子どもたちが一緒に過ごす機会を設けることにしました。
JENのスタッフは8月28日に節水に関する衛生促進イベントを企画し、125人以上の子どもたちを緑鮮やかなきれいな広場に集めました。
両宗派から参加した子どもたちは楽しいゲームやアクティビティに参加し、JENとUNICEFが準備したお菓子やプレゼントをもらいました。イベントが終了した後、子どもたちはお互いの手と手を取り合って帰っていきました。
最も嬉しかったのは、翌日その子どもたちがまたイベントをやっているかもと期待して、一緒に広場にやってきたことでした。彼らにはお互いの親たちが持っているような考えはなく、親が家で何を話そうと、どう考えていようと、気にしていませんでした。
このことは私たちスタッフに、二つの宗派のグループがいつかお互いの違いを乗り越え、仲よく暮らせる日がくるのではないかという希望を与えてくれました。
【衛生イベントを行う衛生促進ボランティア】
シェルワン・ミールハジ・ムハンマド
▼郵便振替の場合は↓
口座番号:00170-2-538657
口座名: JEN
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