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2015年4月30日 (木)

シンジャール山での水供給支援

 シンジャール山はイラク北部にあるニナワ県に位置しています。山のふもとにあるシンジャールの町が昨年8月に武装勢力により占領された際、5万人ほどの避難民がシンジャール山へ避難しました。その中のほとんどの避難民がキャンプやクルディスタンの他の所へと移動しましたが、シンジャール山には未だに約1,000世帯の家族が残っており、過酷な状況の中での暮らしを続けています。山中には数か所に集落が作られており、避難民の方々はブロックで作られた簡単な建物やテントに住んでいます。

 今年1月にJENのローカルスタッフが行った初期調査では、シェルター、食料、水などシンジャール山の避難民のニーズが明らかになりました。
 集落から水タンクや給水場への距離は大変遠く、水へのアクセスを向上させることは特に急を要しました。
 また、当時設置されていた水タンクは古くさびていたため、中に入っている水が汚染されてしまい、水質に関する苦情も多く出ていました。

 そのような過酷な生活状況を改善するため、JENはコミュニティの水アクセス向上に向けた支援を始めました。今年3月にはシンジャール山に点在する避難民の集落の近くに12個の水タンクを設置し、給水トラックによる水の供給も始めました。給水トラックは約1,200世帯を対象に、毎日24,000リットルの水を水タンクに届けています。

 毎日水がきちんと届けられていることを確認するため、水供給のモニタリングもコミュニティの代表と協働で行っています。コミュニティやその代表、また給水トラックの運転手の協力のおかげで、JENは無事に毎日水が届けられている事を確認でき、シンジャール山の避難民に必要な支援を届ける事ができました。



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JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を行っております。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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4月 30, 2015 国内避難民支援緊急支援 |

2015年4月23日 (木)

母の日

 もしお母さんがいなかったら、私たちの生活は全然楽しくありません。「お母さん」は、優しさや温かさや愛を示す正直で力強い言葉です。

 イラクでは、母の日は毎年ちょうど春の始まりにあたる3月21日です。エジプトのジャーナリストで作家のアリ・アミンが、アラブ世界で最初に母の日を祝うことを考えたのですが、いつにするかは国によって違います。

 歴史や儀式は国により様々ですが、子どもたちの人生で母親が果たす役割に敬意を表して母の日を祝うことは、世界中どこでも同じです。

 イラクの母親は1960年代からずっと、絶え間ない戦争に苦しんできました。母親たちは息子を兵士として国に差し出さなくてはならず、次から次へと息子たちを失いました。イラクの母親たちは苦悩や涙のために生まれてきたのでしょうか。彼女たちは、血で書かれたイラクの歴史のいつの時代においても、息子に先立たれ、悲しい思いでいっぱいだったのです。

 それでもやはりイラクの人たちは、感謝の言葉や贈り物をあげることによって母親の心に楽しみや喜びを生み出そうとしています。

 全ての忍耐強い母親が癒され、悲しみに暮れる母親に喜びがもたらされますように。そして世界中の母親に心からの感謝の言葉を贈ります。

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4月 23, 2015 文化、生活、習慣 |

2015年4月16日 (木)

ハラブジャの悲劇

 クルド人自治区には、3月と4月に記念日がたくさんあります。そのなかのひとつ、3月16日はハラブジャの日です。

 1988年のこの日、クルド人自治区の南東部に位置するハラブジャで、化学兵器により5000人以上の住民が命を落としました。

 それ以来、25年たった今でも、3月16日の11時には人々は道路に一列に並び、黙祷をささげます。黙祷の間は車も路上にとめられ、サイレンの音だけがひびきわたります。

 クルドの人々は自分たちが経験したハラブジャの悲劇と同様のものとして、広島・長崎の原爆投下のことをよく知っています。黙祷の列に並んでいると、今でも日本では原爆が投下された日に黙祷をしますか?と聞かれました。

 広島や長崎、学校などを除いて、今の日本で黙祷をしている人は多くないと思います。それは、終戦から約70年たち、私たちにとって戦争も原爆投下も遠い昔のことになってしまったからかもしれません。

 一方、ハラブジャの悲劇のあとも、そして今も様々な苦難を経験しているクルドの人々。彼らは、たとえ70年たったとしても、そういった苦難を象徴するハラブジャの日に祈り続けるのではないかと思います。



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4月 16, 2015 緊急支援 |

2015年4月 9日 (木)

越冬支援用バウチャー配布 -モニタリングが完了しました!

 JENの越冬支援用バウチャー配布プロジェクトが終わった後、プロジェクトの成果をはかるためにJENのスタッフにより、配布を行った293世帯のうち、サンプルの93世帯を対象としたモニタリングを行いました。

 このような配布後のモニタリングは今回の支援の長所や短所、また支援対象者にとってのインパクトを知るのに重要な役割を果たします。特に、今回のバウチャー配布は、JENにとって初めての現金補助の試みとなったので、学びを今後の支援に活かすためにも重要となりました。

 全体的に、国内避難民の家族にとって今回のバウチャー配布は良い効果をもたらしました。配布を行った293世帯の全ての家族がバウチャー全額を使い切りました。

 購入したアイテムのうち、最も多かったのが毛布や灯油、冬用衣料でした。一部の家族は、住居を温かく保つために数台のヒーターを購入したこともわかりました。

 ほとんどの家族が、2月中旬にバウチャーを受け取ってから3日以内でお店に向かったそうです。

 モニタリングを行った93家族全員が、「今回の配布支援で購入対象となったアイテムや配布のタイミングは越冬支援に適切だった」と答えてくれました。

 購入対象となった物資についての質問では、89%の家族が「物資の品質が適切だった」と答えましたが、50%の家族は、「配布された金額に比べて物資の値段が高すぎた」と答えました。

 最後に、今回のプロジェクトの全体的な成果について、23%の家族は「大幅に暮らしが改善した」、77%の家族は「適度に暮らしが改善した」と答えました。暮らしがどのように改善したかについては、88%の家族が「以前より暖かい生活を送れる」と答え、76%が「家族の健康が改善された」と答えました。

 また、バウチャープロジェクトに参加した全店舗を対象に行ったモニタリングでは、「この支援によって店舗へ来る国内避難民の方が増えて喜んでいる」「またこのような支援に関わりたい」という声を聴くことができました。

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4月 9, 2015 国内避難民支援緊急支援支援物資配布 |

2015年4月 2日 (木)

衛生教育に参加した生徒からのメッセージ

 イラク中部・北部の小中学校における衛生促進・衛生環境改善事業活動は、2015年1月までに多くの成果を出すことができました。子どもたちの衛生改善を促進するため、トイレの修復が3校で、衛生促進の研修が18校で行われました。これらの活動により、約10,400名の生徒と教員がより衛生的な環境で学習できるようになりました。

 現在は、2014年6月以降の戦闘の激化のために多数の避難民生徒を受け入れることになった学校を中心に活動を進めています。

緊急に修復を必要としている学校を10校選ぶための調査をし、教育省との協議などを行っています。2015年11月末までに10校を修復し、健康維持促進のための衛生教育も行う予定です。
 
 以下は衛生教育に参加した生徒からのメッセージです。今後もJENは、イラクの小中学校における衛生の促進と学習環境の改善ために、活動を継続していきます。

【Aさん(中学生)】
ディヤラ県は2008年以降、戦争と情勢不安のため、多くの問題に苦しんできました。戦争によって配偶者を亡くした女性や孤児が増加し、人々の教育や衛生状態も悪化しました。そして、多くの生徒が生活困難のため、学校を卒業できずに中途退学していました。
こういった深刻な状況の中で、衛生教育を行い、衛生用品を配布してくれたJENの活動と日本の皆さまのご支援に、心から感謝しています。

【学校教員への研修の様子】
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【衛生用品の配布】
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【衛生教育の様子】
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【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。

イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。

くわしくはこちら

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4月 2, 2015 衛生教育 |