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2014年8月14日 (木)

イラクにおける幼少期

1980年以降に幼少期を過ごしたイラクの子どもたちの約半数は、通常の幼少期とは異なる経験をしています。

 それ以前は、イラクの子どもたちも、両親の元で愛情を受けて育ち、小学校から大学まできちんと教育を受けることができていました。

 しかし1980年から1991年の間に生まれ育った子どもたちの多くは、父親のいない家庭で育ちました。それは、1980年から1988年まで続いたイラクイラン戦争によって、200万人以上の男性が命を落とし、また戦争に関わった多くのイラク人がイランで7年以上捕虜として生活することになり、多くの家庭が父親の存在を失ったからです。

 その間、イラクの多くの家庭では、父親の代わりに母親が家計を支えるために家を不在にする生活を余儀なくされました。子どもたちは父親だけでなく、母親も朝から夕方までいないという幼少期を過ごさなくてはなりませんでした。こうした子どもたちは、家庭の中での学びも得られず、学校にも通えず、その結果、きちんとした教育を受けられない失われた世代となりました。

1991年から2003年にかけて、イラクの子どもたちにとって、さらに悲しい時代が続きます。この時期、イラクでは経済制裁を受け
、唯一の稼ぎ頭である父親の収入が激減して家族を養えない状態となり、40%以上の子どもたちが初等教育の段階で学校をやめざるを得ない状況になりました。

 2003年以降現在に至るまで、イラクには約400万人以上の孤児たちがいます。こうした孤児の中には、父親がいない子どもばかりでなく、両親ともいない子どももいます。多くの孤児たちは何も学ぶこともできず、幹線道路で物乞いをして生きています。そこには、他国の子どもたちの幼少期とは全く異なる厳しい状況があります。

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