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2014年12月18日 (木)

新年に向けて

 イラクでは、依然として政府と武装組織との戦闘が続いており、これに伴い200万人以上の国内避難民が発生しています。

 避難民の多くはクルド人自治区内に流入しており、中部・南部の県にも避難していますが、冬を迎えた今、かれらは厳しい環境に置かれています。凍えるような寒さと冷たい雨の中での生活を強いられ、生活を支える資金は不足し、多くの生徒は勉強を続けることができていません。

 さらに、原油価格の下落と生産率の低下により、イラクの経済状況は急激に悪化しています。また、民兵による誘拐と恐喝が横行しています。

 こうした危機の中でも、イラクの人びとはクリスマスや新年を迎える準備を始めています。万が一に備え、町ではセキュリティを強化しています。

 不安な毎日を送る中、人びとが「年末・年始のお祝い」の準備を行うことは、人びとが今、直面している危機を乗り越え、安定した経済と社会を取り戻そうとする意志の表れと言えます。加えて、これを機に厳しい現状を受け入れ、解決に向けて転換していく機運の高まりを求めていると言えます。

JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ご寄付は、こちらから受け付けております。

12月 18, 2014 政治、経済、治安文化、生活、習慣国内避難民支援緊急支援 |

2014年12月 4日 (木)

避難民キャンプでの厳しい生活

 イラクの国内避難民、特に避難民キャンプにいる避難民は、寒さや空腹、風呂の不足などのため、大変厳しい生活を余儀なくされています。

 アルビル(イラク北部のクルド人自治区内)のキャンプでは、風呂の順番を待つ人の長い列ができています。多くの避難民に対して風呂の数はとても少ないため、中にはシャワーを浴びるまでに10時間も待たなければならない人もいます。同キャンプでは、2014年6月10日以降現在までに、1500人の乳幼児が亡くなりました。

 ディヤラ県のハナキーンで難民省によって風呂やトイレが設置されたのは、避難民がキャンプに来てから1か月も経過した後でした。

 アルビルやハナキーンの避難民キャンプでは、ほとんどの避難民が1日に1食か2食しか食事をとっていません。というのも、ほとんどの人たちが3か月前に政府や国際機関から100万イラク・ディナール(約800米ドル)支給されただけで、お金が足りない上、調理や暖房に使う灯油も1か月に10リットルしか支給されないからです。また、毛布も充分にはありません。寒さと飢えにより下痢やカタルにかかる人が増えています。

 さらに、充分な医療を受けられなかったり、薬が不足していることなどにより、様々な問題が生じています。たとえば避難キャンプ全体で180件もの流産が発生しています。

 一方、ハナキーンキャンプではサソリやヘビが増え、大勢の避難民を悩ませています。今までのところ何の対策も取られていないため、ハナキーンキャンプの何十万人もの人々がこの厄介な存在の脅威にさらされています。

 また、アンバール県の砂漠では、家族と一緒にテロリストから逃げた子どもたち20人が、飢えと暑さのため亡くなりました。

【ハナキーンキャンプの給水車】
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JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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12月 4, 2014 国内避難民支援 |