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2014年7月 3日 (木)

イラクの難民の現状

 アンバール県、ニーナワー県、ディヤラ県、サラハディン県などから戦火を逃れて避難するイラク難民は厳しい状況下に置かれています。

 最近の情報では、今年の1月頃から武装勢力による襲撃が開始した現在までに、アンバール県だけで約30万人の難民が自分たちの住む町を離れ、クルド人自治区やサマーラといった別の都市に避難しています。

 その他の3つの県でも、合わせて約32.5万人の難民が戦闘が激化している都市から逃れています。イラク第二の都市であるモスルからの難民の多くは、クルド人自治区内のアルビルやドホークといった都市に避難しています。またタラーファからの難民の多くは、同じクルド人自治区でも貧しいクルド人やスンニ派の人々が暮らす町に逃れており、そうした町では電気や食料が限られているなか、難民に対する何の対策も取られていません。

 サラハディン県からの難民の約70%は、北部のクルド人自治区に逃れ、アル・セニヤとベギという中部にある都市のおよそ半分の難民は、周辺の都市やクルド人自治区に避難しています。また、ディヤラ県に住む人々の約半数が、より安全で戦闘下にない別の都市に避難しています。

 こうしたイラク難民に対して、イラク政府やクルド人自治区の政府も支援を行っていますが、その予算は限られており、難民の人々は避難場所や食料の確保などにおいても厳しい状況下にあります。

 国際機関は、ニーナワー県(モスルやタラーファなどから)からの避難民発生後約10日~2 週間ほどして、現地での支援を開始しています。UNHCRもアルビルやドホークなどで、テントや食料の配布、給水タンクの設置などを始めました。しかし、UNHCRや他の人道支援組織は、安全なクルド人自治区内での支援に留めており、ディヤラ県やサラハディン県周辺などの危険な地域での支援活動は行っていません。このような、クルド人自治区以外のリスクの高い地域に避難している難民は、イラク移民省からの支援を待っていますが、こうした難民には十分な支援が届いていない状態です。

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7月 3, 2014 国内避難民支援 |