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2014年11月20日 (木)

国内避難民の今を知ってほしい

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避難民キャンプの現状をご報告します。

イラク国内に発ししている国内避難民は、政府も人道支援組織も解決することができない多くの問題に直面しています。

国内避難民の家族は食糧や生活必需品を買うために、避難先から一番近いマーケットまで長い距離を歩かなければなりません。多くの家族は着の身着のままで避難しているため、車を持っていません。マーケットで買った物は歩いて運ばなければなりません。さらに、彼らには必要な物を全て買うためのお金も十分にありません。

2014年6月以降から今までに、戦闘地となったモスールやティクリートから避難して来た家族は、たった1か月分の生活費に当たる100万イラク・ディナール(約825米ドル)を政府や国際機関から支給されただけです。彼ら家族の大部分は夏服しか持っておらず、冬服を買うお金はありません。

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冬が来た今、避難民キャンプで暮らす人々には、暖房のための灯油、ガソリン、電気がありません。彼らは遠くまで行って木の枝を取り、暖を取るためにそれをテントの中で燃やします。料理を作るために、小さな灯油コンロも使っていますが、そのようにテントの中で火を使うことにより、アルビル(イラク北部のクルド人自治区内)などのキャンプでは、多くのテントが燃えてしまいました。火災が防げるような防炎加工をしたテントではなかったのです。

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2013年12月以降現在まで、どの避難民キャンプにも教育を受ける施設(仮設の学校)がありません。これらのキャンプにいる児童たちは、もう2年間も学校に通っていません。
もし子どもたちが一番近くの学校に行きたいと言っても、歩いて通える距離には学校はなく、家族は学校のある村や町に車で子どもたちを連れて行かなければなりません。しかし、ほとんどの国内避難民の人々は貧しく車を持っておらず、あるいは、キャンプで生活する人々は、キャンプの外に簡単には出られないようになっているところもあります。

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JENでは、イラク国内で発生している国内避難民を対象にした緊急支援を開始しました。この緊急支援に対し、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ご寄付は、こちらから受け付けております。















   






   

11月 20, 2014 国内避難民支援 |

2014年11月 6日 (木)

劣悪な環境下に置かれているイラクの国内避難民

 イラクにおける多くの国内避難民は、クルド人自治区のアルビルだけでなく、ディヤラ県のハナキーンといった別の地域にも押し寄せています。多くの避難民が身を寄せる避難民キャンプには、イラクの難民・移民省により大型のテントが張られています。

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 しかしそうしたテントは、防水加工がされていません。毎年今の時期に降水量が多くなるディヤラ県のハナキーンにも、たくさんの国内避難民が避難用テントで暮らしていますが、彼らのテントにも防水加工が施されていません。

 10月17日、ハナキーンでは雨が降り、水があふれ出しました。避難テントに雨が入り込むと、避難民たちは自分たちが寝ていたベッドを外に引っ張り出しましたが、ベッドはそのまま雨ざらしの状態で放置されています。

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 雨でぬかるんでいるため、難民・移民省も水や食糧、人々が必要としている物資を運びこめない状況になっており、この地域にいる国内避難民12000世帯が危機に瀕しています。

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 ディヤラ県行政区は、ハナキーンを避難場所にしてしまっている状況は大きな誤りである、と警告しています。この地域は、サソリやヘビが多く生息しており、国内避難民はこうしたリスクにもさらされ、生命を脅かされる環境下に置かれています。

 難民・移民省は、11月中旬までに、5名まで収容できる防水加工をしたテントを2万個準備する、と発表しました。しかし、それまで多くの国内避難民は雨季の厳しい環境下で生活することを余儀なくされます。またそうしたテントの数は、国内避難民の数に対して圧倒的に足りません。

 劣悪な環境から逃れるためには、彼らが住んでいた元の土地に戻ることが一番の解決策です。しかし、武装勢力は当初よりも広い範囲を占領しており、戻ることはできません。また国内避難民となった子ども達の約半数は学校に行くことができていません。難民キャンプからは町にある学校がとても遠くて通うことができないのです。しかし、政府は難民キャンプに一時的な学校を設置することもしていません。

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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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11月 6, 2014 国内避難民支援 |