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2014年11月 6日 (木)

劣悪な環境下に置かれているイラクの国内避難民

 イラクにおける多くの国内避難民は、クルド人自治区のアルビルだけでなく、ディヤラ県のハナキーンといった別の地域にも押し寄せています。多くの避難民が身を寄せる避難民キャンプには、イラクの難民・移民省により大型のテントが張られています。

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 しかしそうしたテントは、防水加工がされていません。毎年今の時期に降水量が多くなるディヤラ県のハナキーンにも、たくさんの国内避難民が避難用テントで暮らしていますが、彼らのテントにも防水加工が施されていません。

 10月17日、ハナキーンでは雨が降り、水があふれ出しました。避難テントに雨が入り込むと、避難民たちは自分たちが寝ていたベッドを外に引っ張り出しましたが、ベッドはそのまま雨ざらしの状態で放置されています。

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 雨でぬかるんでいるため、難民・移民省も水や食糧、人々が必要としている物資を運びこめない状況になっており、この地域にいる国内避難民12000世帯が危機に瀕しています。

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 ディヤラ県行政区は、ハナキーンを避難場所にしてしまっている状況は大きな誤りである、と警告しています。この地域は、サソリやヘビが多く生息しており、国内避難民はこうしたリスクにもさらされ、生命を脅かされる環境下に置かれています。

 難民・移民省は、11月中旬までに、5名まで収容できる防水加工をしたテントを2万個準備する、と発表しました。しかし、それまで多くの国内避難民は雨季の厳しい環境下で生活することを余儀なくされます。またそうしたテントの数は、国内避難民の数に対して圧倒的に足りません。

 劣悪な環境から逃れるためには、彼らが住んでいた元の土地に戻ることが一番の解決策です。しかし、武装勢力は当初よりも広い範囲を占領しており、戻ることはできません。また国内避難民となった子ども達の約半数は学校に行くことができていません。難民キャンプからは町にある学校がとても遠くて通うことができないのです。しかし、政府は難民キャンプに一時的な学校を設置することもしていません。

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11月 6, 2014 国内避難民支援 |