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2015年1月 8日 (木)

避難民として暮らす – キャンプの外編

 2014年6月、イスラム国と呼ばれる組織のモスル制圧に端を発したイラク危機。現在イラク全域で約200万人が国内避難民となっています。ここクルド人自治区は、治安が安定していること、イスラム国が支配する北部イラク、そしてシリアに近いことから、多くのシリア難民、国内避難民の避難場所となっています。クルド人自治区の避難民数は100万人にものぼります。

 避難民としてクルド人自治区にやってきた人たちはどこで暮らしているのでしょうか。ホテル?アパート?親戚の家?もちろんそういう人たちもいます。しかし多くの人々が、当初は工事中の建物や学校、公共施設で暮らしていました。そういった場所は自治区内に約1000か所もあると言われていました。

 新しい避難民キャンプが建設され、キャンプへの移動が行われてきたものの、今でも12万人はそういった場所での生活を余儀なくされています。

【避難場所となっているドホーク県内の工事中の建物】
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 こういった建設中の建物は、屋根があるので雨は防げますが、気温は野外と変わりません。そんな中、自分たちで作った簡易テントを張って、人々は暮らしています。

【カーペットがないので地べたに段ボールを敷き詰めている台所】
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 床はコンクリート打ちっぱなしか土です。足元からくる冷えはひどく、日が差さないので昼間でもきんとした寒さです。支援団体から受け取ったカーペットを敷いている家庭もありますが、それもなく段ボールを敷き詰めている家庭もあります。

 シャワーはもちろんありません。薪やガスコンロでお湯を沸かして、布やレンガで仕切られた一画で体を洗っています。トイレは自分たちで作ったり、支援団体が簡易トイレを設置している場所もあれば、近隣の公共施設のトイレを使ったり、外で用をたしたりしている人々もいます。

 避難民の人々は、それぞれに辛い境遇を乗り越えて、ここにたどりつきました。そして、ここでの生活も楽ではありません。それでも、毎日泣いて暮らしているわけではありません。なるべく快適に故郷での生活に近づけるよう、自分たちでトイレを作ったり、パン焼き窯を作ったり、工夫をして暮らしています。

【土でつくったタヌールと言われるパン焼き窯】
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 夜になると気温は0度近くにまで下がります。野外と同じ環境下で、寒さをしのぐには暖房器具が欠かせません。石油ストーブと石油は今、避難民の方々がもっとも必要としているアイテムです。

 政府や支援団体は、着のみ着のままで避難してきた人々に、食糧や越冬用物資などを配布しています。また、近隣に暮らすクルド人家族も、持っているブランケットや調理器具などをあげたりして支援しています。それでも、いろいろなところに散らばって生活している避難民全員に必要な物資をすべて届けるのはなかなか難しいのも事実です。

 JENは支援者の皆様からのご寄付とジャパンプラットフォームの協力を得て、石油ストーブや石油、カーペットなど冬支度に必要な物資を人々が自分で必要なものを選んで購入できるよう、引換券を配布する予定にしています。



JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ご寄付は、こちらから受け付けております。

1月 8, 2015 国内避難民支援緊急支援 |