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2016年8月18日 (木)

キャパシティ・ビルディング

 JENは、世界中の人びとが自立できること、すなわち自分たちの抱える問題を自力で見極め、対処し、解決する力を持つことができるようになることを目指しています。

 事業の実施はその1つの方法ですが、同時に、携わる現地スタッフの能力向上(キャパシティ・ビルティング)を通して、彼らが自分たち自身で自分の国の状況を改善できるリーダーとなれるよう願っています。

 JENがクルド人自治区に事務所を開いてから1年8か月の間、私たちは現地スタッフのよい変化と成長を見てきました。

 その1つは、地域の人びとに対する現地スタッフの姿勢です。

 JENが衛生キットを国内避難民キャンプ内で配布した際、ある現地スタッフが特定の家庭に対し1つ多めに衛生キットを渡すことができるかどうか聞いてきました。彼らの状況が可哀想だと感じたことが理由でした。
 しかしながら、そういった同情による支援は家族の尊厳を奪うだけでなく、JENの支援の公平性・平等性を失うことにもなります。
 国際スタッフは、なぜそういったことをすべきでないのか説明し、その現地スタッフとともに考える時間を持ちました。

 今では、そのスタッフもJENの活動の本質(同情心から人々を「救う」のではなく、尊厳のある人々を「支える」こと)を理解しており、国際スタッフの助言なくしても感情で行動することなく、プロとして行動できるようになりました。

 これは、現地スタッフの成長にまつわるほんの一例です。このような小さな変化の積み重ねが、大きな変化を生む力となり、「JENのいない世界」につながるのです。

 松本円花

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JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。

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8月 18, 2016 事務所、スタッフ |

2016年8月 5日 (金)

2016年7月3日、イラク・カラダで何が起こったのか?

 皆さん、イラクのカラダ地区をご存知ですか?

 カラダ地区は、首都バグダッド市のティグリス川の東側にある商業地区です。
 1920~30年代は、多くのユダヤ教徒・キリスト教徒が居住していましたが、国家が君主制から共和制に変わった頃に、ユダヤ教徒は強制送還されてしまいました。1940年代になると、バグダッド随一の高級住宅街として発展しました。また、20世紀初頭から中頃にかけては、民が地域の発展を願い多くのイスラム教のモスク、キリスト教の教会が建てられました。地域の発展は順調に進み、カラダインと呼ばれる大通り周辺に多くの商業施設、モールやマーケットなどが建設されました。ここは、常に多くの人でにぎわっています。

 2016年7月2日の深夜1時頃、この場所は多くの買い物客で賑わっていました。というのも、2,3日後に控えたイスラム教のラマダン(断食)明けのお祝い、イード・アル・フィトルの準備のための買い出しをするために、日中45度を超える猛暑を避け、気温が下がる夜になってから出かけてきたためです。

 人びとが夕涼みや買い物を楽しんでいたその時です。突然、トラックが爆発する音が響き渡りました。火の手は一瞬のうちに商業施設に燃え移り、そこに集っていた人びと、建物、すべてを飲み込みました。子ども、女性、老人、お腹の中にいる胎児であろうと容赦なく、奪い去ったのです。事件発生後の深夜1時から陽がのぼる午前7時までの間に、全てが灰となってしまいました。それは誰が見ても、大惨事としか言えない出来事でした。陽が登りきった頃、そこは、前日とは異なる場所になっていました。

 この事件は、イラク国内で大きなニュースとなり、衝撃、驚愕、悲しみ、恐怖が全土を埋め尽くしました。たった1台の車が爆発したことで、こんなにも全てのものが破壊されてしまうなんて、誰が想像したでしょう。爆発したものが何だったかなどは、専門家やこの惨事の目撃者が多くを語っています。ひとつ言えることは、もう、ここで失ったものは取り戻せない、ということです。死者500人、負傷者は300人にのぼりましたが、亡くなられた方の多くは遺体確認もままならない状況です。両親とともにイードに合わせて新調する衣服を買うために、わくわくした想いで買い物にやって来ていた子ども、家族や友達とともに卒業を祝っていた若者など、たまたま居合わせた多くの一般市民の命が失われてしまいました。どうすれば、わたしたちは気丈になれるのでしょうか。人びとは悲しみに暮れ、憤りを感じています。

 
 いつになれば、国際社会はイラクの人びとに降りかかっているこの惨状に目を向けてくれるのでしょうか。

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8月 5, 2016 政治、経済、治安 |